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特許7141063抗原およびアジュバントとしてのインターロイキン-21を有するワクチン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】抗原およびアジュバントとしてのインターロイキン-21を有するワクチン
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/39 20060101AFI20220914BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20220914BHJP
   A61K 39/12 20060101ALI20220914BHJP
   A61K 39/21 20060101ALI20220914BHJP
   A61K 39/145 20060101ALI20220914BHJP
   A61K 39/015 20060101ALI20220914BHJP
   A61K 39/08 20060101ALI20220914BHJP
   A61K 38/20 20060101ALI20220914BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20220914BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220914BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20220914BHJP
   A61P 33/06 20060101ALI20220914BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20220914BHJP
   A61P 31/20 20060101ALI20220914BHJP
   A61P 31/18 20060101ALI20220914BHJP
   A61P 31/16 20060101ALI20220914BHJP
   C12N 15/24 20060101ALI20220914BHJP
   C07K 14/54 20060101ALN20220914BHJP
【FI】
A61K39/39 ZNA
A61K39/00 G
A61K39/12
A61K39/21
A61K39/145
A61K39/015
A61K39/08
A61K38/20
A61K48/00
A61P43/00 121
A61P37/04
A61P33/06
A61P31/04
A61P31/20
A61P31/18
A61P31/16
C12N15/24
C07K14/54
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020121846
(22)【出願日】2020-07-16
(62)【分割の表示】P 2017517007の分割
【原出願日】2015-09-29
(65)【公開番号】P2020169216
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2020-08-07
(31)【優先権主張番号】62/058,304
(32)【優先日】2014-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500429103
【氏名又は名称】ザ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ ペンシルバニア
(73)【特許権者】
【識別番号】509320254
【氏名又は名称】イノビオ ファーマシューティカルズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087871
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 積
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100166165
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 英直
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ビー.ウェイナー
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ピー.モロー
【審査官】佐々木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-037875(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0052222(US,A1)
【文献】国際公開第2010/103038(WO,A1)
【文献】Immunological Investigations, 2008, Vol.37, pp.113-127
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/00-39/44
A61K 38/00-38/58
A61K 48/00
C12N 15/00-15/90
C07K 1/00-19/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)抗原及び抗原をコードする核酸からなる群から選ばれる少なくとも1;及び
b)IL-21をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子であって、前記ヌクレオチド配列が、列番号3に対して90%以上の同一性であるヌクレオチド配列を含む、核酸分子を含む、ワクチン。
【請求項2】
前記抗原は、第1の核酸によってコードされ、そしてIL-21は、第2の核酸によってコードされる、請求項1に記載のワクチン。
【請求項3】
請求項に記載の抗原と同じコードされた核酸配列を有する抗原ペプチドと、
請求項に記載のIL-21と同じコードされた核酸配列を有するIL-21ペプチドとをさらに含む、請求項に記載のワクチン。
【請求項4】
前記第2の核酸は、発現ベクターをさらに含む、請求項に記載のワクチン。
【請求項5】
前記抗原は、ヒトパピローマウイルス(HPV)抗原、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)抗原、インフルエンザ抗原、熱帯熱マラリア原虫抗原、ディフィシル菌抗原およびそれらの断片からなる群から選択される、請求項1に記載のワクチン。
【請求項6】
前記HPV抗原は、HPV16 E6抗原、HPV16 E7抗原、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項に記載のワクチン。
【請求項7】
前記HIV抗原は、Env A、Env B、Env C、Env D、B Nef-Rev、Gag、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項に記載のワクチン。
【請求項8】
前記インフルエンザ抗原は、H1 HA、H2 HA、H3 HA、H5 HA、BHA抗原、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項に記載のワクチン。
【請求項9】
前記熱帯熱マラリア原虫抗原は、サーカムスポロゾイト(CS)抗原を含む、請求項に記載のワクチン。
【請求項10】
前記ディフィシル菌抗原が、トキシンA、トキシンBおよびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項に記載のワクチン。
【請求項11】
薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項1に記載のワクチン。
【請求項12】
免疫応答の増強を必要とする対象において免疫応答増強に使用するための請求項1に記載のワクチン。
【請求項13】
前記ワクチンの投与が、電気穿孔を含む、請求項1に記載のワクチン。
【請求項14】
前記対象における前記免疫応答の増強は、対象における細胞性免疫応答、液性免疫応答、または細胞性および液性免疫応答の両方を含む、請求項1に記載のワクチン
【請求項15】
列番号3と90%以上の同一性であるヌクレオチド配列1つ以上の最適化ヌクレオチド配列を含む、核酸分子。
【請求項16】
前記核酸分子は、プラスミドである、請求項1に記載の核酸分子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2014年10月1日に出願された米国仮特許出願第62/058,304号に対する優先権を主張するものであり、その全ては、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、抗原およびIL-21を含むワクチン、ならびにそのようなワクチンを投与する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ワクチンは、個体において免疫応答を刺激し、特定の疾患に対する保護及び/または治療を提供するために使用される。いくつかのワクチンは、免疫応答を誘導するために抗原を含む。強い免疫応答を誘発する抗原もあれば、弱い免疫応答を誘発する抗原もある。抗原に対する弱い免疫応答は、ワクチンにアジュバントを含めることにより増強することができる。アジュバントには、例えば、アルミニウム塩、油乳剤、細菌または他の病原体の殺菌成分、サイトカイン等の多くの異なる形態がある。
【0004】
サイトカインは、他の細胞の挙動に影響を及ぼす細胞によって作られるタンパク質であり、多くのアジュバントとは異なり、特定の免疫応答を調節することができる。そのようなサイトカインの1つは、インターロイキン-21(IL-21)であり、これは、リンパ球および骨髄集団ならびに上皮細胞に作用を及ぼし、先天性および適応免疫応答を調節する。IL-21は、幾つかのCD4+T細胞サブセットの機能的分化に寄与し、CD8+T細胞の増殖と機能的応答を促進し、かつB細胞免疫グロブリン応答の発生において役割を果たすことが示されてきた。IL-21は、濾胞性ヘルパーT(TFH)細胞、17型ヘルパーT(Th17)細胞およびナチュラルキラーT(NKT)細胞を含めた、CD8+T細胞集団ならびにCD4+T細胞集団によって産生される。
【0005】
また、ワクチンは、多くの異なる様式(例えば、注射、経口的等)で多くの異なる組織(例えば、筋肉内、皮内等)に投与される。しかしながら、全ての送達方法が等しいわけではない。個体集団内におけるより高いコンプライアンスを可能にする送達方法がある一方で、ワクチンの免疫原性及び/または安全性に影響を及ぼし得る送達方法もある。したがって、抗原同一性および投与経路に関係なく抗原反応を増強する、安全かつより効果的なアジュバントの開発の必要性が、依然として当該技術分野に存在する。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、抗原およびIL-21を含むワクチンを対象とする。IL-21は、配列番号3に記載のヌクレオチド配列と少なくとも約95%の同一性を有するヌクレオチド配列および配列番号3に記載のヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列によってコードされてもよい。IL-21は、配列番号3に記載のヌクレオチド配列によってコードされてもよい。
【0007】
抗原は、第1の核酸によってコードされてもよく、IL-21は、第2の核酸によってコードされ得る。第2の核酸は、発現ベクターをさらに含んでいてもよい。ワクチンは、上記抗原と同じコードされた核酸配列および抗原ペプチドと、上記IL-21と同じコードされた核酸配列およびIL-21ペプチドとをさらに含んでいてもよい。
【0008】
抗原は、ヒトパピローマウイルス(HPV)抗原、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)抗原、インフルエンザ抗原、熱帯熱マラリア原虫抗原、ディフィシル菌抗原およびそれらの断片からなる群から選択され得る。HPV抗原は、HPV16E6抗原、HPV16E7抗原およびそれらの組合せからなる群から選択される。HIV抗原は、EnvA、EnvB、EnvC、EnvD、B Nef-Rev、Gagおよびそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される。インフルエンザ抗原は、H1 HA、H2 HA、H3 HA、H5 Ha、BHA抗原およびそれらのいずれかの組合せからなる群から選択されてもよい。熱帯熱マラリア原虫抗原は、スポロゾイド周囲抗原を含んでいてもよい。ディフィシル菌抗原は、トキシンA、トキシンBおよびそれらの組合せからなる群から選択されてもよい。
【0009】
ワクチンは薬学的に許容される賦形剤をさらに含んでいてもよい。
【0010】
本発明はまた、免疫応答を必要とする対象において免疫応答を増強するための方法も対象とする。方法は、抗原とIL-21を含むワクチンの投与を含むことができる。IL-21は、配列番号3に記載のヌクレオチド配列と少なくとも約95%の同一性を有するヌクレオチド配列および配列番号3に記載の記載のヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列によりコードされていてもよい。IL-21は、配列番号3に記載のヌクレオチド配列によってコードされ得る。
【0011】
ワクチンの投与には電気穿孔が含まれていてもよい。対象における免疫応答の増強には、対象における細胞性免疫応答、液性免疫応答、または細胞性および液性免疫応答の両方の増強が含まれいてもよい。
【0012】
本発明は、配列番号3および配列番号3と95%以上同一であるヌクレオチド配列からなる群から選択される1つ以上のヌクレオチド配列を含む核酸分子をさらに対象とする。核酸分子は、プラスミドであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】マウスIL-21をコードする最適化された核酸を含む、プラスミドpVAX-mIL-21 Optのマップを示す。
図2】トランスフェクトされたHEK 293T細胞の上清中のIL-21の発現を示す。
図3】B細胞ELISpotアッセイを用いて、ディフィシル菌(C.difficle)由来のトキシンAおよびトキシンB抗原をコードするプラスミドを用いて筋肉内経路を介して免疫されたマウスにおける液性免疫応答を示す。
