(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】スライドレールダストカバーの固定構造
(51)【国際特許分類】
F16C 29/08 20060101AFI20220913BHJP
F16B 2/12 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
F16C29/08
F16B2/12 B
(21)【出願番号】P 2021026886
(22)【出願日】2021-02-23
【審査請求日】2021-04-23
(32)【優先日】2020-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】512304009
【氏名又は名称】直得科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】弁理士法人服部国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】許 明哲
【審査官】日下部 由泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-161917(JP,A)
【文献】特開2006-9869(JP,A)
【文献】実開平7-35822(JP,U)
【文献】実開平4-21617(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 29/08
F16B 2/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に沿って延伸し、前記軸方向の両端に端部を各々有しているレールであって、前記レールは上面を有し、前記レールは前記上面から前記軸方向に対して垂直になる高さ方向に向けて1つ以上の固定穴を設けているレールと、
前記軸方向に沿って延伸し、前記固定穴を被覆している平面領域を有しているダストカバーと、
前記レールの端部に設置し、平面状を呈している押圧面を有し、前記押圧面は前記平面領域を押圧している押圧板と、
係止部材及び1つ以上のホルダブロックを含むロック部材であって、前記係止部材は前記レールに固定するように係止し、前記係止部材と前記ダストカバーとの間には収容空間を有し、前記押圧板は前記収容空間に位置し、前記収容空間は幅方向に収容幅を有し、前記幅方向は前記軸方向及び前記高さ方向に対して垂直になり、
前記押圧板は前記幅方向に前記平面領域を超過し、前記押圧板は前記幅方向に前記収容幅未満である押圧板幅を有し、これにより前記押圧板が前記係止部材に接触しなくなり、
前記押圧板及び前記ホルダブロックは前記レールの端部に前記高さ方向から前記ダストカバーを固定し、前記ホルダブロックは前記高さ方向から前記係止部材に係入して前記高さ方向に前記押圧板
の上面に当接し、これにより前記押圧板の押圧面が前記平面領域を押圧
し、前記係止部材は平面部及び前記平面部の両側から湾曲して内側に退縮している内曲げ部を有し、前記内曲げ部は前記上面下方の凹部に係合しているロック部材と、を備えていることを特徴とするスライドレールダストカバーの固定構造。
【請求項2】
前記係止部材は前記端部に固定するように係止し、前記押圧板は前記幅方向に前記平面領域を全面的に被覆していることを特徴とする請求項1に記載のスライドレールダストカバーの固定構造。
【請求項3】
前記ロック部材のホルダブロックは1つであり、前記ホルダブロックは前記係止部材に係入した後、前記幅方向に前記押圧板の中央位置に当接していることを特徴とする請求項2に記載のスライドレールダストカバーの固定構造。
【請求項4】
前記ロック部材のホルダブロックは2つ以上であり、2つ以上の前記ホルダブロックは前記係止部材に係入した後、前記幅方向に沿って前記押圧板に圧接していることを特徴とする請求項2に記載のスライドレールダストカバーの固定構造。
【請求項5】
前記幅方向に前記押圧板の両側縁に最も近接している2つの前記ホルダブロックは、前記押圧板の側縁の10%から20%の幅範囲に近接するように圧接していることを特徴とする請求項4に記載のスライドレールダストカバーの固定構造。
【請求項6】
前記押圧板は前記高さ方向に少なくとも1つの押え金具を延設し、少なくとも1つの前記押え金具は前記幅方向に前記平面領域を押圧していることを特徴とする請求項2に記載のスライドレールダストカバーの固定構造。
【請求項7】
前記ダストカバーの厚さは0.1mmから0.3mmの間の範囲であり、前記押圧板の厚さは1mmから3mmの間の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のスライドレールダストカバーの固定構造。
【請求項8】
