(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】ピンホール検査装置及びピンホールの有無が検査された包装袋の製造方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/894 20060101AFI20220913BHJP
【FI】
G01N21/894 Z
(21)【出願番号】P 2020505665
(86)(22)【出願日】2019-02-04
(86)【国際出願番号】 JP2019003853
(87)【国際公開番号】W WO2019176372
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】P 2018044090
(32)【優先日】2018-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】398012306
【氏名又は名称】株式会社日清製粉ウェルナ
(74)【代理人】
【識別番号】100112427
【氏名又は名称】藤本 芳洋
(72)【発明者】
【氏名】兒玉 任
【審査官】後藤 慎平
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-162365(JP,A)
【文献】特開2006-038458(JP,A)
【文献】特開2008-265819(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0015023(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-21/958
B65B 57/02
G01M 3/00-3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装袋を搬送する第1搬送コンベアと、
前記第1搬送コンベアにより搬送された前記包装袋の上面に対向する位置に配置された第1軟質体と、
前記第1軟質体を前記第1搬送コンベアにより搬送された前記包装袋に押付ける第1押圧部と、
前記第1軟質体の前記包装体に押付けられた面を撮影し前記包装袋より漏出し前記第1軟質体の前記面に付着した内容物を検知する第1画像検知センサーと、
前記第1画像検知センサーによる検知が終了した前記包装袋を反転させる反転部と、
前記反転部により反転された前記包装袋を搬送する第2搬送コンベアと、
前記第2搬送コンベアにより搬送された前記包装袋の上面に対向する位置に配置された第2軟質体と、
前記第2軟質体を前記第2搬送コンベアにより搬送された前記包装袋に押付ける第2押圧部と、
前記第2軟質体の前記包装体に押付けられた面を撮影し前記包装袋より漏出し前記第2軟質体の前記面に付着した内容物を検知する第2画像検知センサーと、
を備えることを特徴とするピンホール検査装置。
【請求項2】
前記第1軟質体の前記包装袋に押付けられた面を前記第1画像検知センサーで撮影可能な位置に移動させる第1移動部を備えること特徴とする請求項1記載のピンホール検査装置。
【請求項3】
前記第2軟質体の前記包装袋に押付けられた面を前記第2画像検知センサーで撮影可能な位置に移動させる第2移動部を備えること特徴とする
請求項1または2記載のピンホール検査装置。
【請求項4】
前記第1軟質体及び前記第2軟質体は、吸水性を有することを特徴とする
請求項1~3の何れか一項に記載のピンホール検査装置。
【請求項5】
前記第1軟質体及び前記第2軟質体は、スポンジであることを特徴とする
請求項4記載のピンホール検査装置。
【請求項6】
第1搬送コンベアにより搬送された包装袋の上面に対向する位置に配置された第1軟質体を前記包装袋に押付ける第1押圧工程と、
前記第1軟質体の前記面を撮影し前記包装袋より漏出し前記第1軟質体の前記面に付着した内容物を検知する第1検知工程と、
前記第1検知工程による検知が終了した前記包装袋を反転させる反転工程と、
前記反転工程により反転され、第2搬送コンベアにより搬送された前記包装袋の上面に対向する位置に配置された第2軟質体を前記包装袋に押付ける第2押圧工程と、
前記第2軟質体の前記面を撮影し前記包装袋より漏出し前記第2軟質体の前記面に付着した内容物を検知する第2検知工程と、
を含むことを特徴とするピンホールの有無が検査された包装袋の製造方法。
【請求項7】
前記第1軟質体の前記包装袋に押付けられた面を撮影可能な位置に移動させる第1移動工程と、
前記第2軟質体の前記包装袋に押付けられた面を撮影可能な位置に移動させる第2移動工程と、
を含むことを特徴とする
請求項6記載のピンホールの有無が検査された包装袋の製造方法。
【請求項8】
前記第1軟質体及び前記第2軟質体は、吸水性を有することを特徴とする