図4】ELYSAアッセイを用いて筋肉内経路を介して免疫されたマウスの液性免疫応答を示す。
図5】インターフェロンガンマELISpotアッセイを用いてHIV由来のEnvAおよびEnvC抗原をコードするプラスミドで筋肉内経路を介して免疫したマウスにおける細胞性免疫応答を示す。
図6】ELYSAアッセイを用いて、HIV由来のEnvAおよびEnvC抗原をコードするプラスミドにより筋肉内経路を介して免疫されたマウスの液性免疫応答を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、IL-21をアジュバントとして使用することにより、対象において抗原に対する免疫応答を増強するために使用することができるワクチンに関する。IL-21は、一本鎖T細胞誘導サイトカインである。
【0015】
いくつかの例において、抗原を単独で含むワクチンと比較して、抗原の源または投与経路にかかわらず対象においてより高い免疫応答が誘発されるため、IL-21は、汎用アジュバントとして機能することができる。IL-21は、ウイルス抗原および細菌抗原の両方、例えば、HIV抗原およびディフィシル菌抗原それぞれの免疫応答をさらに増大させることができる。IL-21はさらに、抗原を伴うDNAまたはペプチド単独に比べてより大きな免疫応答を得るための核酸/ペプチド組合せである抗原を伴うDNA/ペプチド組合せの形態をとることができる。いくつかの例において、インターフェロン-γ(IFN-γ)産生の増加によって示されるように、IL-21は、筋組織および皮膚組織の両方において免疫応答をさらに増大させることができる。
【0016】
1.定義
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾がある場合には、定義を含む本明細書が優先する。好ましい方法および材料については後述するが、本明細書に記載されるものと類似するまたは均等な方法および材料も、本発明の実施または試験に使用することができる。本明細書において言及される全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、参照により、それらの全体が本明細書に組み込まれる。本明細書に開示される材料、方法、および例は、例示的であるに過ぎず、限定的であることを意図するものではない。
【0017】
用語「含む(comprise)」、「含む(include)」、「有する(having)」、「有する(has)」、「できる(can)」、「含有する(contain)」、およびそれらの変形は、本明細書で使用される場合、さらなる行為または構造の可能性を排除しない、開放式の移行句、用語、または語句であることが意図される。単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上、そうではないという指示がない限り、複数の指示対象を含む。本開示はまた、明示的に記載されているかどうかにかかわらず、本明細書に存在する実施形態または要素「を含む(comprising)」、「からなる(consisting of)」、および「から本質的になる(consisting essentially of)」他の実施形態も企図する。
【0018】
本明細書で使用される「アジュバント」は、抗原の免疫原性を高めるために本明細書に記載されるワクチンに添加される任意の分子を意味する。
【0019】
本明細書で用いられる「コード配列」または「コード核酸」は、タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸(RNAまたはDNA分子)を意味する。コード配列は、核酸を投与される個体または哺乳動物の細胞中での発現を指導することが可能なプロモーターおよびポリアデニル化シグナルを含む調節要素に機能的に連結された開始および終結シグナルをさらに含み得る。
【0020】
本明細書に使用される「相補体」または「相補的な」とは、核酸分子のヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体の間の、Watson-Crick(例えば、A-T/UおよびC-G)またはHoogsteenの塩基対を意味する。
【0021】
本明細書に互換的に使用される「電気穿孔」、「電気透過」、または「電気運動強化」(「EP」)とは、生体膜に微細通路(孔)を誘導する膜貫通電場パルスの使用を意味し、それらの存在は、プラスミド、オリゴヌクレオチド、siRNA、薬物、イオン、および水等の生体分子が、細胞膜の一方の側面から反対側に通過することを可能にする。
【0022】
本明細書で使用される「断片」または「免疫原性断片」は、哺乳動物において免疫応答を誘発及び/または増強することができるポリペプチドをコードする核酸配列またはその一部を意味する。断片は、以下に記載するタンパク質断片をコードする種々のヌクレオチド配列のうちの少なくとも1つから選択されるDNA断片であってもよい。断片は、以下に記載する核酸配列のうちの1つ以上の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%を含むことができる。いくつかの実施形態において、断片は、以下に記載する核酸配列のうちの少なくとも1つの少なくとも20ヌクレオチド以上、少なくとも30ヌクレオチド以上、少なくとも40ヌクレオチド以上、少なくとも50ヌクレオチド以上、少なくとも60ヌクレオチド以上、少なくとも70ヌクレオチド以上、少なくとも80ヌクレオチド以上、少なくとも90ヌクレオチド以上、少なくとも100ヌクレオチド以上、少なくとも150ヌクレオチド以上、少なくとも200ヌクレオチド以上、少なくとも250ヌクレオチド以上、少なくとも300ヌクレオチド以上、少なくとも350ヌクレオチド以上、少なくとも400ヌクレオチド以上、少なくとも450ヌクレオチド以上、少なくとも500ヌクレオチド以上、少なくとも550ヌクレオチド以上、少なくとも600ヌクレオチド以上、少なくとも650ヌクレオチド以上、少なくとも700ヌクレオチド以上、少なくとも750ヌクレオチド以上、少なくとも800ヌクレオチド以上、少なくとも850ヌクレオチド以上、少なくとも900ヌクレオチド以上、少なくとも950ヌクレオチド以上、または少なくとも1000ヌクレオチド以上を含むことができる。
【0023】
本明細書で使用される断片または免疫原性断片はまた、哺乳動物において免疫応答を誘発及び/または増強することができるポリペプチド配列またはその一部も意味する。断片は、以下に記載する種々のアミノ酸配列のうちの少なくとも1つから選択されるポリペプチド断片であってもよい。断片は、以下に記載するタンパク質の1つ以上の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%を含むことができる。いくつかの実施形態において、断片は、以下に記載するタンパク質のうちの少なくとも1つの少なくとも20アミノ酸以上、少なくとも30アミノ酸以上、少なくとも40アミノ酸以上、少なくとも50アミノ酸以上、少なくとも60アミノ酸以上、少なくとも70アミノ酸以上、少なくとも80アミノ酸以上、少なくとも90アミノ酸以上、少なくとも100アミノ酸以上、少なくとも110アミノ酸以上、少なくとも120アミノ酸以上、少なくとも130アミノ酸以上、少なくとも140アミノ酸以上、少なくとも150アミノ酸以上、少なくとも160アミノ酸以上、少なくとも170アミノ酸以上、少なくとも180アミノ酸以上、少なくとも190アミノ酸以上、少なくとも200アミノ酸以上、少なくとも210アミノ酸以上、少なくとも220アミノ酸以上、少なくとも230アミノ酸以上、または少なくとも240アミノ酸以上を含むことができる。
【0024】
本明細書で使用される「遺伝子構築物」または「構築物」は、タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むDNAまたはRNA分子を指す。コード配列は、核酸分子が投与される個体の細胞において発現を導くことができるプロモーターおよびポリアデニル化シグナルを含む調節エレメントに作動可能に連結された開始シグナルおよび終止シグナルを含む。本明細書で使用される場合、用語「発現可能な形態」は、個体の細胞に存在する場合にコード配列が発現されるように、タンパク質をコードするコード配列に作動可能に連結された必要な調節エレメントを含有する遺伝子構築物または構築物を指す。
【0025】
2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の文脈において、本明細書で用いられる「同一性のある」または「同一性」は、特定領域で同一となる特定割合の残基をその配列が有することを意味する。割合は、2つの配列を最適にアライニングすること、特定領域で2つの配列を比較すること、同一残基が両方の配列内に生じる位置の数を決定して適合位置の数を得ること、適合位置の数を特定領域の位置の総数で割ること、およびその結果に100を乗じて配列同一性の割合を得ること、により計算することができる。2つの配列が異なる長さであるか、またはアライメントが1つ以上のねじれ型末端を生成していて、比較される特定領域が単一配列のみを含む場合、単一配列の残基は、計算の分子ではなく分母中に含まれる。DNAとRNAを比較する場合、チミン(T)およびウラシル(U)は同等であると見なすことができる。同一性は、手作業またはBLASTもしくはBLAST2.0等のコンピュータ配列アルゴリズムを使用して、行うことができる。
【0026】
本明細書で用いられる「免疫応答」は、抗原の導入に応答した、宿主の免疫系、例えば哺乳動物の免疫系の活性化を意味する。免疫応答は、細胞反応もしくは体液反応、または双方の形態であり得る。
【0027】
本明細書に使用される「核酸」または「オリゴヌクレオチド」または「ポリヌクレオチド」とは、共有結合で一緒に結合された少なくとも2つのヌクレオチドを意味する。一本鎖の表示は、相補鎖の配列も定義する。したがって、核酸はまた、記述された一本鎖の相補鎖を包含する。核酸の多くの変異体を、所定の核酸と同じ目的で用いることができる。したがって、核酸はまた、実質的に同一の核酸およびその相補配列も包含する。一本鎖は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、ターゲット配列にハイブリダイズし得るプローブを提供する。つまり核酸は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするプローブも包含する。
【0028】
核酸は、一本鎖もしくは二本鎖であってもよく、または二本鎖および一本鎖の両方の配列の部分を含有してもよい。核酸は、ゲノムおよびcDNAの両方のDNA、RNA、またはハイブリッドであり得、ここで、核酸は、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドの組み合わせ、ならびにウラシル、アデニン、シトシン、グアニン、インノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、イソシトシン、およびイソグアニンを含む、塩基の組み合わせを含有し得る。核酸は、化学合成法または組み換え法によって、得ることができる。
【0029】
本明細書で用いられる「機能的に連結された」は、遺伝子の発現が空間的につながったプロモーターの制御下にあることを意味する。プロモーターは、その制御下で遺伝子の5’(上流)または3’(下流)に位置し得る。プロモーターと遺伝子の間の距離は、そのプロモーターと、プロモーターが由来する遺伝子内でそれが制御する遺伝子との間の距離と、ほぼ同一であり得る。当業者に公知の通り、この距離の変動は、プロモーター機能を喪失せずに適合させることができる。
【0030】
本明細書で使用される「ペプチド」、「タンパク質」、または「ポリペプチド」は、アミノ酸の連結した配列を意味することができ、天然、合成、または天然および合成の改変または組み合わせであってもよい。
【0031】
本明細書に使用される「プロモーター」とは、細胞内で核酸の発現をもたらす、活性化する、または強化することが可能な、合成または天然由来の分子を意味する。プロモーターは、さらに、その発現を強化する、ならびに/またはその空間的発現および/もしくは一時的発現を変化させる、1つ以上の特定の転写制御配列を含んでもよい。プロモーターは、遠位のエンハンサーまたはレプレッサ要素を含んでいてもよく、それは転写開始部位から何千もの塩基対に位置することができる。プロモーターは、ウイルス、細菌、真菌、植物、昆虫、および動物をはじめとする供給源に由来し得る。プロモーターは、発現が生じる細胞、組織、もしくは器官に関して、または発現が生じる成長段階に関して、または生理的ストレス、病原体、金属イオン、もしくは誘導剤等の外部刺激に応答して、構造的または特異的に遺伝子の発現を制御することができる。プロモーターの代表的な例としては、バクレリオファージT7プロモーター、バクテリオファージT3プロモーター、SP6プロモーター、lacオペレータ-プロモーター、tacプロモーター、SV40後期プロモーター、SV40初期プロモーター、RSV-LTRプロモーター、CMV IEプロモーター、SV40初期プロモーターまたはSV40後期プロモーター、およびCMV IEプロモーターが挙げられる。
【0032】
「シグナルペプチド」および「リーダー配列」は、本明細書において交換可能に使用され、本明細書に記載されるタンパク質またはアミノ酸配列のアミノ末端に連結され得るアミノ酸配列を指す。シグナルペプチド/リーダー配列は、典型的には、タンパク質の局在化を導く。本明細書で使用されるシグナルペプチド/リーダー配列は、好ましくは、それが産生される細胞からのタンパク質の分泌を促進する。シグナルペプチド/リーダー配列は、多くの場合、細胞からの分泌の際に、しばしば成熟タンパク質と称されるタンパク質の残りの部分から切断される。シグナルペプチド/リーダー配列は、タンパク質のアミノ末端に連結される。
【0033】
本明細書で使用される「対象」は、本明細書に記載のワクチンで免疫されることを望むかまたは必要とする哺乳動物を意味することができる。哺乳動物は、ヒト、チンパンジー、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、マウス、またはラットであってもよい。
【0034】
