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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】ゴムホース
(51)【国際特許分類】
   F16L 11/08 20060101AFI20220914BHJP
【FI】
F16L11/08 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018082261
(22)【出願日】2018-04-23
(65)【公開番号】P2019190535
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】517027686
【氏名又は名称】住友理工ホーステックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大槻 誠也
(72)【発明者】
【氏名】田口 聰
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-203988(JP,A)
【文献】特開2013-241954(JP,A)
【文献】特開2013-241955(JP,A)
【文献】特開2007-278378(JP,A)
【文献】特開2007-120724(JP,A)
【文献】特開平05-203086(JP,A)
【文献】特開2012-225510(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第10126429(DE,A1)
【文献】米国特許第03549180(US,A)
【文献】中国実用新案第201884844(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に形成された相手部材の外周側に嵌合される内面ゴム層、前記内面ゴム層の外周側に配置された内側繊維層、前記内側繊維層の外周側に巻回されたワイヤー、少なくとも前記ワイヤーの軸方向隙間に配置された中間ゴム層、および、前記中間ゴム層の外周側に配置された外面ゴム層を有するゴムホース本体と、
前記ゴムホース本体の軸方向端部に配置されたスリーブであって、前記中間ゴム層の外周面と前記外面ゴム層の内周面との間に挟まれた筒状のスリーブ本体、および、前記スリーブ本体の軸方向端部から径方向内方に向かって突出形成され且つ前記相手部材の外方突部に対して軸方向に係止される内方突部を有する前記スリーブと、
前記スリーブ本体の内周面および前記ゴムホース本体の端部に接着され、前記スリーブの前記内方突部における前記スリーブ本体側の軸方向端面である第一端面に対して軸方向隙間を有して軸方向に対向して配置され、且つ、前記内側繊維層および前記ワイヤーの端部を被覆する内側シールゴムと、
を備え、
前記スリーブの前記内方突部が前記相手部材の前記外方突部に対して軸方向に係止された状態において、前記内側シールゴムは、前記相手部材の前記外方突部の径方向外方前記スリーブの前記内方突部の前記第一端面に対して軸方向隙間を有して配置され、さらに前記スリーブの前記内方突部の前記第一端面と前記内側シールゴムとの軸方向隙間には前記外方突部が位置する、ゴムホース。
【請求項2】
前記内側シールゴムは、記相手部材の外周面と前記スリーブ本体の内周面との間の径方向全範囲に亘って配置され、
前記スリーブの前記内方突部が前記相手部材の前記外方突部に対して軸方向に係止された状態において、前記内側シールゴムは、前記相手部材の外周面と前記スリーブ本体の内周面とにより径方向に圧縮された状態で、且つ、前記相手部材の前記外方突部の径方向外方前記スリーブの前記内方突部の前記第一端面に対して軸方向隙間を有して配置され、さらに前記スリーブの前記内方突部の前記第一端面と前記内側シールゴムとの軸方向隙間には前記外方突部が位置する、請求項1に記載のゴムホース。
【請求項3】
前記ゴムホース本体は、さらに、前記中間ゴム層の外周側に配置された外側繊維層を有し、
前記外面ゴム層は、前記外側繊維層の外側に配置されており、
前記スリーブ本体は、前記中間ゴム層の外周面と前記外側繊維層の内周面との間に挟まれて配置されており、
前記ゴムホースは、さらに、前記スリーブ本体の外周面に接着され、且つ、前記外側繊維層の端部を被覆する外側シールゴムを有する、請求項1または2に記載のゴムホース。
【請求項4】
前記スリーブの前記内方突部は、径方向内方端から径方向外方に向かって軸方向厚みが厚くなるように形成され、前記スリーブ本体の前記軸方向端部との接続部位の軸方向厚みが最も厚くなるように形成されている、請求項1-3の何れか一項に記載のゴムホース。
【請求項5】
前記ゴムホースは、海洋資源掘削用ゴムホースである、請求項1-4の何れか一項に記載のゴムホース。
【請求項6】
前記ゴムホースの破壊圧は、25MPa以上である、請求項5に記載のゴムホース。
【請求項7】
筒状に形成された相手部材の外周側に嵌合される内面ゴム層、前記内面ゴム層の外周側に配置された内側繊維層、前記内側繊維層の外周側に巻回されたワイヤー、少なくとも前記ワイヤーの軸方向隙間に配置された中間ゴム層、前記中間ゴム層の外周側に配置された外側繊維層、および、前記外側繊維層の外周側に配置された外面ゴム層を有するゴムホース本体と、
