IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キム ジョンゴンの特許一覧

<>
  • 特許-ダイヤルタイプのワイヤー締付装置 図1
  • 特許-ダイヤルタイプのワイヤー締付装置 図2
  • 特許-ダイヤルタイプのワイヤー締付装置 図3
  • 特許-ダイヤルタイプのワイヤー締付装置 図4
  • 特許-ダイヤルタイプのワイヤー締付装置 図5
  • 特許-ダイヤルタイプのワイヤー締付装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】ダイヤルタイプのワイヤー締付装置
(51)【国際特許分類】
   A43C 11/10 20060101AFI20220913BHJP
   A43C 11/16 20060101ALI20220913BHJP
   A44B 99/00 20100101ALI20220913BHJP
【FI】
A43C11/10
A43C11/16
A44B99/00 601N
A44B99/00 601Q
A44B99/00 601Z
A44B99/00 611M
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020186076
(22)【出願日】2020-11-06
(65)【公開番号】P2022054379
(43)【公開日】2022-04-06
【審査請求日】2020-11-06
(31)【優先権主張番号】10-2020-0124566
(32)【優先日】2020-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520436448
【氏名又は名称】キム ジョンゴン
【氏名又は名称原語表記】KIM,Jung-gon
【住所又は居所原語表記】(Pyeongsan-dong, Gyeongbo 3rd Green Tower) 301-1006, 33, Pyeongsanhoeya-ro, Yangsan-si, Gyeongsangnam-do, 50551, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】キム ジョンゴン
【審査官】新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1954753(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-1147681(KR,B1)
【文献】中国実用新案第208403436(CN,U)
【文献】特開2017-079831(JP,A)
【文献】特表2020-505090(JP,A)
【文献】登録実用新案第3162969(JP,U)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0028701(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43C 11/10
A43C 11/16
A44B 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の支持板を備え、前記支持板の上面から垂直に延びた支持壁体が形成されて中央部に収容溝が形成された下部カバー;
上端部には内周縁上に2段構造の歯が環設されたギア部が形成され、前記収容溝内に回転可能に設置されて回転時に外周縁に沿ってワイヤーが巻き取られるリール部;
下端部が前記収容溝に結合固定されて内部に前記リール部を収容し、上端部の内周縁に沿ってラチェットギアが形成されたハウジング部;
下面から上方に凹設されて前記ハウジング部の上端部が挿入固定される結合溝、及び上面から下方に凹設された定着溝を有し、前記定着溝の中央部には前記ギア部が貫通する中心孔が形成され、前記定着溝の内周面の一部分が開放されて形成された開口を備える中間カバー;
前記定着溝上に定着されて下端部が、前記中心孔を介して露出された前記リール部の外周面に結合され、外周面から放射状に弾性を持つように分岐されたストッパーが形成され、前記ストッパーの先端には前記開口を介して前記ラチェットギアに噛合される対応ラチェットギアが形成されることにより、前記リール部が一方向に回転するように1次拘束力を提供するストッパーユニット;
前記中間カバーの上端部に結合され、前記歯と噛合される2段構造の対応歯を有する対応ギア部が下方突設されて前記ギア部に挿入され、前記中間カバーに沿って前記リール部が一方向に回転するように2次拘束力を提供するポール部;及び
前記中間カバーの外側を包んで結合され、外部から加えられる回転力によって前記中間カバーと一体に回転する上部カバー;を含
前記対応歯は、