本明細書に使用される「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、核酸の複合混合物中のように、第1の核酸配列(例えば、プローブ)が、第2の核酸配列(例えば、ターゲット)にハイブリダイズする条件を意味し得る。ストリンジェントな条件は、配列依存性であり、異なる状況においては、異なるであろう。ストリンジェントな条件は、定義されたイオン強度pHで特定の配列の熱融点(Tm)よりも約5~10℃低くなるように選択してもよい。Tmは、ターゲットに相補的なプローブの50%が平衡状態でターゲット配列にハイブリダイズする温度(定義されたイオン強度pH、および核酸濃度下で)であってもよい(ターゲット配列はTmでは過剰に存在するため、平衡状態でプローブの50%が占領される)。ストリンジェントな条件は、塩濃度が約1.0Mナトリウムイオン未満、例えば、pH7.0~8.3で0.01~1.0Mナトリウムイオン(または他の塩)濃度となり、温度が短いプローブ(例えば、約10~50ヌクレオチド)では少なくとも約30℃となり、長いプローブ(例えば、約50ヌクレオチドを超える)では少なくとも約60℃となる条件であってもよい。ストリンジェントな条件は、ホルムアミドなどの不安定化剤の添加により実現してもよい。選択的または特異的ハイブリダイゼーションでは、正のシグナルは、バックグランドハイブリダイゼーションの少なくとも2~10倍であってもよい。例示的なストリンジェントハイブリダイゼーション条件には、次のものが挙げられる:50%ホルムアミド、5x SSC、および1%SDS、42℃でのインキュベーション、65℃で0.2×SSCおよび0.1%SDS中での洗浄。
【0035】
本明細書に使用される「実質的に相補性」とは、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100またはそれ以上のヌクレオチドの領域で、第1の配列が第2の配列の相補配列に少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一であること、あるいは2つの配列がストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズすることを意味し得る。
【0036】
本明細書に使用される「実質的に同一の」とは、第1および第2のアミノ酸配列が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、またはそれ以上のアミノ酸の領域にわたって、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であることを意味することができる。また、実質的に同一であるとは、第1の核酸配列および第2の核酸配列が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、またはそれ以上のヌクレオチドの領域にわたって、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であることを意味することもできる。
【0037】
本明細書で使用される「治療」または「治療すること」は、疾患を予防する、抑制する、制圧する、または完全に排除する手段を通して、疾患から動物を保護することを意味する。疾患からの保護は、疾患の発症前に、本発明のワクチンを動物に投与することを含む。疾患の制圧は、疾患の誘導後ではあるが、その臨床的出現の前に、本発明のワクチンを動物に投与することを含む。疾患の制圧は、疾患の臨床的出現の後に、本発明のワクチンを動物に投与することを含む。
【0038】
核酸に関して本明細書に使用される「変異体」とは、(i)参照ヌクレオチド配列の一部分もしくはフラグメント、(ii)参照ヌクレオチド配列の相補体もしくはその一部分、(iii)参照ヌクレオチドもしくはその相補体と実質的に同一な核酸、または(iv)参照核酸、その相補体、もしくはそれと実質的に同一な配列と、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、核酸を意味する。
【0039】
変異体は、アミノ酸の挿入、欠失、または保存的置換によりアミノ酸配列が異なるが、少なくとも1つの生物活性を保持している、ペプチドまたはポリペプチドとしてさらに定義され得る。「生物学的活性」の代表的な例として、特異的な抗体によって結合される能力、または免疫応答を促進する能力が挙げられる。変異体はまた、少なくとも1つの生物学的活性を保持するアミノ酸配列を有する参照タンパク質と実質的に同一なアミノ酸配列を有するタンパク質を意味する。アミノ酸の保存的置換、すなわち、1つのアミノ酸を、類似の特性(例えば、親水性、荷電領域の程度および分布)を有する別のアミノ酸と置き換えることは、典型的に小規模な変更を伴うとして、当該技術分野で認識されている。これらの小規模な変更は、当該技術分野において理解されるように、部分的に、アミノ酸の親水性インデックスを考慮することによって、特定することができる。Kyte et al.,J.Mol.Biol.157:105-132(1982)。アミノ酸の親水性インデックスは、その疎水性および荷電の考慮に基づく。類似の親水性インデックスを有するアミノ酸が、置換することができ、タンパク質の機能を依然として保持できることは、当該技術分野で公知である。一態様において、±2の親水性インデックスを有するアミノ酸が、置換されている。アミノ酸の親水性を利用して、生物学的機能を保持したタンパク質を生じる置換を明らかにすることもできる。ペプチドにおいてアミノ酸の親水性を考慮することで、そのペプチドの最大の局所的平均親水性、つまり抗原性および免疫原性と良好に相関することが報告されている有用な指標を計算することができる。当該技術分野で理解される通り、類似の親水性値を有するアミノ酸の置換により、生物活性、例えば免疫原性を保持したペプチドを得ることができる。置換は、互いに±2以内の親水性値を有するアミノ酸を用いて実施できる。アミノ酸の疎水性インデックスおよび親水性値の両方とも、そのアミノ酸の特定の側鎖により影響を受ける。その観察と一致して、疎水性、親水性、荷電、寸法、および他の性質により明らにされた通り、生物学的機能に適合性のあるアミノ酸置換が、アミノ酸、特にそれらアミノ酸の側鎖の相対的類似性に依存することは理解されている。
【0040】
変異体は、完全な遺伝子配列の全長またはその断片にわたって実質的に同一な核酸配列であってもよい。核酸配列は、遺伝子配列の全長またはその断片にわたって80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であってもよい。変異体は、アミノ酸配列の全長またはその断片にわたって実質的に同一なアミノ酸配列であってもよい。アミノ酸配列は、アミノ酸配列の全長またはその断片にわたって80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であってもよい。
【0041】
本明細書で使用される「ベクター」は、複製起点を含む核酸配列を意味する。ベクターは、ウイルスベクター、バクテリオファージ、細菌人工染色体、または酵母人工染色体であってもよい。ベクターは、DNAまたはRNAベクターであってもよい。ベクターは、自己複製染色体外ベクターであってもよく、好ましくは、DNAプラスミドである。ベクターは、1つ以上の異種核酸配列を含有するかまたは含むことができる。
【0042】
本明細書における数値範囲の列挙の場合、それらの間に介在する同程度の正確さを有する各数値が明示的に企図される。例えば、6~9の範囲では、6および9に加えて、数値7および8が企図され、範囲6.0~7.0では、数値6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、および7.0が、明示的に企図される。
【0043】
2.ワクチン
抗原およびアジュバントを含むワクチンが本明細書に提供される。ワクチンは、個体における抗原提示および抗原に対する全体的な免疫応答を増強することができる。抗原およびアジュバントの組み合わせは、抗原を単独で含むワクチンよりも効率的に免疫系を誘導する。ワクチンは、筋肉および皮膚等の異なる組織に投与された場合に免疫応答をさらに誘導することができる。
【0044】
本発明のワクチンは、ワクチン自体が疾病または死亡の原因とならないように安全であること;ウイルスまたは細菌等の生病原体への曝露から生じる疾病に対する保護作用があること;細胞の感染を予防するために中和抗体を誘導すること;細胞内病原体に対する保護T細胞応答を誘導すること;ならびに投与し易さ、少ない副作用、生物学的安定性、および用量当たりの低コストを提供すること等の、有効なワクチンに要求される特徴を有することができる。後述のように抗原とアジュバントとを組み合わせることにより、ワクチンは、これらの特徴の一部または全部を達成することができる。
【0045】
a.アジュバント
ワクチンは、後述のように、アジュバントおよび抗原を含むことができる。アジュバントは、核酸配列、アミノ酸配列、またはそれらの組み合わせであってもよい。核酸配列は、DNA、RNA、cDNA、その変異体、その断片、またはそれらの組み合わせであってもよい。核酸配列はまた、ペプチド結合によってアジュバントに連結されたリンカーまたはタグ配列をコードするさらなる配列も含むことができる。アミノ酸配列は、タンパク質、ペプチド、その変異体、その断片、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0046】
(1)IL-21
アジュバントは、インターロイキン-21(IL-21)であってもよい。IL-21は、ナチュラルキラー(NK)細胞および細胞毒性T細胞(CD8+T細胞)を含めたBおよびT細胞サブセットに対して強力な効果を有する一本鎖のT細胞由来のサイトカインである。慢性感染の動物モデルは、T細胞活性およびウイルス複製の制御ならびにHIVといった慢性ウイルス感染を有する患者におけるIL-21の重要な役割を示唆している。IL-21は細胞毒性CD8T細胞応答を大幅に改善することが報告されている。IL-21は同様に、B細胞の増殖および分化を補助することが示唆されている。
【0047】
IL-21は、IL-12と同様に、IFN-γ産生を刺激することができる。IL-12は、ナイーブT細胞を活性化してIFN-γ産生を誘導することができ、IL-21は、メモリT細胞に作用してIFN-γ産生を誘導することができる。ワクチンにIL-21を含有することにより、IL-23を含まないワクチンと比較して、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約8倍、および少なくとも約10倍IFN-γ産生を誘導することができる。ワクチンにIL-21を含有することにより、IL-21を含まないワクチンと比較して、少なくとも約2倍IFN-γ産生を誘導することができる。ワクチンにIL-21を含有することにより、IL-21を含まないワクチンと比較して、少なくとも約3倍IFN-γ産生を誘導することができる。
【0048】
IL-21は、対象の抗原に対する免疫応答を増強するかまたはブーストすることができる。抗原については、後により詳細に記載する。いくつかの例において、IL-21は、抗原に対する免疫応答を約75%~約200%増強することができる。代替として、IL-21は、抗原に対する免疫応答を約90%~約130%増強することができる。さらに他の代替的な実施形態において、IL-21は、抗原に対する免疫応答を約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、101%、102%、103%、104%、105%、106%、107%、108%、109%、110%、111%、112%、113%、114%、115%、116%、117%、118%、119%、120%、121%、122%、123%、124%、125%、126%、127%、128%、129%、または130%増強することができる。
【0049】
他の実施形態において、本明細書に記載のワクチンがそれを必要とする対象に投与されると、IL-21は、抗原に対する免疫応答を少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、または少なくとも約10倍増強またはブーストすることができる。
【0050】
IL-21をコードする核酸は、任意の数の生物、例えば、マウス(ハツカネズミ)、およびヒト(ホモサピエンス)に由来してもよい。IL-21をコードする核酸を、コドン使用頻度および対応するRNA転写物に関して最適化することができる。発現のために、IL-21をコードする核酸のコドン最適化およびRNA最適化を行うことができる。いくつかの実施形態において、IL-21をコードする核酸は、翻訳の効率を高めるためにコザック配列(例えば、GCC ACC)を含むことができる。IL-21をコードする核酸は、翻訳終結の効率を高めるために複数の終止コドン(例えば、TGA TGA)を含むことができる。IL-21をコードする核酸は、IgEリーダー配列をコードするヌクレオチド配列も含むことができる。IgEリーダー配列は、核酸のIL-21の5’に位置してもよい。いくつかの実施形態において、IL-21をコードする核酸は、IgEリーダー配列をコードするヌクレオチド配列を含まないかまたは含有しない。別の実施形態において、IL-21をコードする核酸は、HA tag(配列番号9)をコードするヌクレオチド配列を含むことができる。さらに別の実施形態において、IL-21をコードする核酸はHA tagをコードするヌクレオチド配列を含まないかまた含有しない。
【0051】
マウスIL-21は、配列番号2をコードする、配列番号1の最適化された核酸配列であってもよい。いくつかの実施形態において、マウスIL-21は、配列番号1に記載の核酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する核酸配列であってもよい。他の実施形態において、マウスIL-21は、配列番号2に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列であってもよい。マウスIL-21は、配列番号2に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。
【0052】
ヒトIL-21は、配列番号4をコードする、配列番号3の最適化された核酸配列であってもよい。いくつかの実施形態において、ヒトIL-21は、配列番号3に記載の核酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する核酸配列であってもよい。他の実施形態において、ヒトIL-21は、配列番号4に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列であってもよい。ヒトIL-21は、配列番号4に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。
