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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】膜厚測定方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20220914BHJP
   G01B 11/06 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
H01L21/66 P
G01B11/06 G
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019092434
(22)【出願日】2019-05-15
(65)【公開番号】P2020188166
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2021-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】504255685
【氏名又は名称】国立大学法人京都工芸繊維大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永岡 達司
(72)【発明者】
【氏名】西中 浩之
(72)【発明者】
【氏名】吉本 昌広
【審査官】平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-109991(JP,A)
【文献】特開2018-182211(JP,A)
【文献】特開2018-181965(JP,A)
【文献】特開2009-115474(JP,A)
【文献】特開2018-117005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01B 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜厚測定装置を用いて第1半導体層の表面を覆う第2半導体層の膜厚を測定する方法であって、
前記第1半導体層と前記第2半導体層が、同じ主材料により構成されており、同じ導電型であり、
前記膜厚測定装置が、光源と、ステージと、ハーフミラーと、光検出器と、膜厚計算器を有し、
前記方法が、
前記ステージに前記第1半導体層と前記第2半導体層を備える半導体基板を固定する工程と、
前記膜厚測定装置によって前記第2半導体層の膜厚を測定する工程、
を有し、
前記光源から照射された光が、前記ハーフミラーで反射した後に前記ステージに固定された前記半導体基板で反射し、前記半導体基板で反射した光が前記ハーフミラーを透過して前記光検出器に入射するように前記膜厚測定装置が構成されており、
前記半導体基板で反射した光が、前記第2半導体層の表面で反射される第1の反射光と、前記第2半導体層と前記第1半導体層の界面で反射される第2の反射光を含み、
前記膜厚計算器が、前記光検出器で検出された光に基づいて、前記第2半導体層の膜厚を算出する、
方法。
【請求項2】
前記主材料が、ワイドギャップ半導体であり、
前記光源が、可視光または紫外光を照射する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記膜厚測定装置が、前記ハーフミラーと前記ステージの間に配置された対物レンズをさらに有し、
前記方法が、前記対物レンズを移動させることにより、前記半導体基板に照射される光の焦点の位置を調整する工程をさらに有する、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1半導体層と前記第2半導体層が、ドーパントを含有しており、
前記ドーパントの濃度のピークが、前記第1半導体層と前記第2半導体層の界面に存在している、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記主材料が、酸化物半導体である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1半導体層と前記第2半導体層が、n型であり、
前記第1半導体層と前記第2半導体層が、IV族元素を含有している、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記IV族元素が、炭素または珪素である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記半導体基板内の酸素原子濃度のピークが、前記第1半導体層と前記第2半導体層の界面に存在している、請求項5~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記酸化物半導体が、酸化ガリウムである、請求項5~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記半導体基板内の結晶欠陥密度の極大値または極小値が、前記第1半導体層と前記第2半導体層の界面に存在する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1半導体層と前記第2半導体層の厚さ方向に沿って測定された前記半導体基板内の結晶欠陥密度の分布において前記結晶欠陥密度の変化量が最大となる部分が、前記第1半導体層と前記第2半導体層の界面に存在する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記半導体基板には、スイッチング素子が形成されており、