円筒形状を有する前記対応ギア部の上端部の外周面に沿って形成されたラチェット歯形対応歯部と、
円錐形状を有する前記対応ギア部の下端部の外周面に沿って形成され、前記ラチェット歯形対応歯部の先端から一体に延びて中心軸に向かって傾斜するように形成されたベベル歯形対応歯部と、を備えることを特徴とする
ダイヤルタイプのワイヤー締付装置。
【請求項2】
前記リール部は、
下端部に仮想の中心軸を基準に放射状に配置された異物排出孔が形成されることにより、前記リール部の一方向回転に沿って、ワイヤーに付着した異物を排出することを特徴とする、請求項1に記載のダイヤルタイプのワイヤー締付装置。
【請求項3】
前記リール部の上端には、外周面に沿って突設された係止段が形成され、前記ストッパーユニットの下端には、下方に延びる、端部に折り曲げられた係止片が形成され、前記係止片が前記係止段に対応摺擦されながら昇降してストッパーユニットとリール部の結合と分離を確認することができることを特徴とする、請求項1に記載のダイヤルタイプのワイヤー締付装置。
【請求項4】
前記ストッパーユニットの下端に下方に突出した軸受が形成され、
前記中間カバーの定着溝の下面に軸受と結合される軸孔が形成され、
前記軸孔は、前記ストッパーユニットが時計回り或いは反時計回りに微細移動できるように前記軸受との間に遊隔が形成される長孔の形状を有することを特徴とする、請求項1に記載のダイヤルタイプのワイヤー締付装置。
【請求項5】
下部カバーは、
支持板の縁に沿って正確な裁縫ができるように一つ以上の裁縫案内溝が形成されることを特徴とする、請求項1に記載のダイヤルタイプのワイヤー締付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイヤルタイプのワイヤー締付装置に係り、より詳細には、小型化製作が可能であり、ワイヤーを締めるときに逆回転を防止するために備えられる構成間の接触面積を広げることにより耐久性を向上させたワイヤー締付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ワイヤー締付装置は、様々な物品を締めるのに使用されるものである。ここでは、ワイヤー締付装置の様々な活用方法の中でも、足に着用する靴に適用することに基づいて説明するが、例えば、靴や帽子、ベルト、手袋、バッグ、ヘアアクセサリーなど、ワイヤーを用いて締結される物品に多様に適用することができる。
【0003】
一方、靴は、辞書的意味で、地を踏んで立ったり歩いたりするときに足を保護するために履く物を総称し、用途によって多様に分類されるが、ほとんどの履物には、着用する各個人の足にぴったりと合うように締め付けるための靴ひもが備えられる。
【0004】
具体的には、通常の靴は、大きくは、上述した靴の上部に着用者の足と足首を包み込む形で形成される甲皮部(Upper)と、甲皮部の下側に形成され、着用者の歩行によって加えられる衝撃を吸収するミッドソール(Midsol)と、ミッドソールの下面に付着して地面に当接しながらスリップを防止し、安定した接地を可能にする外底(Outsole)とを含み、甲皮部には、足の甲の偏りを防止して保護する舌革(Tongue)がつけられ、舌革の前側には、ひも穴が形成される補強物であるアイレットステイ(Eyelet stay)が備えられ、ひも穴には、靴を足に合うように調節するワイヤー(Wire)などの靴ひも(Shoelace)が締結される。
【0005】
もちろん、靴は、歩行時に脱がれないように適正なサイズのものを選択しなければならないが、画一的な量産方式によって特定の長さと幅に規格化されて製造されるため、既成靴の足幅は、着用者の足幅と正確に一致することが難しい。
【0006】
したがって、着用者は、安全かつ快適な歩行ができるように靴を履いた後、靴ひもを適切に引き締めることにより、自分の足と靴が密着するようにして、靴ひもを手で引き締めた後には、結び目を結んで固定させなければならない。
【0007】
しかし、靴ひもを着用者の足に合わせて引くためには、靴ひもに所定の張力を加えなければならず、靴ひもに結び目を付ける作業は、比較的繊細な作業を必要とするため、高齢者、子供、または手の動きが不自由な障害者に不便を強いるという問題点がある。
【0008】
このような問題点を解消するために、靴に靴ひもをいちいち結束することなく手軽に締めたり緩めたりするワイヤー締付装置が適用されることにより、靴を履いたり脱いだりするときに便利さを提供している。
【0009】
韓国特許第10-1438572号(ワイヤー締付装置)に開示されているように、ラチェットギアを用いてワイヤー形態の靴ひもが巻き取られるボビンをストッパーユニットによって拘束するように構成され、回転カバーを一方向に回転させると、ワイヤーを締め付けることができるようにし、ラチェットを制御したストッパーユニットの拘束状態を解除すると、ボビンの回転が自由になることにより靴ひもを緩めることができるように形成される。
