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特許7140957医療情報管理システム及び医療情報管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】医療情報管理システム及び医療情報管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 15/00 20180101AFI20220914BHJP
   G16H 10/20 20180101ALI20220914BHJP
   G16H 20/00 20180101ALI20220914BHJP
【FI】
G16H15/00
G16H10/20
G16H20/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018014171
(22)【出願日】2018-01-30
(65)【公開番号】P2019133358
(43)【公開日】2019-08-08
【審査請求日】2020-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】家田 啓史
(72)【発明者】
【氏名】橋本 幸広
【審査官】久宗 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-018466(JP,A)
【文献】特開2017-162122(JP,A)
【文献】特開2008-225585(JP,A)
【文献】特開2007-317045(JP,A)
【文献】特表2018-533123(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0111433(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0055545(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め設定される一又は複数の抽出対象項目に関する抽出条件を満たす患者を抽出する抽出処理部と、
前記抽出処理部で抽出された患者各々が予め設定される一又は複数の判定対象項目に関するモニタリング条件を満たすか否かを判定する判定処理部と、
前記抽出処理部によって抽出された患者に対応する医療情報のうち前記抽出対象項目に関連する情報と前記判定対象項目に関連する情報とを提示し、前記医療情報のうち前記抽出対象項目及び前記判定対象項目として設定されていない項目に関連する情報の提示を省略する提示処理部と、
前記提示処理部によって示されていた前記抽出対象項目及び前記判定対象項目から一又は複数の前記抽出対象項目及び前記判定対象項目をユーザー操作に応じて選択する選択処理部と、
前記選択処理部で選択された一又は複数の前記抽出対象項目及び前記判定対象項目の情報について、予め設定された提示対象期間における遷移を含む提案シートを出力する出力処理部と、
を備える医療情報管理システム。
【請求項2】
前記出力処理部は、前記抽出対象項目及び前記判定対象項目の情報の遷移をグラフで出力する、
請求項1に記載の医療情報管理システム。
【請求項3】
前記選択処理部は、前記グラフのグラフ種別をユーザー操作に応じて前記抽出対象項目及び前記判定対象項目ごとに選択可能である、
前記出力処理部は、前記抽出対象項目及び前記判定対象項目各々の情報の遷移を当該抽出対象項目及び当該判定対象項目について前記選択処理部によって選択された前記グラフ種別のグラフで出力する、
請求項2に記載の医療情報管理システム。
【請求項4】
前記抽出条件には、少なくとも抽出対象期間が含まれ、
前記出力処理部は、前記抽出対象期間を前記提示対象期間として前記抽出対象項目及び前記判定対象項目の情報の遷移を出力する、
請求項1~3のいずれかに記載の医療情報管理システム。
【請求項5】
前記出力処理部は、前記提示対象期間をユーザー操作に応じて任意に設定可能である、
請求項1~4のいずれかに記載の医療情報管理システム。
【請求項6】
前記抽出条件及び前記モニタリング条件をユーザー操作に応じて登録可能な登録処理部と、
前記登録処理部が前記抽出条件及び前記モニタリング条件を登録するためのユーザー操作を受け付け可能な状態で、現在入力中の前記抽出条件及び前記モニタリング条件に従って前記抽出処理部による患者の抽出及び前記判定処理部によるモニタリング条件の判定が実行された結果を提示可能なシミュレーション処理部と、
を備える請求項1~5のいずれかに記載の医療情報管理システム。
【請求項7】
前記抽出対象項目及び前記判定対象項目各々について予め設定された評価値と前記患者が抽出された前記抽出対象項目と前記患者が前記モニタリング条件を満たすと判定された前記判定対象項目とに基づいて患者の合計評価値を算出する評価処理部と、
前記抽出処理部によって抽出された患者を前記評価処理部によって算出された前記合計
評価値に基づく順序で表示可能な表示処理部と、
を備える請求項1~6のいずれかに記載の医療情報管理システム。
【請求項8】
予め設定される一又は複数の抽出対象項目に関する抽出条件を満たす患者を抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップで抽出された患者各々が予め設定される一又は複数の判定対象項目に関するモニタリング条件を満たすか否かを判定する判定ステップと、
前記抽出ステップによって抽出された患者に対応する医療情報のうち前記抽出対象項目に関連する情報と前記判定対象項目に関連する情報とを提示し、前記医療情報のうち前記抽出対象項目及び前記判定対象項目として設定されていない項目に関連する情報の提示を省略する提示ステップと、
前記提示ステップによって示されていた前記抽出対象項目及び前記判定対象項目から一又は複数の前記抽出対象項目及び前記判定対象項目をユーザー操作に応じて選択する選択ステップと、
前記選択ステップで選択された一又は複数の前記抽出対象項目及び前記判定対象項目の情報について、予め設定された提示対象期間における遷移を含む提案シートを出力する出力ステップと、
をコンピューターに実行させるための医療情報管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の医療情報の管理を支援する医療情報管理システム及び医療情報管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院又は薬局などの医療機関では、患者の処方情報又は検査情報などの医療情報を管理する医療情報管理システムが用いられることがある(例えば、特許文献1参照)。なお、この種の医療情報管理システムでは、予め設定された特定の条件で患者を抽出する抽出処理が予め設定されたタイミングで自動的に実行可能であることが考えられる。例えば、前記特定の条件には、特定の薬品を服用していること等が含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-191415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記抽出処理で抽出された患者についての前記医療情報が参照される際、当該医療情報に含まれる多数の情報が提示されると、ユーザーは必要な情報を迅速に確認することができず、患者の医療情報の管理業務の効率化が阻害されることが考えられる。
【0005】
本発明の目的は、患者の医療情報の管理業務の効率化を支援することが可能な医療情報管理システム及び医療情報管理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る医療情報管理システムは、予め設定される一又は複数の抽出対象項目に関する抽出条件を満たす患者を抽出する抽出処理部と、前記抽出処理部で抽出された患者各々が予め設定される一又は複数の判定対象項目に関するモニタリング条件を満たすか否かを判定する判定処理部と、前記抽出処理部によって抽出された患者に対応する医療情報のうち前記抽出対象項目及び前記判定対象項目のいずれか一方又は両方に関連する情報を提示可能である提示処理部とを備える。
【0007】
本発明に係る医療情報管理プログラムは、予め設定される一又は複数の抽出対象項目に関する抽出条件を満たす患者を抽出する抽出ステップと、前記抽出ステップで抽出された患者各々が予め設定される一又は複数の判定対象項目に関するモニタリング条件を満たすか否かを判定する判定ステップと、前記抽出ステップによって抽出された患者に対応する医療情報のうち前記抽出対象項目及び前記判定対象項目のいずれか一方又は両方に関連する情報を提示可能である提示ステップと、をコンピューターに実行させるための医療情報管理プログラムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、患者の医療情報の管理業務の効率化を支援することが可能な医療情報管理システム及び医療情報管理プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施形態に係る医療情報管理システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る医療情報管理システムで使用される有害事象マスタの一例を示す図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る医療情報管理システムで使用される検査期間マスタの一例を示す図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る医療情報管理システムで使用される薬歴データの一例を示す図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る医療情報管理システムで使用されるレジメン履歴データの一例を示す図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係る医療情報管理システムで使用される検査データの一例を示す図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係る医療情報管理システムで使用される有害事象データの一例を示す図である。
図8図8は、本発明の実施形態に係る医療情報管理システムで実行されるマスタ登録処理の一例を示すフローチャートである。
図9図9は、本発明の実施形態に係る医療情報管理システムで実行される医療情報管理処理の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、本発明の実施形態に係る医療情報管理システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
図11図11は、本発明の実施形態に係る医療情報管理システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
