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特許7140869ハイドロゲル組成物及びハイドロゲルレンズ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】ハイドロゲル組成物及びハイドロゲルレンズ
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/06 20060101AFI20220913BHJP
   A61K 47/40 20060101ALI20220913BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20220913BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20220913BHJP
   A61K 47/16 20060101ALI20220913BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20220913BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20220913BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20220913BHJP
   A61K 47/69 20170101ALI20220913BHJP
   G02C 7/04 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
A61K9/06
A61K47/40
A61K47/10
A61K47/32
A61K47/16
A61K47/24
A61K47/20
A61P27/02
A61K47/69
G02C7/04
【請求項の数】 37
(21)【出願番号】P 2021058460
(22)【出願日】2021-03-30
(65)【公開番号】P2021169446
(43)【公開日】2021-10-28
【審査請求日】2021-03-30
(31)【優先権主張番号】109112349
(32)【優先日】2020-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(31)【優先権主張番号】109141266
(32)【優先日】2020-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】512020327
【氏名又は名称】ペガヴィジョン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】PEGAVISION CORPORATION
【住所又は居所原語表記】2F-1,No.5,SHING YEH ST.,GUISHAN DIST.,TAOYUAN CITY 333,TAIWAN
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】呉欣怡
(72)【発明者】
【氏名】李崇維
(72)【発明者】
【氏名】陳君涵
(72)【発明者】
【氏名】張漢宜
【審査官】一宮 里枝
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-130386(JP,A)
【文献】国際公開第2018/229653(WO,A1)
【文献】特開2000-047146(JP,A)
【文献】国際公開第2010/010689(WO,A1)
【文献】特開2017-222809(JP,A)
【文献】中嶋直敏,ロタキサン化学の最近の進歩,高分子,1998年,47巻,8月号,p.546-550
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00-9/72
A61K 47/00-47/69
A61L 27/00-27/60
G02C 7/04
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
親水性単量体と、架橋剤と、重合開始剤と、ロタキサン分子(rotaxane)と、を含むハイドロゲル組成物であって、
60重量部~99.85重量部の前記親水性単量体と、
0.01重量部~1重量部の前記架橋剤と、
0.01重量部~2重量部の前記重合開始剤と、
0.1重量部~15重量部の前記ロタキサン分子と
を含み、
前記ロタキサン分子は、少なくとも一つの環状分子、及び少なくとも一つの前記環状分子を串刺し状に貫通する少なくとも一つの直鎖状分子を含み、
前記ロタキサン分子と、前記親水性単量体との重量比は、1:6~1:99であり、
前記ロタキサン分子において、少なくとも一つの前記環状分子と、少なくとも一つの前記直鎖状分子との重量比は、11.9:1~50:1である、ことを特徴とするハイドロゲル組成物。
【請求項2】
前記ロタキサン分子は、0.1重量部~12重量部である、請求項1に記載のハイドロゲル組成物。
【請求項3】
前記ロタキサン分子は、0.5重量部~8重量部である、請求項2に記載のハイドロゲル組成物。
【請求項4】
前記ロタキサン分子と、前記親水性単量体との前記重量比は、1:11~1:99である、請求項1に記載のハイドロゲル組成物。
【請求項5】
前記ロタキサン分子と、前記親水性単量体との前記重量比は、1:14~1:74である、請求項4に記載のハイドロゲル組成物。
【請求項6】
少なくとも一つの前記環状分子は、シクロデキストリン(cyclodextrin)、またはその誘導体である、請求項1に記載のハイドロゲル組成物。
【請求項7】
前記シクロデキストリンは、α-シクロデキストリン(α-cyclodextrin)、β-シクロデキストリン(β-cyclodextrin)、γ-シクロデキストリン(γ-cyclodextrin)、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(hydroxypropyl-β-cyclodextrin)、(2-ヒドロキシプロピル)-γ-シクロデキストリン((2-hydroxypropyl)-γ-cyclodextrin)、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン(sulfobutylether-β-cyclodextrin)、及びメチル-β-シクロデキストリン(methyl-β-cyclodextrin)よりなる材料群より選択される少なくとも一種である、請求項に記載のハイドロゲル組成物。
【請求項8】
少なくとも一つの前記環状分子は、クラウンエーテル(crown ether)、またはその誘導体である、請求項1に記載のハイドロゲル組成物。
【請求項9】
前記クラウンエーテルは、12-クラウン-4(12-crown-4)、15-クラウン-5(15-crown-5)、18-クラウン-6(18-crown-6)、ベンゾ-18-クラウン-6(benzo-18-crown-6)、ベンゾ-15-クラウン-5(benzo-15-crown-5)、ジシクロヘキシル-18-クラウン-6(dicyclohexyl-18-crown-6)、2-(ヒドロキシメチル)-12-クラウン-4-エーテル(2-(hydroxymethyl)-12-crown-4-ether)、2-(ヒドロキシメチル)-15-クラウン-5-エーテル(2-(hydroxymethyl)-15-crown-5-ether)、及び2-(ヒドロキシメチル)-18-クラウン-6-エーテル(2-(hydroxymethyl)-18-crown-6-ether)よりなる材料群より選択される少なくとも一種である、請求項に記載のハイドロゲル組成物。
【請求項10】
少なくとも一つの前記直鎖状分子は、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol、PEG)、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol、PVA)、及びポリプロピレングリコール(polypropylene glycol、PPG)よりなる材料群より選択される少なくとも一種である、請求項1に記載のハイドロゲル組成物。
【請求項11】
前記ポリエチレングリコールは、下記式(1)で表される構造を有し、前記ポリビニルアルコールは、下記式(2)で表される構造を有し、前記ポリプロピレングリコールは、下記式(3)で表される構造を有する、請求項10に記載のハイドロゲル組成物。
【化1】
【請求項12】
前記直鎖状分子の平均分子量は、200~20,000である、請求項11に記載のハイドロゲル組成物。
【請求項13】
前記親水性単量体は、68.88重量部~99.85重量部である、請求項1に記載のハイドロゲル組成物。
【請求項14】
前記親水性単量体は、N-ビニルピロリドン(N-vinyl pyrrolidone、NVP)、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(2-hydroxyethyl methacrylate、HEMA)、メタクリル酸(methacrylic acid、MAA)、メチルメタクリレート(methyl methacrylate、MMA)、アクリル酸(acrylic acid、AAc)、N,N-ジメチルアクリルアミド(N,N-dimethyl acrylamide、DMA)、2,3-ジヒドロキシプロピルメタクリレート(2,3-dihydroxypropyl methacrylate、GMMA)、N,N-ジメチルメタクリルアミド(N,N-dimethyl methacrylamide)、及びN-ビニル-N-メチルアセトアミド(N-vinyl-N-methyl acetamide)よりなる材料群より選択される少なくとも一種である、請求項1に記載のハイドロゲル組成物。
【請求項15】
前記親水性単量体は、ビニル基、アセチル基、プロペニル基、またはアクリル基を有する、請求項1に記載のハイドロゲル組成物。
【請求項16】
前記架橋剤は、0.04重量部~0.57重量部である、請求項1に記載のハイドロゲル組成物。
【請求項17】