前記第2半導体層の抵抗が、前記第1半導体層の抵抗よりも高く、
前記第2半導体層が、前記スイッチング素子のドリフト層である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の技術は、半導体層の膜厚を測定する方法に関する。
【0002】
特許文献1には、窒化ガリウム基板上にエピタキシャル成長によって形成された窒化ガリウム膜の膜厚をフーリエ変換赤外分光法または赤外分光エリプソメトリ法により測定する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-9329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書では、積層された2つの半導体層において、上層に位置する半導体層の膜厚を精度良く測定することが可能な特許文献1とは別の技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書は、膜厚測定装置を用いて第1半導体層の表面を覆う第2半導体層の膜厚を測定する方法を開示する。前記第1半導体層と前記第2半導体層が、同じ主材料により構成されており、同じ導電型である。前記膜厚測定装置が、光源と、ステージと、ハーフミラーと、光検出器と、膜厚計算器を有する。前記方法が、前記ステージに前記第1半導体層と前記第2半導体層を備える半導体基板を固定する工程と、前記膜厚測定装置によって前記第2半導体層の膜厚を測定する工程を有する。前記光源から照射された光が、前記ハーフミラーで反射した後に前記ステージに固定された前記半導体基板で反射し、前記半導体基板で反射した光が前記ハーフミラーを透過して前記光検出器に入射するように前記膜厚測定装置が構成されている。前記半導体基板で反射した光が、前記第2半導体層の表面で反射される第1の反射光と、前記第2半導体層と前記第1半導体層の界面で反射される第2の反射光を含む。前記膜厚計算器が、前記光検出器で検出された光に基づいて、前記第2半導体層の膜厚を算出する。
【0006】
上記の方法によれば、第2半導体層の膜厚を精度よく測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】半導体基板10の断面図。
図2】半導体基板10の厚み方向におけるドーパント濃度の分布の一例を示す図。
図3】膜厚測定装置100の構成を模式的に示す図。
図4】半導体基板10の厚み方向におけるドーパント濃度の分布の他の一例を示す図。
図5】半導体基板10の厚み方向における結晶欠陥密度の分布の一例を示す図。
図6】半導体基板10の厚み方向における抵抗の変化の一例を示す図。
図7】半導体基板10の厚み方向における酸素原子濃度の分布の一例を示す図。
図8】半導体基板10の厚み方向における結晶欠陥密度の分布の他の一例を示す図。
図9】半導体基板20の断面図。
図10】半導体基板20の厚み方向におけるドーパント濃度の分布の一例を示す図。
図11】半導体基板20の厚み方向における結晶欠陥密度の分布の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本実施形態の測定方法に用いられる膜厚測定装置100によって膜厚が測定される半導体基板10の断面図である。図1に示すように、半導体基板10は、第1半導体層12と、第2半導体層14を備えている。第2半導体層14は、第1半導体層12の上面を覆っている。第1半導体層12は、ワイドギャップ半導体を主材料とする半導体材料により構成されている。本実施形態では、ワイドギャップ半導体として、酸化ガリウム(Ga)が採用されている。第1半導体層12は、n型である。第2半導体層14は、第1半導体層12の表面に設けられている。第2半導体層14は、ワイドギャップ半導体を主材料とする半導体材料により構成されている。本実施形態では、ワイドギャップ半導体として、酸化ガリウム(Ga)が採用されている。第2半導体層14は、n型である。なお、第1半導体層12及び第2半導体層14を構成する主材料は、特に限定されず、第1半導体層12と第2半導体層14の主材料が、同じ半導体材料により構成されていればよい。また、第1半導体層12と第2半導体層14は、同じ導電型であればよく、両者が共にp型であってもよい。また、半導体基板10内には、スイッチング素子が形成されていてもよく、第2半導体層14が当該スイッチング素子のドリフト層として機能してもよい。
【0009】
