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特許7141021カラーチャート生成方法、カラーチャート生成装置およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】カラーチャート生成方法、カラーチャート生成装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/60 20060101AFI20220914BHJP
   G01J 3/52 20060101ALI20220914BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20220914BHJP
   B41J 2/525 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
H04N1/60 300
G01J3/52
B41J29/393 105
B41J2/525
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2018202460
(22)【出願日】2018-10-29
(65)【公開番号】P2020072280
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121599
【弁理士】
【氏名又は名称】長石 富夫
(72)【発明者】
【氏名】平野 祥子
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-029787(JP,A)
【文献】特開2011-114717(JP,A)
【文献】特開2009-124608(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0069077(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/46-62
G01J 3/52
B41J 29/393
B41J 2/525
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
指定色が所定の印刷装置の印刷可能色域の内にあるか外にあるかを判別する判別ステップと、
カラーチャートに配列する複数のパッチの色の変化方向となる軸の取り方を前記判別ステップの判別結果に応じて切り替えて、所定の色空間内に前記軸を設定する軸設定ステップと、
カラーチャートに配列する複数のパッチの色を、前記設定した軸に沿って色を変化させて選択する色選択ステップと、
前記色選択ステップで選択した色のパッチを、前記設定した軸上での並び順に配列したカラーチャートの印刷データを生成する印刷データ生成ステップと、
を有し、
前記軸設定ステップでは、
前記指定色が前記印刷可能色域の内にある場合は、前記指定色を中心色とし、前記印刷可能色域内で明度が最大の無彩色を起点として前記中心色を通る半直線を第1の軸に設定し、
前記指定色が前記印刷可能色域の外にある場合は、前記指定色を前記印刷可能色域の表面に写像した色を中心色とし、前記中心色から前記印刷可能色域の表面に沿って明度を変化させた際の軌跡を第1の軸に設定する
ことを特徴とするカラーチャート生成方法。
【請求項2】
前記軸設定ステップでは、
前記第1の軸と前記中心色の箇所で直交する色相角方向に第2の軸を設定する
ことを特徴とする請求項に記載のカラーチャート生成方法。
【請求項3】
前記色選択ステップでは、
前記指定色が前記印刷可能色域の外にある場合において、前記複数のパッチの色を選択する際の前記第1の軸に沿った色の変化範囲内に彩度の頂点が有る場合は、前記彩度の頂点となる色を前記選択する色に含める
ことを特徴とする請求項またはに記載のカラーチャート生成方法。
【請求項4】
前記色選択ステップでは、
前記指定色が前記印刷可能色域の外にある場合は、前記設定した軸の方向に隣り合うパッチの前記印刷可能色域の表面上での距離が等しくなるように前記複数のパッチの色を選択する
ことを特徴とする請求項乃至のいずれか1つに記載のカラーチャート生成方法。
【請求項5】
前記色選択ステップでは、
前記指定色が前記印刷可能色域の外にある場合は、前記第1の軸の方向に隣り合うパッチの明度間隔または彩度間隔が等しくなるように前記複数のパッチの色を選択する
ことを特徴とする請求項乃至のいずれか1つに記載のカラーチャート生成方法。
【請求項6】
前記軸設定ステップでは、
前記指定色が前記印刷可能色域の内にある場合において、前記第1の軸として設定する前記半直線の明度方向の傾きが所定の上限値を超える場合は、前記傾きが前記上限値を超えないように前記半直線の起点の明度を変更する
ことを特徴とする請求項乃至のいずれか1つに記載のカラーチャート生成方法。
【請求項7】
前記色選択ステップでは、
前記指定色が前記印刷可能色域の内にある場合において、前記第1の軸に沿って隣り合うパッチの色差をそのパッチから前記印刷可能色域の表面までの距離に応じて変更する
ことを特徴とする請求項乃至のいずれか1つに記載のカラーチャート生成方法。
【請求項8】
前記印刷データ生成ステップでは、
複数のパッチを2次元に配列したパッチ群を1つのみ有するカラーチャートの印刷データを生成する
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1つに記載のカラーチャート生成方法。
【請求項9】
前記色選択ステップでは、
前記指定色が前記印刷可能色域の内にある場合は、前記印刷可能色域内に限定して前記複数のパッチの色を選択する
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1つに記載のカラーチャート生成方法。
【請求項10】
前記印刷データ生成ステップでは、
