(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】突発故障時の落下傘降下時間に対する予測方法、システム、及び機器
(51)【国際特許分類】
B64D 17/80 20060101AFI20220913BHJP
G08G 5/00 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
B64D17/80
G08G5/00 A
(21)【出願番号】P 2022091131
(22)【出願日】2022-06-03
【審査請求日】2022-06-03
(31)【優先権主張番号】202210541304.3
(32)【優先日】2022-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522223408
【氏名又は名称】珠海翔翼航空技術有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】任楽江
(72)【発明者】
【氏名】楊磊
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-034865(JP,A)
【文献】特表2007-524428(JP,A)
【文献】特開平08-156893(JP,A)
【文献】特開昭51-082999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 17/80
G08G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
突発故障時の落下傘降下時間に対する予測方法であって、
該方法は、
入力データとして、航空機が設定航路で飛行する時の3D環境データ、センサデータ、受信したタワーデータ及び現在位置設定範囲内のGISマップデータを取得し、前記3D環境データが、異なる海抜高度の天気状況、気温、気圧、及び風力を含む、ステップS100と、
前記入力データについて前処理を行い、前処理した後の入力データを取得し、前記前処理した後の入力データが、前処理の3D環境データ、前処理のセンサデータ、前処理のタワーデータ及び現在位置設定範囲内の前処理のGISマップデータを含む、ステップS200と、
前記前処理のセンサデータに基づいて、航空機が突発故障状態にあるか否かを判断し、そうである場合、ステップS400に進み、そうでない場合、ステップS100に進む、ステップS300と、
落下傘降下待機者の体重データを取得し、前記前処理の3D環境データ、前記現在位置設定範囲内の前処理のGISマップデータに結びつけて、落下傘降下の移動軌跡、落下傘降下地点の範囲を生成する、ステップS400と、
前記前処理の3D環境データ、前記前処理のセンサデータ及び前記現在位置設定範囲内の前処理のGISマップデータに応じて、落下傘降下待機者が落下傘降下した後の航空機の移動軌跡、落下地点の範囲、及び航空機が落下した後に発生する衝撃力と破壊範囲を算出する、ステップS500と、
前記落下傘降下の移動軌跡、及び前記落下傘降下待機者が落下傘降下した後の航空機の移動軌跡に基づいて、落下傘降下後に同じ時点で落下傘降下待機者と航空機との最小水平距離、最大水平距離、最小垂直距離、及び最大垂直距離を算出し、前記落下傘降下地点の範囲、前記航空機落下地点の範囲、前記航空機が落下した後に発生する衝撃力と破壊範囲、及び前記前処理のタワーデータに結びつけて、事前構築された落下傘降下時間予測モデルによって、落下傘降下待機者の落下傘降下時間の予測結果を取得する、ステップS600と、を含む、ことを特徴とする突発故障時の落下傘降下時間に対する予測方法。
【請求項2】
前記前処理は、データ外れ値点の除去、データ標準化を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の突発故障時の落下傘降下時間に対する予測方法。
【請求項3】
落下傘降下待機者が落下傘降下した後の航空機の移動軌跡、落下地点の範囲、及び航空機が落下した後に発生する衝撃力と破壊範囲を算出する方法は、
前記前処理のセンサデータに応じて、航空機の故障種類を取得し、
航空機の故障種類に基づいて、航空機全体のパラメータ及び飛行力学特徴を分析し、モデルを再構築して、航空機が突発故障した時の新な非線形モデルを取得し、
前記前処理の3D環境データ、前記前処理のセンサデータに応じて、前記非線形モデルによって落下傘降下待機者が落下傘降下した後の航空機の移動軌跡を取得し、前記現在位置設定範囲内の前処理のGISマップデータに結びつけて、落下地点の範囲を取得し、
前記現在位置設定範囲内の前処理のGISマップデータ及び前記落下地点の範囲に基づいて、落下地点の範囲内に対応する地形状況を取得し、航空機が落下した後に発生する衝撃力及び破壊範囲を算出することである、ことを特徴とする請求項1に記載の突発故障時の落下傘降下時間に対する予測方法。
【請求項4】
前記航空機が突発故障した時の新な非線形モデルは、エンジン故障の非線形動力学モデル、液圧失陥の非線形動力学モデル、燃料タンク失陥の非線形動力学モデル、及び金属疲労の非線形動力学モデルを含み、
前記エンジン故障の非線形動力学モデルは、
であり、
そのうち、
はロール角を表し、
はピッチ角を表し、
はヨー角を表し、
、
、
は、飛行体座標系の3軸方向まわりの慣性モーメントを表し、
及び
は、それぞれ周波数及びダンピングであり、
は、空気動力のゲインを表し、
は、航空機エンジンに出力される制御信号値を表し、
は添え字を表し、
は、航空機の飛行過程における抵抗係数を表し、
、
、
及び
、
、
は、それぞれ
、
、
の一階微成分及び二階微成分を表し、
落下傘降下待機者が落下傘降下した後に、即ち、落下傘降下待機者の射出が射出座席スラスターによって完成される時に、航空機のピッチ角は、
であり、
そのうち、
、
