特許 7140843 直流ブラシモータ用のエンドキャップ、及びそれを含む直流ブラシモータ

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2022-09-12

(45)【発行日】2022-09-21

(54)【発明の名称】直流ブラシモータ用のエンドキャップ、及びそれを含む直流ブラシモータ

(51)【国際特許分類】

   H02K 13/14 20060101AFI20220913BHJP

【ＦＩ】

H02K13/14

【請求項の数】 4

(21)【出願番号】P 2020559457

(86)(22)【出願日】2019-04-15

(65)【公表番号】

(43)【公表日】2021-08-26

(86)【国際出願番号】 CN2019082663

(87)【国際公開番号】W WO2019205973

(87)【国際公開日】2019-10-31

【審査請求日】2020-12-09

(31)【優先権主張番号】201820596355.5

(32)【優先日】2018-04-25

(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN

(73)【特許権者】

【識別番号】517075078

【氏名又は名称】グワーンドーン ジャオチーン エル アンド ブイ カンパニー リミティド

(74)【代理人】

【識別番号】100099759

【弁理士】

【氏名又は名称】青木 篤

(74)【代理人】

【識別番号】100123582

【弁理士】

【氏名又は名称】三橋 真二

(74)【代理人】

【識別番号】100092624

【弁理士】

【氏名又は名称】鶴田 準一

(74)【代理人】

【識別番号】100114018

【弁理士】

【氏名又は名称】南山 知広

(74)【代理人】

【識別番号】100153729

【弁理士】

【氏名又は名称】森本 有一

(72)【発明者】

【氏名】コン ホンユイ

(72)【発明者】

【氏名】フォン チェン

(72)【発明者】

【氏名】チュー チエンチアン

(72)【発明者】

【氏名】ウー ピンピン

【審査官】服部 俊樹

(56)【参考文献】

【文献】特開２０００－０６００７６（ＪＰ，Ａ）

【文献】実開昭５３－１３６５４２（ＪＰ，Ｕ）

【文献】特開２０１８－０１８９０２（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｈ０２Ｋ １３／１４

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

直流ブラシモータ用のエンドキャップであって、電源、２つのカーボンブラシ、及び直列に接続された２組の複数の棒型インダクタを備え、
直列に接続された第１組の複数の棒型インダクタの一端が、前記電源の正極に接続され、直列に接続された前記第１組の複数の棒型インダクタの他端が、第１のカーボンブラシに接続され、直列に接続された第２組の複数の棒型インダクタの一端が、第２のカーボンブラシに接続され、直列に接続された前記第２組の複数の棒型インダクタの他端が、前記電源の負極に接続されており、
前記第１組の複数の棒型インダクタのそれぞれのインダクタは、モータの軸方向長さを増加させないでインダクタンスを増加させることができるように、前記エンドキャップ上に並べて配置され、
前記第２組の複数の棒型インダクタのそれぞれのインダクタは、モータの軸方向長さを増加させないでインダクタンスを増加させることができるように、前記エンドキャップ上に並べて配置されていることを特徴とする、エンドキャップ。

【請求項2】

それぞれの棒型インダクタの長さが調整可能であることを特徴とする、請求項１に記載のエンドキャップ。

【請求項3】

直列に接続された複数の棒型インダクタのそれぞれの組が、直列に接続された２つの棒型インダクタを有することを特徴とする、請求項１に記載のエンドキャップ。

【請求項4】

ハウジング、固定子、回転子、及び請求項１から３のいずれか一項に記載のエンドキャップを備え、
前記回転子が整流子を備え、前記２つのカーボンブラシが前記整流子とスライド接触していることを特徴とする、直流ブラシモータ。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

関連出願の相互参照
本発明は、２０１８年４月２５日に出願された中国特許出願第２０１８２０５９６３５５．５号の優先権及び権利を主張し、その開示は本出願の一部として参照によりここに組み込まれる。