前記判別ステップの判別結果の表示を含むカラーチャートの印刷データを生成する
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1つに記載のカラーチャート生成方法。
【請求項11】
前記指定色がスポットカラーもしくはスポットカラーの代替色である
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1つに記載のカラーチャート生成方法。
【請求項12】
前記中心色と前記中心色を前記印刷装置で印刷して得た出力物を測色器で測色して得た色との比較結果に基づいて色補正データを作成し、該色補正データに基づく色補正を施して前記各ステップを行う
ことを特徴とする請求項乃至11のいずれか1つに記載のカラーチャート生成方法。
【請求項13】
指定色が所定の印刷装置の印刷可能色域の内にあるか外にあるかを判別する判別ステップと、
カラーチャートに配列する複数のパッチの色の変化方向となる軸の取り方を前記判別ステップの判別結果に応じて切り替えて、所定の色空間内に前記軸を設定する軸設定ステップと、
カラーチャートに配列する複数のパッチの色を、前記設定した軸に沿って色を変化させて選択する色選択ステップと、
前記色選択ステップで選択した色のパッチを、前記設定した軸上での並び順に配列したカラーチャートの印刷データを生成する印刷データ生成ステップと、
を有し、
前記指定色がスポットカラーもしくはスポットカラーの代替色である
ことを特徴とするカラーチャート生成方法。
【請求項14】
指定色が所定の印刷装置の印刷可能色域の内にあるか外にあるかを判別する判別ステップと、
カラーチャートに行列状に配列する複数のパッチの色の変化方向となる2つの軸の取り方を前記判別ステップの判別結果に応じて切り替えて、所定の色空間内に前記軸を設定する軸設定ステップと、
カラーチャートに配列する複数のパッチの色を、前記設定した軸に沿って色を変化させて選択する色選択ステップと、
前記色選択ステップで選択した色のパッチを、前記設定した軸上での並び順に行列状に配列したカラーチャートの印刷データを生成する印刷データ生成ステップと、
を有し、
前記軸設定ステップでは、
前記指定色が前記印刷可能色域の内にある場合は、前記指定色を通りかつ明度を下げると彩度が上がる方向の直線を第1の軸とし、色相角方向を第2の軸とする
ことを特徴とするカラーチャート生成方法。
【請求項15】
前記印刷装置は、電子写真方式の印刷装置、もしくはインクジェット方式の印刷装置、もしくは活性エネルギー線硬化型インクを使用するインクジェット方式の印刷装置である
ことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1つに記載のカラーチャート生成方法。
【請求項16】
指定色と比較する複数のパッチを配列したカラーチャートの印刷データを生成するカラーチャート生成装置であって、
請求項1乃至15のいずれか1つに記載のカラーチャート生成方法を実行する処理部を有する
ことを特徴とするカラーチャート生成装置。
【請求項17】
情報処理装置で実行されるプログラムであって、
請求項1乃至15のいずれか1つに記載のカラーチャート生成方法の各ステップを有する
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、見本と比較する複数のパッチを配列したカラーチャートの印刷データを生成するカラーチャート生成方法、カラーチャート生成装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のオンデマンド機は、白やクリアなどの特殊トナーの使用や、厚紙、透明メディアの使用が可能になるなどパッケージ印刷への対応力が向上しており、従来はオフセット印刷機で行われていたパッケージの印刷にも多用される。パッケージの印刷には、オフセット印刷機用に作られた特色(スポットカラー)を用いることが多々ある。特色を含む原稿をオンデマンド機で印刷する場合にその特色の色材そのものをオンデマンド機が持たない場合は、オンデマンド機が持つC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロ)、K(ブラック)等の基本色の色材を混合してその特色に近い色を疑似的に再現しなければならない。これは一般に、PDF(portable document format)形式の原稿データ上に記述された特色名をプリンタコントローラがCMYK等のデバイス値に変換することで行われる。そのためプリンタコントローラは内部に「特色名」を「デバイス値」に変換する変換テーブルを持っている。さらに出力色の調整を可能とするために、変換テーブルに登録されているデバイス値をユーザが任意に変更できるようになっている。
【0003】
オンデマンド機で特色(スポットカラー)に対応する出力色を微調整するとき、複数のカラーパッチを配置したカラーチャートを印刷し、印刷された各パッチと見本の色を見比べることによって、印刷されたパッチの中から最も好ましいパッチを選択する方法がある。
【0004】
しかし、この選択方法で好ましいパッチを選択するには熟練を要する。その1つの要因は、色彩値は、L*a*b*等の色空間では3次元、CMYKのデバイス値では4次元で表されるのに対し、パッチは2次元(平面)のチャート上に配列されるので、3次元や4次元に対応するには2次元に配列したパッチ群を複数設けなければならず、多数のパッチ群の中から見本に近い色を探し出さなければならないことにある。図17は、9パッチ×9群(中心パッチに対してC、Mをそれぞれ±2変化させた3×3のパッチを1つの群とし、中心の群に対してY、Kをそれぞれ±2変化させた3×3の9群)が印刷されたカラーチャートの一例を示す。Y、Kの値を変えたパッチは異なる群に点在するので、比較が難しく手間を要した。
【0005】