は、それぞれ落下傘降下待機者の射出が射出座席スラスターによって行われる前及び行われた後の航空機のピッチ角を表し、
は、射出座席スラスターによる射出後の航空機ピッチ角の変化量を表し、
は、垂直方向の加速度を表し、
は、射出座席スラスターの射出時間を表し、
は、航空機の質量を表し、
は、航空機の水平方向における速度を表し、
は、射出座席スラスターのスラスト
の
軸における成分を表し、
は、射出座席スラスターのインストールパッケージ角を表し、
は射出座席スラスターのロール角であり、
は射出座席スラスターの迎角であり、
は、射出座席スラスターの傾斜角を表す、ことを特徴とする請求項3に記載の突発故障時の落下傘降下時間に対する予測方法。
【請求項5】
前記落下傘降下時間予測モデルは、
設定される時間帯内の入力データの特徴を平行に抽出し、畳み込みニューラルネットワークによって抽出された特徴を第1特徴とし、長期短期記憶人工ニューラルネットワークによって抽出された特徴を第2特徴とするために用いられる畳み込みニューラルネットワーク及び長期短期記憶人工ニューラルネットワークと、
抽出された第1特徴と第2特徴を融合し、融合後の特徴を第3特徴とし、前記第3特徴及び前記第1特徴について残差接続、層正規化処理を行い、処理後の特徴を第4特徴とするように構成される特徴処理モジュールと、
サポートベクタマシン回帰モデルであり、前記第4特徴についてサポートベクトル回帰演算を行った後に、前記落下傘降下待機者の落下傘降下時間の予測結果を取得するために用いられる機械学習モデルと、に基づいて構築される、ことを特徴とする請求項1に記載の突発故障時の落下傘降下時間に対する予測方法。
【請求項6】
前記畳み込みニューラルネットワークCNNの畳み込みカーネルの長さは、長期短期記憶人工ニューラルネットワークLSTMにおける時間ステップの大きさと一致する、ことを特徴とする請求項5に記載の突発故障時の落下傘降下時間に対する予測方法。
【請求項7】
前記サポートベクタマシン回帰モデルは、訓練時に、L1、L2混合ノルム関数を損失関数とし、ラプラス関数をカーネル関数として、ヒューリスティック確率的探索アルゴリズムによって損失関数における正則化パラメータ及びラプラス関数におけるカーネル幅パラメータを選出する、ことを特徴とする請求項5に記載の突発故障時の落下傘降下時間に対する予測方法。
【請求項8】
前記損失関数は、
であり、
そのうち、
は損失関数を表し、
、
は正則化パラメータを表し、
はサポートベクタマシン回帰モデルの入力を表し、
及び
は、それぞれ、落下傘降下待機者の落下傘降下時間の予測結果及び真値ラベルであり、
は、予め設定された重みパラメータを表す、ことを特徴とする請求項7に記載の突発故障時の落下傘降下時間に対する予測方法。
【請求項9】
突発故障時の落下傘降下時間に対する予測システムであって、該システムは、
入力データとして、航空機が設定航路で飛行する時の3D環境データ、センサデータ、受信したタワーデータ及び現在位置設定範囲内のGISマップデータを取得し、前記3D環境データが、異なる海抜高度の天気状況、気温、気圧、及び風力を含むように構成されるデータ取得モジュールと、
前記入力データについて前処理を行い、前処理した後の入力データを取得し、前記前処理した後の入力データが、前処理の3D環境データ、前処理のセンサデータ、前処理のタワーデータ及び現在位置設定範囲内の前処理のGISマップデータを含むように構成される前処理モジュールと、
前記前処理のセンサデータに基づいて、航空機が突発故障状態にあるか否かを判断し、そうである場合、落下傘降下データ算出モジュールに進み、そうでない場合、データ取得モジュールに進むように構成される故障状態判断モジュールと、
落下傘降下待機者の体重データを取得し、前記前処理の3D環境データ、前記現在位置設定範囲内の前処理のGISマップデータに結びつけて、落下傘降下の移動軌跡、落下傘降下地点の範囲を生成するように構成される落下傘降下データ算出モジュールと、
前記前処理の3D環境データ、前記前処理のセンサデータ及び前記現在位置設定範囲内の前処理のGISマップデータに応じて、落下傘降下待機者が落下傘降下した後の航空機の移動軌跡、落下地点の範囲、及び航空機が落下した後に発生する衝撃力と破壊範囲を算出するように構成される航空機データ算出モジュールと、
前記落下傘降下の移動軌跡、前記落下傘降下待機者が落下傘降下した後の航空機の移動軌跡に基づいて、落下傘降下後に同じ時点で落下傘降下待機者と航空機との最小水平距離、最大水平距離、最小垂直距離、及び最大垂直距離を算出し、前記落下傘降下地点の範囲、前記航空機落下地点の範囲、前記航空機が落下した後に発生する衝撃力と破壊範囲、及び前記前処理のタワーデータに結びつけて、事前構築された落下傘降下時間予測モデルによって、落下傘降下待機者の落下傘降下時間の予測結果を取得するように構成される時間予測モジュールと、を含む、ことを特徴とする突発故障時の落下傘降下時間に対する予測システム。
【請求項10】
少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つの前記プロセッサに通信接続されるメモリとを備える電子機器であって、
そのうち、前記メモリには、前記プロセッサによって実行可能な命令が記憶され、前記命令は、前記プロセッサによって実行されることで請求項1~8のいずれか一項に記載の突発故障時の落下傘降下時間に対する予測方法を実現するために用いられる、ことを特徴とする電子機器。
【請求項11】
前記コンピュータ可読記憶媒体には、コンピュータ命令が記憶され、前記コンピュータ命令は、前記コンピュータによって実行されることで、請求項1~8のいずれか一項に記載の突発故障時の落下傘降下時間に対する予測方法を実現するために用いられる、ことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械学習、データ予測の技術分野に属し、具体的には突発故障時の落下傘降下時間に対する予測方法、システム、及び機器に関する。
