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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】シートスライド装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/07 20060101AFI20220914BHJP
   F16H 19/04 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
B60N2/07
F16H19/04 J
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018234648
(22)【出願日】2018-12-14
(65)【公開番号】P2020093749
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-11-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000143639
【氏名又は名称】株式会社今仙電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人
(74)【代理人】
【識別番号】100143454
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 克彦
(72)【発明者】
【氏名】浅野 良啓
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-035420(JP,A)
【文献】実開昭60-073626(JP,U)
【文献】特開平05-026323(JP,A)
【文献】実開平06-006790(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/07
F16H 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に固定されて、複数の係合穴がスライド方向に沿って等間隔に形成されるロアレールと、
シートに固定されるとともに前記ロアレールに対しスライド可能に設けられるアッパーレールと、
スライド時に回転駆動するモータと、
前記アッパーレールに組み付けられて、前記モータの回転力に応じて前記アッパーレールを前記ロアレールに対してスライドさせるスライド機構と、
を備えるシートスライド装置であって、
前記スライド機構は、
前記モータの回転力に応じて回転する入力側ギヤと、
同軸的に円弧状の第1スライドギヤが設けられる第1ギヤと、
同軸的に第2スライドギヤが設けられる第2ギヤと、
前記第1スライドギヤ及び前記第2スライドギヤに噛合可能なラックと前記係合穴に係合可能な所定数の係合爪とが一側に形成されるロック部と、
前記ラックを前記第1スライドギヤ及び前記第2スライドギヤのいずれか一方に押し付ける方向であって、前記係合爪を前記係合穴に係合させる方向に、前記ロック部を付勢する付勢部と、
を備え、
前記第1ギヤ及び前記第2ギヤのうちの一方は、他方と前記入力側ギヤとの双方に噛合し、
前記ラックは、前記第1スライドギヤが円弧状に形成されることで、前記付勢部の付勢力に応じて、前記第1スライドギヤに噛合する第1噛合状態と、前記第1スライドギヤに噛合していない状態にて前記第2スライドギヤに噛合する第2噛合状態と、のいずれかの状態に維持され、
前記第1スライドギヤは、前記第1噛合状態中に、前記係合爪と前記係合穴との係合が解除されて、前記係合爪が次の前記係合穴に対して係合可能な位置まで前記ロック部が前記スライド方向に沿って所定距離にて当該第1スライドギヤに対して相対移動するように形成され、
前記第2スライドギヤは、前記第2噛合状態中に、前記係合爪と前記係合穴とが係合した状態で、当該第2スライドギヤが前記スライド方向に沿って前記所定距離にて前記ロック部に対して相対移動するように形成されることを特徴とするシートスライド装置。
【請求項2】
床面に固定されて、複数の係合穴がスライド方向に沿って等間隔に形成されるロアレールと、
シートに固定されるとともに前記ロアレールに対しスライド可能に設けられるアッパーレールと、
スライド時に回転駆動するモータと、
前記アッパーレールに組み付けられて、前記モータの回転力に応じて前記アッパーレールを前記ロアレールに対してスライドさせるスライド機構と、
を備えるシートスライド装置であって、
前記スライド機構は、
前記モータの回転力に応じて回転する入力側ギヤと、
同軸的に円弧状の第1スライドギヤが設けられる第1ギヤと、
同軸的に第2スライドギヤが設けられる第2ギヤと、
一側に前記第1スライドギヤ及び前記第2スライドギヤに噛合可能なラックが形成され、他側に前記係合穴に係合可能な所定数の係合爪が形成されるロック部と、
前記ラックを前記第1スライドギヤ及び前記第2スライドギヤのいずれか一方に押し付ける方向であって、前記係合爪と前記係合穴との係合を解除する方向に、前記ロック部を付勢する付勢部と、