前記架橋剤は、エチレングリコールジメタクリレート(ethylene glycol dimethacrylate)、ジエチレングリコールジメタクリレート(diethylene glycol dimethacrylate)、トリエチレングリコールジメタクリレート(triethylene glycol dimethacrylate)、テトラエチレングリコールジメタクリレート(tetraethylene glycol dimethacrylate)、アリルメタクリレート(allyl methacrylate)、トリエチレングリコールジアリルエーテル(triethylene glycol diallyl ether)、テトラエチレングリコールジアリルエーテル(tetraethylene glycol diallyl ether)、及びトリメチロールプロパントリメタクリレート(1、1、1-trimethylolpropane trimethacrylate)よりなる材料群より選択される少なくとも一種である、請求項1に記載のハイドロゲル組成物。
【請求項18】
前記重合開始剤は、光重合開始剤であり、前記光重合開始剤は、0.05重量部~0.72重量部である、請求項1に記載のハイドロゲル組成物。
【請求項19】
前記光重合開始剤は、ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1-ヒドロピロール-1-イル)フェニル)チタノセン(bis(2,6-difluoro-3-(1-hydropyrro-1-yl)-phenyl)titanocene)、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(phenylbis-(2,4,6-trimethylbenzoyl)-phosphine oxide)、及び2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン(2-hydroxy-2-methyl-1-phenyl-1-porpanone)よりなる材料群より選択される少なくとも一種である、請求項18に記載のハイドロゲル組成物。
【請求項20】
紫外線遮断単量体をさらに含み、前記紫外線遮断単量体は、0.34重量部~1.68重量部である、請求項1に記載のハイドロゲル組成物。
【請求項21】
前記紫外線遮断単量体は、ベンゾフェノン(benzophenone)を有する単量体、及びベンゾトリアゾール(benzotriazole)を有する単量体よりなる材料群より選択される少なくとも一種である、請求項20に記載のハイドロゲル組成物。
【請求項22】
溶解助剤をさらに含み、前記溶解助剤は、4.33重量部~12.67重量部である、請求項1に記載のハイドロゲル組成物。
【請求項23】
前記溶解助剤は、グリセロール(glycerol)、イソプロピルアルコール(isopropyl alcohol)、n-ブタノール(n-butanol)、t-ブタノール(t-butanol)、t-アミルアルコール(t-amyl alcohol)、及びn-ヘキサノール(n-hexanol)よりなる材料群より選択される少なくとも一種である、請求項22に記載のハイドロゲル組成物。
【請求項24】
染料をさらに含み、前記染料は、0.002重量部~0.039重量部である、請求項1に記載のハイドロゲル組成物。
【請求項25】
前記染料は、リアクティブブルー19(disodium、1-amino-9,10-dioxo-4-[3-(2-sulfonatooxyethylsulfonyl)anilino]anthracene-2-sulfonate)、スダンIII(1-[4-(Phenylazo)phenylazo]-2-naphthol、Sudan III)、インディゴ(2、2′-Bis(2,3-dihydro-3-oxoindolylidene)、Indigo)、及びキノリンイエロー(disodium 2-(1、3-dioxo-2,3-dihydro-1H-inden-2-yl)quinolone-6,8-disulfonate、Quinoline yellow)よりなる材料群より選択される少なくとも一種である、請求項24に記載のハイドロゲル組成物。
【請求項26】
前記親水性単量体は、アクリル基を有し、前記ロタキサン分子と、前記親水性単量体との前記重量比は、1:6~1:94である、請求項1に記載のハイドロゲル組成物。
【請求項27】
前記ロタキサン分子における前記環状分子が、α-シクロデキストリン(α-cyclodextrin)、またはβ-シクロデキストリン(β-cyclodextrin)である場合、前記ロタキサン分子と、前記親水性単量体との前記重量比は、1:11~1:54であり、前記ロタキサン分子における前記環状分子が、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(hydroxypropyl-β-cyclodextrin)である場合、前記ロタキサン分子と、前記親水性単量体との前記重量比は、1:17~1:86であり、前記ロタキサン分子における前記環状分子が、(2-ヒドロキシプロピル)-γ-シクロデキストリン((2-hydroxypropyl)-γ-cyclodextrin)である場合、前記ロタキサン分子と、前記親水性単量体との前記重量比は、1:19~1:94である、請求項26に記載のハイドロゲル組成物。
【請求項28】
前記ロタキサン分子において、前記直鎖状分子の平均分子量は、2,000~20,000であり、前記ロタキサン分子は、前記環状分子が前記直鎖状分子の両端から離脱することを防止するための封止基(slopper/capping)を含んでいない、請求項1に記載のハイドロゲル組成物。
【請求項29】
前記直鎖状分子の前記平均分子量は、4,000以上である、請求項28に記載のハイドロゲル組成物。
【請求項30】
前記ロタキサン分子において、前記環状分子の外周は親水性官能基を有し、前記環状分子の内部は疎水性空洞構造を有し、前記ロタキサン分子は、前記環状分子の外周の前記親水性官能基により前記親水性単量体と作用することで、前記ロタキサン分子は、ハイドロゲル組成物中に分散することができる、請求項1に記載のハイドロゲル組成物。
【請求項31】
前記ロタキサン分子における前記直鎖状分子は、湾曲した形態で前記親水性単量体に分散しており、少なくとも一つの前記環状分子の個数は、複数個であり、複数の前記環状分子は、串刺し状に前記直鎖状分子に貫通されて設置される、請求項1に記載のハイドロゲル組成物。
【請求項32】
貫通されて設置された前記複数の環状分子、及びそれらと隣り合った、貫通されて設置された前記複数の環状分子は、水素結合の作用により互いに引き合い、それによって、互いに積み重なるように配列することができる、請求項31に記載のハイドロゲル組成物。
【請求項33】
貫通されて設置された前記複数の環状分子は、前記直鎖状分子において、ヘッド・ツー・ヘッド(heads to heads)、及びテイルズ・ツー・テイルズ(tails to tails)の形態で配列される、請求項31に記載のハイドロゲル組成物。
【請求項34】
請求項1~33のいずれか一項に記載のハイドロゲル組成物で形成されるレンズ主体を含む、ことを特徴とするハイドロゲルレンズ。
【請求項35】
前記ロタキサン分子は、少なくとも、前記レンズ主体の凹弧面、または凸弧面に分布しており、それによって、ロタキサン分子層が形成され、前記ロタキサン分子は、活性成分を担持している、請求項34に記載のハイドロゲルレンズ。
【請求項36】
前記活性成分は、メントール、樟脳、竜脳、塩化カリウム、リゾチーム塩酸塩、グリチルリチン酸ジカリウム、6-アミノヘキサン酸、硫酸亜鉛、ビタミンB2、アズレンスルホン酸ナトリウム、スルファメトキサゾール、プラノプロフェン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン、クロロブタノール、フェニレフリン塩酸塩、フェニレフリン、ビタミンE、L-アスパラギン酸カリウム、L-アスパラギン酸マグネシウム、コンドロイチン硫酸、ネオスチグミンメチル硫酸塩、アスパラギン、ビタミンB12、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンA、タウリン、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、トラニラスト、ホウ酸、グリセリン、ヒアルロン酸、ポリオール、アラントインの中から選択される少なくとも一種を含む、請求項35に記載のハイドロゲルレンズ。
【請求項37】
前記レンズ主体の屈折率(refractive index)は、1.315~1.598であり、前記レンズ主体の可視光透過率(light transmittance)は、90%以上であり、前記レンズ主体の含水率(water content)は、10%~75%(w/w)であり、前記レンズ主体の動的接触角(dynamic contact angle)は、80度以下であり、前記レンズ主体の伸び率(elongation)は、250%~380%である、請求項34に記載のハイドロゲルレンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイドロゲル組成物に関し、特に、活性成分を担持・徐放可能なハイドロゲル組成物及びハイドロゲルレンズに関する。
【背景技術】
【0002】
過去数十年間、眼科用の薬物(または活性成分)の送達は、ずっと眼科学者にとって重要な課題であった。従来、一般的には、ヒトの目の治療は、点眼剤を局所的に滴下投与することによって行われる。しかし、このような送達方法では、人の目に入れた後、薬剤は瞬時に希釈され、涙点から排出されやすい。薬物はヒトの目に留まる時間が短いため、治療効果不良などの問題が発生する。このため、点眼回数を増やすか、もしくは、点眼量を増やすなどの方法が考えられるが、どちらも副作用のリスクが高まることから、より良い治療法であるとはいえない。
【0003】
そこで、上記問題が改善可能であることに鑑みて、鋭意研究を行い学理を併せて運用した結果、設計が合理的で且つ上述した問題を効果的に改善することができる方法として本発明を提出するに至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術の問題は、従来技術の不足に対し、ハイドロゲル組成物及びハイドロゲルレンズを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の技術的問題を解決するために、本発明が採用する一つの技術的手段は、ハイドロゲル組成物を提供することである。前記ハイドロゲル組成物は、60重量部~99.85重量部の親水性単量体、0.01重量部~1重量部の架橋剤、0.01重量部~2重量部の重合開始剤、及び0.1重量部~15重量部のロタキサン分子(rotaxane)を含み、なかでも、前記ロタキサン分子は、少なくとも一つの環状分子、及び少なくとも一つの前記環状分子に串刺し状に貫通された少なくとも一つの直鎖状分子を含み、なかでも、前記ロタキサン分子と、前記親水性単量体との重量比は、1:6~1:99である。