前記ゴムホース本体の軸方向端部に配置されたスリーブであって、前記中間ゴム層の外周面と前記外側繊維層の内周面との間に挟まれた筒状のスリーブ本体、および、前記スリーブ本体の軸方向端部から径方向内方に向かって突出形成され且つ前記相手部材の外方突部に対して軸方向に係止される内方突部を有する前記スリーブと、
前記スリーブ本体の内周面に接着され、前記スリーブの前記内方突部における前記スリーブ本体側の軸方向端面である第一端面に対して軸方向に対向して配置され、且つ、前記内側繊維層および前記ワイヤーの端部を被覆する内側シールゴムと、
前記スリーブ本体の外周面に接着され、且つ、前記外側繊維層の端部を被覆する外側シールゴムと、
を備える、ゴムホース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴムホースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
海洋資源掘削用ゴムホースや生コン等の打設用ゴムホースは、接続される相手部材からの抜け力を高くする必要があると共に、ゴムホース自体の耐圧を高くする必要がある。そして、ゴムホースの軸方向端部を筒状に形成された相手部材の外周側に嵌合する場合において、ゴムホースが相手部材から抜けることを抑制するための種々の対策が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されているように、金属製の相手部材の外周側にゴムホースの軸方向端部を嵌合し、ゴムホースの外周側に金属製のスリーブを嵌合する。これにより、ゴムホースの軸方向端部が、相手部材とスリーブとの径方向間に挟まれることによって、ゴムホースが相手部材から抜けることを抑制できる。特許文献2に開示されたゴムホース構造においても、同様に、ゴムホースの軸方向端部の外周側に金属製のスリーブが固定されている。
【0004】
また、特許文献3に開示されたゴムホース構造においては、ゴムホースの軸方向端部の内周側に相手部材を嵌合し、ゴムホースの軸方向端部の外周側に配置された金属製のスリーブを加締めることにより、ゴムホースの軸方向端部を径方向に挟み込んでいる。さらに、外周側の金属製のスリーブは、軸方向断面形状がL字形状に形成されており、スリーブの軸方向端部が径方向内方に突出している。スリーブの径方向内方に突出している部分が、相手部材における径方向外方に突出している部分に、軸方向に係合している。このようにして、ゴムホースが相手部材から抜けることを抑制できる。
【0005】
また、ゴムホース自体の耐圧を高くするためには、特許文献1-3に開示されているように、内面ゴム層と外面ゴム層との間に、補強層として、ワイヤーや繊維層が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平9-296607号公報
【文献】特開2007-146996号公報
【文献】特開2003-247674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ゴムホースに生じる圧力を高くするためには、ゴムホースが相手部材から抜けるための力(ゴムホースの抜け力)を高くすることと、ゴムホース自体の耐圧を高くすることが必要となる。前者のゴムホースの抜け力を高くするためには、従来のように、ゴムホース本体の軸方向端部の外周側にスリーブを設け、スリーブの軸方向端部を相手部材に対して軸方向に係止することが有効である。
【0008】
また、後者のゴムホース自体の耐圧を高くするためには、従来のゴムホースのように、内面ゴム層と外面ゴム層との間に、補強層として、ワイヤーや繊維層を配置することが有効である。しかし、ワイヤーは、腐食により強度が低下する。そのため、ワイヤーの腐食を抑制することが、ゴムホース自体の耐圧の低下を抑制するための重要な要素となる。
【0009】
そこで、本発明は、ゴムホースの抜け力を高くしつつ、ゴムホース自体の耐圧をより高くすることができるゴムホースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るゴムホースは、筒状に形成された相手部材の外周側に嵌合される内面ゴム層、前記内面ゴム層の外周側に配置された内側繊維層、前記内側繊維層の外周側に巻回されたワイヤー、少なくとも前記ワイヤーの軸方向隙間に配置された中間ゴム層、および、前記中間ゴム層の外周側に配置された外面ゴム層を有するゴムホース本体と、前記ゴムホース本体の軸方向端部に配置されたスリーブであって、前記中間ゴム層の外周面と前記外面ゴム層の内周面との間に挟まれた筒状のスリーブ本体、および、前記スリーブ本体の軸方向端部から径方向内方に向かって突出形成され且つ前記相手部材の外方突部に対して軸方向に係止される内方突部を有する前記スリーブと、前記スリーブ本体の内周面および前記ゴムホース本体の端部に接着され、前記スリーブの前記内方突部における前記スリーブ本体側の軸方向端面である第一端面に対して軸方向隙間を有して軸方向に対向して配置され、且つ、前記内側繊維層および前記ワイヤーの端部を被覆する内側シールゴムとを備える。前記スリーブの前記内方突部が前記相手部材の前記外方突部に対して軸方向に係止された状態において、前記内側シールゴムは、前記相手部材の前記外方突部の径方向外方前記スリーブの前記内方突部の前記第一端面に対して軸方向隙間を有して配置され、さらに前記スリーブの前記内方突部の前記第一端面と前記内側シールゴムとの軸方向隙間には前記外方突部が位置する