前記ロック部材は、前記係止部材に係入し
、前記押圧板に
前記高さ方向に当接している、1つ
のホルダブロックまたは前記軸方向に
並ぶ2つ以上のホルダブロックを有することを特徴とする請求項1に記載のスライドレールダストカバーの固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライドレールダストカバーの固定構造に関し、特に、レールの端部に押圧板及びロック部材を有し、高さ方向から直接力を付勢することでダストカバーを固定する発明に関する。
【背景技術】
【0002】
リニアスライドレールは使用時に、一般的にスライドレール上に軸方向に沿って複数のボルト孔を設け、且つボルトを使用してスライドレールを作業台に固定している。実際の使用においては、埃、汚れ、油汚れ等が往々にしてボルト孔内に蓄積し、スライダー剛体がボルト孔の位置を走行する際に埃や汚れがスライダー剛体内に進入し、スライダー剛体内での転動体の転動を阻害してスライダー剛体の走行を不順にすることがあった。このため、この現象を回避するため、通常は孔カバーまたはダストカバーを使用してボルト孔を被覆し、ボルト孔に埃、汚れ、油汚れ等が蓄積しないようにしている。
【0003】
しかしながら、孔カバーを使用してボルト孔を被覆するのは、組み立てにおいて順にボルト孔内に孔カバーを挿入するのが面倒であるほか、孔カバーがボルト孔の中を塞ぎ、加工の公差によりスライドレールの表面の平坦性を維持しにくくなり、埃や汚れが蓄積する現象がなおも発生した。或いは、スライダー剛体の走行時に孔カバーに対して生じる力が孔カバーを下降させ、溝を形成して埃や汚れを蓄積させてしまった。
【0004】
ダストカバーは細長い形状を呈する片状体であり、ダストカバーを使用してスライドレールの表面を被覆することにより、孔カバーを使用することで生じる欠陥を解決している。
【0005】
ダストカバー及びスライドレールの結合形態では、従来の特許文献では、例えば、下記特許文献1の「ガイドレールとリニア軸受用のカバーストリップ」、特許文献2の「リニアガイド上のカバーバンドの配置」、特許文献3の「リニア軸受用のガイドレール及び縦溝に連結するように縦方向に設けている2つの挿入溝」或いは特許文献4の「リニア軸受用のガイドレール」という記載がある。これら先行案では、スライドレールの表面に細長い溝を設け、ダストカバーは弾性変形可能な係合部を有し、ダストカバーがスライドレールの表面にある細長い溝を被覆することで、弾性変形可能な係合部の弾性変形を利用して細長い溝の内面に係合させ、且つダストカバーの表面をスライドレールの上面と平坦に揃えている。
【0006】
また、従来の特許文献では、例えば、下記特許文献5の「運動ガイド装置及び運動ガイド装置用の蓋」、下記特許文献6の「上カバーを設置している軌道レールユニット及びガイドユニット」、下記特許文献7の「角エッジのついた2つのシートストリップで構成しているカバーベルトを有するリニア軸受用のガイドレール」或いは特許文献8の「ガイドレールの孔を閉鎖する配置」という記載がある。これら先行案ではスライドレール上に座ぐり孔を設け、且つダストカバー下方に嵌入部材を設置している。ダストカバーは嵌入部材を弾性変形させてスライドレールの座ぐり孔(counterbore)中に嵌入させることにより、ダストカバーをスライドレールに固定している。
【0007】
前述の2種類の方式はダストカバーの係合部または嵌入部が変形して細長い溝の内面または座ぐり孔中に係合しているため、取り外してメンテナンスや交換を行うことが難しかった。また、ダストカバーは弾力による支持係合にのみ使用しているため、スライドレールの高さ方向に垂直に結合するための剛性が低く、ダストカバーが揺れ動いて安定しなくなった。
【0008】
さらに、従来の特許文献では、例えば、下記特許文献9の「リニアモーションガイドカバーバンド」、下記特許文献10の「リニアガイド装置」或いは下記特許文献11の「モーションガイド装置」という記載がある。これら先行案では、ダストカバーの両側に弾性挟持部材を有し、弾性挟持部材を利用してスライドレールの両側に挟持する方式でダストカバーをスライドレールに固定している。この方式では弾力を利用して支持するように挾持し、スライドレールに対する垂直の結合力を強化しているが、軸方向には強い固定力が欠乏しており、スライダーがスライドする際にダストカバーが軸方向に移動するのを効果的に回避できなかった。
【0009】
