(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】EFEM
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20220914BHJP
【FI】
H01L21/68 A
(21)【出願番号】P 2018048470
(22)【出願日】2018-03-15
【審査請求日】2021-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】河合 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】小倉 源五郎
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-092233(JP,A)
【文献】特開2015-115517(JP,A)
【文献】特開2016-162818(JP,A)
【文献】特開平10-318576(JP,A)
【文献】特開2007-045606(JP,A)
【文献】特開2017-161103(JP,A)
【文献】実開平06-070238(JP,U)
【文献】特開平04-041673(JP,A)
【文献】特開2002-286282(JP,A)
【文献】特開2018-037475(JP,A)
【文献】特開2006-286682(JP,A)
【文献】特開平04-062345(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
隔壁に設けられた開口にロードポートが接続されることで閉鎖され、基板を搬送するための搬送室を内部に構成する筐体と、
前記搬送室内に配置され、前記基板の搬送を行う基板搬送装置と、
前記筐体内に設けられ、前記搬送室の上方に上部空間を構成するための仕切り部材と、
前記上部空間に不活性ガスを供給するための不活性ガス供給手段と、
前記仕切り部材に形成され、前記搬送室と前記上部空間とを連通させる複数の連通口と、
前記連通口をそれぞれ覆うように配置され、前記連通口を介して前記上部空間の不活性ガスを前記搬送室に送るための複数の送風器と、
前記搬送室の下部に設けられ、当該搬送室内の不活性ガスを吸引するガス吸引口と、
前記ガス吸引口から吸引された不活性ガスを前記上部空間へ帰還させるガス帰還路と、
前記搬送室内のガスを排出するためのガス排出手段とを備えており、
前記不活性ガス供給手段は、前記上部空間内において分散して配置された、不活性ガスを供給するための複数の供給口を有し
、
前記複数の供給口は、上下方向から見たときに、前記複数の送風器を隔てて前記ガス帰還路と反対側にのみ配置されている
ことを特徴とするEFEM。
【請求項2】
前記供給口は、前記上部空間と外部空間とを仕切るための前記筐体の隔壁及び前記仕切り部材のいずれかにおいて前記供給口までの距離が最も近い領域に向かって不活性ガスが供給されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のEFEM。
【請求項3】
前記ガス吸引口は、前記搬送室の下部に複数設けられており、
前記ガス帰還路は、複数の前記ガス吸引口のそれぞれから上方に向かって延在する複数の第1流路と、前記複数の第1流路と接続された第2流路とを有し、
前記第2流路内のガスを前記上部空間に送出するための送出口をさらに有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のEFEM。
【請求項4】
前記第2流路は、前記複数の第1流路の配列方向に沿って延在しており、
前記送出口は、当該配列方向において、隣接する2つの前記第1流路間にそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項3に記載のEFEM。
【請求項5】
前記送出口は、前記複数の送風器の配列方向と交差する交差方向において、前記供給口との間において前記送風器を挟む位置に配置されていることを特徴とする請求項3又は4に記載のEFEM。
【請求項6】
隔壁に設けられた開口にロードポートが接続されることで閉鎖され、基板を搬送するための搬送室を内部に構成する筐体と、
前記筐体内に設けられ、前記搬送室の上方に上部空間を構成するための仕切り部材と、
前記仕切り部材に形成され、前記搬送室と前記上部空間とを連通させる複数の連通口と、
前記連通口に設けられ、前記上部空間の気体を前記搬送室に送るための複数の
ファンフィルタユニットと、
前記搬送室の下部に設けられ、当該搬送室内の気体を吸引する複数のガス吸引口と、
前記ガス吸引口のそれぞれから吸引された気体を前記上部空間に帰還させるガス帰還路と、を備え、
前記ガス帰還路は、前記複数のガス吸引口のそれぞれから延在する複数の第1流路と、前記複数の第1流路に接続されて前記第1流路から前記気体が流入しつつ、前記気体を前記上部空間に送出する第2流路と、
前記第2流路内のガスを前記上部空間に送出するための送出口と、を備え
、
前記送出口は、前記複数のファンフィルタユニットの上端よりも下側に位置している
ことを特徴とするEFEM。
【請求項7】
前記第2流路は、前記第1流路の延在方向と交差する方向に延在しており、
前記ガス帰還路を流れる前記気体は、前記第1流路から前記第2流路を通過する際にその気流の向きが変更され、且つ、前記第2流路から前記上部空間に流入する際にも当該気流の向きが変更されることを特徴とする請求項6に記載のEFEM。
【請求項8】
位置が固定された基台部と、前記基台部の上方に配置され、前記基板を搬送する搬送部と、を有し、前記搬送室内に配置された基板搬送装置をさらに備え、
前記搬送室には、前記搬送部によって基板が搬送される搬送領域よりも下方に設置物が配置され、
前記ガス吸引口は、鉛直方向から見たときに、前記基台部及び前記設置物のいずれとも重ならない位置に配置されていることを特徴とする請求項6又は7に記載のEFEM。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、閉鎖された搬送室に不活性ガスを供給し不活性ガス雰囲気に置換することが可能なEFEM(Equipment Front End Module)に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ウェハ(半導体基板)が収容されるFOUP(Front-Opening Unified Pod)が載置されるロードポートと、前面壁に設けられた開口にロードポートが接続されることで閉鎖され、ウェハの搬送が行われる搬送室が形成された筐体とを含み、ウェハに所定の処理を施す処理装置とFOUPとの間でウェハの受渡しを行う、EFEMについて記載されている。