また、本発明に係る他の態様であるゴムホースは、筒状に形成された相手部材の外周側に嵌合される内面ゴム層、前記内面ゴム層の外周側に配置された内側繊維層、前記内側繊維層の外周側に巻回されたワイヤー、少なくとも前記ワイヤーの軸方向隙間に配置された中間ゴム層、前記中間ゴム層の外周側に配置された外側繊維層、および、前記外側繊維層の外周側に配置された外面ゴム層を有するゴムホース本体と、前記ゴムホース本体の軸方向端部に配置されたスリーブであって、前記中間ゴム層の外周面と前記外側繊維層の内周面との間に挟まれた筒状のスリーブ本体、および、前記スリーブ本体の軸方向端部から径方向内方に向かって突出形成され且つ前記相手部材の外方突部に対して軸方向に係止される内方突部を有する前記スリーブと、前記スリーブ本体の内周面に接着され、前記スリーブの前記内方突部における前記スリーブ本体側の軸方向端面である第一端面に対して軸方向に対向して配置され、且つ、前記内側繊維層および前記ワイヤーの端部を被覆する内側シールゴムと、前記スリーブ本体の外周面に接着され、且つ、前記外側繊維層の端部を被覆する外側シールゴムとを備える。
【0011】
スリーブのスリーブ本体がゴムホース本体における中間ゴム層と外面ゴム層との間に挟まれている。つまり、スリーブは、ゴムホース本体に一体的に設けられている。そして、スリーブ本体は、相手部材との径方向間に、ゴムホース本体における、内面ゴム層、内側繊維層、ワイヤーおよび中間ゴム層を挟んだ状態で存在する。従って、ゴムホース本体に一体的に設けられたスリーブ本体が、ゴムホース本体の軸方向端部の一部分を相手部材との径方向間に挟み込むことにより、ゴムホースの抜け力(ゴムホースが相手部材から抜けるための力)を高くするように作用する。
【0012】
さらに、スリーブは、相手部材の外方突部に対して軸方向に係止される内方突部を有する。つまり、スリーブの内方突部と相手部材の外方突部との係止によって、ゴムホースの抜け力は、非常に高くなる。
【0013】
また、本発明に係るゴムホースは、内側シールゴムを備える。内側シールゴムは、内側繊維層およびワイヤーの端部を被覆する。つまり、内側シールゴムは、内側繊維層の端部およびワイヤーの端部から水等が進入することを抑制する。そのため、進入する水等を原因として、ワイヤーが腐食することを抑制できる。ワイヤーの腐食の抑制によって、ゴムホース本体の耐圧の低下を抑制することができる。
【0014】
そして、この内側シールゴムは、スリーブ本体の内周面に接着されている。従って、内側シールゴムは、内側繊維層の端部およびワイヤーの端部を被覆した状態を維持することができる。つまり、ワイヤーの腐食の抑制効果を持続的に発揮できる。
【0015】
また、内側シールゴムは、スリーブの内方突部におけるスリーブ本体側の軸方向端面である第一端面に対して軸方向に対向して配置されている。ここで、上述したように、スリーブの内方突部が、相手部材の外方突部に対して軸方向に係止する。そこで、スリーブの内方突部の第一端面と内側シールゴムとの軸方向対向空間には、相手部材の外方突部が位置することが可能となる。つまり、相手部材の外方突部が内側シールゴムに影響を及ぼすことを抑制できる。その結果、内側シールゴムによる機能が、効果的に発揮される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】ゴムホースユニットの全体構成を示す図であって、一部分を断面図として示す。
図2図1のゴムホースユニットのII部分の拡大断面図である。
図3】ゴムホースユニットを構成するゴムホースのみを示す図であって、相手部材が挿入される前の状態のゴムホースを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(1.ゴムホース2の用途)
ゴムホース2(図1に示す)は、搬送物を搬送するためのものである。例えば、ゴムホース2は、海洋資源掘削用ゴムホースや、生コン等の打設用ゴムホース等に適用される。そのため、ゴムホース2には、高い圧力が生じる。
【0018】
海洋資源掘削用のゴムホース2は、海洋における掘削機を用いて海底数千メートルの海底熱水鉱床を掘削して集鉱した海洋資源を、水中ポンプによって海水とともに洋上に揚げるために用いられる。そのため、海洋資源掘削用のゴムホース2は、ゴムホース2自体の耐圧が高くなる。例えば、当該ゴムホース2は、常圧5MPa以上、破壊圧25MPa以上が要求される。さらに、当該ゴムホース2は、海洋資源とともに海水が流通するため、高い防錆性が要求される。
【0019】
また、海洋資源掘削用のゴムホース2の内径が、100mm以上となり、ゴムホース2は非常に大型である。さらに、海底数千メールに到達させるためには、1本当たりのゴムホース2の長さが、例えば、数十メートル以上とする必要がある。そのため、ゴムホース2が相手部材3,4(図1に示す)に接続された状態において、ゴムホース2が相手部材3,4から抜けるために必要な力(ゴムホース2の抜け力)を大きくする必要がある。
【0020】
また、後者の生コン等の打設用のゴムホース2は、生コン、モルタル、セメント等のように、固形物を含む物体を流通させる。そして、当該ゴムホース2は、建設工事等において、生コン等を打設する際に、コンクリートポンプ車のブームの先端から下方へ生コンを落下させるために用いられる。生コン等の打設用のゴムホース2は、それ自体の耐圧が高圧である必要があり、ゴムホース2の抜け力も大きくする必要がある。
【0021】
