(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】ガスケット
(51)【国際特許分類】
F16J 15/06 20060101AFI20220914BHJP
F16J 15/10 20060101ALI20220914BHJP
H01M 50/183 20210101ALI20220914BHJP
H01M 50/20 20210101ALI20220914BHJP
【FI】
F16J15/06 A
F16J15/10 B
H01M50/183
H01M50/20
(21)【出願番号】P 2018189639
(22)【出願日】2018-10-05
【審査請求日】2020-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000225359
【氏名又は名称】内山工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002686
【氏名又は名称】協明国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】森 大
(72)【発明者】
【氏名】二塚 滋
(72)【発明者】
【氏名】後藤 隆介
【審査官】前原 義明
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-029165(JP,U)
【文献】米国特許第04867461(US,A)
【文献】実開昭62-022360(JP,U)
【文献】特開2009-209985(JP,A)
【文献】特開平07-332341(JP,A)
【文献】実開平05-087368(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/00 - 15/14
H01M 8/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に合体される第1部材及び第2部材間に圧縮状態で介在されるガスケットであって、
前記第1部材の平面形状の第1面及び前記第2部材の平面形状の第2面の間に挟持される環状の本体部を含み、
前記本体部における前記第1面及び前記第2面に対向する面の少なくとも一方には、当該第1面または第2面に弾接するシール部が前記本体部の全周に亘って設けられ、
前記本体部の外周側には
、筒形状のカラーを保持するためのカラー保持部が、前記本体部の幅方向に突出するよう一体に設けられ、
前記カラー保持部は
、前記カラーが装着される貫通孔と該貫通孔を取り囲む周縁部
とを備え、前記カラーとともに前記第1部材、前記第2部材間に配される構成とされ、
前記圧縮状態のときに、
前記カラーの下端が前記第1面または前記第2面に接触する一方、前記カラー保持部の下端
が前記カラーの下端よりも高い位置
に、前記第1面または前記第2面とは非接触な状態となるように位置することを特徴とするガスケット。
【請求項2】
請求項1に記載のガスケットにおいて、
前記貫通孔における開口部の平面形状を、長軸が前記本体部の周方向に沿った楕円形状としたことを特徴とするガスケット。
【請求項3】
請求項2に記載のガスケットにおいて、
前記貫通孔の楕円形状は、短軸が前記本体部の周方向に直交する幅方向に沿った形状であり、前記周縁部の短軸側における幅が、長軸側の幅より小とされていることを特徴とするガスケット。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のガスケットにおいて、
前記カラー保持部は、前記本体部の周方向に間隔を空けて複数個設けられていることを特徴とするガスケット。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のガスケットにおいて、
前記カラー保持部に、金属環からなるカラーが挿通保持されていることを特徴とするガスケット。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のガスケットにおいて、
前記カラー保持
部は、前記第1面または前記第2面に形成された孔に挿入される位置決め用突
起をさらに備えていることを特徴とするガスケット。
【請求項7】
請求項6に記載のガスケットにおいて、
前記カラー保持部における前記周縁部の前記本体部側の部分が幅広に形成され、この幅広部分に前記位置決め用突起が設けられていることを特徴とするガスケット。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載のガスケットにおいて、