また、見本の特色が印刷装置で再現可能な色域内にあれば、その特色に合致する色のパッチをカラーチャートの中から選択すれば足りる。しかし、見本の特色が印刷装置で再現可能な色域外にある場合には、特色と色の合致するパッチが存在し得ないカラーチャートの中から「最も好ましい」パッチを選択する必要があり、どの色を最適とするかの判断には熟練を要する。すなわち、単に色差が小さければ良いというわけではなく、元の特色の性質(色調に加えて、蛍光やメタリックのような特徴があるか等)や、場合によっては印刷物の中での使われ方(単色で目立つことを期待される題字であるか、他の色との調和が要求されるイラストであるか等)を考慮して、印刷発注者の意図に合わせることが必要であるなど、最も好ましい色の選択に明確な基準がないため、どの色を最適とするかの判断に熟練を要した。
【0006】
下記特許文献1には、指定色(見本の色)が印刷装置の印刷可能色域内か否か(ガマット属非)に応じて、カラーパッチの個数又は色間隔を決定する技術が開示される。この技術によれば、指定色が印刷可能色域外の場合は、印刷可能色域内の場合に比べて、カラーパッチの個数を多くしたり、色間隔を広くしたりすることで、広範囲から最も好ましい色のパッチを選択可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2011-114717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述したように、指定の特色が印刷装置の印刷可能色域内にあるか外にあるかによって、パッチ選択の判断基準が異なる。しかしながら、従来は、カラーチャートに配列される複数のパッチの色の変化方向となる軸は、常に、デバイス値のC、M、Y、Kであったり、L*a*b*等の3次元色空間の軸そのものであった。そのため、ユーザが見本との比較においてパッチの色を変化させたい方向と、上記の軸の方向とが一致せず、ユーザは最適な色のパッチを選択する際に、異なる群を頻繁に行き来したり、どの群に移動すべきかが良く分からないといった問題があった。
【0009】
さらに、配置するパッチの色が印刷可能色域外に設定された場合には、印刷時に印刷可能色域内に変換されることで各パッチの色差が想定通りにならず、同じまたは非常に近い色のパッチが多数生じてしまい、特許文献1のようにパッチ間の色間隔を広く設定しても「色間隔の変化」の効果が出なくなっていた。
【0010】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、指定色が印刷可能色域の内にある外にあるかに応じて、指定色の印刷に適した色のパッチを探し易いカラーチャートの印刷データを生成するカラーチャート生成方法、カラーチャート生成装置およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0012】
[1]指定色が所定の印刷装置の印刷可能色域の内にあるか外にあるかを判別する判別ステップと、
カラーチャートに配列する複数のパッチの色の変化方向となる軸の取り方を前記判別ステップの判別結果に応じて切り替えて、所定の色空間内に前記軸を設定する軸設定ステップと、
カラーチャートに配列する複数のパッチの色を、前記設定した軸に沿って色を変化させて選択する色選択ステップと、
前記色選択ステップで選択した色のパッチを、前記設定した軸上での並び順に配列したカラーチャートの印刷データを生成する印刷データ生成ステップと、
を有し、
前記軸設定ステップでは、
前記指定色が前記印刷可能色域の内にある場合は、前記指定色を中心色とし、前記印刷可能色域内で明度が最大の無彩色を起点として前記中心色を通る半直線を第1の軸に設定し、
前記指定色が前記印刷可能色域の外にある場合は、前記指定色を前記印刷可能色域の表面に写像した色を中心色とし、前記中心色から前記印刷可能色域の表面に沿って明度を変化させた際の軌跡を第1の軸に設定する
ことを特徴とするカラーチャート生成方法。
【0013】
上記発明では、指定色が印刷可能色域の内にあるか外にあるかに応じて、カラーチャートに配列するパッチの色の変化方向となる軸の取り方を変更するので、指定色に応じて適切なパッチを候補として選択列挙したカラーチャートを印刷することができる。
【0015】
上記発明では、指定色が印刷可能色域内にあるときは、指定色と同じ色相であって、明度を下げながら同時に彩度を上げる方向が第1の軸に設定される。指定色が印刷可能色域外にあるときは、指定色を印刷可能色域の表面に写像した中心色から印刷可能色域の表面上で明度を変化させた場合の軌跡が第1の軸が設定される。
【0016】
]前記軸設定ステップでは、
前記第1の軸と前記中心色の箇所で直交する色相角方向に第2の軸を設定する
ことを特徴とする[]に記載のカラーチャート生成方法。
【0017】
上記発明では、第2の軸は、色相角方向に設定される。
【0018】
]前記色選択ステップでは、
前記指定色が前記印刷可能色域の外にある場合において、前記複数のパッチの色を選択する際の前記第1の軸に沿った色の変化範囲内に彩度の頂点が有る場合は、前記彩度の頂点となる色を前記選択する色に含める
ことを特徴とする[]または[]に記載のカラーチャート生成方法。
【0019】
上記発明では、カラーチャート上に配列するパッチの第1の軸に沿った色の変化範囲内に彩度の頂点が有る場合は、該彩度の頂点となる色をパッチの1つに含める。最も彩度の大きい色がカラーチャートに配列するパッチの色から外れることを防止する。
【0020】
]前記色選択ステップでは、
前記指定色が前記印刷可能色域の外にある場合は、前記設定した軸の方向に隣り合うパッチの前記印刷可能色域の表面上での距離が等しくなるように前記複数のパッチの色を選択する
ことを特徴とする[]乃至[]のいずれか1つに記載のカラーチャート生成方法。
【0021】
上記発明では、印刷可能色域の表面上でのパッチ間の距離(道のり的な距離)が等しくなるようにパッチの色を選択する。
