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特許7140839荷電粒子輸送システム及びその据え付け方法
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  • 特許-荷電粒子輸送システム及びその据え付け方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】荷電粒子輸送システム及びその据え付け方法
(51)【国際特許分類】
   H05H 13/04 20060101AFI20220913BHJP
   H05H 7/00 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
H05H13/04 S
H05H7/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020553855
(86)(22)【出願日】2019-10-25
(86)【国際出願番号】 JP2019042006
(87)【国際公開番号】W WO2020090676
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-03-16
(31)【優先権主張番号】P 2018204687
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014568
【氏名又は名称】東芝プラントシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】衣笠 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 寛昌
(72)【発明者】
【氏名】田島 裕二郎
(72)【発明者】
【氏名】野中 智幸
【審査官】藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-211499(JP,A)
【文献】特開平07-085999(JP,A)
【文献】特開2007-149405(JP,A)
【文献】特開2017-033769(JP,A)
【文献】国際公開第2014/141433(WO,A1)
【文献】特開平11-248890(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 3/00-15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎に固定される架台と、
前記架台の上部に、高さ調整可能な第1ネジで結合する第1プレートと、
前記第1プレートの水平面に、遊動自在で収容される第2プレートと、
前記第1プレートの周囲に位置する固定部材に形成されるネジ穴に螺入し、先端が第2プレートの外周面に当接する第2ネジと、
前記第1プレートに対し前記第2プレートを固定する第3ネジと、
荷電粒子が通過する機器を支持する支持部材と前記第2プレートとの各々に設けられた係合穴に係入して両者を係合する第1係合ピンと、を備え、
前記第1係合ピンは、円形断面を有し、
前記支持部材及び前記第2プレートのうちいずれか一方に設けられる前記係合穴は、円形断面を持つものと長円形断面を持つもので構成されている荷電粒子輸送システム。
【請求項2】
請求項1に記載の荷電粒子輸送システムにおいて、
前記支持部材は、
水平方向に整列する複数の前記機器の各々を支持する複数の第1支持部材と、
これら複数の前記第1支持部材を支持する第2支持部材と、から構成され、
前記第1支持部材と前記第2支持部材との各々に設けられた係合穴に係入して両者を係合する第2係合ピンを備える荷電粒子輸送システム。
【請求項3】
請求項2に記載の荷電粒子輸送システムにおいて、
前記第2係合ピンは円形断面を有している荷電粒子輸送システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の荷電粒子輸送システムにおいて、
前記支持部材は、複数に分割された前記第2プレートの各々に、前記第1係合ピンを介して係合し、
分割された前記第2プレートの各々は、同じく分割された前記第1プレートの各々に収容され、
分割された前記第1プレート及び前記第2プレートは、各々に設けられた前記第1ネジ及び前記第2ネジにより独立に調整することができる荷電粒子輸送システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の荷電粒子輸送システムにおいて、