【背景技術】
【0002】
落下傘降下は、動きの複雑性が高く、危険性が高く、強度が大きく、リズムが速く、連絡を取る難度が高いなどの特徴があり、落下傘降下者の身体能力への要求が高いうえ、気候条件からも大いに影響を受ける。落下傘降下者が航空機を離れた後、気候要素により落下傘降下者による降下地点方位の判断は難度が増し、目標降下地点から外れてしまい、また夜間の落下傘降下も、光が暗く視界が狭いため、落下傘降下の難度が急遽上がる。そのため、特に航空機(例えば小型機、練習機、及び戦闘機)が突発故障した場合、如何に適切な落下傘降下のタイミングを選択して落下傘降下者の人身安全及び住民の財産安全を確保するかは、極めて重要であることになっている。これを踏まえ、本発明は、突発故障時の落下傘降下時間に対する予測方法を提出する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術における上記課題、即ち、従来技術において、航空機の突発故障時に落下傘降下待機者の落下傘降下のタイミングが正確かつ効率的に予測できないという課題を解決するために、本発明の第1態様は、突発故障時の落下傘降下時間に対する予測方法を提出し、該方法は、
【0004】
入力データとして、航空機が設定航路で飛行する時の3D環境データ、センサデータ、受信したタワーデータ及び現在位置設定範囲内のGISマップデータを取得し、前記3D環境データが、異なる海抜高度の天気状況、気温、気圧、及び風力を含む、ステップS100と、
【0005】
前記入力データについて前処理を行い、前処理した後の入力データを取得し、前記前処理した後の入力データが、前処理の3D環境データ、前処理のセンサデータ、前処理のタワーデータ及び現在位置設定範囲内の前処理のGISマップデータを含む、ステップS200と、
【0006】
前記前処理のセンサデータに基づいて、航空機が突発故障状態にあるか否かを判断し、そうである場合、ステップS400に進み、そうでない場合、ステップS100に進む、ステップS300と、
【0007】
落下傘降下待機者の体重データを取得し、前記前処理の3D環境データ、前記現在位置設定範囲内の前処理のGISマップデータに結びつけて、落下傘降下の移動軌跡、落下傘降下地点の範囲を生成する、ステップS400と、
【0008】
前記前処理の3D環境データ、前記前処理のセンサデータ及び前記現在位置設定範囲内の前処理のGISマップデータに応じて、落下傘降下待機者が落下傘降下した後の航空機の移動軌跡、落下地点の範囲、及び航空機が落下した後に発生する衝撃力と破壊範囲を算出する、ステップS500と、
【0009】
前記落下傘降下の移動軌跡、及び前記落下傘降下待機者が落下傘降下した後の航空機の移動軌跡に基づいて、落下傘降下後に同じ時点で落下傘降下待機者と航空機との最小水平距離、最大水平距離、最小垂直距離、及び最大垂直距離を算出し、前記落下傘降下地点の範囲、前記航空機落下地点の範囲、前記航空機が落下した後に発生する衝撃力と破壊範囲、及び前記前処理のタワーデータに結びつけて、事前構築された落下傘降下時間予測モデルによって、落下傘降下待機者の落下傘降下時間の予測結果を取得する、ステップS600と、を含む。
【0010】
いくつかの好ましい実施形態において、前記前処理は、データ外れ値点の除去、データ標準化を含む。
【0011】
いくつかの好ましい実施形態において、前記落下傘降下時間予測モデルは、畳み込みニューラルネットワーク、長期短期記憶人工ニューラルネットワーク、特徴処理モジュール、及び機械学習モデルに基づいて構築される。
【0012】
前記畳み込みニューラルネットワーク及び長期短期記憶人工ニューラルネットワークは、設定される時間帯内の入力データの特徴を平行に抽出し、畳み込みニューラルネットワークによって抽出された特徴を第1特徴とし、長期短期記憶人工ニューラルネットワークによって抽出された特徴を第2特徴とするために用いられる。
【0013】
前記特徴処理モジュールは、抽出された第1特徴と第2特徴を融合し、融合後の特徴を第3特徴とし、前記第3特徴及び前記第1特徴について残差接続、層正規化処理を行い、処理後の特徴を第4特徴とするように構成される。
【0014】
前記機械学習モデルは、サポートベクタマシン回帰モデルであり、前記第4特徴についてサポートベクトル回帰演算を行った後に、前記落下傘降下待機者の落下傘降下時間の予測結果を取得するために用いられる。
【0015】
いくつかの好ましい実施形態において、前記畳み込みニューラルネットワークの畳み込みカーネルの長さは、長期短期記憶人工ニューラルネットワークにおける時間ステップの大きさと一致する。
【0016】
本発明の第2態様は、データ取得モジュール、前処理モジュール、故障状態判断モジュール、落下傘降下データ算出モジュール、航空機データ算出モジュール、及び時間予測モジュールを含む突発故障時の落下傘降下時間に対する予測システムを提出ている。
【0017】
前記データ取得モジュールは、入力データとして、航空機が設定航路で飛行する時の3D環境データ、センサデータ、受信したタワーデータ及び現在位置設定範囲内のGISマップデータを取得するように構成され、前記3D環境データが、異なる海抜高度の天気状況、気温、気圧、及び風力を含む。
【0018】
前記前処理モジュールは、前記入力データについて前処理を行い、前処理した後の入力データを取得するように構成され、前記前処理した後の入力データが、前処理の3D環境データ、前処理のセンサデータ、前処理のタワーデータ及び現在位置設定範囲内の前処理のGISマップデータを含む。
【0019】
前記故障状態判断モジュールは、前記前処理のセンサデータに基づいて、航空機が突発故障状態にあるか否かを判断し、そうである場合、落下傘降下データ算出モジュールに進み、そうでない場合、データ取得モジュールに進むように構成される。
