(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】振動搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/14 20060101AFI20220914BHJP
B65G 27/00 20060101ALI20220914BHJP
B65G 47/52 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
B65G47/14 101A
B65G27/00
B65G47/52 B
(21)【出願番号】P 2018134828
(22)【出願日】2018-07-18
【審査請求日】2021-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130498
【氏名又は名称】佐野 禎哉
(72)【発明者】
【氏名】谷山 義明
(72)【発明者】
【氏名】小堀 一樹
【審査官】山▲崎▼ 歩美
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-213516(JP,A)
【文献】特開平06-320044(JP,A)
【文献】特開2002-119925(JP,A)
【文献】実開昭57-147826(JP,U)
【文献】特表2003-509213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 27/00-27/34
B65G 47/00-47/20
B07C 1/00-99/00
B65G 47/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路を振動させることによって前記搬送路上の搬送対象物を所定の搬送方向に搬送させる振動搬送装置であり、
前記搬送路の所定領域を構成する姿勢選別用搬送路上を搬送する搬送対象物のうち所定の搬送姿勢でない異姿勢搬送対象物を、前記姿勢選別用搬送路の上流端側に開口する排除スペースを通じて前記姿勢選別用搬送路を含む前記搬送路から排除する姿勢選別部を備え
、
前記姿勢選別用搬送路と、前記姿勢選別用搬送路よりも前記搬送方向上流側の前記搬送路との境界部分に段差を設け、当該段差によって形成される高さ方向の隙間から前記異姿勢搬送対象物を前記排除スペースに排除するように構成していることを特徴とする振動搬送装置。
【請求項2】
直線状の前記搬送路を幅方向に複数並べて配置している請求項1に記載の振動搬送装置。
【請求項3】
当該振動搬送装置がボウルの内周壁に沿った螺旋状の搬送路を有するボウルフィーダであり、前記姿勢選別用搬送路を、前記搬送路のうち前記姿勢選別用搬送路に到達する直前まで前記搬送対象物が通過する搬送路よりも外周側または内周側に変位させている請求項1に記載の振動搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送対象物を所定方向に搬送可能な振動搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、螺旋状又は直線状をなす搬送路(トラック)に沿ってワーク等の搬送対象物を搬送させる振動搬送装置が知られている。振動搬送装置には、搬送路における走行面に沿って搬送される搬送対象物の姿勢を揃えて次工程へ搬送すべく、搬送対象物の姿勢を選別可能な姿勢判別装置が設けられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ボウルフィーダのボウル搬送路における走行面に沿って搬送される搬送対象物の搬送姿勢を判別し、所望の搬送姿勢でない部品を、走行面に開口するように形成されたエア吹付孔から吹き付けるエアで吹き飛ばして走行面からボウル内(ボウルの底面に形成された貯留部)へ落下させる構成が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、リニアフィーダのリニア搬送路における走行面にエア孔が設けられ、異方向の姿勢で走行面を通過する部品は、エア孔の形成位置に達した時点で、エア孔から常時噴出する圧縮エアによって吹き飛ばされて走行面から排除され、ポケットに回収された後にボウルに戻される構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-30587号公報