前記位置決め用突起が複数、設けられていることを特徴とするガスケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスケットに関し、例えば、自動車用の電池パックを収容するケースに用いられるガスケットに関する。
【背景技術】
【0002】
前記のような電池パックを収容するケースとしては、箱形のケース本体と、ケース本体の開口部を塞ぐ蓋体とからなる。そして、ケース本体の周辺部と蓋体の周辺部にはフランジ部が設けられ、両フランジ部間に環状のガスケットを介在させ、両フランジ部をボルト・ナットにより締結合体することにより、ケースの内部空間が密封され、内部空間内への雨水等の浸入が防止される(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に示されたガスケットにおいては、ボルト・ナットによる締結の際の締結高さを規定するためのカラーの装着部が設けられている。また、特許文献2の
図1~
図3には、環状のガスケットの外周側に沿って、当該ガスケットより硬質の材料からなる補強竿を連結し、当該補強竿に形成された位置決め孔に、カバー部材と相手部材とを締結する際の締結高さを規定するためのボルト挿通用カラーを埋設した例が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5760411号公報
【文献】特開2000-130591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に示されるガスケットでは、前記カラーの装着部がガスケットのシールラインに沿った位置に設けられている。そして、カラーの装着部の回りに環状シール部を設け、さらにこの環状シール部に連続して、シール機能を奏する2条のリップ状突起がガスケットの全周に亘り設けられている。そのため、カラーの装着部回りの環状シール部とリップ状突起との連続性が完全になされないとシール機能が低下する。また、ガスケットの全周に亘る総幅が大きくなり、ガスケットの設置スペース(フランジ部の幅)が小さい場合には適用し難いという懸念がある。また、特許文献2の
図1~
図3に示されたガスケットの場合、材質の異なるガスケット及び補強竿の2部材で構成されるために、ガスケットの調製が煩わしく、また、この場合も、ガスケット及び補強竿の全周に亘る総幅が大きくなり、ガスケット及び補強竿の設置スペース上の制約を受けることになる。
【0005】
本発明は、前記実情に鑑みなされたもので、省スペースでありながら、シール対象の2部材間に安定的に装着することができるガスケットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るガスケットは、相互に合体される第1部材及び第2部材間に圧縮状態で介在されるガスケットであって、前記第1部材の平面形状の第1面及び前記第2部材の平面形状の第2面の間に挟持される環状の本体部を含み、
前記本体部における前記第1面及び前記第2面に対向する面の少なくとも一方には、当該第1面または第2面に弾接するシール部が前記本体部の全周に亘って設けられ、前記本体部の外周側には、筒形状のカラーを保持するためのカラー保持部が、前記本体部の幅方向に突出するよう一体に設けられ、前記カラー保持部は、前記カラーが装着される貫通孔と該貫通孔を取り囲む周縁部とを備え、前記カラーとともに前記第1部材、前記第2部材間に配される構成とされ、前記圧縮状態のときに、前記カラーの下端が前記第1面または前記第2面に接触する一方、前記カラー保持部の下端が前記カラーの下端よりも高い位置に、前記第1面または前記第2面とは非接触な状態となるように位置することを特徴とする。
【0007】
本発明のガスケットによれば、シール部がカラー保持部と独立して本体部の全周に亘って設けられるからシール機能が安定して発揮され、しかも、カラー保持部がシール部の外側に設けられるから、カラー保持部の回りにシール機能部を設ける必要がない。この構造により、ガスケットとしての全周に亘る総幅を小さくすることができるから、省スペース的である。また、カラー保持部が本体部に一体に設けられているから、当該ガスケットを介在させた状態でカラーにボルト等の締結部材を挿通して締結することにより第1部材及び第2部材を組付ける際のガスケットの装着性が向上する。
【0008】
本発明のガスケットにおいて、前記貫通孔における開口部の平面形状を、長軸が前記本体部の周方向に沿った楕円形状としてもよい。
これによれば、貫通孔における開口部の平面形状が、長軸が前記本体部の周方向に沿った楕円形状であることにより、カラー保持部の本体部からの突出幅を小さくすることができ、これにより、省スペース化がより効果的になされる。
この場合、前記貫通孔の楕円形状は、短軸が前記本体部の周方向に直交する幅方向に沿った形状であり、前記周縁部の短軸側における幅が、長軸側の幅より小とされているものとしてもよい。