【0020】
前記落下傘降下データ算出モジュールは、落下傘降下待機者の体重データを取得し、前記前処理の3D環境データ及び前記現在位置設定範囲内の前処理のGISマップデータに結びつけて、落下傘降下の移動軌跡、落下傘降下地点の範囲を生成するように構成される。
【0021】
前記航空機データ算出モジュールは、前記前処理の3D環境データ、前記前処理のセンサデータ及び前記現在位置設定範囲内の前処理のGISマップデータに応じて、落下傘降下待機者が落下傘降下した後の航空機の移動軌跡、落下地点の範囲、及び航空機が落下した後に発生する衝撃力と破壊範囲を算出するように構成される。
【0022】
前記時間予測モジュールは、前記落下傘降下の移動軌跡、及び前記落下傘降下待機者が落下傘降下した後の航空機の移動軌跡に基づいて、落下傘降下後に同じ時点で落下傘降下待機者と航空機との最小水平距離、最大水平距離、最小垂直距離、及び最大垂直距離を算出し、前記落下傘降下地点の範囲、前記航空機落下地点の範囲、前記航空機が落下した後に発生する衝撃力と破壊範囲、及び前記前処理のタワーデータに結びつけて、事前構築された落下傘降下時間予測モデルによって、落下傘降下待機者の落下傘降下時間の予測結果を取得するように構成される。
【0023】
本発明の第3態様は、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つの前記プロセッサに通信接続されるメモリとを備える電子機器を提出し、そのうち、前記メモリには、前記プロセッサによって実行可能な命令が記憶され、前記命令は、前記プロセッサによって実行されることで上記の突発故障時の落下傘降下時間に対する予測方法を実現するために用いられる。
【0024】
本発明の第4態様は、コンピュータ可読記憶媒体を提出し、前記コンピュータ可読記憶媒体には、前記コンピュータによって実行されることで上記の突発故障時の落下傘降下時間に対する予測方法を実現するために用いられるコンピュータ命令が記憶されている。
【発明の効果】
【0025】
本発明の有益効果は、
【0026】
本発明によって、航空機の突発故障時に落下傘降下待機者の落下傘降下のタイミングの正確かつ効率的な予測が実現される、ことである。
【0027】
1)本発明は、航空機の突発事態の後、まず、落下傘降下待機者の落下傘降下の移動軌跡、落下傘降下地点の範囲を算出し、その後、落下傘降下待機者が落下傘降下した後の航空機の移動軌跡、落下地点の範囲、及び航空機が落下した後に発生する衝撃力と破壊範囲を算出し、最後に、落下傘降下地点の範囲、航空機落下地点の範囲、及び航空機が落下した後に発生する衝撃力と破壊範囲に基づいて、事前構築された落下傘降下時間予測モデルによって、落下傘降下待機者の落下傘降下時間の予測結果を取得する。落下傘降下時間予測の正確率が向上し、落下傘降下者の落下傘降下の安全性が高められる。
【0028】
2)並行構造により畳み込みニューラルネットワークと長期短期記憶(LSTM)ネットワークとを組み合わせ、両者によって抽出されたデータ特徴をつなぎ合わせた後に予測を行うことで、予測正確率が高められるとともに、ネットワークの複雑さが低減される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本出願の他の特徴、目的及び利点は、以下の図面を参照した非限定的な実施例に対する詳細な説明を閲読することでさらに明らかにされる。
【0030】
【
図1】本発明の1つの実施例に係る突発故障時の落下傘降下時間に対する予測方法のフロー模式図である。
【0031】
【
図2】本発明の1つの実施例に係る突発故障時の落下傘降下時間に対する予測システムのフレーム模式図である。
【0032】
【
図3】本発明の1つの実施例に係る落下傘降下時間予測モデルの訓練過程及び応用過程の概略模式図である。
【0033】
【
図4】本発明の1つの実施例に係る落下傘降下時間予測モデル構造のフレーム模式図である。
【0034】
【
図5】本発明の1つの実施例に係る本出願の実施例の実現に適した電子機器のコンピュータシステムの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の目的、技術案及び利点をより明白にするために、以下は、図面を参照しながら本発明の実施例における技術案を明白かつ完全に説明し、無論、説明される実施例は、本発明の実施例の一部であり、全ての実施例ではない。
【0036】
以下、
図1~
図4を参照して本発明方法の1つの実施例における各ステップについて詳細に説明する。
図1に示すように、本発明の1つの実施例に係る突発故障時の落下傘降下時間に対する予測方法は、S100~S600を含む。
【0037】
ステップS100において、入力データとして、航空機が設定航路で飛行する時の3D環境データ、センサデータ、受信したタワーデータ及び現在位置設定範囲内のGISマップデータを取得し、前記3D環境データが、異なる海抜高度の天気状況、気温、気圧、及び風力を含む。
【0038】
本実施例では、まず、航空機が設定航路で飛行する時の3D環境データ、センサデータ、受信したタワーデータ及び現在位置設定範囲内のGISマップデータを取得する。
【0039】
前記3D環境データは、異なる海抜高度の天気状況、気温、気圧、及び風力を含み、前記センサデータは、ピッチ角、ヨー角、ロール角、速度、所定時間ステップ数内の補助翼舵角、昇降舵舵角及びスロットル動作の累計変化値、並びに他の機器のセンサモニタパラメータを含み、前記受信したタワーデータは、気象及び航空機飛行に対する命令を含み、前記現在位置設定範囲内のGISマップデータは、地表の地形状況、例えば町、村、草地、森林、及び山脈を含む。
【0040】