【0022】
]前記色選択ステップでは、
前記指定色が前記印刷可能色域の外にある場合は、前記第1の軸の方向に隣り合うパッチの明度間隔または彩度間隔が等しくなるように前記複数のパッチの色を選択する
ことを特徴とする[]乃至[]のいずれか1つに記載のカラーチャート生成方法。
【0023】
]前記軸設定ステップでは、
前記指定色が前記印刷可能色域の内にある場合において、前記第1の軸として設定する前記半直線の明度方向の傾きが所定の上限値を超える場合は、前記傾きが前記上限値を超えないように前記半直線の起点の明度を変更する
ことを特徴とする[]乃至[]のいずれか1つに記載のカラーチャート生成方法。
【0024】
]前記色選択ステップでは、
前記指定色が前記印刷可能色域の内にある場合において、前記第1の軸に沿って隣り合うパッチの色差をそのパッチから前記印刷可能色域の表面までの距離に応じて変更する
ことを特徴とする[]乃至[]のいずれか1つに記載のカラーチャート生成方法。
【0025】
]前記印刷データ生成ステップでは、
複数のパッチを2次元に配列したパッチ群を1つのみ有するカラーチャートの印刷データを生成する
ことを特徴とする[1]乃至[]のいずれか1つに記載のカラーチャート生成方法。
【0026】
]前記色選択ステップでは、
前記指定色が前記印刷可能色域の内にある場合は、前記印刷可能色域内に限定して前記複数のパッチの色を選択する
ことを特徴とする[1]乃至[]のいずれか1つに記載のカラーチャート生成方法。
【0027】
10]前記印刷データ生成ステップでは、
前記判別ステップの判別結果の表示を含むカラーチャートの印刷データを生成する
ことを特徴とする[1]乃至[]のいずれか1つに記載のカラーチャート生成方法。
【0028】
[11]前記指定色がスポットカラーもしくはスポットカラーの代替色である
ことを特徴とする[1]乃至[10]のいずれか1つに記載のカラーチャート生成方法。
【0030】
12]前記中心色と前記中心色を前記印刷装置で印刷して得た出力物を測色器で測色して得た色との比較結果に基づいて色補正データを作成し、該色補正データに基づく色補正を施して前記各ステップを行う
ことを特徴とする[1]乃至[11]のいずれか1つに記載のカラーチャート生成方法。
【0031】
[13]指定色が所定の印刷装置の印刷可能色域の内にあるか外にあるかを判別する判別ステップと、
カラーチャートに配列する複数のパッチの色の変化方向となる軸の取り方を前記判別ステップの判別結果に応じて切り替えて、所定の色空間内に前記軸を設定する軸設定ステップと、
カラーチャートに配列する複数のパッチの色を、前記設定した軸に沿って色を変化させて選択する色選択ステップと、
前記色選択ステップで選択した色のパッチを、前記設定した軸上での並び順に配列したカラーチャートの印刷データを生成する印刷データ生成ステップと、
を有し、
前記指定色がスポットカラーもしくはスポットカラーの代替色である
ことを特徴とするカラーチャート生成方法。
[14]指定色が所定の印刷装置の印刷可能色域の内にあるか外にあるかを判別する判別ステップと、
カラーチャートに行列状に配列する複数のパッチの色の変化方向となる2つの軸の取り方を前記判別ステップの判別結果に応じて切り替えて、所定の色空間内に前記軸を設定する軸設定ステップと、
カラーチャートに配列する複数のパッチの色を、前記設定した軸に沿って色を変化させて選択する色選択ステップと、
前記色選択ステップで選択した色のパッチを、前記設定した軸上での並び順に行列状に配列したカラーチャートの印刷データを生成する印刷データ生成ステップと、
を有し、
前記軸設定ステップでは、
前記指定色が前記印刷可能色域の内にある場合は、前記指定色を通りかつ明度を下げると彩度が上がる方向の直線を第1の軸とし、色相角方向を第2の軸とする
ことを特徴とするカラーチャート生成方法。
[15]前記印刷装置は、電子写真方式の印刷装置、もしくはインクジェット方式の印刷装置、もしくは活性エネルギー線硬化型インクを使用するインクジェット方式の印刷装置である
ことを特徴とする[1]乃至[14]のいずれか1つに記載のカラーチャート生成方法。
【0032】
[16]指定色と比較する複数のパッチを配列したカラーチャートの印刷データを生成するカラーチャート生成装置であって、
[1]乃至[15]のいずれか1つに記載のカラーチャート生成方法を実行する処理部を有する
ことを特徴とするカラーチャート生成装置。
【0033】
[17]情報処理装置で実行されるプログラムであって、
[1]乃至[15]のいずれか1つに記載のカラーチャート生成方法の各ステップを有する
ことを特徴とするプログラム。
【発明の効果】
【0034】
本発明に係るカラーチャート生成方法、カラーチャート生成装置およびプログラムによれば、指定色が印刷可能色域の内にある外にあるかに応じて、指定色の印刷に適した色のパッチを探し易いカラーチャートを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の実施の形態に係るカラーチャート生成装置を含む印刷装置の機械的な概略構成を示す図である。
図2】印刷装置の電気的な構成を示すブロック図である。
図3】特色のデバイス値を微調整する処理の概要を示す流れ図である。
図4】特色指定画面の一例を示す図である。
図5】指定色が印刷可能色域の内にある場合に設定する軸の一例を示す図である。
図6】第1の軸と中心色の箇所で直交する色相角方向に設定した第2の軸を示す図である。
図7】指定色が印刷可能色域の外にある場合に設定する軸の一例を示す図である。
図8】四角形の連続で表された印刷可能色域表面の形状の一例を示す図である。
図9】隣接するパッチ間の色差ΔEが等しくなるように軸に沿ってパッチの色を選択した例を示す図である。