【0002】

本出願は、機械分野に関し、特に、直流ブラシモータ用のエンドキャップ、及びそのエンドキャップを含む直流ブラシモータに関する。

【背景技術】

【0003】

直流ブラシモータは、直流モータの一種であり、その製造工程は成熟しており、様々な分野に広く利用されている。従来技術において、直流ブラシモータは、主に、ハウジング、固定子、回転子、エンドカップ等のコンポーネントからなる。直流ブラシモータの前端と後端は、ローターに接続されたシャフトを介して動力を出力する。固定子は、磁場を提供するためのものである。通電後、回転子巻線のコイルが磁場中においてトルクを生成し、回転子の整流子とエンドキャップのカーボンブラシを介して整流され、回転子の連続的な回転が実現される。直流ブラシモータは、電源及び２つのカーボンブラシをエンドキャップに有する。一方のカーボンブラシに接続された電源の正極と、他方のカーボンブラシに接続された電源の負極は、電源の正極、第１のカーボンブラシ、整流子、回転子巻線、第２のカーボンブラシ、及び電源の負極を通る電源回路が、回転子に電気エネルギーを送るよう形成されている。棒型インダクタは、モータのＥＭＣ（Electromagnetic Compatibility：電磁両立性）特性を向上させるために、電源の正極と第１のカーボンブラシとの間、及び電源の負極と第２のカーボンブラシとの間に、それぞれ配置されている。

【0004】

従来技術においては、直流ブラシモータのエンドカップ上の、電源の正極と第１のカーボンブラシとの間、及び電源の負極と第２のカーボンブラシとの間に、それぞれただ１つの棒型インダクタが配置される。棒型インダクタのインダクタンスは、その長さと直径に関係している。直径を変えないでインダクタンスを増加させる必要がある場合は、棒型インダクタの長さを増加させるしかないが、これにより、モータのエンドキャップの軸方向長さが増加し、モータ全体の軸方向長さが増加してしまう。

【発明の概要】

【0005】

上記の問題を解決するために、本出願は、直流ブラシモータ用のエンドキャップを提供し、そのエンドキャップは、電源、２つのカーボンブラシ、及び直列に接続された２組の複数の棒型インダクタを備え、直列に接続された第１組の複数の棒型インダクタの一端が、電源の正極に接続され、直列に接続された第１組の複数の棒型インダクタの他端が、第１のカーボンブラシに接続され、直列に接続された第２組の複数の棒型インダクタの一端が、第２のカーボンブラシに接続され、直列に接続された第２組の複数の棒型インダクタの他端が、電源の負極に接続されていることを特徴とする。

【0006】

あるいは、それぞれの棒型インダクタの長さが調整可能である。

【0007】

あるいは、直列に接続された複数の棒型インダクタのそれぞれの組が、直列に接続された２つの棒型インダクタを有する。

【0008】

本出願は、直流ブラシモータを更に提供し、その直流ブラシモータは、ハウジング、固定子、回転子、及び本出願によって提供される上記のエンドキャップを備え、回転子が整流子を備え、２つのカーボンブラシが整流子とスライド接触していることを特徴とする。

【0009】

従来技術と比較して、本出願の直流ブラシモータ用のエンドキャップ、及び直流ブラシモータは、少なくとも次の利点を有する。本出願では、直列に接続された２組の複数の棒型インダクタが、モータの軸方向長さを増加させないでモータの電源回路のインダクタンスを増加させることができるように、直流ブラシモータのエンドキャップ上に配置され、それによって、モータのＥＭＣ特性が向上する。また、直列に接続された複数の棒型インダクタの総インダクタンスは、直列に接続された複数の棒型インダクタのそれぞれの棒型インダクタの長さを調整することによって調整可能であり、それにより、同じモータがより適応性を有することができる。

【図面の簡単な説明】

【0010】

【図1】図１は、本出願の１つの具体的な実施形態による直流ブラシモータのエンドキャップを示す。

【図2】図２は、直列に接続された２つの棒型インダクタを示す。

【発明を実施するための形態】

【0011】

以下では、本出願の実施例による直流ブラシモータ用のエンドキャップ、及びエンドキャップを含む直流ブラシモータが、図面を参照して説明される。以下の説明では、当業者が本出願をより完全に理解できるように、多くの具体的な詳細が説明される。しかし、本出願の実施がこれらの具体的な詳細のいくつかを含まなくてもよいことは、当業者には明らかである。更に、本出願は、図示された具体的な実施例によって限定されないことを理解されたい。反対に、下記の特徴及び要素の任意の組み合わせは、それらが異なった実施例に関連するか否かに関わらず、本出願を実施するために考慮されることができる。したがって、下記の態様、特徴、実施例、及び利点は、例示を目的とするものであり、よって、それらが特許請求の範囲に明示されていない限り、請求項の要素又は限定としてみなされるべきでない。