請求項6または7記載のピンホールの有無が検査された包装袋の製造方法。
【請求項9】
前記第1軟質体及び前記第2軟質体は、スポンジであることを特徴とする
請求項8記載のピンホールの有無が検査された包装袋の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体状の内容物を収容する包装袋に発生したピンホールを検出するピンホール検査装置及びピンホールの有無が検査された包装袋の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液体等の内容物を収容した密封包装袋のピンホールを検出するピンホール検出装置が存在する。このピンホール検出装置においては、搬送コンベアにより搬送されている密封包装袋を上部圧接ベルトにより加圧し、密封包装袋にピンホールが存在する場合に密封包装袋から漏れ出し、搬送コンベアや上部圧接ベルトに付着した内容物をセンサーにより検知することにより、密封包装袋のピンホールを検出している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上述のピンホール検出装置においては、密封包装袋に凹凸がある場合や、曲面形状である密封包装袋の周縁部にピンホールが存在する場合には、ピンホールの検出ができない場合があった。また搬送コンベアや上部圧接ベルト自体がピンホールを塞いでしまうことがあり、ピンホールの検出ができない場合があった。
【0005】
本発明の目的は、液体状の内容物を収容する包装袋に存在するピンホールを確実に検出するピンホール検査装置及びピンホールの有無が検査された包装袋の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のピンホール検査装置は、包装袋を搬送する第1搬送コンベアと、前記第1搬送コンベアにより搬送された前記包装袋の上面に対向する位置に配置された第1軟質体と、前記第1軟質体を前記第1搬送コンベアにより搬送された前記包装袋に押付ける第1押圧部と、前記第1軟質体の前記包装体に押付けられた面を撮影し前記包装袋より漏出し前記第1軟質体の前記面に付着した内容物を検知する第1画像検知センサーと、を備えることを特徴とする。
【0007】
また本発明のピンホール検査装置は、前記第1軟質体の前記包装袋に押付けられた面を前記第1画像検知センサーで撮影可能な位置に移動させる第1移動部を備えること特徴とする。
【0008】
また本発明のピンホール検査装置は、前記第1画像検知センサーによる検知が終了した前記包装袋を反転させる反転部と、前記反転部により反転された前記包装袋を搬送する第2搬送コンベアと、前記第2搬送コンベアにより搬送された前記包装袋の上面に対向する位置に配置された第2軟質体と、前記第2軟質体を前記第2搬送コンベアにより搬送された前記包装袋に押付ける第2押圧部と、前記第2軟質体の前記包装体に押付けられた面を撮影し前記包装袋より漏出し前記第2軟質体の前記面に付着した内容物を検知する第2画像検知センサーと、を備えることを特徴とする。
【0009】
また本発明のピンホール検査装置は、前記第2軟質体の前記包装袋に押付けられた面を前記第2画像検知センサーで撮影可能な位置に移動させる第2移動部を備えること特徴とする。
【0010】
また本発明のピンホール検査装置は、前記第1軟質体及び前記第2軟質体が吸水性を有することを特徴とする。
【0011】
また本発明のピンホール検査装置は、前記第1軟質体及び前記第2軟質体がスポンジであることを特徴とする。
【0012】
本発明のピンホールの有無が検査された包装袋の製造方法は、第1搬送コンベアにより搬送された包装袋の上面に対向する位置に配置された第1軟質体を前記包装袋に押付ける第1押圧工程と、前記第1軟質体の前記面を撮影し前記包装袋より漏出し前記第1軟質体の前記面に付着した内容物を検知する第1検知工程と、前記第1検知工程による検知が終了した前記包装袋を反転させる反転工程と、前記反転工程により反転され、第2搬送コンベアにより搬送された前記包装袋の上面に対向する位置に配置された第2軟質体を前記包装袋に押付ける第2押圧工程と、前記第2軟質体の前記面を撮影し前記包装袋より漏出し前記第2軟質体の前記面に付着した内容物を検知する第2検知工程と、を含むことを特徴とする。
【0013】
また本発明のピンホールの有無が検査された包装袋の製造方法は、前記第1軟質体の前記包装袋に押付けられた面を撮影可能な位置に移動させる第1移動工程と、前記第2軟質体の前記包装袋に押付けられた面を撮影可能な位置に移動させる第2移動工程と、を含むことを特徴とする。
【0014】
また本発明のピンホールの有無が検査された包装袋の製造方法は、前記第1軟質体及び前記第2軟質体が吸水性を有することを特徴とする。