ただし、生コン等の打設用のゴムホース2は、上述した海洋資源掘削用に比べると、耐圧が低圧でよく、ゴムホース2の抜け力は小さくてよい。そこで、本実施形態においては、特に、耐圧および抜け力を高くする必要がある海洋資源掘削用のゴムホース2を例にあげて説明する。
【0022】
(2.ゴムホースユニット1の構成)
上述したゴムホース2を備えるゴムホースユニット1の構成について、図1を参照して説明する。ゴムホースユニット1は、ゴムホース2と、ゴムホース2の軸方向の第一端部(図1の左側)に接続される第一相手部材3と、ゴムホース2の軸方向の第二端部(図1の右側)に接続される第二相手部材4とを備える。
【0023】
ゴムホース2は、ゴムを主成分として形成されている。ゴムホース2の内径は、全長に亘ってほぼ同径に形成されている。本実施形態においては、ゴムホース2の内径は、海洋資源を搬送できるようにするために、100mm以上とされている。また、ゴムホース2の全長は、例えば、4000mm程度とされている。
【0024】
ゴムホース2は、ゴムホース本体10と、スリーブ20と、内側シールゴム30と、外側シールゴム40とを備える。ゴムホース本体10は、主としてゴムを主成分として形成されており、ゴムの他に繊維、ワイヤーを備える。スリーブ20、内側シールゴム30、および、外側シールゴム40は、ゴムホース本体10の軸方向の両端部に配置されている。
【0025】
スリーブ20は、ゴムホース本体10の軸方向端部に配置され、ゴムホース本体10に一部分を埋設されることでゴムホース本体10と一体的に設けられている。スリーブ20は、ゴムホース本体10に一部分を埋設される筒状のスリーブ本体21と、スリーブ本体21の軸方向端部から径方向内方に向かって突出形成される内方突部22とを備える。内側シールゴム30は、ゴムホース本体10の軸方向端面のうちスリーブ20の径方向内方に配置されている。外側シールゴム40は、ゴムホース本体10の軸方向端面のうちスリーブ20の径方向外方に配置されている。
【0026】
第一相手部材3は、第一挿入部材51と、第一挿入部材51に一体的に固定される第一フランジ52とを備えており、全体として筒状に形成されている。第一挿入部材51は、筒状に形成されており、その一部分がゴムホース2の第一端部の内周側に挿入されている。第一挿入部材51は、後述するが、ゴムホース2の内周側に挿入した状態で、拡径させることによりゴムホース2に接続される。そのため、第一挿入部材51には、拡径変形可能な材料が用いられる。例えば、第一挿入部材51は、高強度、拡径変形を可能とすること、防錆効果を有すること等を満たすために、金属、例えばステンレス鋼等により形成される。
【0027】
第一挿入部材51の内径は、軸方向全長に亘って、同径に形成されている。本実施形態においては、第一挿入部材51の内径は、例えば100mm以上とされている。第一挿入部材51は、ゴムホース2の第一端部に挿入される側から、係止部51a、外方突部51b、溝51c、フランジ嵌合部51d、および、スタブエンド51eを備える。
【0028】
係止部51aは、ゴムホース2の第一端部の内周面に接触した状態で、摩擦力および軸方向引っ掛かり力によって、ゴムホース2に対して軸方向に係止する。特に、係止部51aの外周面は、鋸状に形成されており、ゴムホース2に対して軸方向に高い引っ掛かり力を発揮する。外方突部51bは、係止部51aよりも径方向外方に突出しており、環状に形成されている。外方突部51bは、詳細は後述するが、ゴムホース2を構成するスリーブ20の内方突部22に対して、軸方向に係止する。そこで、内方突部22との係止力を高くするために、外方突部51bにおける係止部51aとは反対側の面が、第一挿入部材51の軸方向に直交する面を形成する。一方、外方突部51bにおける係止部51a側の面は、傾斜されたテーパ面を形成する。
【0029】
第一挿入部材51の溝51cの外径は、外方突部51bの外径より小径に形成されており、軸方向においてスリーブ20の内方突部22が位置する部位である。溝51cは、ゴムホース2と第一挿入部材51とを組み付ける際に、両者の軸方向の相対位置を規定するために用いられる。
【0030】
フランジ嵌合部51dは、第一フランジ52と嵌合する部位である。フランジ嵌合部51dの外径は、溝51cの外径より大きい。スタブエンド51eは、フランジ嵌合部51dの軸方向端から径方向外方に張り出している。スタブエンド51eは、第一フランジ52に対して軸方向に係止する部位であって、第一フランジ52の端面に接触している。
【0031】
第一フランジ52は、中央に円孔を有する円盤状に形成されている。第一フランジ52は、第一挿入部材51と同様に、金属、例えばステンレス鋼等により形成されている。第一フランジ52の円孔は、第一挿入部材51のフランジ嵌合部51dに嵌合されている。さらに、第一フランジ52の端面は、第一挿入部材51のスタブエンド51eの端面に接触している。このようにして、第一フランジ52は、第一挿入部材51に位置決めされると共に、固定されている。さらに、第一フランジ52には、軸方向に貫通する締結孔52aが、周方向に複数個形成されている。締結孔52aには、ボルト等が挿入される。
【0032】