【0003】
従来、ウェハ上で製造される半導体回路に対する搬送室内の酸素や水分等の影響は少なかったが、近年、半導体回路のさらなる微細化に伴い、それらの影響が顕在化してきている。そこで、特許文献1に記載のEFEMは、不活性ガスである窒素で搬送室内が満たされるように構成されている。具体的には、EFEMは、筐体の内部で窒素を循環させるための、搬送室とガス帰還路とで構成された循環流路と、ガス帰還路の上部空間に窒素を供給するガス供給手段と、ガス帰還路の上部空間に配置され不活性ガスを搬送室に送出する複数のファンと、ガス帰還路の下部から窒素を排出するガス排出手段とを有する。窒素は、循環流路内の酸素濃度等の変動に応じて適宜供給及び排出される。これにより、搬送室内を窒素雰囲気に保つことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記特許文献1に記載のEFEMにおいては、ガス供給手段がガス帰還路の上部空間に接続され、その接続箇所、すなわち、1箇所の供給口から不活性ガスが供給されるため、上部空間内においてファンの吸入側の圧力がファン毎にばらつき、各ファンから搬送室への供給量にバラツキが生じる。つまり、複数のファンの配列方向の一方側から不活性ガスが供給される場合、一方のファンには十分な量の不活性ガスが供給されるものの、他方のファンへの不活性ガスの供給量が一方に比して少なくなる。つまり、上部空間内において一方のファンの吸入側の圧力が他方のファンよりも大きくなり、各ファンからの搬送室への不活性ガスの供給量にバラツキが生じる。この結果、搬送室における不活性ガスの気流に乱れが生じ、塵埃が舞い上がりやすくなるという問題が生じる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、不活性ガスを搬送室内に垂直に流しやすくなり、塵埃が舞い上がりにくくすることが可能なEFEMを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のEFEMは、隔壁に設けられた開口にロードポートが接続されることで閉鎖され、基板を搬送するための搬送室を内部に構成する筐体と、前記搬送室内に配置され、前記基板の搬送を行う基板搬送装置と、前記筐体内に設けられ、前記搬送室の上方に上部空間を構成するための仕切り部材と、前記上部空間に不活性ガスを供給するための不活性ガス供給手段と、前記仕切り部材に形成され、前記搬送室と前記上部空間とを連通させる複数の連通口と、前記連通口をそれぞれ覆うように配置され、前記連通口を介して前記上部空間の不活性ガスを前記搬送室に送るための複数の送風器と、前記搬送室の下部に設けられ、当該搬送室内の不活性ガスを吸引するガス吸引口と、前記ガス吸引口から吸引された不活性ガスを前記上部空間へ帰還させるガス帰還路と、前記搬送室内のガスを排出するためのガス排出手段とを備えている。そして、前記不活性ガス供給手段は、前記上部空間内において分散して配置された、不活性ガスを供給するための複数の供給口を有している。
【0008】
これによると、不活性ガス供給手段から上部空間に供給される不活性ガスを、複数の供給口から分散して供給することが可能となる。このため、上部空間に全体に亘って満遍なく不活性ガスを供給することが可能となり、上部空間における複数の送風器の吸入側の圧力のバラツキが小さくなる。したがって、各送風器から搬送室への不活性ガスの供給量にバラツキが生じにくくなる。この結果、搬送室内において、不活性ガスを垂直に流しやすくなり、塵埃が舞い上がりにくくなる。
【0009】
本発明において、前記供給口は、前記上部空間と外部空間とを仕切るための前記筐体の隔壁及び前記仕切り部材のいずれかにおいて前記供給口までの距離が最も近い領域に向かって不活性ガスが供給されるように構成されていることが好ましい。これにより、供給口から供給された不活性ガスが仕切り部材及び隔壁のいずれかに当たり、その勢いが弱くなるとともに仕切り部材及び隔壁のいずれかに沿って不活性ガスが流れる。このため、ガス帰還路から送風器に流れる上部空間内の気流が乱れにくくなって、上部空間における複数の送風器の吸入側の圧力のバラツキがより小さくなる。したがって、各送風器から搬送室への不活性ガスの供給量のバラツキがより抑制される。
【0010】
また、本発明において、前記ガス吸引口は、前記搬送室の下部に複数設けられており、前記ガス帰還路は、複数の前記ガス吸引口のそれぞれから上方に向かって延在する複数の第1流路と、前記複数の第1流路と接続された第2流路とを有し、前記第2流路内のガスを前記上部空間に送出するための送出口をさらに有していることが好ましい。これにより、搬送室からのガスが複数の第1流路を介して一旦、第2流路に流れてから上部空間に流れる。このように複数の第1流路からのガスを一旦第2流路に流すことで、複数の第1流路間でのガスの流通量のバラツキを吸収することが可能となる。このため、各第1流路から直接、上部空間にガスが送出されるときよりも、送出口からのガスの送出量が安定し、各送風器から搬送室への不活性ガスの供給量のバラツキがより抑制される。
【0011】
また、本発明において、前記第2流路は、前記複数の第1流路の配列方向に沿って延在しており、前記送出口は、当該配列方向において、隣接する2つの前記第1流路間にそれぞれ配置されていることが好ましい。これにより、送出口から上部空間へのガスの送出量がより安定し、各送風器から搬送室への不活性ガスの供給量のバラツキがより一層抑制される。
【0012】
また、本発明において、前記送出口は、前記複数の送風器の配列方向と交差する交差方向において、前記供給口との間において前記送風器を挟む位置に配置されていることが好ましい。これにより、ガス帰還路から送風器に流れる上部空間内の気流が乱れにくくなって、各送風器から搬送室への不活性ガスの供給量のバラツキがより一層抑制される。
【0013】
また、本発明のEFEMは、別の観点では、隔壁に設けられた開口にロードポートが接続されることで閉鎖され、基板を搬送するための搬送室を内部に構成する筐体と、前記筐体内に設けられ、前記搬送室の上方に上部空間を構成するための仕切り部材と、前記仕切り部材に形成され、前記搬送室と前記上部空間とを連通させる複数の連通口と、前記連通口に設けられ、前記上部空間の気体を前記搬送室に送るための複数の送風器と、前記搬送室の下部に設けられ、当該搬送室内の気体を吸引する複数のガス吸引口と、前記ガス吸引口のそれぞれから吸引された気体を前記上部空間に帰還させるガス帰還路とを備えている。そして、前記ガス帰還路は、前記複数のガス吸引口のそれぞれから延在する複数の第1流路と、前記複数の第1流路に接続されて前記第1流路から前記気体が流入しつつ、前記気体を前記上部空間に送出する第2流路とを備える。
