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特許7140919植物の根系と栄養液面との距離を調整できるセルトレイフレーム及び栽培トレイ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】植物の根系と栄養液面との距離を調整できるセルトレイフレーム及び栽培トレイ
(51)【国際特許分類】
   A01G 31/02 20060101AFI20220913BHJP
【FI】
A01G31/02
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021528384
(86)(22)【出願日】2019-10-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-20
(86)【国際出願番号】 CN2019112734
(87)【国際公開番号】W WO2020140562
(87)【国際公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】201910007966.0
(32)【優先日】2019-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517149405
【氏名又は名称】福建省中科生物股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】FUJIAN SANAN SINO-SCIENCE PHOTOBIOTECH CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Photoelectric Industrical Park, Hengshan Village, Hutou Town, Anxi County Quanzhou, Fujian 362411, CN
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【弁理士】
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】李 晶
(72)【発明者】
【氏名】▲ヤン▼ 文凱
(72)【発明者】
【氏名】張 小明
(72)【発明者】
【氏名】▲ゴン▼ 化勤
(72)【発明者】
【氏名】李 紹華
【審査官】磯田 真美
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1468505(KR,B1)
【文献】特開平09-089271(JP,A)
【文献】特開2003-024851(JP,A)
【文献】中国実用新案第204466513(CN,U)
【文献】特許第5639682(JP,B2)
【文献】特開2000-050754(JP,A)
【文献】特開2014-060930(JP,A)
【文献】特開2014-018110(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 31/00 - 31/06
A01G 7/00 - 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
育苗用のセルトレイフレームであって、高さ調整構造を有し、
前記高さ調整構造は、前記セルトレイフレームの両側のフレームの下面に設けられた凹溝及び高さロックを含み、
前記高さブロックは、前記凹溝内に回転可能に接続され、且つ前記高さブロックは前記凹溝内で第1位置から第2位置に回転するか、又は第n位置から第n+1位置、......、第n+i位置に回転して高さ調整を実現し、但し、n=1、i∈Nであり、
前記高さブロックが、前記凹溝内で前記第1位置、又は、前記第n位置に位置するとき、前記高さブロックの下面は、前記セルトレイフレームの下面の前記凹溝の開口と一致しており、前記高さブロックが、前記第2位置、又は、前記第n+1位置、......、第n+i位置に位置するとき、前記高さブロックの下面は、前記セルトレイフレームの下面の前記凹溝の開口よりも下方に位置する
ことを特徴とする、植物の根系と栄養液面との距離を調整できるセルトレイフレーム。
【請求項2】
前記凹溝内に高さブロックスペーサが設けられ、
前記高さブロックの断面は台形であり、前記第1位置は水平位置であり、前記水平位置の前記高さブロックの上下面は平行であり、前記第2位置は垂直位置であり、前記垂直位置の高さブロックの左右面は平行である、
ことを特徴とする、請求項1に記載のセルトレイフレーム。
【請求項3】
前記高さブロックスペーサは凹溝の内壁に設置され、前記高さブロックスペーサは前記凹溝と一体成形されることを特徴とする、請求項に記載のセルトレイフレーム。
【請求項4】
前記高さブロックの断面は多角形であることを特徴とする、請求項1に記載のセルトレイフレーム。