これによれば、周縁部の短軸側における幅が、長軸側の幅より小とされているから、カラー保持部の本体部からの突出幅をより小さくすることができ、これにより、省スペース化が一層効果的になされる。また、周縁部の短軸側における幅が、長軸側の幅より小とされていることにより、カラーをカラー保持部の貫通孔に挿入する際、周縁部の短軸側の部位が楕円の周方向に延びやすくなり、カラー保持部の本体側部からの突出幅がカラー挿入により大きくなることを抑えることができる。
【0009】
本発明のガスケットにおいて、前記カラー保持部は、前記本体部の周方向に間隔を空けて複数個設けられているものとしてもよい。
これによれば、ガスケットを、第1部材及び第2部材間に、全周に亘り均等に近い圧縮状態で介在させることができ、シール機能の均一化を図ることができる。
【0010】
本発明のガスケットにおいて、前記カラー保持部に、金属環からなるカラーが挿通保持されているものとしてもよい。
これによれば、カラー保持部に金属環からなるカラーが保持されるので、締結時の過度な締結が防止され、第1部材或いは第2部材の締結による変形が防止される。
【0011】
本発明のガスケットにおいて、前記カラー保持部は、前記第1面または前記第2面に形成された孔に挿入される位置決め用突起をさらに備えているものとしてもよい。
これによれば、第1部材及び第2部材間への当該ガスケットの介在が所定位置に的確になされ、第1部材及び第2部材の組付け性が向上するとともに、ガスケットの装着性もより向上する。
【発明の効果】
【0012】
本発明のガスケットによれば、省スペースでありながら、シール対象の2部材間に安定的に装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係るガスケットの第1の実施形態を示す全体平面図である。
【
図5】同実施形態の変形例を示す
図2と同様図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1~
図4は、自動車用の電池パック(不図示)を収容するケース1に本発明に係るガスケットの第一の実施形態を適用した例を示している。ケース1は、上部が開口する箱形のケース本体(第1部材)2と、ケース本体2の開口部を覆う蓋体(第2部材)3とよりなる。ケース本体2及び蓋体3は、ともに金属製であり、それぞれの周辺部には、フランジ部21,31が形成されている。両フランジ部21,31間に、ガスケット5を介在させて、締結部材4(ボルト41、ナット42)を締結させることによって、両フランジ部21,31は相互に合体される。両フランジ部21,31の相互の合体面は、いずれも平面形状の第1面21a及び第2面31aとされる。
【0015】
ガスケット5は、ゴム等の弾性体による成型体からなり、環状の本体部6を含んでおり、本体部6における断面の基本形状は縦長の方形とされている。本体部6の前記締結の際において、ケース本体2の第1面21a及び蓋体3の第2面31aに対向する面(以下、対向面と言う)6a,6bのうち、下側の対向面6aがケース本体2の第1面21aに対向し、本体部6の上側の対向面6bが蓋体3の第2面31aに対向する。本実施形態では、対向面6a,6bの一方である上側の対向面6bには、第2面31aに弾接する突条体からなるシール部(以下、第1シール部と言う)7が本体部6の全周に亘って設けられている。さらに、対向面6a,6bの他方である下側の対向面6aには、第1面21aに弾接する突条体からなるシール部(以下、第2シール部と言う)8が本体部6の全周に亘って設けられている。第1シール部7の幅方向中央部には、本体部6の全周に亘る凹溝7aが形成され、これにより第1シール部7が2条に分断されている。また、第2シール部8の幅方向中央部には、本体部6の全周に亘る凹溝8aが形成され、これにより第2シール部8も2条に分断されている。本実施例では、凹溝7aを含む第1シール部7の全表面が対向面6bとされ、また、凹溝8aを含む第2シール部8の全表面が対向面6aとされる。
なお、第1シール部7及び第2シール部8を構成する突条体の先端部の形状は、本実施形態では平坦であるが、丸みを帯びた形状、尖った山型形状であってもよい。また、本実施形態では、第1シール部7及び第2シール部8は、凹溝7a,8aによって2条に分断されているが、凹溝のない突条体も適用可能である。
【0016】
さらに、環状の本体部6の外周側、即ち、本体部6の内外両側面6c,6dのうち、外側(環状外側)の側面6dには、当該側面6dから本体部6の周方向aに直交する幅方向bに突出するカラー保持部10が設けられている。このカラー保持部10は、本体部6の周方向aに間隔を空けて複数個設けられている。カラー保持部10は、貫通孔11と貫通孔11を取り囲む周縁部12
