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  • 特許-ガス透過構造体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】ガス透過構造体
(51)【国際特許分類】
   B01D 69/00 20060101AFI20220914BHJP
   B65D 51/16 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
B01D69/00
B65D51/16 310
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018109842
(22)【出願日】2018-05-22
(65)【公開番号】P2019202306
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2021-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】305011787
【氏名又は名称】睦月電機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】斎 聖一
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】実開昭54-109058(JP,U)
【文献】特開2002-289172(JP,A)
【文献】特開2017-220656(JP,A)
【文献】実開昭62-031369(JP,U)
【文献】特開2016-103631(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0283839(US,A1)
【文献】特公昭51-044191(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/22
61/00-71/82
C02F 1/44
B01D 39/00-41/04
H01M 50/30-50/392
B65D 35/44-35/54
39/00-55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉容器の内部に発生したガスを外部に排出させるように容器本体の基材に形成したガス透過構造体であって、前記基材にはガスが排出される方向に内外面に連通した多数の孔が形成されており、前記多数の孔には固形状のコア素子が配設されてあって、前記コア素子は前記多数の孔のそれぞれの孔の内表面と部分的に接触しており、前記密閉容器の内部のガス圧で前記コア素子が撓んで前記孔の内表面から離間して前記多数の孔のそれぞれが連通してガス透過路となるガス透過構造体において、前記コア素子は、フッ素樹脂またはシリコーンゴムでできており、前記多数の孔の隣接する孔に連接部で接続して配設されていることを特徴とするガス透過構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水分を透過させにくくしてガス透過性をもたせるガス透過構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
密閉容器の内部に発生したガスを外部に排出ができるように容器本体に形成したガス透過構造体において、水分を透過させにくくしてガス透過性をもたせるガス透過構造体が種々提案されている。
【0003】
特許文献1にて、内容物を密閉構造に収容するケースの通気構造にもちいられるように、通気性を有し水蒸気の透過を防止しうる水蒸気透過防止多孔膜で、この多孔膜はポリオレフィン系樹脂と無機粉体と可塑剤を主体とする原料組成物を溶融混練して製膜した膜か可塑剤を除去することから得られる膜であり、可塑剤が抜けたことで形成される平均孔径が約0.1~0.2μmの孔と、無機粉体自体がもともと有する平均孔径が約0.01~0.05μmの孔との主に2種類の孔を有した構造となって、全体として、平均細孔径が0.05~0.2μmの孔構造で親水性多孔膜となって、膜全体に均一かつ微細で複雑に入り組んだ複雑な経路を有する無数の連通孔が形成されて、酸素等のガスを透過させ、また、細孔表面が親水性となっているので、水蒸気が膜を通過しようとすると、細孔内で水蒸気が凝縮を起こして液体である水に変化し、細孔を通過できないようにした多孔質構造の膜が提案されている。
【0004】
しかし、特許文献1にて提案された多孔膜は、酸素等のガスは透過させ、水蒸気を透過させない選択透過性を有するガス透過構造体の提案であるが、内外表面が親水性となった多孔膜をもちいる必要がある。
【0005】
また、特許文献2にて、微孔を透設した有孔フイルムの片面に透過性樹脂膜を被着形成し、他面に、切り込みを施した不透過性フイルム被着して内側からの昇圧によって切り込みが開口し、内側からの気体が透過性樹脂膜から微孔を介して開口した切り込みから外に抜けて気体透過性となるプラスチックフイルムを容器のシール蓋等として用いられるガス透過構造体が提案されている。
【0006】
しかし、特許文献2にて提案された昇圧により気体透過性(ガス透過性)となるプラスチックフイルムにあっては、ガスを透過する微孔には透過性樹脂膜および切り込みを施した不透過性フイルムが必要であり、切り込みは各微孔毎に施す必要がある。