を備え、
前記第1ギヤ及び前記第2ギヤのうちの一方は、他方と前記入力側ギヤとの双方に噛合し、
前記ラックは、前記第1スライドギヤが円弧状に形成されることで、前記付勢部の付勢力に応じて、前記第1スライドギヤに噛合する第1噛合状態と、前記第1スライドギヤに噛合していない状態にて前記第2スライドギヤに噛合する第2噛合状態と、のいずれかの状態に維持され、
前記第2スライドギヤは、前記第2噛合状態中に、前記係合爪と前記係合穴との係合が解除されて、前記係合爪が次の前記係合穴に対して係合可能な位置まで前記ロック部が前記スライド方向に沿って所定距離にて当該第2スライドギヤに対して相対移動するように形成され、
前記第1スライドギヤは、前記第1噛合状態中に、前記係合爪を前記係合穴に係合させて、当該第1スライドギヤが前記スライド方向に沿って前記所定距離にて前記ロック部に対して相対移動するように形成されることを特徴とするシートスライド装置。
【請求項3】
前記第1スライドギヤと前記第2スライドギヤとが同じ形状となるように、前記第1ギヤと前記第2ギヤとが同じ形状に形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のシートスライド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のシートを前後にスライドさせるためのシートスライド装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用のシートを前後にスライドさせるシートスライド装置として、例えば、特許文献1に開示されるシートスライド装置が知られている。このシートスライド装置は、車体側に固定されるロアレール部材と、このロアレール部材に対して摺動自在にシート側に固定されるアッパーレール部材と、このアッパーレール部材の内部において後方へ延びるスクリューシャフトと、を備えている。また、シートスライド装置は、スクリューシャフトを挿通させて回動可能に支持し、ボルトを用いてアッパーレール部材に固定されるブラケットを備えている。そして、スクリューシャフトをロアレール部材に固定されたナット部材に螺合させ、スクリューシャフトの回動方向に応じて、アッパーレール部材をロアレール部材に対して前後にスライドさせる構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-173556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような構成では、スライド量に応じて必要となるスクリューシャフトの長さが変わるため、要求されるスライド量ごとにそのスライド量に応じた長さのスクリューシャフトを用意する必要があり、スクリューシャフト等の部品の標準化が困難であるという問題がある。また、スライド量が増えるほど、スクリューシャフトが長くなるために、シートスライド装置の軽量化が困難であるという問題も生じる。また、例えば、ラックとピニオンとを利用したシートスライド装置であっても、スライド量に応じた長さのラックを用意する必要があり、標準化及び軽量化が困難であるという同様な問題がある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、スライド量にかかわらず同じスライド機構を採用可能な構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の発明は、
床面に固定されて、複数の係合穴(27)がスライド方向に沿って等間隔に形成されるロアレール(20)と、
シートに固定されるとともに前記ロアレールに対しスライド可能に設けられるアッパーレール(30)と、
スライド時に回転駆動するモータ(41)と、
前記アッパーレールに組み付けられて、前記モータの回転力に応じて前記アッパーレールを前記ロアレールに対してスライドさせるスライド機構(50)と、
を備えるシートスライド装置(10)であって、
前記スライド機構は、
前記モータの回転力に応じて回転する入力側ギヤ(61)と、
同軸的に円弧状の第1スライドギヤ(62a)が設けられる第1ギヤ(62)と、
同軸的に第2スライドギヤ(63a)が設けられる第2ギヤ(63)と、
前記第1スライドギヤ及び前記第2スライドギヤに噛合可能なラック(71)と前記係合穴に係合可能な所定数の係合爪(72)とが一側に形成されるロック部(70)と、
前記ラックを前記第1スライドギヤ及び前記第2スライドギヤのいずれか一方に押し付ける方向であって、前記係合爪を前記係合穴に係合させる方向に、前記ロック部を付勢する付勢部(80)と、
を備え、
前記第1ギヤ及び前記第2ギヤのうちの一方は、他方と前記入力側ギヤとの双方に噛合し、
前記ラックは、前記第1スライドギヤが円弧状に形成されることで、前記付勢部の付勢力に応じて、前記第1スライドギヤに噛合する第1噛合状態と、前記第1スライドギヤに噛合していない状態にて前記第2スライドギヤに噛合する第2噛合状態と、のいずれかの状態に維持され、