半導体基板10は、ドーパントを含有している。図2は、半導体基板10の厚み方向における、半導体基板10が含有するドーパント濃度の分布を示している。図2に示すように、半導体基板10は、ドーパントとして珪素(Si)を含有している。珪素の濃度のピークが、第1半導体層12と第2半導体層14の界面13に存在している。このような半導体基板10は、例えば、第1半導体層12の上面に珪素を注入した後、第1半導体層12の上面に第2半導体層14をエピタキシャル成長させることにより得ることができる。また例えば、珪素を含有するガスに第1半導体層12の上面を曝すことにより、第1半導体層12の上面に珪素を吸着させた後、第1半導体層12の上面に第2半導体層14をエピタキシャル成長させることによっても、上記の半導体基板10を得ることができる。なお、半導体基板10が含有するドーパントは、珪素に限られず、炭素(C)等の他のIV族元素であってもよい。
【0010】
次に、本実施形態の測定方法に用いられる膜厚測定装置100について説明する。図3に示すように、膜厚測定装置100は、光源102と、ステージ104と、ハーフミラー106と、光検出器108と、膜厚計算器110と、対物レンズ112を有する。
【0011】
光源102は、所定の波長帯域の光を照射する光源である。本実施形態では、光源102は、可視光(約400~800nm)または紫外光(約200~400nm)を照射する。
【0012】
ステージ104には、測定対象の半導体基板10が固定される。半導体基板10は、第1半導体層12の下面がステージ104に当接するように固定される。したがって、半導体基板10がステージ104上に固定されると、第2半導体層14の上面が上方となる。
【0013】
ハーフミラー106は、入射する光の一部を反射するとともに残部を透過する。ハーフミラー106は、ステージ104の上方に設けられている。詳細には、ハーフミラー106は、ステージ104上に固定された半導体基板10の直上に設けられる。ハーフミラー106は、ステージ104の上面に立てた垂線に対して傾斜して設けられている。ハーフミラー106は、光源102から照射されてハーフミラー106で反射した光が、ステージ104に載置された半導体基板10に照射される角度で傾斜している。したがって、光源102から照射される光は、ハーフミラー106で反射して半導体基板10の上面に対して略垂直な角度で入射する。
【0014】
半導体基板10の上面に照射された光は、その上面で反射する。半導体基板10の上面で反射した光の一部は、ハーフミラー106を透過する。ハーフミラー106を透過した光は、光検出器108に入射する。
【0015】
光検出器108は、半導体基板10で反射される光から得られる干渉光に基づいて、干渉信号を生成する。光検出器108は、回折格子114と、受光素子116を有している。回折格子114は、光検出器108に入射した光を波長毎に分光して、干渉縞を生成する。受光素子116は、回折格子114で波長毎に分光された光を検出することで、干渉信号を生成する。膜厚計算器110は、受光素子116で生成された干渉信号に対する各種処理を行い、第2半導体層14の膜厚を算出する。光検出器108と膜厚計算器110については、後により詳細に説明する。
【0016】
対物レンズ112は、ステージ104とハーフミラー106の間に配置されている。対物レンズ112を光軸方向(すなわち、ステージ104とハーフミラー106を結ぶ方向)に移動させることにより、光源102から照射される光の焦点の位置を変化させることができる。
【0017】
膜厚測定装置100を用いて半導体基板10の第2半導体層14の膜厚を測定する際には、まず、測定対象の半導体基板10をステージ104に固定する。そして、光源102から光を照射する。光源102から照射された光は、ハーフミラー106で反射した後、対物レンズ112を介してステージ104に固定された半導体基板10に入射する。半導体基板10に入射した光は、第2半導体層14の上面と、第2半導体層14と第1半導体層12の界面13と、で反射される。以下、第2半導体層14の上面で反射された光を第1の反射光といい、第2半導体層14を透過して第2半導体層14と第1半導体層12の界面13で反射された光を第2の反射光という。
【0018】
第1の反射光と第2の反射光は、対物レンズ112を介してハーフミラー106を透過した後、光検出器108に入射される。光検出器108に入射した第1の反射光と第2の反射光は、回折格子114に入射する。回折格子114に入射した第1の反射光及び第2の反射光は、それぞれ波長毎に分光される。そして、分光された各光は、回折格子114で反射して受光素子116に入力される。受光素子116には、例えば、ラインセンサ(ポリクロメータ)を用いることができる。受光素子116において、第1の反射光及び第2の反射光の波長毎の干渉が計測される。そして、光検出器108は、計測された干渉光の強度に応じた干渉信号を生成し、当該干渉信号を膜厚計算器110に入力する。
【0019】
膜厚計算器110は、入力された干渉信号に基づいて、第2半導体層14の膜厚を算出する。具体的には、膜厚計算器110は、入力された干渉信号から反射率のピークが存在する各波長を抽出し、その波長に基づいて第2半導体層14の膜厚を算出する。以上のようにして、第2半導体層14の膜厚を算出することができる。このように、本実施形態では、半導体基板10への入射光の光路と、半導体基板10からの反射光の光路とが一部重複する膜厚測定装置を用いて、第2半導体層14の膜厚を測定することができる。
【0020】