【0014】
これによると、搬送室からのガスが複数の第1流路を介して一旦、第2流路に流れてから上部空間に流れる。このように複数の第1流路からのガスを一旦第2流路に流すことで、複数の第1流路間でのガスの流量のバラツキを吸収することが可能となる。このため、各第1流路から直接、上部空間にガスが送出されるときよりも、送出口からのガスの送出量が安定し、各送風器から搬送室へのガスの供給量のバラツキが抑制される。
【0015】
また、本発明においては、前記第2流路は、前記第1流路の延在方向と交差する方向に延在しており、前記ガス帰還路を流れる前記気体は、前記第1流路から前記第2流路を流れる際にその気流の向きが変更され、且つ、前記第2流路から前記上部空間に流入する際にも当該気流の向きが変更されることが好ましい。これにより、第2流路において、第1流路の延在方向におけるガスの流れを緩やかにすることができる。したがって、第1流路から上部空間まで気流の向きが変更されずにそのままガスが上部空間に流入する場合と比べて、上部空間内の気流を乱れにくくすることができる。
【0016】
また、本発明においては、位置が固定された基台部と、前記基台部の上方に配置され、前記基板を搬送する搬送部と、を有し、前記搬送室内に配置された基板搬送装置をさらに備え、前記搬送室には、前記搬送部によって基板が搬送される搬送領域よりも下方に設置物が配置され、前記ガス吸引口は、鉛直方向から見たときに、前記基台部及び前記設置物のいずれとも重ならない位置に配置されていても良い。
【発明の効果】
【0017】
本発明のEFEMによると、上部空間に全体に亘って満遍なく不活性ガスを供給することが可能となり、上部空間における複数の送風器の吸入側の圧力のバラツキが小さくなる。したがって、各送風器から搬送室への不活性ガスの供給量にバラツキが生じにくくなる。この結果、搬送室内において、不活性ガスを垂直に流しやすくなり、塵埃が舞い上がりにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係るEFEM及びその周辺の概略構成を示す平面図である。
【
図2】
図1に示すEFEMの電気的構成を示す図である。
【
図3】
図1に示す筐体を前方から見たときの正面図である。
【
図4】
図3に示すIV-IV線に沿った断面図である。
【
図6】
図3に示すVI-VI線に沿った断面図である。
【
図7】ドアが閉じられた状態を示すロードポートの側断面図である。
【
図8】ドアが開いた状態を示すロードポートの側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態に係るEFEM1について、
図1~
図8を参照しつつ以下に説明する。なお、説明の便宜上、
図1に示す方向を前後左右方向とする。すなわち、本実施形態においては、EFEM(Equipment Front End Module)1と基板処理装置6とが並べられている方向を前後方向とし、EFEM1側を前方、基板処理装置6側を後方とする。また、前後方向と直交する、複数のロードポート4が並べられている方向を左右方向とする。また、前後方向及び左右方向の両方と直交する方向を上下方向とする。
【0020】
(EFEM及びその周辺の概略構成)
まず、EFEM1及びその周辺の概略構成について、
図1及び
図2を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係るEFEM1及びその周辺の概略構成を示す平面図である。
図2は、EFEM1の電気的構成を示す図である。
図1に示すように、EFEM1は、筐体2と、搬送ロボット3(基板搬送装置)と、3つのロードポート4と、制御装置5とを含む。EFEM1の後方には、ウェハW(基板)に所定の処理を施す基板処理装置6が配置されている。EFEM1は、筐体2内に配置された搬送ロボット3によって、ロードポート4に載置されたFOUP(Front-Opening Unified Pod)100と基板処理装置6との間でウェハWの受渡しを行う。FOUP100は、複数のウェハWを上下方向に並べて収容可能な容器であり、後端部(前後方向における筐体2側の端部)に開閉可能な蓋101が設けられている。FOUP100は、例えば、公知のOHT(天井走行式無人搬送車:不図示)によって搬送される。OHTとロードポート4との間で、FOUP100の受渡しが行われる。
【0021】
筐体2は、3つのロードポート4と基板処理装置6とを接続するためのものである。筐体2の内部には、外部空間に対して略密閉され、ウェハWを外気に晒さずに搬送するための搬送室41が形成されている。EFEM1が稼動しているとき、搬送室41は、窒素で満たされている。なお、本実施形態においては、搬送室41は窒素で満たされているが、不活性ガスであれば窒素以外のもの(例えば、アルゴンなど)であってもよい。筐体2は、搬送室41を含む内部空間において、窒素が循環するように構成されている(詳細については後述する)。また、筐体2の後端部には開閉可能なドア2aが設けられており、搬送室41は、ドア2aを隔てて基板処理装置6と接続されている。
【0022】
搬送ロボット3は、搬送室41内に配置され、ウェハWの搬送を行う。搬送ロボット3は、位置が固定された基台部90(
図3参照)と、基台部90の上方に配置され、ウェハWを保持して搬送するアーム機構70(搬送部。
図3参照)と、ロボット制御部11(
図2参照)とを有する。搬送ロボット3は、主に、FOUP100内のウェハWを取り出して基板処理装置6に渡す動作や、基板処理装置6によって処理されたウェハWを受け取ってFOUP100に戻す動作を行う。
【0023】
ロードポート4は、FOUP100を載置する(
図7参照)ためのものである。複数のロードポート4は、
図1及び
図5に示すように、筐体2の前側の隔壁33に沿って、左右方向に並べて配置されている。各ロードポート4は、後端にあるベース51(
図7参照)で筐体2の隔壁33に形成された3つの開口33a1(