【0053】
いくつかの実施形態は、配列番号1及び/または配列番号3の断片に関連する。断片は、配列番号1及び/または配列番号3の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含むことができる。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列、例えば、IgEリーダー配列等の免疫グロブリンリーダー配列をコードする配列を含むことができる。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列をコードするコード配列を含まない。
【0054】
配列番号1及び/または配列番号3の断片と同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸の断片が提供されてもよい。そのような断片は、配列番号1及び/または配列番号3と95%以上の同一性を有する核酸の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含むことができる。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のIL-21核酸配列の断片と96%以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のIL-21核酸配列の断片と97%以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のIL-21核酸配列の断片と98%以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のIL-21核酸配列の断片と99%以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列、例えば、IgEリーダー配列等の免疫グロブリンリーダー配列をコードする配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列をコードするコード配列を含まない。
【0055】
配列番号2及び/または配列番号4の断片が提供されてもよい。断片は、配列番号2及び/または配列番号4の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含むことができる。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列、例えば、IgEリーダー配列等の免疫グロブリンリーダー配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列を含まない。
【0056】
配列番号2及び/または配列番号4の断片と同一性を有するアミノ酸配列を含むタンパク質の断片が提供されてもよい。そのような断片は、配列番号2及び/または配列番号4と95%以上の同一性を有するタンパク質の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含むことができる。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のIL-21タンパク質配列の断片と96%以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のIL-21タンパク質配列の断片と97%以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のIL-21タンパク質配列の断片と98%以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のIL-21タンパク質配列の断片と99%以上の同一性を有する断片に関する。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列、例えば、IgEリーダー配列等の免疫グロブリンリーダー配列を含む。いくつかの実施形態において、断片は、リーダー配列を含まない。
【0057】
b.抗原
前述のように、ワクチンは、抗原またはその断片もしくは変異体と、アジュバントとを含むことができる。抗原は、対象において免疫応答を誘導するものであれば何であってもよい。精製された抗原は、通常、それらだけでは免疫原性が強くないため、前述のようなアジュバントと組み合わされる。抗原によって誘導される免疫応答は、アジュバントと組み合わせた場合にブーストまたは増強することができる。そのような免疫応答は、液性免疫応答及び/または細胞性免疫応答であり得る。いくつかの実施形態において、アジュバントと抗原の組み合わせは、対象において細胞性免疫応答をブーストまたは増強することができる。他の実施形態において、アジュバントと抗原の組み合わせは、対象において液性免疫応答をブーストまたは増強することができる。
【0058】
抗原は、核酸配列、アミノ酸配列、またはそれらの組み合わせであってもよい。核酸配列は、DNA、RNA、cDNA、その変異体、その断片、またはそれらの組み合わせであってもよい。核酸配列はまた、ペプチド結合によって抗原に連結されたリンカーまたはタグ配列をコードするさらなる配列も含むことができる。アミノ酸配列は、タンパク質、ペプチド、その変異体、その断片、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0059】
抗原は、任意の数の生物、例えば、ウイルス、寄生虫、細菌、真菌、または哺乳動物に由来するタンパク質、核酸、またはその断片、またはその変異体、またはそれらの組み合わせに含有されてもよい。抗原は、自己免疫疾患、アレルギー、または喘息に関連し得る。他の実施形態において、抗原は、癌、ヘルペス、インフルエンザ、B型肝炎、C型肝炎、ヒトパピローマウイルス(HPV)、またはヒト免疫不全ウイルス(HIV)に関連し得る。後述のように、ワクチンの抗原は、HIV抗原、ディフィシル菌抗原、およびそれらの断片からなる群から選択されてもよい。HIV抗原は、Env A、Env B、Env C、Env D、B Nef-Rev、Gag、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0060】
ある抗原は、強い免疫応答を誘導することができる。他の抗原は、弱い免疫応答を誘導することができる。抗原は、前述のようにアジュバントと組み合わせた場合により高い免疫応答を誘発することができる。
【0061】
(1)ウイルス抗原
抗原は、ウイルス抗原、またはその断片、またはその変異体であってもよい。ウイルス抗原は、以下の科のうちの1つからのウイルスに由来してもよい:アデノウイルス科、アレナウイルス科、ブニヤウイルス科、カリシウイルス科、コロナウイルス科、フィロウイルス科、ヘパドナウイルス科、ヘルペスウイルス科、オルトミクソウイルス科、パポバウイルス科、パラミクソウイルス科、パルボウイルス科、ピコルナウイルス科、ポックスウイルス科、レオウイルス科、レトロウイルス科、ラブドウイルス科、またはトガウイルス科。ウイルス抗原は、パピローマウイルス、例えば、ヒトパピローマウイルス(HPV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ポリオウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、天然痘ウイルス(大痘瘡および小痘瘡)、ワクシニアウイルス、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、デング熱ウイルス、馬脳炎ウイルス、風疹ウイルス、黄熱病ウイルス、ノーウォークウイルス、A型肝炎ウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-I)、ヘアリーセル白血病ウイルス(HTLV-II)、カリフォルニア脳炎ウイルス、ハンタウイルス(出血熱)、狂犬病ウイルス、エボラ熱ウイルス、マールブルグウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、呼吸器多核体ウイルス(RSV)、単純ヘルペスウイルス1型(口腔ヘルペス)、単純ヘルペスウイルス2型(性器ヘルペス)、帯状疱疹(水痘帯状疱疹、別名は水疱瘡)、サイトメガウイルス(CMV)、例えば、ヒトCMV、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、フラビウイルス、口蹄疫ウイルス、チクングニアウイルス、ラッサ熱ウイルス、アレナウイルス、または発癌性ウイルスに由来してもよい。
【0062】
(a)肝炎抗原
IL-21は、肝炎ウイルス抗原(すなわち、肝炎抗原)、またはその断片、またはその変異体と結合させるかまたは組み合わせることができる。肝炎抗原は、A型肝炎ウイルス(HAV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、D型肝炎ウイルス(HDV)、及び/またはE型肝炎ウイルス(HEV)に由来する抗原または免疫原であってもよい。いくつかの実施形態において、肝炎抗原は、HAV、HBV、HCV、HDV、およびHEVに由来する抗原のうちの1つ以上をコードする、プラスミド(複数可)等の異種核酸分子(複数可)であってもよい。肝炎抗原は、全長タンパク質、または全長タンパク質の免疫原性断片であってもよい。
【0063】
肝炎抗原は、発現の向上のためにコンセンサス配列及び/または1つ以上の改変を含むことができる。構築物の免疫原性を増強するためのコドン最適化、RNA最適化、および高効率の免疫グロブリンリーダー配列の付加を含む遺伝的改変が、改変されたコンセンサス配列に含まれてもよい。コンセンサス肝炎抗原は、IgEまたはIgGシグナルペプチド等の免疫グロブリンシグナルペプチド等のシグナルペプチドを含んでもよく、いくつかの実施形態において、HAタグを含んでもよい。免疫原は、対応するコドン最適化免疫原よりも強く広範な細胞性免疫応答を誘発するように設計することができる。
【0064】
肝炎抗原は、HAV由来の抗原であってもよい。肝炎抗原は、HAVカプシドタンパク質、HAV非構造タンパク質、その断片、その変異体、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0065】
肝炎抗原は、HCV由来の抗原であってもよい。肝炎抗原は、HCVヌクレオカプシドタンパク質(すなわち、コアタンパク質)、HCVエンベロープタンパク質(例えば、E1およびE2)、HCV非構造タンパク質(例えば、NS1、NS2、NS3、NS4a、NS4b、NS5a、およびNS5b)、その断片、その変異体、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0066】
肝炎抗原は、HDV由来の抗原であってもよい。肝炎抗原は、HDVδ抗原、その断片、またはその変異体であってもよい。
【0067】
肝炎抗原は、HEV由来の抗原であってもよい。肝炎抗原は、HEVカプシドタンパク質、その断片、またはその変異体であってもよい。
【0068】
肝炎抗原は、HBV由来の抗原であってもよい。肝炎抗原は、HBVコアタンパク質、HBV表面タンパク質、HBV DNAポリメラーゼ、遺伝子XによってコードされるHBVタンパク質、その断片、その変異体、またはそれらの組み合わせであってもよい。肝炎抗原は、HBV遺伝子型Aコアタンパク質、HBV遺伝子型Bコアタンパク質、HBV遺伝子型Cコアタンパク質、HBV遺伝子型Dコアタンパク質、HBV遺伝子型Eコアタンパク質、HBV遺伝子型Fコアタンパク質、HBV遺伝子型Gコアタンパク質、HBV遺伝子型Hコアタンパク質、HBV遺伝子型A表面タンパク質、HBV遺伝子型B表面タンパク質、HBV遺伝子型C表面タンパク質、HBV遺伝子型D表面タンパク質、HBV遺伝子型E表面タンパク質、HBV遺伝子型F表面タンパク質、HBV遺伝子型G表面タンパク質、HBV遺伝子型H表面タンパク質、その断片、その変異体、またはそれらの組み合わせであってもよい。肝炎抗原は、コンセンサスHBVコアタンパク質、またはコンセンサスHBV表面タンパク質であってもよい。
【0069】
いくつかの実施形態において、肝炎抗原は、HBV遺伝子型AコンセンサスコアDNA配列構築物、HBV遺伝子型Aコアタンパク質についてのコンセンサス配列に連結されたIgEリーダー配列、またはHBV遺伝子型Aコンセンサスコアタンパク質配列であってもよい。
【0070】
他の実施形態において、肝炎抗原は、HBV遺伝子型BコンセンサスコアDNA配列構築物、HBV遺伝子型Bコアタンパク質についてのコンセンサス配列に連結されたIgEリーダー配列、またはHBV遺伝子型Bコンセンサスコアタンパク質配列であってもよい。
【0071】
さらに他の実施形態において、肝炎抗原は、HBV遺伝子型CコンセンサスコアDNA配列構築物、HBV遺伝子型Cコアタンパク質についてのコンセンサス配列に連結されたIgEリーダー配列、またはHBV遺伝子型Cコンセンサスコアタンパク質配列であってもよい。
【0072】
いくつかの実施形態において、肝炎抗原は、HBV遺伝子型DコンセンサスコアDNA配列構築物、HBV遺伝子型Dコアタンパク質についてのコンセンサス配列に連結されたIgEリーダー配列、またはHBV遺伝子型Dコンセンサスコアタンパク質配列であってもよい。
【0073】
他の実施形態において、肝炎抗原は、HBV遺伝子型EコンセンサスコアDNA配列構築物、HBV遺伝子型Eコアタンパク質についてのコンセンサス配列に連結されたIgEリーダー配列、またはHBV遺伝子型Eコンセンサスコアタンパク質配列であってもよい。
【0074】
いくつかの実施形態において、肝炎抗原は、HBV遺伝子型FコンセンサスコアDNA配列構築物、HBV遺伝子型Fコアタンパク質についてのコンセンサス配列に連結されたIgEリーダー配列、またはHBV遺伝子型Fコンセンサスコアタンパク質配列であってもよい。
【0075】
他の実施形態において、肝炎抗原は、HBV遺伝子型GコンセンサスコアDNA配列構築物、HBV遺伝子型Gコアタンパク質についてのコンセンサス配列に連結されたIgEリーダー配列、またはHBV遺伝子型Gコンセンサスコアタンパク質配列であってもよい。
【0076】
いくつかの実施形態において、肝炎抗原は、HBV遺伝子型HコンセンサスコアDNA配列構築物、HBV遺伝子型Hコアタンパク質についてのコンセンサス配列に連結されたIgEリーダー配列、またはHBV遺伝子型Hコンセンサスコアタンパク質配列であってもよい。
【0077】
さらに他の実施形態において、肝炎抗原は、HBV遺伝子型Aコンセンサス表面DNA配列構築物、HBV遺伝子型A表面タンパク質についてのコンセンサス配列に連結されたIgEリーダー配列、またはHBV遺伝子型Aコンセンサス表面タンパク質配列であってもよい。