【0010】
このような構成からなる従来のワイヤー締付装置は、一方向に回転するラチェットギアをストッパーユニットのポール(pawl)によって反対方向への回転を拘束しながらリールにワイヤーを巻くものなので、ラチェットギアに拘束力が強く偏重するので、例えば、ユーザーが靴ひもを強く締めたり、足の動きによって靴ひもが強く引っ張られたりするとき、逆に靴ひもは緩まろうとする力が強く作用するため、ラチェットギアの回転を拘束するポールに力が偏重しながらラチェットギアに強いストレスを与えるので、ラチェットギアとポールが容易に破損して磨耗するなど、耐久性が低下して寿命が短くなるという問題点があった。
【0011】
また、靴ひもを締めるとき、回転カバーを何度も回転させて締めるが、回転カバーを回転させてから放すとき、回転カバーと一緒に回転するストッパーユニットのストッパーがラチェットギアに正確に噛合されない場合が発生し、ストッパーが、靴ひもを締め付けようとするその位置のラチェットギアよりも押されて後ろにあるラチェットギアに噛合されることにより、所望の締付力よりも緩んだ状態で締め付けられるという問題点があった。
【0012】
かかる問題点を解決するために、韓国特許第10-1833680号公報(靴ひも締付装置)は、靴ひもを締めるときに逆回転を防止するメインラチェットギアとストッパーに、その噛合を補助する補助ラチェットギアを設置して、メインラチェットギアに偏重する作動負荷を分散させることにより、ギアの摩耗や破損を防止して使用寿命を向上させ、ストッパーユニットを遊隔があるように結合し、メインラチェットギアにストッパーが正しく噛合されるようにすることにより、靴ひもが締付過程で緩まないようにした靴ひもの締付装置に関する技術を公知にしたことがあるが、装置を小型化する場合には、各構成の大きさ及び形状の縮小に起因する相互間の有機的結合力が弱くなって耐久性の低下が発生するおそれがあり、特に、一方向に回転させるために提供される拘束力が低下するおそれがあるため、構成要素の設計変更が避けられない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】韓国特許第10-1438572号公報(2014年9月1日)
【文献】韓国特許第10-1833680号公報(2018年2月22日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、前述した問題点を解決するためになされたもので、その目的は、小型化製作が可能であり、ワイヤーを締めるときに逆回転を防止するために備えられる構成間の接触面積を広げることにより、一部分に偏重する作動負荷を分散させてギアの摩耗や破損を防止するだけでなく、構成間の結束力を高めて耐久性の向上を図ることができるダイヤルタイプのワイヤー締付装置を提供することにある。
【0015】
本発明の目的は、上述した目的に制限されず、上述していない別の目的は、以降の記載から本発明の技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解できるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明は、板状の支持板を備え、前記支持板の上面から垂直に延びた支持壁体が形成されて中央部に収容溝が形成された下部カバー;上端部には内周縁上に2段構造の歯が環設されたギア部が形成され、前記収容溝内に回転可能に設置されて回転時に外周縁に沿ってワイヤーが巻き取られるリール部;下端部が前記収容溝に結合固定されて内部に前記リール部を収容し、上端部の内周縁に沿ってラチェットギアが形成されたハウジング部;下面から上方に凹設されて前記ハウジング部の上端部が挿入固定される結合溝、及び上面から下方に凹設された定着溝を有し、定着溝の中央部には前記ギア部が貫通する中心孔が形成され、前記定着溝の内周面の一部分が開放されて形成された開口を備える中間カバー;前記定着溝上に定着されて下端部が、前記中心孔を介して露出された前記ギア部の外周面に結合され、外周面から放射状に弾性を持つように分岐されたストッパーが形成され、前記ストッパーの先端には前記開口を介して前記ラチェットギアと噛合される対応ラチェットギアが形成されることにより、前記リール部が一方向に回転するように1次拘束力を提供するストッパーユニット;前記中間カバーの上端部に結合され、前記歯と噛合される2段構造の対応歯を有する対応ギア部が下方突設されて前記ギア部に挿入され、前記中間カバーに沿って前記リール部が一方向に回転するように2次拘束力を提供するポール部;及び、前記中間カバーの外側を包んで結合され、外部から加えられる回転力によって前記中間カバーと一体に回転する上部カバー;を含む、ダイヤルタイプのワイヤー締付装置を提供することができる。