とを備え、本体部6と一体に成型される。本実施形態では、貫通孔11における開口部11aの平面形状を、長軸が本体部6の周方向aに沿った楕円形状としている。また、貫通孔11の前記楕円形状は、短軸が本体部6の周方向aに直交する幅方向bに沿った形状であり、周縁部12の短軸側における幅d1が、長軸側の幅d2より小とされている。本実施形態の楕円形状は、長軸及び短軸を対称軸とする線対称形とされている。そして、カラー保持部10には、金属環からなるカラー13が挿通保持されている。
図3は、カラー13がカラー保持部10に圧入により挿通保持された状態を示している。また、カラー保持部10の貫通孔11は、開口部11a側に段差部11bを有し、一方、カラー13は、上端部側に外向鍔部13bを有している。貫通孔11にカラー13を挿通保持した状態では、カラー13の外向鍔部13bが貫通孔11の段差部11bに係止される。さらに、カラー保持部10の高さ寸法は、カラー13の高さ寸法より小とされ、貫通孔11にカラー13を挿通保持した状態では、カラー13の下端部側がカラー保持部10の下側に突出するよう構成されている。これにより、当該ガスケット5を、フランジ部21,
31間に介在させて、締結部材4の締結により圧縮させる際、カラー保持部10の一部が、カラー13とフランジ部21との間に噛み込むことが防止される。
【0017】
また、本実施形態において、カラー保持部10には、ケース本体2の第1面21a(フランジ部21)に形成された孔21bに挿入される位置決め用突起14が設けられている。当該カラー保持部10における周縁部12の本体部6側の部分で本体部6の周方向aに沿った両側部分が幅広に形成されている。そして、位置決め用突起14は、この各カラー保持部10における両側の幅広部分12a,12aの下面に、第1面21a側に向くよう下向きに形成されている。
なお、本実施形態では、各カラー保持部10に位置決め用突起14が2個ずつ設けられているが、1個でもよい。また、位置決め用突起14は、蓋体3の第2面31a側に向くように形成されていてもよい。この場合は、第2面31aに位置決め突起を挿入し得る孔が設けられる。
【0018】
前記のように構成されるガスケット5を用いたケース1の密封構造を構成する要領を説明する。まず、事前にカラー保持部10の貫通孔11にカラー13を圧入により挿通保持させたガスケット5を、ケース本体2のフランジ部21上に配置する。このとき、各カラー保持部10に設けられた位置決め用突起14を、ケース本体2のフランジ部21に形成された孔21bに挿入して位置決めを行う。次いで、蓋体3を、そのフランジ部31が本体部6に乗るように配置する。そして、締結部材4のボルト41の軸部を、フランジ部31に形成されたボルト挿通孔31b、カラー13の内筒部13a及びフランジ部21に形成されたボルト挿通孔21cに挿通させ、ボルト41とナット42とを締結する。このボルト41とナット42との締結により、ガスケット5は、フランジ部21の第1面21a及びフランジ部31の第2面31a間に挟持され、ケース本体2及び蓋体3間に圧縮状態で介在される。これによって、ケース本体2及び蓋体3で構成されるケース1の内部空間が密封される。したがって、外部から内部空間への雨水等の浸入が防止され、収容される電池パックが雨水等に晒されて腐食等の悪影響を被る懸念がない。また、カラー13の存在により、前記締結部材4による締結が過剰とならず、これによりガスケット5の圧縮反力の増大を防ぎ、また、両フランジ部21,31の変形を来すことを抑制できる。
なお、フランジ部21上のガスケット5の配置は、
図3及び
図4では、フランジ部21の内周縁部21dより外側に寄った位置としているが、本体部6の内側側面6cがこの内周縁部21dに沿うよう設定してもよい。このように構成すれば、ガスケット5の全周長が短くなり、圧縮反力がより小さくなる。
【0019】
そして、カラー保持部10が、本体部6の外側の側面6dから本体部6の幅方向bに突出するよう設けられているから、第1シール部7及び第2シール部8がカラー保持部10とは独立した状態とされる。したがって、本体部6の全周に亘って設けられる第1シール部7及び第2シール部8によるシール機能が安定して発揮される。しかも、カラー保持部10が第1シール部7及び第2シール部8の外側に設けられることにより、カラー保持部10の回りにシール機能部を設ける必要がない。この構造により、ガスケット5としての全周に亘る総幅を小さくすることができるから、省スペース的である。また、カラー保持部10が本体部6に一体に設けられているから、当該ガスケット5を介在させた状態でカラー13に締結部材4のボルト41を挿通して締結することによりケース本体2及び蓋体3を組付ける際のガスケット5の装着性が向上する。