【0078】
いくつかの実施形態において、肝炎抗原は、HBV遺伝子型Bコンセンサス表面DNA配列構築物、HBV遺伝子型B表面タンパク質についてのコンセンサス配列に連結されたIgEリーダー配列、またはHBV遺伝子型Bコンセンサス表面タンパク質配列であってもよい。
【0079】
他の実施形態において、肝炎抗原は、HBV遺伝子型Cコンセンサス表面DNA配列構築物、HBV遺伝子型C表面タンパク質についてのコンセンサス配列に連結されたIgEリーダー配列、またはHBV遺伝子型Cコンセンサス表面タンパク質配列であってもよい。
【0080】
さらに他の実施形態において、肝炎抗原は、HBV遺伝子型Dコンセンサス表面DNA配列構築物、HBV遺伝子型D表面タンパク質についてのコンセンサス配列に連結されたIgEリーダー配列、またはHBV遺伝子型Dコンセンサス表面タンパク質配列であってもよい。
【0081】
いくつかの実施形態において、肝炎抗原は、HBV遺伝子型Eコンセンサス表面DNA配列構築物、HBV遺伝子型E表面タンパク質についてのコンセンサス配列に連結されたIgEリーダー配列、またはHBV遺伝子型Eコンセンサス表面タンパク質配列であってもよい。
【0082】
他の実施形態において、肝炎抗原は、HBV遺伝子型Fコンセンサス表面DNA配列構築物、HBV遺伝子型F表面タンパク質についてのコンセンサス配列に連結されたIgEリーダー配列、またはHBV遺伝子型Fコンセンサス表面タンパク質配列であってもよい。
【0083】
さらに他の実施形態において、肝炎抗原は、HBV遺伝子型Gコンセンサス表面DNA配列構築物、HBV遺伝子型G表面タンパク質についてのコンセンサス配列に連結されたIgEリーダー配列、またはHBV遺伝子型Gコンセンサス表面タンパク質配列であってもよい。
【0084】
他の実施形態において、肝炎抗原は、HBV遺伝子型Hコンセンサス表面DNA配列構築物、HBV遺伝子型H表面タンパク質についてのコンセンサス配列に連結されたIgEリーダー配列、またはHBV遺伝子型Hコンセンサス表面タンパク質配列であってもよい。
【0085】
(b)ヒトパピローマウイルス(HPV)抗原
IL-21は、ヒトパピローマウイルス(HPV)抗原、またはその断片、またはその変異体と結合させるかまたは組み合わせることができる。HPV抗原は、子宮頸癌、直腸癌、及び/または他の癌を引き起こす、HPV 16、18、31、33、35、45、52、および58型に由来してもよい。HPV抗原は、性器疣贅を引き起こし、また頭頸部癌の原因として知られる、HPV 6および11型に由来してもよい。
【0086】
HPV抗原は、各HPV型のHPV E6またはE7ドメインであってもよい。例えば、HPV 16型(HPV16)の場合、HPV16抗原は、HPV16 E6抗原、HPV16 E7抗原、その断片、変異体、または組み合わせを含むことができる。同様に、HPV抗原は、HPV 6 E6および/もしくはE7、HPV 11 E6および/もしくはE7、HPV 18 E6および/もしくはE7、HPV 31 E6および/もしくはE7、HPV 33 E6および/もしくは E7、HPV 52 E6および/もしくはE7、またはHPV 58 E6および/もしくはE7、その断片、変異体、または組み合わせであってもよい。
【0087】
(c)RSV抗原
IL-21は、RSV抗原、またはその断片、またはその変異体と結合させるかまたは組み合わせることができる。RSV抗原は、ヒトRSV融合タンパク質(本明細書において「RSV F」、「RSV Fタンパク質」、および「F タンパク質」とも称される)、またはその断片もしくは変異体であってもよい。ヒトRSV融合タンパク質は、RSVサブタイプAとBとの間に保存することができる。RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23994.1)からのRSV Fタンパク質、またはその断片もしくは変異体であってもよい。RSV抗原は、RSV A2株(GenBank AAB59858.1)からのRSV Fタンパク質、またはその断片もしくは変異体であってもよい。RSV抗原は、RSV Fタンパク質、またはその断片もしくは変異体の単量体、二量体、または三量体であってもよい。RSV抗原は、コンセンサスRSV F アミノ酸配列、またはその断片もしくは変異体であってもよい。RSV抗原は、RSV F アミノ酸配列をコードする最適化された核酸、またはその断片もしくは変異体であってもよい。
【0088】
RSV Fの融合後形態は、免疫動物において高力価の中和抗体を誘発し、動物をRSVへの曝露から保護する。本発明は、特許請求されるワクチンにおいてこの免疫応答を利用する。本発明によれば、RSV Fタンパク質は、融合前形態または融合後形態であってもよい。
【0089】
RSV抗原はまた、ヒトRSV付着糖タンパク質(本明細書において「RSV G」、「RSV Gタンパク質」、および「Gタンパク質」とも称される)、またはその断片もしくは変異体であってもよい。ヒトRSVGタンパク質は、RSVサブタイプAとBとの間で異なる。抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23993)からのRSV Gタンパク質、またはその断片もしくは変異体であってもよい。RSV抗原は、RSVサブタイプB単離菌H5601、RSVサブタイプB単離菌H1068、RSVサブタイプB単離菌H5598、RSVサブタイプB単離菌H1123、またはその断片もしくは変異体からのRSV Gタンパク質であってもよい。RSV抗原は、コンセンサスRSV Gアミノ酸配列、またはその断片もしくは変異体であってもよい。RSV抗原は、RSV Gアミノ酸配列をコードする最適化された核酸、またはその断片もしくは変異体であってもよい。
【0090】
他の実施形態において、RSV抗原は、ヒトRSV非構造タンパク質1(「NS1タンパク質」)、またはその断片もしくは変異体であってもよい。例えば、RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23987.1)からのRSV NS1タンパク質、またはその断片もしくは変異体であってもよい。ヒトRSV抗原はまた、RSV非構造タンパク質2(「NS2 protein」)、またはその断片もしくは変異体であってもよい。例えば、RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23988.1)からのRSV NS2タンパク質、またはその断片もしくは変異体であってもよい。RSV抗原はさらに、ヒトRSVヌクレオカプシド(「N」)タンパク質、またはその断片もしくは変異体であってもよい。例えば、RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23989.1)からのRSV Nタンパク質、またはその断片もしくは変異体であってもよい。RSV抗原は、ヒトRSVリン酸化タンパク質(「P」)タンパク質、またはその断片もしくは変異体であってもよい。例えば、RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23990.1)からのRSV Pタンパク質、またはその断片もしくは変異体であってもよい。RSV抗原はまた、ヒトRSV基質タンパク質(「M」)タンパク質、またはその断片もしくは変異体であってもよい。例えば、RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23991.1)からのRSV Mタンパク質、またはその断片もしくは変異体であってもよい。
【0091】
さらに他の実施形態において、RSV抗原は、ヒトRSV 小疎水性(「SH」)タンパク質、またはその断片もしくは変異体であってもよい。例えば、RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23992.1)からのRSV SHタンパク質、またはその断片もしくは変異体であってもよい。RSV抗原はまた、ヒトRSV 基質タンパク質2-1(「M2-1」)タンパク質、またはその断片もしくは変異体であってもよい。例えば、RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23995.1)からのRSV M2-1タンパク質、またはその断片もしくは変異体であってもよい。RSV抗原はさらに、ヒトRSV 基質タンパク質 2-2(「M2-2」)タンパク質、またはその断片もしくは変異体であってもよい。例えば、RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23997.1)からのRSV M2-2タンパク質、またはその断片もしくは変異体であってもよい。ヒトRSV抗原は、RSVポリメラーゼL(「L」)タンパク質、またはその断片もしくは変異体であってもよい。例えば、RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23996.1)からのRSV Lタンパク質、またはその断片もしくは変異体であってもよい。
【0092】
さらなる実施形態において、RSV抗原は、NS1、NS2、N、P、M、SH、M2-1、M2-2、またはLタンパク質のコンセンサスアミノ酸配列を有することができる。RSV抗原は、ヒトRSVゲノムによってコードされるタンパク質のうちのいずれか1つ等の、ヒトRSVタンパク質または組換え抗原であってもよい。
【0093】
他の実施形態において、RSV抗原は、限定されないが、RSV Long株からのRSV Fタンパク質、RSV Long株からのRSV Gタンパク質、コンセンサスRSV Gアミノ酸配列、RSV Gアミノ酸配列をコードする最適化された核酸、RSV Long株のヒトRSVゲノム、コンセンサスRSV Fアミノ酸配列、RSV Fアミノ酸配列をコードする最適化された核酸、RSV Long株からのRSV NS1タンパク質、RSV Long株からのRSV NS2タンパク質、RSV Long株からのRSV Nタンパク質、RSV Long株からのRSV Pタンパク質、RSV Long株からのRSV Mタンパク質、RSV Long株からのRSV SHタンパク質、RSV Long株からのRSV M2-1タンパク質、RSV Long株からのRSV M2-2タンパク質、RSV Long株からのRSV Lタンパク質、RSVサブタイプB単離菌H5601からのRSV Gタンパク質、RSVサブタイプB単離菌H1068からのRSV Gタンパク質、RSVサブタイプB単離菌H5598からのRSV Gタンパク質、RSVサブタイプB単離菌H1123からのRSV Gタンパク質、またはその断片、またはその変異体であってもよい。
【0094】
(d)インフルエンザ抗原
IL-21は、インフルエンザ抗原、またはその断片、またはその変異体と結合させるかまたは組み合わせることができる。インフルエンザ抗原は、哺乳動物において1つ以上のインフルエンザ血清型に対する免疫応答を誘発することができる抗原である。抗原は、全長翻訳産物HA0、サブユニットHA1、サブユニットHA2、その変異体、その断片、またはそれらの組み合わせを含むことができる。インフルエンザヘマグルチニン抗原は、インフルエンザA血清型H1の複数の株に由来するコンセンサス配列、インフルエンザA血清型H2の複数の株に由来するコンセンサス配列、インフルエンザA血清型H1の異なるセットの複数の株に由来する2つの異なるコンセンサス配列の一部を含有するハイブリッド配列、またはインフルエンザBの複数の株に由来するコンセンサス配列であってもよい。インフルエンザヘマグルチニン抗原は、インフルエンザBに由来してもよい。
【0095】
インフルエンザ抗原は、免疫応答が誘導され得る特定のインフルエンザ免疫原に対して効果的であり得る少なくとも1つの抗原エピトープを含有することもできる。抗原は、免疫原性部位の全レパートリーと、インタクトなインフルエンザウイルス中に存在するエピトープとを提供することができる。抗原は、血清型H1または血清型H2の複数のインフルエンザAウイルス株等の、1つの血清型の複数のインフルエンザAウイルス株からのヘマグルチニン抗原配列に由来し得るコンセンサスヘマグルチニン抗原配列であってもよい。抗原は、2つの異なるコンセンサスヘマグルチニン抗原配列またはその一部を組み合わせることによって得ることができる、ハイブリッドコンセンサスヘマグルチニン抗原配列であってもよい。2つの異なるコンセンサスヘマグルチニン抗原配列の各々は、血清型H1の複数のインフルエンザAウイルス株等の、1つの血清型の異なるセットの複数のインフルエンザAウイルス株に由来してもよい。抗原は、複数のインフルエンザBウイルス株からのヘマグルチニン抗原配列に由来し得るコンセンサスヘマグルチニン抗原配列であってもよい。
【0096】
いくつかの実施形態において、インフルエンザ抗原は、H1 HA、H2 HA、H3 HA、H5 HA、またはBHA抗原であってもよい。代替として、インフルエンザ抗原は、コンセンサスH1アミノ酸配列またはコンセンサスH2アミノ酸配列を含むコンセンサスヘマグルチニン抗原であってもよい。コンセンサスヘマグルチニン抗原は、それぞれ、互いとは異なるセットの配列に由来する2つの異なるコンセンサスH1配列の部分を含む合成ハイブリッドコンセンサスH1配列であってもよい。合成ハイブリッドコンセンサスH1タンパク質であるコンセンサスHA抗原の一例は、U2アミノ酸配列を含むタンパク質である。コンセンサスヘマグルチニン抗原は、コンセンサスBHAアミノ酸配列を含むタンパク質等の、インフルエンザB株からのヘマグルチニン配列に由来するコンセンサスヘマグルチニンタンパク質であってもよい。
【0097】
コンセンサスヘマグルチニン抗原は、1つ以上のさらなるアミノ酸配列要素をさらに含んでもよい。コンセンサスヘマグルチニン抗原は、そのN末端上に、IgEまたはIgGリーダーアミノ酸配列をさらに含んでもよい。コンセンサスヘマグルチニン抗原は、容易に入手可能な抗体によって検出され得る固有の免疫原性エピトープである免疫原性タグをさらに含んでもよい。そのような免疫原性タグの一例は、コンセンサスヘマグルチニンC末端上で連結させることができる9アミノ酸インフルエンザHAタグである。いくつかの実施形態において、コンセンサスヘマグルチニン抗原は、そのN末端上にIgEまたはIgGリーダーアミノ酸配列、そのC末端上にHAタグをさらに含んでもよい。
【0098】