図12図12は、本発明の実施形態に係る医療情報管理システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
図13図13は、本発明の実施形態に係る医療情報管理システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
図14図14は、本発明の実施形態に係る医療情報管理システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
図15図15は、本発明の実施形態に係る医療情報管理システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
図16図16は、本発明の実施形態に係る医療情報管理システムで出力される提案シートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0011】
[医療情報管理システム10]
図1に示すように、本発明の実施形態に係る医療情報管理システム10は、サーバー1、クライアント端末2、及びプリンター3などを備える。前記サーバー1、前記クライア
ント端末2、及びプリンター3は、通信網4を介して無線又は有線で通信可能に接続される。前記通信網4は、LAN、WAN、インターネット、又はイントラネットなどを含む。また、前記サーバー1には、前記通信網4を介して上位システム5が接続される。
【0012】
前記上位システム5は、例えば電子カルテシステム、オーダーリングシステム、又はレセプトシステムなどである。そして、前記上位システム5は、患者に対する薬品の処方に関する処方データ、患者について行われた各種の検査の検査結果に関する検査データ、及び患者の個人情報を示す患者データなどを前記サーバー1に入力する。なお、前記サーバー1が前記上位システム5から前記処方データ、前記検査データ、及び前記患者データなどを能動的に読み出す構成であってもよい。なお、前記処方データには、予め設定された療法(レジメン)に従って抗がん剤などの薬品が投与される調製データも含まれる。
【0013】
例えば、前記処方データには、患者情報(患者ID、患者氏名、身長、体重、体表面積など)、処方日、調製日、投与日、薬品情報(薬品コード、薬品名など)、用量・用法、療法情報などが含まれる。前記療法情報は、例えば療法名(レジメン名)、療法ID、又は療法IDなどの療法情報を識別可能な療法識別情報を含む。また、前記処方データには、医師情報、薬品容器の種類(薬液入りアンプル、薬液入りバイアル瓶、粉薬入りバイアル瓶、又は輸液バッグなど)、調製内容情報(混注作業に使用する薬品容器、注射器、注射針の種類及び本数等)、及び調製手順情報(作業内容、溶解薬、溶媒、溶解薬量、溶媒量、抜取量)、投薬日、処方箋区分、診療科、病棟などの情報が含まれていてもよい。
【0014】
[プリンター3]
前記プリンター3は、前記サーバー1又は前記クライアント端末2から前記通信網4を介して入力される印刷データに含まれる情報を紙などのシートに記録する印刷処理を実行可能なカラープリンター又はモノクロプリンターなどの画像形成装置である。例えば、病院又は薬局等の医療機関では、前記プリンター3によって前記処方データに基づく処方箋が印刷されることがある。また、前記プリンター3は、後述の抽出処理及び判定処理による抽出結果及び判定結果が印刷されるために用いられてもよい。
【0015】
[サーバー1]
前記サーバー1は、制御部11、記憶部12、通信I/F13、表示装置14、操作装置15、及びドライブ装置16などを備えるコンピューターである。なお、前記サーバー1は、前記医療情報管理システム10が使用される病院又は薬局等の医療機関の外部に設けられてもよい。また、前記サーバー1は、スマートフォン、タブレット端末、又はラップトップコンピューターなどの情報処理装置であってもよい。
【0016】
前記制御部11は、CPU、ROM、RAM、及びEEPROM(登録商標)などの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは揮発性の記憶部、前記EEPROMは不揮発性の記憶部である。前記RAM及び前記EEPROMは、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、前記制御部11は、前記CPUを用いて、前記ROM、前記EEPROM、又は前記記憶部12に予め記憶された各種の制御プログラムに従って各種の処理を実行する。
【0017】
前記記憶部12は、前記制御部11によって実行される各種の制御プログラム及び各種のデータが記憶されるハードディスク又はSSD等の不揮発性の記憶部である。また、前記記憶部12には、プログラム記憶部121、マスタ記憶部122、及び情報記憶部123が含まれる。
【0018】
前記プログラム記憶部121は、後述の医療情報管理処理(図8参照)を前記制御部11に実行させるための医療情報管理プログラムなどが記憶される記憶領域である。なお、前記プログラム記憶部121には、オペレーティングシステム(OS)などのプログラムも記憶される。
【0019】
前記マスタ記憶部122は、薬品マスタ、患者マスタ、診療科マスタ、薬剤師マスタ、レジメンマスタ、有害事象マスタD1、検査期間マスタD2、及びスクリーニングマスタなどの各種のマスタ情報が記憶される記憶領域である。
【0020】
例えば、前記薬品マスタには、各種の薬品について、薬品コード(YJコード等)、薬品名、JANコード、RSSコード、薬瓶コード、剤形、単位、比重、薬品種、配合変化、賦形薬品、注意事項、添付文書情報などの情報が含まれる。また、前記添付文書情報には、薬品を服用する患者について実施されるべき検査の既定検査項目及び既定検査条件なども含まれる。具体的に、前記既定検査条件は、前記既定検査項目の検査が実施されるべき検査時期の範囲を示す判定期間又は前記判定期間を特定するための検査間隔である。特に、前記既定検査条件は、患者の年齢、性別、及び初回服用日からの経過日数のいずれか一つ又は複数の組み合わせごとに個別に定められている。なお、例えば患者の妊娠の有無などの他の指標に応じて前記既定検査項目各々の検査要否及び前記検査条件などが定められていてもよい。
【0021】
前記患者マスタには、各患者について、例えば患者名、患者ID、性別、年齢、飲酒有無、喫煙有無、及び病名などの情報が含まれる。前記診療科マスタには、前記医療情報管理システム10が使用される医療機関の各種の診療科の情報が含まれる。前記薬剤師マスタには、前記医療情報管理システム10が使用される医療機関に所属する薬剤師の情報が含まれる。
【0022】
前記レジメンマスタには、予め定められている各種のレジメンの内容を示す療法情報が含まれる。具体的に、前記療法情報には、療法に基づいて投与される薬品名、投与量(体表面積当り)、投与時間、投与日、及び1クールの長さなどの投与計画に関する情報が含まれる。また、前記上位システム5における前記処方データの生成時には、前記療法に対応する薬品などの情報と共に、前記療法情報を識別するための療法名などの療法識別情報が前記処方データに付与される。
【0023】
前記有害事象マスタD1は、患者に発生する有害事象の種別と当該有害事象各々のグレードの基準とが対応付けられた情報である。ここに、図2は、前記有害事象マスタD1の一例を示す図である。なお、前記有害事象マスタD1のデータ構造はここで説明するものに限らない。例えば、前記有害事象マスタD1が複数のマスタに分割して関連付けられた状態で前記マスタ記憶部122に記憶されていてもよい。
【0024】
図2に示されるように、前記有害事象マスタD1では、事象ID、事象名称、検査ID、グレード条件、数値フラグ、変更可否フラグ、関連事象、症状種別などの情報が対応付けて記憶されている。前記事象IDは、予め設定された有害事象を識別するための識別情報であり、前記事象名称は、当該有害事象各々の名称を示す情報である。前記検査IDは、対応する前記有害事象のグレードを判定するために用いられる検査項目を識別するための識別情報である。前記症状種別は、前記有害事象が他覚症状であるか自覚症状であるかを示す情報である。ここで、前記自覚症状は、患者が自ら発見することのできる症状であり、前記他覚症状は、患者について行われた検査の結果に応じて発見することのできる客観的な症状である。
【0025】
前記グレード条件は、予め定められている特定の規準に従って前記有害事象のグレードを分類するための分類指標である。具体的に、本実施形態において、前記特定の規準は、前記有害事象のグレードの分類指標が定められた有害事象共通用語規準(CTCAE:Common Terminology Criteria for Adverse Events)である。なお、前記有害事象マスタD1に登録される規準は前記有害事象共通用語規準で定められた原文に限らず、例えば前記制御部11が前記有害事象共通用語規準に基づいてグレードを判定可能な態様に編集された後の規準であってもよい。
【0026】
本実施形態において、前記有害事象のグレードの種別は「0」~「4」の5段階で定められており、数値が高いほど症状が重いことを示す情報である。なお、前記CTCAEではグレード「5」についても規定されているが、グレード「5」については必要性が低いため、本実施形態に係る前記医療情報管理システム10では、グレード「5」は使用しないこととする。
【0027】
そして、前記グレード条件では、前記グレード各々を数値で判定する場合の指標として用いられる数値の範囲が登録可能である。例えば、前記制御部11は、前記CTCAEに示された規準から前記グレード各々に対応する範囲を自動的に抽出して登録することが考えられる。さらに、前記制御部11は、ユーザー操作に応じて、前記有害事象マスタD1に前記グレード各々に対応する範囲を登録可能であってもよい。前記変更可否フラグは、前記制御部11によって自動的に前記グレードが設定された場合に当該グレードをユーザー操作に応じて任意に変更可能であるか否かを示す情報である。なお、前記制御部11は、前記数値フラグが「0」である場合には、各グレードに対応する前記変更可否フラグを全て「1(可)」に設定する。
【0028】
また、前記数値フラグは、前記有害事象のグレードの少なくとも一部が検査値又は任意に入力される状態値のような数値に応じて判定可能であるか否かを示す情報である。例えば、前記制御部11は、前記グレード条件における範囲の情報として数値が入力された場合に前記数値フラグを「1(可)」に設定する。また、前記制御部11は、ユーザー操作に応じて前記数値フラグを設定可能である。前記関連事象は、前記有害事象が表示される際に当該有害事象に並べて又は当該有害事象の近くに表示されるべき情報として予め登録された一又は複数の有害事象を識別するための一又は複数の事象IDを含む情報である。