図4参照)をそれぞれ閉鎖している。これにより、筐体2内に搬送室41が略密閉空間に構成される。また、ロードポート4は、FOUP100内の雰囲気を窒素に置換可能に構成されている。ロードポート4の後端部には、後述する開閉機構54の一部であるドア4aが設けられている。ドア4aは、ドア駆動機構55(開閉機構54の一部)によって開閉される。ドア4aは、FOUP100の蓋101のロックを解除可能、且つ、蓋101を保持可能に構成されている。ロックが解除された蓋101をドア4aが保持している状態で、ドア駆動機構55がドア4aを開けることで、蓋101が開けられる。これにより、FOUP100内のウェハWが、搬送ロボット3によって取出可能になる。また、搬送ロボット3によってウェハWをFOUP100内に収納可能となる。
【0024】
図2に示すように、制御装置5は、搬送ロボット3のロボット制御部11、ロードポート4のロードポート制御部12、基板処理装置6の制御部(不図示)と電気的に接続されており、これらの制御部との通信を行う。また、制御装置5は、筐体2内に設置された酸素濃度計85、圧力計86、湿度計87等と電気的に接続されており、これらの計測機器の計測結果を受信して、筐体2内の雰囲気に関する情報を把握する。また、制御装置5は、供給バルブ112及び排出バルブ113(後述)と電気的に接続されており、これらのバルブの開度を調節することで、筐体2内の窒素雰囲気を適宜調節する。
【0025】
図1に示すように、基板処理装置6は、例えば、ロードロック室6aと、処理室6bとを有する。ロードロック室6aは、筐体2のドア2aを隔てて搬送室41と接続された、ウェハWを一時的に待機させるための部屋である。処理室6bは、ドア6cを隔ててロードロック室6aと接続されている。処理室6bでは、不図示の処理機構によって、ウェハWに対して所定の処理が施される。
【0026】
(筐体及びその内部の構成)
次に、筐体2及びその内部の構成について、
図3~
図6を用いて説明する。
図3は、筐体2を前方から見たときの正面図である。
図4は、
図3に示すIV-IV線に沿った断面図である。
図5は、
図3に示すV-V線に沿った断面図である。
図6は、
図3に示すVI-VI線に沿った断面図である。なお、
図3及び
図6においては、隔壁の図示を省略している。また、
図5においては、搬送ロボット3等の図示を省略し、ロードポート4については2点鎖線で示している。
【0027】
筐体2は、全体として略直方体形状を有している。
図3~
図5に示すように、筐体2は、柱21~26と、連結管27と、隔壁31~36とを有する。上下方向に延びる柱21~26に隔壁31~36が取り付けられており、筐体2の内部空間(搬送室41及びFFU設置室42)が外部空間に対して略密閉に構成されている。
【0028】
より具体的には、
図4に示すように、筐体2の前端部において、柱21~24が左方から右方に向かって互いに離隔しつつ順に配置されている。つまり、4本の柱21~24は、左右方向に沿って配列されている。また、柱21~24は、
図3に示すように、上下方向に沿うように立設されている。柱21,24は、下側に配置された第1部分21b,24bと、上側に配置された第2部分21c,24cとで構成されている。第1部分21b,24bは、隔壁31上に立設され、その上端が連結管27に接続されている。また、柱22,23も、隔壁31上に立設され、その上端が連結管27に接続されている。これら第1部分21b,24b及び柱22,23は、その上下方向の長さがほぼ同じ長さとなっている。第2部分21c,24cは、連結管27上であって第1部分21b,24bと上下方向に沿って重なる位置に立設されている。筐体2の後端部の左右両側には、2本の柱25、26が上下方向に沿って立設して配置されている。連結管27は、左右方向(4本の柱21~24の配列方向)に延在し、4本の柱21~24と互いに接続されている。
【0029】
図3に示すように、筐体2の底部に隔壁31が、天井部に隔壁32が配置されている。
図4に示すように、前端部に隔壁33が、後端部に隔壁34が、左端部に隔壁35が、右端部に隔壁36が、それぞれ配置されている。隔壁33には、前述の3つの開口33a1が形成されている。これら3つの開口33a1は、左右方向において、4つの柱21~24間に配置されており、ロードポート4のベース51により閉鎖される。筐体2の右端部には、後述するアライナ84が載置される載置部83(
図3参照)が設けられている。アライナ84及び載置部83も、筐体2の内側に収容されている(
図4参照)。
【0030】
図5に示すように、筐体2内の上側部分であって連結管27の後端側には、水平方向に延びる支持板37(仕切り部材)が配置されている。これにより、筐体2の内部は、前述の搬送室41と、搬送室41の上方に形成されたFFU設置室42とに分けられている。つまり、支持板37によって、筐体2の内部空間において、搬送室41の上方に上部空間としてのFFU設置室42が構成される。
【0031】
FFU設置室42内には、後述する3つのFFU(ファンフィルタユニット)44が配置されている。支持板37の前後方向における中央部であってFFU44と上下方向に対向する位置には、搬送室41とFFU設置室42とを連通させる3つの連通口37aが形成されている。これら3つの連通口37aは、
図6に示すように、左右方向に沿って並んで配置されている。また、3つの連通口37aは、左右方向において、4本の柱21~24間に配置されている。なお、筐体2の隔壁33~36は、搬送室41用の下部壁とFFU設置室42用の上部壁とに分けられている(例えば、
図5における前端部の隔壁33a、33b及び後端部の隔壁34a、34bを参照)。各FFU44は、後述する搬送領域200での気流速度が所望の値となるよう予め回転数が決定される。搬送領域200における気流速度としては、1m/s未満であり、好ましくは0.1m/s~0.7m/sであり、より好ましくは0.2m/s~0.6m/sであり、目標の値に応じて各FFUの回転数が決定される。
【0032】
次に、筐体2の内部の構成について説明する。具体的には、筐体2内で窒素を循環させるための構成及びその周辺構成、並びに、搬送室41内に配置された機器等について説明する。
【0033】
筐体2内で窒素を循環させるための構成及びその周辺構成について、
図3~
図6を用いて説明する。
図5に示すように、筐体2の内部には、窒素を循環させるための循環路40が形成されている。循環路40は、搬送室41と、FFU設置室42と、帰還路43(ガス帰還路)とによって構成されている。循環路40においては、FFU設置室42から清浄な窒素が各連通口37aを通して下方へ送り出され、搬送室41の下端部まで到達した後、帰還路43を通って上昇し、FFU設置室42に戻るようになっている(