コンセンサスヘマグルチニン抗原は、コンセンサスインフルエンザアミノ酸配列またはその断片および変異体からなるコンセンサスヘマグルチニンタンパク質であってもよい。コンセンサスヘマグルチニン抗原は、非インフルエンザタンパク質配列と、インフルエンザタンパク質配列またはその断片および変異体とを含む、コンセンサスヘマグルチニンタンパク質であってもよい。
【0099】
コンセンサスH1タンパク質の例として、コンセンサスH1アミノ酸配列からなってもよいタンパク質、またはIgEリーダー配列、もしくはHAタグ、もしくはIgEリーダー配列およびHAタグの両方等の追加の要素をさらに含むタンパク質が挙げられる。
【0100】
コンセンサスH2タンパク質の例として、コンセンサスH2アミノ酸配列からなってもよいタンパク質、またはIgEリーダー配列、もしくはHAタグ、もしくはIgEリーダー配列およびHAタグの両方を含むタンパク質が挙げられる。
【0101】
ハイブリッドコンセンサスH1タンパク質の例として、コンセンサスU2アミノ酸配列からなってもよいタンパク質、またはIgEリーダー配列、もしくはHAタグ、もしくはIgEリーダー配列およびHAタグの両方を含むタンパク質が挙げられる。
【0102】
ハイブリッドコンセンサスインフルエンザBヘマグルチニンタンパク質の例として、コンセンサスBHAアミノ酸配列からなってもよいタンパク質が挙げられるか、または該例は、IgEリーダー配列、もしくはHA Tag、もしくはIgEリーダー配列およびHAタグを含んでもよい。
【0103】
コンセンサスヘマグルチニンタンパク質は、コンセンサスヘマグルチニン核酸、その変異体、またはその断片によってコードされ得る。異なる株および変異体からの複数の異なるヘマグルチニン配列に由来するコンセンサス配列であり得るコンセンサスヘマグルチニンタンパク質とは異なり、コンセンサスヘマグルチニン核酸は、コンセンサスタンパク質配列をコードする核酸配列を指し、使用されるコード配列は、コンセンサスヘマグルチニンタンパク質配列が由来する複数の異なるヘマグルチニン配列中の特定のアミノ酸配列をコードするために使用される配列とは異なり得る。コンセンサス核酸配列は、最適化コドン及び/または最適RNAであってもよい。コンセンサスヘマグルチニン核酸配列は、5’非翻訳領域にコザック配列を含んでもよい。コンセンサスヘマグルチニン核酸配列は、リーダー配列をコードする核酸配列を含んでもよい。N末端リーダー配列のコード配列は、ヘマグルチニンコード配列の5’である。N末端リーダーは、分泌を促進することができる。N末端リーダーは、IgEリーダーまたはIgGリーダーであってもよい。コンセンサスヘマグルチニン核酸配列は、免疫原性タグをコードする核酸配列を含むことができる。免疫原性タグは、タンパク質のC末端上にあってもよく、それをコードする配列は、コンセンサスHAコード配列の3’である。免疫原性タグは、それに対して容易に入手可能な抗体が存在する固有のエピトープを提供するため、タンパク質の発現を検出および確認するためのアッセイにおいてそのような抗体を使用することができる。免疫原性タグは、タンパク質のC末端のHAタグであってもよい。
【0104】
(e)ヒト免疫不全ウイルス(HIV)抗原
IL-21は、HIV抗原、またはその断片、またはその変異体と結合させるかまたは組み合わせることができる。HIV抗原は、免疫原について改変されたコンセンサス配列を含むことができる。構築物の免疫原性を増強するためのコドン最適化、RNA最適化、および高効率の免疫グロブリンリーダー配列の付加を含む遺伝的改変が、改変されたコンセンサス配列に含まれてもよい。新規免疫原は、対応するコドン最適化免疫原よりも強く広範な細胞性免疫応答を誘発するように設計することができる。
【0105】
いくつかの実施形態において、HIV抗原は、サブタイプAコンセンサスエンベロープDNA配列構築物、サブタイプAエンベロープタンパク質についてのコンセンサス配列に連結されたIgEリーダー配列、またはサブタイプAコンセンサスエンベロープタンパク質配列であってもよい。
【0106】
他の実施形態において、HIV抗原は、サブタイプBコンセンサスエンベロープDNA配列構築物、サブタイプBエンベロープタンパク質についてのコンセンサス配列に連結されたIgEリーダー配列、またはサブタイプBコンセンサスエンベロープタンパク質配列であってもよい。
【0107】
さらに他の実施形態において、HIV抗原は、サブタイプCコンセンサスエンベロープDNA配列構築物、サブタイプCエンベロープタンパク質についてのコンセンサス配列に連結されたIgEリーダー配列、またはサブタイプCコンセンサスエンベロープタンパク質配列であってもよい。
【0108】
さらなる実施形態において、HIV抗原は、サブタイプDコンセンサスエンベロープDNA配列構築物、サブタイプDエンベロープタンパク質についてのコンセンサス配列に連結されたIgEリーダー配列、またはサブタイプDコンセンサスエンベロープタンパク質配列であってもよい。
【0109】
いくつかの実施形態において、HIV抗原は、サブタイプB Nef-RevコンセンサスエンベロープDNA配列構築物、サブタイプB Nef-Revタンパク質についてのコンセンサス配列に連結されたIgEリーダー配列、またはサブタイプB Nef-Revコンセンサスタンパク質配列であってもよい。
【0110】
他の実施形態において、HIV抗原は、サブタイプA、B、C、およびD DNA配列構築物のGagコンセンサスDNA配列、GagコンセンサスサブタイプA、B、C、およびDタンパク質についてのコンセンサス配列に連結されたIgEリーダー配列、またはコンセンサスGagサブタイプA、B、C、およびDタンパク質配列であってもよい。
【0111】
さらに他の実施形態において、HIV抗原は、MPol DNA配列またはMPolタンパク質配列であってもよい。HIV抗原は、Env A、Env B、Env C、Env D、B Nef-Rev、Gag、またはそれらの組み合わせの核酸またはアミノ酸配列であってもよい。
【0112】
(2)寄生虫抗原
抗原は、寄生虫抗原またはその断片もしくは変異体であってもよい。寄生虫は、原虫、原生動物、または外寄生生物であってもよい。原虫(すなわち、蠕虫)は、扁形動物(例えば、吸虫およびおよび条虫)、鉤頭虫、または線虫(例えば、蟯虫)であってもよい。外寄生生物は、シラミ、ノミ、マダニ、およびコダニであってもよい。
【0113】
寄生虫は、以下の疾患の原因となる任意の寄生虫であってもよい:アカントアメーバ角膜炎、アメーバ症、回虫症、バベシア症、バランチジウム症、アライグマ回虫症、シャーガス病、肝吸虫症、らせん虫感染症、クリプトスポリジウム症、裂頭条虫症、メジナ虫症、エキノコックス症、象皮症、腸蟯虫症、肝蛭症、肥大吸虫症、フィラリア症、ジアルジア症、顎口虫症、膜様条虫症、イソスポーラ症、片山熱、リーシュマニア症、ライム病、マラリア、横川吸虫症、ハエ幼虫症、オンコセルカ症、シラミ寄生症、疥癬、住血吸虫症、睡眠病、糞線虫症、条虫症、トキソカラ症,、トキソプラズマ症、旋毛虫症、および鞭虫症。
【0114】
寄生虫は、アカントアメーバ、アニサキス、回虫、ウマバエ、大腸バランチジウム、トコジラミ、サナダムシ(条虫)、ツツガムシ、ラセンウジバエ、赤痢アメーバ、肝蛭、ランブル鞭毛虫、鉤虫、リーシュマニア、鼻腔舌虫、肝吸虫、ロア糸状虫、パラゴニムス-肺吸虫、蟯虫、熱帯熱マラリア原虫、住血吸虫、糞線虫、コダニ、条虫、トキソプラズマ原虫、トリパノソーマ、鞭虫、またはバンクロフト糸状虫であってもよい。
【0115】
(a)マラリア抗原
IL-21は、マラリア抗原(すなわち、PF抗原またはPF免疫原)、またはその断片、またはその変異体と結合させるかまたは組み合わせることができる。抗原は、マラリアの原因となる寄生虫に由来し得る。マラリアの原因となる寄生虫は、熱帯熱マラリア原虫であってもよい。熱帯熱マラリア原虫抗原は、サーカムスポロゾイト(CS)抗原を含むことができる。
【0116】
いくつかの実施形態において、マラリア抗原は、熱帯熱マラリア原虫免疫原CS、LSA1、TRAP、CelTOS、およびAma1のうちの1つ以上をコードするプラスミド等の核酸分子であってもよい。免疫原は、全長タンパク質、または全長タンパク質の免疫原性断片であってもよい。免疫原は、発現の向上のためにコンセンサス配列及び/または改変を含むことができる。
【0117】
他の実施形態において、マラリア抗原は、GenBankデータベース中の全ての全長熱帯熱マラリア原虫TRAP/SSP2配列(合計28配列)のコンパイルから設計された、SSP2とも称されるTRAPのコンセンサス配列であってもよい。コンセンサスTRAP免疫原(すなわち、ConTRAP免疫原)は、IgEまたはIgGシグナルペプチド等の免疫グロブリンシグナルペプチド等のシグナルペプチドを含んでもよく、いくつかの実施形態において、HAタグを含んでもよい。
【0118】
さらに他の実施形態において、マラリア抗原は、CelTOSであってもよく、これはまたAg2とも称され、高度に保存されたマラリア原虫抗原である。コンセンサスCelTOS抗原(すなわち、ConCelTOS免疫原)は、IgEまたはIgGシグナルペプチド等の免疫グロブリンシグナルペプチド等のシグナルペプチドを含んでもよく、いくつかの実施形態において、HAタグを含んでもよい。
【0119】
さらなる実施形態において、マラリア抗原は、高度に保存されたマラリア原虫抗原であるAma1であってもよい。マラリア抗原はまた、いくつかの例において、IgEまたはIgGシグナルペプチド等の免疫グロブリンシグナルペプチド等のシグナルペプチドを含み、いくつかの実施形態において、HAタグを含んでもよい、Ama1(すなわち、ConAmaI免疫原)のコンセンサス配列であってもよい。
【0120】
いくつかの実施形態において、マラリア抗原は、いくつかの例において、IgEまたはIgGシグナルペプチド等の免疫グロブリンシグナルペプチド等のシグナルペプチドを含み、いくつかの実施形態において、HAタグを含んでもよい、コンセンサスCS抗原(すなわち、コンセンサスCS免疫原)であってもよい。
【0121】
他の実施形態において、マラリア抗原は、本明細書に記載されるPFタンパク質のうちの2つ以上の組み合わせを含む融合タンパク質であってもよい。例えば、融合タンパク質は、コンセンサスCS免疫原、ConLSA1免疫原、ConTRAP免疫原、ConCelTOS免疫原、および互いに直接隣接して連結するか、または間にスペーサーもしくはもう1つのアミノ酸を伴って連結するConAma1免疫原のうちの2つ以上を含んでもよい。いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、2つのPF免疫原を含む。いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、3つのPF免疫原を含む。いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、4つのPF免疫原を含む。いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、5つのPF免疫原を含む。
【0122】
2つのコンセンサスPF免疫原を有する融合タンパク質は、CSおよびLSA1、CSおよびTRAP、CSおよびCelTOS、CSおよびAma1、LSA1およびTRAP、LSA1およびCelTOS、LSA1およびAma1、TRAPおよびCelTOS、TRAPおよびAma1、またはCelTOSおよびAma1を含んでもよい。3つのコンセンサスPF免疫原を有する融合タンパク質は、CS、LSA1およびTRAP、CS、LSA1およびCelTOS、CS、LSA1およびAma1、LSA1、TRAPおよびCelTOS、LSA1、TRAPおよびAma1、またはTRAP、CelTOSおよびAma1を含んでもよい。4つのコンセンサスPF免疫原を有する融合タンパク質は、CS、LSA1、TRAPおよびCelTOS、CS、LSA1、TRAPおよびAma1、CS、LSA1、CelTOSおよびAma1、CS、TRAP、CelTOSおよびAma1、またはLSA1、TRAP、CelTOSおよびAma1を含んでもよい。5つのコンセンサスPF免疫原を有する融合タンパク質は、CSまたはCS-alt、LSA1、TRAP、CelTOSおよびAma1を含んでもよい。
【0123】
いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、N末端に連結したシグナルペプチドを含む。いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、各コンセンサスPF免疫原のN末端に連結した複数のシグナルペプチドを含む。いくつかの実施形態において、融合タンパク質のPF免疫原の間にスペーサーが含まれてもよい。いくつかの実施形態において、融合タンパク質のPF免疫原の間のスペーサーは、タンパク質分解切断部位であってもよい。いくつかの実施形態において、スペーサーは、ワクチンが投与される及び/または取り込まれることが意図される細胞に見出されるプロテアーゼによって認識されるタンパク質分解切断部位であってもよい。いくつかの実施形態において、スペーサーが融合タンパク質のPF免疫原の間に含まれてもよく、スペーサーは、ワクチンが投与される及び/または取り込まれることが意図される細胞に見出されるプロテアーゼによって認識されるタンパク質分解切断部位であり、切断されると、各コンセンサスPF免疫原のシグナルペプチドが、それぞれのコンセンサスPF免疫原を細胞外に移動させるように、融合タンパク質は、各コンセンサスPF免疫原のN末端に連結された複数のシグナルペプチドを含む。
【0124】
(3)細菌抗原
抗原は、細菌抗原またはその断片もしくは変異体であってもよい。細菌は、以下の門のうちのいずれか1つであってもよい:アシドバクテリウム門、放線菌門、アクウィフェクス門、バクテロイデス門、カルディセリクム門、クラミジア門、緑色硫黄細菌門、緑色非硫黄細菌門、クリシオゲネス門、シアノバクテリア門、ディクチオグロムス門、デイノコックス・テルムス門、フィブロバクター門、ファーミキューテス門、フソバクテリウム門、ジェマティモナス門、ニトロスピラ門、プランクトミケス門、プロテオバクテリア門、スピロヘータ門、シネルギステス門、テネリクテス門、サーモデスルフォバクテリア門、テルモトガ門、およびウェルコミクロビウム門。
【0125】
細菌は、グラム陽性細菌またはグラム陰性細菌であってもよい。細菌は、好気性細菌または嫌気性細菌であってもよい。細菌は、独立栄養細菌または従属栄養細菌であってもよい。細菌は、中温菌、好中球菌、好極限性細菌、好酸球菌、好アルカリ菌、好熱菌、低温菌、好塩菌、または好濃菌であってもよい。
【0126】