【0029】
例えば、前記有害事象マスタD1において、前記有害事象のうち他覚症状である「血小板数減少」については、前記検査IDが「0123455」である検査の検査値に応じて患者の当該有害事象についてのグレードを分類することが可能であり、前記グレード条件では、各グレードに対応する前記検査値の範囲が分類指標として定められている。具体的に、グレード「0」は、「検査値≧158,000」、グレード「1」は、「158,000>検査値≧75,000」、グレード「2」は、「75,000>検査値≧50,000」、グレード「3」は、「50,000>検査値≧25,000」、グレード「4」は、「25,000>検査値」である。なお、前記制御部11は、前記有害事象マスタD1において各グレードのグレード条件として設定される検査値の範囲をユーザー操作に応じて任意に変更することも可能である。また、各グレードに対応する前記検査値の範囲は、例えば患者の性別ごとに予め設定されており、前記制御部11は、患者の性別に応じて前記グレードの判定に用いる前記検査値の範囲を変更することも可能である。
【0030】
また、前記有害事象マスタD1において、前記有害事象のうち自覚症状である「発熱」については、患者の発熱についての状態を示す状態値(例えば体温)に応じて患者の当該有害事象についてのグレードを分類することが可能であり、前記グレード条件では、各グレードに対応する体温が分類指標として定められている。一方、前記有害事象マスタD1において、前記有害事象のうち同様の自覚症状である「手足のしびれ」については、数値に応じて患者の当該有害事象についてのグレードを分類することができず、前記グレード条件では、各グレードに対応する手足のしびれについての症状の軽重が分類指標として定められている。
【0031】
ここに、図3は、前記検査期間マスタD2の一例を示す図である。図3に示されるように、前記検査期間マスタD2には、或る薬品を服用する患者について実施すべき検査項目の検査時期を特定するための情報が含まれる。図3に示されるように、前記検査期間マスタD2では、薬品コード、定期的検査の有無、既定検査コード、実施検査コード、開始年齢、終了年齢、性別限定、投与前フラグ、投与後フラグ、開始実施期間、終了実施期間、及び検査間隔が対応付けて登録されている。
【0032】
前記検査期間マスタD2における定期的検査の有無は、前記薬品マスタの前記定期的検査の必要度に応じて予め設定され、又はユーザー操作によって任意に設定される。例えば、薬品マスタの前記定期的検査の必要度が「1:必要」又は「0:推奨」である場合に、前記検査期間マスタD2における前記定期的検査の有無が「1:有り」に設定される。また、薬品マスタの前記定期的検査の必要度の情報が空白である場合は、前記検査期間マスタD2における前記定期的検査の有無が「0:無し」に設定される。なお、薬品マスタの前記定期的検査の必要度が「0:推奨」である場合に、前記検査期間マスタD2における前記定期的検査の有無が「0:無し」に設定されることも考えられる。
【0033】
前記制御部11は、前記定期的検査の有無の設定が「1:有り」である薬品を定期的検査チェック処理の対象とし、前記定期的検査の有無の設定が「0:無し」である薬品を定期的検査チェック処理の対象から除外すると判断する。
【0034】
前記既定検査コード及び前記実施検査コードは、前記薬品コードに対応する薬品を服用する患者について実施されるべき検査の検査項目を示す情報であり、前記既定検査コードは、前記上位システム5で用いられるコードであり、前記実施検査コードは、前記医療情報管理システム10で用いられるコードである。なお、本実施形態では、前記既定検査コード及び前記実施検査コードが個別に設定されている場合を例に挙げて説明するが、前記上位システム5及び前記医療情報管理システム10において共通の検査コードが使用されることも他の実施形態として考えられる。
【0035】
前記開始年齢及び前記終了年齢は、前記検査期間マスタD2の各レコードを適用する患者の年齢の範囲を示す情報である。前記性別限定は、前記検査期間マスタD2の各レコードを適用する患者の性別を示す情報である。前記投与前フラグ及び前記投与後フラグは、前記検査期間マスタD2の各レコードが、薬品の服用前及び服用後のいずれの時期の検査に適用される情報であるかを示すフラグである。
【0036】
前記開始実施期間及び前記終了実施期間は、前記検査期間マスタD2の各レコードが適用される服用時期の範囲を示す情報であり、患者による薬品の初回服用日を基準とする期間を示す情報である。前記初回服用日は、現在よりも前に前記患者が前記薬品を服用していない場合には、前記処方データに含まれる服用開始日である。また、現在よりも前に前記患者が前記薬品を服用している場合であっても、前記患者が前記薬品を最後に服用した日が現在から予め設定された特定期間以上前である場合は、前記処方データに含まれる服用開始日が前記初回服用日である。
【0037】
具体的に、前記投与前フラグが「1」である場合は、前記開始実施期間が、前記検査期間マスタD2の各レコードが適用される服用時期の範囲の終期を示し、前記終了実施期間が、前記検査期間マスタD2の各レコードが適用される服用時期の範囲の始期を示す。また、前記投与後フラグが「1」である場合は、前記開始実施期間が、前記検査期間マスタD2の各レコードが適用される服用時期の範囲の始期を示し、前記終了実施期間が、前記検査期間マスタD2の各レコードが適用される服用時期の範囲の終期を示す。
【0038】
前記検査間隔は、前記検査期間マスタD2の各レコードの前記既定検査コード及び前記実施検査コードが示す検査項目に対応して予め設定された情報であり、例えば前記検査項目の検査の実施が必要な間隔を示す情報である。特に、前記検査間隔は、患者の年齢、患者の性別、及び薬品の初回服用日からの経過期間のいずれか一つ又は複数の組み合わせごとに設定されている。
【0039】
例えば、図3に示される前記検査期間マスタD2のレコードR211では、薬品コードが「0001」の薬品について、定期的検査の有無が「1」であって、既定検査コードが「01」、実施検査コードが「0172」の検査項目の定期的検査が必要である旨が示されている。また、前記レコードR211では、患者の適用年齢が「0」歳~「15」歳であり、患者の適用性別が「両方」であることが示されている。さらに、前記レコードR211では、投与後フラグが「1」であって、開始実施期間が「0」日、終了実施期間が「30」日であり、薬品の初回服用日の「0」日後~「30」日後である場合に適用される旨が示されている。そして、前記レコードR211では、前記検査間隔が「15」日である旨が定められている。
【0040】
また、図3に示される前記検査期間マスタD2のレコードR212では、薬品コードが「0001」の薬品について、定期的検査の有無が「1」であって、既定検査コードが「02」、実施検査コードが「0173」の検査項目の定期的検査が必要である旨が示されている。また、前記レコードR212では、患者の適用年齢が「0」歳以上であり、患者の適用性別が「男性」であることが示されている。さらに、前記レコードR212では、投与前フラグが「1」であって、開始実施期間が「30」日、終了実施期間が「0」日であり、薬品の初回服用日の「0」日前~「30」日前について適用される旨が示されている。そして、前記レコードR212では、前記検査項目の検査が実施されるべき検査間隔が「15」日である旨が定められている。なお、前記投与前フラグが「1」である場合であって、前記開始実施期間及び前記終了実施期間の間に1回の検査が行われていればよい場合には、前記検査間隔の設定が省略されてもよい。
【0041】
前記スクリーニングマスタには、定期的に自動実行される定期スクリーニングにおける抽出条件及びモニタリング条件を示す定期スクリーニング情報と、任意の時期に実行される随時スクリーニングにおける抽出条件及びモニタリング条件を示す随時スクリーニング情報とが含まれる。前記定期スクリーニング情報又は前記随時スクリーニング情報として前記スクリーニングマスタに登録されるスクリーニング情報には、後述するように、抽出名称、フィルタリング条件、スクリーニング条件(対象期間(実行日基準)、薬品名、対象日)、モニタリング条件などの情報が含まれる(図11参照)。以下、前記フィルタリング条件及び前記スクリーニング条件を包含して抽出条件と称することがある。
【0042】
なお、前記制御部11は、前記マスタ記憶部122に記憶されている各種のマスタ情報を、前記上位システム5から取得する情報に基づいて随時更新可能である。また、前記制御部11は、前記サーバー1又は前記クライアント端末2を用いたユーザー操作に応じて各種のマスタ情報を編集することも可能である。
【0043】
前記情報記憶部123は、前記処方データ、薬歴データD11、レジメン履歴データD12、検査データD13、有害事象データD14などの患者の医療情報が記憶される記憶領域である。前記制御部11は、前記処方データを前記上位システム5から取得して前記情報記憶部123に蓄積して記憶させる。また、前記情報記憶部123には、後述の処理時間情報なども記憶される。
【0044】
前記薬歴データD11は、患者各々の薬品の処方履歴を示す情報であり、前記レジメン履歴データD12は、患者各々の療法に従った薬品の投薬履歴を示す情報である。前記制御部11は、例えば前記処方データに基づいて前記薬歴データD11及び前記レジメン履歴データD12を更新する。ここに、図4は、前記薬歴データD11の一例を示す図であり、図5は、前記レジメン履歴データD12の一例を示す図である。
【0045】
図4に示す前記薬歴データD11は、患者ID(患者の識別情報)、患者氏名(患者の識別情報)、処方日、薬品名(薬品の識別情報)、病棟、用法・用量、診療科、担当医などの情報を含む。また、前記制御部11は、前記サーバー1又は前記クライアント端末2のユーザー操作に応じて任意に前記薬歴データD11を更新することが可能であってもよい。
【0046】
図5に示す前記レジメン履歴データD12は、患者ID(患者の識別情報)、患者氏名(患者の識別情報)、投与日、療法名(療法の識別情報)、病棟、クール情報、計画診療科、計画医などの情報を含む。また、前記制御部11は、前記サーバー1又は前記クライアント端末2のユーザー操作に応じて任意に前記レジメン履歴データD12を更新することが可能であってもよい。
【0047】
前記検査データD13は、患者各々について実施された各検査項目についての検査値などの検査結果を含む情報である。ここに、図6は、前記検査データD13の一例を示す図である。図6に示す前記検査データD13は、患者ID(患者の識別情報)、患者氏名(患者の識別情報)、検査日、検査ID(検査の識別情報)、検査項目(検査の識別情報)、検査結果などの情報を含む。前記制御部11は、前記上位システム5から取得する患者の検査データ、或いは、前記サーバー1又は前記クライアント端末2に挿入されるUSBメモリ又はCDなどの記録媒体から読み取られる患者の検査データに基づいて前記検査データD13を更新する。