なお、ダストカバーのスライドが緩まないようにするため、従来の特許文献では、例えば、下記特許文献12の「リニアガイド 装置用のストッパー装置」或いは下記特許文献13の「リニアガイド装置」という記載がある。上述の先行案は、スライドレールの両端に固定機構を利用してダストカバーを固定しているが、固定機構はダストカバーの側部の湾曲箇所をロックし、ダストカバーの厚さが約0.1mmから0.3mmの間の範囲と薄いため、固定機構がロックするダストカバーの側部の湾曲箇所に応力が集中しやすく、ダストカバーを損壊するという問題が引き起こされた。また、固定機構がロックするダストカバーの側部の湾曲箇所に発生する横方向の分力がダストカバーを緩めてスリップさせることがあった。
【0010】
さらに、ダストカバーが薄いためにロック時に応力が集中する等して損壊する問題を回避するため、従来の特許文献では、例えば、下記特許文献14の「リニアガイドの配置」という記載がある。前述案は
図17に示すように、ダストカバーに圧接部材を設置し、固定機構を圧接部材にロックし、圧接部材を利用してダストカバーを押圧している。前述案の固定機構は水平方向に力を付勢していると共に摩擦力を利用してダストカバーの両端を固定しているが、摩擦力は垂直抗力の約0.3から0.5であるため、水平方向に力を付勢する場合2倍から3倍の固定力が必要となり、力を付勢している間に強靭な構造を提供して圧接部材をロックしなければならなかった。
【0011】
また、構造設計の簡易性をさらに改善するために、上述の特許文献14と下記特許文献15の「カバーベルト固定装置のスライドレール」は、固定部材の弾性原理を利用して固定方向及び力の付勢方向を異なる軸方向に設定し、弾性力及び変形量により固定部材の剛性を決定している。剛性が増加すると、同様の弾性力では変形量が小さくなる。このため、固定部材の設計では、より精密な加工サイズが要求される場合、剛性が低すぎると固定力も追随して小さくなり、固定力不足に陥った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】アメリカ特許出願第20090257692号明細書
【文献】アメリカ特許出願第6749338号明細書
【文献】ドイツ特許出願第19919247号明細書
【文献】WO20000133090号明細書
【文献】台湾特許出願第201139880号明細書
【文献】アメリカ特許出願第5622433号明細書
【文献】ドイツ特許出願第10032473号明細書
【文献】ドイツ特許出願第29522090号明細書
【文献】アメリカ特許出願第5575566号明細書
【文献】アメリカ特許出願第RE42885号明細書
【文献】アメリカ特許出願第6592261号明細書
【文献】アメリカ特許出願第5315894号明細書
【文献】日本特開特許出願公開第2006009869号明細書
【文献】アメリカ特許出願公開第651396号明細書
【文献】台湾登録実用新案第477515号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで、本発明者は上記の欠点が改善可能と考え、鋭意検討を重ねた結果、合理的設計で上記の課題を効果的に改善する本発明の提案に至った。
【0014】
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものであり、上記課題解決のため、スライドレールダストカバーの固定構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のスライドレールダストカバーの固定構造は、
軸方向に沿って延伸し、前記軸方向の両端に端部を各々有しているレールであって、前記レールは上面を有し、前記レールは前記上面から前記軸方向に対して垂直になる高さ方向に向けて1つ以上の固定穴を設けているレールと、
前記軸方向に沿って延伸し、前記固定穴を被覆している平面領域を有しているダストカバーと、
前記レールの端部に設置し、平面状を呈している押圧面を有し、前記押圧面は前記平面領域を押圧している押圧板と、
係止部材及び1つ以上のホルダブロックを含むロック部材であって、前記係止部材は前記レールに固定するように係止し、前記係止部材と前記ダストカバーとの間には収容空間を有し、前記押圧板は前記収容空間に位置し、前記収容空間は幅方向に収容幅を有し、前記幅方向は前記軸方向及び前記高さ方向に対して垂直になり、前記押圧板は前記幅方向に前記平面領域を超過し、前記押圧板は前記幅方向に前記収容幅未満である押圧板幅を有し、これにより前記押圧板が前記係止部材に接触しなくなり、前記押圧板及び前記ホルダブロックは前記レールの端部に前記高さ方向から前記ダストカバーを固定し、前記ホルダブロックは前記高さ方向から前記係止部材に係入して前記高さ方向に前記押圧板の上面に当接し、これにより前記押圧板の押圧面が前記平面領域を押圧し、前記係止部材は平面部及び前記平面部の両側から湾曲して内側に退縮している内曲げ部を有し、前記内曲げ部は前記上面下方の凹部に係合しているロック部材と、を備えている。
【0016】