【0020】
また、カラー保持部10の貫通孔11における開口部11aの平面形状が、長軸が前記本体部6の周方向aに沿った楕円形状であることにより、短軸が本体部6の周方向aに直交する幅方向bに沿った形状となり、カラー保持部10の本体部6からの突出幅dを小さくすることができ、これにより、省スペース化がより効果的になされる。さらに、貫通孔11の楕円形状は、短軸が本体部6の周方向aに直交する幅方向bに沿った形状であり、周縁部12の短軸側における幅d1が、長軸側の幅d2より小とされているから、カラー保持部10の本体部6からの突出幅dをより小さくすることができる。これにより、省スペース化が一層効果的になされる。しかも、周縁部12の短軸側における幅d1が、長軸側の幅d2より小とされているから、カラー13をカラー保持部10の貫通孔11に圧入する際、周縁部12の短軸側の部位12bが楕円の周方向に延びやすくなり、周縁部12の短軸側における幅d1より小さくなることでカラー保持部10の本体部6からの突出幅dがカラー13の圧入により大きくなることを抑えることができる。
【0021】
さらに、カラー保持部10には、位置決め用突起14が設けられているから、ケース本体2のフランジ部21及び蓋体3のフランジ部31間への当該ガスケット5の介在が所定位置に的確になされ、ケース本体2及び蓋体3の組付け性が向上するとともに、ガスケット5の装着性もより向上する。また、カラー保持部10における周縁部12の本体部6側の部分が幅広に形成され、この幅広部分12a,12aに位置決め用突起14が設けられているから、カラー13の圧入による貫通孔11の変形の影響を受けにくく、この変形に伴う位置決め用突起14の位置ずれが防止され、位置決めが的確になされる。加えて、カラー保持部10は、本体部6の周方向aに間隔を空けて複数個設けられているから、ガスケット5を、ケース本体2及び蓋体3の間に、全周に亘り均等に近い圧縮状態で介在させることができ、シール機能の均一化を図ることができる。
【0022】
図5は、前記実施形態の変形例を示す。本変形例では、カラー保持部10における貫通孔11の開口部11aの楕円形状が前記実施形態と異なる。即ち、カラー保持部10における本体部6とは反対側の短軸側周縁部12が本体部6に略平行な直状に近い形状、或いは、曲率半径の大きな曲線形状とされ、これにより、開口部11aの楕円形状の短軸が前記例より短くなるよう構成されている。さらに具体的には、この例の開口部11aの楕円形状は、短軸が対称軸となる線対称形を構成するが、長軸を対称軸とする線対称形は構成しない形状とされている。したがって、周縁部12も開口部11aの楕円形状に対応するよう形成されるので、カラー保持部10の本体部6からの突出幅dを、前記実施形態よりさらに小さくすることができ、これにより、省スペース化がより効果的になされる。
その他の構成は前記例と同様であるので、共通部分に同一の符号を付し、その作用・効果等の説明は割愛する。
【0023】
なお、前記各実施形態では、ケース本体2を第1部材、蓋体3を第2部材としたが、ケース本体2を第2部材、蓋体3を第1部材としてもよく、これら第1部材及び第2部材とガスケット5の各構成部との関係も、特許請求の範囲を逸脱しない限り適宜互換し得るものである。また、第1部材及び第2部材を自動車用の電池パックを収容するケースの構成部材としたが、これに限らず、ガスケットが介在される部位が平面形状であるシール対象の2部材であれば、本発明のガスケットが好ましく適用される。さらに、カラー保持部10の平面形状は、図例に限らず他の形状とすることも可能である。加えて、カラー保持部10における貫通孔11の内面形状も図例のような高さ方向に直状のものに限らず、内面に嵌合代を大きくする環状突部を設けるようにしてもよい。特に、このような環状突部を設けることは、ガスケット5に外向鍔部の形成されていない円筒形状のカラー13を圧入により挿通保持させた状態で保管、搬送及び納品等がなされる場合に、これらの過程でカラー13が脱落することを防止するために有効である。また、第1シール部7及び第2シール部8を2条の突条体からなるものとしたが、これに限らず、他の形状の突条体からなるもの、或いは、突条体のない平坦な面からなるもとしてもよい。
【符号の説明】
【0024】
2 ケース本体(第1部材)
21a 第1面
21b 孔
3 蓋体(第2部材)
31a 第2面
5 ガスケット
6 本体部
6b 対向面(対向する面の一方)
7 シール部
10 カラー保持部
11 貫通孔
11a 開口部
12 周縁部
12a 幅広部分
13 カラー
14 位置決め用突起
a 周方向
b 幅方向
d 突出幅
d1 周縁部の短軸側における幅
d2 周縁部の長軸側における幅