前記架台の上部は、前記基礎と同じ高さレベルに形成されている荷電粒子輸送システム。
【請求項6】
架台を基礎に固定する工程と、
前記架台の上部に、高さ調整可能な第1ネジで、第1プレートを結合する工程と、
前記第1プレートの水平面に、第2プレートを遊動自在で収容する工程と、
前記第1プレートの周囲に位置する固定部材に形成されるネジ穴に第2ネジを螺入し、先端を前記第2プレートの外周面に当接させる工程と、
光学的位置調整機器から出力される光線が前記第2プレート上の基準位置に照射されるように前記第1ネジ及び前記第2ネジを調整する工程と、
前記第1プレートに対し前記第2プレートを第3ネジで固定する工程と、
荷電粒子が通過する機器を支持する支持部材と前記第2プレートのうちいずれか一方に設けられた円形断面を持つ係合穴と長円形断面を持つ係合穴に、円形断面を有する第1係合ピンを係入して両者を係合する工程と、を含む荷電粒子輸送システムの据え付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、荷電粒子輸送システム及びその据え付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
加速器では、荷電粒子の軌道を制御するために、偏向電磁石、四極電磁石、スクリーンモニターといった複数の構成機器が、この軌道に沿って設置される。そしてこれら構成機器は、荷電粒子軌道に対し、高精度で据え付けられることが要求される。このため、これら構成機器の据え付けに際し、建屋の固定点を基準とし位置決めするアライメント調整が行われる。そして、これら構成機器のアライメント調整は、各種の方法が従来から提案されている。
【0003】
例えば、次のような技術を開示した公知文献がある。重量物である電磁石は、水平方向及び高さ方向の調整が可能なアライメント用ブロックを介して、基礎に固定された架台に据え付けられる。ここで電磁石とアライメント用ブロックとは、ガイドピンで高精度に位置決めされる仕様を持つ。そして、アライメント用ブロックが水平方向及び高さ方向に微動することにより、アライメントが調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭63-213329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の公知文献におけるアライメント作業は、重量物である電磁石等を設置する前に、アライメント用ブロック単体で実施できることが優れた点として強調されている。これにより、アライメント作業の繰り返しが避けられなくとも、アライメント調整の完了後に電磁石等が設置される作業手順となるために、作業負荷が軽減されるとしている。
【0006】
しかし、このようなアライメント調整方法の実効性を担保するには、前提として、アライメント用ブロックが軽量かつ剛性が高いことが必要である。さらに、電磁石を設置した後でもアライメントを容易に再調整できることが必要である。しかし、上述の公知文献で開示されたアライメント用ブロックは、複雑な構成を有する重量物であるため、簡単かつ短時間に荷電粒子輸送システムのアライメント作業を完了させることは困難であった。
【0007】
本発明の実施形態はこのような事情を考慮してなされたもので、簡単かつ短時間にアライメントを調整できる荷電粒子輸送システム及びその据え付け方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
荷電粒子輸送システムにおいて、基礎に固定される架台と、前記架台の上部に高さ調整可能な第1ネジで結合する第1プレートと、前記第1プレートの水平面に遊動自在で収容される第2プレートと、前記第1プレートの周囲に位置する固定部材に形成されるネジ穴に螺入し先端が第2プレートの外周面に当接する第2ネジと、前記第1プレートに対し前記第2プレートを固定する第3ネジと、荷電粒子が通過する機器を支持する支持部材と前記第2プレートとの各々に設けられた係合穴に係入して両者を係合する第1係合ピンと、を備え、前記第1係合ピンは、円形断面を有し、前記支持部材及び前記第2プレートのうちいずれか一方に設けられる前記係合穴は、円形断面を持つものと長円形断面を持つもので構成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態により、簡単かつ短時間にアライメントを調整できる荷電粒子輸送システム及びその据え付け方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】(A)本発明の第1実施形態に係る荷電粒子輸送システムを示すY-Z断面図、(B)図1AのB-B断面を示すX-Y断面図、(C)図1AのC-C断面を示すX-Z断面図、(D)第1ネジの断面図。