本発明のスライドレールダストカバーの固定構造において、前記押圧板は前記幅方向に前記平面領域を全面的に被覆している。
【0017】
本発明のスライドレールダストカバーの固定構造において、前記ロック部材のホルダブロックは1つであり、前記ホルダブロックは前記係止部材に係入した後、前記幅方向に前記押圧板の中央位置に当接している。
【0018】
本発明のスライドレールダストカバーの固定構造において、前記ロック部材のホルダブロックは2つ以上であり、2つ以上の前記ホルダブロックは前記係止部材に係入した後、前記幅方向に沿って前記押圧板に圧接している。さらに、前記幅方向に前記押圧板の両側縁に最も近接している2つの前記ホルダブロックは、前記押圧板の側縁の10%から20%の幅範囲に近接するように圧接している。
【0019】
本発明のスライドレールダストカバーの固定構造において、前記押圧板は前記高さ方向に少なくとも1つの押え金具を延設している。少なくとも1つの前記押え金具は前記幅方向に前記平面領域を押圧している。
【0020】
本発明のスライドレールダストカバーの固定構造において、前記押圧板は前記幅方向に前記平面領域を超過している。
【0021】
本発明のスライドレールダストカバーの固定構造において、前記ダストカバーの厚さは0.1mmから0.3mmの間の範囲であり、前記押圧板の厚さは1mmから3mmの間の範囲である。
【0022】
本発明のスライドレールダストカバーの固定構造において、前記ロック部材は、前記係止部材に係入し、前記押圧板に前記高さ方向に当接している、1つのホルダブロックまたは前記軸方向に並ぶ2つ以上のホルダブロックを有している。
【0023】
本発明のスライドレールダストカバーの固定構造において、前記係止部材は平面部及び前記平面部の両側から湾曲して内側に退縮している内曲げ部を有し、前記内曲げ部は前記上面下方の凹部に係合している。
【発明の効果】
【0024】
このように、本発明によれば、次のような効果がある。
1.本発明は高さ方向に直接的に垂直に力を付勢することでダストカバーを圧接し固定している。分力方式によりダストカバーを固定しているわけではないため、より好ましい固定効果を有している。すなわち、レールの端部に押圧板及びロック部材のホルダブロックにより高さ方向からダストカバーを固定し、ホルダブロックを利用して高さ方向に沿って直接力を付勢し、ホルダブロックを押圧板に直接圧接し、ダストカバーにさらに好ましい固定効果を提供している。ホルダブロックにより直接的に垂直に力を付勢するため、ダストカバーに対し高さ方向以外のいかなる分力も発生させず、他の分力によりダストカバーがスリップして緩む事象を効果的に回避している。また、係止部材がスライドレールに堅固に係合し、係止部材は前記ホルダブロックが係入するための固定ベースとして用いるのみであり、ホルダブロックが係止部材に係入すると共に押圧板に当接することにより押圧板に力を付勢している。
2.押圧板は幅方向にダストカバーを全面的に被覆し、さらにダストカバーを超過している。これにより、ダストカバーを全面的に押圧して緩まないようにしている。また、押圧板の押圧面は平面状を呈し、円柱状または他の外形を呈する押圧部材に比べ、平面状の押圧板では押圧部材の体積を増やさずに効率的且つ全面的にダストカバーを押圧できる。
3.ロック部材のホルダブロックは幅方向に係止部材の中央位置に係入し、押圧板を固定している。但し、好ましくは、ロック部材の2つホルダブロックは係止部材に係入した後、幅方向に押圧板の両側に当接し、例えば、押圧板の側縁の10%から20%の幅範囲に近接するように当接している。このように押圧板の両側を平均的にロックする方式により、ダストカバーをさらに効果的に固定している。
4.ロック部材は係止部材及び1つ以上のホルダブロックを備えている。係止部材は平面部及び平面部の両側から湾曲して内側に退縮している内曲げ部を有し、内曲げ部は上面下方の凹部に係合し、安定的な固定効果を獲得している。
5.押圧板は前記高さ方向に少なくとも1つの押え金具を延設している。少なくとも1つの押え金具が幅方向にダストカバーの平面領域を押圧し、ダストカバーに対して集中的に力を付勢することで堅固な固定効果を獲得している。
6.押圧板を係止部材とダストカバーとの間の収容空間に設置し、リニアスライドレールの体積の増加を少なくすることで、マイクロスライドレールへの使用に適合している。また、押圧板の押圧板幅が収容空間の収容幅よりも小さいため、押圧板と係止部材とが接触しない。よって、スライドレールの外に突出している係止部材が外力を受けて衝突して変移する状態となっても、押圧板は係止部材が外力を受けて衝突して変移する影響を受けない。