【文献】特開平9-267912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記各特許文献に開示されている構成は、所望の姿勢にない搬送対象物を排除する方向が、エアを吹き付ける箇所に到達するまでの搬送対象物の搬送方向に対して横方向(搬送方向を横切る方向)であるため、例えば搬送路を幅方向に複数並べて配置する多列振動搬送装置を採用する場合には、各列の搬送路ごとに横方向に広がる排除スペースを確保する必要があり、装置の大型化(設置面積の増大化)を招来する。このような問題は、搬送路を1列状に配置した振動搬送装置であっても同様に生じる。
【0007】
本発明は、このような問題に着目してなされたものであって、主たる目的は、所望の姿勢でない搬送対象物(異姿勢搬送対象物)を排除するための専用スペースを搬送路の側方に形成する必要がなく、幅方向の省スペース化を実現しつつ、異姿勢搬送対象物を搬送路から排除可能な振動搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明は、(搬送路を振動させることによって)搬送路上の搬送対象物を所定の搬送方向に搬送させる振動搬送装置であり、搬送路の所定領域に、搬送路上の搬送対象物を所定の搬送方向に搬送させる振動搬送装置であり、搬送路の所定領域を構成する姿勢選別用搬送路上を搬送する搬送対象物のうち所定の搬送姿勢でない異姿勢搬送対象物を、姿勢選別用搬送路の上流端側側に開口する排除スペースを通じて姿勢選別用搬送路を含む搬送路から排除する姿勢選別部を備えていることを特徴としている。ここで、搬送対象物としては、例えば微小サイズの電子部品(ワーク)や医療用部品等を挙げることができるが、本発明の振動搬送装置によって搬送可能なものであれば特に限定されない。
【0009】
このような本発明に係る振動搬送装置であれば、搬送路の所定領域を構成する姿勢選別用搬送路上を搬送中の搬送対象物のうち異姿勢搬送対象物を、姿勢選別用搬送路の上流端側側に開口する排除スペースを通じて姿勢選別用搬送路を含む搬送路から排除する姿勢選別部を備えているため、姿勢選別用搬送路の側方(搬送方向に直交する方向)に排除スペースを確保する必要がなく、装置の大型化を招来することなく異姿勢搬送対象物を搬送路から排除することができる。
【0010】
本発明に係る振動搬送装置において、姿勢選別用搬送路と、姿勢選別用搬送路よりも搬送方向上流側の搬送路との境界部分に段差を設け、この段差によって形成される高さ方向の隙間から異姿勢搬送対象物を排除スペースに排除するように構成した場合には、姿勢選別用搬送路よりも搬送方向上流側の搬送路の下方スペースを排除スペースとして有効活用することができ、簡単な構成でありながら幅方向(搬送方向に直交する方向)における省スペース化を図りつつ、異姿勢搬送対象物の排除処理を適切に行うことが可能である。
【0011】
特に、本発明に係る振動搬送装置が、搬送路を幅方向に複数並べて配置した多列振動搬送装置であれば、姿勢選別用搬送路よりも搬送方向上流側の搬送路の下方スペースを排除スペースとして利用する構成ことによって、各列の搬送路ごとに側方(搬送方向に直交する方向)に広がる専用の排除スペースを形成する構成と比較して装置の幅方向の寸法を小さくできる。
【0012】