細菌は、炭疽菌、抗生物質耐性菌、原因菌、食中毒菌、感染性細菌、サルモネラ菌、ブドウ球菌、連鎖球菌、または破傷風菌であってもよい。細菌は、マイコバクテリア、破傷風菌、ペスト菌、バチルス・アントラシス、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、またはクロストリジウム・ディフィシルであってもよい。
【0127】
(a)結核菌抗原
IL-21は、結核菌抗原(すなわち、TB抗原またはTB免疫原)、またはその断片、またはその変異体と結合させるかまたは組み合わせることができる。TB抗原は、TB抗原のAg85ファミリー、例えば、Ag85AおよびAg85Bに由来してもよい。TB抗原は、TB抗原のEsxファミリー、例えば、EsxA、EsxB、EsxC、EsxD、EsxE、EsxF、EsxH、EsxO、EsxQ、EsxR、EsxS、EsxT、EsxU、EsxV、およびEsxWに由来してもよい。
【0128】
いくつかの実施形態において、TB抗原は、Ag85ファミリーおよびEsxファミリーからの結核菌免疫原のうちの1つ以上をコードする、プラスミド等の異種核酸分子であってもよい。免疫原は、全長タンパク質、または全長タンパク質の免疫原性断片であってもよい。免疫原は、発現の向上のためにコンセンサス配列及び/または改変を含むことができる。コンセンサス免疫原は、IgEまたはIgGシグナルペプチド等の免疫グロブリンシグナルペプチド等のシグナルペプチドを含んでもよく、いくつかの実施形態において、HAタグを含んでもよい。
【0129】
(b)ディフィシル菌抗原
IL-21は、ディフィシル菌抗原(すなわち、CD抗原またはCD免疫原)、またはその断片、またはその変異体と結合させるかまたは組み合わせることができる。CD抗原はトキシンAまたはトキシンBであり得る。いくつかの実施形態において、CD抗原は、トキシンA、トキシンBまたはトキシンAとトキシンBの両方をコードするプラスミドなどの異種核酸分子であり得る。CD抗原は、全長タンパク質または全長タンパク質の免疫原性断片であってもよい。CD抗原は、発現の向上のためのコンセンサス配列及び/または改変を含むことができる。CD抗原は、例えばIgEまたはIgGシグナルペプチド等の免疫グロブリンシグナルペプチド等のシグナルペプチドを含むことができ、いくつかの実施形態において、HAタグを含むことができる。
【0130】
(4)真菌抗原
抗原は、真菌抗原またはその断片もしくは変異体であってもよい。真菌は、コウジカビ種、ブラストミセス・デルマチチジス、カンジタ酵母(例えば、カンジダ・アルビカンス)、コクシジオイデス、クリプトコッカス・ネオフォルマンス、クリプトコッカス・ガッティ、皮膚糸状菌、フサリウム種、ヒストプラズマ・カプスラーツム、ケカビ亜門、ニューモシスチス・ジロベシ、スポロトリクス・シェンキイ、エクセロヒルム、またはクラドスポリウムであってもよい。
【0131】
c.ベクター
ワクチンは、抗原をコードする1つ以上の異種核酸を含む1つ以上のベクターと、アジュバントとを含むことができる。1つ以上のベクターは、抗原およびアジュバントを発現させることが可能であり得る。1つ以上のベクターは、一般的に、標的細胞に特定の遺伝子を導入するために使用されるプラスミドである、発現構築物であってもよい。一旦、発現ベクターが細胞内に入ると、細胞の転写および翻訳機構であるリボソーム複合体によって、遺伝子によってコードされるタンパク質が産生される。プラスミドは、エンハンサーおよびプロモーター領域として作用し、発現ベクター上で行われる遺伝子の効率的な転写をもたらす調節配列を含有するように遺伝子操作されることが多い。本発明のベクターは、大量の安定なメッセンジャーRNA、ひいてはタンパク質を発現する。
【0132】
ベクターは、強力なプロモーター、強力な終止コドン、プロモーターとクローン化遺伝子との間の距離の調節、ならびに転写終結配列およびPTIS(ポータブル翻訳開始配列)の挿入等の発現シグナルを有してもよい。
【0133】
(1)発現ベクター
ベクターは、環状プラスミドまたは線状核酸であってもよい。環状プラスミドおよび線状核酸は、適切な対象細胞において特定の異種ヌクレオチド配列の発現を導くことができる。ベクターは、終止シグナルに作動可能に連結されてもよい、抗原をコードするヌクレオチド配列またはアジュバントをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモーターを有することができる。ベクターはまた、ヌクレオチド配列の適切な翻訳に必要な配列を含有することもできる。対象となるヌクレオチド配列を含むベクターは、キメラであってもよく、すなわち、その成分のうちの少なくとも1つが、その他の成分のうちの少なくとも1つに対して異種であることを意味する。発現カセットにおけるヌクレオチド配列の発現は、宿主細胞がある特定の外的刺激に曝露された時にのみ転写を開始する、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターの制御下にあってもよい。多細胞生物の場合、プロモーターはまた、特定の組織または器官または発達段階に特異的であってもよい。
【0134】
(2)環状および線状ベクター
ベクターは、細胞ゲノムへの取り込みによって標的細胞を形質転換することができるか、または染色体外に存在し得る、環状プラスミドであってもよい(例えば、複製起点を有するプラスミドの自律増殖)。
【0135】
ベクターは、pVAX、pcDNA3.0、もしくはprovaxであるか、または抗原もしくはアジュバントをコードする異種DNAを発現することが可能であり、かつ細胞が配列を免疫系によって認識される抗原に翻訳できるようにする任意の他の発現ベクターであるか、またはアジュバントであってもよい。
【0136】
また、電気穿孔を介して対象に効率的に送達され得、1つ以上の所望の抗原及び/または1つ以上の所望の所望のアジュバントを発現する、線状核酸ワクチンまたは線状発現カセット(「LEC」)も本明細書に提供される。LECは、いずれのリン酸主鎖も持たない任意の線状DNAであってもよい。DNAは、1つ以上の抗原及び/または1つ以上のアジュバントをコードすることができる。LECは、プロモーター、イントロン、終止コドン、及び/またはポリアデニル化シグナルを含有してもよい。抗原またはアジュバントの発現は、プロモーターによって制御されてもよい。LECは、いずれの抗生物質耐性遺伝子及び/またはリン酸主鎖も含有しなくてもよい。LECは、所望の抗原遺伝子発現または所望のアジュバント発現と無関係の他の核酸配列を含有しなくてもよい。
【0137】
LECは、直線化され得る任意のプラスミドに由来してもよい。プラスミドは、抗原及び/またはアジュバントを発現することが可能であり得る。プラスミドは、pNP(Puerto Rico/34)またはpM2(New Caledonia/99)であってもよい。プラスミドは、WLV009、pVAX、pcDNA3.0、もしくはprovaxであるか、または抗原をコードするかもしくはアジュバントをコードするDNAを発現することが可能であり、かつ細胞が配列を免疫系によって認識される抗原に翻訳できるようにする任意の他の発現ベクターであるか、またはアジュバントであってもよい。
【0138】
LECは、pcrM2であってもよい。LECは、pcrNPであってもよい。pcrNPおよびpcrMRは、それぞれ、pNP(Puerto Rico/34)およびpM2(New Caledonia/99)に由来してもよい。
【0139】
(3)プロモーター、イントロン、終止コドン、およびポリアデニル化シグナル
ベクターは、プロモーターであってもよい。プロモーターは、遺伝子発現を駆動することおよび単離核酸の発現を調節することが可能ないずれのプロモーターであってもよい。そのようなプロモーターは、本明細書に記載の抗原配列またはアジュバント配列を転写する、DNA依存性RNAポリメラーゼを介した転写に必要なシス作用配列要素である。異種核酸の発現を導くために使用されるプロモーターの選択は、特定の用途に依存する。プロモーターは、その天然環境における転写開始部位からの距離とほぼ同じ距離だけベクターにおける転写開始部位から離れて位置してもよい。しかしながら、プロモーター機能を喪失することなく、この距離の変動は受け入れられ得る。
【0140】
プロモーターは、抗原をコードする核酸配列に作動可能に連結されてもよく、転写物の効率的なポリアデニル化、リボソーム結合部位、および翻訳終結に必要なシグナルであってもよい。プロモーターは、アジュバントをコードする核酸配列に作動可能に連結されてもよく、転写物の効率的なポリアデニル化、リボソーム結合部位、および翻訳終結に必要なシグナルであってもよい。
【0141】
プロモーターは、CMVプロモーター、SV40初期プロモーター、SV40後期プロモーター、メタロチオネインプロモーター、マウス乳癌ウイルスプロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、ポリヘドリンプロモーター、または真核細胞における発現に効果的であることが示されている別のプロモーターであってもよい。
【0142】
ベクターは、エンハンサーと、機能的なスプライスドナー部位およびアクセプター部位を有するイントロンとを含んでもよい。ベクターは、効率的な終結を提供するために、構造遺伝子の下流に転写終結部位を含有してもよい。終止部位は、プロモーター配列と同じ遺伝子から得られてもよいか、または異なる遺伝子から得られてもよい。
【0143】
d.ワクチンの賦形剤および他の成分
ワクチンは、薬学的に許容される賦形剤をさらに含んでいてもよい。薬学的に許容される賦形剤は、ビヒクル、IL-21以外のアジュバント、担体、または希釈剤等の機能性分子であり得る。薬学的に許容される賦形剤は、トランスフェクション促進剤であってもよく、これには、免疫刺激複合体(ISCOMS)等の界面活性剤、フロイント不完全アジュバント、モノホスホリルリピドAを含むLPS類似体、ムラミルペプチド、キノン類似体、スクアレンおよびスクアレン等の小胞体、ヒアルロン酸、脂質、リポソーム、カルシウムイオン、ウイルス性タンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、またはナノ粒子、あるいは他の既知のトランスフェクション促進剤が挙げられる。
【0144】
トランスフェクション促進剤は、ポリ-L-グルタマート(LGS)をはじめとするポリアニオン、ポリカチオン、または脂質であり得る。トランスフェクション促進剤は、ポリ-L-グルタマートであり得、ポリ-L-グルタマートは、6mg/ml未満の濃度でワクチン中に存在し得る。トランスフェクション促進剤は、界面活性剤、例えば免疫刺激複合体(ISCOMS)、フロイント不完全アジュバント、モノホスホリル脂質AをはじめとするLPS類似体、ムラミルペプチド、キノン類似体、ならびにスクアレンおよびスクアレンなどの小胞も含み得る。ヒアルロン酸も、遺伝子構築物と一体化させて、使用または投与され得る。DNAプラスミドワクチンは、トランスフェクション促進剤、例えば脂質、レシチンリポソームまたはDNAリポソーム混合物(例えば、国際特許第09324640号を参照)として当該技術分野で公知の他のリポソームをはじめとするリポソーム、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、もしくはナノ粒子、または他の公知のトランスフェクション促進剤を含んでいてもよい。ワクチン中のトランスフェクション剤の濃度は、4mg/ml未満、2mg/ml未満、1mg/ml未満、0.750mg/ml未満、0.500mg/ml未満、0.250mg/ml未満、0.100mg/ml未満、0.050mg/ml未満、または0.010mg/ml未満である。
【0145】
薬学的に許容される賦形剤は、IL-21のほかに、アジュバントであり得る。追加のアジュバントは、別のプラスミドに発現されるか、またはワクチンにおいて上述のプラスミドと組み合わせたタンパク質として送達される、他の遺伝子であってもよい。アジュバントは、α-インターフェロン(IFN-α)、β-インターフェロン(IFN-β)、γ-インターフェロン、血小板由来成長因子(PDGF)、TNFα、ΤΝFβ、GM-CSF、上皮成長因子(EGF)、皮膚T細胞誘引ケモカイン(CTACK)、上皮胸腺発現ケモカイン(TECK)、粘膜関連上皮ケモカイン(MEC)、IL-12、IL-15、MHC、CD80、シグナル配列が欠失したIL-15を含み、かつ任意でIgE由来のシグナルペプチドを含むCD86からなる群から選択することができる。アジュバントは、IL-12、IL-15、IL-28、CTACK、TECK、血小板由来成長因子(PDGF)、TNFα、TNFβ、GM-CSF、上皮成長因子(EGF)、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、IL-12、IL-18、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0146】
IL-21のほかに、アジュバントとして有用であり得る他の遺伝子としては、MCP-1、MIP-la、MIP-1p、IL-8、RANTES、L-セレクチン、P-セレクチン、E-セレクチン、CD34、GlyCAM-1、MadCAM-1、LFA-1、VLA-1、Mac-1、pl50.95、PECAM、ICAM-1、ICAM-2、ICAM-3、CD2、LFA-3、M-CSF、G-CSF、IL-4、IL-18の突然変異体形態、CD40、CD40L、血管成長因子、線維芽細胞成長因子、IL-7、神経成長因子、血管内皮成長因子、Fas、TNF受容体、Flt、Apo-1、p55、WSL-1、DR3、TRAMP、Apo-3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL-R2、TRICK2、DR6、Caspase ICE、Fos、c-jun、Sp-1、Ap-1、Ap-2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IkB、不活性NIK、SAP K、SAP-1、JNK、インターフェロン応答遺伝子、NFkB、Bax、TRAIL、TRAILrec、TRAILrecDRC5、TRAIL-R3、TRAIL-R4、RANK、RANK LIGAND、O×40、O×40 LIGAND、NKG2D、MICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、TAP1、TAP2、およびそれらの機能性フラグメントをコードする遺伝子が挙げられる。
【0147】
ワクチンは、参照により完全に組み込まれた、1994年4月1日出願の米国特許出願第021,579号に記載されるように遺伝子ワクチン促進剤をさらに含んでいてもよい。