【0017】
この時、前記対応歯は、円筒形状を有する前記対応ギア部の上端部の外周面に沿って形成されたラチェット歯形対応歯部と、円錐形状を有する前記対応ギア部の下端部の外周面に沿って形成され、前記ラチェット歯形対応歯部の先端から一体に延びて中心軸に向かって傾斜するように形成されたベベル歯形対応歯部とを備えることを特徴とする。
【0018】
また、前記リール部は、下端部に仮想の中心軸を基準に放射状に配置された異物排出孔が形成されることにより、前記リール部の一方向回転に沿って、ワイヤーに付着した異物を排出することを特徴とする。
【0019】
また、前記リール部の上端には、外周面に沿って突設された係止段が形成され、前記ストッパーユニットの下端には、下方に延びる、端部に折り曲げられた係止片が形成され、前記係止片が前記係止段に対応摺擦されながら昇降してストッパーユニットとリール部の結合と分離を確認することができることを特徴とする。
【0020】
一方、前記ストッパーユニットの下端には下方に突出した軸受が形成され、前記中間カバーの定着溝の下面には軸受と結合される軸孔が形成され、前記軸孔は、前記ストッパーユニットが時計回り或いは反時計回りに微細移動できるように前記軸受との間に遊隔が形成される長孔の形状を有することを特徴とする。
さらに、下部カバーは、支持板の縁に沿って正確な裁縫ができるように一つ以上の裁縫案内溝が形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、小型化製作が可能であり、ワイヤーを締めるときに逆回転を防止するために備えられる構成間の接触面積を広げることにより、一部に偏重する作動負荷を分散させてギアの摩耗や破損を防止するだけでなく、構成間の結束力を高めて耐久性の向上を図ることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の好適な実施形態によるダイヤルタイプのワイヤー締付装置を上方から見た分解斜視図の一例である。
図2】本発明の好適な実施形態によるダイヤルタイプのワイヤー締付装置を下方から見た分解斜視図の一例である。
図3】本発明の好適な実施形態によるダイヤルタイプのワイヤー締付装置のリール部とポール部を示す展開斜視図の一例である。
図4】本発明の好適な実施形態によるダイヤルタイプのワイヤー締付装置のリール部とストッパーユニットが互いに結合された状態を示す断面図の一例である。
図5】本発明の好適な実施形態によるダイヤルタイプのワイヤー締付装置のリール部とストッパーユニットが互いに分離された状態を示す断面図の一例である。
図6】本発明の好適な実施形態によるストッパーユニットが中間カバーに結合された状態を示す平面図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付図面と共に詳細に後述されている実施形態を参照すると明確になるだろう。しかし、本発明は、以下で開示される実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で実現される。但し、本実施形態は、本発明の開示を十分なものにし、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求の範囲によって定義されるだけである。
【0024】
次に、添付図面を参照して本発明の実施のための具体的な内容を詳細に説明する。図面に関係なく、同じ部材番号は同じ構成要素を指し、「および/または」は言及されたアイテムのそれぞれ及び1つ以上の全ての組み合わせを含む。
【0025】
本明細書で使用された用語は、実施形態を説明するためのものであり、本発明を制限するものではない。本明細書において、単数形は、フレーズで特に言及しない限り、複数形も含む。明細書で使用される「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」は、言及された構成要素の他に、一つ以上の他の構成要素の存在または追加を排除しない。
【0026】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術および科学的用語を含む)は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に共通に理解できる意味で使用できる。また、一般に使用される辞典に定義されている用語は、明白に特別に定義されていない限り、理想的または過度に解釈されない。
【0027】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。
【0028】