また、本発明に係る振動搬送装置がボウルの内周壁に沿った螺旋状の搬送路を有するボウルフィーダである場合には、姿勢選別用搬送路を、搬送路のうち姿勢選別用搬送路に到達する直前まで搬送対象物が通過する搬送路よりも外周側または内周側に変位させた位置に設定することにより、姿勢選別用搬送路の側方(内側方または外側方)に排除スペースを確保する必要がなく、装置の大型化を回避できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、搬送路の所定領域に設けた姿勢選別用搬送路上を搬送中の搬送対象物のうち異姿勢搬送対象物を、姿勢選別用搬送路の上流端側側に開口する排除スペースを通じて姿勢選別用搬送路を含む搬送路から排除する姿勢選別部を備えた構成により、所望の姿勢でない搬送対象物(異姿勢搬送対象物)を排除するための専用スペースを搬送路の側方に形成する必要がなく、幅方向の省スペース化を実現しつつ、異姿勢搬送対象物を搬送路から排除可能な振動搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る振動搬送装置の平面模式図。
【
図4】同実施形態における姿勢選別部の作用説明図。
【
図5】同実施形態に係る振動搬送装置の一変形例を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0016】
本実施形態に係る振動搬送装置Xは、
図1及び
図2(
図1は振動搬送装置Xの平面図であり、
図2は
図1のA1方向矢視図(側面図)である)に示すように、直線状の搬送路であるリニア搬送路Lを幅方向Wに複数並べて配置し、各リニア搬送路L上の搬送対象物N(
図3参照)を振動によって搬送方向T下流側に搬送可能なものである。本実施形態では、リニア搬送路Lを幅方向Wに24列並べている。このような多列状のリニア搬送路Lを配置した領域(多列搬送路設定領域)を上方から見た場合、
図1に示すように、上流端側から搬送方向Tに沿って扇状に広がように各各リニア搬送路Lの延伸方向を異ならせた扇状領域LAと、扇状領域LAとの境界部分から各リニア搬送路Lが搬送方向Tに沿って相互に平行に延伸する帯状領域LBとに区別することができる。各リニア搬送路Lは、振動体によって振動が与えられる。すなわち、振動体の振動が各リニア搬送路Lに伝達することで、各リニア搬送路L上の搬送対象物Nを搬送方向T下流側に向かって振動搬送させることができる。
【0017】
振動搬送装置Xの扇状領域LAにおける各リニア搬送路Lには、振り分け装置Hから搬送対象物Nが均等または略均等に供給される。なお、振り分け装置Hは、ボウルフィーダBのボウル搬送路B1から排出された搬送対象物Nを収容し、首振り動作可能な供給トラフH1を備え、供給トラフH1の排出端H11から各リニア搬送路Lに搬送対象物Nを供給するものである。
図1には、所定の角度範囲内で首振り動作を行う供給トラフH1の様子を二点鎖線で示す。
【0018】
本実施形態の振動搬送装置Xは、リニア搬送路L上の搬送対象物Nの搬送姿勢を選別する選別シュートとして機能するものであり、帯状領域LBにおける各リニア搬送路Lに、リニア搬送路L上を搬送する搬送対象物Nのうち所定の搬送姿勢でない異姿勢搬送対象物N2を選別する姿勢選別部Sを設けている。
【0019】
姿勢選別部Sは、
図3(a)に示すように、搬送方向Tにおいて姿勢選別部Sよりも上流側の搬送路(上流側搬送路U)に対して低い搬送路となるように配置した姿勢選別用搬送路S1を主体として構成したものである。同図(b),(c)はそれぞれ同図(a)における矢印A2方向から見た上流側搬送路U,姿勢選別用搬送路S1の模式図である。同図(b)に示すように、本実施形態の上流側搬送路Uの上向き面にはV字状の走行面を形成している。このV字状の走行面に沿って搬送対象物Xは上流側搬送路Uの下流端U2まで搬送される。
【0020】
本実施形態の姿勢選別部Sは、
図4に示すように、姿勢選別用搬送路S1上において正規の搬送姿勢(正姿勢)でない姿勢で搬送される搬送対象物(異姿勢搬送対象物N2)を、姿勢選別用搬送路S1の上流端側S1a側に開口する排除スペースS2を通じて姿勢選別用搬送路S1を含むリニア搬送路Lから排除するものである。姿勢選別部Sは、姿勢選別用搬送路S1と上流側搬送路Uとの間に段差を設け、この段差によって形成される姿勢選別用搬送路S1と上流側搬送路Uとの高さ方向の隙間S3から異姿勢搬送対象物N2を排除スペースS2へ排出可能に構成している。
【0021】
姿勢選別用搬送路S1の上向き面には、