図10】隣接するパッチ間の印刷可能色域表面上での距離(道のり的な距離)が等しくなるように軸に沿ってパッチの色を選択した例を示す図である。
図11】彩度の頂点にさらにパッチを追加した例を示す図である。
図12】彩度の頂点にパッチを追加し、中心パッチから最も遠いパッチを省略した例を示す図である。
図13】彩度の頂点にパッチを追加し、追加したパッチからの距離が他のパッチ間の距離と等しくなるように追加しパッチに続くパッチの位置をズラした例を示す図である。
図14】印刷されたカラーチャートの一例を示す図である。
図15】ユーザ選択結果の入力画面の一例を示す図である。
図16】中心色を通る半直線(第1の軸)の傾きを制限した例を示す図である。
図17】従来からある、パッチ群を複数配列したカラーチャートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面に基づき本発明の各種実施の形態を説明する。
【0037】
図1は、本発明の実施の形態に係るカラーチャート生成装置を含む印刷装置3の機械的な概略構成を示す図である。印刷装置3は、外部の情報処理端末やサーバから印刷データを受信し、該印刷データに基づいて用紙に画像を形成(印刷)して出力する機能、特色(スポットカラー)等の指定色の微調整を行うためのパッチが配列されたカラーチャートを印刷する機能等を備えている。
【0038】
印刷装置3は、電子写真方式で画像形成する装置であり、無端で環状に掛け渡された中間転写ベルトと、この中間転写ベルトに沿って配置されたC,M,Y,K各色の像形成ユニットを備え、像形成ユニットによって中間転写ベルト上にC,M,Y,K各色のトナー像を重畳してフルカラーのトナー像を形成する。そして、中間転写ベルト上に形成したトナー像を、給紙トレイから搬送されてきた用紙に転写し、さらに定着器で用紙に熱定着させた後、該用紙を後段の装置や排紙トレイに出力するようになっている。定着器の下流の搬送路上には、用紙に形成された画像の色を計測するインライン測色計23が設けてある。
【0039】
なお、画像形成の方式は上記に限定されず任意でよく、たとえば、インクジェット方式や、紫外線などの活性エネルギー線を受けて硬化するインクを用いるインクジェット方式の印刷装置であってもよい。
【0040】
図2は、印刷装置3の電気的な構成を示すブロック図である。印刷装置3は、プリンタコントローラ10とプリンタ本体部20を備えている。図2の例ではプリンタコントローラ10は印刷装置3に内蔵されるが、プリンタコントローラ10は印刷装置3と別体にされてもよい。
【0041】
プリンタコントローラ10は、ネットワークIF(interface)11と、プリンタIF12と、記憶部13と、RIP処理部14と、入力部15、表示部16を備えて構成される。プリンタ本体部20は、コントローラIF21、プリント処理部22、インライン測色計23などを備えて構成される。
【0042】
ネットワークIF11は、外部装置とLAN(Local Area Network)などのネットワークを通じて各種の情報を送受信する機能を果たす。たとえば、印刷データや印刷指示を受信する。
【0043】
プリンタIF12は、プリンタ本体部20とのインターフェイスを司り、プリンタIF12に対して画像データや印刷指示を出力する。記憶部13は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発メモリなどで構成される。記憶部13には、特色LUTや色変換に用いるICCプロファイルなどが記憶される。特色LUTは、各種の特色の色名に対応付けて、その特色の色彩値、デバイス値等を記憶したルックアップテーブルである。
【0044】
RIP処理部14は、CPUを備え、記憶部13に記憶されているプログラムを該CPUが実行することで、図3の流れ図に示す各ステップが実行されたり、各種の機能が実現されたりする。RIP処理部14は、出力物を所望の色に合わせるための色変換を、たとえばICCプロファイルを用いて行う機能、入力画像データ中の特色をデバイス値(ここでは、CMYK値)に変換する機能、インライン測色計23や他の測色ユニットからの信号に基づいて色を自動補正する機能、印刷データをラスタライズしてイメージデータに展開するRIP機能などを果たす。
【0045】
さらに、RIP処理部14は、ユーザが特色の微調整を行うためのカラーチャートの印刷データを生成し、この印刷データに基づくカラーチャートの印刷をプリンタ本体部20に指示するカラーチャート生成部14a機能の機能を果たす。RIP処理部14は、特色の微調整用に印刷したカラーチャートの中からユーザが該特色の見本に最も近い色であると判断したパッチの色のデバイス値で、特色LUT中の該特色に係るデバイス値を更新し、以後、該特色の印刷にこのデバイス値を使用する。
【0046】
入力部15は、ハードウェアキーやソフトウェアキーを備え、ユーザから各種の操作を受け付ける。たとえば、特色の指定や、指定された特色の微調整用のカラーチャートの印刷指示、カラーチャートの中からユーザが見本の色に最も近いと判断したパッチの識別記号の入力操作などを受け付ける。表示部16は、液晶ディスプレイ等で構成され、入力操作画面や各種の情報を表示する。
【0047】
入力部15、表示部16は、プリンタコントローラ10内に無くてもよく、たとえば、ネットワーク接続可能な別のPC内にあってプリンタコントローラ10と連携して動作するといった構成でもよい。
【0048】
プリンタ本体部20が有するコントローラIF21はプリンタコントローラ10との間のインターフェイスを司る。プリント処理部22は図1に示した中間転写ベルト、像形成ユニット、定着器、搬送部、およびこれらの動作を制御する制御部などから成り、プリンタコントローラ10から受信した印刷指示や画像データに基づいて印刷を実行する。
【0049】
次に、特色LUTに登録されている特色のデバイス値の微調整を行う処理について説明する。
【0050】