【0048】
前記有害事象データD14は、患者各々についての自覚症状及び他覚症状などの有害事象のデータを示す情報である。ここに、図7は、前記有害事象データD14の一例を示す図である。図7に示す前記有害事象データD14は、患者ID(患者の識別情報)、患者氏名(患者の識別情報)、日付、有害事象ID(有害事象の識別情報)、事象名称(有害事象の識別情報)、グレードなどの情報を含む。前記制御部11は、前記上位システム5から取得する患者の検査データ、或いは、前記サーバー1又は前記クライアント端末2に対して任意に入力される患者の自覚症状の情報などに基づいて前記有害事象データD14を更新する。
【0049】
前記通信I/F13は、前記通信網4を介して前記クライアント端末2、及び前記プリンター3などの外部機器との間で、予め定められた通信プロトコルに従って無線又は有線でデータ通信を実行するネットワークカード等を有する通信インターフェースである。
【0050】
前記表示装置14は、前記制御部11からの制御指示に従って各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどの表示部である。前記操作装置15は、前記サーバー1に各種の情報を入力するためにユーザーによって操作される操作部である。具体的に、前記操作装置15は、前記表示装置14に表示される各種の操作画面における入力操作を受け付けるキーボード及びマウス(ポインティングデバイス)を含む。また、前記操作装置15は、前記表示装置14に表示される各種の操作画面に対するタッチ操作を受け付けるタッチパネル、又は音声認識により各種情報の入力を受け付ける音声入力装置を含むものであってもよい。
【0051】
前記ドライブ装置16は、前記医療情報管理プログラムが非一時的に記録されたコンピューター読み取り可能な記録媒体161から前記医療情報管理プログラムを読み取ることが可能である。前記記録媒体161は、CD、DVD、BD、又はUSBメモリなどであり、前記ドライブ装置16は、CDドライブ、DVDドライブ、BDドライブ、又はUSBポートなどである。そして、前記サーバー1では、前記制御部11により、前記ドライブ装置16を用いて前記記録媒体161から読み取られた前記医療情報管理プログラムが前記記憶部12の前記プログラム記憶部121にインストールされる。
【0052】
ところで、予め設定された特定の条件で患者を抽出する抽出処理で抽出された患者についての医療情報が参照される際、当該医療情報に含まれる多数の情報が提示されると、ユーザーは必要な情報を迅速に確認することができず、患者の医療情報の管理業務の効率化が阻害されることが考えられる。これに対し、前記医療情報管理システム10では、患者の医療情報の管理業務の効率化を支援することが可能である。
【0053】
具体的に、前記サーバー1の前記制御部11は、抽出処理部111、判定処理部112、提示処理部113、選択処理部114、出力処理部115、登録処理部116、シミュレーション処理部117、評価処理部118、及び表示処理部119などを含む。前記制御部11は、前記医療情報管理プログラムに従って後述のマスタ登録処理(図8参照)及び医療情報管理処理(図9参照)などの各種の処理を実行することにより各種の処理部として機能する。即ち、本実施形態では、前記サーバー1単体が本発明に係る医療情報管理システムである。また、前記サーバー1が、ユーザーによって操作される前記クライアント端末2を兼ねるスタンドアローン型の医療情報管理システムを構成するものであってもよい。なお、前記制御部11に含まれる一部又は全部の処理部が電子回路で構成されていてもよい。
【0054】
また、前記サーバー1の機能の一部又は全部が前記クライアント端末2に設けられることも他の実施形態として考えられる。例えば、前記クライアント端末2に、前記医療情報管理プログラムの一部又は全部がインストールされており、前記クライアント端末2の前記制御部21が、前記サーバー1から必要な情報を適宜取得して、後述のマスタ登録処理(図8参照)及び医療情報管理処理(図9参照)などを実行することも考えられる。この場合、前記クライアント端末2が本発明に係る医療情報管理システムの一例である。さらに、前記医療情報管理システム10において、前記サーバー1及び前記クライアント端末2が協働して後述のマスタ登録処理(図8参照)及び医療情報管理処理(図9参照)を実行することも考えられる。
【0055】
前記抽出処理部111は、予め設定される一又は複数の抽出対象項目に関する抽出条件を満たす患者を抽出する抽出処理を実行する。具体的に、前記抽出処理部111は、予め設定された間隔又は時期に定期的に、予め設定された前記定期スクリーニング情報に基づいて患者を抽出する定期スクリーニングと、ユーザー操作に応じて任意のタイミングで任意に入力される前記任意スクリーニング情報に基づいて患者を抽出する随時スクリーニングとを実行可能である。なお、前記定期スクリーニングには、予め設定された予約日時に1回だけ前記抽出処理が実行されること、又は予め設定された複数の予約日時に前記抽出処理が実行されることも含まれる。また、前記定期スクリーニング及び前記随時スクリーニングでは、後述の判定処理も実行される。前記抽出対象項目は、薬品、有害事象、検査値などであって、前記抽出条件は、薬品の種類、有害事象のグレード、検査値の範囲などに関する条件である。
【0056】
前記判定処理部112は、前記抽出処理部111で抽出された患者各々が予め設定される一又は複数の判定対象項目に関するモニタリング条件を満たすか否かを判定する判定処理を実行する。具体的に、前記判定対象項目は、薬品、検査値、有害事象などに関する条件であって、前記モニタリング条件は、薬品の種類、有害事象のグレード、検査値の範囲などに関する条件である。
【0057】
前記提示処理部113は、前記抽出処理部111によって抽出された患者に対応する医療情報のうち前記抽出対象項目及び前記判定対象項目のいずれか一方又は両方に関連する情報を提示可能である。即ち、前記提示処理部113は、前記医療情報のうち前記抽出対象項目及び前記判定対象項目のいずれか一方又は両方に関連しない情報については提示しない。
【0058】
前記選択処理部114は、一又は複数の前記抽出対象項目及び前記判定対象項目をユーザー操作に応じて選択するための処理を実行する。また、前記出力処理部115は、前記選択処理部114で選択された一又は複数の前記抽出対象項目及び前記判定対象項目の情報について、予め設定された提示対象期間における遷移を含む提案シートを出力することが可能である。具体的に、前記出力処理部115は、後述するように前記提案シートとして提案シートP7(図16参照)を出力可能である。
【0059】
特に、前記出力処理部115は、前記抽出対象項目及び前記判定対象項目の情報の遷移をグラフで出力することが可能である。ここで、前記選択処理部114は、前記グラフのグラフ種別をユーザー操作に応じて前記抽出対象項目及び前記判定対象項目ごとに選択可能である。そして、前記出力処理部115は、前記抽出対象項目及び前記判定対象項目各々の情報の遷移を当該判定対象項目について前記選択処理部によって選択された前記グラフ種別のグラフで出力する。
【0060】
なお、前記抽出条件に、少なくとも抽出対象期間が含まれる場合には、前記出力処理部115は、前記抽出対象期間を前記提示対象期間として前記抽出対象項目及び前記判定対象項目の情報の遷移を出力することが考えられる。また、前記出力処理部115は、前記提示対象期間をユーザー操作に応じて任意に設定可能であってもよい。
【0061】
前記登録処理部116は、前記抽出条件及び前記モニタリング条件をユーザー操作に応じて登録することが可能である。また、前記シミュレーション処理部117は、前記登録処理部116が前記抽出条件及び前記モニタリング条件を登録するためのユーザー操作を受け付け可能な状態で、現在入力中の前記抽出条件及び前記モニタリング条件に従って前記抽出処理部111による患者の抽出及び前記判定処理部112によるモニタリング条件の判定が実行された結果を提示することが可能である。
【0062】
前記評価処理部118は、前記抽出対象項目及び前記判定対象項目各々について予め設定されたスコア(評価値)と前記患者が抽出された前記抽出対象項目と前記患者が前記モニタリング条件を満たすと判定された前記判定対象項目とに基づいて患者の合計スコア(合計評価値)を算出する。
【0063】
前記表示処理部119は、前記抽出処理部111によって抽出された患者を前記評価処理部118によって算出された前記合計スコアに基づく順序で表示可能である。例えば、前記表示処理部119は、前記抽出処理部111によって抽出された患者を、ユーザー操作に応じて前記合計スコアが高い順、又は低い順で前記患者を並び替えて表示することが可能である。
【0064】
[クライアント端末2]
前記クライアント端末2は、制御部21、記憶部22、通信I/F23、表示装置24、操作装置25、及びドライブ装置26などを備えるパーソナルコンピューターである。前記クライアント端末2各々は、前記医療情報管理システム10が使用される医療機関に配置され、薬剤師などのユーザーによって操作される操作端末である。例えば、前記クライアント端末2は、前記医療機関において患者に投与される薬品を調製する薬剤師などによって使用される。なお、前記クライアント端末2は、スマートフォン、タブレット端末、ラップトップコンピューターなどの情報処理装置であってもよい。
【0065】
前記制御部21は、CPU、ROM、RAM、及びEEPROMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは揮発性の記憶部、前記EEPROMは不揮発性の記憶部である。前記RAM及び前記EEPROMは、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、前記制御部21は、前記CPUを用いて、前記ROM、前記EEPROM、又は前記記憶部22に予め記憶された各種の制御プログラムに従って各種の処理を実行する。
【0066】
前記記憶部22は、前記制御部21によって実行される各種の制御プログラム及び各種のデータが記憶されるハードディスク又はSSD等の不揮発性の記憶部である。具体的に、前記記憶部22には、オペレーティングシステム(OS)及びブラウザソフトなどのアプリケーションプログラムが記憶されるプログラム記憶部221が含まれる。前記ブラウザソフトは、前記通信網4を介して前記サーバー1にアクセスすることにより前記表示装置24に各種の操作画面などを表示させると共に、前記操作装置25を用いた前記操作画面に対する入力操作を前記サーバー1に伝達するためのアプリケーションソフトウェアである。例えば、前記制御部21は、前記ブラウザソフトにより表示される操作画面の所定位置に、前記サーバー1に対応するURL(Universal Resource Locator)などのアドレス情報が入力された場合に、該アドレス情報に基づいて前記サーバー1にアクセスする。