図3(c)に示すように、上方にのみ開放された凹溝S12を勢選別用搬送路S1の全長に亘って形成し、姿勢選別用搬送路S1上の搬送対象物Nが例えば鍔部Naを有する医療用部品である場合、本実施形態では、鍔部Naよりも先端側の部分Nbが凹溝S12に収容され且つ凹溝S12の開口縁に設けた段部S13に鍔部Naが支持された吊り姿勢にある搬送対象物Nを「正姿勢搬送対象物N1」とし、このような姿勢にない搬送対象物Nを「異姿勢搬送対象物N2」としている。
【0022】
ここで、上流側搬送路Uの搬送対象物Nを上流側搬送路Uの下流端U2から姿勢選別用搬送路S1上に落下させて受け渡す際に、搬送対象物Nのうち鍔部Naよりも先端側の部分Nbが姿勢選別用搬送路S1の凹溝S12に収容されるように、上流側搬送路Uの下流端U2に到達する搬送対象物Nの搬送姿勢は一様に揃えられる。しかしながら、搬送対象物Nの向きによって、
図3(c)に示す姿勢、つまり、凹溝S12の開口縁に設けた段部S13に搬送対象物Nの鍔部Naが支持された吊り姿勢となる場合もあれば、同図(d)に示す姿勢、つまり、搬送対象物Nの鍔部Naが凹溝S12の段部S13に支持されずに姿勢選別用搬送路S1の上向き面に引っ掛かった姿勢になる場合もある。そこで、本実施形態では、同図(d)に示す姿勢で搬送される搬送対象物Nを異姿勢搬送対象物N2として姿勢選別用搬送路S1上から排除するように設定している。もちろん、搬送対象物N全体または略全体が姿勢選別用搬送路S1の上向き面において露出した姿勢にある搬送対象物等、
図3(c)に示す姿勢以外の全ての姿勢にある搬送対象物を異姿勢搬送対象物N2であるとして姿勢選別用搬送路S1上から排除可能に設定している。なお、
図3(c)に示す正姿勢搬送対象物N1の最下端は、凹溝S12に接近しているものの接触はしておらず、凹溝S12に沿って搬送方向T下流側へスムーズに搬送できる。
【0023】
本実施形態の姿勢選別部Sは、
図4に示すように、姿勢選別用搬送路S1上において正姿勢搬送対象物N1の搬送方向T下流側への移動を許容する一方、異姿勢搬送対象物N2の搬送方向T下流側への移動を規制するストッパS4を備えている。特に、搬送対象物Nが
図3(d)に示す異姿勢である場合、鍔部Naよりも先端側の部分Nbが姿勢選別用搬送路S1の凹溝S12に収容されているため、搬送方向Tに直交する幅方向Wへの移動は規制され、さらにストッパS4に当たることで搬送方向T下流側への移動も規制される。したがって、移動可能な方向は搬送方向T上流側に限定される。
【0024】
本実施形態の姿勢選別部Sは、ストッパS4に当たって停止状態にある異姿勢搬送対象物N2を検知するセンサS5と、センサS5による異姿勢搬送対象物検知信号に基づいて、停止状態にある異姿勢搬送対象物N2を搬送方向T上流側に移動させる方向にエアを吹き付けるエア噴出部S6とを備えている。
【0025】
本実施形態の姿勢選別部Sは、
図4に示すように、搬送停止状態にある異姿勢搬送対象物N2をセンサS5によって検知した場合に、エア噴出部S6から噴出したエア(圧縮空気)によって異姿勢搬送対象物N2を姿勢選別用搬送路S1の上流端側S1aに向かって吹き飛ばし、姿勢選別用搬送路S1と上流側搬送路Uとの高さ方向の隙間S3を通じて異姿勢搬送対象物N2を排除スペースS2へ排出するものである。したがって、姿勢選別用搬送路S1と上流側搬送路Uとの高さ方向の隙間S3は、少なくとも異姿勢搬送対象物N2が通過可能な高さ寸法(
図3(a)に示す高さ寸法S31)を有する。
【0026】
本実施形態では、センサS5による検知信号に基づいて姿勢選別用搬送路S1上において搬送対象物Nが所定位置に予め設定した時間(例えば数秒)停止していると判定した場合にのみ、エア噴出部S6からエアを噴出して排除処理を実行するように設定している。したがって、姿勢選別用搬送路S1上において搬送対象物Nが所定位置に予め設定した時間(例えば数秒)停止していると判定されない場合には、エア噴出部S6からエアを噴出することなく、排除処理は実行しない。ここで、センサS5を用いた異姿勢搬送対象物N2の判定手法としては、例えば姿勢選別用搬送路S1上の所定領域(ストッパS6よりも搬送方向T上流側の所定領域)に対して所定位置から照射したレーザ光線の反射光を検知し続ける時間に基づいて、姿勢選別用搬送路S1上に異姿勢搬送対象物N2が存在しているか否かを判定する手法を挙げることができる。