図2】(A)(B)第1実施形態に係る荷電粒子輸送システムの据え付け方法の説明図。
図3】(A)(B)第1実施形態に係る荷電粒子輸送システムの据え付け方法の説明図。
図4】(A)(B)(C)第2実施形態に係る荷電粒子輸送システムの断面図。
図5】(A)第3実施形態に係る荷電粒子輸送システムを示すY-Z断面図、(B)図5AのB-B断面を示すX-Z断面図
図6】各実施形態に係る荷電粒子輸送システムが適用されたシンクロトロンの全体図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1(A)は第1実施形態に係る荷電粒子輸送システム10aを示すY-Z断面図であり、図1(B)は図1AのB-B断面を示すX-Y断面図であり、図1(C)は図1AのC-C断面を示すX-Z断面図である。
【0012】
図1(A)(B)(C)に示されるように荷電粒子輸送システム10aは、基礎15に固定される架台16と、この架台16の上部に高さ調整可能な第1ネジ11で結合する第1プレート21と、この第1プレート21の水平面に遊動自在で収容される第2プレート22と、第1プレート21の周囲に位置する固定部材25に形成されるネジ穴に螺入し先端が第2プレート22の外周面に当接する第2ネジ12と、第1プレート21に対し第2プレート22を固定する第3ネジ13と、荷電粒子が通過する機器26を支持する支持部材27と第2プレート22との各々に設けられた係合穴17(17a,17b)に係入して両者を係合する第1係合ピン31と、を備えている。
【0013】
基礎15は、荷電粒子輸送システム10aの荷重を地盤に伝え、この荷電粒子輸送システム10aを安全に支える機能をもち、コンクリート打設により築造されている。架台16は、重量物である荷電粒子輸送システム10aを基礎15に対し設置するための構造物である。図示においてこの架台16は、互いに直交する方向にH型鋼を積み上げてボルト締結し、下部はボルトにより基礎15に固定されている。
【0014】
しかし架台16は、このような構成に限定されることは特になく、種々の形態を取り得る。また構造上、架台16の上部を、基礎15と同じ高さレベルとなるように形成し、外観上、架台16と基礎15との区別がない構成も取り得る。
【0015】
第1プレート21は、上側にフラット面を有し、このフラット面に、第2プレート22が遊動自在で収容されている。そして、この第1プレート21は、高さ調整可能な第1ネジ11で架台16の上部に結合している。さらに第1プレート21の周囲に位置する固定部材25には、第2ネジ12が螺合している。そして、第2プレート22の上面には、第1係合ピン31が係入する係合穴17(17a,17b)が設けられている。
【0016】
図1(D)に示すように第1ネジ11は、頭部を有さない軸ボルト44の一端が、第1プレート21の下面に螺入し、第1ナット41で固定される。さらに、軸ボルト44のY方向の高さ調整をする第2ナット42を螺入する。そして、この状態で、軸ボルト44の他端を、第2プレート22の孔部に挿入し、第3ナット43を螺入して固定する。このようにして、複数の第1ネジ11を調整することにより、第1プレート21のY方向の高さ調整並びに傾き調整が行われる。再調整を行う場合は、第3ナット43を緩めた状態にして、第2ナット42のみを回転させる。
【0017】
第2ネジ12は、第1プレート21の周囲に位置する固定部材25に形成されるネジ穴に螺入する。図1(C)において、この固定部材25は、第1プレート21の四隅に設けられたものを例示しているが、特に限定はなく、任意の位置に設けることができる。この第2ネジ12が固定部材25に螺入し、その先端を第2プレート22の外周面に当接して、図中のX方向及びZ方向それぞれ独立に第2プレート22を位置調整する。これにより、第1プレート21に対し第2プレート22がX-Z面内において相対移動する。
【0018】
このように、第1ネジ11及び第2ネジ12を調整することにより、機器26の支持部材27を設置前及び設置後においてアライメント作業を実施する事が可能となる。そして、アライメント作業を終了した後に、第1ネジ11の第3ナット43を増し締めし、第3ネジ13を挿入して、第1プレート21に対し第2プレート22を固定する。