前記第1スライドギヤは、前記第1噛合状態中に、前記係合爪と前記係合穴との係合が解除されて、前記係合爪が次の前記係合穴に対して係合可能な位置まで前記ロック部が前記スライド方向に沿って所定距離にて当該第1スライドギヤに対して相対移動するように形成され、
前記第2スライドギヤは、前記第2噛合状態中に、前記係合爪と前記係合穴とが係合した状態で、当該第2スライドギヤが前記スライド方向に沿って前記所定距離にて前記ロック部に対して相対移動するように形成されることを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、
床面に固定されて、複数の係合穴(27)がスライド方向に沿って等間隔に形成されるロアレール(20)と、
シートに固定されるとともに前記ロアレールに対しスライド可能に設けられるアッパーレール(30)と、
スライド時に回転駆動するモータ(41)と、
前記アッパーレールに組み付けられて、前記モータの回転力に応じて前記アッパーレールを前記ロアレールに対してスライドさせるスライド機構(50)と、
を備えるシートスライド装置(10)であって、
前記スライド機構は、
前記モータの回転力に応じて回転する入力側ギヤ(61)と、
同軸的に円弧状の第1スライドギヤ(62a)が設けられる第1ギヤ(62)と、
同軸的に第2スライドギヤ(63a)が設けられる第2ギヤ(63)と、
一側に前記第1スライドギヤ及び前記第2スライドギヤに噛合可能なラック(71)が形成され、他側に前記係合穴に係合可能な所定数の係合爪(72)が形成されるロック部(70a)と、
前記ラックを前記第1スライドギヤ及び前記第2スライドギヤのいずれか一方に押し付ける方向であって、前記係合爪と前記係合穴との係合を解除する方向に、前記ロック部を付勢する付勢部(80)と、
を備え、
前記第1ギヤ及び前記第2ギヤのうちの一方は、他方と前記入力側ギヤとの双方に噛合し、
前記ラックは、前記第1スライドギヤが円弧状に形成されることで、前記付勢部の付勢力に応じて、前記第1スライドギヤに噛合する第1噛合状態と、前記第1スライドギヤに噛合していない状態にて前記第2スライドギヤに噛合する第2噛合状態と、のいずれかの状態に維持され、
前記第2スライドギヤは、前記第2噛合状態中に、前記係合爪と前記係合穴との係合が解除されて、前記係合爪が次の前記係合穴に対して係合可能な位置まで前記ロック部が前記スライド方向に沿って所定距離にて当該第2スライドギヤに対して相対移動するように形成され、
前記第1スライドギヤは、前記第1噛合状態中に、前記係合爪を前記係合穴に係合させて、当該第1スライドギヤが前記スライド方向に沿って前記所定距離にて前記ロック部に対して相対移動するように形成されることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明では、同軸的に円弧状の第1スライドギヤが設けられる第1ギヤと同軸的に第2スライドギヤが設けられる第2ギヤとのうちの一方は、他方と入力側ギヤとの双方に噛合している。また、第1スライドギヤ及び第2スライドギヤに噛合可能なラックと、ロアレールの係合穴に係合可能な所定数の係合爪とが一側に形成されるロック部は、ラックを第1スライドギヤ及び第2スライドギヤのいずれか一方に押し付ける方向であって、係合爪を係合穴に係合させる方向に、付勢部により付勢される。そして、ラックは、第1スライドギヤが円弧状に形成されることで、付勢部の付勢力に応じて、第1スライドギヤに噛合する第1噛合状態と、第1スライドギヤに噛合していない状態にて第2スライドギヤに噛合する第2噛合状態と、のいずれかの状態に維持される。また、第1スライドギヤは、第1噛合状態中に、係合爪と係合穴との係合が解除されて、係合爪が次の係合穴に対して係合可能な位置までロック部がスライド方向に沿って所定距離にて当該第1スライドギヤに対して相対移動するように形成され、第2スライドギヤは、第2噛合状態中に、係合爪と係合穴とが係合した状態で、当該第2スライドギヤがスライド方向に沿って上記所定距離にてロック部に対して相対移動するように形成される。
【0009】
これにより、第2スライドギヤが第1スライドギヤに対して逆回転の関係となり、第1噛合状態では、係合解除状態の係合爪が次の係合穴に対して係合可能な位置までロック部がスライド方向に沿って所定距離にて第1スライドギヤに対して相対移動し、第2噛合状態では、第2スライドギヤがスライド方向に沿って上記所定距離にてロアレールに係合しているロック部に対して相対移動する。すなわち、第1スライドギヤ、第2スライドギヤ及び入力側ギヤを含めてギヤ部とするとき、第1スライドギヤが一回転するごとに、ロアレールに対して、スライド機構のうち、第1噛合状態にてロック部がスライド方向に所定距離移動した後に、第2噛合状態にてギヤ部が追従するように同じ所定距離移動する。このように、ロック部の移動とギヤ部の移動とが交互に繰り返されるようにして、スライド機構がロアレールに対してスライド方向に移動するので、スライド量が比較的長いシートスライド装置やスライド量が比較的短いシートスライド装置に同じスライド機構を採用することができる。したがって、スライド量が長くなるためにスライド機構が重くなることもなく、スライド量にかかわらず同じスライド機構を採用可能なシートスライド装置を実現することができる。