【0027】
本実施形態では、
図1に示すように、姿勢選別用搬送路S1上から排除スペースS2に排出された異姿勢搬送対象物N2を回収する回収部Rをリニア搬送路Lの下方に設け、回収部Rに回収された異姿勢搬送対象物N2が、回収経路R1に案内されて自動的にボウルフィーダB内(貯留部B2)に戻されるように構成している。本実施形態の回収部Rは、多列状に配置したリニア搬送路Lごとに個別に配置されたものではなく、全てのリニア搬送路Lに共通のものであり、各リニア搬送路Lにおいて姿勢選別用搬送路S1から排除スペースS2に排出された異姿勢搬送対象物N2を回収可能なサイズに設定されている。
【0028】
このような本実施形態に係る振動搬送装置Xによれば、リニア搬送路Lの所定領域を構成する姿勢選別用搬送路S1上を搬送中の搬送対象物Nのうち異姿勢搬送対象物N2を、姿勢選別用搬送路S1の上流端側S1a側に連通して開口する排除スペースS2を通じて姿勢選別用搬送路S1から搬送方向T上流側へ排除する姿勢選別部Sを備えているため、姿勢選別用搬送路S1の側方(搬送方向Tに直交する方向であり、幅方向Wと一致する方向)に専用の排除スペースを確保する必要がなく、装置の大型化を招来することなく異姿勢搬送対象物N2をリニア搬送路L(姿勢選別用搬送路S1を含むリニア搬送路Lの全領域)から排除することができる。また、本実施形態に係る振動搬送装置Xは、姿勢選別部Sによる選別処理によってリニア搬送路L(姿勢選別用搬送路S1を含む搬送路Lの全領域)から排除しなかった搬送対象物N、つまり正姿勢搬送対象物N1を姿勢選別用搬送路S1の下流端S1bに向かって搬送する。本実施形態では、姿勢選別用搬送路S1の下流端S1bに連続する下流側リニア搬送路Dを、姿勢選別用搬送路S1と同数分、多列状に配置し、下流側リニア搬送路Dの下流端D2から所定の供給先に向かって排出(供給)するように構成している。多列状の下流側リニア搬送路Dの配置領域全体を上方から見た場合、下流端D2に向かって下流側リニア搬送路Dの配置領域全体の幅寸法が漸次小さくなるように各下流側リニア搬送路Dの延伸角度を適宜設定している。
【0029】
本実施形態に係る振動搬送装置Xでは、姿勢選別用搬送路S1と、姿勢選別用搬送路S1よりも搬送方向T上流側の搬送路Uとの境界部分に段差を設け、この段差によって形成される高さ方向の隙間S3から異姿勢搬送対象物N2を排除スペースS2に排除するように構成しているため、姿勢選別用搬送路S1よりも搬送方向T上流側の搬送路Uの下方スペースに排除スペースS2を形成することができ、簡単な構成でありながら幅方向Wにおける省スペース化を図りつつ、異姿勢搬送対象物N2の排除処理を適切に行うことが可能である。
【0030】
特に、本実施形態に係る振動搬送装置Xが、リニア搬送路Lを幅方向Wに複数並べて配置した多列振動搬送装置であり、このような装置において、上述のように、姿勢選別用搬送路S1よりも搬送方向T上流側の搬送路Uの下方スペースに排除スペースS2を形成しているため、各列のリニア搬送路Lごとに側方(幅方向W)に広がる排除スペースS2を形成する構成と比較して装置の幅方向Wの寸法を略半分の寸法に抑えることができる。
【0031】
本実施形態における姿勢選別部Sは、姿勢選別用搬送路S1上で移動する異姿勢搬送対象物N2に接触して異姿勢搬送対象物N2がそれ以上搬送方向T下流側へ移動することを規制するストッパS4と、このストッパS4に当たって下流側へ移動しない異姿勢搬送対象物N2に対して姿勢選別用搬送路S1の上流端S1a側へ押し戻すエア噴出部S6とを備えているため、比較的簡素な構成でありながら、異姿勢搬送対象物N2を、姿勢選別用搬送路S1の上流端S1a側に開口する排除スペースS2を通じて姿勢選別用搬送路S1を含むリニア搬送路Lから確実に排除することができる。