本実施形態では、光源102が、可視光または紫外光(約200~800nm)を照射する。すなわち、照射される光の波長が、赤外分光に主に用いられる光の波長(約0.8~4μm)と比較して短い。一般的に、膜厚を精度良く測定するためには、照射される光の波長が測定対象の膜厚よりも小さいことが要求される。このため、本実施形態では、μmオーダーの半導体基板10の第2半導体層14の膜厚を好適に測定することができる。
【0021】
また、本実施形態では、対物レンズ112が、ステージ104とハーフミラー106の間に配置されている。すなわち、対物レンズ112が、半導体基板10への入射光と、半導体基板10からの反射光とが重複する光路上に設けられている。したがって、本実施形態では、光源102から照射される光の焦点位置の調整が容易となる。
【0022】
また、本実施形態の測定に用いられる半導体基板10は、ドーパントを含有しており、当該ドーパントの濃度のピークが、第1半導体層12と第2半導体層14の界面13に存在している。したがって、界面13では、その光学特性(例えば屈折率等)が、他の部分と異なる。このため、界面13で反射する光(すなわち、第1の反射光)を検出することが容易となり、界面13の位置を精度良く検出することができる。
【0023】
上述した実施形態の半導体基板10では、第1半導体層12と第2半導体層14の界面13に、ドーパント濃度のピークが存在していたが、当該界面13にドーパント濃度のピークが存在していなくてもよい。また、第1半導体層12と第2半導体層14の界面13に、結晶欠陥密度のピーク(極大値)または極小値が存在していたが、当該界面13に結晶欠陥密度の極大値または極小値が存在していなくてもよい。
【0024】
なお、本実施形態の方法により膜厚が測定される半導体基板10は、図4に示すように、第1半導体層12にその深さ方向に一様な濃度でSiがドープされており、第2半導体層14にその深さ方向に一様な濃度で第1半導体層22よりも低濃度のSiがドープされていてもよい。この構成は、例えば、Siがドープされた第1半導体層12を準備し、第1半導体層12の上面にSiをさらに注入した後、第1半導体層12の上面に第1半導体層12よりも低濃度のSiがドープされた第2半導体層14をエピタキシャル成長させることによって得ることができる。
【0025】
半導体基板10が図4に示すドーパント濃度の分布を有する場合、図5に示すように、Siの濃度のピークが存在する深さ(すなわち、第1半導体層12と第2半導体層14の界面13)に結晶欠陥密度のピークが存在する。この半導体基板10は、界面13における結晶欠陥密度が局所的に高いので、膜厚測定装置100を用いて半導体基板10の測定を行うと、界面13における光学特性が、他の部分における光学特性と異なる。したがって、界面13で反射する光を検出することが容易となり、界面13の位置を精度良く検出することができる。なお、一般的に、半導体層は、その結晶欠陥密度が高いほど抵抗が高い。この半導体基板10では、界面13において結晶欠陥密度のピークが存在するものの、界面13におけるSiの濃度が高いので、図6に示すように、界面13の抵抗は、第1半導体層12の抵抗とほとんど変わらない。このように、半導体基板10では、界面13における抵抗に大きな変化がなくても、界面13の結晶欠陥密度が高いために、界面13の位置を精度良く検出することができる。
【0026】
また例えば、図7に示すように、半導体基板10内の酸素原子濃度のピークが、第1半導体層12と第2半導体層14の界面13に存在してもよい。この半導体基板10は、例えば、窒素雰囲気下で長時間アニールした後、酸素雰囲気下で短時間アニールした第1半導体層12を準備し、第1半導体層12の上面に第2半導体層14をエピタキシャル成長させることによって得ることができる。第1半導体層12を窒素雰囲気下で長時間アニールすると、第1半導体層12の内部の酸素濃度が低下し、第1半導体層12内の結晶欠陥密度が高くなる。その後、第1半導体層12を酸素雰囲気下で短時間アニールすることにより、第1半導体層12の表面付近に酸素が取り込まれ、第1半導体層12の表面近傍の領域では結晶欠陥密度が低くなる。その後、第2半導体層14を形成することにより、図8に示すように、結晶欠陥密度の極小値が第1半導体層12と第2半導体層14の界面13に存在する半導体基板10を得ることができる。この半導体基板10では、界面13における結晶欠陥密度が局所的に低いので、膜厚測定装置100を用いて半導体基板10の測定を行うと、界面13における光学特性が、他の部分における光学特性と異なる。したがって、界面13の位置を精度良く検出することができる。
【0027】
また例えば、図9に示すように、窒化ガリウムを主材料とする半導体基板20の膜厚を測定してもよい。この半導体基板20では、図10に示すように、第1半導体層22には、Siが深さ方向に一様な濃度でドープされているとともに、Siよりも低濃度のホウ素(B)が深さ方向に一様な濃度でドープされている。第2半導体層24には、第1半導体層22よりも低濃度のSiが深さ方向に一様な濃度でドープされており、Bはドープされていない。この半導体基板20は、例えば、窒化ホウ素材を用いたHVPE(Hydride-Vapor Phase Epitaxy)法により、Si及びBが深さ方向に一様な濃度でドープされた第1半導体層22を形成する。その後、窒化ホウ素材を用いないHVPE法により第1半導体層22の上面に第2半導体層24をエピタキシャル成長させることによって得ることができる。