【0010】
請求項2の発明では、同軸的に円弧状の第1スライドギヤが設けられる第1ギヤと同軸的に第2スライドギヤが設けられる第2ギヤとのうちの一方は、他方と入力側ギヤとの双方に噛合している。また、一側に第1スライドギヤ及び第2スライドギヤに噛合可能なラックが形成され、他側にロアレールの係合穴に係合可能な所定数の係合爪が形成されるロック部は、ラックを第1スライドギヤ及び第2スライドギヤのいずれか一方に押し付ける方向であって、係合爪と係合穴との係合を解除する方向に、付勢部により付勢される。そして、ラックは、第1スライドギヤが円弧状に形成されることで、付勢部の付勢力に応じて、第1スライドギヤに噛合する第1噛合状態と、第1スライドギヤに噛合していない状態にて第2スライドギヤに噛合する第2噛合状態と、のいずれかの状態に維持される。また、第2スライドギヤは、第2噛合状態中に、係合爪と係合穴との係合が解除されて、係合爪が次の係合穴に対して係合可能な位置までロック部がスライド方向に沿って所定距離にて当該第2スライドギヤに対して相対移動するように形成され、第1スライドギヤは、第1噛合状態中に、係合爪を係合穴に係合させて、当該第1スライドギヤがスライド方向に沿って上記所定距離にてロック部に対して相対移動するように形成される。
【0011】
このようにしても、請求項1の発明と同様に、第1スライドギヤが一回転するごとに、ロアレールに対して、スライド機構のうち、第2噛合状態にてロック部がスライド方向に所定距離移動した後に、第1噛合状態にてギヤ部が追従するように同じ所定距離移動する。したがって、スライド量が長くなるためにスライド機構が重くなることもなく、スライド量にかかわらず同じスライド機構を採用可能なシートスライド装置を実現することができる。
【0012】
請求項3では、第1スライドギヤと第2スライドギヤとが同じ形状となるように、第1ギヤと第2ギヤとが同じ形状に形成される。各ギヤの歯数やピッチ円径、回転中心位置等を調整することで、第1スライドギヤ及び第2スライドギヤと第1ギヤ及び第2ギヤとをそれぞれ同じ形状としても、ロック部の移動とギヤ部の移動とを交互に繰り返すようにスライドするスライド機構を実現することができる。これにより、ギヤ部に関して更なる標準化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態に係るシートスライド装置の概略構成を示す斜視図である。
図2図2(A)は、図1に示すシートスライド装置の平面図であり、図2(B)は、図1に示すシートスライド装置の側面図である。
図3図1に示すシートスライド装置を後側から見た状態を拡大して示す説明図である。
図4】シートスライド装置の電気的構成を概略的に示すブロック図である。
図5図1からロアレールを除いたアッパーレール等を示す説明図であり、図5(A)は、平面図を示し、図5(B)は、側面図を示す。
図6図4に示すアッパーレール等を後側から見た状態を拡大して示す説明図である。
図7図5(B)のX-X断面を示す断面図である。
図8】ロック部の説明図であり、図8(A)は、正面図を示し、図8(B)は、側面図を示し、図8(C)は、底面図を示す。
図9】スライド機構を利用したスライドの作動原理を説明するタイミングチャート図である。
図10】第2実施形態に係るシートスライド装置の要部を説明する説明図である。
図11】ギヤ部の変形例を説明する説明図であって、図11(A)は、第2噛合状態にてギヤ部に対してロック解除されたロック部がスライド方向に相対移動可能な状態を示し、図11(B)は、第1噛合状態にてロック状態のロック部に対してギヤ部がスライド方向に相対移動可能な状態を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係るシートスライド装置について図を参照して説明する。
本実施形態に係るシートスライド装置10は、電動式スライドシートとして構成される車両用シート(図示略)を前後スライド可能に車両フロア等の床面(図示略)に固定する装置である。このシートスライド装置10は、図1図3に示すように、主に、床面に固定されるロアレール20と、車両用シートに固定されるアッパーレール30と、アッパーレール30をロアレール20に対してスライドさせるためのスライド機構50とをそれぞれ左右一対備えるように構成されている。
【0015】
また、シートスライド装置10は、図4に示すように、一対のスライド機構50を駆動するためのモータ41と、ロアレール20に対するアッパーレール30のスライド位置を調整する際に操作される操作部42と、操作部42の操作に応じてモータ41を回転駆動させる制御部43とを備えている。以下、シートスライド装置10の長手方向(図2の左右方向)を前後方向として、シートスライド装置10を構成する各要素について詳述する。なお、図1及び図2では、一組のロアレール20及びアッパーレール30等を備える一方のレールを図示しており、他方のレールに関しては、便宜上、図示を省略している。