第二相手部材4は、第二挿入部材61と、第二挿入部材61に一体的に固定される第二フランジ62とを備えており、全体として筒状に形成されている。第二相手部材4は、第一相手部材3を、図1の左右対称とした形状を有する。つまり、第二相手部材4の第二挿入部材61は、第一相手部材3の第一挿入部材51と同様に形成されている。また、第二相手部材4の第二フランジ62は、第一相手部材3の第一フランジ52と同様に形成されている。そこで、第二挿入部材61および第二フランジ62の詳細構成については、説明を省略する。
【0033】
(3.ゴムホース2の詳細構成)
ゴムホース2の詳細構成について、図2および図3を参照して説明する。ここで、図2は、ゴムホース2に第一相手部材3が接続された状態を示し、図3は、ゴムホース2に第一相手部材3が接続されていない状態を示す。
【0034】
ゴムホース2は、上述したように、ゴムホース本体10と、スリーブ20と、内側シールゴム30と、外側シールゴム40とを備える。ゴムホース本体10は、内面ゴム層11、第一内側繊維層12、補強布13、ワイヤー14、中間ゴム層15、第二内側繊維層16、スリーブ周ゴム層17、外側繊維層18、および、外面ゴム層19を備える。
【0035】
内面ゴム層11は、ゴム弾性体により、長尺の円筒状に形成されている。内面ゴム層11は、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、その他の種々のゴム材料を適用できる。ただし、内面ゴム層11は、ゴムホース本体10の内部を搬送される搬送物に接触する部位であるため、搬送物の種類に応じて適宜変更される。内面ゴム層11の内径は、例えば、100mm以上と、大口径とされている。内面ゴム層11の全長は、例えば、4000mm以上とされている。また、内面ゴム層11は、全長に亘って、同一材料により、同一厚みに形成されている。
【0036】
内面ゴム層11の軸方向端部は、第一相手部材3の第一挿入部材51の係止部51a、および、第二相手部材4の第二挿入部材61の係止部(51aと同様)の外周側に嵌合されている。さらに、内面ゴム層11の軸方向端部は、係止部51aとスリーブ本体21とによって径方向に圧縮された状態とされる。さらに、内面ゴム層11の軸方向端部は、係止部51aに対して軸方向に係止される。また、内面ゴム層11における両端部を除く中間部分は、搬送物に直接接触する部位となる。
【0037】
第一内側繊維層12は、内面ゴム層11の外周側に内面ゴム層11の全長に亘って配置されている。第一内側繊維層12は、すだれコード(すだれ織り状のコード)からなる複数の層である。つまり、すだれコードの繊維方向が、螺旋状に巻回されている。また、それぞれのすだれコードは、螺旋状に巻回されており、螺旋方向が交互となるように積層されている。本実施形態においては、第一内側繊維層12は、すだれコードを4層~8層有している。第一内側繊維層12は、8層のすだれコードを有する場合には、それぞれの方向に巻回されたすだれコードを4層ずつ有している。ここで、第一内側繊維層12における「内側」とは、ゴムホース本体10の軸方向端部において、スリーブ20のスリーブ本体21の内側に位置することを意味する。
【0038】
また、第一内側繊維層12を構成するすだれコードは、化学繊維により形成されている。本実施形態においては、すだれコードを構成する糸は、ポリエステル繊維等により形成されており、1100dtex/4f×1本、1100dtex/4f×2本、1100dtex/4f×3本、1100dtex/4f×4本等とされる。ここで、1100dtexとは、糸1本の10,000m当たりの質量を意味する。4fは、糸4本を合わせた糸束を意味する。つまり、1100dtex/4fは、糸束の太さに相当する。1本~4本は、上記1100dtex/4fの糸束を、1本~4本で撚って構成されたものであることを意味する。なお、すだれコードは、ポリエステル糸に限られず、強度に応じて種々の種類の糸を用いることもできる。さらに、すだれコードは、上記糸を、20本~40本/50mmとされている。つまり、すだれコードは、横幅50mm当たり、20本~40本の上記糸を有する。
【0039】
補強布13は、化学繊維により形成されており、織布および不織布の何れを適用することもできる。補強布13は、例えば、ポリエステル繊維により形成される。補強布13は、第一内側繊維層12の外周側に、第一内側繊維層12の全長に亘って配置されている。特に、補強布13は、織布を用いる場合には、縦糸が軸方向に平行となるようにされている。本実施形態においては、ゴムホース本体10は、複数枚(2枚)の補強布13を有する。
【0040】
ワイヤー14は、金属線により形成されており、例えば、硬鋼、ピアノ線等種々の材質が適用される。ワイヤー14は、補強布13の外周側に、補強布13の全長に亘って螺旋状に巻回されている。
【0041】
中間ゴム層15は、ゴム弾性体により形成されており、少なくともワイヤー14の軸方向隙間に配置されている。さらに、本実施形態においては、中間ゴム層15は、ワイヤー14の外周側にも、ワイヤー14の全長に亘って配置されている。中間ゴム層15は、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)等、その他種々のゴム材料を適用できる。中間ゴム層15は、第一内側繊維層12および補強布13における孔を介して内面ゴム層11に加硫接着されている。
【0042】