【0019】
荷電粒子が通過する機器26としては、偏向電磁石、四極電磁石、スクリーンモニターが例示されるが、これらに限定されるものではない。これら機器26は、荷電粒子を通過させる真空ダクト23が軌道中心を貫くように、支持部材27とともに一体的に組み立てられる。これら機器26、真空ダクト23及び支持部材27の組み立ては、荷電粒子輸送システム10aの据え付け場所とは異なる場所で行われ、一体的に組み立てられた後に据え付け場所に輸送される。
【0020】
図1(C)に示されるように、支持部材27と第2プレート22との各々には、重ねると開口中心が一致する係合穴17(17a,17b)が設けられている。そして、第1係合ピン31が、これら係合穴17(17a,17b)に係入することにより、機器26の支持部材27と第2プレート22とを係合する。
【0021】
第1係合ピン31は円形断面を有している。一方において、支持部材27及び第2プレート22のうちいずれか一方に設けられる係合穴17は円形断面を持つもの(符号17a)と長円形断面を持つもの(符号17b)で構成されている。なお、図示を省略しているが、長円形断面を持つ係合穴17bと第1係合ピン31を取り合う相手の係合穴は、円形断面を持つ。なお、全ての係合穴17の断面は、上述した形状に限定されるものではなく、全てが第1係合ピン31と同じ断面をとる場合もある。
【0022】
これにより、円形断面の係合穴17aの位置で第2プレート22の二方向の移動が拘束される。さらにこの係合穴17aから離れた位置にある長円形断面の係合穴17bの位置で第2プレート22の一方向の移動が拘束される。これにより、重量物である機器26の支持部材27を吊り上げて、第2プレート22上に移動し、無理なく配置することができる。さらに、第2プレート22上に配置された機器26の支持部材27は、第2プレート22に対し高精度で位置決めされる。
【0023】
図2(A)(B)及び図3(A)(B)を参照して第1実施形態に係る荷電粒子輸送システムの据え付け方法を説明する。
【0024】
図2(A)に示すように、荷電粒子輸送システムの据え付けは、基礎15に対し架台16を固定する。そして、この架台16の上部に、第1ネジ11を介して、第1プレート21を結合する。この段階で第1ネジ11の第3ナット43(図1(D)参照)は、未締結の状態である。そして、第1プレート21の上面に、第2プレート22を遊動自在で収容する。そして、この固定部材25のネジ穴に第2ネジ12を螺入し、先端が第2プレート22の外周面に当接するようにしておく。
【0025】
次に図2(B)に示すように、基礎15上の基準となる固定点に光学的位置調整機器35を設置し、この光学的位置調整機器35から出力される光線を第2プレート22上の基準位置36に向けて照射する。なお基準位置36には、光線の受光機器が設置される場合の他に、第2プレート22に基準線が直接罫書かれている場合もある。
【0026】
光学的位置調整機器35から光線を出力した状態で、第1ネジ11によりY方向の高さ及び傾斜のアライメントを調整し、第2ネジ12によりX-Z水平面のアライメントを調整する。そして、全方向のアライメント調整が終了したところで、第3ネジ13を挿入して第1プレート21に対し第2プレート22を固定する。
【0027】
このように実施形態では、第1プレート21及び第2プレート22に対し直接的にアライメント調整を行うことができる。このため、一箇所に固定された光学的位置調整機器35から出力する光線は、妨害されることなく、荷電粒子の軌道に沿って並べて配置された複数の第1プレート21に照射される。これにより、アライメント作業において光学的位置調整機器35の移動を少なくすることができる。
【0028】
時間的順番が前後する場合もあるが、図3(A)に示すように、機器26、真空ダクト23及び支持部材27の組み立てが、荷電粒子輸送システムの据え付け場所とは異なる場所で行われ、一体的に組み立てられた後に据え付け場所に輸送される。
【0029】
そして図3(B)に示すように、機器26の支持部材27に設けられた係合穴17と第2プレート22に設けられた係合穴17とに、第1係合ピン31を係入して両者を係合する。そして、この支持部材27と第2プレート22とを動かないようにボルトで固定し(図示略)、据え付け作業が終了する。なお、機器26の支持部材27をプレート21,22に据え付けた後でも、第3ネジ13及び第3ナット43を緩め、第1ネジ11及び第2ネジ12を再調整してアライメント作業をすることができる。