図1は本発明の好適な実施形態によるダイヤルタイプのワイヤー締付装置を上方から見た分解斜視図の一例であり、図2は本発明の好適な実施形態によるダイヤルタイプのワイヤー締付装置を下方から見た分解斜視図の一例である。
【0029】
図1及び図2に示すように、本発明の好適な実施形態によるダイヤルタイプのワイヤー締付装置は、大きくは、下部カバー10、リール部20、ハウジング部30、中間カバー40、ストッパーユニット50、ポール(pawl)部60及び上部カバー70を含む。
【0030】
まず、前記下部カバー10は、靴の甲革に裁縫され、前記ワイヤー締付装置を全体的に支持するもので、具体的には、板状の支持板12を備え、前記支持板12の上面から垂直に延びた支持壁体14が形成されて中央部に前記リール部20が収容される収容溝16が形成される。
【0031】
この時、前記支持板12の縁に沿って正確な裁縫を行うために、一つ以上の裁縫案内溝13が形成できる。前記裁縫案内溝13は、靴の製造現場で作業者が前記ワイヤー締付装置の裁縫時に縫い目に沿って正確に裁縫することができるようにガイドの役割を果たすもので、前記ワイヤー締付装置の付着状態をきれいに且つスッキリにすることにより、前記ワイヤー締付装置が設置された靴の商品価値を向上させることができるようにする。
【0032】
次に、前記リール部20は、前記収容溝16内に回転可能に設置され、上・下端に円板状のフランジが備えられた円筒形状に形成され、回転時に外周縁に沿って靴ひもとして用いられるワイヤー80(図4、5参照)が巻き取られる。
【0033】
この時、前記リール部20の本体の一側には、前記ワイヤー80の両端部に結びが付けられた状態で挿入結束される引出孔(図示せず)が形成される。
【0034】
また、前記リール部20の上端部には、内周縁上に2段構造の歯23が環設されたギア部22が形成され、前記ギア部22は、後述する前記ポール部60と結合される。
【0035】
さらに、前記リール部20の下端部をなすフランジ上には、仮想の中心軸を基準に放射状に配置された異物排出孔24が形成されることにより、前記リール部20の一方向回転に沿って、ワイヤー80に付着した異物が前記ワイヤー締付装置の外部に排出できるように通路を提供する。
【0036】
一方、前記ハウジング部30は、上端面及び下端面が開放された円筒形状を有し、内部に前記リール部20を収容した状態で下端部が前記収容溝16に結合固定されることにより、回転によって前記リール部20が前記ワイヤー締付装置から左右方向に離脱しないようにする。
【0037】
この際、前記ハウジング部30の下部には、前記ワイヤー80が前記ワイヤー締付装置に内設できるようにワイヤー流入口32が形成され、前記ワイヤー流入口32は、前記下部カバー10の凹溝15に定着固定される。
【0038】
また、前記ハウジング部30は、上端部の内周縁に沿ってラチェットギア34が形成され、前記ラチェットギア34は、後述する前記ストッパーユニット50との噛合によって前記ワイヤー締付装置が一方向にのみ回転することができるようにする。
【0039】
次に、前記中間カバー40は、前記ハウジング部30の上端に回転可能に結合され、前記リール部20に回転力を伝達するとともに前記ハウジング部30から前記リール部20が上方に離脱しないようにし、かつ、前記中間カバー40が前記ハウジング部30の上端から所定の高さに昇降可能に設置され、前記リール部20と前記ストッパーユニット50の結束及び分離を可能にする。
【0040】
具体的には、前記中間カバー40の下面から上方に凹入された結合溝42が形成されて前記ハウジング部30の上端部が引き込まれて結束され、これと同時に、前記中間カバー40の上面から下方に陥没した定着溝44が形成されることにより、前記ストッパーユニット50の設置空間を提供する。
【0041】
また、前記定着溝44の中央部には、前記ギア部22が貫通する中心孔45が形成され、前記定着溝44の内周面の一部分が開放されて前記ハウジング部30のラチェットギア34と前記ストッパーユニット50が接することができるように開口47が形成される。
【0042】
一方、前記ストッパーユニット50は、前記定着溝44上に定着されて各端部が前記ハウジング部30の上端部の内周縁を密着支持し、前記ワイヤー締付装置が一方向にのみ回転することができるように1次拘束力を提供する役割を果たす。
【0043】
好ましくは、環状の前記ストッパーユニット50の外周面から弾性を持つように放射状に分岐された一つ以上のストッパー52が形成され、前記ストッパー52の先端に対応ラチェットギア54が形成されて前記開口47を介して前記ラチェットギア34と噛合されることにより、前記リール部20が一方向に回転するように拘束状態を維持させることができる。
【0044】