図5の矢印参照)。以下、詳細に説明する。
【0034】
FFU設置室42には、
図5及び
図6に示すように、支持板37上に配置された3つのFFU44と、FFU44上に配置された3つのケミカルフィルタ45とが設けられている。各FFU44は、
図5に示すように、ファン44a(送風器)とフィルタ44bとを有し、連通口37aを覆うようにして支持板37上に配置されている。FFU44は、
図6中矢印で示すように、ファン44aによってFFU設置室42内の窒素をFFU44の周囲から吸い込んで下方に送出しつつ、窒素に含まれるパーティクル(不図示)をフィルタ44bによって除去する。ケミカルフィルタ45は、例えば基板処理装置6から循環路40内に持ち込まれた活性ガス等を除去するためのものである。FFU44及びケミカルフィルタ45によって清浄化された窒素は、FFU設置室42から、支持板37に形成された連通口37aを介して搬送室41に送り出される。搬送室41に送り出された窒素は、層流を形成し、下方へ流れる。
【0035】
帰還路43は、筐体2の前端部に配置された柱21~24(
図5においては柱23)、及び、連結管27に形成されている。柱21,24の第1部分21b,24b、柱22,23、及び、連結管27の内部は中空になっており、互いに窒素が流通可能な空間21a~24a,27aがそれぞれ形成されている(
図4参照)。柱21,24の第1部分21b,24bは、
図4に示すように、左右方向の幅が柱22,23よりも大きくなっている。つまり、空間21a,24a(第1流路)の平面サイズ(すなわち、第1部分21b,24bの開口面積)が、空間22a,23a(柱22,23の開口面積)よりも大きくなっている。また、空間21a~24a(第1流路)は、上下方向に延在して形成されており、いずれも柱21~24の下端から連結管27の位置まで延在している。
【0036】
連結管27は、筐体2の前端部に配置されている。連結管27の空間27a(第2流路)は、左右方向に延在している。また、連結管27の下面には、
図5及び
図6に示すように、空間21a~24aと空間27aとを互いに連通させるための連通口27b~27eが形成されている。また、連結管27の上面には、
図6に示すように、FFU設置室42に向かって(すなわち、上方に向かって)開口した3つの送出口27f~27hが形成されている。これら3つの送出口27f~27hは、左右方向において、4本の柱21~24間に配置されており、互いに左右方向に長尺な矩形平面形状を有している。また、3つの送出口27f~27hは、筐体2の前端部に配置されている。このように連結管27は、4つの空間21a~24aから流れ込んできた窒素を一旦合流させた後、3つの送出口27f~27hからFFU設置室42に送り出すことが可能に構成されている。窒素が空間21a~24aから空間27aに流れる際に、その気流の向きが上方から左右方向に変更され、且つ、空間27aから送出口27f~27hを介してFFU設置室42に流入する際に、その気流の向きが左右方向から上方へと変更される。このような空間21a~24a,27aによって帰還路43が構成されている。また、3つの送出口27f~27hは、FFU44と前後方向に沿って重なる位置に配置されている。つまり、前後方向に隣接する送出口27f~27hとFFU44とがそれぞれ対応する。そして、3つの送出口27f~27hは左右方向に長尺に形成され、比較的大きな開口面積を有している。このため、各送出口27f~27hからFFU設置室42に送出されるガスの流れが緩やかになり、3つのFFU44の吸入側(上方側)の圧力のバラツキが小さくなる。なお、送出口27f~27hからFFU設置室42に送出されるガスは、
図5に示すように、隔壁33とFFU44との間を通って上方に流れる。
【0037】
帰還路43について、
図5を参照しつつ、さらに具体的に説明する。なお、
図5には柱23が示されているが、他の柱21,24の第1部分21b,24b及び柱22についても同様である。柱23の下端部には、搬送室41内の窒素を帰還路43(空間23a)に流入させやすくするための導入ダクト28が取り付けられている。導入ダクト28は、他の柱21,22,24にも同様に取り付けられている。なお、柱21,24は、柱23よりも左右方向に幅広に形成されているため、取り付けられる導入ダクト28においても幅広に形成されているが、これ以外は、同様の構成である。導入ダクト28には開口28aが形成され、搬送室41の下端部に到達した窒素が帰還路43に流入可能となっている。つまり、開口28aは、搬送室41内の窒素を帰還路43に吸引するガス吸引口である。また、開口28aは下方を向いて構成されている。このため、上方から隔壁31に達した気体を、上方からの気体の流れを乱すことなくスムーズに吸い込むことが可能となる。さらには開口28aで吸い込んだ気体を、上方へと気流方向を変えずに流すことが可能となる。
【0038】
導入ダクト28の上部には、下方へ向かうほど後方に広がる拡大部28bが形成されている。導入ダクト28内であって拡大部28bの下方には、ファン46が配置されている。ファン46は、不図示のモータによって駆動され、搬送室41の下端部に到達した窒素を帰還路43(
図5においては空間23a)に吸い込んで上方に送り出し、窒素をFFU設置室42に戻す。FFU設置室42に戻された窒素は、ケミカルフィルタ45の上面からFFU44側に吸い込まれて、これらFFU44やケミカルフィルタ45によって清浄化され、再び連通口37aを介して搬送室41へ送り出される。以上のようにして、窒素が循環路40内を循環可能になっている。
【0039】
また、
図3に示すように、FFU設置室42の後端上部(すなわち、筐体2の後端部)には、FFU設置室42(循環路40)内に窒素を供給するための供給管47が配置されている。供給管47は、窒素の供給源111に接続された外部配管48と接続されている。外部配管48の途中部位には、窒素の単位時間当たりの供給量を変更可能な供給バルブ112が設けられている。これら供給管47、外部配管48、供給バルブ112及び供給源111により、不活性ガス供給手段が構成されている。なお、不活性ガス供給ラインが工場などに設置されている場合は、当該供給ラインと供給管47とを接続すればよい。このため、不活性ガス供給手段は、供給管47だけから構成されていてもよい。
【0040】
供給管47は、
図3及び
図6に示すように、左右方向に沿って延在しており、3つの供給口47aが形成されている。3つの供給口47aは、左右方向に沿って互いに離隔して配置されており、供給管47からFFU設置室42内に窒素を供給する。これら3つの供給口47aは、