【0007】
また、特許文献3にて、水蒸気などの水分を遮断して密閉容器の内部にて発生したガスを密閉容器の外部に排出しやすくするガス透過部材として、密閉容器本体(容器本体)に貫通孔を形成してこの貫通孔は気体の透過性の差を利用したガス選択作用が発現するように水蒸気などの水分を遮断させる大きさの孔径に設定されて、水分を透過させにくくしてガスを透過させるガス透過構造体を本願の発明者らが提案している。
【0008】
この特許文献3に提案するガス透過構造体は、気体の透過性の差を利用したガス選択作用が発現するように水蒸気などの水分を遮断させる大きさの孔径に設定して貫通孔をもちいる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2012-30184号公報
【文献】特開平11-301748号公報
【文献】特開2016-103631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、特許文献1のような内外表面が親水性の多孔膜としたり、特許文献2のような透過性樹脂膜および切り込みを施した不透過性フイルムをもちいたりせずに、また、特許文献3のような水蒸気などの水分を遮断させる大きさの孔径に設定する必要がなく、簡単な構成で水分を透過させにくくしてガス透過性をもたせるガス透過構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の請求項1に記載のガス透過構造体は、密閉容器の内部に発生したガスを外部に排出させるように容器本体の基材に形成したガス透過構造体であって、前記基材にはガスが排出される方向に内外面に連通した多数の孔が形成されており、前記多数の孔には固形状のコア素子が配設されてあって、前記コア素子は前記多数の孔のそれぞれの孔の内表面と部分的に接触しており、前記密閉容器の内部のガス圧で前記コア素子が撓んで前記孔の内表面から離間して前記多数の孔のそれぞれが連通してガス透過路となるガス透過構造体において、前記コア素子は、フッ素樹脂またはシリコーンゴムでできており、前記多数の孔の隣接する孔に連接部で接続して配設されていることを特徴とするガス透過構造体。
【発明の効果】
【0012】
本発明のガス透過構造体は、密閉容器の内部に発生したガスを外部に排出させるように容器本体の基材に形成したガス透過構造体であって、前記基材にはガスが排出される方向に内外面に連通した多数の孔が形成されており、前記多数の孔には固形状のコア素子が配設されてあって、前記コア素子は前記多数の孔のそれぞれの孔の内表面と部分的に接触しており、前記密閉容器の内部のガス圧で前記コア素子が撓んで前記孔の内表面から離間して前記多数の孔のそれぞれが連通してガス透過路となるガス透過構造体において、前記コア素子は、フッ素樹脂またはシリコーンゴムでできており、前記多数の孔の隣接する孔に連接部で接続して配設されているので、コア素子が基材の内外面に連通した孔の内表面に部分的に接触することにより水分を透過させにくくしてガス透過性をもたせ、密閉容器の内部のガス圧でコア素子が撓んで部分的に接触している部位が離間することによりガスが外部に排出される簡単な構成でガス透過構造体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態1で、容器本体の構成部材となる基材を有するガス透過構造体を示す部分断面拡大図である。
図2】本発明の実施形態1で、ガス透過構造体におけるガス透過路を示す部分断面図である。
図3】本発明の実施形態1で、容器本体の構成部材となる基材を有するガス透過構造体を示す平面図である。
図4】本発明の実施形態1で、ガス透過構造体が形成された密閉容器を示す断面図である。
図5】本発明の実施形態2で、ガス透過構造体におけるガス透過路を示す部分断面図である。
図6図5のガス透過路におけるガス透過作用を示す部分断面図である。
図7】本発明の実施形態3で、ガス透過構造体の基材が容器本体内の圧力を受けていない状態を示す断面図であり、その要部を付記して拡大した断面図である。
図8】本発明の実施形態3で、図7に示す基材が容器本体内の圧力を受けて上方に撓んだ状態を示す断面図であり、その要部を付記して拡大した断面図である。
図9】本発明の実施形態4で、ガス透過構造体の異なる実施形態の要部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0015】
(実施形態1)
図1図4は容器本体の構成部材となる基材を有するガス透過構造体を示し、以下説明する。
【0016】
図4は、内部にガスが発生する密閉容器9として電気二重層キャパシタやリチウム電池などの密閉型電気化学デバイスの密閉容器を例示している。この密閉容器9を密閉させる容器本体は、ガス排出孔5Aを有する蓋体5と一端(図4においては上端)が開口した箱体6とからなり、箱体6の開口した前記一端は蓋体5にて閉塞されている。この蓋体5のガス排出孔5Aがガス透過構造体の基材1にて覆われるようにガス透過構造体の基材1が蓋体5に密着接合されることにより、蓋体5と箱体6と基材1とで容器本体が構成されている。この箱体6の内部の空間部6Aには電解質7が収容されている。また、蓋体5には電極端子8、8が形成されており、この電極端子8、8は箱体6内の電解質7に電気接続されている。このようにして、ガス透過構造体は容器本体に形成されているので、密閉型電気化学デバイスの密閉容器9においてその内部に発生したガスをガス排出孔5Aから外部に排出させることができる。