【0012】

図１は、本出願の１つの具体的な実施形態による直流ブラシモータのエンドキャップを示している。図２は、直列に接続された２つの棒型インダクタを示している。図１及び図２に示されるように、直流ブラシモータは、そのエンドキャップ上に、２つのコンタクトピン２１１及び２１２を有する電源、２つのカーボンブラシ２２１、２２２、及び４つの棒型インダクタ２３１、２３２、２３３、２３４を備えている。コンタクトピン２１１は、電源の正極に接続されており、コンタクトピン２１２は、電源の負極に接続されている。棒型インダクタ２３１と２３２とは直列に接続され、棒型インダクタ２３３と２３４とは直列に接続されている。それぞれの棒型インダクタは、コアロッドとコアロッドに巻かれたコイルとで構成される。電源のコンタクトピン２１１は、棒型インダクタ２３１の一端に接続され、棒型インダクタ２３１の他端は、棒型インダクタ２３２の一端に接続され、棒型インダクタ２３２の他端は、カーボンブラシ２２１のブラシピグテールに接続されている。同様に、電源のコンタクトピン２１２は、棒型インダクタ２３３の一端に接続され、棒型インダクタ２３３の他端は、棒型インダクタ２３４の一端に接続され、棒型インダクタ２３４の他端は、カーボンブラシ２２２のブラシピグテールに接続されている。すなわち、２組の直列に接続された２つの棒型インダクタが、電源回路に配置されている。

【0013】

図１に示される直流ブラシモータのエンドキャップは、２組の直列に接続された２つの棒型インダクタを備えている。当業者は、実際のニーズに応じて、直列に接続された棒型インダクタのそれぞれの組におけるインダクタの数を設定することができ、例えば、直列に接続された棒型インダクタのそれぞれの組に３つの棒型インダクタを配置することもできる。これらのバリエーションは、本出願の保護範囲から逸脱しない。

【0014】

本出願では、直列に接続された２組の複数の棒型インダクタが、モータの軸方向長さを増加させないでモータの電源回路のインダクタンスを増加させることができるように、直流ブラシモータのエンドキャップ上に配置され、それによって、モータのＥＭＣ特性が向上する。また、コストを考慮し、それぞれの棒型インダクタの長さが実際のニーズに応じて選択可能であり、それによって、コストが節約される。

【0015】

本出願では、直列に接続された２組の複数の棒型インダクタを、直流ブラシモータのエンドキャップ上に配置し、電源回路に必要なインダクタンスを変えることなく、それぞれの棒型インダクタの長さを短くすることで、モータの軸方向の全長を短くできるようにして、エンドキャップの軸方向長さを短くすることができる。

【0016】

本出願では、直列に接続された複数の棒型インダクタの総インダクタンスが調整可能となるように、直列に接続された複数の棒型インダクタのそれぞれの棒型インダクタの長さを調整することができ、それにより、同じモータがより適応性を有することができる。また、それぞれの棒型インダクタの直径又はコイル巻数を調整することで、総インダクタンスが調整される。

【0017】

本出願の直流ブラシモータは、あらゆる種類の車両のテールドアの電動昇降システムにおける直流モータとして用いることができる。当業者はまた、実際のニーズに応じて、本出願の直流ブラシモータを他の適切な場合に適用してもよい。

【0018】

本出願は、上記の好ましい実施例により開示されるが、それに限定されるものではない。当業者によってなされる、本出願の精神及び範囲から逸脱しないあらゆる種類の変形及び補正は、本出願の保護範囲に含まれるものとみなされ、本出願の保護範囲は、特許請求の範囲によって定義される範囲に依存するものとする。

【図1】

【図2】