【0016】
ロアレール20は、長尺のレール状に形成されており、図2及び図3に示すように、床面に固定される底壁21と、この底壁21の両側にそれぞれ設けられる一側案内部22a及び他側案内部22bとを有するように形成される。一側案内部22a及び他側案内部22bは、アッパーレール30に支持されるローラー33を囲うようにして案内するもので、一側案内部22a及び他側案内部22bには、対向するように配置されてローラー33が転がり接触する上面23及び底面24と、上面23及び底面24を連結する連結面25とがそれぞれ形成されている。また、一側案内部22a及び他側案内部22bには、それぞれ上面23の内側端から垂下するように内壁部26が連なっている。一側案内部22aに連なる内壁部26には、後述するロック部70の各係合爪72と係合可能な複数の係合穴27が長手方向に沿って等間隔にて形成されている。
【0017】
アッパーレール30は、電動式スライドシート用のアッパーレールであって、モータ41の回転駆動を利用してスライド制御を行なうためのスライド機構50が組み付けられている。このアッパーレール30は、図5及び図6に示すように、左右一対として配置される第1アッパーレール31及び第2アッパーレール32を備え、第1アッパーレール31及び第2アッパーレール32の前後にローラー33がそれぞれ回転可能に支持されている。
【0018】
第1アッパーレール31と第2アッパーレール32との間には、ロック部70をスライド方向に案内するための2つの略円柱状の案内部34が設けられている。また、第1アッパーレール31には、図5(B)及び図6に示すように、案内部34により案内されるロック部70の一部が挿通する開口31a,31b,31cがスライド方向に長くなるように形成されている。
【0019】
スライド機構50は、ギヤ部60とロック部70と付勢部80とを備えている。ギヤ部60は、図7に示すように、モータ41の回転力に応じて回転する入力側ギヤ61と、第1ギヤ62及び第2ギヤ63と、アッパーレール30に組み付けられて各ギヤ61~63を回転可能に支持するギヤケース64とを備えている。第1ギヤ62には、同軸的に円弧状の第1スライドギヤ62aが設けられ、第2ギヤ63には、同軸的に円状の第2スライドギヤ63aが設けられる。第2ギヤ63は、第1ギヤ62と入力側ギヤ61との双方に噛合しており、第1ギヤ62と第2ギヤ63とが逆回転の関係となる。なお、図7及び後述する図9では、便宜上、ギヤ部60における各ギヤの歯を省略し円状又は円弧状のピッチ円にて図示している。
【0020】
ギヤケース64には、第1スライドギヤ62a及び第2スライドギヤ63aを第1アッパーレール31側に露出させるための開口64aが形成されている。第1ギヤ62及び第2ギヤ63は、開口64aを介して、第1スライドギヤ62a及び第2スライドギヤ63aが第1アッパーレール31の開口31aに対向するように、ギヤケース64に支持されている。特に、第1ギヤ62及び第2ギヤ63は、図7からわかるように、第1スライドギヤ62aを円状としたときのピッチ円が第2スライドギヤ63aのピッチ円よりも第1アッパーレール31側となるように、ギヤケース64に支持されている。
【0021】
図8に示すように、ロック部70は、第1スライドギヤ62a及び第2スライドギヤ63aに噛合可能なラック71と、ロアレール20の係合穴27に係合可能な所定数の係合爪72と、ラック71と各係合爪72とを連結する連結部73とを備えている。ラック71及び各係合爪72は、連結部73における一側の上端及び下端から同じ方向に延出するように形成されている。各係合爪72は、ラック71が第2スライドギヤ63aに噛合する際に、ロアレール20の係合穴27に係合するように形成されている。特に、各係合爪72は、係合穴27に対して円滑に係合するため、先端側ほど幅が狭くなるように形成されている。連結部73には、アッパーレール30への組み付け時に両案内部34が挿通する開口74が、スライド方向に長くなるように形成されている。
【0022】
このように構成されるロック部70は、図6に示すように、連結部73の開口74に両案内部34が挿通し、ラック71が開口31aに挿通し、各係合爪72が開口31bに挿通するように、アッパーレール30に組み付けられている。
【0023】
この組み付け状態では、ロック部70は、開口74を挿通する両案内部34によってスライド方向に案内可能な状態となる。また、ラック71は、アッパーレール30に組み付けられたギヤ部60の第1スライドギヤ62a及び第2スライドギヤ63aに対向した状態となる。
【0024】
付勢部80は、コイルスプリングとして構成されており、第2アッパーレール32に組み付けられた状態で、ロック部70の連結部73を第1アッパーレール31に向けて付勢するように配置されている。このため、付勢部80は、ラック71を第1スライドギヤ62a及び第2スライドギヤ63aのいずれか一方に押し付ける方向であって、各係合爪72を対向する係合穴27に係合させる方向に、ロック部70を付勢するように機能する。