第二内側繊維層16は、中間ゴム層15の外周側に中間ゴム層15の全長に亘って配置されている。第二内側繊維層16は、第一内側繊維層12と同種のすだれコードからなる複数の層である。本実施形態においては、第二内側繊維層16は、2層のすだれコードを螺旋方向が反対方向となるように積層して構成されている。ここで、第二内側繊維層16における「内側」とは、ゴムホース本体10の軸方向端部において、スリーブ20のスリーブ本体21の内側に位置することを意味する。
【0043】
スリーブ周ゴム層17は、ゴム弾性体により形成されており、第二内側繊維層16における軸方向端部に配置されている。スリーブ周ゴム層17は、スリーブ20のスリーブ本体21の内周面、外周面および端部を囲むように配置されている。さらに、スリーブ周ゴム層17は、スリーブ本体21に加硫接着されている。つまり、スリーブ周ゴム層17は、スリーブ本体21の内周面に接着されるスリーブ内側ゴム層17a、スリーブ本体21の外周面に接着されるスリーブ外側ゴム層17b、および、スリーブ本体21の端部に接着され径方向厚みが徐々に薄くなっているスリーブ端部ゴム層17cを有する。
さらには、スリーブ周ゴム層17は、第二内側繊維層16における孔を介して中間ゴム層15に加硫接着されている。また、スリーブ周ゴム層17は、ゴムホース本体10の軸方向の中央側から端側に向かって径方向厚みが厚くなるように形成されている。
【0044】
外側繊維層18は、スリーブ周ゴム層17の外周側に配置されている。すなわち、外側繊維層18は、ゴムホース本体10の軸方向端部において、中間ゴム層15および第二内側繊維層16の外周側に配置されている。さらには、外側繊維層18は、スリーブ本体21が存在する領域において、スリーブ本体21の外周側に配置されている。外側繊維層18は、第一内側繊維層12および第二内側繊維層16と同種のすだれコードからなる複数の層である。本実施形態においては、外側繊維層18は、2層のすだれコードを螺旋方向が反対方向となるように積層して構成されている。そして、外側繊維層18は、スリーブ周ゴム層17が存在しなくなった軸方向位置において、第二内側繊維層16とほぼ同一径方向位置に位置する。ここで、外側繊維層18における「外側」とは、ゴムホース本体10の軸方向端部において、スリーブ20のスリーブ本体21の外側に位置することを意味する。
【0045】
外面ゴム層19は、ゴムホース本体10の軸方向端部においては、外側繊維層18の外周側に、外側繊維層18の全長に亘って配置されている。さらに、外面ゴム層19は、ゴムホース本体10の軸方向の中間部分においては、第二内側繊維層16の外周側に、第二内側繊維層16の全長に亘って配置されている。つまり、外面ゴム層19は、ゴムホース本体10の全長に亘って最外層を形成する。外面ゴム層19は、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、その他の種々のゴム材料を適用できる。外面ゴム層19は、外側繊維層18を介してスリーブ周ゴム層17に加硫接着されている。また、外面ゴム層19は、第二内側繊維層16を介して中間ゴム層15に加硫接着されている。
【0046】
スリーブ20は、上述したように、スリーブ本体21と内方突部22とを備える。スリーブ本体21の一部分が、ゴムホース本体10の軸方向端部に埋設されている。詳細には、スリーブ本体21は、ゴムホース本体10の軸方向端部において、中間ゴム層15の外周面と外面ゴム層19の内周面との径方向間に挟まれている。特に、スリーブ本体21は、第二内側繊維層16の外周面と外側繊維層18の内周面との径方向間に挟まれている。さらには、スリーブ本体21の一部分は、スリーブ周ゴム層17に埋設された状態で、スリーブ周ゴム層17に加硫接着されている。つまり、スリーブ本体21の内周面の一部分、外周面の一部分および端部は、スリーブ周ゴム層17に加硫接着されている。
【0047】
従って、スリーブ本体21の内周面と係止部51aの外周面との径方向間に、内面ゴム層11、第一内側繊維層12、補強布13、ワイヤー14、中間ゴム層15、第二内側繊維層16、および、スリーブ周ゴム層17の一部が、径方向に圧縮された状態で挟まれている。一方、スリーブ本体21の外周側には、スリーブ周ゴム層17の一部、外側繊維層18および外面ゴム層19が配置されている。
【0048】
内方突部22は、スリーブ本体21の軸方向端部から径方向内方に向かって突出形成されている。内方突部22は、環状に形成されている。つまり、内方突部22は、スリーブ本体21の軸方向端部の全周に設けられている。
【0049】
内方突部22は、スリーブ本体21と一体部材として形成されている。すなわち、内方突部22は、素材に対して切削加工や曲げ加工等を施すことにより、スリーブ本体21と一体部材として形成されている。ここで、一体部材として形成されていることの意味は、溶接等のように別部材を接合することにより形成される場合を除いている。ただし、目的の強度によっては、別部材に形成されたスリーブ本体21の部分と内方突部22の部分とを溶接等により接合するようにしてもよい。一体部材である方が、ゴムホース2の抜け力が高くなる。
【0050】
さらに、内方突部22は、径方向内方端から径方向外方に向かって軸方向厚みが厚くなるように形成され、スリーブ本体21の軸方向端部との接続部位の軸方向厚みが最も厚くなるように形成されている。これにより、ゴムホース2の抜け力がより高くできる。特に、本実施形態においては、内方突部22におけるスリーブ本体21側の軸方向端面である第一端面が、スリーブ本体21との接続部位付近が湾曲凹状に形成されている。
【0051】