【0067】
前記通信I/F23は、前記通信網4を介して前記サーバー1、及び前記プリンター3などの外部機器との間で、予め定められた通信プロトコルに従って無線又は有線でデータ通信を実行するネットワークカード等を有する通信インターフェースである。
【0068】
前記表示装置24は、前記制御部21からの制御指示に従って各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどの表示部である。前記操作装置25は、前記クライアント端末2に各種の情報を入力するためにユーザーによって操作される操作部である。具体的に、前記操作装置25は、前記表示装置24に表示される各種の操作画面における入力操作を受け付けるキーボード及びマウス(ポインティングデバイス)を含む。また、前記操作装置25は、前記表示装置24に表示される各種の操作画面に対するタッチ操作を受け付けるタッチパネル、又は音声認識により各種情報の入力を受け付ける音声入力装置を含むものであってもよい。
【0069】
前記ドライブ装置26は、前記OS又は前記ブラウザソフトなどが記録されたコンピューター読み取り可能な記録媒体261から前記OS又は前記ブラウザソフトなどを読み取ることが可能である。前記記録媒体261は、CD、DVD、BD、又はUSBメモリなどであり、前記ドライブ装置16は、CDドライブ、DVDドライブ、BDドライブ、又はUSBポートなどである。前記クライアント端末2では、前記制御部21により、前記ドライブ装置26を用いて前記記録媒体261から読み取られた前記OS又は前記ブラウザソフトなどが前記記憶部22の前記プログラム記憶部221にインストールされる。
【0070】
そして、前記医療情報管理システム10では、前記サーバー1が、ユーザーによる前記クライアント端末2の操作に応じて、後述のスクリーニング一覧画面P1及び抽出結果画面P3などの各種の情報を前記クライアント端末2に表示させる。なお、前記クライアント端末2は、前記サーバー1から送信されるデータに基づいて画面表示を制御し、又は前記サーバー1の記憶部12に記憶されているデータを参照して画面表示を制御する。また、前記サーバー1は、ユーザーによる前記クライアント端末2に対する操作入力を受付可能である。具体的に、本実施形態では、前記サーバー1及び前記クライアント端末2によりサーバクライアントシステムが構成されており、前記サーバー1が前記クライアント端末2のユーザー操作に応じて表示、記憶、及び印刷などの処理を実行する場合について説明する。そのため、本実施形態において、以下に説明する「表示」、「操作」、「選択」、及び「入力」などの処理は、前記クライアント端末2の前記表示装置24及び前記操作装置25を用いて行われるものとして説明する。即ち、前記クライアント端末2は、前記サーバー1の操作装置及び表示装置として機能する。もちろん、「表示」、「操作」、「選択」、及び「入力」などの処理が前記サーバー1の前記表示装置14及び前記操作装置15で行われてもよい。
【0071】
以下、図8及び図9を参照しつつ、医療情報管理システム10で実行されるマスタ登録処理及び医療情報管理処理の一例について説明する。前記サーバー1の制御部11は、前記マスタ登録処理又は前記医療情報管理処理を並列して実行することが可能である。なお、前記マスタ登録処理及び前記医療情報管理処理は、複数の前記クライアント端末2からの要求に応じて該クライアント端末2ごとに対応して並列して実行されてもよい。
【0072】
[マスタ登録処理]
<ステップS11>
ステップS11において、前記制御部11は、前記医療情報管理処理において実行される前記抽出処理及び前記判定処理の条件などが記憶されたスクリーニングマスタのメンテナンスを開始するためのユーザー操作を待ち受ける(S11:No)。例えば、前記制御部11は、前記スクリーニングマスタに登録されているスクリーニング情報の一覧を表示させるための操作キーが操作された場合に、スクリーニングマスタのメンテナンスを開始するためのユーザー操作が行われたと判断する。ここで、スクリーニングマスタのメンテナンスを開始するためのユーザー操作が行われたと判断されると(S11:Yes)、処理がステップS12に移行する。
【0073】
<ステップS12>
ステップS12において、前記制御部11は、前記スクリーニングマスタに登録されているスクリーニング情報の一覧を含むスクリーニング一覧画面P1をクライアント端末2に表示させる。ここに、図10は、前記スクリーニング一覧画面P1の一例を示す図である。
【0074】
図10に示されるように、前記スクリーニング一覧画面P1には、各種の操作を受け付ける操作領域A11と、前記スクリーニング情報が表示される表示領域A12とが表示される。また、前記制御部11は、前記表示領域A12に表示される前記スクリーニング情報の一覧を、表示領域A13における実行方法の選択に応じて切り替える。具体的に、前記制御部11は、前記表示領域A13において「定期」が選択された場合は、前記表示領域A12に前記定期スクリーニングに関する前記定期スクリーニング情報の一覧を表示させ、前記表示領域A13において「随時」が選択された場合は、前記表示領域A12に前記随時スクリーニングに関する前記随時スクリーニング情報の一覧を表示させる。
【0075】
前記表示領域A12における前記スクリーニング情報の一覧の各データには、項目A121~A128の情報が含まれる。前記項目A121には、前記スクリーニング情報について予め設定されるスコアの値が表示される。前記項目A122には、前記スクリーニング情報の名称である抽出名称が表示される。前記項目A123には、前記スクリーニング情報のうち患者をフィルタリングするためのフィルタリング条件が表示される。具体的に、前記フィルタリング条件には、「性別・年齢」、「入院」、「外来」、「その他」が含まれており、前記表示領域A12において、前記フィルタリング条件のうち内容が設定されている条件は識別可能に表示される。
【0076】
前記項目A124には、前記抽出条件のうち抽出対象期間が表示され、前記制御部11は、前記項目A124における操作に応じて前記抽出対象期間を変更可能である。例えば、前記項目A125において、「0~0日」が入力されている場合、前記抽出対象期間は前記抽出処理の開始時期当日であり、「-7~-1日」が入力されている場合、前記抽出対象期間は前記抽出処理の開始時期の7日前から開始時期の前日までであり、「-1~-1ヶ月」が入力されている場合、前記抽出対象期間は前記抽出処理の開始時期から1ヶ月前までの1ヶ月間である。なお、前記抽出対象期間は日単位又は月単位に限らず、時間単位、週単位、又は年単位などの各種の単位で設定可能であってよい。
【0077】
また、前記項目A125には、前記スクリーニング情報に基づく定期スクリーニング(抽出処理及び判定処理)の有効及び無効の設定状態が表示されており、前記制御部11は、前記項目A125の操作に応じて前記スクリーニング情報に基づく定期スクリーニングの有効及び無効を切り替える。前記項目A126には、前記スクリーニング情報に基づく前記定期スクリーニングの実行タイミングが表示され、前記制御部11は、前記項目A126の操作に応じて前記実行タイミングを変更可能である。前記項目A127には、前記スクリーニング情報に基づく前記定期スクリーニングの起動時間が表示され、前記制御部11は、前記項目A127の操作に応じて前記起動時間を変更可能である。また、前記項目A128には、前記スクリーニング情報に基づく前記定期スクリーニングの前回の実行日が表示される。
【0078】
前記操作領域A11には、操作部K11~K18などが表示される。そして、前記制御部11は、前記クライアント端末2における前記操作部K11~K18の操作を受け付け可能である。
【0079】
具体的に、前記制御部11は、前記操作部K11の操作に応じて、前記スクリーニング一覧画面P1に入力されている前記スクリーニング情報を前記スクリーニングマスタに登録する。また、前記制御部11は、前記操作部K12の操作に応じて、前記スクリーニング一覧画面P1に登録するスクリーニング情報の作成を開始するための新規作成処理を開始する。さらに、前記制御部11は、前記操作部K13の操作に応じて、前記スクリーニング一覧画面P1で選択されている前記スクリーニング情報を引用して新たなスクリーニング情報の作成を開始するための引用作成処理を開始する。
【0080】
また、前記制御部11は、前記スクリーニング一覧画面P1で前記スクリーニング情報が選択された状態で、前記操作部K15が操作されると当該スクリーニング情報を削除する処理を実行する。また、前記制御部11は、前記スクリーニング一覧画面P1で前記スクリーニング情報が選択された状態で、前記操作部K16が操作されると当該スクリーニング情報に含まれる前記抽出条件及び前記モニタリング条件基づく抽出処理及び判定処理を実行する。さらに、前記制御部11は、前記スクリーニング一覧画面P1で前記スクリーニング情報が選択された状態で、前記操作部K17が操作されると当該スクリーニング情報に含まれる前記抽出条件に基づいて実行された前記抽出処理で抽出された患者の一覧を印刷する印刷処理を実行する。なお、前記制御部11は、前記操作部K18が操作されると、前記スクリーニング一覧画面P1を閉じる。
【0081】
また、前記制御部11は、前記操作部K14の操作に応じて、前記スクリーニング一覧画面P1で選択されている前記抽出条件についての詳細を編集するための詳細編集処理を開始する。具体的に、前記制御部11は、前記スクリーニング一覧画面P1でいずれかの前記抽出条件が選択された状態で前記操作部K14が操作されると、当該抽出条件の詳細を編集するための詳細設定画面P2を前記クライアント端末2に表示させる。また、前記制御部11は、前記操作部K12又はK13が操作され、前記抽出条件を新たに作成する場合にも前記詳細設定画面P2を前記クライアント端末2に表示させる。ここに、図11は、前記詳細設定画面P2の一例を示す図である。
【0082】
図11に示されるように、前記詳細設定画面P2には、操作部K21、操作部K22、及び表示領域A21~A24などが表示されている。前記制御部11は、前記操作部K21の操作に応じて、前記詳細設定画面P2に入力されている前記抽出条件及び前記モニタリング条件などを含むスクリーニング情報を前記スクリーニングマスタに登録し、当該詳細設定画面P2を閉じる。また、前記制御部11は、前記操作部K22の操作に応じて、前記詳細設定画面P2に入力されている前記スクリーニング情報に基づく前記抽出処理及び前記判定処理を実行する。
【0083】