ステップS200において、前記入力データに対して前処理を行い、前処理した後の入力データを取得し、前記前処理した後の入力データが、前処理の3D環境データ、前処理のセンサデータ、前処理のタワーデータ及び現在位置設定範囲内の前処理のGISマップデータを含む。
【0041】
本実施例では、入力データについて前処理が行われ、前処理が、データ外れ値点の除去、データ標準化を含み、他の実施例では、実際のニーズに応じてデータ前処理の方法を選出してよい。
【0042】
ステップS300において、前記前処理のセンサデータに基づいて航空機が突発故障状態にあるか否かを判断し、そうである場合、ステップS400に進み、そうでない場合、ステップS100に進む。
【0043】
本実施例では、入力データについて前処理した後に、前処理のセンサデータに応じて航空機が突発故障状態にあるか否かを判断し、そうである場合、直接に落下傘降下のタイミング予測を行い、正常状態にある場合、入力データの収集を続行している。
【0044】
本発明において、故障臨界点分析モデルを用いて航空機が突発故障状態にあるか否かを判断し、前記故障臨界点分析モデルは、1DU-Netネットワークに基づいて構築され、訓練を経て航空機が故障状態にあるか否かを判断するために用いられる。
【0045】
そのうち、前記改良された1DU-Netネットワークにおけるエンコーダとデコーダの同スケールの特徴は段階に跨って繋がる時に、畳み込み及び残差接続処理された後につなぎ合わせられ、その方法は、以下の通りである。
【0046】
エンコーダにおけるエンコードモジュールによりエンコードされた後の特徴を、順に繋がったN個の残差畳み込みモジュールによって処理し、処理後に、前記デコーダにおける同スケールの特徴とつなぎ合わせて、デコーダにおけるデコードモジュールに対応する入力としている。
【0047】
前記残差畳み込みモジュールは、1つの3×1の畳み込み層、及び1つの1×1の残差層を含み、前記残差畳み込みモジュールは、入力された特徴についてそれぞれ畳み込み及び残差処理を行い、処理後に加算を行うために用いられる。
【0048】
ステップS400において、落下傘降下待機者の体重データを取得し、前記前処理の3D環境データ、前記現在位置設定範囲内の前処理のGISマップデータに結びつけて、落下傘降下の移動軌跡、落下傘降下地点の範囲を生成している。
【0049】
本実施例では、落下傘降下待機者の体重データを取得して、前処理の3D環境データに結びつけ、飛行力学方法又は空気動力学方法により、落下傘降下待機者の落下傘降下の移動軌跡を生成し、落下傘降下待機者の現在位置及び現在位置設定範囲内のGISマップデータに結びつけ、これにより落下傘降下地点の範囲を取得する。そのうち、飛行力学方法又は空気動力学方法は従来技術であり、ここでは個々に説明しない。
【0050】
ステップS500において、前記前処理の3D環境データ、前記前処理のセンサデータ及び前記現在位置設定範囲内の前処理のGISマップデータに応じて、落下傘降下待機者が落下傘降下した後の航空機の移動軌跡、落下地点の範囲、及び航空機が落下した後に発生する衝撃力と破壊範囲を算出している。
【0051】
本実施例では、落下傘降下待機者が落下傘降下した後の航空機の移動軌跡、落下地点の範囲、及び航空機が落下した後に発生する衝撃力と破壊範囲を算出し、具体的には、以下の通りである。
【0052】
突発故障の航空機の故障種類(即ち航空機の具体的な故障位置)を取得し、故障種類について飛行機全体のパラメータ及び飛行動力学特性を分析し、モデルを再構築して、飛行機が突発故障した時の新たな非線形モデルを取得している。
【0053】
前記航空機が突発故障した時の新な非線形モデルは、エンジン故障の非線形動力学モデル、液圧失陥の非線形動力学モデル、燃料タンク失陥の非線形動力学モデル、及び金属疲労の非線形動力学モデルを含む。液圧失陥の非線形動力学モデル、燃料タンク失陥の非線形動力学モデル、及び金属疲労の非線形動力学モデルのいずれも従来技術を採用し、ここでは個々に説明しない。
【0054】
そのうち、エンジン故障の非線形動力学モデルは、以下の通りである。
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
そのうち、
はロール角を表し、
はピッチ角を表し、
はヨー角を表し、
、
、
は飛行体座標系の3軸方向まわりの慣性モーメントを表し、
及び
はそれぞれ周波数及びダンピングであり、
は空気動力のゲインを表し、
は、航空機モータに出力されるパルス幅信号値(本発明は、好ましくは、新型電動的な航空機エンジンに対応するものであるため、パルス幅信号値を取得する必要がある)を表し、
は添え字、即ち
個目の航空機エンジンを表し、
は、航空機の飛行過程における抵抗係数を表し、
、
、
及び
、
、
は、それぞれ
、
、
の一階微分量及び二階微分量を表す。
【0059】
また、本発明は、小型機、練習機、及び戦闘機などの航空機に対応するものであるため、落下傘降下の方式は、射出座席スラスターによって射出されることが好ましく、射出座席スラスターが射出を完成する時、スラストは航空機の飛行軌跡に比較的に大きな影響を与える。そのため、下記実施例では、まず落下傘降下待機者の射出が射出座席スラスターによって完成された時の航空機のピッチ角を算出し、その後、非線形動力学モデルによって、前処理の3D環境データ、センサデータに結びつけて、落下傘降下待機者が落下傘降下した後の航空機の移動軌跡を取得する。
【0060】
本発明は、航空機のピッチ角を算出する時に、航空機が水平飛行の状態にあると仮定し、そうすると落下傘降下待機者の射出が射出座席スラスターによって完成される時の航空機のピッチ角の取得方法は、以下の通りである。
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
そのうち、
及び
は、それぞれ、落下傘降下待機者の射出が射出座席スラスターによって行われる前及び行われた後の航空機のピッチ角を表し、