【0015】
また本発明のピンホールの有無が検査された包装袋の製造方法は、前記第1軟質体及び前記第2軟質体がスポンジであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、液体状の内容物を収容する包装袋に存在するピンホールを確実に検出するピンホール検査装置及びピンホールの有無が検査された包装袋の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施の形態に係るピンホール検査装置の概略構成を示す図である。
【
図2】実施の形態に係るピンホール検査装置のシステム構成を示す図である。
【
図3】実施の形態に係るピンホール検査装置の軟質体を包装袋に押圧する状態を示す図である。
【
図4】他の実施の形態に係るピンホール検査装置の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して実施の形態に係るピンホール検査装置及び該装置を用いたピンホールの有無が検査された包装袋の製造方法について説明する。
図1は実施の形態に係るピンホール検査装置の概略構成を示す図である。
【0019】
ピンホール検査装置2は、液体状の内容物を収容する包装袋4を搬送する第1搬送コンベア6を備えている。第1搬送コンベア6の上方には、第1搬送コンベア6により搬送された包装袋4の上面に対向する位置に配置された第1軟質体8aを包装体4の上面に押付ける第1押圧・回転部8が配置されている。ここで第1軟質体8aは、スポンジなどの吸水性を有する物質で構成されている。
【0020】
なお第1押圧・回転部8は、第1軟質体8aの包装袋4の上面に押付けられた面を第1カメラ10により撮影可能な位置に回転移動させる第1移動部としても機能する。
【0021】
また第1カメラ10は、第1押圧・回転部8の近傍に配置されており、第1軟質体8aの包装袋4の上面に押付けられた面を撮影し包装袋4より漏出し第1軟質体8aの包装袋4の上面に押付けられた面に付着した内容物9を検知する第1画像検知センサーの一部を構成している。
【0022】
更に第1搬送コンベア6の下流端近傍には、第1カメラ10による撮影が終了した包装袋4の上面と下面を反転させる反転機構12が配置されている。
【0023】
またピンホール検査装置2は、第1搬送コンベア6の下流に配置され、反転機構12により反転された包装袋4を搬送する第2搬送コンベア14を備えている。第2搬送コンベア14の上方には、第2搬送コンベア14により搬送された包装袋4の上面に対向する位置に配置された第2軟質体16aを包装袋4の上面に押付ける第2押圧・回転部16が配置されている。ここで第2軟質体16aは第1軟質体8aと同様に、スポンジなどの吸水性を有する物質で構成されている。
【0024】
なお第2押圧・回転部16は、第2軟質体16aの包装袋4の上面に押付けられた面を第2カメラ18により撮影可能な位置に回転移動させる第2移動部としても機能する。
【0025】
また第2カメラ18は、第2押圧・回転部16の近傍に配置されており、第2軟質体16aの包装袋4の上面に押付けられた面を撮影し包装袋4より漏出し第2軟質体16aの包装袋4の上面に押付けられた面に付着した内容物17を検知する第2画像検知センサーの一部を構成している。
【0026】
図2は実施の形態に係るピンホール検査装置のシステム構成を示す図である。ピンホール検査装置2は、装置全体を統括的に制御する制御部30を備えている。制御部30には、第1搬送コンベア6を駆動する第1コンベア駆動部32、第1押圧・回転部8を駆動する第1押圧・回転駆動部33、第1カメラ10を制御する第1カメラ制御部34、反転機構12を駆動する反転機構駆動部35が接続されている。また制御部30には、第2搬送コンベア14を駆動する第2コンベア駆動部36、第2押圧・回転部16を駆動する第2押圧・回転駆動部37、第2カメラ18を制御する第2カメラ制御部38が接続されている。
【0027】
この実施の形態に係るピンホール検査装置2を用いて包装袋4に形成されたピンポールの有無が検査された包装袋を製造する場合には、まず制御部30により第1コンベア駆動部32を制御し第1搬送コンベア6により第1押圧・回転部8の下部まで包装袋4を搬送する。次に制御部30により第1押圧・回転駆動部33を制御し第1押圧・回転部8により包装袋4の上面に第1軟質体8aを押付ける(第1押圧工)。
【0028】
第1押圧工においては、
図3に示すように第1軟質体8aは包装袋4の上面の曲面形状に沿って変形し包装袋4の上面の全体に包装袋4の上面の形状に沿って押付けられる。従って包装袋4にピンホールが存在する場合には、包装袋4の内部からピンホールを介して液体状の内容物が漏れ出し第1軟質体8aに付着する。