図5及び
図6に示すように、供給管47の下端に形成されており、支持板37の供給管47と上下方向に対向する領域37b(すなわち、支持板37の供給口47aまでの距離が最も近い領域)に向かって窒素が供給されるように構成されている。また、3つの供給口47aは、左右方向において、FFU44の中心と同じ位置関係に配置されている。これにより、3つの供給口47aは、前後方向において、送出口27f~27hとの間においてファン44aを挟む位置に配置されている。
【0041】
このような供給管47の3つの供給口47aからFFU設置室42に窒素が供給されると、3つの供給口47aがFFU設置室42内において分散して配置されているため、窒素がFFU設置室42全体に満遍なく供給される。例えば、筐体2の右端部に接続された外部配管48の1つの供給口からFFU設置室42内に直接的に窒素が供給された場合、FFU設置室42の右方部分の圧力が上昇する。すなわち、最も右方に配置されたFFU44の吸入側の圧力が他の2つのFFU44よりも大きくなる。このようにFFU44の吸入側の圧力に大きなバラツキが生じると、3つのFFU44から搬送室41への窒素の供給量にバラツキが生じやすくなる。しかしながら、本実施形態においては、左右方向に互いに離隔して配置された3つの供給口47aから窒素が供給されるため、3つのFFU44の吸入側の圧力のバラツキが小さくなる。したがって、3つのFFU44から搬送室41への窒素の供給量が安定し、搬送室41に送り出された窒素が層流を形成し、下方へと流れる。
【0042】
また、
図5に示すように、ロードポート4の下端には、循環路40内の気体を排出するための排出管49が接続されている。なお、ロードポート4は、後述するようにドア駆動機構55が収容された収容室60がベース51に形成されたスリット51bを介して連通している(
図7参照)。そして、排出管49が収容室60に接続されている。排出管49は、例えば図示しない排気ポートにつながっており、その途中部位には、循環路40内の気体の単位時間当たりの排出量を変更可能な排出バルブ113が設けられている。これら排出管49及び排出バルブ113により、ガス排出手段が構成されている。
【0043】
供給バルブ112及び排出バルブ113は、制御装置5と電気的に接続されている(
図2参照)。これにより、循環路40に窒素を適宜供給及び排出することが可能となっている。例えば、EFEM1を始動するとき(例えば、EFME1をメンテナンスした後に始動するときなど含む)、循環路40内の酸素濃度が上昇している場合、供給源111から外部配管48及び供給管47を介して循環路40に窒素を供給し、排出管49を介して循環路40及び収容室60内の気体(ガス:窒素及び酸素などを含む)を排出することで、酸素濃度を下げることができる。つまり、循環路40及び収容室60内を窒素雰囲気に置換することができる。なお、EFEM1を稼働させているときに、循環路40内の酸素濃度が上昇した場合も、循環路40に窒素を一時的に多く供給し、排出管49を介して窒素と共に酸素を排出することで、酸素濃度を下げることができる。例えば、窒素を循環させるタイプのEFEM1においては、循環路40から外部への窒素の漏出を抑制しつつ、外部から循環路40への大気の侵入を確実に抑制するために、循環路40内の圧力を外部の圧力よりもわずかに高く保つ必要がある。具体的には、1Pa(G)~3000Pa(G)の範囲内であり、好ましくは、3Pa(G)~500Pa(G)、より好ましくは、5Pa(G)~100Pa(G)である。このため、制御装置5は、循環路40内の圧力が所定の範囲から外れると、排出バルブ113の開度を変更することで窒素の排出流量を変更し、圧力が所定の目標圧力になるように調節する。このように、酸素濃度に基づいて窒素の供給流量が調節され、圧力に基づいて窒素の排出流量が調節されることで、酸素濃度及び圧力が制御される。本実施形態では、10Pa(G)の差圧となるよう調整している。
【0044】
次に、搬送室41内に配置された機器等について、
図3及び
図4を用いて説明する。
図3及び
図4に示すように、搬送室41内には、上述した搬送ロボット3と、制御部収容箱81と、計測機器収容箱82と、アライナ84とが配置されている。制御部収容箱81は、例えば搬送ロボット3の基台部90(
図3参照)の左方に設置され、アーム機構70(
図3参照)によってウェハWが搬送される搬送領域200よりも下方に配置されている。制御部収容箱81には、上述したロボット制御部11やロードポート制御部12が収容されている。計測機器収容箱82は、例えば基台部90の右方に設置され、アーム機構70の搬送領域200よりも下方に配置されている。計測機器収容箱82には、上述した酸素濃度計85、圧力計86、湿度計87等の計測機器(
図2参照)が収容可能となっている。制御部収容箱81及び計測機器収容箱82が、本発明の設置物に相当する。上述した導入ダクト28(
図4参照)は、基台部90、制御部収容箱81、及び計測機器収容箱82の前方に配置されている。つまり、開口28aは、上下方向(鉛直方向)から見たときに、基台部90、制御部収容箱81、及び計測機器収容箱82のいずれとも重ならない位置に配置されている(
図4、
図5参照)。
【0045】
アライナ84は、搬送ロボット3のアーム機構70(
図3参照)に保持されているウェハWの保持位置が、目標保持位置からどれだけずれているか検出するためのものである。例えば、上述したOHT(不図示)によって搬送されるFOUP100(
図1参照)の内部では、ウェハWが微妙に動くおそれがある。そこで、搬送ロボット3は、FOUP100から取り出した処理前のウェハWを、いったんアライナ84に載置する。アライナ84は、ウェハWが搬送ロボット3によって目標保持位置からどれだけずれた位置で保持されていたか計測し、計測結果をロボット制御部11に送信する。ロボット制御部11は、上記計測結果に基づいて、アーム機構70による保持位置を補正し、アーム機構70を制御して目標保持位置でウェハWを保持させ、基板処理装置6のロードロック室6aまで搬送させる。これにより、基板処理装置6によるウェハWの処理を正常に行うことができる。
【0046】
(ロードポートの構成)
次に、ロードポートの構成について、
図7及び
図8を参照しつつ以下に説明する。
図7は、ドアが閉じられた状態を示すロードポートの側断面図である。
図8は、ドアが開いた状態を示すロードポートの側断面図である。なお、