この時、前記ストッパーユニット50の下端には、下方に延びる、端部が折り曲げられた係止片51が形成され、前記リール部20の上端には、外周面に沿って突設された係止段21に係止されることにより、前記リール部20と前記ストッパーユニット50との相互結束を可能にする。
【0045】
また、前記係止片51は、弾性を持つように形成されるので、前記係止段21に対応摺擦されながら昇降して、前記ストッパーユニット50と前記リール部20の結合と分離操作を正確に行うことができるようにし、特に、前記係止段21を乗り越えるときに発生する音によって、前記ストッパーユニット50と前記リール部20の結合と分離の確認を容易にする。
【0046】
次に、前記ポール部60は、前記中間カバー40の上端部に結合されて前記中間カバー40の上面をなすとともに、下面から下方突設された対応ギア部62が前記ギア部22に挿入されて相互結合されることにより、前記中間カバー40に沿って前記リール部20が一方向に回転するように2次拘束力を提供する。
【0047】
この時、前記対応ギア部62の外周面には、前記歯23に対応する2段構造の対応歯63が形成され、前記ギア部22に前記対応ギア部62が挿入されて前記対応歯63と前記歯23とが噛合されることにより、前記リール部20が逆回転をしないように追加の拘束力を提供し、これにより、前記ワイヤー80の巻取りの際に、前記ラチェットギア34及び前記対応ラチェットギア54に偏重する負荷を低減させて、前記ワイヤー締付装置の繰り返し回転により発生するギアの歯の摩耗或いは破損を防止し、前記ワイヤー締付装置の耐久性を向上させることができる。
【0048】
また、前記ポール部60の外周縁には、複数の結着突部64が弾性を持つ形で突設され、それぞれの前記結着突部64は、前記中間カバー40の上端面に形成された結着孔48上に着脱可能に結合されることにより、前記中間カバー40に対する前記ポール部60の固定及び分離を容易にする。
【0049】
一方、前記上部カバー70は、前記ポール部60が結合された状態の前記中間カバー40の外側を包むように結合され、前記ワイヤー締付装置の最上端で他の構成を保護するとともに、着用者によって把持されて回転力を伝達する役割を果たす。
【0050】
好ましくは、前記上部カバー70の下面から上方に陥入されて中空空間が形成されることで、前記中間カバー40の上端部が挿入固定され、外部から加えられる回転力によって前記中間カバー40と一体に回転する。
【0051】
この際、前記上部カバー70の内周面には、前記中間カバー40の外周面に形成された係止凹溝49に対応する形状に係止突起74が突設され、前記係止突起74が前記係止凹溝49に係合されて前記上部カバー70が前記中間カバー40と一体に回転することができるようにする。
【0052】
また、前記上部カバー70の外周面には、その周囲に沿って一定の間隔で陥入された滑り止め溝72が形成されることにより、着用者が回転力を与えるために把持する場合に滑りの発生を防止することができる。
【0053】
図3は本発明の好適な実施形態によるダイヤルタイプのワイヤー締付装置のリール部とポール部を示す展開斜視図の一例である。
【0054】
前記ワイヤー締付装置の逆方向回転を防止するために、前記ギア部22と前記対応ギア部62との相互結合によって前記リール部20に拘束力を提供することは、既に多くの先行技術に開示されているが、前記ワイヤー締付装置が小型化されるほど構成のサイズ及び形状の縮小により前記ギア部22及び前記対応ギア部62の結合または分離のための十分な空間確保が難しく、特に、前記歯23及び前記対応歯63の大きさの減少により構造的精密性が要求されるので、相互間の有機的結合力が弱化されて、一方向に回転させるために提供される拘束力が低下するおそれがある。よって、本発明のダイヤルタイプのワイヤー締付装置は、図3に示すように、前記ギア部22の内側に前記対応ギア部62が挿入されて結合されるが、前記歯23及び前記対応歯63が2段構造を持つようにすることにより、相互間の接触面積を増大させて結束力を高めることができるようにする。
【0055】
具体的には、前記歯23は、上端面が開放された円筒形状の前記ギア部22の内周面に形成されるが、前記ギア部22の上端部に内周面に沿って形成されたラチェット歯形歯部23aと、前記ギア部22の下端部の内周面に沿って形成され、前記ラチェット歯形歯部23aから一体に延びて中心軸に向かって傾斜するように形成されたベベル歯形歯部23bとを備える。
【0056】
また、前記対応歯63は、前記歯23に対応する形状を有し、好ましくは、円筒形状を有する前記対応ギア部62の上端部の外周面に沿って形成されたラチェット歯形対応歯部63aと、円錐形状を有する前記対応ギア部62の下端部の外周面に沿って形成され、前記ラチェット歯形対応歯部63aの先端から一体に延びて中心軸に向かって傾斜するように形成されたベベル歯形対応歯部63bとを備える。