前記表示領域A21には、操作領域A211~A214が表示されている。前記操作領域A211、A212、A213、A214は、前記スクリーニング情報の名称、スコア、実行方法、タイミングについての情報の入力をそれぞれ受け付けるための領域である。前記スコアは、前記スクリーニング情報についての評価値であり、当該スクリーニング情報で抽出される患者の重要度を示す指標として用いられる。また、前記表示領域A21には、前記スクリーニング情報に基づく前記抽出処理及び前記判定処理が前回実行された実行日及び実行時間が表示されている。さらに、前記表示領域A21では、前記抽出処理及び前記判定処理の対象を現在ログイン中の薬剤師に限定するか否かの選択操作が可能である。なお、前記表示領域には、前記スクリーニング情報に基づく前記抽出処理及び前記判定処理が前回実行されたときの所要時間が表示されてもよい。
【0084】
前記表示領域A22には、前記スクリーニング情報のうち抽出する患者を絞り込むための一又は複数のフィルタリング条件の設定が可能である。前記フィルタリング条件は、主に患者自身に関する項目の条件である。具体的に、前記フィルタリング条件としては、「性別・年齢」、「入院」、「外来」、「その他」についての設定が可能である。例えば、「性別・年齢」の項目では、患者の性別及び年齢の入力が可能である。また、「入院」の項目では、患者の病棟が選択可能であり、「外来」の項目では、患者の診療科が選択可能である。さらに、「その他」の項目では、患者の診療予定(これから入院する予定、退院する予定など)などが選択可能である。
【0085】
前記表示領域A23には、前記スクリーニング情報のうち抽出する患者を絞り込むための一又は複数のスクリーニング条件の設定が可能である。前記スクリーニング条件は、主に患者の診療内容及び状態などに関する条件である。具体的に、前記スクリーニング条件には、当該スクリーニング条件の抽出対象項目として、薬品、検査値、有害事象などが含まれる。例えば、図11に示される例では、前記スクリーニング条件の抽出対象項目が「薬品」であり、患者が服用している薬品のコードが「ワーファ05」、抽出対象項目の名称が「ワーファリン錠5mg」、条件が「同成分」であることが設定されている。この場合、前記スクリーニング条件に基づく抽出処理では、「ワーファリン錠5mg」と「同成分」の薬品を服用している患者が抽出されることになる。また、例えば特定の薬品が4週間以上継続して投与されていること等のように薬品の投与期間が前記スクリーニング条件として設定可能であってもよい。さらに、前記表示領域A23では、操作領域A231において、当該スクリーニング条件ごとに当該スクリーニング条件に該当する患者の重要度を示す指標となるスコアが設定可能である。
【0086】
また、前記表示領域A23では、前記抽出条件として抽出対象期間の設定が可能であり、当該抽出対象期間の基準の種別が選択可能である。具体的に、前記抽出対象期間の基準として、前記処方データに含まれる「調剤日」又は「投与日」(又は「服用日」)が選択可能である。そして、前記抽出処理では、選択された期間の種別の日が前記抽出対象期間に含まれる患者が抽出されることになる。
【0087】
また、前記制御部11は、後述するように、前記フィルタリング条件及び前記スクリーニング条件に基づいて抽出された患者各々について、予め設定される一又は複数の判定対象項目が予め設定されたモニタリング条件を満たすか否かを判定する判定処理を実行する。前記表示領域A24では、前記判定対象項目及び前記モニタリング条件を設定することが可能である。具体的に、前記判定対象項目には、薬品、検査値、有害事象などが含まれる。例えば、図11に示される例では、前記モニタリング条件として、区分「薬品フラグ」、コード「8」、名称「ハイリスク薬品」が設定されており、当該モニタリング条件を満たす患者の重要度を示す指標であるスコアが「5」に設定されている。この場合、前記フィルタリング条件及び前記スクリーニング条件に基づいて抽出された患者のうちハイリスク薬品を服用している患者がモニタリング条件を満たすと判定され、当該患者のスコアが8点加算される。
【0088】
また、図11に示される例では、前記モニタリング条件として、区分「検査値」、コード「001000001」、名称「MG値」、判定条件「範囲外」が設定されており、当該モニタリング条件を満たす患者の重要度を示す指標であるスコアが「10」に設定されている。この場合、前記フィルタリング条件及び前記スクリーニング条件に基づいて抽出された患者のうちMG値が予め設定された範囲外である患者がモニタリング条件を満たすと判定され、当該患者のスコアが10点加算される。さらに、前記モニタリング条件として、区分「有害事象」、コード「20215960」、名称「手足のしびれ」、判定条件「1」のモニタリング条件が設定されており、当該モニタリング条件を満たす患者の重要度を示す指標であるスコアが「3」に設定されている。なお、本実施形態では、患者の検査値の名称及び患者の有害事象の名称が判定対象項目の一例である。
【0089】
前記表示領域A25では、前記抽出処理で抽出される患者のうち経過観察対象として自動的に登録する患者を設定することが可能である。具体的に、図11に示される例では、前記フィルタリング条件及び前記スクリーニング条件に基づいて抽出された全ての患者を対象とする「スクリーニング対象患者」、前記抽出された患者のうち前記モニタリング条件を満たす患者を対象とする「チェック対象患者」、及び自動的に登録しない「対象ない」のいずれかが選択可能である。前記制御部11は、前記表示領域A25で選択された条件に従って、前記抽出処理で抽出される患者のうち前記経過観察対象の条件を満たす患者について経過観察対象者である旨を患者情報として設定する。
【0090】
<ステップS13>
ステップS13において、前記制御部11は、前記スクリーニングマスタに登録する前記スクリーニング情報を作成するための操作が行われたか否かを判断する。具体的に、前記制御部11は、前記スクリーニング一覧画面P1に表示されている前記操作部K12又は前記操作部K13が操作された場合に、前記スクリーニング情報を作成するための操作が行われたと判断する。そして、前記スクリーニング情報を作成するための操作が行われたと判断されると(S13:Yes)、処理がステップS14に移行し、前記スクリーニング情報を作成するための操作が行われていないと判断されると(S13:No)、処理がステップS15に移行する。
【0091】
<ステップS14>
ステップS14において、前記制御部11は、前記抽出条件及び前記モニタリング条件を含むスクリーニング情報を作成して前記スクリーニングマスタに登録するための処理を実行する。具体的に、前記制御部11は、前記詳細設定画面P2を前記クライアント端末2に表示させ、前記クライアント端末2に対するユーザー操作に応じて前記スクリーニング情報を作成して前記スクリーニングマスタに登録する。なお、前記ステップS14は、前記制御部11の登録処理部116によって実行される。
【0092】
<ステップS15>
ステップS15において、前記制御部11は、前記スクリーニングマスタに登録されている前記スクリーニング情報を編集するための操作が行われたか否かを判断する。具体的に、前記制御部11は、前記スクリーニング一覧画面P1に表示されている前記スクリーニング情報が選択された状態で前記操作部K14が操作された場合に、前記スクリーニング情報を編集するための操作が行われたと判断する。そして、前記スクリーニング情報を編集するための操作が行われたと判断されると(S15:Yes)、処理がステップS16に移行し、前記スクリーニング情報を編集するための操作が行われていないと判断されると(S15:No)、処理がステップS17に移行する。
【0093】
<ステップS16>
ステップS16において、前記制御部11は、前記スクリーニング一覧画面P1で選択されている前記スクリーニング情報を編集するための処理を実行する。具体的に、前記制御部11は、前記スクリーニング一覧画面P1で選択されている前記スクリーニング情報が表示される前記詳細設定画面P2を前記クライアント端末2に表示させ、前記クライアント端末2に対するユーザー操作に応じて、前記スクリーニング情報に含まれる前記抽出条件及び前記モニタリング条件などを編集して前記スクリーニングマスタに登録する。
【0094】
<ステップS17>
ステップS17において、前記制御部11は、前記スクリーニングマスタのメンテナンスを終了するための操作が行われたか否かを判断する。具体的に、前記制御部11は、前記操作部K18が操作された場合に、前記スクリーニングマスタのメンテナンスを終了するための操作が行われたと判断する。そして、前記スクリーニングマスタのメンテナンスを終了するための操作が行われたと判断されると(S17:Yes)、当該マスタ登録処理が終了し、前記スクリーニングマスタのメンテナンスを終了するための操作が行われていなければ、処理が前記ステップS13に戻される。
【0095】
[医療情報管理処理]
次に、図9を参照しつつ、前記医療情報管理処理の一例について説明する。
【0096】
<ステップS21>
ステップS21において、前記制御部11は、前記抽出処理を開始するか否かを判断する。具体的に、前記制御部11は、前記スクリーニング一覧画面P1又は前記詳細設定画面P2において前記抽出処理の開始操作が行われた場合に、前記抽出処理を開始すると判断する。また、前記スクリーニング情報で設定された前記抽出処理の起動時間が到来した場合にも、前記抽出処理を開始すると判断される。そして、前記抽出処理を開始すると判断されると(S21:Yes)、処理がステップS22に移行し、前記抽出処理を開始すると判断されなければ(S21:No)、処理がステップS25に移行する。
【0097】
<ステップS22>
ステップS22において、前記制御部11は、前記抽出条件として予め設定された前記フィルタリング条件及び前記スクリーニング条件に基づいて患者を抽出する抽出処理を実行する。なお、前記ステップS22は抽出ステップの一例であり、前記制御部11の抽出処理部111によって実行される。また、前記制御部11は、前記抽出対象項目及び前記判定対象項目各々について予め設定されたスコアと前記患者が抽出された前記抽出対象項目とに基づいて患者のスコアを算出する。
【0098】
<ステップS23>
ステップS23において、前記制御部11は、前記ステップS22で抽出された患者各々について前記モニタリング条件を満たすか否かを判定する判定処理を実行する。なお、前記ステップS23は判定ステップの一例であり、前記制御部11の判定処理部112によって実行される。また、前記制御部11は、前記抽出対象項目及び前記判定対象項目各々について予め設定されたスコアと前記患者が前記モニタリング条件を満たすと判定された前記判定対象項目とに基づいて患者のスコアを算出する。そして、前記制御部11は、前記ステップS22及びS23で算出されたスコアの合計スコアを算出する。なお、前記算出処理は、前記制御部11の評価処理部118によって実行される。