【0029】
次に制御部30により第1押圧・回転駆動部33を制御し第1押圧・回転部8により第1軟質体8aの包装袋4に押付けられた面(下面)をカメラ10の方向に回転させ、カメラ10により撮影可能な位置に移動させる(第1移動工程)。
【0030】
次に制御部30により第1カメラ制御部34を制御し、第1軟質体8aの下面を撮影し包装袋4より漏出し第1軟質体8aの下面に付着した内容物9を検知する(第1検知工程)。即ち第1カメラ制御部34が第1カメラ10により撮影した画像を制御部30に送信すると、制御部30において撮影画像に基づいて第1軟質体8aの下面に内容物の付着があるか否かを検知する。これにより包装袋4にピンホールがあるか否かの検査を行う。
【0031】
次に制御部30により反転機構駆動部35を制御し、反転機構12により第1検知工程による検知が終了した包装袋4を反転させる(反転工程)。即ち反転機構12は、例えば包装袋4の第1搬送コンベア6の下流側に位置している端部を掴み、所定の高さ(包装袋4の第1搬送コンベア6の上流側に位置している端部のみが第1搬送コンベア6に接した状態となる高さ)まで持ち上げた状態で第1搬送コンベア6を進行させることにより包装袋4の上面と下面を反転させる。
【0032】
次に制御部30により第2コンベア駆動部36を制御し第2搬送コンベア14により第2押圧・回転部16の下部まで包装袋4を搬送する。次に制御部30により第2押圧・回転駆動部37を制御し第2押圧・回転部16により包装袋4の上面に第2軟質体16aを押付ける(第2押圧工)。
【0033】
第2押圧工においては、
図3に示すように第2軟質体16aは包装袋4の上面の曲面形状に沿って変形し包装袋4の上面の全体に包装袋4の上面の形状に沿って押付けられる。従って包装袋4にピンホールが存在する場合には、包装袋4の内部からピンホールを介して液体状の内容物が漏れ出し第2軟質体16aに付着する。
【0034】
次に制御部30により第2押圧・回転駆動部37を制御し第2押圧・回転部16により第2軟質体16aの包装袋4に押付けられた面(下面)をカメラ18の方向に回転させ、カメラ18により撮影可能な位置に移動させる(第2移動工程)。
【0035】
次に制御部30により第2カメラ制御部38を制御し、第2軟質体16aの下面を撮影し包装袋4より漏出し第2軟質体16aの下面に付着した内容物17を検知する(第2検知工程)。即ち第2カメラ制御部38が第2カメラ18により撮影した画像を制御部30に送信すると、制御部30において撮影画像に基づいて第2軟質体16aの下面に内容物の付着があるか否かを検知する。これにより包装袋4にピンホールがあるか否かの検知を行う。
【0036】
この実施の形態に係るピンホール検査装置2によれば、包装袋4に第1軟質体8a及び第2軟質体16aを押付けるため包装袋の表面に凹凸がある場合や、包装袋4が不定形の形状であっても確実にピンホールを検知することができる。また包装袋4の周縁部の曲面形状となっている部分に存在するピンホールも確実に検知することができる。
【0037】
また第1軟質体8a及び第2軟質体16aが吸水性を有するため少量の内容物の漏れを検知することができ、内容物に固形物が含まれている場合や、内容物の粘性が高い場合においてもピンホールを確実に検知することができる。更に第1軟質体8a及び第2軟質体16aが吸水性を有するため包装袋を押圧する押圧部材自体でピンホールを塞ぐことなくピンホールを検知することができる。
【0038】
なお上述の実施の形態において、第1軟質体8a及び第2軟質体16aの色は、内容物が検知しやすい色を適宜選択することが好ましい。
【0039】
また上述の実施の形態においては、包装袋4の上下反転に反転機構12および反転機構制御部35を用いたが、段差等を利用して確実に上下反転させることができる場合は、反転機構12よび反転機構制御部35を省略することができるのは言うまでもない。
【0040】
また上述の実施の形態においては、第1搬送コンベア6及び第2搬送コンベア14は、ベルトコンベアのように、コンベア下方から搬送面を通して第1軟質体8a及び第2軟質体16aを直視できない構造のコンベアで説明を行ったが、
図4に示すピンホール検査装置のように第1搬送コンベア6及び第2搬送コンベア14をローラーコンベア等のコンベア下方から第1カメラ10及び第2カメラ18によりコンベア上方が直視できる形式のコンベアにより構成することにより、上述の実施の形態の、第1押圧・回転部8及び第2押圧・回転部16を回転部を有さない第1押圧部20及び第2押圧部22に変更することができる。このとき、包装体4の搬送が不安定になる場合には、トレーやパレット等を併用できることは言うまでもない。