【0025】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の第1実施形態によるスライドレールダストカバーの固定構造を示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態によるスライドレールダストカバーの固定構造を示す正面図である。
【
図3】本発明の第2実施形態によるスライドレールダストカバーの固定構造を示す斜視図である。
【
図4】本発明の第3実施形態によるスライドレールダストカバーの固定構造を示す斜視図である。
【
図5】本発明の第3実施形態によるスライドレールダストカバーの固定構造を示す正面図である。
【
図6】本発明の第4実施形態によるスライドレールダストカバーの固定構造を示す斜視図である。
【
図7】本発明の第4実施形態によるスライドレールダストカバーの固定構造を示す正面図である。
【
図8】本発明の第5実施形態によるスライドレールダストカバーの固定構造を示す斜視図である。
【
図9】本発明の第5実施形態によるスライドレールダストカバーの固定構造を示す正面図である。
【
図10】本発明の第6実施形態によるスライドレールダストカバーの固定構造を示す斜視図である。
【
図11】本発明の第6実施形態によるスライドレールダストカバーの固定構造を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更可能であることは言うまでもない。
<第1実施形態>
【0028】
本発明の第1実施形態は、
図1と
図2に示すように、レール(1)及びレール(1)を被覆しているダストカバー(2)を備えている。レール(1)の2つの端部(11)には押圧板(3)及びダストカバー(2)を固定するために用いているロック部材(4)を各々有している。
【0029】
レール(1)は軸方向(P)に沿って延伸し、レール(1)は軸方向(P)の両端が2つの端部(11)である。レール(1)は上面(12)を有し、レール(1)は上面(12)から軸方向(P)に対して垂直になる高さ方向(H)に向けて1つ以上の固定穴(13)を設けている。
本実施形態では固定穴(13)はねじ穴である。ダストカバー(2)はベルト体であり、且つダストカバー(2)は軸方向(P)に沿って延伸し、ダストカバー(2)はレール(1)の上面(12)を覆っている。押圧板(3)はレール(1)の端部(11)に設置し、且つダストカバー(2)を押圧している。ロック部材(4)は係止部材(41)及び1つ以上のホルダブロック(42)を含み、本実施形態のホルダブロック(42)は1つであり、係止部材(41)はレール(1)に固定するように係止し、係止部材(41)とダストカバー(2)との間には収容空間(S)を形成し、且つ押圧板(3)は収容空間(S)に位置している。係止部材(41)は任意の方式でレール(1)に固定し、例えば、本実施形態では係止部材(41)は剛性が高く変形しにくい材質を採用している。係止部材(41)は平面部(411)及び平面部(411)の両側から湾曲して内側に退縮している内曲げ部(412)を有し、内曲げ部(412)は上面(12)下方の凹部(14)に係合している。ホルダブロック(42)は高さ方向(H)から係止部材(41)の平面部(411)に係入して高さ方向(H)に押圧板(3)に当接し、これにより押圧板(3)がダストカバー(2)を押圧し、ダストカバー(2)がレール(1)上で軸方向に移動することを防止している。
【0030】
図2を参照する。ボルト(5)をレール(1)の固定穴(13)に係入し、且つ固定プラットフォーム(6)にロックすることにより、レール(1)を固定プラットフォーム(6)に固定している。ダストカバー(2)は平面領域(21)を有し、且つ平面領域(21)の両側に内曲げ領域(22)を各々有している。ダストカバー(2)がレール(1)の上面(12)を覆うと、平面領域(21)が固定穴(13)を被覆し、且つ内曲げ領域(22)がレール(1)の両側に係合する。押圧板(3)は平面状を呈していると共にダストカバー(2)の平面領域(21)を押圧している押圧面(32)を有している。レール(1)は軸方向(P)及び高さ方向(H)に対して垂直になっている幅方向(W)を有し、押圧板(3)は幅方向(W)にダストカバー(2)を全面的に被覆している。