【0006】
上記の技術的問題を解決するために、本発明が採用する別の技術的手段は、ハイドロゲルレンズを提供することである。前記ハイドロゲルレンズは、前記ハイドロゲル組成物で形成されたレンズ主体を含む。
【0007】
本発明の一つの有利な効果として、本発明が提供する、ハイドロゲルレンズを作製するためのハイドロゲル組成物、及びハイドロゲルレンズは、ハイドロゲル組成物に、ロタキサン分子(rotaxane)を導入するという技術的手段によって、最終的に形成されるハイドロゲルレンズは、活性成分を担持・徐放する効果を有することができる。
【0008】
注意すべきことは、本発明のハイドロゲルレンズは、ロタキサン分子を導入した状況において、活性成分を担持・徐放する効果を有するのみならず、依然として、コンタクトレンズが必要な特性、例えば、レンズベースカーブ(base curve、BC)、レンズ中心厚み(center thickness、CT)、レンズ直径(diameter、DIA)、屈折率、可視光透過率、または動的接触角などを維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係るロタキサン分子が、ハイドロゲル組成物に分散していることを示す模式図である。
図2】本発明の実施形態に係る環状分子が、互いに積み重なって配列されていることを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の特徴及び技術内容がより一層分かるように、以下の本発明に関する詳細な説明と添付図面を参照する。しかし、提供される添付図面は参考と説明のために提供するものに過ぎず、本発明の請求の範囲を制限するためのものではない。
【0011】
以下、所定の具体的な実施態様によって本発明が開示した「ハイドロゲル組成物及びハイドロゲルレンズ」に係る実施形態を説明し、当業者は、本明細書に開示された内容に基づいて本発明の利点と効果を理解することができる。本発明は、他の異なる具体的な実施態様によって実行又は適用でき、本明細書における各細部についても、異なる観点と用途に基づいて、本発明の構想から逸脱しない限り、各種の修正と変更を行うことができる。以下の実施形態に基づいて本発明に係る技術内容を更に詳細に説明するが、開示される内容は本発明の保護範囲を制限するためのものではない。また、本明細書において使用される「または」という用語は、実際の状況に応じて、関連して挙げられる項目におけるいずれか1つ又は複数の組み合わせを含む可能性がある。
【0012】
本明細書において、冠詞について特に限定していない限り、「一つ」及び「前記」は、広範的に、単一又は複数を指している。更に理解すべきことは、本明細書において使用される「含有」、「含む」、「有する」及びそれらに類似する詞彙は、それらによって記載された特徴、領域、整数、ステップ、操作、素子及び/又は部品を明示しているが、他の特徴、領域、整数、ステップ、操作、素子、部品、及び/又はそれらの一部または全体よりなる群を排除していない。
【0013】
背景技術で言及した、従来技術の不足から分かるように、過去数十年間、眼科用の薬物(または活性成分)の送達は、ずっと眼科学者にとって重要な挑戦である。従来、一般的には、ヒトの目の治療は、点眼剤を局所的に滴下投与することによって行われる。しかし、点眼された薬物は瞬時に希釈され、涙点から排出されやすい。薬物はヒトの目に留まる時間が短いため、治療効果不良などの問題が発生する。このため、点眼回数を増やすか、もしくは、点眼量を増やすなどの方法が考えられるが、どちらも副作用のリスクが高まることから、より良い治療法であるとは考えられていない。
【0014】
上記の従来技術の不足を改善するために、本発明の目的の一つは、活性成分を送達するための担体の解決策として、新規のハイドロゲルレンズを提供することである。本発明は、新規のハイドロゲルレンズと、活性成分の徐放技術とを組み合わせて、新しい活性成分の送達方法とする。本発明によれば、活性成分をコンタクトレンズに留めることができ、それによって、活性成分が目に留まる時間が延長され、活性成分の利用率が高められ、それによって、使用者の装用感を高め、ひいては、長時間のケア効果を達成する。
[ハイドロゲル組成物]
【0015】
上記目的を実現するために、本発明の実施形態はハイドロゲルレンズを作製するためのハイドロゲル組成物を提供する。前記ハイドロゲル組成物は、親水性単量体(hydrophilic monomer)、架橋剤(crosslinker)、重合開始剤(initiator)、及びロタキサン分子(rotaxane)を含む。
【0016】
使用量に関しては、前記親水性単量体の使用量は、好ましくは、60重量部~99.85重量部であり、特に好ましくは、68.88重量部~99.85重量部である。前記架橋剤の使用量は、好ましくは、0.01重量部~1重量部、特に好ましくは、0.04重量部~0.57重量部である。前記重合開始剤の使用量は、好ましくは、0.01重量部~2重量部であり、特に好ましくは、0.05重量部~0.72重量部である。また、前記ロタキサン分子の使用量は通常、0.1重量部~15重量部であり、好ましくは、0.1重量部~12重量部であり、特に好ましくは、0.5重量部~8重量部である。
【0017】
ロタキサン分子が、均一にハイドロゲル組成物に分散し、かつ所望の効果を発揮するために、前記ロタキサン分子と、前記親水性単量体との重量比は、所定の割合を有する。例えば、前記ロタキサン分子と、前記親水性単量体との重量比は通常、1:6~1:99であり、好ましくは、1:11~1:99であり、特に好ましくは、1:14~1:74であるが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0018】
ロタキサン分子と、親水性単量体との重量比が、上記割合の下限値(例えば、1:1)よりも低いと、ロタキサン分子は、添加割合が高すぎるため、均一にハイドロゲル組成物に分散できない可能性があり、それによって、最終的に形成されるハイドロゲルレンズは、品質が不良となる(例えば、屈折率が不良である、または光透過率が不良である)恐れがある。
【0019】
一方、ロタキサン分子と、親水性単量体との重量比が、上記割合の上限値(例えば、1:200)よりも高いと、ロタキサン分子は、添加割合が低すぎるため、最終的に形成されるハイドロゲルレンズにおいて、所望の効果(例えば、活性成分を効果的に担持・徐放する)を発揮できない恐れがある。
【0020】
以下、本発明の実施形態に係るハイドロゲル組成物における各成分の材料種類を説明する。
【0021】
前記親水性単量体の分子構造は、好ましくは、ビニル基(vinyl group)、アセチル基(acetyl group)、プロペニル基(propenyl group)、またはアクリル基(acryl group)を有する。
【0022】
本発明の複数の実施形態において、前記親水性単量体は、N-ビニルピロリドン(N-vinyl pyrrolidone、NVP)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-hydroxyethyl methacrylate、HEMA)、メタクリル酸(methacrylic acid、MAA)、メチルメタクリレート(methyl methacrylate、MMA)、アクリル酸(acrylic acid、AAc)、N,N-ジメチルアクリルアミド(N,N-dimethyl acrylamide、DMA)、2,3-ジヒドロキシプロピルメタクリレート(2,3-dihydroxypropyl methacrylate、GMMA)、N,N-ジメチルメタクリルアミド(N,N-dimethyl methacrylamide)、及びN-ビニル-N-メチルアセトアミド(N-vinyl-N-methyl acetamide)よりなる材料群より選択される少なくとも一種である。
【0023】
本発明の複数の実施形態において、前記ハイドロゲル組成物は、シリコーン化合物をさらに含み、前記シリコーン化合物は、シリコーン単量体、シリコーン高分子重合体、及びシリコーンプレポリマーよりなる材料群より選択される少なくとも一種である。それによって、最終的に形成されるハイドロゲルレンズは、シリコーンハイドロゲルレンズであることができる。
【0024】
本発明の複数の実施形態において、前記架橋剤は、エチレングリコールジメタクリレート(ethylene glycol dimethacrylate)、ジエチレングリコールジメタクリレート(diethylene glycol dimethacrylate)、トリエチレングリコールジメタクリレート(triethylene glycol dimethacrylate)、テトラエチレングリコールジメタクリレート(tetraethylene glycol dimethacrylate)、アリルメタクリレート(allyl methacrylate)、トリエチレングリコールジアリルエーテル(triethylene glycol diallyl ether)、テトラエチレングリコールジアリルエーテル(tetraethylene glycol diallyl ether)、及びトリメチロールプロパントリメタクリレート(1、1、1-trimethylolpropane trimethacrylate)よりなる材料群より選択される少なくとも一種である。
【0025】
本発明の複数の実施形態において、前記重合開始剤は、光重合開始剤である。
【0026】
前記光重合開始剤は、ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1-ヒドロピロール-1-イル)フェニル)チタノセン(bis(2,6-difluoro-3-(1-hydropyrro-1-yl)-phenyl)titanocene)、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(phenylbis-(2,4,6-trimethylbenzoyl)-phosphine oxide)、及び2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン(2-hydroxy-2-methyl-1-phenyl-1-porpanone)よりなる材料群より選択される少なくとも一種である。
【0027】
さらに言えば、前記ロタキサン分子は、少なくとも一つの環状分子(cyclic molecule)、及び少なくとも一つの直鎖状分子(linear molecule)を含み、かつ少なくとも一つの前記直鎖状分子は、串刺し状に少なくとも一つの前記環状分子を貫通している。