【0017】
次に、図1図3にて容器本体の構成部材となる基材1を有するガス透過構造体を説明する。
【0018】
図1図3において、ガス排出孔5Aを覆う基材1には密閉容器9の内部(図1においては下部)に発生したガスがガス排出孔5Aから矢印方向に流れて外部(図1においては上部)に排出されるよう外部と連通した多数の孔2が形成されており、各孔2には固形状のコア素子3が配設されている。この基材1の素材は外部と連通した多数の孔2を形成できる素材であれば、金属材や非金属材などガス透過性を有しない任意の素材でよい。また、固形状のコア素子3の素材は、基材1の孔2に配設される素材であれば、金属材や非金属材など任意の固形状の素材であればよい。各孔2に配設されるコア素子3において、ガスが排出される方向に隣接する孔2のそれぞれに配設されるコア素子3は連接部31で接続されており、基材1の表面にはガスがガス透過路4から外部に排出されるように開口部4Aが形成されている。
【0019】
各孔2に固形状のコア素子3がその外周と孔2の内表面2Aとが共有結合でない接触した状態で配設されているが、図1および図2に示すように、前記内部に発生したガスが矢印方向に流れて前記外部に排出されるようにコア素子3の外周と孔2の内表面2Aとが離間するように間隔が変化するガス透過路4を構成している。なお、このガス透過路4は、コア素子3の外周と孔2の内表面2Aとの接触状態から離間状態となる間隔は微小な間隙であり、その大きさは、ガス透過構造体としてもちいる用途に応じて、孔2とコア素子3の大きさとの関係で設定すればよい。また、基材1には外部と連通した多数の孔2が形成されているので、コア素子3の外周と孔2の内表面との間隔を各孔2において異なるように配設する構成にしてもよい。
【0020】
図1図3における基材1の孔2にガス透過路4を備える方法について、図示しないが、連続気泡構造のスポンジ材をもちいた基材1において、連続気泡構造の部位を孔2とし、この連続気泡構造の部位(孔2)にコア素子3を配設する構成を説明する。連続気泡構造のスポンジ材としてポリウレタン、ポリオレフィンなどの気泡ポリマーをもちい、このスポンジ材をシリコーンオイル液に浸漬し、加硫して、スポンジ材にシリコーンを充填させて後、スポンジ材の内表面および外表面にあるシリコーン充填体を除去することにより、基材1の連続気泡でできた孔2にシリコーン充填体でできたコア素子3が配設されたガス透過構造体が得られる。このガス透過構造体には、接着性の小さい素材を利用するようにシリコーンゴムを主成分としてできたシリコーン充填体でできたコア素子3が基材1の連続気泡でできた孔2に配設されているので、コア素子3の外周と孔2の内表面とが離間しやすく、コア素子3の外周と孔2の内表面との間隔が変化するガス透過路4を備えることができる。
【0021】
このように、実施形態1に示すガス透過路4を備えたガス透過構造体は、密閉容器9の内部に発生したガスを外部に排出させるようにガス排出孔5Aを有する容器本体に形成したガス透過構造体であって、基材1と、基材1の内外面に連通した多数の孔2と、各孔2に配設した固形状のコア素子3と、コア素子3の外周と孔2の内表面との間隔が密閉容器9の内部に発生したガス圧で変化するガス透過路4を備えた構成であるので、簡単な構成で水分を透過させにくくしてガス透過性をもたせるガス透過構造体を提供することができる。なお、ガス透過構造体は、その基材1にて蓋体5のガス排出孔5Aを覆うようにした構成を説明しているが、ガス排出孔5Aをガス透過構造体の基材1の孔2とする構成にして蓋体5とガス透過構造体の基材1と同一部材としてもよい。
【0022】
(実施形態2)
図5および図6は、実施形態1に示す容器本体の構成部材となる基材1を有するガス透過構造体において、基材1の孔2に可撓性のあるコア素子3が配設されたガス透過構造体を示す。
【0023】
図5において、実施形態1と同様に基材1には外部と連通した多数の孔2が形成されており、この孔2のそれぞれには固形状のコア素子3が配設されている。各孔2においてコア素子3の外周と孔2の内表面2Aとは離間して微小な間隙を有するガス透過路4が配設されているが、このガス透過路4においては、部分的(図5においては、孔の内面の左右側)に接触させて、外圧で接離自在となる。また、基材1の素材は外部と連通した多数の孔2が形成できる素材であれば、実施形態1と同様に金属材や非金属材など任意の素材でよいが、コア素子3の素材は可撓性を有する素材で、フッ素樹脂やシリコーンゴムが例示できる。このように可撓性のあるコア素子3は各孔2に配設されており、ガスが排出される方向に隣接する孔2のそれぞれに配設されるコア素子3は実施形態1と同様に連接部31で接続されている。なお、コア素子3の素材として可撓性を有する素材をもちいているが、基材1の素材にも可撓性を有する素材をもちいて可撓性のある基材1の孔2に可撓性のあるコア素子3が配設されたガス透過構造体構成してもよい。また、基材1の素材と孔2の素材とを接着作用の小さな素材であれば、例えば、フッ素樹脂材をもちいてもよい。