【請求項5】
記第n位置、第n+1位置、......、第n+i位置はいずれも下面が水平あることを特徴とする、請求項に記載のセルトレイフレーム。
【請求項6】
前記高さブロックの断面は六角形であり、高さブロックが時計回りに第1位置まで回転すると、回転軸に最も近い長辺が下方に位置し、この時の回転軸からモジュールまでの距離はaであり、該高さブロックが第2位置にある時、回転ブロックから遠い長辺が下方に位置し、この時の回転軸からモジュールまでの距離はbであり、該高さブロックが第3位置にある時、回転ブロックから最も遠い長辺が下方に位置し、この時の回転軸からモジュールまでの距離はcであることを特徴とする、請求項5に記載のセルトレイフレーム。
【請求項7】
記a、b、c間の関係はc>b>a≧0であることを特徴とする、請求項に記載のセルトレイフレーム。
【請求項8】
高さブロックは高さブロックに固定されたプラグを介して凹溝内壁の取り付け孔内に嵌め込まれ、前記取り付け孔は円孔であることを特徴とする、請求項1に記載のセルトレイフレーム。
【請求項9】
上層セルトレイ、スポンジブロック、栄養液槽を含み、前記スポンジブロックは上層セルトレイ内に配置され、上層セルトレイは栄養液を入れる栄養液槽の上に配置され、さらに請求項1-のいずれか一項に記載のセルトレイフレームを含み、前記セルトレイフレームは上層セルトレイとモジュール栄養液槽との間に設置されることを特徴とする、栽培トレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は植物の水耕栽培装置の分野に関し、具体的には植物の根系と栄養液面との距離を調整できる構造に関する。
【背景技術】
【0002】
植物栽培の過程では、植物の根系を栄養液に浸漬し、成長に欠かせない養分を植物に供給する必要がある。植物工場における植物の異なる成長段階、例えば育苗期、成長が遅い時期及び早い時期において、その根系の大きさ及び長さは成長に伴って変化し、且つそれに必要とされる栄養液の深さも同じではない。例えば成長前期には出たばかりの短い根を必ず栄養液に接触させるために、栄養液面と栽培パネルとの距離を近づける必要がある。成長後期には栄養液と栽培パネルとの距離を遠くして、根系が十分な水分を吸収できるようにするだけでなく、十分な空間を残して、根系の一部を酸素と接触させて、根腐れを防止する必要がある。距離が近すぎたり、接触していたりするとスポンジブロックが吸水して藻が発生し、植物の茎部が長期間湿潤して、病害を引き起こしやすい。
【0003】
従来技術においては、上記課題を解決するために、各栽培槽内の栄養液を手作業で増加又は減少させることにより栄養液面と栽培パネルとの距離を調整しているが、これには時間と手間がかかるだけでなく、体積の調整が正確ではないという問題が常に存在し、植物の成長及び統一性に影響を及ぼす。又は、植物や栽培パネルを他の栽培槽内に移動させて栄養液面と栽培パネルとの距離を調整することには、手間がかかるだけでなく植物根系を損傷させるおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記技術的課題を解決し、植物の異なる成長時期の栄養液に対する異なる要件を実現するために、植物の根系と栄養液面との距離の変化を調整し、異なる時期の植物の栄養液に対する要件を確保し、植物の根系を損傷しない高さを調整できる構造を提供する必要がある。且つ、この高さを調整できる構造は水交換又は移動の手間及び時間を大幅に削減できるだけでなく、さらに根系栄養液の濃度、pH及び温度の変化が植物に及ぼす悪影響を減少させることができ、生産コストを削減して植物の良好な成長を保証する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を実現するために、本発明は植物の根系と栄養液面との距離を調整できるセルトレイフレームを提供し、具体的には以下の技術的解決手段を含む。
【0006】
育苗セルトレイフレームに高さ調整構造が設けられ、前記高さ調整構造はセルトレイフレームの両側に開設された凹溝及び高さブロックを含み、前記高さブロックは凹溝内に回転可能に接続され、且つ該高さブロックは凹溝内で第1位置から第2位置に回転するか、又は第n位置から第n+1位置、......、第n+i位置に回転して高さ調整を実現し、但し、n=1、i∈Nである。
好ましくは、高さ調整構造はセルトレイフレームの両側に設計される。
好ましくは、前記凹溝内に高さブロックスペーサが設置され、高さブロックの高モードにおける位置及び角度を制御するために用いられる。
好ましくは、前記高さブロックスペーサは階段状を呈して凹溝の内壁に設置され、前記高さブロックスペーサは前記凹溝と一体成形される。
好ましくは、前記高さブロックの断面は多辺形である。
【0007】