【0028】
ロタキサン分子が効果的に活性成分を担持・徐放するために、前記環状分子と、直鎖状分子との重量比は、所定の割合を有する。例えば、少なくとも一つの前記環状分子と、少なくとも一つの前記直鎖状分子との重量比は、好ましくは、1:1~50:1であり、特に好ましくは、5:1~35:1である。
【0029】
即ち、前記ロタキサン分子において、前記環状分子の個数は通常、複数個であり、前記直鎖状分子の個数は通常、一つであり、かつ一つの前記直鎖状分子は複数の前記環状分子に貫通されている。
【0030】
このようにして、前記環状分子と、直鎖状分子との間に十分な空間が形成され、有効量の活性成分を担持できる。さらに、前記環状分子と、前記直鎖状分子との間は動的構造を呈し、それによって、前記ロタキサン分子は、活性成分を緩やかに放出する効果を実現できる。
【0031】
前記環状分子と、直鎖状分子との重量比が、上記の所定の割合を超えると、前記ロタキサン分子の、活性成分を担持・徐放する効果が低下する恐れがある。
【0032】
材料の種類に関しては、前記環状分子は、例えば、シクロデキストリン(cyclodextrin)、またはその誘導体であってもよいが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0033】
本発明の複数の実施形態において、前記シクロデキストリンは、α-シクロデキストリン(α-cyclodextrin)、β-シクロデキストリン(β-cyclodextrin)、γ-シクロデキストリン(γ-cyclodextrin)、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(hydroxypropyl-β-cyclodextrin)、(2-ヒドロキシプロピル)-γ-シクロデキストリン((2-hydroxypropyl)-γ-cyclodextrin)、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン(sulfobutylether-β-cyclodextrin)、及びメチル-β-シクロデキストリン(methyl-β-cyclodextrin)よりなる材料群より選択される少なくとも一種である。
【0034】
さらに、前記環状分子は、例えば、クラウンエーテル(crown ether)、またはその誘導体であってもよいが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0035】
本発明の複数の実施形態において、前記クラウンエーテルは、12-クラウン-4(12-crown-4)、15-クラウン-5(15-crown-5)、18-クラウン-6(18-crown-6)、ベンゾ-18-クラウン-6(benzo-18-crown-6)、ベンゾ-15-クラウン-5(benzo-15-crown-5)、ジシクロヘキシル-18-クラウン-6(dicyclohexyl-18-crown-6)、2-(ヒドロキシメチル)-12-クラウン-4-エーテル(2-(hydroxymethyl)-12-crown-4-ether)、2-(ヒドロキシメチル)-15-クラウン-5-エーテル(2-(hydroxymethyl)-15-crown-5-ether)、及び2-(ヒドロキシメチル)-18-クラウン-6-エーテル(2-(hydroxymethyl)-18-crown-6-ether)よりなる材料群より選択される少なくとも一種である。
【0036】
さらに言えば、前記直鎖状分子は、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol、PEG)、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol、PVA)、及びポリプロピレングリコール(polypropylene glycol、PPG)よりなる材料群より選択される少なくとも一種である。
【0037】
なかでも、ポリエチレングリコールは、下記式(1)で表される構造を有する。
【化1】
【0038】
なかでも、ポリビニルアルコールは、下記式(2)で表される構造を有する。
【化2】
【0039】
なかでも、ポリプロピレングリコールは、下記式(3)で表される構造を有する。
【化3】
【0040】
なかでも、nは、好ましくは、4を超える正の整数であり、特に好ましくは、100~6,000の正の整数である。さらに、前記直鎖状分子の平均分子量は、好ましくは、200~20,000であるが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0041】
注意すべきことは、本発明の目的の一つとして、ハイドロゲルレンズを作製するためのハイドロゲル組成物に「ロタキサン分子」を導入し、ロタキサン分子の、活性成分を担持できる特性により、ハイドロゲルレンズは、包接技術を取り入れることができ、それによって、活性成分を担持・徐放する効果を有する。
【0042】
なかでも、上記「包接技術」とは、活性成分(または目標物)が環状分子に包み込まれることによって、活性成分が安定した状態を呈することができる技術である。さらに、環状分子は、直鎖状分子と組み合わせてロタキサン分子を形成することができ、それによって、緩やかに活性成分を放出する目的を実現する。
【0043】
言い換えれば、「包接技術」とは、一方の分子種が、他方の分子種の空洞構造に包み込まれることによって、包接化合物(inclusion compound)が形成される技術である。なかでも、包接化合物は、ホスト分子(host molecule)と、ゲスト分子(guest molecule)とが反応して合成される。また、ホスト分子は、ゲスト分子を内部に収納するのに十分に大きな空洞構造を有し、それによって、分子カプセル(molecule capsule)を形成する。
【0044】
本発明の一つの具体的な実施形態では、前記ロタキサン分子において、環状分子は、シクロデキストリンであり、かつ直鎖状分子はポリエチレングリコール(PEG)であるが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0045】
なかでも、シクロデキストリンの分子形状は、タイヤに近似しており、それぞれのグルコース残基のC-2位、及びC-3位の二級水酸基はシクロデキストリン環の一端に位置しており、その直径が若干大きく、C-6位の一級水酸基は、シクロデキストリン環の他端に位置しており、その直径が若干小さい。そのため、シクロデキストリン分子の内部は、疎水性空洞構造であり、それによって、脂溶性活性成分(例えば、メントール、ビタミンE酢酸エステル)を中に取り込み、担持することができる。
【0046】
以下、三種類の主要類型のシクロデキストリンの化学構造を示す。
【表1】
【0047】
シクロデキストリンと、脂溶性活性成分とを、共に溶媒に溶かし、反応させると、前記脂溶性活性成分は通常、シクロデキストリンの疎水性空洞構造に入り込み、シクロデキストリンは、その外周の水酸基(-OH基)により、水溶液、または極性の大きい溶液(例えば、親水性単量体、またはコンタクトレンズケア用液)と作用し、それによって、脂溶性活性成分の溶解度を高める効果を達成する。
【0048】
シクロデキストリンと、脂溶性活性成分とを、複合体に形成することで、溶解度を高めるほか、さらに、複合体を直鎖状分子(例えば、PEG)と組み合わせて反応させると、ロタキサン分子を形成することができ、それによって、担持した活性成分を安定に放出する。
【0049】
もっと具体的に言えば、上記ロタキサン分子は、環状分子と、直鎖状分子との間の超分子相互作用によって形成される。ロタキサン分子は、一つまたは複数の環状分子(輪)、及び一つの直鎖状分子(軸)を含む。直鎖状分子及び環状分子は、弱い相互作用である「力学的結合/機械的結合」(mechanical bond)によって互いに連結するのであって、強い共有結合または配位結合によって互いに連結するのではない。そのため、このような超分子重合体は、より小さい安定性を有し、かつ動的構造を有し、例えば、小分子薬物、タンパク質薬物、または遺伝子などの活性成分を担持するのに適している。
【0050】
注意すべきことは、ロタキサン分子が活性成分を担持する能力に関しては、本発明者は色々研究し、学術文献に発表している。
【0051】
例えば、非特許文献Pol.J.Chem.Tech. 2016 18(3) 110-116は、シクロデキストリンはメントールを効果的に担持できることを示している。非特許文献J Fluoresc. 2007 17 265-270は、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(hydroxypropyl-β-cyclodextrin、HP-β-CD)は、ビタミンB12(Vitamin B12)を効果的に担持できることを示している。また、非特許文献J Agric Food Chem. 2017 65(26) 5404-5412も、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(hydroxypropyl-β-cyclodextrin、HP-β-CD)は、ビタミンE(Vitamin E)を効果的に担持でき、それによって、ビタミンEの水に対する溶解度が増加したことを示している。
【0052】
また、注意すべきことは、前述したように、前記ロタキサン分子と親水性単量体との重量比は通常、1:6~1:99である。本発明の一部の具体的な実施形態において、前記親水性単量体の分子構造は、好ましくは、アクリル基(acryl group)を含有する官能基を有し、かつそれらの具体的な実施形態において、前記ロタキサン分子と、親水性単量体との重量比は、好ましくは、1:6~1:94である。
【0053】
なかでも、上記アクリル基(acryl group)を含有する官能基は、例えば、以下の四種類の化学構造の中より選択される少なくとも一種であってもよい。
【化4】
【0054】
さらに言えば、本発明者は、異なるシクロデキストリンの材料を選択することにより、前記ロタキサン分子と、親水性単量体との重量比の好ましく割合が異なることを見出した。
【0055】