図7及び
図8は、載置台53の下方に位置する外部カバー4b(
図5参照)を取り外した状態で描かれている。
【0047】
図7に示すように、ロードポート4は、上下方向に沿って立設された板状のベース51と、このベース51の上下方向の中央部分から前方に向かって突出して形成された水平基部52とを有している。水平基部52の上部には、FOUP100を載置するための載置台53が設けられている。載置台53はFOUP100を載置した状態で、載置台駆動部(図示せず)により前後方向に移動することが可能となっている。
【0048】
ベース51は、搬送室41を外部空間から隔離する隔壁33の一部を構成する。ベース51は、前方から見て、上下方向に長尺な略矩形平面形状を有している。また、ベース51は、載置されたFOUP100と前後方向に対向可能な位置に窓部51aが形成されている。また、ベース51は、上下方向において、水平基部52よりも下方位置に後述の支持フレーム56が移動可能な上下方向に延在したスリット51bが形成されている。スリット51bは、支持フレーム56がベース51を貫通した状態で上下に移動可能範囲にのみ形成されており、左右方向の開口幅が小さくなっている。このため、スリット51bから収容室60のパーティクルが搬送室41に侵入しにくくなっている。
【0049】
ロードポート4は、FOUP100の蓋101を開閉可能な開閉機構54を有している。開閉機構54は、窓部51aを閉鎖することが可能なドア4aと、ドア4aを駆動させるためのドア駆動機構55とを有している。ドア4aは、窓部51aを閉鎖可能に構成されている。また、ドア4aは、FOUP100の蓋101のロックを解除可能、且つ、蓋101を保持可能に構成されている。ドア駆動機構55は、ドア4aを支持するための支持フレーム56と、スライド支持手段57を介して支持フレーム56を前後方向に移動可能に支持する可動ブロック58と、この可動ブロック58をベース51に対して上下方向に移動可能に支持するスライドレール59とを含む。
【0050】
支持フレーム56は、ドア4aの後部下方を支持するものであり、下方に向かって延在した後に、ベース51に設けられたスリット51bを通過してベース51の前方に向かって張り出した略クランク状の板状部材である。そして、この支持フレーム56を支持するためのスライド支持手段57、可動ブロック58及びスライドレール59はベース51の前方に設けられている。すなわち、ドア4aを移動させるための駆動箇所が筐体2の外側であって、水平基部52の下方に設けられた収容室60に収容されている。収容室60は、水平基部52と、水平基部52から下方に向かって延在する略箱状のカバー61とベース51とで囲まれて構成され、略密閉状態とされている。
【0051】
カバー61の底壁61aには、上述の排出管49が接続されている。つまり、収容室60と排出管49とが接続されている。本実施形態においては、3つのロードポート4のいずれにおいても、収容室60と排出管49とが接続されている。これにより、収容室60を介して循環路40の気体を排出管49から排出することが可能となる。排出管49から気体を排出する際、収容室60内に存在するパーティクルも気体と共に排出することが可能となる。また、収容室60内であって底壁61a上には、排出管49と対向するファン62が設けられている。このようにファン62が収容室60内に設けられていることで、パーティクルの舞上げを抑制しつつ、収容室60から排出管49に気体を排出しやすくなる。仮に搬送室41内の気体を収容室60に向けて送出するファンが設けられている場合、搬送室41内の気流に乱れが生じやすくなり、搬送室41内のパーティクルが舞上げられやすくなるが、本実施形態においては収容室60内にファン62が配置されているため、搬送室41内のパーティクルを舞上げるのを抑制することが可能となる。
【0052】
続いて、FOUP100の蓋101及びドア4aの開閉動作について、以下に説明する。先ず、
図7に示すように、ベース51より離隔した状態で載置台53上に載置されたFOUP100を、載置台53を後方に向かって移動させて、蓋101とドア4aとを当接させる。このとき、開閉機構54のドア4aでFOUP100の蓋101のロックを解除し、且つ、蓋101を保持させる。
【0053】
次に、
図8に示すように、支持フレーム56を後方に向かって移動させる。これにより、ドア4a及び蓋101が後方に移動する。こうすることで、FOUP100の蓋101が開くと共にドア4aが開いて、筐体2の搬送室41とFOUP100とが連通する。
【0054】
次に、
図8に示すように、支持フレーム56を下方に移動させる。これにより、ドア4a及び蓋101が下方に移動する。こうすることで、FOUP100が搬出入口として大きく開放され、FOUP100とEFEM1との間でウェハWの移動を行うことが可能となる。なお、蓋101及びドア4aを閉じる場合は、上述と逆の動作を行えばよい。また、ロードポート4の一連の動作は、ロードポート制御部12によって制御される。
【0055】
以上に述べたように、本実施形態のEFEM1によると、3つの供給口47aがFFU設置室42内において分散して配置されているため、FFU設置室42全体に亘って満遍なく窒素を供給することが可能となる。このため、FFU設置室42における3つのFFU44のファン44a(送風器)の吸入側の圧力のバラツキが小さくなる。したがって、各ファン44aから搬送室41への窒素の供給量が安定し、搬送室41内において、窒素を垂直に流しやすくなり(窒素が層流を形成する)、塵埃が舞い上がりにくくなる。
【0056】
また、排出管49が各ロードポート4の収容室60と接続されており、循環路40の外部への気体の排出が、複数の排出管49及び複数の収容室60を介して行われる。このため、排出管49が1つのみ設けられている場合と比べて、搬送室41内を下方へ流れた気体を万遍なく排出することができる。これにより、搬送室41において窒素が形成する層流への影響が小さくなる。また、搬送室41において窒素が形成する層流は、少なくともウェハWの搬送領域200及びその上方で形成されていればよい。
【0057】
また、搬送室41には、搬送領域200よりも下方に制御部収容箱81及び計測機器収容箱82(設置物)が配置され、開口28aは、鉛直方向から見たときに、基台部90及び設置物のいずれとも重ならない位置に設けられていても良い。
【0058】
なお、本願発明者は、層流可視化の実験により、搬送ロボット3の上方、制御部収容箱81の上方、及び、計測機器収容箱82の上方の三箇所(