【0024】
図6において、基材1は矢印方向すなわち下面から上面に向かって、ガス圧を受けて、このガス圧により、コア素子3が撓んで孔2の内面と部分的に接触していた部位(図6においては孔の内面の右側)が離間してコア素子3の外周と孔2の内面との間隔が変化するガス透過路4が得られ、ガス透過路4は水分を透過させにくくさせ、このガス透過路4からガスが流れて外部に排出される。このとき、基材1のガス圧を受ける部分の厚さが薄くなるとともに孔2が押し広がり、ガスの排出量が多くなるので、基材1が受ける圧力変化によりガス透過量が変化する。なお、この場合、基材1の素材にも可撓性を有する素材を構成すれば、孔2も広がり、ガス圧により間隔の変化がしやすくなり、ガスの排出が向上する。
【0025】
このように、実施形態2に示すガス透過路4を備えたガス透過構造体は、可撓性を有するコア素子3をもちいて孔2に配設した固形状のコア素子3の外周と孔2の内表面2Aとの間隔がガス圧により変化させたガス透過路4を構成して、簡単な構成で水分を透過させにくくしてガス透過性をもたせ、ガス透過量を変化させることができる。
【0026】
(実施形態3)
図7および図8は、図4に例示した容器本体の蓋体5のガス排出孔5Aをガス透過構造体の基材1にて覆うように容器本体に形成したガス透過構造体において、基材1が可撓性のある素材でできたガス透過構造体を示す。
【0027】
図7において、ガス透過構造体の基材1に形成された孔2は連接部31で接続された2つの孔2を図示するが、ガス透過構造体の基材1は実施形態1と同様に外部と連通した多数の孔2が形成されている。基材1は可撓性のある素材でできており、その素材としては、フッ素樹脂やシリコーンゴムが例示でき、内面から外面に連通した孔2が形成されている。コア素子3は無機質の球形状の粒子でその粒径は各コア素子3が基材1の各孔2の内表面に接触しない大きさで、各孔2に充填されて、各孔2にガス透過路4を備えている。このガス透過構造体の基材1は可撓性のある素材でできているが、密閉容器の内部(図8においては下部)からガス圧が発生していない状態では、基材1が変形しないので、基材1の孔2は変形しない。
【0028】
図8において、密閉容器の内部(図8においては下部)からガス圧が発生して基材1を矢印方向のガス圧が発生すると、このガス圧を受けた基材1は変形して基材1の孔2も変形してコア素子3の外周と孔2の内表面2Aとの間隔が変化する。このとき、基材1のガス圧を受ける部分の厚さが薄くなるとともに孔2が押し広がり、ガスの排出量が多くなるので、基材1が受ける圧力変化によりガス透過量が変化する。
【0029】
このように、実施形態3に示すガス透過路4を備えたガス透過構造体は、可撓性を有する基材1をもちいて固形状のコア素子3の外周と孔2の内表面2Aとの間隔がガス圧により異なるようにしているので、ガス圧によるガスの流れを変化させたガス透過路4を構成して、簡単な構成で水分を透過させにくくしてガス透過性をもたせることができ、さらに、ガス透過量を変化させることができる。
【0030】
(実施形態4)
図9は、図4に例示した密閉容器9を密閉させる容器本体の構成部材となる基材を有するガス透過構造体において、繊維間が内外面に連通するように繊維を絡ませた不織布材でできたガス透過構造体を示す。
【0031】
図9において、基材1は繊維間が内外面に連通するように繊維20を絡ませた不織布材でできており、この繊維間が外部と連通した多数の孔21となって、実施形態1から3に示す孔2と同様な構成であり、各孔21においてコア素子3の外周と孔21の内表面21Aとが接触や離間して分布するようにコア素子3の素材を孔21のそれぞれに入れて不織布材ででき基材1と、基材1の内外面に連通した孔21と、孔21に配設したコア素子3と、コア素子3の外周と孔21の内表面21Aとの間隔が密閉容器9の内部に発生したガス圧で変化するガス透過路4を備えたガス透過構造体が得られる。この場合、繊維20の素材は繊維間が内外面に連通するように繊維20を絡ませた不織布材であれば金属繊維やポリマー繊維など特定しないが、接着作用が少なく可撓性のある素材でできるように、例えば、繊維20の素材をフッ素樹脂材とし、コア素子3の素材をシリコーンゴムとすることにより、コア素子3の外周と孔21の内表面21Aとが接触してあっても離間しやすいので、コア素子3の外周と孔21の内表面21Aとが接離自在なガス透過路4が得られる。このように内外面に連通するように繊維20を絡ませた不織布材でできた基材1をもちいて孔21のそれぞれにはコア素子3を配設させているので、基材1が受ける圧力変化によりコア素子3の外周と孔21の内表面21Aとの間隔が密閉容器の内部に発生したガス圧で変化して簡単な構成で水分を透過させにくくしてガス透過性をもたせ、ガス透過量が変化するガス透過構造体が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明のガス透過構造体は、パッキンやフィルタや安全弁として利用できる。
【符号の説明】
【0033】
1 基材
2、21 孔
3 コア素子
4 ガス透過路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9