【0025】
このような付勢状態では、円弧状に形成される第1スライドギヤ62aが円状に形成される第2スライドギヤ63aよりもラック71側に位置する場合があるため、ラック71が第1スライドギヤ62aに噛合する噛合状態(以下、第1噛合状態ともいう)と、ラック71が第1スライドギヤ62aに噛合していない状態にて第2スライドギヤ63aに噛合する噛合状態(以下、第2噛合状態ともいう)と、のいずれかの状態に維持される。
【0026】
そして、上述のように構成されるスライド機構50が組み付けられたアッパーレール30は、各ローラー33が一側案内部22a及び他側案内部22bに案内されるようにしてロアレール20に組み付けられる。この組み付け状態では、付勢部80により付勢されたロック部70のラック71が第2スライドギヤ63aに噛合していると、開口31bを挿通した係合爪72が係合穴27に係合することで、アッパーレール30がロアレール20に対してスライド不能なロック状態となる。
【0027】
次に、本実施形態の特徴的構成について詳述する。
本実施形態では、第1スライドギヤ62aは、第1噛合状態中に、ラック71を付勢部80による付勢力に抗してロック解除方向に所定量以上押し込むことで、ロック部70の係合爪72とロアレール20の係合穴27との係合が解除されるように配置されている。さらに、第1スライドギヤ62aは、1回転中の第1噛合状態時において、ラック71の押し込み量が上記所定量以上となる間、ロック部70が、スライド方向に沿って所定距離にて当該第1スライドギヤ62aに対して相対移動し、ラック71の押し込み量が上記所定量未満に変わったときに、係合爪72が次の係合穴27に噛合するように形成されている。すなわち、第1スライドギヤ62aは、上記所定距離が、係合している係合穴27から次に係合する予定の係合穴27までのスライド方向の距離となるように調整されている。なお、この調整は、第1スライドギヤ62aの歯数やピッチ円径、回転中心位置等に応じて行うことができる。
【0028】
また、第2スライドギヤ63aは、第2噛合状態時に、ロック部70の係合爪72とロアレール20の係合穴27との係合状態が維持されるように配置されている。さらに、第2スライドギヤ63aは、1回転中の第2噛合状態時に、ロアレール20に係合しているロック部70に対して、スライド方向に沿って上記所定距離にて相対移動するように調整されている。なお、この調整は、第2スライドギヤ63aのピッチ円径や回転中心位置等に応じて行うことができる。
【0029】
このように構成されるスライド機構50を利用したスライドの作動原理について、モータ41の回転力に応じて入力側ギヤ61が所定方向に回転する場合を例に、図9に示すタイミングチャート図を参照して、以下に詳述する。
【0030】
図9(A)に示すように、第2噛合状態では、ロック部70の係合爪72とロアレール20の係合穴27とが係合し、第2スライドギヤ63aがロック部70のラック71に噛合している。このため、ギヤ部60は、第2スライドギヤ63aの回転に応じて、ロアレール20に係合しているロック部70に対して、スライド方向に沿って相対移動する。
【0031】
そして、図9(B)に示すように、第1スライドギヤ62aとラック71とが噛合し始め、第2噛合状態から第1噛合状態に移行すると、第1スライドギヤ62aによってラック71が押し込まれ始め、ロック部70が付勢部80の付勢力に抗してロック解除方向に移動し始める。
【0032】
その後、図9(C)に示すように、第1スライドギヤ62aによってラック71が所定量以上押し込まれると、ロック部70の係合爪72とロアレール20の係合穴27との係合が解除される。この解除状態では、図9(C)からわかるように、第1スライドギヤ62aの回転に応じてロック部70がスライド方向に沿って当該第1スライドギヤ62aに対して相対移動し始める。さらに、第1スライドギヤ62aが回転することで、ロック部70がスライド方向に沿って当該第1スライドギヤ62aに対してさらに相対移動する。
【0033】
そして、図9(D)に示すように、第1スライドギヤ62aがさらに回転することで、ラック71の押し込み量が減少し始めても、当該押し込み量が上記所定量以上である間、ロック部70のスライド方向への相対移動が継続される。
【0034】
その後、ラック71の押し込み量が上記所定量未満になると、ロック部70がスライド方向に沿って上記所定距離(図9の例では3つ隣の係合穴27までの距離に相当)にて相対移動しており、係合爪72が次に係合する予定の係合穴27まで移動していることから、各係合爪72が対向する係合穴27に係合し始める。
【0035】
そして、図9(E)に示すように、第1スライドギヤ62aがラック71に噛合しない回転角度まで回転すると、第1噛合状態から第2噛合状態に移行する。この状態では、各係合爪72がそれぞれ係合穴27への係合を完了した直後であり、第2スライドギヤ63aが噛合しているラック71に対して当該第2スライドギヤ63aの回転に応じてスライド方向に沿って相対移動し始める。すなわち、ギヤ部60が、第2スライドギヤ63aの回転に応じて、ロアレール20に係合しているロック部70に対して、スライド方向に沿って相対移動し始める。