例えば、前記ロタキサン分子における環状分子が、α-シクロデキストリン(α-cyclodextrin)、またはβ-シクロデキストリン(β-cyclodextrin)である場合、前記ロタキサン分子と、親水性単量体との重量比は、好ましくは、1:11~1:54である。前記ロタキサン分子における環状分子が、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(hydroxypropyl-β-cyclodextrin)である場合、前記ロタキサン分子と、親水性単量体との重量比は、好ましくは、1:17~1:86である。さらに、前記ロタキサン分子における環状分子が、(2-ヒドロキシプロピル)-γ-シクロデキストリン((2-hydroxypropyl)-γ-cyclodextrin)である場合、前記ロタキサン分子と、親水性単量体との重量比は、好ましくは、1:19~1:94である。
【0056】
ハイドロゲルレンズの紫外線遮断能力を高めるために、本発明の複数の実施形態において、前記ハイドロゲル組成物は、0.34重量部~1.68重量部の紫外線遮断単量体をさらに含む。
【0057】
なかでも、前記紫外線遮断単量体は、ベンゾフェノン(benzophenone)を有する単量体、及びベンゾトリアゾール(benzotriazole)を有する単量体よりなる材料群より選択される少なくとも一種である。
【0058】
ハイドロゲル組成物の溶解性を高めるために、本発明の複数の実施形態において、前記ハイドロゲル組成物は、4.33重量部~12.67重量部の溶解助剤をさらに含む。
【0059】
なかでも、前記溶解助剤は、グリセロール(glycerol)、イソプロピルアルコール(isopropyl alcohol)、n-ブタノール(n-butanol)、t-ブタノール(t-butanol)、t-アミルアルコール(t-amyl alcohol)、及びn-ヘキサノール(n-hexanol)よりなる材料群より選択される少なくとも一種である。
【0060】
ハイドロゲルレンズに所定の色彩を持たせるために、本発明の複数の実施形態において、前記ハイドロゲル組成物は、0.002重量部~0.039重量部の染料をさらに含む。
【0061】
なかでも、前記染料は、リアクティブブルー19(disodium、1-amino-9,10-dioxo-4-[3-(2-sulfonatooxyethylsulfonyl)anilino]anthracene-2-sulfonate)、スダンIII(1-[4-(Phenylazo)phenylazo]-2-naphthol、Sudan III)、インディゴ(2、2′-Bis(2,3-dihydro-3-oxoindolylidene)、Indigo)、及びキノリンイエロー(disodium 2-(1、3-dioxo-2,3-dihydro-1H-inden-2-yl)quinolone-6,8-disulfonate、Quinoline yellow)よりなる材料群より選択される少なくとも一種である。
【0062】
さらに言えば、本発明の好ましい一実施形態において、前記ロタキサン分子における直鎖状分子(例えば、PEG、PVA、PPG)は、相対的に高い分子量を有するため、相対的に長い高分子鎖を有する。具体的には、前記ロタキサン分子における直鎖状分子は、2,000~20,000の平均分子量を有し、好ましくは、4,000~15,000の平均分子量を有し、特に好ましくは、4,000~8,000の平均分子量を有する。上述した設置により、前記ロタキサン分子における直鎖状分子は、十分に長い高分子鎖を有するため、前記環状分子は、直鎖状分子において摺動するのに十分な空間を有し、直鎖状分子から離脱しにくい。それによって、前記ロタキサン分子は、環状分子が直鎖状分子の両端から離脱することを防止するための封止基(slopper/capping)を必要としない。言い換えれば、前記ロタキサン分子は、直鎖状分子の両端に封止基が形成されていなくても、依然としてロタキサン分子の形態を安定に維持できる。
【0063】
さらに言えば、前記ロタキサン分子において、前記環状分子(例えば、シクロデキストリン)の外周は、親水性官能基(例えば、水酸基、-OH基)を有するため、前記環状分子の外周は高い親水性を有する。さらに、前記環状分子の内部は、疎水性空洞構造を有するため、環状分子の内部は高い疎水性を有し、かつ前記疎水性空洞構造は、脂溶性活性成分が中に入り込むことができるため、活性成分の担持効果を高めることができる。前記環状分子の外周が親水性官能基を有するため、前記ロタキサン分子は、環状分子の外周の親水性官能基により、ハイドロゲル組成物における親水性単量体(例えば、NVP、HEMAなど)と作用する、または結合することで、前記ロタキサン分子は、(極性分子と極性分子との間の交互作用により)ハイドロゲル組成物中に均一に分散できる。
【0064】
さらに言えば、図1に示すように、前記ハイドロゲル組成物100において、前記ロタキサン分子1における直鎖状分子11は、湾曲した形態で親水性単量体2に分散しており、かつ前記ロタキサン分子1は、串刺し状に直鎖状分子11に貫通されて設置される複数の環状分子12を含む。
【0065】
注意すべきことは、前記ハイドロゲル組成物100において、串刺し状に貫通された複数の環状分子12、及びそれらと隣り合った、串刺し状に貫通された複数の環状分子12は、水素結合の作用により互いに引き合い、それによって、互いに積み重なるように配列することができる(図2参照)。
【0066】
また、再度図1を参照されたい。図1に示すように、前記ハイドロゲル組成物100において、一部の環状分子12は、直鎖状分子11に貫通されて設置されておらず、直鎖状分子11の外側に散らばり、独立した分子として存在するが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0067】
さらに、図2に示すように、水素結合の作用により、串刺し状に貫通された複数の環状分子12は、直鎖状分子11において、ヘッド・ツー・ヘッド(heads to heads)及びテイルズ・ツー・テイルズ(tails to tails)の形態で配列される。
【0068】
また、注意すべきことは、前記ハイドロゲル組成物100は、ロタキサン分子1の添加により、優れた引張性能を有することができる。具体的に言えば、前記ハイドロゲル組成物100で作製されたハイドロゲルレンズは、250%~380%の伸び率を有し、更に好ましくは、320%~380%の伸び率を有する。
[ハイドロゲル組成物の調製方法]
【0069】
ロタキサン分子の調製方法は、例えば、以下のようにして行うことができる。環状分子と、直鎖状分子とを、上記の実施形態に記載された使用量の割合で水に添加し、数時間混合攪拌し、完全に反応すると、反応溶液が得られ、次いで、反応溶液を乾燥させることで、ロタキサン分子粉末を得る。
【0070】
ハイドロゲル組成物の調製方法は、例えば、以下のようにして行うことができる。上記ロタキサン分子、架橋剤、及び重合開始剤などの材料を、ゆっくりと親水性単量体に加え、数時間混合攪拌し、完全に反応すると、ハイドロゲル組成物が得られる。即ち、この実施形態においては、環状分子及び直鎖状分子は、ハイドロゲル組成物を調製する前に、ロタキサン分子に形成される。
【0071】
また、ハイドロゲル組成物の調製方法は、例えば、以下のようにして行うこともできる。環状分子、直鎖状分子、架橋剤、重合開始剤などの材料を、ゆっくりと親水性単量体に加え、数時間混合攪拌し、完全に反応すると、ハイドロゲル組成物が得られる。即ち、この実施形態においては、環状分子及び直鎖状分子は、ハイドロゲル組成物を調製する時に、ロタキサン分子に形成される。
[ハイドロゲルレンズの作製方法]
【0072】
ハイドロゲルレンズの作製方法は、例えば、以下のようにして行うことができる。上記のハイドロゲル組成物を、ハイドロゲルレンズを製造するための金型に注入し、ハイドロゲル組成物に対し、成形固化のプロセスを行えば、乾燥したハイドロゲルレンズの半製品が得られる。
【0073】
次いで、ハイドロゲルレンズが膨潤するまで、乾燥したハイドロゲルレンズの半製品を緩衝液に浸ける(水化プロセス)。そして、緩衝液を包裝容器に充填し、ハイドロゲルレンズを緩衝液に浸け、次いで、密封及び滅菌処理を行えば、コンタクトレンズ製品の作製が完了する。
【0074】
なかでも、上記活性成分(例えば、小分子薬物、タンパク質薬物または遺伝子)は、例えば、コンタクトレンズの材料に添加して、または混入させてもよく、または、例えば、コンタクトレンズの脱型及び膨潤工程において、コンタクトレンズに担持させてもよく、または、コンタクトレンズを浸ける緩衝液に溶解することで、コンタクトレンズに担持させてもよい。それによって、使用者がコンタクトレンズを眼球表面に貼り合わせると、上記活性成分は、時間の経過と共に、緩やかにレンズから放出することができ、それによって、使用者の目に吸收される。
【0075】
言い換えれば、上記活性成分(例えば、小分子薬物、タンパク質薬物または遺伝子)が、如何にロタキサン分子に添加する、または担持するか関しては、本発明の複数の実施形態において、上記活性成分は、例えば、レンズ原料を配合調製する時に添加してもよく、レンズを水化させる時に添加してもよく、または、保存液に添加してもよい。
【0076】
このような徐放システムにおいて、コンタクトレンズが担持できる活性成分は、例えば、涼感効果または痒み止め効果を有する成分、例えば、メントール(menthol、l-menthol)、樟脳(d-camphor、dl-camphor)、竜脳(d-borneol)、塩化カリウム(potassium chloride)であってもよい。
【0077】
前記活性成分は、例えば、抗炎症効果を有する成分、例えば、リゾチーム塩酸塩(lysozyme hydrochloride)、グリチルリチン酸ジカリウム(dipotassium glycyrrhizinate)、6-アミノヘキサン酸(aminocaproic acid、ε-aminocaproic acid、6-aminohexanoic acid)、硫酸亜鉛(zinc sulfate)、ビタミンB2(vitamin B2、riboflavin)、アズレンスルホン酸ナトリウム(sodium azulene sulfonic acid)、スルファメトキサゾール(sulfamethoxazole、sulfamethoxazole sodium)、プラノプロフェン(prano-profen)であってもよい。
【0078】