好ましくは、前記高さブロックの断面は台形であり、前記第1位置は水平位置であり、前記第2位置は垂直位置であるか、又は前記高さブロックの断面は矩形、六角形又は他の多角形であり、前記第n位置、第n+1位置、......、第n+i位置はいずれも水平位置である。
【0008】
好ましくは、前記高さブロックの断面は台形であり、該高さブロックが水平位置にある時、その上下面は平行であり、その高さブロックスペーサから遠い側は直角であり、高さブロックスペーサに近い側は斜面であり、且つ該斜面の底部は高さブロックスペーサに押し付けられ、該高さブロックが垂直位置にある時、その左右面は平行であり、その高さブロックスペーサから遠い側は大きな矩形面であり、高さブロックスペーサに近い側は小さな矩形面であり、且つ該小さな矩形面は高さブロックスペーサに押し付けられるか、又は前記高さブロックの断面は矩形であり、高さブロックが反時計回りに第1水平位置まで回転した時、回転軸に近い短辺が下方に位置し、この時の回転軸からモジュールまでの距離はaであり、該高さブロックが第2水平位置にある時、回転ブロックから遠い長辺が下方に位置し、この時の回転軸からモジュールまでの距離はbであり、該高さブロックが第3垂直位置にある時、回転ブロックから遠い短辺が下方に位置し、この時の回転軸からモジュールまでの距離はcである。又は前記高さブロックの断面は六角形であり、高さブロックが時計回りに第1位置まで回転した時、回転軸に最も近い長辺が下方に位置し、この時の回転軸からモジュールまでの距離はaであり、該高さブロックが第2位置にある時、回転ブロックから遠い長辺が下方に位置し、この時の回転軸からモジュールまでの距離はbであり、該高さブロックが第3位置にある時、回転ブロックから最も遠い長辺が下方に位置し、この時の回転軸からモジュールまでの距離はcである。
好ましくは、前記高さブロックの断面は矩形又は六角形であり、前記a、b、c間の関係はc>b>a≧0である。
好ましくは、高さブロックはプラグを介して凹溝内壁の取り付け孔内に嵌め込まれ、前記取り付け孔は円孔である。
【0009】
本発明はさらに栽培トレイを提供し、上層セルトレイ、スポンジブロック、栄養液、モジュール栄養液槽を含み、前記スポンジブロックは上層セルトレイ内に配置され、上層セルトレイは栄養液が入ったモジュール栄養液槽の上に配置され、さらに上記いずれかに記載のセルトレイフレームを含み、前記セルトレイフレームは上層セルトレイとモジュール栄養液槽との間に設置される。
従来技術と比べて、本発明は以下の有益な効果を有する。
【0010】
1.セルトレイフレームの両側の高さ調整構造を設置することにより育苗セルトレイの高さ調整を実現し、他の高さのセルトレイに交換する必要がなく、植物の異なる時期の栄養液に対する異なる要件を簡単且つ迅速に実現し、労働力を大幅に削減し、植物を移動させることによる損傷を防止する。
【0011】
2.高さブロックスペーサを設置することにより高さブロックの位置及び角度が制御しやすく、育苗期の植物の根系と栄養液面との間の距離をより容易に調整し、植物の育苗前期においては栄養液に対する要件を確保し、育苗後期においては栄養液が深すぎることによる根腐れ及び藻の発生を効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】は本実施例のモジュール育苗の構造図である。
図2】は本実施例のセルトレイフレームの構造概略図である。
図3】は本実施例のセルトレイフレーム両側の高さ調整の構造図である。
図4】は本実施例1のブロックが台形である場合のセルトレイフレームにおける2種類の高さの模式図である。
図5】は本実施例1のブロックが台形である場合のセルトレイフレームにおける第1位置高さモードの側面図である。
図6】は本実施例1のブロックが台形である場合のセルトレイフレームにおける第2位置高さモードの側面図である。
図7】は本実施例2のブロックが直方体である場合のセルトレイフレームの構造概略図である。
図8】は本実施例2のブロックが直方体である場合のセルトレイフレームにおける第1高さモードの側面図である。
図9】は本実施例2のブロックが直方体である場合のセルトレイフレームにおける第2高さモードの側面図である。
図10】は本実施例2のブロックが直方体である場合のブロックの構造概略図である。
図11】は本実施例3のブロックが角柱体である場合のセルトレイフレームの構造概略図である。
図12】は本実施例3のブロックが角柱体である場合のセルトレイフレームにおける第1高さモードの側面図である。
図13】は本実施例3のブロックが角柱体である場合のセルトレイフレームにおける第1高さモードの側面図である。
図14】は本実施例3のブロックが角柱体である場合のブロックの構造概略図である。
図15】は比較例としての従来の2層セルトレイでの育苗における栄養液のECの変化図である。