【0057】
したがって、前記ラチェット歯形歯部23aと前記ラチェット歯形対応歯部63aとが互いに対応結合されるとともに、前記ベベル歯形歯部23bと前記ベベル歯形対応歯部63bとが互いに対応結合されることにより、前記歯23と前記対応歯63の接触面積が単純に前記ラチェット歯形歯部23aと前記ラチェット歯形対応歯部63aのみ結合された場合よりも広くなるので、摩擦力が増加して前記リール部20に作用する拘束力を極大化させることができ、さらに前記ラチェットギア34及び前記対応ラチェットギア54に偏重する負荷を分担して前記ラチェットギア34及び前記対応ラチェットギア54の摩耗率を減少させることにより、寿命を延長させることができるという効果を提供する。
【0058】
また、前記歯23と前記対応歯63との接触面積が広がるにつれて、前記ギア部22と前記対応ギア部62の分離時に、少ない距離の移動にも歯間の干渉なしに容易に分離させることができる。
【0059】
図4は本発明の好適な実施形態によるダイヤルタイプのワイヤー締付装置のリール部とストッパーユニットが互いに結合された状態を示す断面図の一例であり、図5は本発明の好適な実施形態によるダイヤルタイプのワイヤー締付装置のリール部とストッパーユニットが互いに分離された状態を示す断面図の一例である。
【0060】
図4及び図5に示すように、前記ワイヤー締付装置は、まず、前記下部カバー10を靴の甲革に裁縫した状態で、前記収容溝16に前記リール部20を装着して、結び目の付いた前記ワイヤー80の両端部を前記リール部20の引出孔(図示せず)に挿入結束し、前記ハウジング部30を前記下部カバー10に嵌め込んで固定させ、その上部に前記ストッパーユニット50を設置させた前記中間カバー40を結合させるが、前記中心孔45を介して前記係止段21に前記係止片51が係止されて前記リール部20と前記ストッパーユニット50とが結合されるようにし、これと同時に、前記ラチェットギア34に前記ストッパーユニット50の前記対応ラチェットギア54が噛合されるようにし、その後、前記ポール部60の対応ギア部62を前記リール部20のギア部22に挿入させた後、前記中間カバー40と一体になるように結合し、その外面に上部カバー70を覆って結合することにより、締付装置が靴に簡単に組み立てられる。
【0061】
このように組み立てられた前記ワイヤー締付装置の作動方法を説明すると、前記上部カバー70が結合された前記中間カバー40の上昇または下降動作に応じて前記ストッパーユニット50が前記リール部20に対して結束或いは分離されることにより、前記リール部20が前記ワイヤー80についてワイヤロープを巻き取ったり巻き戻したりする。
【0062】
具体的には、まず、前記ワイヤー80を巻き取る場合、前記ストッパーユニット50のストッパー52が前記ハウジング部30の前記ラチェットギア34と分離された状態で、外力を加えて前記上部カバー70を下方に加圧すると、前記上部カバー70と一体に結合された前記中間カバー40と前記ポール部60が下降し、前記ポール部60の対応ギア部62が前記中心孔45から突出した前記リール部20のギア部22に挿入されて前記歯23が前記対応歯63と噛み合う。
【0063】
また、前記中間カバー40に定着された前記ストッパーユニット50が前記中間カバー40と一緒に下降して係止片51が前記リール部20のギア部22の外周面に沿って下方に押されて弾性によって係止段21に係止されて前記リール部20と前記ストッパーユニット50とが相互結合され、これと同時に、前記ストッパー52の端部、すなわち、前記対応ラチェットギア54が前記開口47を通過して、前記ハウジング部30の内周縁に形成された前記ラチェットギア34と一方向回転するように噛合状態を維持する。
【0064】
この状態で前記上部カバー70を回転させると、前記上部カバー70と一体に結合された前記中間カバー40の回転によって、前記ストッパーユニット50に形成された対応ラチェットギア54が前記ハウジング部30のラチェットギア34と噛み合って一方向に回転し、前記ストッパーユニット50に結合された前記リール部20が前記ストッパーユニット50と一緒に一方向に回転することにより、前記ワイヤー80が前記リール部20の外周面に巻き取られるが、この際、前記中間カバー40と一体に結合された前記ポール部60の対応ギア部62と前記リール部20のギア部22との結合によって、前記歯23と前記対応歯63の噛合で前記リール部20が一方向にのみ回転するように拘束状態を維持する。
【0065】