【0030】
(第2実施形態)
図4(A)(B)(C)は第2実施形態に係る荷電粒子輸送システム10bの断面図である。なお、図4において図1から図3と共通の構成又は機能を有する部分は、同一符号で示し、重複する説明を省略する。
【0031】
第2実施形態の荷電粒子輸送システム10bにおいて、支持部材27(27a,27b)は、水平方向に整列する複数の機器26の各々を支持する複数の第1支持部材27aと、これら複数の第1支持部材27aを支持する第2支持部材27bと、から構成される。さらに、第1支持部材27aと第2支持部材27bとの各々に設けられた係合穴17に係入して両者を係合する第2係合ピン32を備えている。
【0032】
このように構成されることにより、図4(A)に示すように、複数の機器26の各々と、複数の第1支持部材27aの各々と、第2支持部材27bと、の組み立ては、荷電粒子輸送システムの据え付け場所とは異なる場所で行うことができる。そして、図4(B)に示すように、一体的に組み立てられた後に輸送することができ、図4(C)に示すように、据え付け場所で、第2プレート22上に設置される。
【0033】
(第3実施形態)
次に図5を参照して本発明における第3実施形態について説明する。図5(A)は第3実施形態に係る荷電粒子輸送システム10cを示すY-Z断面図であり、図5(B)は図5(A)のB-B断面を示すX-Z断面図である。なお、図5において図1から図4と共通の構成又は機能を有する部分は、同一符号で示し、重複する説明を省略する。
【0034】
第3実施形態の荷電粒子輸送システム10cにおいて、支持部材27は、複数に分割された第2プレート22a,22bの各々に、第1係合ピン31を介して係合している。そして、分割された第2プレート22a,22bの各々は、同じく分割された第1プレート21a,21bの各々に収容される。そして、分割された第1プレート21a,21b及び第2プレート22a,22bは、各々に設けられた第1ネジ11及び第2ネジ12により独立に調整することができる。
【0035】
図6は、各実施形態に係る荷電粒子輸送システム10(10a,10b,10c)が適用されたシンクロトロン50の全体図である。このようにシンクロトロン50は、周回軌道で荷電粒子を加速する円形加速器51と、加速した荷電粒子を円形加速器51から取り出して輸送する輸送ライン52と、輸送された荷電粒子をターゲット(図示略)に照射する照射室53と、から構成されている。
【0036】
円形加速器51は、高周波電場の作用により荷電粒子を加速する加速空洞46と、直流磁場の作用により荷電粒子を円形軌道にのせる偏向電磁石45と、を少なくとも備えている。また輸送ライン52は、拡散しようとする荷電粒子を収束させる四極電磁石47を少なくとも備えている。
【0037】
そして、これら偏向電磁石45、加速空洞46、四極電磁石47、真空ダクト23及びその他の機器26(図1図4)は、荷電粒子輸送システム10を構成して基礎15(図1図4)に固定支持されている。なお、実施形態において荷電粒子輸送システム10は、シンクロトロン50に適用されることを示しているが、円形加速器51及び輸送ライン52のいずれか一方のみに適用される場合もある。
【0038】
以上述べた少なくともひとつの実施形態の荷電粒子輸送システムによれば、水平方向の位置調整をする第2プレート22に係合ピン31を介して機器を固定し、さらに高さ方向及び傾斜を調整する第1プレート21が架台16に固定されることにより、簡単かつ短時間に荷電粒子輸送システムのアライメントを調整することが可能となる。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0040】
10(10a,10b,10c)…荷電粒子輸送システム、11…第1ネジ、12…第2ネジ、13…第3ネジ、15…基礎、16…架台、17(17a,17b)…係合穴、21(21a,21b)…第1プレート、22(22a,22b)…第2プレート、23…真空ダクト、25…固定部材、26…機器、27…支持部材、27a…第1支持部材、27b…第2支持部材、31…第1係合ピン、32…第2係合ピン、35…光学的位置調整機器、36…基準位置、41…第1ナット、42…第2ナット、43…第3ナット、44…軸ボルト、45…偏向電磁石、46…加速空胴、47…四極電磁石、50…シンクロトロン、51…円形加速器、52…輸送ライン、53…照射室。
図1
図2
図3
図4
図5
図6