前記活性成分は、例えば、結膜の充血症状を緩和する効果を有する成分、例えば、ナファゾリン(naphazoline、naphazoline hydrochloride)、テトラヒドロゾリン(tetrahydrozoline、tetryzoline、tetrahydrozoline hydrochloride)、クロロブタノール(chlorobutanol、chlorobutanol hemihydrate)、フェニレフリン塩酸塩(phenylephrine hydrochloride)、フェニレフリン(phenylephrine)であってもよい。前記活性成分は、例えば、抗酸化効果、または眼精疲労改善効果を有する成分、例えば、ビタミンE(vitamin E、α-tocopheryl acetate)、L-アスパラギン酸カリウム(potassium L-aspartate)、L-アスパラギン酸マグネシウム(magnesium L-aspartate)、コンドロイチン硫酸(chondroitin sulfate、chondroitin sulfate sodium salt、sodium chondroitin chloride)、ネオスチグミンメチル硫酸塩(neostigmine methylsulfate)、アスパラギン(asparagine)、ビタミンB12(vitamin B12、cyanocobalamin、methylcobalamin、adenosylcobalamin、hydroxocobalamin)、ビタミンB5(vitamin B5、pantothenic acid)、ビタミンB6(vitamin B6、pyridoxine hydrochloride)、ビタミンA(vitamin A、vitamin A palmitate)、タウリン(taurine)であってもよい。
【0079】
前記活性成分は、例えば、抗アレルギー効果、または痒み止め効果を有する成分、例えば、ジフェンヒドラミン(diphenhydramine、diphenhydramine hydrochloride)、クロルフェニラミン(chlorpheniramine、chlorpheniramine maleate)、トラニラスト(tranilast)であってもよい。
【0080】
さらに、前記活性成分は、例えば、保湿効果、またはアレルギー症状を緩和する効果を有する成分、例えば、ホウ酸(boric acid)、グリセリン(glycerine)、ヒアルロン酸(hyaluronic acid)、ポリオール(polyol)、アラントイン(allantoin)であってもよい。
[ハイドロゲルレンズ]
【0081】
本発明の実施形態は、上記ハイドロゲル組成物で形成されるハイドロゲルレンズをも提供する。
【0082】
なかでも、前記ロタキサン分子は、少なくとも、前記レンズ主体の凹弧面、または凸弧面に分布しており、それによって、ロタキサン分子層が形成され、かつ前記ロタキサン分子は、設置により活性成分を担持している。なかでも、前記活性成分は、小分子薬物、タンパク質薬物、及び遺伝子の中より選択される少なくとも一種である。
【0083】
それによって、使用者がコンタクトレンズを眼球表面に貼り合わせると、上記活性成分は、時間の経過と共に、緩やかにレンズから放出することができ、それによって、使用者の目に吸收される。
【0084】
さらに、前記レンズ主体の屈折率(refractive index)は、好ましくは、1.315~1.598であり、特に好ましくは、1.398~1.485である。
【0085】
前記レンズ主体の可視光透過率(visible light transmittance)は、好ましくは、90%以上であり、特に好ましくは、95%以上である。
【0086】
前記レンズ主体の動的接触角(dynamic contact angle、DCA)は、好ましくは、38未満であり、特に好ましくは、35未満であり、それによって、良好な湿潤性を有する。
【0087】
本発明の複数の実施形態において、前記コンタクトレンズのレンズ主体は、例えば、発明が属する技術分野における周知の如何なるレンズであってもよい。例えば、前記レンズ主体は、例えば、酸素透過性ハードコンタクトレンズ(rigid gas permeable、RGP)、ハイドロゲルソフトコンタクトレンズ(hydrogel soft contact lens、SCL)、またはシリコーンハイドロゲルソフトコンタクトレンズ(silicone hydrogel soft contact lens)であってもよい。
[実驗データ試験]
【0088】
以下、表1における実施例1~4を參照し、本発明の内容を詳細に説明するが、以下の実施例は、本発明をよりよく理解するためのものであり、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
【0089】
表1における実施例のレンズは、上述した、ハイドロゲル組成物の調製方法、及びハイドロゲルレンズの作製方法によって作られたものである。
【0090】
表1における実施例のレンズには、作製完成後、物理化学的特性の試験、例えば、ベースカーブ(base curve、BC)、中心厚み(center thickness、CT)、直径(diameter、DIA)、屈折率(refractive index)、光透過率(light transmittance)、含水率(water content)、大気脱水率(atmospheric dehydration)、潤滑性(lubricity)、動的接触角(dynamic contact angle、DCA)、伸び率(elongation)、水抽出試験(water extraction test)及びヘキサン抽出試験(hexane extraction test)を行った。
【0091】
動的接触角の測定は、動的接触角計を用いて、水中気泡法(captive bubble method)を接触角の測定方法とする。水中気泡法は、コンタクトレンズの湿潤性または親水性を測定するための測定方法としてよく使用される。一般的には、ハイドロゲルコンタクトレンズの動的接触角は、50度以下であることができる。以下に示す実施例1~4において、作製されたハイドロゲルレンズは、動的接触角は、すべて80度以下であり、具体的には、すべて38度以下であり、もっと具体的には、すべて35度以下であり、それによって、良好な湿潤性を有する。
【0092】
大気脱水率の測定は、レンズ材質の保水度を評価するための重要な判断基準の一つである。測定方法は、以下のようにして行われる。水化して膨潤した後のハイドロゲルレンズを数枚、湿布の上に置き、余分な水分を軽く拭き取り、上記レンズを天秤の皿に置き、レンズの重量を測定し、かつ異なる時点(例えば、10分大気脱水後、30分大気脱水後、60分大気脱水後)における重量を測定する。表1は、異なる実施例において、レンズの大気脱水率の測定結果を示す。
【0093】
情報によると、コンタクトレンズが早く乾燥することが、装用者がコンタクトレンズの使用を中止する主要な原因の一つである。表1に示すように、本発明者は、ロタキサン分子を添加したハイドロゲルレンズ(実施例1~4)と、ロタキサン分子を添加していないハイドロゲルレンズ(比較例1)とを比較した場合、ロタキサン分子を添加したハイドロゲルレンズがより低い脱水率を有することを意外にも見出した。即ち、ロタキサン分子を添加したコンタクトレンズの乾燥速度が相対的に遅く、装用者がレンズの乾燥を比較的に感じにくい。
【0094】
伸び率の測定は、レンズの引っ張り彈性を評価するために行われる。もっと具体的には、測定方法は、水化して膨潤した後のレンズを、定規で測ることによって測定する方法であり、以下のようにして行われる。レンズ本体を中心軸に沿って、相対距離が0.25cmである両端を固定し(即ち、レンズ本体の可視長さは0.5cmである)、かつレンズの左側の固定端を、定規の0cmに合わせ、所定の力でレンズ本体を中心軸の方向に沿って、レンズ本体の右へ引っ張り、レンズ本体が破断する直前における最後の長さ(cm)を記録し、その後、引っ張り後の長さから、引っ張り前の長さを引き、得られた数値を引っ張り前の長さで割ることで、伸び率を算出し、百分率で表す。
【0095】
伸び率の計算式は、以下に示される:
伸び率(%)=引張り後の長さ-引張り前の長さ/引張り前の長さx100%。
【0096】
伸び率の測定は、レンズ性質を評価するための重要な判断基準の一つである。レンズが固すぎる(例えば、伸び率が150%未満である)と、使用者が装用する時、レンズは使用者の目に不適感を与えやすい。レンズが柔らかすぎる(例えば、伸び率が500%を超える)と、使用者がレンズを装用するために、レンズを指腹に置くとき、レンズは、平らに指腹に置きにくく、レンズの装用が困難である。以下に示す実施例1~4において、作製されるハイドロゲルレンズは、250%~380%の伸び率を有し、もっと具体的には、320%~380%の伸び率を有する。
【0097】
潤滑性の測定は、レンズの装着快適性を評価するための重要な判断基準の一つである。良好な潤滑性を有するコンタクトレンズは、使用者に良好な装着快適性を与えることができる。評価方法は、以下のようにして行われる。ブラインドテストにより、パネラーに1点~10点で採点してもらい、点数が高いほど、潤滑性が良好であることを示す。以下に示す実施例1~4において、作製されるハイドロゲルレンズは、すべて5点ほどの採点結果を有する。
【0098】
含水量の測定は、平衡状態において、レンズ本体に吸收される水量を表す。含水量は、ISO18369-4を参考にして設定される。含水量は、以下のようにして測定することができる。水化して膨潤した後のハイドロゲルレンズを数枚、湿布の上に置き、それらのレンズの余分な水分を軽く拭き取り、それらのレンズを天秤の皿に置き、脱水前のレンズ重量(a)を測定し、それらのレンズを数時間、恒温恒湿器に置いた後、脱水後のレンズ重量(b)を測定し、脱水前のレンズ重量(a)から、脱水後のレンズ重量(b)を引き、さらに、脱水前のレンズ重量(a)で割り、得られた値はこのレンズ本体の含水量となる。含水量は、百分率で表すことができる。以下に示す実施例1~4において、作製されるハイドロゲルレンズは、すべて10%~75%(w/w)の含水率を有し、具体的には、32%~70%の含水率を有し、もっと具体的には、36%~65%の含水率を有する。
【0099】
含水量の計算式は、以下に示される:
含水量(%)=レンズ湿重量(a)-レンズ乾重量(b)/レンズ湿重量(a)x100%。
【0100】
また、説明しておきたいことは、以下に示す表1において、レンズのベースカーブ(BC)及び直径(DIA)は、コンタクトレンズの光学測定機器によって測定される。レンズの中心厚み(CT)は、レンズ厚さの測定機器によって測定される。レンズの屈折率は、アッベ屈折計(Abbe refractiometer)によって測定される。レンズの光透過率は、紫外線分光光度計を用いて、可視光透過値を測定して得られる。
[比較例1及び実施例1~4]
【0101】
以下に示す表1は、比較例1(対照群)及び実施例1~4のハイドロゲル組成物と、それらの物理化学的特性の試験結果と、を示す。上記実施例は、例示に過ぎず、本発明を制限するためのものではない。