したがって、前記上部カバー70を回転させると、前記ワイヤー80が連続的にリール部20に巻き取られて引張力によって靴を締め付けることができ、前記ワイヤー80が締め付けられた状態で前記上部カバー70の回転を停止させても前記ラチェットギア34と対応ラチェットギア54、前記歯23と前記対応歯63がそれぞれ互いに噛み合って前記リール部20が逆方向に回転することを拘束することにより、前記リール部20に巻かれた前記ワイヤー80が繰り出されずに緊張状態に締付を維持するのである。
【0066】
これと逆に、靴を脱ぐために緊張状態に締め付けた前記ワイヤー80を緩めようとするときは、前記上部カバー70を上方に引き上げて前記上部カバー70と一体に結合された前記中間カバー40を上昇させ、これと同時に、前記ラチェットギア34と噛み合って、前記リール部20を拘束している前記ストッパーユニット50も前記中間カバー40と一緒に上昇しながら、弾性を持つ前記係止片51が前記係止段21から分離されることにより、前記ストッパーユニット50と前記リール部20の結束が解除されるだけでなく、前記ラチェットギア34と対応ラチェットギア54も分離されて前記リール部20の拘束状態が解除される。
【0067】
また、前記中間カバー40と一体に結合された前記ポール部60も前記中間カバー40と一緒に上昇することにより、前記対応ギア部62は、前記ギア部22から分離され、前記歯23と前記対応歯63との結束が解除され、一方向に回転しようとする前記リール部20の拘束状態が完全に解除されることにより、前記リール部20の回転が自由になって前記ワイヤー80の一側を引っ張ると、前記リール部20に巻き取られた前記ワイヤー80が繰り出されて締め付けが緩まるのである。
【0068】
図6は本発明の好適な実施形態によるストッパーユニットが中間カバーに結合された状態を示す平面図である。
【0069】
図6に示すように、前記ストッパーユニット50の下端に下方に突出した軸受56が形成され、前記中間カバー40の定着溝44の下面には軸受56に結合される軸孔46が形成され、この際、前記軸孔46は、前記ストッパーユニット50が時計回りあるいは反時計回りに微細移動できるように前記軸受56との間に遊隔Sが形成される長孔の形状を有する。
【0070】
前記上部カバー70を回転させて前記ワイヤー80を締めるとき、前記ストッパー52の対応ラチェットギア54が前記開口47を介して前記ラチェットギア34の谷と山を出入りしながら噛合される過程で、前記ストッパー52が前記ラチェットギア34の山の部分に位置する場合、弾性によって後ろに押されて噛合されるべき前記ラチェットギア34よりも後方に位置した前記ラチェットギア34に噛合されるので、所望の締付力を一度に得ることができない場合が発生する。
【0071】
したがって、前記ストッパーユニット50の軸受56に結合される前記中間カバー40の前記軸孔46が長孔の形状を持つようにして、前記軸孔46と前記軸受56との間に遊隔Sを形成することにより、前記ストッパー52の対応ラチェットギア54が左右方向、すなわち時計回りあるいは反時計回りに微細に遊動しながら正確に定位置に噛合できるように余裕時間を提供して所望の強度の締付力でワイヤー80を締めることができるようにするのである。
【0072】
また、前記軸孔46と前記軸受56との間に形成された前記遊隔Sによって前記ストッパーユニット50の微細な遊動が可能となることにより、同じ位置で噛合される前記ストッパー52の対応ラチェットギア54及び前記ラチェットギア34が前記ワイヤー締付装置の長期間の使用により摩耗して噛合状態が不良になる問題点を解消する効果を提供することができる。
【0073】
一方、本発明の好適な実施形態によるダイヤルタイプのワイヤー締付装置は、靴や帽子、バッグ、手袋などのように、ワイヤーまたはひもを締める様々な物品に適用できるのはもちろんである。
【0074】
以上、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく他の具体的な形態で実施できるのを理解することができるだろう。したがって、上述した実施形態は、あらゆる面で例示的なもので、限定的なものではないと理解されるべきである。
【符号の説明】
【0075】
10 下部カバー
12 支持板
13 裁縫案内溝
14 支持壁体
15 凹溝
16 収容溝
20 リール部
21 係止段
22 ギア部
23 歯
23a ラチェット歯形歯部
23b ベベル歯形歯部
24 異物排出孔
30 ハウジング部
32 ワイヤー流入口
34 ラチェットギア
40 中間カバー
42 結合溝
44 定着溝
45 中心孔
46 軸孔
47 開口
48 結着孔
49 係止凹溝
50 ストッパーユニット
51 係止片
52 ストッパー
54 対応ラチェットギア
56 軸受
60 ポール部
62 対応ギア部
63 対応歯
63a ラチェット歯形対応歯部
63b ベベル歯形対応歯部
64 結着突部
70 上部カバー
72 滑り止め溝
74 係止突起
80 ワイヤー
図1
図2
図3
図4
図5
図6