【0032】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述の実施形態では、リニア搬送路上における搬送対象物の搬送姿勢を選別する構成に適用可能な姿勢選別部を例示したが、ボウル搬送路上における搬送対象物の搬送姿勢を選別する姿勢選別部を、上述の姿勢選別部に準じた構成で実現できる。すなわち、ボウルフィーダに適用可能な姿勢選別部は、ボウル搬送路のうち搬送方向において上流側の搬送路(上流側搬送路)に対して低い搬送路となるように配置した姿勢選別用搬送路を主体としてなり、姿勢選別用搬送路上の異姿勢搬送対象物を、姿勢選別用搬送路の上流端に開口する排除スペースを通じて姿勢選別用搬送路から排除するものである。この場合も、姿勢選別用搬送路と上流側搬送路との間に段差を設け、この段差によって形成される姿勢選別用搬送路と上流側搬送路との高さ方向の隙間から異姿勢搬送対象物を排除スペースへ排出可能に構成すればよい。
【0033】
また、
図5に示すように、振動搬送装置XがボウルBAの内周壁に沿った螺旋状の搬送路B1を有するボウルフィーダBである場合には、姿勢選別用搬送路S1を、搬送路のうち姿勢選別用搬送路S1に到達する直前まで搬送対象物Nが通過する搬送路(上流側搬送路U)よりも外周側または内周側(図示例では外周側)に変位させ、姿勢選別用搬送路S1上の異姿勢搬送対象物N2を、姿勢選別用搬送路S1の上流端S1aに連通して開口する排除スペースS2を通じて姿勢選別用搬送路S1から搬送方向T上流側へ排除する姿勢選別部Sを備えた構成にすることができる。この場合、上流側搬送路Uの下方領域を排除スペースS2として活用することはできないものの、姿勢選別用搬送路S1の側方(内側方または外側方)に排除スペースS2を確保する必要がない点で有利である。
【0034】
また、図示しないが、振動搬送装置がリニアフィーダである場合には、姿勢選別用搬送路を、搬送路のうち姿勢選別用搬送路に到達する直前まで搬送対象物が通過する搬送路(上流側搬送路)に対して幅方向に変位させ、姿勢選別用搬送路上の異姿勢搬送対象物を、姿勢選別用搬送路の上流端側に連通して開口する排除スペースを通じて姿勢選別用搬送路から搬送方向上流側へ排除する姿勢選別部を備えた構成にすることができる。この場合、上流側搬送路の下方領域を排除スペースとして活用することはできないものの、姿勢選別用搬送路の側方に排除スペースを確保する必要がない点でやはり有利である。
【0035】
このように、本発明における姿勢選別部は、リニア搬送路またはボウル搬送路の何れの搬送路にも適用することができる。
【0036】
リニア搬送路を多列状に配置する構成においてリニア搬送路の列数は特に限定されない。また、本発明の振動搬送装置には、リニア搬送路を多列状に配置していない構成も包含する。
【0037】
姿勢選別用搬送路の上面(上向き面)に形成する凹溝の断面形状は、搬送対象物の形状やサイズ等に応じて適宜設定することができる。
【0038】
姿勢選別用搬送路上の異姿勢搬送対象物を、姿勢選別用搬送路の上流端側に開口する排除スペースに排除する具体的な構成は、上述のストッパ及びエアブロー部を用いたものに限らず、ワイパー動作またはスイープ動作等に異姿勢搬送対象物を排除スペースに排除するように構成してもよい。
【0039】
また、本発明における姿勢選別部は、異姿勢搬送対象物を姿勢選別用搬送路の上流端側に開口する排除スペースを通じて自重で下方に落下させることで姿勢選別用搬送路を含む搬送路から排除するものであってもよい。この場合、異姿勢搬送対象物を排除スペースに向かって搬送方向上流側へ積極的に移動させる必要がなく、エア噴出部等のパーツも不要になる。
【0040】
本発明の振動搬送装置で搬送可能な搬送対象物は医療用部品や電子部品等に限定されない。搬送対象物の重量やサイズに応じて姿勢選別用搬送路を含む搬送路の寸法や、姿勢選別用搬送路の上向き面に形成する凹溝の形状や寸法も適宜設定・変更可能である。
【0041】
その他、回動機構等、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0042】
L…リニア搬送路
S1…姿勢選別用搬送路
S2…排除スペース
S…姿勢選別部
X…振動搬送装置