は、射出座席スラスターによる射出後の航空機ピッチ角の変化量を表し、
は垂直方向の加速度を表し、
は射出座席スラスターの射出時間を表し、
は航空機の質量を表し、
は、航空機の水平方向における速度を表し、
は射出座席スラスターのスラスト
の
軸における成分を表し、
は、射出座席スラスターのインストールパッケージ角を表し、
は射出座席スラスターのロール角であり、
は射出座席スラスターの迎角であり、
は射出座席スラスターの傾斜角を表す。
【0066】
前記航空機の移動軌跡に基づいて、現在位置設定範囲内のGISマップデータに結びつけて落下地点の範囲を算出している。
【0067】
最後に、前記GISマップデータ及び前記落下地点の範囲に基づいて、落下地点の範囲内に対応する地形状況(具体的には、地上の建物状況、人員状況、及び落下するにあたって衝突しうる物体の硬度を取得する)を取得し、これにより航空機が落下した後に発生する衝撃力及び破壊範囲を算出する。
【0068】
ステップS600において、前記落下傘降下の移動軌跡、前記落下傘降下待機者が落下傘降下した後の航空機の移動軌跡に基づいて、落下傘降下後に同じ時点で落下傘降下待機者と航空機との最小水平距離、最大水平距離、最小垂直距離、及び最大垂直距離を算出し、前記落下傘降下地点の範囲、前記航空機落下地点の範囲、前記航空機が落下した後に発生する衝撃力と破壊範囲、及び前記前処理のタワーデータに結びつけて、事前構築された落下傘降下時間予測モデルによって、落下傘降下待機者の落下傘降下時間の予測結果を取得する。
【0069】
本実施例では、
図4に示すように、畳み込みニューラルネットワーク、長期短期記憶人工ニューラルネットワーク、特徴処理モジュール及び機械学習モデルに基づいて、落下傘降下時間予測モデルを構築している。
【0070】
前記畳み込みニューラルネットワーク及び長期短期記憶人工ニューラルネットワーク(そのうち、畳み込みニューラルネットワークの畳み込みカーネルの長さは、長期短期記憶人工ニューラルネットワークにおける時間ステップの大きさと一致する)は、設定される時間帯内の入力データの特徴を平行に抽出し、畳み込みニューラルネットワークによって抽出された特徴を第1特徴とし、長期短期記憶人工ニューラルネットワークによって抽出された特徴を第2特徴とするために用いられている。
【0071】
前記特徴処理モジュールは、抽出された第1特徴と第2特徴を融合し、融合後の特徴を第3特徴とし、前記第3特徴及び前記第1特徴について残差接続、層正規化処理を行い、処理後の特徴を第4特徴とするように構成される。
【0072】
前記機械学習モデルは、サポートベクタマシン回帰モデルであり、前記第4特徴についてサポートベクトル回帰演算を行った後に、前記落下傘降下待機者の落下傘降下時間の予測結果を取得するために用いられている。
【0073】
そのうち、サポートベクタマシン回帰モデルは、訓練時に、L1、L2混合ノルム関数(Hybrid norm function)を損失関数とし、ラプラス関数をカーネル関数として、ヒューリスティック確率的探索アルゴリズム(Heuristic Random Search Algorithm)によって損失関数における正則化パラメータ及びラプラス関数におけるカーネル幅パラメータを選出し、損失関数は具体的には、以下の通りである。
【0074】
【0075】
そのうち、
は損失関数を表し、
、
は正則化パラメータを表し、
はサポートベクタマシン回帰モデルの入力を表し、
及び
は、それぞれ落下傘降下待機者の落下傘降下時間の予測結果及び真値ラベル(即ち落下傘降下待機者の落下傘降下の実時間)であり、
は、予め設定された重みパラメータを表す。
【0076】
図3に示すように、上記構築された落下傘降下時間予測モデル及び損失関数に基づいてモデルを訓練し、訓練完成後に、訓練されたモデルによって落下傘降下待機者の落下傘降下時間の予測結果を取得する。
【0077】
また、本出願の突発故障時の落下傘降下時間に対する予測方法は、落下傘降下模擬訓練の過程にも応用されうる。例えば、フルフライトシミュレータにおいて、落下傘降下者は、模擬の落下傘降下環境に応じて適切な落下傘降下時間を選択し、その後、本発明の方法は正確な落下傘降下時間を算出し、落下傘降下者にフィードバックし、これにより落下傘降下の模擬訓練及び教学が行われる。
【0078】
本発明の第2実施例の突発故障時の落下傘降下時間に対する予測システムは、
図2に示すように、データ取得モジュール100、前処理モジュール200、故障状態判断モジュール300、落下傘降下データ算出モジュール400、航空機データ算出モジュール500、及び時間予測モジュール600を備える。
【0079】
前記データ取得モジュール100は、入力データとして、航空機が設定航路で飛行する時の3D環境データ、センサデータ、受信したタワーデータ及び現在位置設定範囲内のGISマップデータを取得するように構成され、前記3D環境データが、異なる海抜高度の天気状況、気温、気圧、及び風力を含む。
【0080】
前記前処理モジュール200は、前記入力データについて前処理を行い、前処理した後の入力データを取得するように構成され、前記前処理した後の入力データが、前処理の3D環境データ、前処理のセンサデータ、前処理のタワーデータ及び現在位置設定範囲内の前処理のGISマップデータを含む。
【0081】
前記故障状態判断モジュール300は、前記前処理のセンサデータに基づいて、航空機が突発故障状態にあるか否かを判断し、そうである場合、落下傘降下データ算出モジュール400に進み、そうでない場合、データ取得モジュール100に進むように構成されている。
【0082】
前記落下傘降下データ算出モジュール400は、落下傘降下待機者の体重データを取得し、前記前処理の3D環境データ、前記現在位置設定範囲内の前処理のGISマップデータに結びつけて、落下傘降下の移動軌跡、落下傘降下地点の範囲を生成するように構成されている。