【0036】
その後、第1スライドギヤ62aがラック71に噛合し始めるまで、ギヤ部60が、第2スライドギヤ63aの回転に応じて、スライド方向に沿って相対移動する。第2スライドギヤ63aは、1回転中の第2噛合状態時に、ロアレール20に係合しているロック部70に対して、スライド方向に沿って上記所定距離にて相対移動するように形成されているため、ギヤ部60は、第2噛合状態中に、スライド方向に沿って上記所定距離にて相対移動する。
【0037】
このように、スライド機構50では、第1噛合状態中にロック部70がギヤ部60に対してスライド方向に沿って上記所定距離にて相対移動した後、第2噛合状態中にギヤ部60がロック部70に対してスライド方向に沿って上記所定距離にて相対移動する。すなわち、ロック部70の移動とギヤ部60の移動とが交互に繰り返されるようにして、スライド機構50がロアレール20に対してスライド方向に移動する。このため、モータ41の回転に応じて、スライド機構50が組み付けられるアッパーレール30をロアレール20に対してスライドさせることができる。
【0038】
なお、本実施形態では、第2ギヤ63が第1ギヤ62と入力側ギヤ61との双方に噛合するように構成されているが、第1ギヤ62が第2ギヤ63と入力側ギヤ61との双方に噛合するように構成されてもよい。
【0039】
以上説明したように、本実施形態に係るシートスライド装置10では、同軸的に円弧状の第1スライドギヤ62aが設けられる第1ギヤ62と同軸的に第2スライドギヤ63aが設けられる第2ギヤ63とのうちの一方は、他方と入力側ギヤ61との双方に噛合している。また、第1スライドギヤ62a及び第2スライドギヤ63aに噛合可能なラック71と、ロアレール20の係合穴27に係合可能な所定数の係合爪72とが一側に形成されるロック部70は、ラック71を第1スライドギヤ62a及び第2スライドギヤ63aのいずれか一方に押し付ける方向であって、係合爪72を係合穴27に係合させる方向に、付勢部80により付勢される。そして、ラック71は、第1スライドギヤ62aが円弧状に形成されることで、付勢部80の付勢力に応じて、第1スライドギヤ62aに噛合する第1噛合状態と、第1スライドギヤ62aに噛合していない状態にて第2スライドギヤ63aに噛合する第2噛合状態と、のいずれかの状態に維持される。また、第1スライドギヤ62aは、第1噛合状態中に、係合爪72と係合穴27との係合が解除されて、係合爪72が次の係合穴27に対して係合可能な位置までロック部70がスライド方向に沿って所定距離にて当該第1スライドギヤ62aに対して相対移動するように形成され、第2スライドギヤ63aは、第2噛合状態中に、係合爪72と係合穴27とが係合した状態で、当該第2スライドギヤ63aがスライド方向に沿って上記所定距離にてロック部70に対して相対移動するように形成される。
【0040】
これにより、第2スライドギヤ63aが第1スライドギヤ62aに対して逆回転の関係となり、第1噛合状態では、係合解除状態の係合爪72が次の係合穴27に対して係合可能な位置までロック部70がスライド方向に沿って所定距離にて第1スライドギヤ62aに対して相対移動し、第2噛合状態では、第2スライドギヤ63aがスライド方向に沿って上記所定距離にてロアレール20に係合しているロック部70に対して相対移動する。すなわち、第1スライドギヤ62aが一回転するごとに、ロアレール20に対して、スライド機構50のうち、第1噛合状態にてロック部70がスライド方向に所定距離移動した後に、第2噛合状態にてギヤ部60が追従するように同じ所定距離移動する。このように、ロック部70の移動とギヤ部60の移動とが交互に繰り返されるようにして、スライド機構50がロアレール20に対してスライド方向に移動するので、スライド量が比較的長いシートスライド装置やスライド量が比較的短いシートスライド装置に同じスライド機構を採用することができる。したがって、スライド量が長くなるためにスライド機構が重くなることもなく、スライド量にかかわらず同じスライド機構を採用可能なシートスライド装置を実現することができる。
【0041】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係るシートスライド装置について、図10を参照して説明する。
本第2実施形態では、ロック部70aにおけるラック71と各係合爪72との位置関係が、上記第1実施形態と主に異なる。
具体的には、本実施形態に係るロック部70aは、図10からわかるように、連結部73における一側にラック71が形成され、この一側に対して反対側(裏側)となる他側に各係合爪72が形成されている。このため、ロアレール20では、各係合穴27は、他側案内部22bに連なる内壁部26に対して長手方向に沿って等間隔にて形成される。また、開口31b,31cは、各係合穴27に応じて第2アッパーレール32に形成される。
【0042】