【0099】
<ステップS24>
ステップS24において、前記制御部11は、前記ステップS22による抽出結果及び前記ステップS23による判定結果を前記クライアント端末2に提示する。なお、前記ステップS24は、提示ステップの一例であり、前記制御部11の提示処理部113によって実行される。具体的に、前記制御部11は、前記ステップS22の抽出処理により抽出された患者の一覧を示す抽出結果画面P3をクライアント端末2の表示装置24に表示させる。ここに、図12は、前記抽出結果画面P3の一例を示す図である。
【0100】
図12に示されるように、前記抽出結果画面P3には、操作部K31~K34、表示領域A31~A33などが表示される。前記制御部11は、前記操作部K31の操作に応じて、前記抽出結果画面P3で選択されている前記スクリーニング情報に基づく前記抽出処理及び前記判定処理のシミュレーション処理を開始する。また、前記制御部11は、前記操作部K32の操作に応じて、前記抽出結果画面P3で選択されている患者に対する薬歴及び検査歴などが表示される詳細表示画面P5を前記クライアント端末2に表示させる。さらに、前記制御部11は、前記操作部K33の操作に応じて、前記抽出結果画面P3で表示されている抽出後の患者の一覧を印刷出力する。また、前記制御部11は、前記操作部K34の操作に応じて、前記抽出結果画面P3で選択されている患者を対象として分析提案処理を実行する。
【0101】
前記表示領域A31には、前記スクリーニング情報の一覧が表示される。また、前記制御部11は、前記表示領域A31において、前記スクリーニング情報各々に基づいて前記抽出処理が実行された場合に抽出される患者の人数をスリーニング欄に表示させる。さらに、前記制御部11は、前記表示領域A31において、前記抽出処理で抽出された患者のうち前記モニタリング条件のいずれかを満たす患者の人数をモニタリングチェック欄に表示させ、前記抽出処理で抽出された患者のうち前記モニタリング条件のいずれかを満たす患者であって経過観察対象者として登録されている患者の人数をモニタリング対象欄に表示させる。
【0102】
前記表示領域A33には、前記表示領域A31に表示されている前記抽出条件各々に基づいて実行された前記抽出処理によって抽出された患者の一覧がリスト表示される。前記患者の一覧には、患者ごとについて、患者ID、患者名、性別、年齢、病棟、診療科、モニタリング開始日、スコア、期間内検査有無などの情報が含まれる。また、前記制御部11は、前記表示領域A33に表示された患者のうち、前記モニタリング条件のいずれかの条件を満たす患者については、モニタ欄に「○」を表示させる。なお、前記制御部11は、前記表示領域A31に表示されている前記スクリーニング情報のうちユーザー操作によって選択される一又は複数の前記スクリーニング情報に含まれる前記抽出条件に基づいて抽出された患者のみを前記表示領域A33に表示させることが可能であってもよい。
【0103】
前記スコアは、前記スクリーニング情報によって抽出された患者の重要度を示す指標である。具体的に、前記スコアは、前記詳細設定画面P2の操作領域A212で前記スクリーニング情報ごとに設定可能である。また、前記スコアは、前記詳細設定画面P2の操作領域A231で前記スクリーニング条件ごとに設定可能である。さらに、前記スコアは、前記詳細設定画面P2の操作領域A241で前記モニタリング条件ごとに設定可能である。そして、前記制御部11は、前記抽出処理及び前記判定処理を実行した場合に患者が該当する条件に応じて前記スコアの合計値を算出し、前記表示領域A33に表示させる。例えば、患者の合計スコアが「40(4)」である場合、合計で4つの前記スクリーニング条件又は前記モニタリング条件を満たしており、そのスコアの合計が40であることを示す。なお、前記スコアは、前記スクリーニング情報、前記フィルタリング条件、前記スクリーニング条件、前記モニタリング条件の少なくとも一つについて設定可能であればよく、全てについて設定可能である必要はない。
【0104】
また、前記判定処理部112は、前記抽出処理で抽出された患者について、予め設定された検査項目の検査が予め設定された判定期間内に実施されているか否かを判定することが可能である。具体的に、前記判定処理部112は、前記検査データD13と前記検査期間マスタD2とに基づいて、前記患者が服用する薬品に対応付けて予め設定された判定期間に当該薬品に対応付けて予め設定された検査項目の検査が当該患者について実施されているか否かを判定する。また、他の実施形態として、前記判定処理部112は、前記抽出処理について前記抽出条件として予め設定される抽出対象期間を前記判定期間として用いることも考えられる。この場合、前記判定処理部112は、前記抽出対象期間内に予め設定された検査項目の検査が実施されているかを判定すると共に、その検査が実施されている場合には、当該検査について検査値が予め設定された範囲内であるか否かを判定する。即ち、前記判定処理部112は、前記検査期間マスタD2を用いることなく判定を行うものであってもよい。また、前記判定処理部112により実行有無が判定される前記検査項目が、前記患者が服用する薬品に対応付けて予め設定された項目である場合について説明するが、ユーザーが任意に設定する検査項目であってもよい。例えば、前記判定処理部112により実行有無が判定される前記検査項目は、後述のモニタリング条件として入力された検査項目のうち有無確認が「対象」に設定された検査項目であることが考えられる。
【0105】
また、前記制御部11は、前記表示領域A32において、前記表示領域A33に表示される患者の絞込又は並び替え条件などの表示条件を設定するためのユーザー操作を受け付け可能である。そして、前記制御部11は、前記表示条件の設定に応じて前記表示領域A33における表示対象の患者を絞り込んで表示させ、又は前記表示領域A33における患者の表示順を変更して表示させる。より具体的に、前記制御部11は、前記表示領域A33に表示されている患者を、ユーザー操作に応じて、前記スコアの昇順又は降順などの順序で並べ替えて表示させることが可能である。これにより、ユーザーは、前記スコアが高い患者、即ち重要度の高い患者を容易に把握することが可能である。なお、前記表示処理は、前記制御部11の表示処理部119によって実行される。特に、前記表示領域A33では、複数の前記抽出条件に基づいて抽出された患者が混合して表示されることがある。この場合、前記抽出条件ごとに対応するスコアが重要度に応じて異なる値に設定されていれば、前記制御部11は、ユーザー操作に応じて、重要度の高い前記抽出条件で抽出された患者を優先して表示させることが可能である。
【0106】
<ステップS25>
ステップS25において、前記制御部11は、前記抽出結果画面P3で選択されている前記スクリーニング情報に基づく前記抽出処理及び前記判定処理のシミュレーション処理を開始するか否かを判断する。具体的に、前記制御部11は、前記抽出結果画面P3において、前記操作部K31が操作された場合に、前記シミュレーション処理を開始すると判断する。ここで、前記シミュレーション処理を開始すると判断されると(S25:Yes)、処理がステップS26に移行し、前記シミュレーション処理を開始すると判断されなければ(S25:No)、処理がステップS27に移行する。
【0107】
<ステップS26>
ステップS26において、前記制御部11は、前記スクリーニング情報に基づいて前記抽出処理及び前記判定処理の実行結果を表示させるシミュレーション処理を実行する。なお、前記ステップS26は、前記制御部11のシミュレーション処理部117によって実行される。具体的に、前記制御部11は、前記シミュレーション処理を実行するためのシミュレーション画面P4を前記クライアント端末2に表示させる。特に、前記制御部11は、前記抽出結果画面P3が表示される前記クライアント端末2に前記シミュレーション画面P4を表示させる。即ち、一の前記クライアント端末2において、前記抽出結果画面P3及び前記シミュレーション画面P4が表示されるため、ユーザー作業の効率化を図ることが可能である。例えば、前期抽出結果画面P3において多数の患者が表示された場合、手厚いケアが可能な数まで患者数を絞るためのシミュレーション作業の効率が向上する。ここに、図13は、前記シミュレーション画面P4の一例を示す図である。
【0108】
図13に示されるように、前記シミュレーション画面P4には、操作部K41~K43、及び表示領域A41~A44などが表示されている。前記表示領域A41は、前記フィルタリング条件及び前記スクリーニング条件を設定するための領域であり、前記制御部11は、前記表示領域A41に対するユーザー操作に応じて前記フィルタリング条件及び前記スクリーニング条件の設定を受け付ける。前記表示領域A42は、前記モニタリング条件を設定するための領域であり、前記制御部11は、前記表示領域A42に対するユーザー操作に応じて前記モニタリング条件の設定を受け付ける。なお、前記シミュレーション画面P4が表示される際には、前記抽出結果画面P3で選択されている前記スクリーニング情報に含まれる前記抽出条件及び前記モニタリング条件などが前記シミュレーション画面P4に展開された状態が表示されることが考えられる。これにより、ユーザーは、前記シミュレーション画面P4に展開された前記スクリーニング情報に含まれる前記抽出条件及び前記モニタリング条件を容易に変更することが可能である。また、前記スクリーニング情報のうち前記抽出処理により抽出された患者の数が最も多いスクリーニング情報が前記シミュレーション画面P4に展開して表示されることも他の実施形態として考えられる。前記表示領域A43は、前記表示領域A41及び前記表示領域A42で設定された前記フィルタリング条件及び前記スクリーニング条件に基づいて抽出された患者の一覧が表示される。また、前記表示領域A43では、前記抽出された患者のうち前記モニタリング条件を満たす患者の数が表示される。さらに、前記表示領域A43では、前記表示領域A41及び前記表示領域A42で設定された前記抽出条件及び前記モニタリング条件の変更前後の患者数も表示される。例えば、前記表示領域A43には、前記モニタリング条件を満たす患者数について、前記抽出条件及び前記モニタリング条件の変更前後で前記モニタリング条件を満たす患者数として追加となった患者数及び対象外となった患者数も表示される。また、前記表示領域A43において、前記抽出条件及び前記モニタリング条件の変更前後で前記モニタリング条件を満たす患者として追加となった患者及び対象外となった患者が、背景色又は文字色などの違いによって識別可能に表示されてもよい。
【0109】