そして、内方突部22の第一端面が、第一挿入部材51の外方突部51bに対して軸方向に対向する。つまり、内方突部22の第一端面が、第一挿入部材51の外方突部51bに対して軸方向に係止する。
【0052】
また、内方突部22におけるスリーブ本体21とは反対側の軸方向端面である第二端面は、軸方向に直交する平面状に形成されている。また、内方突部22は、ゴムホース本体10の軸方向端面から距離を有している。
【0053】
内側シールゴム30は、ゴム弾性体、例えば、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、その他の種々のゴム材料により形成されている。内側シールゴム30は、スリーブ本体21の内周面に接着されている。内側シールゴム30は、スリーブ本体21の径方向内方の領域において、ゴムホース本体10の端部に接着されている。詳細には、内側シールゴム30は、少なくとも、内面ゴム層11、中間ゴム層15およびスリーブ周ゴム層17の一部分に加硫接着されている。つまり、内側シールゴム30は、第一内側繊維層12の端部、補強布13の端部、ワイヤー14の端部、および、第二内側繊維層16の端部を被覆する。
【0054】
さらに、内側シールゴム30は、係止部51aの外周面とスリーブ本体21の内周面との間の径方向全範囲に亘って配置されている。そして、内側シールゴム30は、係止部51aの外周面とスリーブ本体21の内周面とにより径方向に圧縮された状態で配置されている。
【0055】
また、内側シールゴム30は、スリーブ20の内方突部22におけるスリーブ本体21側の軸方向端面である第一端面に対して軸方向に対向して配置されている。つまり、内側シールゴム30は、スリーブ20の内方突部22の第一面に対して、軸方向の隙間を有して配置されている。当該軸方向の隙間に、第一挿入部材51の外方突部51bが位置する。従って、内側シールゴム30は、外方突部51bによって大きく圧縮されることを抑制される。
【0056】
外側シールゴム40は、ゴム弾性体、例えば、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、その他の種々のゴム材料により形成されている。外側シールゴム40は、スリーブ本体21の外周面に接着されている。さらに、外側シールゴム40は、スリーブ本体21の径方向外方の領域において、ゴムホース本体10の端部に接着されている。詳細には、外側シールゴム40は、少なくとも、スリーブ周ゴム層17の一部分および外面ゴム層19に加硫接着されている。つまり、外側シールゴム40は、外側繊維層18の端部を被覆する。さらに、外側シールゴム40は、スリーブ本体21における内方突部22側の端部に至る範囲に接着されている。つまり、外側シールゴム40は、スリーブ20の外周面のうち、ゴムホース本体10によって被覆されていない部分の全てを被覆している。
【0057】
(4.ゴムホースユニット1の製造方法)
図3に示すゴムホース2、第一相手部材3を構成する第一挿入部材51および第一フランジ52、第二相手部材4を構成する第二挿入部材61および第二フランジ62を準備する(準備工程)。ここで、第一挿入部材51および第二挿入部材61は、図2に示す状態に比べて縮径された状態のものとなる。
【0058】
続いて、ゴムホース2の第一端部に、第一挿入部材51の一部分を挿入する(挿入工程)。そして、スリーブ20の内方突部22が第一挿入部材51の溝51cに対応する位置に位置決めする。このとき、第一挿入部材51のフランジ嵌合部51dの外周側には、第一フランジ52が配置されている。
【0059】
続いて、第一挿入部材51を拡径する(拡径工程)。そうすると、第一挿入部材51の係止部51aとスリーブ本体21とによって、ゴムホース本体10の軸方向端部が、径方向に圧縮される。さらに、第一挿入部材51の外方突部51bが、スリーブ20の内方突部22に対して軸方向に係止される状態となる。さらに、第一挿入部材51のフランジ嵌合部51dが、第一フランジ52に嵌合される。
【0060】
そして、第一挿入部材51が拡径された状態においては、図2に示すように、第一挿入部材51の内周面が、ゴムホース本体10のうち第一挿入部材51に軸方向に隣接する部分の内周面と同径とされている。つまり、ゴムホース本体10の内周面と第一挿入部材51の内周面とが、ほぼ連続的となることで、搬送物の引っ掛かりを抑制できる。その結果、ゴムホース本体10の耐久性を向上することができる。同様に、ゴムホース2の第二端部において、第二相手部材4を固定する。
【0061】
(5.効果)
ゴムホース本体10は、多層の第一内側繊維層12、補強布13、ワイヤー14および第二内側繊維層16を有している。さらに、第一内側繊維層12および第二内側繊維層16は、非常に高強度の糸により形成されている。従って、ゴムホース本体10自体の耐圧を高くすることができる。また、ゴムホース本体10は、スリーブ本体21の外周側に外側繊維層18を有する。従って、ゴムホース本体10は、スリーブ本体21を保持する力を十分に有する。
【0062】
また、ゴムホース2において、スリーブ20のスリーブ本体21がゴムホース本体10における中間ゴム層15と外面ゴム層19との間に挟まれている。つまり、スリーブ20は、ゴムホース本体10に一体的に設けられている。そして、スリーブ本体21は、第一挿入部材51の係止部51aとの径方向間に、ゴムホース本体10における内面ゴム層11、第一内側繊維層12、補強布13、ワイヤー14、中間ゴム層15第二内側繊維層16およびスリーブ周ゴム層17の一部分を挟んだ状態で存在する。