図3は特色のデバイス値を微調整する処理の概要を示す流れ図である。
特色のデバイス値の微調整を行う処理では、指定された特色(指定色)に対応する複数のパッチを配列したカラーチャートを印刷し、このカラーチャートに配列されたパッチと特色の見本との比較によってユーザが特色の見本に最も近い色であると判断したパッチの識別情報の入力を受け付け、該パッチのデバイス値に基づいて、特色LUTに登録されているその特色のデバイス値を変更する、といったことを行う。以下は、図3の各ステップについて説明する。なお、プリンタコントローラ10のRIP処理部14は、印刷データをラスタライズする際に、印刷データ中の特色の画素については、特色LUTから読み出したその特色のデバイス値をその画素の画像データに使用する。
【0051】
<特色(見本色)受付;図3、ステップS101>
まず、微調整の対象となる特色(見本色)の指定をユーザから受け付ける。図4は、微調整の対象となる特色の指定をユーザから受け付ける際に表示部16に表示される特色指定画面31の一例を示している。指定された色を指定色とする。ユーザは予め用意された、例えばインキメーカーの特色シリーズを選び、更にその中の特色名のリスト32から調整したい特色名を選択する。なお、指定方法は、特色名を直接入力してもよいし、その他任意の方法でもよい。
【0052】
特色名を選択した後、ユーザは調整の実行開始指示を入力する。図4に示す特色指定画面31の場合、リスト32の中から1つの特色名を選択した後、調整チャート印刷釦33を押下する。
【0053】
<自動補正用印刷・測色;図3、ステップS102>
調整チャート印刷釦33の押下操作を受けたプリンタコントローラ10は、色の自動補正用の印刷および測色を行う。具体的には、ステップS101で選択された特色である指定色の色名で記憶部13内の特色LUTを参照して該指定色をデバイス値に変換する。特色LUTには、特色名をキーにして、少なくとも、(a)該特色の色彩値、(b)該特色のデバイス値、が登録されている。さらに、(c)デバイス値に対応する印刷目標色の色彩値、(d)補正や修正が行われたかどうかを示すフラグ、(e)ユーザが自由に記載可能なメモのデータ、などの情報を特色LUTに登録してもよい。
【0054】
上記の変換は、特色LUTに記憶されているデバイス値を直接参照してもよいし、特色LUTに登録されている色彩値と所定のプリンタープロファイルとからデバイス値を算出してもよい。
【0055】
次に、求めた指定色のデバイス値でパッチを印刷し、印刷されたパッチの色をインライン測色計23で測色する。なお、印刷対象のパッチとして、指定色のパッチのほかに、次ステップでの補正に使用するための他の色のパッチを複数含めてもよい。
【0056】
<自動補正処理;図3、ステップS103>
インライン測色計23の測色値と、特色LUTに記載されたデバイス値に対応する印刷目標色の色彩値(特色LUTに記載された前述の(c)を参照する、もしくは(c)と所定のプリンタープロファイルを用いて算出する)との差を求め、印刷時の色彩値が印刷目標色の色彩値に近づくように補正(デバイス値の変更)を行う。補正には、同時に印刷された他の色のパッチの測色値も併用してよく、任意の公知の技術を用いてよい。ここでは、自動補正済みのデバイス値を、カラーチャートに配列するパッチ群の中の中心に配置するパッチ(中心パッチとする)のデバイス値に設定する。
【0057】
<指定色の色域内外判定;図3、ステップS104>
指定色の色彩値がプリンタ本体部20の印刷可能色域の内にあるか外にあるかを判定する。所定のプリンタープロファイルに自動補正時の情報を反映した自動補正反映済プリンタープロファイルを使って判定することが好ましい。なお、パッチの測色結果に基づくプロファイルの補正は、任意の公知の技術を用いて行えばよい。
【0058】
また、自動補正済の中心パッチの色彩値と指定色の色彩値の色差(以下「理論色差」と呼ぶ)から簡易的に判定(たとえば、色差ΔEが1未満の場合は印刷可能色域内と判定する、等)してもよい。判定結果が印刷可能色域外の場合には、更に「理論色差」を求めるとよい。
【0059】
<軸の取り方を決定;図3、ステップS105>
印刷可能色域の内/外の判定結果に応じて、カラーチャートにパッチを並べる際の「軸の取り方」を決定する。軸は、カラーチャートに配列する複数のパッチの色の変化方向に対応している。たとえば、縦横にパッチを配列する場合の縦方向に並べるパッチの色を色空間内でどの方向に変化させるかを表すものが、ここで言う、軸である。
【0060】
指定色が印刷可能色域内のときは、紙白(印刷可能色域内で明度が最大の無彩色、白い紙に印刷する場合には紙の地色の白)を起点とし、中心パッチの色を通る半直線を第1の軸に設定する。なお、指定色が印刷可能色域内にあるとき、指定色と中心パッチの色(中心色)は一致もしくはほぼ一致する。
【0061】
図5は、指定色が印刷可能色域内のときに設定した第1の軸の一例を示している。図5の左部に示す色空間断面の座標は、縦軸を明度の変化方向、横軸を彩度の変化方向、縦軸を軸とする円の周方向を色相の変化方向とする3次元色空間(たとえば、L*a*b*空間)を、縦軸と中心色を含む平面で切断した断面に対応する2次元座標であり、縦軸は明度、横軸は彩度である。
【0062】
図5の例では、3次元色空間内に設定した第1の軸の方向は、縦横の2次元にパッチを配列したカラーチャート上での縦軸方向に対応する。すなわち、3次元色空間内で第1の軸に沿った色の変化が、カラーチャートの縦軸方向に配列したパッチの色の変化に対応する。
【0063】