【0083】
前記航空機データ算出モジュール500は、前記前処理の3D環境データ、前記前処理のセンサデータ及び前記現在位置設定範囲内の前処理のGISマップデータに応じて、落下傘降下待機者が落下傘降下した後の航空機の移動軌跡、落下地点の範囲、航空機が落下した後に発生する衝撃力及び破壊範囲を算出するように構成されている。
【0084】
前記時間予測モジュール600は、前記落下傘降下の移動軌跡、前記落下傘降下待機者が落下傘降下した後の航空機の移動軌跡に基づいて、落下傘降下後に同じ時点で落下傘降下待機者と航空機との最小水平距離、最大水平距離、最小垂直距離、及び最大垂直距離を算出し、前記落下傘降下地点の範囲、前記航空機落下地点の範囲、前記航空機が落下した後に発生する衝撃力と破壊範囲、及び前記前処理のタワーデータに結びつけて、事前構築された落下傘降下時間予測モデルによって、落下傘降下待機者の落下傘降下時間の予測結果を取得するように構成される。
【0085】
なお、上記実施例に係る突発故障時の落下傘降下時間に対する予測システムは、単に上記各機能モジュールの区画を説明のための例に挙げ、実際の応用では、以上に記載された全て又は一部の機能を完成させるために、必要に応じて上記機能を異なる機能モジュールに割り当てて完成させることができ、即ち、本発明の実施例におけるモジュール又はステップを再分解し又は組み合わせて、例えば、上記実施例のモジュールを1つのモジュールとして合併してもよいし、さらに複数のサブモジュールに分割してもよい。本発明の実施例に係るモジュール、ステップの名称は、各モジュール又はステップを区別するためのものに過ぎず、本発明への不適切な限定と見なされるべきではない。
【0086】
本発明の第3実施例の電子機器は、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つの前記プロセッサに通信接続されるメモリとを備え、そのうち、前記メモリには前記プロセッサによって実行可能な命令が記憶され、前記命令は、前記プロセッサによって実行されて上記の突発故障時の落下傘降下時間に対する予測方法を実現するために用いられる。
【0087】
本発明の第4実施例のコンピュータ可読記憶媒体は、前記コンピュータ可読記憶媒体には、コンピュータ命令が記憶され、前記コンピュータ命令は、前記コンピュータによって実行されて上記の突発故障時の落下傘降下時間に対する予測方法を実現するために用いられる。
【0088】
当業者であれば、説明を容易及び簡単にするために、上記に記載された記憶装置、処理装置の具体的な作動過程及び関連する説明は、前述の方法の実施例における対応する過程を参考できるということを明白に理解することができ、ここでは繰り返し説明しない。
【0089】
以下、
図5を参照して、そこには、本出願の方法、システム、及び装置の実施例の実現に適したサーバのコンピュータシステムの構造模式図が示されている。
図5に示すサーバは、1つの例示的なものに過ぎず、本出願の実施例の機能及び使用範囲にいかなる限定も与えるべきではない。
【0090】
図5に示すように、コンピュータシステムは、リードオンリーメモリ(ROM,Read Only Memory)502に記憶されるプログラム、又は記憶部分508からランダムアクセスメモリ(RAM,Random Access Memory)503にロードされるプログラムに応じて各種の適切な動作及び処理を実行可能な中央処理ユニット(CPU,Central Processing Unit)501を備える。RAM503には、システムの操作に必要な各種のプログラム及びデータがさらに記憶されている。CPU501、ROM502及びRAM503は、互いにバス504を介して繋がる。入力/出力(I/O,Input/Output)インタフェース505もバス504に接続される。
【0091】
以下の部材、即ち、キーボード、マウスなどを含む入力部分506と、例えば陰極線管(CRT,Cathode Ray Tube)、液晶ディスプレイ(LCD,Liquid Crystal Display)など、及びスピーカなどを含む出力部分507と、ハードディスクなどを含む記憶部分508と、例えばローカルネットワーク(LAN,Local Area Network)カード、モデムなどのネットワークインタフェースカードを含む通信部分509とは、I/Oインタフェース505に接続される。通信部分509は例えばインターネットのネットワークを介して通信処理を実行する。ドライバ510も必要に応じてI/Oインタフェース505に接続される。リムーバブルメディア511、例えば磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリなどは、必要に応じてドライバ510に取り付けられ、これにより、そこから読み取られたコンピュータプログラムが必要に応じて記憶部分508にインストールされることが容易になる。
【0092】
特に、本発明の実施例によれば、以上のフローチャートを参照して説明した過程は、コンピュータソフトウェアプログラムとして実現されることができる。たとえば、本発明の実施例は、コンピュータ読み取り可能な媒体に載せられた、フローチャートに示す方法を実行するためのプログラムコードを含むコンピュータプログラムを含む、コンピュータプログラム製品を含む。このような実施例において、該コンピュータプログラムは、通信によって部分的にネットワークからダウンロードしてインストールされ、および/またはリムーバブル媒体からインストールされてもよい。該コンピュータプログラムは、中央処理装置(CPU)により実行される場合、本発明の方法において限定された上記機能を実行する。