【0063】
従って、ゴムホース本体10に一体的に設けられたスリーブ本体21が、ゴムホース本体10の軸方向端部の一部分を係止部51aとの径方向間に挟み込むことにより、ゴムホース2の抜け力(ゴムホース2が第一相手部材3および第二相手部材4から抜けるための力)を高くするように作用する。
【0064】
さらに、スリーブ20は、第一挿入部材51の外方突部51bに対して軸方向に係止される内方突部22を有する。つまり、スリーブ20の内方突部22と第一挿入部材51の外方突部51bとの係止によって、ゴムホース2の抜け力は、非常に高くなる。
【0065】
また、ゴムホース2は、内側シールゴム30を備える。内側シールゴム30は、第一内側繊維層12、補強布13、ワイヤー14および第二内側繊維層16の端部を被覆する。つまり、内側シールゴム30は、第一内側繊維層12の端部、補強布13の端部、ワイヤー14の端部および第二内側繊維層16の端部から水等が進入することを抑制する。そのため、進入する水等を原因として、ワイヤー14が腐食することを抑制できる。ワイヤー14の腐食の抑制によって、ゴムホース本体10の耐圧の低下を抑制することができる。特に、海洋資源掘削用のゴムホース2は、海水に浸されている。ゴムホース2が海水に浸されているとしても、内側シールゴム30が、海水によるワイヤー14の腐食を抑制できる。
【0066】
さらに、内側シールゴム30は、スリーブ本体21の内周面に接着されている。従って、内側シールゴム30は、第一内側繊維層12、補強布13、ワイヤー14および第二内側繊維層16の端部を被覆した状態を維持することができる。つまり、ワイヤー14の腐食の抑制効果を持続的に発揮できる。
【0067】
特に、内側シールゴム30は、第一挿入部材51の係止部51aの外周面とスリーブ本体21の内周面との間の径方向全範囲に亘って配置され、且つ、係止部51aの外周面とスリーブ本体21の内周面とにより径方向に圧縮された状態で配置されている。従って、内側シールゴム30は、係止部51aとスリーブ本体21との径方向間を確実に塞いでいる。そのため、内側シールゴム30と係止部51aとの間に隙間が形成されることもない。その結果、内側シールゴム30によるシール機能を確実に発揮できる。
【0068】
また、内側シールゴム30は、スリーブ20の内方突部22におけるスリーブ本体21側の軸方向端面である第一端面に対して軸方向に対向して配置されている。ここで、スリーブ20の内方突部22が、第一挿入部材51の外方突部51bに対して軸方向に係止する。そこで、スリーブ20の内方突部22の第一端面と内側シールゴム30との軸方向対向空間には、第一挿入部材51の外方突部51bが位置することが可能となる。つまり、第一挿入部材51の外方突部51bが内側シールゴム30に影響を及ぼすことを抑制できる。その結果、内側シールゴム30によるシール機能が、効果的に発揮される。
【0069】
さらに、ゴムホース2は、外側シールゴム40を備える。外側シールゴム40は、外側繊維層18の端部を被覆する。つまり、外側シールゴム40は、外側繊維層18の端部から水等が進入することを抑制する。進入する水等を原因として、ワイヤー14が腐食することを抑制できる。ワイヤー14の腐食の抑制によって、ゴムホース本体10の耐圧の低下を抑制することができる。
【0070】
また、スリーブ20の内方突部22は、径方向内方端から径方向外方に向かって軸方向厚みが厚くなるように形成されている。そして、内方突部22は、スリーブ本体21の軸方向端部との接続部位の軸方向厚みが最も厚くなるように形成されている。これにより、ゴムホース2に第一相手部材3に対する抜け力が作用した場合に、内方突部22は、第一相手部材3の第一挿入部材51の外方突部51bから軸方向の押し付け力を受ける。内方突部22の径方向内方端が、スリーブ本体21から遠ざかる方向に向かって変形しようとする。しかし、内方突部22は、スリーブ本体21との接続部位が最も厚くなるように形成されている。従って、内方突部22は、変形することを抑制される。つまり、ゴムホース2の抜け力は、非常に高くなる。
【0071】
以上のように、ゴムホース2は、海洋資源掘削用に非常に適している。海洋資源掘削用のゴムホース2は、耐圧が高く、抜け力も高くする必要がある。ゴムホース2は、両者を満たしている。特に、上記のゴムホース2は、耐圧の指標の一つとしての破壊圧を25MPa以上とすることができる。このことからも、ゴムホース2は、海洋資源掘削用に適している。ただし、ゴムホース2は、より低圧での使用環境下であれば、当然に適用可能である。
【符号の説明】
【0072】
1:ゴムホースユニット、 2:ゴムホース、 3:第一相手部材、 4:第二相手部材、 10:ゴムホース本体、 11:内面ゴム層、 12:第一内側繊維層、 13:補強布、 14:ワイヤー、 15:中間ゴム層、 16:第二内側繊維層、 17:スリーブ周ゴム層、 18:外側繊維層、 19:外面ゴム層、 20:スリーブ、 21:スリーブ本体、 22:内方突部、 30:内側シールゴム、 40:外側シールゴム、 51:第一挿入部材、 51a:係止部、 51b:外方突部、 51c:溝、 51d:フランジ嵌合部、 51e:スタブエンド、 52:第一フランジ、 61:第二挿入部材、 62:第二フランジ
図1
図2
図3