そして、付勢部80は、ラック71を第1スライドギヤ62a及び第2スライドギヤ63aのいずれか一方に押し付ける方向であって、係合爪72と係合穴27との係合を解除する方向に、ロック部70aを付勢するように機能する。
【0043】
また、第2スライドギヤ63aは、第2噛合状態中に、係合爪72と係合穴27との係合が解除されて、係合爪72が次の係合穴27に対して係合可能な位置までロック部70aがスライド方向に沿って所定距離にて当該第2スライドギヤ63aに対して相対移動するように形成される。また、第1スライドギヤ62aは、第1噛合状態中に、係合爪72を係合穴27に係合させて、当該第1スライドギヤ62aがスライド方向に沿って上記所定距離にてロック部70aに対して相対移動するように形成される。
【0044】
すなわち、本実施形態では、同軸的に円弧状の第1スライドギヤ62aが設けられる第1ギヤ62と同軸的に第2スライドギヤ63aが設けられる第2ギヤ63とのうちの一方は、他方と入力側ギヤ61との双方に噛合している。また、一側に第1スライドギヤ62a及び第2スライドギヤ63aに噛合可能なラック71が形成され、他側にロアレール20の係合穴27に係合可能な所定数の係合爪72が形成されるロック部70aは、ラック71を第1スライドギヤ62a及び第2スライドギヤ63aのいずれか一方に押し付ける方向であって、係合爪72と係合穴27との係合を解除する方向に、付勢部80により付勢される。そして、ラック71は、第1スライドギヤ62aが円弧状に形成されることで、付勢部80の付勢力に応じて、第1スライドギヤ62aに噛合する第1噛合状態と、第1スライドギヤ62aに噛合していない状態にて第2スライドギヤ63aに噛合する第2噛合状態と、のいずれかの状態に維持される。また、第2スライドギヤ63aは、第2噛合状態中に、係合爪72と係合穴27との係合が解除されて、係合爪72が次の係合穴27に対して係合可能な位置までロック部70aがスライド方向に沿って所定距離にて当該第2スライドギヤ63aに対して相対移動するように形成され、第1スライドギヤ62aは、第1噛合状態中に、係合爪72を係合穴27に係合させて、当該第1スライドギヤ62aがスライド方向に沿って上記所定距離にてロック部70aに対して相対移動するように形成される。
【0045】
このようにしても、上記第1実施形態と同様に、第1スライドギヤ62aが一回転するごとに、ロアレール20に対して、スライド機構50のうち、第2噛合状態にてロック部70aがスライド方向に所定距離移動した後に、第1噛合状態にてギヤ部60が追従するように同じ所定距離移動する。したがって、スライド量が長くなるためにスライド機構が重くなることもなく、スライド量にかかわらず同じスライド機構を採用可能なシートスライド装置を実現することができる。
【0046】
[他の実施形態]
なお、本発明は上記実施形態等に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)第2スライドギヤ63aは、円状に形成されることに限らず、円弧状に形成されてもよい。特に、図11(A)(B)にて模式的に例示するギヤ部60aのように、第1スライドギヤ62aと第2スライドギヤ63aとが同じ半円弧形状となるように、第1ギヤ62と第2ギヤ63とが同じ形状に形成されても、各ギヤの歯数やピッチ円径、回転中心位置等を調整することで、上記第2実施形態に係るロック部70aの移動とギヤ部60aの移動とを交互に繰り返すようにスライドするスライド機構50を実現することができる。なお、図11は、ギヤ部の変形例を説明する説明図であって、図11(A)は、第2噛合状態にてギヤ部に対してロック解除されたロック部がスライド方向に相対移動可能な状態を示し、図11(B)は、第1噛合状態にてロック状態のロック部に対してギヤ部がスライド方向に相対移動可能な状態を示している。これにより、ギヤ部に関して更なる標準化を図ることができる。上記第1実施形態に係るロック部70についても同様な調整により上記効果を奏する。
【0047】
(2)第1スライドギヤ62aの1回転に応じてロック部70やギヤ部60がそれぞれスライドする上記所定距離は、図9に例示するように、現在係合している係合穴27を基準に3つ隣の係合穴27までの距離として設定されることに限らず、すぐ隣の係合穴27までの距離や2つ隣の係合穴27までの距離として設定されてもよいし、4つ以上隣の係合穴27までの距離として設定されてもよい。
【0048】
(3)本発明は、自動車や列車のような車両に搭載されるシート用のシートスライド装置として採用されることに限らず、飛行機や船等の乗り物に搭載されるシート用のシートスライド装置として採用されてもよい。
【符号の説明】
【0049】
10…シートスライド装置
20…ロアレール
27…係合穴
30…アッパーレール
41…モータ
50…スライド機構
60,60a…ギヤ部
61…入力側ギヤ
62…第1ギヤ
62a…第1スライドギヤ
63…第2ギヤ
63a…第2スライドギヤ
70,70a…ロック部
71…ラック
72…係合爪
80…付勢部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11