ここでは、図6に示すように、第1の軸と中心色の箇所で直交する色相角方向に第2の軸を設定する。図6は、L*a*b*3次元色空間を、明度を除く2次元に写像した図である。第2の軸の方向である色相角方向は、3次元色空間を、明度を除く2次元に写像したとき、無彩色軸(点)と写像された中心色を結ぶ線に直交する方向である。所謂、色相角方向は、図6の破線で示す円弧状となるが、本発明のカラーチャートにおいて通常想定される色相の変化範囲では、第2の軸として示した直線と破線で示す円弧は実質的に等価として扱って問題ない。なお、演算は煩雑となるが、破線で示す円弧を第2の軸としてもよい。
【0064】
指定色が印刷可能色域外のときは、中心パッチの色(中心色)から印刷可能色域の表面に沿って明度を変化させた際の軌跡を第1の軸に設定する。すなわち、中心パッチの色(中心色)を通る、印刷可能色域表面に沿った明度方向を第1の軸の方向とする。なお、指定色が印刷可能色域外にあるときは、指定色を印刷可能色域の表面に写像した色(好ましくはステップS102、S103で自動補正済みの色)が中心パッチの色(中心色)となる。
【0065】
図7は、指定色が印刷可能色域の外にあるときに設定した第1の軸の一例を示している。図7に示す色空間断面は図5と同様の断面である。図7の例では、3次元色空間内に設定した第1の軸は折れ線となっているが、これを直線に見立てて、カラーチャート上の縦軸方向としている。すなわち、3次元色空間内で印刷可能色域の表面上に設定した第1の軸に沿った色の変化は、カラーチャートの縦軸方向に配列したパッチの色の変化となっている。
【0066】
第2の軸は、指定色が印刷可能色域内にある場合と同様で、図6に示すように、第1の軸と中心色の箇所で直交する色相角方向に設定する。
【0067】
印刷可能色域の表面の形状は、自動補正反映済プリンタープロファイルに記述された印刷可能色域の外周の3または4の隣り合うグリッドの色彩値からなる平面(即ち、三角形または四角形)が連続するものとして扱うことが好ましいが、他の任意の公知の手法を用いてよい。
【0068】
図8(a)は、4つのグリッドからなる四角形の連続で表された印刷可能色域表面の形状の一例を示している。指定色が印刷可能色域外の場合の第1の軸は、次のような手順でプリンタープロファイルの記述から求めることができる。まず、中心パッチ(中心色)が含まれる四角形を特定し、この四角形の各頂点の色彩値から明度方向(該四角形内での第1の軸の方向)を求める。次に、明度方向に隣接する四角形を順次特定し、それぞれの四角形について同様にして軸の方向を求める。図8(b)に、このようにして求めた第1の軸の例を示す。
【0069】
第1の軸の求め方をより詳細に示す。まず、中心パッチが含まれる四角形と、明度軸を含みかつ中心パッチを含む平面とが交差する箇所に生じる直線の線分を、この四角形内の第1の軸に対応する線分として求める。同様に、明度方向に隣接する各四角形についても、この四角形と前述の平面とが交差する箇所に生じる直線の線分を、該四角形内の第1の軸に対応する線分として求める。そして各四角形について求めた線分を繋ぎ合わせたものを第1の軸とする。
【0070】
<各パッチの色彩値決定;図3、ステップS106>
ステップS105で決定した軸(第1の軸、第2の軸)に従って、カラーチャートに配置する各パッチの色彩値を選択し決定する。ここでは、印刷可能色域外はパッチの色に選択せず、印刷可能色域内のみでパッチの色を選択する。
【0071】
たとえば、中心パッチの色(中心色)が印刷可能色域内の場合は、図9に示すように、隣接するパッチ間の色差ΔEが等しくなるように第1の軸に沿って複数のパッチの色を選択する。次に、第1の軸に沿って選択したパッチの色を通る色相角方向の第2の軸に沿って隣接するパッチ間の色差ΔEが等しくなるように複数のパッチを選択する。
【0072】
中心パッチの色(中心色)が印刷可能色域外の場合は、図10に示すように、隣接するパッチ間の印刷可能色域表面上での距離(道のり的な距離)が等しくなるように第1の軸に沿ってパッチの色を選択する。次に、第1の軸に沿って選択したパッチの色を通る色相角方向の第2の軸に沿って隣接するパッチ間の印刷可能色域表面上での距離が等しくなるように複数のパッチを選択する。
【0073】
また、中心パッチの色(中心色)が印刷可能色域外の場合には、選択した隣り合うパッチの色の間に、そのパッチの色相角における彩度の頂点を挟んでいるか否かを判定し、彩度の頂点を挟んでいる場合は、彩度の頂点をパッチの色の1つに選択する。たとえば、図10の例では、等間隔に選択したパッチP2とパッチP3の間に彩度の頂点がある。この場合、図11に示すように、彩度の頂点の箇所にさらにパッチP8を追加する、あるいは、パッチの総数を一定に保つために、彩度の頂点にパッチP8を追加すると同時に、中心パッチから最も遠いパッチを省略する。図12の例では、図10にあったパッチP4が省略されている。隣り合うパッチを等間隔とする場合には、彩度の頂点に配置するパッチの前後については等間隔の例外となる。
【0074】
なお、図12でパッチP8を追加すると、パッチP8とパッチP3の間の距離が短くなるので、図13に示すように、パッチP8からの距離が他のパッチ間の距離と等しくなるようにパッチP3の位置をズラしてもよい。
【0075】
また、中心パッチの色(中心色)が印刷可能色域外の場合においては、隣接するパッチ間の印刷可能色域表面上での明度間隔が等しくなるように、あるいは、隣接するパッチ間の印刷可能色域表面上での彩度間隔が等しくなるようにパッチの色を選択してもよい。この場合においても彩度の頂点に追加したパッチの前後については等間隔の例外となる。
【0076】
また、中心パッチの色(中心色)が印刷可能色域外の場合には、前述の理論色差が大きいほど、パッチ間の色間隔(距離)を大きくしたり、パッチの個数を多くしたりすることが好ましい。より広範囲のパッチがカラーチャートに配列される。
【0077】
中心パッチの色(中心色)が印刷可能色域内の場合には、選択するパッチの色から印刷可能色域までの距離が大きいほど、第1の軸の方向に隣り合うパッチ間の色間隔を大きくするようにしてもよい。
【0078】
<各パッチのデバイス値算出;図3、ステップS107>