図3の点201、202、203参照)において、気流速度を測定し、層流の形成状態を確認した。本実施形態では、搬送領域における気流速度が0.3m/sとなるよう各FFUの回転数を予め決定した。その結果、ガスが搬送ロボット3等に衝突することによる搬送領域200へのガスの逆流は起こらないことが確認された。また、供給源111(
図3参照)からの窒素の供給量やファン46(
図5参照)の回転数を変化させても、上述した三箇所の間で、気体の流量差が30%未満となることが確認された。つまり、搬送領域200内に設置物が設けられていても、少なくとも搬送領域200及びその上方では、安定した層流が形成されていることが確認された。
【0059】
また、供給口47aは、支持板37の供給口47aまでの距離が最も近い領域37bに向かって窒素が供給されるように構成されている。これにより、供給口47aから供給された窒素が先ずは支持板37の領域37bに当たり、その勢いが弱くなるとともに、支持板37に沿って流れる。このため、送出口27f~27hからFFU44に流れるFFU設置室42内の気流が乱れにくくなって、FFU設置室42におけるFFU44の吸入側の圧力のバラツキが小さくなる。したがって、各FFU44のファン44aから搬送室41への窒素の供給量のバラツキがより抑制される。
【0060】
変形例として、供給口47aは、筐体2の天井部の隔壁32又は後端部の隔壁34に向かって窒素が供給されるように構成されていてもよい。これにおいても、前述と同様に、供給口47aから供給された窒素の勢いが弱くなって流れ、各FFU44のファン44aから搬送室41への窒素の供給量のバラツキがより抑制される。
【0061】
帰還路43が、4つの空間21a~24a(第1流路)と接続される空間27a(第2流路)を有し、空間27aを有する連結管27に送出口27f~27hが形成されていることで、搬送室41からのガスが4つの空間21a~24aを介して一旦、空間27aに流れてからFFU設置室42に流れる。より詳細には、
図6に示すように、空間21aからのガスが空間27aを通って送出口27fに向かい、空間22aからのガスが空間27aを通って左右の送出口27f,27gに向かい、空間23aからのガスが空間27aを通って左右の送出口27g,27hに向かい、空間24aからのガスが空間27aを通って送出口27hに向かって流れる。このように4つの空間21a~24aからのガスを一旦空間27aに流すことで、4つの空間21a~24a間でのガスの流通量のバラツキを吸収することが可能となる。本実施形態においては、空間21a,24aの開口面積が空間22a,23aよりも大きくなっており、空間21a,24aの方がガスの流通量が多くなるが、空間27aで各空間21a~24aからのガスが合流し、各送出口27f~27hからFFU設置室42に送出される。このため、各空間21a~24aから直接、FFU設置室42にガスが送出されるときよりも、送出口27f~27hからのガスの送出量が安定し、各ファン44aの吸入側の圧力のばらつきも抑制され、各ファン44aから搬送室41への窒素の供給量のバラツキがより抑制される。
【0062】
各送出口27f~27hは、左右方向において、隣接する2つの空間21a~24a間にそれぞれ配置されているため、当該隣接する2つの空間21a~24aからのガスの流通量にバラツキがあっても送出口27f~27hからのガスの送出量がより安定する。このため、ファン44aから搬送室41への窒素の供給量のバラツキがより一層抑制される。
【0063】
また、各送出口27f~27hは、前後方向において、供給口47aとの間でファン44aを挟む位置に配置されている。これにより、帰還路43からファン44aに流れるFFU設置室42内の気流が乱れにくくなって、各ファン44aから搬送室41への窒素の供給量のバラツキがより一層抑制される。
【0064】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。前述の実施形態においては、供給管47に形成された3つの供給口47aがFFU設置室42において、分散して配置されていたが、供給管47に2又は4以上の供給口47aがFFU設置室42において、分散して配置されていてもよい。また、供給管47に代えて、多孔質管(例えば、エアストーンなど)がFFU設置室42に配置されていてもよい。これにおいても多孔質管の複数の供給口がFFU設置室42において分散して配置され、前述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0065】
また、複数の供給口47aは、FFU設置室42のどこに配置されていてもよい。つまり、筐体2の前端部側に配置されていてもよい。また、ガス吸引口としての開口28aは、搬送室41の下部よりも上方に配置されていてもよい。また、帰還路43は、第1流路としての空間21a~24aだけから構成され、各空間21a~24aからFFU設置室42に直接、ガスが送出されてもよい。この場合、第1流路としての空間が1~3又は5以上であってもよい。また、帰還路43が、第2流路としての空間27aを有する場合、第1流路としての空間が、2、3又は5以上であってもよい。
【0066】
また、各送出口27f~27hが、左右方向において、隣接する2つの空間21a~24a間に配置されていなくてもよい。ファン44a(FFU44)は、2又は4以上設けられていてもよい。この場合、連通口37aもファン44aと対応して支持板37に形成されておればよい。
【0067】
また、送出口27f~27hの代わりに、例えば、多数の孔が形成されたパンチングメタル(不図示)を連結管27の上面全体に設けるなどして、気体の流れを変えても良い。
【0068】
また、柱21~24及び連結管27の内部に形成された空間21a~24a,27aが帰還路43であるものとしたが、これには限られない。すなわち、帰還路43は他の部材によって形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 EFEM
2 筐体
3 搬送ロボット(基板搬送装置)
4 ロードポート
21a~24a 空間(第1流路)
27a 空間(第2流路)
27f~27h 送出口
28a 開口(ガス吸引口)
33 隔壁
33a1 開口
37 支持板
37a 連通口
37b 領域
41 搬送室
42 FFU設置室(上部空間)
43 帰還路(ガス帰還路)
44a ファン(送風器)
47 供給管(不活性ガス供給手段)
47a 供給口
49 排出管(ガス排出手段)
W ウェハ(基板)