【0028】
上記の半導体基板20では、図11に示すように、第1半導体層22にBが含有されることにより、第1半導体層22の結晶欠陥密度が高くなる。このため、第1半導体層22と第2半導体層24の界面23には、半導体基板20の厚さ方向に沿って測定された半導体基板20内の結晶欠陥密度の分布において、結晶欠陥密度の変化量が最大となる部分が存在する。このように、半導体基板20では、界面23において結晶欠陥密度が急峻に変化しているので、膜厚測定装置100を用いて半導体基板20の測定を行うと、界面23における光学特性が、他の部分における光学特性と異なる。このため、界面23の位置を精度良く検出することができる。
【0029】
本明細書が開示する技術要素について、以下に列記する。なお、以下の各技術要素は、それぞれ独立して有用なものである。
【0030】
本明細書が開示する一例の構成では、主材料がワイドギャップ半導体であり、光源が可視光または紫外光を照射してもよい。
【0031】
このような構成では、光源が照射する光の波長が比較的に短い。このため、μmオーダーの膜厚を有する半導体層を好適に測定することができる。
【0032】
本明細書が開示する一例の構成では、膜厚測定装置が、ハーフミラーとステージの間に配置された対物レンズをさらに有してもよい。また、本明細書が開示する一例の方法は、対物レンズを移動させることにより、半導体基板に照射される光の焦点の位置を調整する工程をさらに有してもよい。
【0033】
このような構成では、対物レンズが、半導体基板に入射する入射光と、半導体基板から反射する反射光とが重複する光路上に配置される。したがって、対物レンズを移動させることにより、半導体基板に照射される光の焦点位置を容易に調整することができる。
【0034】
本明細書が開示する一例の構成では、第1半導体層と第2半導体層が、ドーパントを含有してもよい。ドーパントの濃度のピークが、第1半導体層と第2半導体層の界面に存在してもよい。
【0035】
このような構成では、第1半導体層と第2半導体層の界面における光学特性が、他の部分における光学特性と異なる。したがって、界面で反射する光を検出することが容易となり、界面の位置を精度良く検出することができる。
【0036】
本明細書が開示する一例の構成では、主材料が、酸化物半導体であってもよい。
【0037】
本明細書が開示する一例の構成では、第1半導体層及び第2半導体層がn型であり、第1半導体層と第2半導体層が、IV族元素を含有していてもよい。
【0038】
本明細書が開示する一例の構成では、IV族元素が、炭素または珪素であってもよい。
【0039】
本明細書が開示する一例の構成では、半導体基板内の酸素原子濃度のピークが、第1半導体層と第2半導体層の界面に存在してもよい。
【0040】
このような構成では、半導体基板内の第1半導体層と第2半導体層の界面における結晶欠陥密度が低い。このため、界面における光学特性が、他の部分における光学特性と異なる。したがって、界面で反射する光を検出することが容易となり、界面の位置を精度良く検出することができる。
【0041】
本明細書が開示する一例の構成では、酸化物半導体が、酸化ガリウムであってもよい。
【0042】
本明細書が開示する一例の構成では、半導体基板内の結晶欠陥密度の極大値または極小値が、第1半導体層と第2半導体層の界面に存在してもよい。
【0043】
本明細書が開示する一例の構成では、第1半導体層と第2半導体層の厚さ方向に沿って測定された半導体基板内の結晶欠陥密度の分布において結晶欠陥密度の変化量が最大となる部分が、第1半導体層と第2半導体層の界面に存在してもよい。
【0044】
上記の各構成のように結晶欠陥密度が分布していると、第1半導体層と第2半導体層の界面における光学特性が、他の部分における光学特性と異なる。したがって、界面で反射する光を検出することが容易となり、界面の位置を精度良く検出することができる。
【0045】
本明細書が開示する一例の構成では、半導体基板には、スイッチング素子が形成されてもよい。第2半導体層の抵抗が、第1半導体層の抵抗よりも高くてもよい。第2半導体層が、スイッチング素子のドリフト層であってもよい。
【0046】
以上、実施形態について詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独あるいは各種の組み合わせによって技術有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの1つの目的を達成すること自体で技術有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0047】
10:半導体基板、12:第1半導体層、13:界面、14:第2半導体層、100:膜厚測定装置、102:光源、104:ステージ、106:ハーフミラー、108:光検出器、110:膜厚計算器、112:対物レンズ、114:回折格子、116:受光素子

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