なお、本発明に係るコンピュータ読み取り可能な媒体は、コンピュータ読み取り可能な信号媒体またはコンピュータ読み取り可能な記憶媒体または上記両者の任意の組合せであってもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、たとえば、電気、磁気、光、電磁気、赤外線、または半導体のシステム、装置またはデバイス、または任意の以上の組合せを含んでもよいがこれらに限定されない。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体のより具体例は、1つまたは複数のワイヤを有する電気的接続、ポータブルコンピュータディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリー(RAM)、読み取り専用メモリー(ROM)、消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリー(EPROMまたはフラッシュメモリー)、光ファイバ、ポータブルコンパクトディスク読み取り専用メモリー(CD-ROM)、光ストレージコンポーネント、磁気ストレージデバイス、または上記任意の接的な組合せを含んでもよいがこれらに限定されない。本発明において、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、いずれのプログラムを含むまたは記憶する有形媒体であってもよく、該プログラムは、命令実行システム、装置またはデバイスで使用されるか、またはそれと組み合わせて使用させてもよい。本発明において、コンピュータ読み取り可能な信号媒体は、ベースバンドに含まれてもよいか、またはキャリアウェーブの一部として伝送する、コンピュータ読み取り可能なプログラムコードが載せられたデータ信号であってもよい。このような伝送するデータ信号は、複数種の形態を利用することができ、電磁信号、光信号または上記の任意の適当な組合せを含むが、これらに限定されない。コンピュータ読み取り可能な信号媒体は、さらに、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体以外のいずれのコンピュータ読み取り可能な媒体であってもよく、該コンピュータ読み取り可能な媒体は、命令実行システム、装置またはデバイスで使用されるか、またはそれと組み合わせて使用するプログラムを送信、伝送または輸送することができる。コンピュータ読み取り可能な媒体に含まれるプログラムコードは、任意の適当な媒体で輸送されることができ、無線、ワイヤ、光ケーブル、RF(無線周波数)など、または上記の任意の適合な組合せを含むが、これらに限定されない。
【0093】
1種または複数種のプログラムデザイン言語またはその組合せで本発明の操作を実行するためのコンピュータプログラムコードを書き、上記プログラムデザイン言語は、オブジェクト指向プログラミング言語、たとえば、Java(登録商標)、Smalltalk、C++を含み、従来の手続型プログラムデザイン言語、たとえば「C」言語または類似のプログラムデザイン言語をさらに含む。プログラムコードは、完全にユーザコンピュータで実行され、部分的にユーザコンピュータで実行され、1つの独立なソフトウェアパッケージとして実行され、部分的にユーザコンピュータで部分的にリモートコンピュータで実行され、または完全にリモートコンピュータまたはサーバで実行されてもよい。リモートコンピュータに関する状況において、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)または広域ネットワーク(WAN)を含む任意の種類のネットワークによってユーザコンピュータに接続されることができ、或いは、外部コンピュータに接続される(たとえば、インターネットサービスプロバイダを用いてインターネットによって接続される)ことができる。
【0094】
図面におけるフローチャートとブロック図は、本発明の各種の実施例に係るシステム、方法及びコンピュータプログラム製品の実現可能なシステムアーキテクチャ、機能及び操作を示す。この点では、フローチャートまたはブロック図における各ボックスは1つのモジュール、プログラムセグメント、またはコードの一部を代表することができ、該モジュール、プログラムセグメント、またはコードの一部が1つまたは複数の所定のロジック機能を実現するための実行可能な命令を含む。注意すべきものとして、幾つかの切り替え可能な実現において、ボックスに表記した機能も図面に表記した順序と異なるもので発生することができる。例えば、2つの連続して示すボックスは実際に基本的に並行して実行でき、それらは関連する機能によれば、逆の順序で実行される場合がある。また、注意する必要があるものとして、ブロック図及び/またはフローチャートにおける各ボックス、及びブロック図及び/またはフローチャートにおけるボックスの組み合わせは、所定の機能または操作を実行する専用のハードウェアに基づくシステムで実現されることができるか、または専用のハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせで実現されることができる。
【0095】
また、用語「第1」「第2」などは、類似する対象を区分するためのものに過ぎず、特定の順序または時間的順序を説明又は表示するためのものではない。
【0096】
用語「含む」または何れの他の類似用語は、非排他的に含むことを意味する。したがって、一連の要素を含む過程、方法、物または装置/デバイスには、それらの要素に加え、その他の明示しない要素を含み、或いは、これらの過程、方法、物、または装置/デバイスに固有する要素をさらに含むことができる。
【0097】
ここに至って、図面に示す好適な実施形態を結び付けて本発明の技術案について説明したが、当業者であれば、本発明の保護範囲は、これらの具体的な実施形態に限定されないことを理解すべきである。本発明の原理から逸脱しない限り、当業者が関連技術特徴に対して均等な変更または置換を行うことができ、これらの変更または置換された技術案は、本発明の保護範囲に含まれるべきである。