ステップS106で選択した各パッチの色彩値から、各パッチのデバイス値を算出する。自動補正反映済みプリンタープロファイルを使って算出することが好ましいが、任意の公知の技術を用いて算出してもよい。プリンタコントローラ10は、算出した各パッチのデバイス値を、そのパッチの識別記号(後述する番地等)に対応付けて保存する。
【0079】
<カラーチャート印刷;図3、ステップS108>
算出されたデバイス値を持つパッチを配列したカラーチャートの印刷データを生成する。ここでは、色空間における第1の軸上でのパッチの並び順をカラーチャート上の縦方向の並び順とし、色空間における第2の軸上でのパッチの並び順をカラーチャート上の横方向の並び順としてパッチを縦横のマトリクス状に配列する。カラーチャートの印刷データは、たとえば、EPSまたはPSまたはPDF形式が好ましい。
【0080】
図14は、印刷されたカラーチャート40の一例を示している。カラーチャート40には、パッチ群として、2次元に配列した1つのパッチ群のみ印刷される。カラーチャート40には各パッチの識別記号(ID)を付する。ここでは、横方向に左から順にA,B,C,D,E、縦方向に上から順に1,2,3,4,5,6,7とする番地をパッチの識別記号として表示する。たとえば、右上角のパッチの識別記号(番地)は「E1」になる。
【0081】
このほか、カラーチャート40には、該カラーチャート自体の識別記号(特色名や日付時刻等)、特色が印刷可能色域の内にあるか外にあるかを示す情報、その他任意のオブジェクトを含めてもよい。
【0082】
<ユーザの選定したパッチの識別記号入力受付;図3、ステップS109>
ユーザは印刷されたカラーチャート40を実際の見本と見比べる等によって、指定色の印刷に最も好ましいパッチをカラーチャート40の中から1つ選定し、選定結果をプリンタコントローラ10に入力する。選定結果の入力方法は、たとえば、パッチの識別記号(番地)が列挙されるプルダウンから選択する、パッチの識別記号を直接入力する、カラーチャートの形状を表示したタッチデバイスへのタッチ操作で入力する等のほか、任意の入力方法でよい。図15は、選定結果の入力画面50の一例である。選定結果の入力画面50では、該当するパッチの記号、番号をプルダウン51で選択した後、決定釦52を押下することでパッチの選定結果を入力することができる。
【0083】
<特色LUT更新;図3、ステップS110>
プリンタコントローラ10は、ステップS107でパッチの識別記号に対応付けて記憶しておいたデバイス値のうち、ステップS109で入力された選定結果のパッチの識別記号に対応するデバイス値を取得し、特色LUT内のステップS101で受け付けた特色(指定色)に対応するデバイス値を、該取得したデバイス値で更新する。
【0084】
以上説明したように、指定色の色彩値が印刷装置3の印刷可能色域の内にあるか外にあるかに応じて、カラーチャートに配列する複数のパッチの色の変化方向となる軸の取り方を変えるので、指定色に応じた適切な候補色のパッチをカラーチャートに配列することができる。
【0085】
さらに、カラーチャートに配列するパッチの色を印刷可能色域内で選択するようにしたので、印刷可能色域外から選択された複数のパッチが印刷可能色域内の同じ色に変換されて印刷されるといったことがなくなり、選択された各パッチの色がカラーチャートに常に確実に反映される。
【0086】
また、従来のように、3次元の色空間をそのまま複数の群に配置して提示する(図17参照)のではなく、有力な候補を1つの群に配置して提示できるため、見本との見比べを容易に行うことができ、熟練者でなくとも最適なパッチを迅速に選択することができる。
【0087】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0088】
たとえば、指定色の特色が印刷可能色域内にある場合において、紙白を起点として設定した半直線(第1の軸)の明度方向の傾きが、所定の上限値を超える場合には、その傾きが該上限値を超えないように半直線の起点の明度を下げるように変更する。図16の例では、中心色を通る半直線の起点を紙白から、より明度の低い無彩色に変更することで半直線の傾きを上限値以下に下げている。これにより、隣り合うパッチ間で彩度の変化があまり出なくなることが防止される。
【0089】
実施の形態では、指定色を特色(スポットカラー)とする例を示したが、指定色はこれに限定されず、任意の色でよい。たとえば、スポットカラーの代替色であってもよい。代替色は、特色の代わりにCMYKなどを指定して何らかのデバイス値を対応付ける色の指定方法である。特色や代替色は印刷可能色域外にある場合が多く、本発明の適用に好適である。
【0090】
実施の形態では、ステップS102においてインライン測色計23を用いて自動補正用のチャートを測色したが、該測色は、印刷装置3が内蔵しない他の測色計で行っても良い。また、ステップS102、S103の自動補正では、用紙差や印刷装置の状態差による色の変動を相殺するように補正するので、より正確に狙った色のパッチが配列されたカラーチャートを印刷するためには、該自動補正を行うことが好ましいが、本発明の実施においては該自動補正を省略してもかまわない。
【符号の説明】
【0091】
3…印刷装置
5…インライン測色計
10…プリンタコントローラ
11…ネットワークIF
12…プリンタIF
13…記憶部
14…RIP処理部
14a…カラーチャート生成部
15…入力部
16…表示部
20…プリンタ本体部
21…コントローラIF
22…プリント処理部
23…インライン測色計
31…特色指定画面
32…リスト
33…調整チャート印刷釦
40…カラーチャート
50…選択結果の入力画面
51…プルダウン
52…決定釦
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図17