【0102】
具体的に言えば、比較例1及び実施例1~4のハイドロゲル組成物はすべて、85.28重量部の親水性単量体、0.88重量部の架橋剤、0.50重量部の重合開始剤、1.11重量部の紫外線遮断単量体、12.21重量部の溶解助剤、及び0.02重量部の染料を含む。なかでも、比較例1は対照群であり、その中にロタキサン分子が添加されておらず、実施例1~実施例4は、その中に異なる重量部のロタキサン分子が添加されている。なかでも、実施例1~4のロタキサン分子において、環状分子は、シクロデキストリン(cyclodextrin)を採用しており、かつ線状分子は、ポリエチレングリコール(PEG)を採用している。
【0103】
【表2】
【0104】
表1から分かるように、ロタキサン分子を添加したハイドロゲルレンズ(実施例1~実施例4)と、ロタキサン分子を添加していないハイドロゲルレンズ(比較例1、対照群)と比較した場合、ロタキサン分子を添加したハイドロゲルレンズは、より小さい動的接触角を有する。即ち、ロタキサン分子を添加したコンタクトレンズは、より良い湿潤性を有する。
【0105】
表1から分かるように、ロタキサン分子を添加したハイドロゲルレンズ(実施例1~実施例4)と、ロタキサン分子を添加していないハイドロゲルレンズ(比較例1、対照群)と比較した場合、ロタキサン分子を添加したハイドロゲルレンズは、より低い大気脱水率を有する。即ち、ロタキサン分子を添加したコンタクトレンズの乾燥速度が相対的に遅く、それによって、装用者は、レンズが乾燥することを比較的に感じにくい。
【0106】
表1から分かるように、ロタキサン分子を添加したハイドロゲルレンズ(実施例1~実施例4)は、コンタクトレンズ表面の基本的な物理化学的特性(例えば、ベースカーブ、中心厚み、直径、屈折率、伸び率、透過率、潤滑性)において、ロタキサン分子を添加していないハイドロゲルレンズ(比較例1、対照群)よりも優れている。即ち、ハイドロゲルレンズは、ロタキサン分子を導入した状況において、より良い湿潤性、より低い大気脱水率、及び活性成分を担持・徐放する能力を有するのみならず、依然としてコンタクトレンズが必要な特性を維持できる。
【0107】
さらに、表1中のハイドロゲルレンズにおいて、水抽出物の重量、及びヘキサン抽出物の重量が非常に低いため、ハイドロゲル組成物の固化度合いが非常に高いことを示す。
[コンタクトレンズ装用状況の臨床評価]
【0108】
以下に、実務上、よく用いられる、コンタクトレンズ装用状況の臨床評価方法を示し、かかる臨床評価方法は、アンケート調査、及び涙液メニスカス高の測定を含む。
【0109】
アンケート調査(官能試験):装用者の実際状況を知るために、コンタクトレンズのアンケートを用いて、装用症状、その発生頻度、及び長時間の装用感を調査した。
【0110】
アンケート調査の評価方法は、以下のようにして行うことができる。表1に示す比較例1及び実施例1~4において、作製されるハイドロゲルレンズを、すべてメントールを含むコンタクトレンズ保存液に浸けることによって、メントール分子の担持を行い、その後、これらのコンタクトレンズを取り出す。次いで、5名のパネラーを選択し、総合的な評価試験を行い、かかる評価試験は、5名の25歳~40歳のパネラーによって行われ、また、5名のパネラーは、装用したレンズが実験群であるかまたは対照群であるか、装用したレンズが実施例であるかまたは比較例であるか、及び装用したレンズ中の薬物添加成分を知らないままで、評価試験を行い、1点~10点で採点してもらい、点数が高いほど、かかる項目を強く感じることを示し、5名のパネラーの調査結果を表2に示す。
【0111】
【表3】
【0112】
涙液メニスカス高(Tear Meniscus Height):角膜トポグラファーを用いて、涙液層を観察することで、涙液メニスカス高を測定し、それによって、使用者の涙液が十分であるかを判断する。正常の人の涙液メニスカス高は、約0.25mmであり、測定した高さがこの数値よりも低いと、涙液の分泌量が不足であることを表す。
【0113】
涙液メニスカス高の評価方法は、以下のようにして行われる。表1に示す比較例1及び実施例1~4において、作製されるハイドロゲルレンズを、すべてメントールを含むコンタクトレンズ保存液に浸けることによって、メントール分子の担持を行い、その後、これらのコンタクトレンズを取り出す。次いで、5名のパネラーを選択し、涙液メニスカス高を測定することによって、パネラーの涙液の分泌量を判定する。メントールが持続的に作用すると、刺激により涙液分泌が促進される。かかる評価試験は、5名の25歳~40歳のパネラーによって行われ、また、5名のパネラーは、装用したレンズが実験群であるかまたは対照群であるか、装用したレンズが実施例であるかまたは比較例であるか、及び装用したレンズ中の薬物添加成分を知らないままで、評価試験を行い、5名のパネラーの調査結果を表3に示す。
【0114】
【表4】

[実施形態による有利な効果]
【0115】
本発明の一つの有利な効果として、本発明が提供する、ハイドロゲルレンズを作製するためのハイドロゲル組成物、及びハイドロゲルレンズは、ハイドロゲル組成物に、ロタキサン分子(rotaxane)を導入するという技術的手段によって、最終的に形成されるハイドロゲルレンズは、活性成分を担持・徐放する効果を有することができる。
【0116】
注意すべきことは、本発明のハイドロゲルレンズは、ロタキサン分子を導入した状況において、活性成分を担持・徐放する効果を有するのみならず、依然として、コンタクトレンズが必要な特性、例えば、レンズベースカーブ(base curve、BC)、レンズ中心厚み(center thickness、CT)、レンズ直径(diameter、DIA)、屈折率、可視光透過率、または動的接触角などを維持することができる。
【0117】
以上に開示される内容は、好ましい本発明の実施形態に過ぎず、発明の範囲を限定することを意図していない。そのため、本発明の明細書及び図面でなされた均等の技術の変形は、全て本発明の請求の範囲に含まれるものである。
本開示に係る態様には以下の態様も含まれる。
<1> 60重量部~99.85重量部の親水性単量体と、0.01重量部~1重量部の架橋剤と、0.01重量部~2重量部の重合開始剤と、0.1重量部~15重量部のロタキサン分子(rotaxane)と、を含み、前記ロタキサン分子は、少なくとも一つの環状分子、及び少なくとも一つの前記環状分子を串刺し状に貫通する少なくとも一つの直鎖状分子を含み、前記ロタキサン分子と、前記親水性単量体との重量比は、1:6~1:99である、ことを特徴とするハイドロゲル組成物。
<2> 前記ロタキサン分子は、0.1重量部~12重量部である、<1>に記載のハイドロゲル組成物。
<3> 前記ロタキサン分子は、0.5重量部~8重量部である、<2>に記載のハイドロゲル組成物。
<4> 前記ロタキサン分子と、前記親水性単量体との前記重量比は、1:11~1:99である、<1>に記載のハイドロゲル組成物。
<5> 前記ロタキサン分子と、前記親水性単量体との前記重量比は、1:14~1:74である、<4>に記載のハイドロゲル組成物。
<6> 前記ロタキサン分子において、少なくとも一つの前記環状分子と、少なくとも一つの前記直鎖状分子との前記重量比は、1:1~50:1である、<1>に記載のハイドロゲル組成物。
<7> 前記ロタキサン分子において、少なくとも一つの前記環状分子と、少なくとも一つの前記直鎖状分子との前記重量比は、5:1~35:1である、<6>に記載のハイドロゲル組成物。
<8> 少なくとも一つの前記環状分子は、シクロデキストリン(cyclodextrin)、またはその誘導体である、<1>に記載のハイドロゲル組成物。
<9> 前記シクロデキストリンは、α-シクロデキストリン(α-cyclodextrin)、β-シクロデキストリン(β-cyclodextrin)、γ-シクロデキストリン(γ-cyclodextrin)、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(hydroxypropyl-β-cyclodextrin)、(2-ヒドロキシプロピル)-γ-シクロデキストリン((2-hydroxypropyl)-γ-cyclodextrin)、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン(sulfobutylether-β-cyclodextrin)、及びメチル-β-シクロデキストリン(methyl-β-cyclodextrin)よりなる材料群より選択される少なくとも一種である、<8>に記載のハイドロゲル組成物。
<10> 少なくとも一つの前記環状分子は、クラウンエーテル(crown ether)、またはその誘導体である、<1>に記載のハイドロゲル組成物。
<11> 前記クラウンエーテルは、12-クラウン-4(12-crown-4)、15-クラウン-5(15-crown-5)、18-クラウン-6(18-crown-6)、ベンゾ-18-クラウン-6(benzo-18-crown-6)、ベンゾ-15-クラウン-5(benzo-15-crown-5)、ジシクロヘキシル-18-クラウン-6(dicyclohexyl-18-crown-6)、2-(ヒドロキシメチル)-12-クラウン-4-エーテル(2-(hydroxymethyl)-12-crown-4-ether)、2-(ヒドロキシメチル)-15-クラウン-5-エーテル(2-(hydroxymethyl)-15-crown-5-ether)、及び2-(ヒドロキシメチル)-18-クラウン-6-エーテル(2-(hydroxymethyl)-18-crown-6-ether)よりなる材料群より選択される少なくとも一種である、<10>に記載のハイドロゲル組成物。
<12> 少なくとも一つの前記直鎖状分子は、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol、PEG)、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol、PVA)、及びポリプロピレングリコール(polypropylene glycol、PPG)よりなる材料群より選択される少なくとも一種である、<1>に記載のハイドロゲル組成物。
<13> 前記ポリエチレングリコールは、下記式(1)で表される構造を有し、前記ポリビニルアルコールは、下記式(2)で表される構造を有し、前記ポリプロピレングリコールは、下記式(3)で表される構造を有する、<12>に記載のハイドロゲル組成物。
【化1】

<14> 前記直鎖状分子の平均分子量は、200~20,000である、<13>に記載のハイドロゲル組成物。