また、前記制御部11は、前記操作部K41の操作に応じて、前記シミュレーション画面P4で設定された前記フィルタリング条件、前記スクリーニング条件、前記モニタリング条件などの情報を前記スクリーニング情報として登録する。さらに、前記制御部11は、前記操作部K42の操作に応じて、前記シミュレーション画面P4で実行される前記シミュレーション処理の実行結果として表示される患者の一覧を印刷する。また、前記制御部11は、前記操作部K43の操作に応じて、前記表示領域A43で選択されている患者についての分析提案を行う分析提案処理を実行する。一方、前記制御部11は、前記操作部44の操作に応じて、前記表示領域A41及び前記表示領域A42で設定された前記フィルタリング条件、前記スクリーニング条件、前記モニタリング条件等に基づいて前記抽出処理及び前記判定処理を実行するシミュレーション処理を実行し、当該シミュレーション処理の実行結果を前記表示領域A43に表示させる。なお、前記シミュレーション画面P4は、予め設定された終了操作に応じて閉じられる。
【0110】
<ステップS27>
ステップS27において、前記制御部11は、前記抽出結果画面P3で選択されている患者についての医療情報の表示を開始させるための操作が行われたか否かを判断する。具体的に、前記制御部1は、前記抽出結果画面P3で一又は複数の患者が選択された状態で前記操作部K32が操作された場合に前記医療情報の表示を開始させるための操作が行われたと判断する。ここで、前記医療情報の表示を開始させるための操作が行われたと判断されると(S27:Yes)、処理がステップS28に移行し、前記医療情報の表示を開始させるための操作が行われたと判断されていなければ(S27:No)、処理がステップS29に移行する。
【0111】
<ステップS28>
ステップS28において、前記制御部11は、前記抽出結果画面P3で選択されている患者についての医療情報を含む詳細表示画面P5を前記クライアント端末2に表示させる。ここに、図14は、前記詳細表示画面P5の一例を示す図である。図14に示されるように、前記詳細表示画面P5には、操作部K51~K55、患者の薬歴又は療法歴が表示される表示領域A51、患者の検査値又は有害事象の内容が表示される表示領域A52などが表示される。なお、前記制御部11は、前記抽出結果画面P3で複数の患者が選択されていた場合、前記詳細表示画面P5の操作部K54の操作に応じて、当該詳細表示画面P5に前記医療情報が表示される対象となる患者を切り替え可能である。また、前記制御部11は、前記操作部K32の操作に限らず、前記クライアント端末2における予め設定された所定の操作に応じて前記詳細表示画面P5を前記クライアント端末2に表示させることも可能である。なお、前記詳細表示画面P5に表示される前記医療情報は、前記薬歴、前記療法歴、前記検査値、前記有害事象などに限らず、他の情報を含むものであってもよい。
【0112】
ところで、前記抽出処理で抽出された患者についての前記医療情報が参照される際、当該医療情報に含まれる多数の情報が提示されると、ユーザーは必要な情報を迅速に確認することができず、患者の医療情報の管理業務の効率化が阻害されることが考えられる。これに対し、前記医療情報管理システム10では、患者の医療情報の管理業務の効率化を支援することが可能である。
【0113】
具体的に、前記制御部11は、前記抽出処理部111によって抽出され、前記抽出結果画面P3で選択された患者に対応する医療情報のうち前記抽出対象項目及び前記判定対象項目のいずれか一方又は両方に関連する情報を前記詳細表示画面P5で提示する。即ち、前記詳細表示画面P5では、前記医療情報のうち前記抽出対象項目及び前記判定対象項目として設定されていない項目に関連する情報の表示が省略されている。これにより、前記医療情報管理システム10では、患者の医療情報の管理業務の効率化を図ることが可能である。具体的に、図14に示される例では、前記抽出条件で抽出対象項目として設定されている「ワーファリン錠5mg」に関する薬歴の情報と、前記モニタリング条件で判定対象項目として設定されている「手足のしびれ」の有害事象の情報及び「MG値」の検査値の情報とが表示されている。なお、前記詳細表示画面P5に表示される情報は、前記薬歴データD11、前記レジメン履歴データD12、前記検査データD13、及び前記有害事象データD14などに基づいて表示される。また、前記制御部11は、前記詳細表示画面P5の操作部K55の操作に応じて、前記詳細表示画面P5に表示する前記医療情報を、前記抽出対象項目及び前記判定対象項目のいずれか一方又は両方に関連する情報に限定するか否かを切り替え可能である。
【0114】
なお、前記制御部11は、前記操作部K51が操作されると、前記シミュレーション画面P4を前記クライアント端末2に表示させ、前記シミュレーション処理を実行可能である。また、前記制御部11は、前記操作部K52の操作に応じて、前記抽出処理で抽出された患者の一覧を印刷する。さらに、前記制御部11は、前記操作部K53の操作に応じて、前記詳細表示画面P5に前記医療情報が表示されている患者について前記分析提案処理を実行する。
【0115】
<ステップS29>
ステップS29において、前記制御部11は、前記抽出結果画面P3で選択されている患者についての分析提案処理を開始させるための操作が行われたか否かを判断する。具体的に、前記制御部1は、前記抽出結果画面P3で一又は複数の患者が選択された状態で前記操作部K33が操作された場合に前記分析提案処理を開始させるための操作が行われたと判断する。ここで、前記分析提案処理を開始させるための操作が行われたと判断されると(S29:Yes)、処理がステップS30に移行し、前記分析提案処理を開始させるための操作が行われたと判断されていなければ(S30:No)、処理が前記ステップS21に戻る。
【0116】
<ステップS30>
ステップS30において、前記制御部11は、前記抽出結果画面P3で選択されている患者についての提案書作成処理を実行する。具体的に、前記制御部11は、前記提案書作成処理において前記提案シートの内容を設定するための分析提案画面P6を前記クライアント端末2に表示させる。ここに、図15は、前記分析提案画面P6の一例を示す図である。図15に示されるように、前記分析提案画面P6には、操作部K61~K65、表示領域A61~A63等が表示されている。
【0117】
前記制御部11は、前記操作部K61の操作に応じて、前記分析提案画面P6に入力されている内容を記憶部2に記憶する登録処理を実行する。また、前記制御部11は、前記K62の操作に応じて、前記分析提案画面P6に入力されている内容に基づいて作成される提案シートP7(図16参照)を印刷出力する。さらに、前記制御部11は、前記操作部K63の操作に応じて、前記分析提案画面P6に入力されている内容に基づいて前記提案シートP7を作成して表示出力する。なお、前記提案シートP7を出力するための処理は、前記制御部11の出力処理部115によって実行される。また、前記制御部11は、前記操作部K64及びK65において、前記提案シートP7に提示される情報の対象期間を示す実行期間(提示対象期間の一例)の設定入力を受付可能である。なお、前記制御部11は、前記抽出処理における抽出対象期間が前記実行期間として初期入力された状態で前記操作部K64及びK65を表示させるが、前記制御部11は、当該操作部K64及びK65に対するユーザー操作に応じて前記実行時間を任意に変更可能である。
【0118】
前記表示領域A61は、前記提案シートP7に含まれる提案内容の入力を受け付けるための操作領域である。また、前記表示領域A62は、前記提案シートP7に含まれる薬剤師コメントの入力を受け付けるための操作領域である。なお、前記表示領域A62への入力は、前記表示領域A62を用いたテキスト入力、又は前記表示領域A63に表示されている既定の文例の選択(例えばドラッグアンドドロップ)によって行われる。
【0119】
また、前記表示領域A64は、前記提案シートP7に表示されるグラフの内容の選択操作を受け付けるための操作領域である。具体的に、前記制御部11は、前記表示領域A64において、前記スクリーニング情報として設定された前記抽出対象項目及び前記判定対象項目のうちグラフで表示可能な項目を表示させ、当該項目各々についてのグラフ種別をユーザー操作に応じて選択可能である。なお、係る選択処理は前記制御部11の選択処理部114によって実行される。即ち、前記詳細表示画面P5に表示されている前記抽出対象項目及び前記判定対象項目が前記グラフに示される項目として選択可能である。例えば、前記スクリーニング情報として設定された前記抽出対象項目及び前記判定対象項目各々について、「折れ線グラフ」、「棒グラフ」、「なし」のいずれかが選択可能である。なお、前記表示領域A64では、前記スクリーニング情報として設定された前記抽出対象項目及び前記判定対象項目各々がグラフに示される際の配色も設定可能である。また、他の実施形態としては、前記制御部11が、ユーザー操作に応じて、前記表示領域A64に表示されていない項目を前記グラフに示される項目として追加可能であることも考えられる。
【0120】
ここに、図16は、前記提案シートP7の一例を示す図である。図16に示されるように、前記提案シートP7には、患者の識別情報などの患者情報、前記提案内容、及び前記薬剤師コメントが含まれると共に、一又は複数の前記抽出対象項目又は前記判定対象項目の情報の遷移を示すグラフが含まれる。なお、前記グラフには、前記詳細表示画面P5で表示されていた前記抽出対象項目及び前記判定対象項目から選択された項目の情報について、予め設定された提示対象期間における遷移が示される。例えば、図16に示される例では、「ワーファリン錠5mg」の服用量が棒グラフで示されており、「MG値」の検査値が折れ線グラフで示されている。
【0121】
以上説明したように、前記医療情報管理システム10では、前記詳細表示画面P5に、予め設定された前記スクリーニング情報に含まれる前記抽出対象項目及び前記判定対象項目に関する医療情報のみが表示され、当該医療情報から選択された一又は複数の前記抽出対象項目又は前記判定対象項目の情報の遷移を含む前記提案シートP7が出力される。そのため、ユーザーは、前記提案シートP7に出力したい一又は複数の前記抽出対象項目又は前記判定対象項目を容易に選択することが可能である。従って、前記医療情報管理システム10では、前記医療情報として情報量が多く表示される場合に比べて、ユーザーが前記提案シートP7を作成するための作業効率を高めることが可能である。
【符号の説明】
【0122】
1 サーバー
11 制御部
12 記憶部
13 通信I/F
14 表示装置
15 操作装置
16 ドライブ装置
2 クライアント端末
21 制御部
22 記憶部
23 通信I/F
24 表示装置
25 操作装置
26 ドライブ装置
3 プリンター
4 通信網
5 上位システム
10 医療情報管理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16