本実施形態の押圧板(3)は幅方向(W)にダストカバー(2)を超過していることにより、押圧板(3)が組み立てやすくなると共に及びダストカバー(2)を全面的に押圧し、ダストカバー(2)が緩まないようにしている。また、収容空間(S)は幅方向(W)に収容幅(W1)を有し、押圧板(3)は幅方向(W)に押圧板幅(W2)を有し、押圧板幅(W2)を収容幅(W1)よりも小さくすることにより、押圧板(3)と係止部材(41)とが非接触となっている。ホルダブロック(42)は係止部材(41)に係入した後、幅方向(W)に押圧板(3)の中央位置に当接している。本実施形態では、押圧板(3)及びロック部材(4)のホルダブロック(42)が高さ方向(H)からダストカバー(2)を固定していることにより、固定部材を使用して前記ダストカバー(2)を直接ロックする場合にダストカバー(2)に応力が集中して破壊されてしまうという問題を回避している。また、高さ方向(H)から直接力を付勢してダストカバー(2)を固定することにより、他の方向の分力がダストカバー(2)に作用してダストカバー(2)がスリップして緩むという事象も回避している。さらに、本実施形態のダストカバー(2)の厚さは0.1mmから0.3mmの間の範囲とし、押圧板(3)の厚さは1mmから3mmの間の範囲とすることで、リニアスライドレール全体の体積を増加させず、これによりマイクロリニアスライドレールに使用しやすくしている。
<第2実施形態>
【0031】
本発明の第2実施形態は、
図3に示すように、第1実施形態との差異は、本実施形態のロック部材(4)は軸方向(P)に2つホルダブロック(42)を有し、2つホルダブロック(42)は係止部材(41)に係入して高さ方向(H)に押圧板(3)に当接している。これにより、ダストカバー(2)をさらに堅固に固定している。
<第3実施形態>
【0032】
本発明の第3実施形態は、
図4と
図5に示すように、第1実施形態との差異は、本実施形態のロック部材(4)のホルダブロック(42)は2つであり、且つ2つホルダブロック(42)が係止部材(41)に係入した後、幅方向(W)に押圧板(3)の両側に当接している。本実施形態のホルダブロック(42)は幅方向(W)に押圧板(3)の側縁の10%から20%の幅範囲に近接するように当接し、この範囲はダストカバー(2)の剛性が好ましくなる位置である。このように押圧板(3)の両側を平均的にロックするように力を付勢する方式により、ダストカバー(2)をさらに堅固に固定している。
<第4実施形態>
【0033】
本発明の第4実施形態は、
図6と
図7に示すように、第1実施形態との差異は、本実施形態の押圧板(3)は高さ方向(H)に2つ押え金具(31)を延設し、2つ押え金具(31)は幅方向(W)にダストカバー(2)の平面領域(21)の両側を押圧し、且つ1つのホルダブロック(42)により幅方向(W)に押圧板(3)の中央位置に当接している。押え金具(31)は押圧板(3)全体の面積に対して小さいため、ダストカバー(2)に対する好ましい押圧力を有し、ダストカバー(2)を堅固に固定している。
<第5実施形態>
【0034】
本発明の第5実施形態は、
図8と
図9に示すように、第1実施形態との差異は、本実施形態の押圧板(3)は高さ方向(H)に2つ押え金具(31)を延設し、2つ押え金具(31)は幅方向(W)にダストカバー(2)の平面領域(21)の両側を押圧し、且つ2つホルダブロック(42)により幅方向(W)に押圧板(3)の両側に当接していると共に押え金具(31)に対応している。押え金具(31)は押圧板(3)全体の面積に対して小さいため、ダストカバー(2)に対する好ましい押圧力を有し、ダストカバー(2)を堅固に固定している。
<第6実施形態>
【0035】
本発明の第6実施形態は、
図10と
図11に示すように、第1実施形態との差異は、本実施形態の押圧板(3)は高さ方向(H)に3つの押え金具(31)を延設し、3つの押え金具(31)は幅方向(W)にダストカバー(2)の平面領域(21)の中央位置及び両側を押圧し、これによりダストカバー(2)を堅固に固定している。
【0036】
なお、ダストカバー(2)の厚さは非常に薄いため、固定部材を直接使用してダストカバー(2)をロックするとダストカバー(2)が応力を受けて破壊されるという事象を回避するために、本発明では押圧板(3)及びロック部材(4)を使用して高さ方向(H)から直接力を付勢してダストカバー(2)を固定している。
【0037】
上述の実施形態は本発明の技術思想及び特徴を説明するためのものにすぎず、当技術分野を熟知する者に本発明の内容を理解させると共にこれをもって実施させることを目的とし、本発明の特許請求の範囲を限定するものではない。従って、本発明の精神を逸脱せずに行う各種の同様の効果をもつ改良又は変更は、後述の請求項に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0038】
1 レール、
11 端部、
12 上面、
13 固定穴、
14 凹部、
2 ダストカバー、
21 平面領域、
22 内曲げ領域、
3 押圧板、
31 押え金具、
32 押圧面、
4 ロック部材、
41 係止部材、
411 平面部、
412 内曲げ部、
42 ホルダブロック、
P 軸方向、
H 高さ方向、
W 幅方向、
W1 収容幅、
W2 押圧板幅、
S 収容空間。