<15> 前記親水性単量体は、68.88重量部~99.85重量部である、<1>に記載のハイドロゲル組成物。
<16> 前記親水性単量体は、N-ビニルピロリドン(N-vinyl pyrrolidone、NVP)、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(2-hydroxyethyl methacrylate、HEMA)、メタクリル酸(methacrylic acid、MAA)、メチルメタクリレート(methyl methacrylate、MMA)、アクリル酸(acrylic acid、AAc)、N,N-ジメチルアクリルアミド(N,N-dimethyl acrylamide、DMA)、2,3-ジヒドロキシプロピルメタクリレート(2,3-dihydroxypropyl methacrylate、GMMA)、N,N-ジメチルメタクリルアミド(N,N-dimethyl methacrylamide)、及びN-ビニル-N-メチルアセトアミド(N-vinyl-N-methyl acetamide)よりなる材料群より選択される少なくとも一種である、<1>に記載のハイドロゲル組成物。
<17> 前記親水性単量体は、ビニル基、アセチル基、プロペニル基、またはアクリル基を有する、<1>に記載のハイドロゲル組成物。
<18> 前記架橋剤は、0.04重量部~0.57重量部である、<1>に記載のハイドロゲル組成物。
<19> 前記架橋剤は、エチレングリコールジメタクリレート(ethylene glycol dimethacrylate)、ジエチレングリコールジメタクリレート(diethylene glycol dimethacrylate)、トリエチレングリコールジメタクリレート(triethylene glycol dimethacrylate)、テトラエチレングリコールジメタクリレート(tetraethylene glycol dimethacrylate)、アリルメタクリレート(allyl methacrylate)、トリエチレングリコールジアリルエーテル(triethylene glycol diallyl ether)、テトラエチレングリコールジアリルエーテル(tetraethylene glycol diallyl ether)、及びトリメチロールプロパントリメタクリレート(1、1、1-trimethylolpropane trimethacrylate)よりなる材料群より選択される少なくとも一種である、<1>に記載のハイドロゲル組成物。
<20> 前記重合開始剤は、光重合開始剤であり、前記光重合開始剤は、0.05重量部~0.72重量部である、<1>に記載のハイドロゲル組成物。
<21> 前記光重合開始剤は、ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1-ヒドロピロール-1-イル)フェニル)チタノセン(bis(2,6-difluoro-3-(1-hydropyrro-1-yl)-phenyl)titanocene)、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(phenylbis-(2,4,6-trimethylbenzoyl)-phosphine oxide)、及び2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン(2-hydroxy-2-methyl-1-phenyl-1-porpanone)よりなる材料群より選択される少なくとも一種である、<20>に記載のハイドロゲル組成物。
<22> 紫外線遮断単量体をさらに含み、前記紫外線遮断単量体は、0.34重量部~1.68重量部である、<1>に記載のハイドロゲル組成物。
<23> 前記紫外線遮断単量体は、ベンゾフェノン(benzophenone)を有する単量体、及びベンゾトリアゾール(benzotriazole)を有する単量体よりなる材料群より選択される少なくとも一種である、<22>に記載のハイドロゲル組成物。
<24> 溶解助剤をさらに含み、前記溶解助剤は、4.33重量部~12.67重量部である、<1>に記載のハイドロゲル組成物。
<25> 前記溶解助剤は、グリセロール(glycerol)、イソプロピルアルコール(isopropyl alcohol)、n-ブタノール(n-butanol)、t-ブタノール(t-butanol)、t-アミルアルコール(t-amyl alcohol)、及びn-ヘキサノール(n-hexanol)よりなる材料群より選択される少なくとも一種である、<24>に記載のハイドロゲル組成物。
<26> 染料をさらに含み、前記染料は、0.002重量部~0.039重量部である、<1>に記載のハイドロゲル組成物。
<27> 前記染料は、リアクティブブルー19(disodium、1-amino-9,10-dioxo-4-[3-(2-sulfonatooxyethylsulfonyl)anilino]anthracene-2-sulfonate)、スダンIII(1-[4-(Phenylazo)phenylazo]-2-naphthol、Sudan III)、インディゴ(2、2′-Bis(2,3-dihydro-3-oxoindolylidene)、Indigo)、及びキノリンイエロー(disodium 2-(1、3-dioxo-2,3-dihydro-1H-inden-2-yl)quinolone-6,8-disulfonate、Quinoline yellow)よりなる材料群より選択される少なくとも一種である、<26>に記載のハイドロゲル組成物。
<28> 前記親水性単量体は、アクリル基を有し、前記ロタキサン分子と、前記親水性単量体との前記重量比は、1:6~1:94である、<1>に記載のハイドロゲル組成物。
<29> 前記ロタキサン分子における前記環状分子が、α-シクロデキストリン(α-cyclodextrin)、またはβ-シクロデキストリン(β-cyclodextrin)である場合、前記ロタキサン分子と、前記親水性単量体との前記重量比は、1:11~1:54であり、前記ロタキサン分子における前記環状分子が、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(hydroxypropyl-β-cyclodextrin)である場合、前記ロタキサン分子と、前記親水性単量体との前記重量比は、1:17~1:86であり、前記ロタキサン分子における前記環状分子が、(2-ヒドロキシプロピル)-γ-シクロデキストリン((2-hydroxypropyl)-γ-cyclodextrin)である場合、前記ロタキサン分子と、前記親水性単量体との前記重量比は、1:19~1:94である、<28>に記載のハイドロゲル組成物。
<30> 前記ロタキサン分子において、前記直鎖状分子の平均分子量は、2,000~20,000であり、前記ロタキサン分子は、前記環状分子が前記直鎖状分子の両端から離脱することを防止するための封止基(slopper/capping)を含んでいない、<1>に記載のハイドロゲル組成物。
<31> 前記直鎖状分子の前記平均分子量は、4,000以上である、<30>に記載のハイドロゲル組成物。
<32> 前記ロタキサン分子において、前記環状分子の外周は親水性官能基を有し、前記環状分子の内部は疎水性空洞構造を有し、前記ロタキサン分子は、前記環状分子の外周の前記親水性官能基により前記親水性単量体と作用することで、前記ロタキサン分子は、ハイドロゲル組成物中に分散することができる、<1>に記載のハイドロゲル組成物。
<33> 前記ロタキサン分子における前記直鎖状分子は、湾曲した形態で前記親水性単量体に分散しており、少なくとも一つの前記環状分子の個数は、複数個であり、複数の前記環状分子は、串刺し状に前記直鎖状分子に貫通されて設置される、<1>に記載のハイドロゲル組成物。
<34> 貫通されて設置された前記複数の環状分子、及びそれらと隣り合った、貫通されて設置された前記複数の環状分子は、水素結合の作用により互いに引き合い、それによって、互いに積み重なるように配列することができる、<33>に記載のハイドロゲル組成物。
<35> 貫通されて設置された前記複数の環状分子は、前記直鎖状分子において、ヘッド・ツー・ヘッド(heads to heads)、及びテイルズ・ツー・テイルズ(tails to tails)の形態で配列される、<33>に記載のハイドロゲル組成物。
<36> <1>~<35>のいずれか一項に記載のハイドロゲル組成物で形成されるレンズ主体を含む、ことを特徴とするハイドロゲルレンズ。
<37> 前記ロタキサン分子は、少なくとも、前記レンズ主体の凹弧面、または凸弧面に分布しており、それによって、ロタキサン分子層が形成され、前記ロタキサン分子は、設置により活性成分を担持している、<36>に記載のハイドロゲルレンズ。
<38> 前記活性成分は、メントール、樟脳、竜脳、塩化カリウム、リゾチーム塩酸塩、グリチルリチン酸ジカリウム、6-アミノヘキサン酸、硫酸亜鉛、ビタミンB2、アズレンスルホン酸ナトリウム、スルファメトキサゾール、プラノプロフェン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン、クロロブタノール、フェニレフリン塩酸塩、フェニレフリン、ビタミンE、L-アスパラギン酸カリウム、L-アスパラギン酸マグネシウム、コンドロイチン硫酸、ネオスチグミンメチル硫酸塩、アスパラギン、ビタミンB12、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンA、タウリン、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、トラニラスト、ホウ酸、グリセリン、ヒアルロン酸、ポリオール、アラントインの中から選択される少なくとも一種を含む、<37>に記載のハイドロゲルレンズ。
<39> 前記レンズ主体の屈折率(refractive index)は、1.315~1.598であり、前記レンズ主体の可視光透過率(light transmittance)は、90%以上であり、前記レンズ主体の含水率(water content)は、10%~75%(w/w)であり、前記レンズ主体の動的接触角(dynamic contact angle)は、80度以下であり、前記レンズ主体の伸び率(elongation)は、250%~380%である、<36>に記載のハイドロゲルレンズ。


【符号の説明】
【0118】
100:ハイドロゲル組成物
1:ロタキサン分子
11:直鎖状分子
12:環状分子
2:親水性単量体
図1
図2