図16】は本実施例のモジュール育苗後の栄養液ECの段階的な調整図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に具体的な実施例と共に図面を参照しながら、技術的解決手段の技術的内容、構造特徴、実現する目的及び効果について詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
図1図6に示すとおり、本実施例は植物工場での水耕栽培又は温室での水耕栽培の分野に応用され、植物の根系と栄養液面との距離を調整できる栽培トレイであって、上層セルトレイ1、栄養液槽5、スポンジブロック3、栄養液4及びセルトレイフレーム2を含み、前記スポンジブロック3は上層セルトレイ1内に配置され、前記上層セルトレイ1は栄養液が入ったモジュール栄養液槽5の上に配置され、前記セルトレイフレーム2は上層セルトレイ1とモジュール栄養液槽5との間に嵌着される。前記セルトレイフレーム2に高さ調整構造が設けられ、前記高さ調整構造はセルトレイフレーム2の両側に設計され、セルトレイフレーム2の両側に開設された凹溝10及び高さブロック9を含み、凹溝の内壁に高さブロックスペーサ8が設けられ、高さブロックスペーサ8は凹溝と一体成形され、前記高さブロック9はプラグを介して凹溝内壁の取り付け孔7内に回転可能に接続され、且つ該高さブロック9は凹溝10内で水平位置から垂直位置に回転して高さ調整を実現する。高さブロック9の断面は台形であり、高さブロック9が水平位置にある時、その上下面は平行であり、その高さブロックスペーサ8から遠い片側は直角面であり、高さブロックスペーサ8に近い側は斜面であり、且つ該斜面の底部は高さブロックスペーサ8に押し付けられ、高さスペーサブロック9が垂直位置にある時、その左右面は平行であり、その高さブロックスペーサ8から遠い片側は大きな矩形面であり、高さブロックスペーサ8に近い側は小さな矩形面であり、且つ該小さな矩形面は高さブロックスペーサ8に押し付けられ、斜面の片側はモジュール栄養液槽5に押し付けられる。それによりセルトレイフレームの高さを調整して、植物の根系が栄養液の中に浸漬する深さを調整することができる。
【実施例2】
【0015】
図1図3及び図7図10に示すとおり、本実施例は植物工場での水耕栽培、温室での水耕栽培又はビニールハウスでの水耕栽培の分野に応用され、植物の根系と栄養液面との距離を調整できる栽培トレイであって、上層セルトレイ1、栄養液槽5、スポンジブロック3、栄養液4及びセルトレイフレーム2を含み、前記スポンジブロック3は上層セルトレイ1内に配置され、前記上層セルトレイ1は栄養液が入ったモジュール栄養液槽5の上に配置され、前記セルトレイフレーム2は上層セルトレイ1とモジュール栄養液槽5との間に嵌着される。前記セルトレイフレーム2に高さ調整構造が増設され、前記高さ調整構造はセルトレイフレーム2の両側に設計され、セルトレイフレーム2の両側に開設された凹溝及び高さブロック9を含み、凹溝の内壁に高さブロックスペーサ8が設けられ、高さブロックスペーサ8は凹溝と一体成形され、前記高さブロック9はプラグを介して凹溝内壁の取り付け孔7内に回転可能に接続され、且つ該高さスペーサブロック9は凹溝内で第1水平位置から第3水平位置まで反時計回りに回転して高さ調整を実現し、高さブロック9の断面は矩形であり、高さブロック9が第1水平位置にある時、回転軸に近い短辺は下方に位置し、この時の回転軸からモジュールまでの距離はaである。該高さブロックが第2水平位置にある時、回転ブロックから遠い長辺は下方に位置し、この時の回転軸からモジュールまでの距離はbである。該高さブロックが第3水平位置にある時、回転ブロックから遠い短辺は下方に位置し、この時の回転軸からモジュールまでの距離はcである。ここで、a、b、cは設定された高さであり、c>b>a、a≧d≧0、g≧h、f-a≧hであり、他の実施例においては、前記高さブロックの設定された高さa、b、cは前記の大小関係の条件を満たしていればよく、それによりセルトレイフレーム2の高さをより多様に調整して、植物の根系と栄養液との間の深さを調整することができる。
【実施例3】
【0016】
図1図3及び図11図14に示すとおり、本実施例は植物工場での水耕栽培、温室での水耕栽培又はビニールハウスでの水耕栽培の分野に応用され、植物の根系と栄養液面との距離を調整できる栽培トレイであって、上層セルトレイ1、栄養液槽5、スポンジブロック3、栄養液4及びセルトレイフレーム2を含み、前記スポンジブロック3は上層セルトレイ1内に配置され、前記上層セルトレイ1は栄養液が入ったモジュール栄養液槽5の上に配置され、前記セルトレイフレーム2は上層セルトレイ1とモジュール栄養液槽5との間に嵌着される。前記セルトレイフレーム2に高さ調整構造が増設され、前記高さ調整構造はセルトレイフレーム2の両側に設計され、セルトレイフレーム2の両側に開設された凹溝及び高さブロック9を含み、凹溝の内壁に高さブロックスペーサ8が設けられ、高さブロックスペーサ8は凹溝と一体成形され、前記高さブロック9はプラグを介して凹溝内壁の取り付け孔7内に回転可能に接続され、且つ該高さスペーサブロック9は凹溝内で第1水平位置から第3水平位置まで時計回りに回転して高さ調整を実現し、高さブロック9の断面は多辺形であり、該高さブロック9が第1水平位置にある時、回転軸に近い長辺は下方に位置し、この時の回転軸からモジュールまでの距離はaである。該高さブロックが第2水平位置にある時、回転ブロックから遠い長辺は下方に位置し、この時の回転軸からモジュールまでの距離はbである。該高さブロックが第3水平位置にある時、回転ブロックから最も遠い長辺は下方に位置し、この時の回転軸からモジュールまでの距離はcである。ここで、a、b、cは設定された高さであり、c>b>a、g≧h、f-a≧hであり、他の実施例においては、前記高さブロックの設定高さa、b、cは前記の大小関係の条件を満たしていればよく、それによりセルトレイフレームの高さをより多様に調整して、植物の根系と栄養液との間の深さを調整することができる。
【0017】
従来の二層セルトレイを利用して幼苗を培養した結果、その栄養液のEC値の変化は図15に示すとおりである。本発明の構造を有する栽培トレイを利用して幼苗を培養した結果、その栄養液のEC値の変化は図16に示すとおりである。図15から分かるように、従来の2層セルトレイにおいて、育苗後期の栄養液のECは初期値の50%に過ぎず、幼苗の成長を抑制しており、ECを初期値まで上げると、ECの変化幅が大きくなり、根系環境が不安定になり、葉に黄変斑点が現れるなどの良くない形状が生じやすい。それに対して図16から分かるように、本発明の構造を有する栽培トレイを用いて育苗することにより幼苗が根系の十分な成長空間及び体積を得て、栄養液のEC値が相対的に安定し、且つ段階的な調節を実現することができ、幼苗の移植成功率が17.6%向上し、植物の根系の長さが47%向上し、根系の新鮮重量が24.2%向上し、栽培トレイ表面に藻が生じる現象が顕著に低下した。
【0018】
本実施例はさらにパクチョイ栽培を例として、固定液位による栽培、及び本発明で用いられた植物の根系と栄養液面との距離を調整するセルトレイフレーム及び栽培トレイによる栽培という両者の優劣を比較し、具体的な比較結果は以下の表に示すとおりである。
【0019】
上記具体的な実施例の説明及びパクチョイを用いた栽培の最終的なデータから、本発明の有益な効果は以下のとおりである。本発明はセルトレイフレームの両側に高さ調整構造を増設することにより植物の根系と栄養液面との距離の変化を調整することができ、本発明の構造を有する栽培トレイを利用して植物を培養することで、植物の幼苗前期において根系が栄養液に十分に接触することを保証できるだけでなく、育苗後期に栄養液が深すぎることで根腐れしたり藻が発生したりするのを防止して、植物の幼苗のより健康な成長を促進し、幼苗の移植成功率を向上させ、植物の根系の長さ及び新鮮重量をいずれも向上させる。
【0020】
説明すべき点であるが、本明細書において、第1及び第2などの関係用語は、一つの実体又は操作を他の実体又は操作と区別するために用いられているに過ぎず、必ずしもそれらの実体又は操作の間にいずれかの実際の関係又は順序が存在することを要求又は暗示するものではない。さらに、「含む」、「包含」又はその任意の他の類語は非排他的な包含を意図しており、これにより一連の要素を含むプロセス、方法、物品又は端末装置は、それらの要素だけでなく明示的に列挙されていない他の要素も含まれ、又はさらにそのプロセス、方法、物品又は端末装置に固有の要素も含まれる。より多くの限定がない場合、「…を含む」又は「…を包含する」という語句によって限定される要素は、前記要素を含むプロセス、方法、物品又は端末装置にさらに他の要素が存在することを排除するものではない。また、本明細書において、「より大きい」、「より小さい」、「超える」等はその数を含まないと理解され、「以上」、「以下」、「以内」等はその数を含むものと理解される。
【0021】
上記のとおり各実施例を説明したが、当業者であれば創造的な概念を基本的に理解した後、これらの実施例に対してさらに変更及び修正を行うことができ、従ってこれまでの記載は本発明の実施例に過ぎず、本発明の特許の保護範囲を限定するものではなく、本発明の明細書及び図面の内容を利用してなされる等価構造又は等価フローへの変換、又は他の関連する技術分野における直接又は間接的な運用は、いずれも本発明の特許の保護範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0022】
1.上層セルトレイ、2.セルトレイフレーム、3.スポンジブロック、4.栄養液、5. モジュール栄養液槽、6.セルトレイフレームサイドシル;7.取り付け孔;8.高さブロックスペーサ;9.高さブロック;10.凹溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16