【0148】
ワクチンは、用いられる投与様式に従って配合できる。注射可能なワクチン医薬組成物は、滅菌されており、パイロジェンフリーおよび微粒子フリーであり得る。等張性配合剤または溶液を、用いることができる。等張性のための添加剤として、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトールおよびラクトースを挙げることができる。ワクチンは、血管収縮剤を含んでもよい。等張溶液には、リン酸緩衝食塩水を挙げることができる。ワクチンは、ゼラチンおよびアルブミンをはじめとする安定化剤をさらに含み得る。LGSまたはポリカチオンまたはポリアニオンなど、安定化剤により、配合剤を室温または周囲温度で長時間安定させることができる。
【0149】
3.ワクチン接種の方法
本発明はまた、ワクチンの異なる投与経路により、対象において免疫応答を増強するための方法も対象とする。免疫応答の増強は、対象において疾患を治療及び/または予防するために使用することができる。
【0150】
本方法は、本明細書に開示されるワクチンを対象に投与することを含むことができる。ワクチンを投与された対象は、抗原を単独で投与された対象と比較して、増強またはブーストされた免疫応答を有することができる。いくつかの実施形態において、ワクチンを投与された対象における免疫応答を、約18%~約650%増強することができる。代替として、ワクチンを投与された対象における免疫応答は、約45%~約260%増強され得る。さらに他の代替の実施形態において、ワクチンを投与された対象における免疫応答は、約93%~約130%増強され得る。
【0151】
他の実施形態において、投与されたワクチンは、対象における免疫応答を少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、または少なくとも約10倍増強またはブーストすることができる。
【0152】
ワクチンの用量は、1μg~10mg活性成分/体重1kg/時間であってもよく、20μg~10mg成分/体重1kg/時間であってもよい。ワクチンは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、または31日ごとに投与することができる。効果的な治療のためのワクチン服用回数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10回であってもよい。
【0153】
a.投与
ワクチンは、製薬技術の当業者に周知の標準的技術に従って製剤化することができる。そのような組成物は、特定の患者の年齢、性別、体重、および状態、ならびに投与経路等の要因を考慮に入れて、医療技術の当業者に周知の投与量で、そのような技術によって投与することができる。対象は、ヒト、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ネコ、イヌ、ラット、またはマウス等の哺乳動物であってもよい。
【0154】
ワクチンは、予防的にまたは治療的に投与することができる。予防的投与において、ワクチンは、免疫応答を誘導するのに十分な量で投与することができる。治療的投与において、ワクチンは、治療効果を誘発するのに十分な量で、それを必要とする対象に投与される。これを達成するための適切な量は、「治療有効用量」として定義される。この使用に効果的な量は、例えば、投与されるワクチン投与計画の特定の組成、投与様式、疾患の段階および重症度、患者の一般的健康状態、ならびに処方医師の判断に依存する。
【0155】
ワクチンは、Donnelly et al.(Ann.Rev.Immunol.15:617-648(1997));Felgner et al.(米国特許第5,580,859号、1996年12月3日発行);Felgner et al.(米国特許第5,703,055号、1997年12月30日発行);およびCarson et al.(米国特許第5,679,647号、1997年10月21日発行)(これら全ての内容は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)に記載されるような当該技術分野で周知の方法によって投与することができる。ワクチンのDNAは、例えば、ワクチン銃を使用して個体に投与することができる粒子またはビーズに複合化することができる。当業者は、生理学的に許容される化合物を含む薬学的に許容される担体の選択は、例えば、発現ベクターの投与経路に依存することを知っている。
【0156】
ワクチンは、様々な経路を介して送達することができる。典型的な送達経路は、非経口投与、例えば、皮内、筋肉内、または皮下送達を含む。他の経路は、経口投与、鼻腔内、および膣内経路を含む。特定のワクチンのDNAのために、個体の組織の間質空間にワクチンを送達することができる(Felgner et al.、米国特許第5,580,859号および第5,703,055号)(これら全ての内容は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)。ワクチンはまた、筋肉に投与することができるか、または皮内もしくは皮下注射を介して投与することができるか、または経皮的に投与する(イオン導入法による等)ことができる。また、ワクチンの表皮投与も用いることができる。表皮投与は、刺激物質に対する免疫応答を刺激するために表皮の最外層を機械的または化学的に刺激することを含むことができる(Carson et al.、米国特許第5,679,647号、その内容は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)。
【0157】
ワクチンはまた、鼻腔を介した投与用に製剤化することもできる。担体が固体である場合、経鼻投与に好適な製剤は、例えば、鼻から吸い込む様式で、すなわち、鼻の近くに維持された粉末の容器から鼻腔を通して急速に吸入することによって投与される、約10~約500ミクロンの範囲の粒径を有する粗粉末を含むことができる。製剤は、鼻腔スプレー、点鼻薬、または噴霧器によるエアロゾル投与によるものであってもよい。製剤は、ワクチンの水性または油性溶液を含むことができる。
【0158】
ワクチンは、懸濁液、シロップ剤、またはエリキシル剤等の液体製剤であってもよい。ワクチンはまた、滅菌懸濁液または乳濁液等の、非経口、皮下、皮内、筋肉内、または静脈内投与(例えば、注射剤の投与)のための製剤であってもよい。
【0159】
ワクチンは、リポソーム、微粒子、または他のポリマー基質に組み込むことができる(Felgner et al.、米国特許第5,703,055号; Gregoriadis, Liposome Technology, Vols.Ito III(2nd ed.1993)(その内容は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)。リポソームは、リン脂質または他の脂質からなってもよく、比較的単純に作製および投与される、無毒性の、生理学的に許容される、代謝可能な担体であり得る。
【0160】
ワクチンは、米国特許第7,664,545号(その内容は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載される方法等を用いて、電気穿孔により投与することができる。電気穿孔は、米国特許第6,302,874号、第5,676,646号、第6,241,701号、第6,233,482号、第6,216,034号、第6,208,893号、第6,192,270号、第6,181,964号、第6,150,148号、第6,120,493号、第6,096,020号、第6,068,650号、および第5,702,359号(その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載される方法及び/または装置によるものであってもよい。電気穿孔は、低侵襲性デバイスによって実行されてもよい。
【0161】
低侵襲性電気穿孔デバイス(「MID」)は、前述のワクチンおよび関連する流体を体組織に注入するための装置であってもよい。デバイスは、中空針、DNAカセット、および流体送達手段を備えてもよく、デバイスは、体組織に針を挿入している間に同時に(例えば、自動的に)DNAを前記体組織に注入するために流体送達手段を作動させて使用するように構成される。これは、針が挿入されている間にDNAおよび関連する流体を徐々に注入する能力によって、体組織中に流体のより均一な分布をもたらすという利点を有する。注入中に経験される疼痛は、注入されるDNAがより広い領域にわたって分布されるために軽減され得る。
【0162】
MIDは、針を使用することなく、ワクチンを組織に注入することができる。MIDは、ワクチンを小さな流れまたは噴流として注入することができ、そのような力を用いると、ワクチンは、組織表面を貫通して下層の組織及び/または筋肉に進入する。小さな流れまたは噴流の原動力は、一瞬のうちに微小開口部を通る二酸化炭素等の圧縮ガスの 膨脹によって提供されてもよい。低侵襲性電気穿孔デバイス、およびそれらの使用方法の例は、公開されている米国特許出願第20080234655号、米国特許第6,520,950号、米国特許第7,171,264号、米国特許第6,208,893号、米国特許第6,009,347号、米国特許第6,120,493号、米国特許第7,245,963号、米国特許第7,328,064号、および米国特許第6,763,264号に記載される(それらの各々の内容は、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0163】
MIDは、疼痛を伴わずに液体の高速噴流を形成する注射器を備えてもよい。そのような無針注射器は市販されている。本明細書で利用され得る無針注射器の例は、米国特許第3,805,783号、第4,447,223号、第5,505,697号、および第4,342,310号に記載されるものを含む(それらの各々の内容は、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0164】
直接的または間接的な電気輸送に好適な形態の所望のワクチンは、通常、ワクチンを組織内に浸透させるのに十分な力を用いて、薬剤の噴流の送達を始動させるために組織表面に注射器を接触させることにより、無針注射器を使用して治療されるべき組織内に導入(例えば、注入)することができる。例えば、治療されるべき組織が粘膜、皮膚、または筋肉である場合、薬剤は、角質層を通って真皮層内にまたは下層の組織および筋肉に浸透させるのに十分な力で、それぞれ、粘膜表面または皮膚表面に向けて発射される。
【0165】
無針注射器は、全ての種類の組織、特に皮膚および粘膜にワクチンを送達するのに非常に適している。いくつかの実施形態において、無針注射器は、表面および対象の皮膚または粘膜内にワクチンを含有する液体を推進するために使用されてもよい。本発明の方法を使用して治療することができる種々の種類の組織の代表的な例は、膵臓、喉頭、鼻咽頭、下咽頭、中鵜咽頭、唇、喉、肺、心臓、腎臓、筋肉、乳房、結腸、前立腺、胸腺、睾丸、皮膚、粘膜組織、卵巣、血管、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0166】
MIDは、組織を電気穿孔する針電極を有してもよい。例えば、長方形または正方形のパターンに設定された複数電極アレイにおいて複数対の電極間でパルスを発生させることにより、一対の電極間のパルシングよりも優れた改善された結果を提供する。例えば、米国特許第5,702,359号、標題「Needle Electrodes for Mediated Delivery of Drugs and Genes」に、治療的処置の間に複数対の針にパルスを印加できる針のアレイが開示されている。参照により完全に記載されるように本明細書に組み込まれるその用途において、針は、環状アレイに配置されるが、対向する針電極間でパルシングを可能にするコネクタおよび切替装置を有する。組換え発現ベクターを細胞に送達するための一対の針電極が使用されてもよい。そのようなデバイスおよびシステムは、米国特許第6,763,264号に記載されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。代替として、通常の注射針に似た単一針を用いてDNAの注入および電気穿孔を可能にし、現在使用されているデバイスによって送達されるよりも低い電圧のパルスを印加し、そのため患者が経験する電気刺激を軽減する、単一針デバイスが使用されてもよい。
【0167】
MIDは、1つ以上の電極アレイを備えてもよい。アレイは、同じ直径または異なる直径の2本以上の針を備えてもよい。針は、均一または不均一に離間されてもよい。針は、0.005 インチ~0.03インチ、0.01 インチ~0.025インチ、または0.015 インチ~0.020インチであってもよい。針は、0.0175インチの直径であってもよい。針は、0.5mm、1.0mm、1.5mm、2.0mm、2.5mm、3.0mm、3.5mm、4.0mm、またはそれ以上離間されてもよい。
【0168】
MIDは、パルス発生器と、ワクチンおよび電気穿孔パルスを単一ステップで送達する、2本以上の針を有するワクチン注射器とから構成されてもよい。パルス発生器は、フラッシュカードで操作されるパーソナルコンピュータを介したパルスおよび注入パラメータの柔軟なプログラミング、ならびに電気穿孔および患者データの包括的な記録および格納を可能にし得る。パルス発生器は、短期間の間に様々な電圧パルスを送達することができる。例えば、パルス発生器は、100msの期間に15電圧パルスを3回送達することができる。そのようなMIDの一例は、Inovio Biomedical CorporationによるElgen 1000システムであり、米国特許第7,328,064号に記載されている(その内容は、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0169】
MIDは、体内または植物内の選択された組織の細胞へのDNA等の高分子の導入を促進するモジュール電極システムである、CELLECTRA(Inovio Pharmaceuticals、Blue Bell PA)デバイスおよびシステムであってもよい。モジュール電極システムは、複数の針電極、皮下注射針、プログラム可能な定電極パルス制御器から複数の針電極に導電性接続を提供する電気コネクタ、および電源を備えてもよい。操作者は、支持構造体に載置された複数の針電極を把持し、それらを体内または植物内の選択された組織へしっかりと挿入することができる。次いで、選択された組織への皮下注射針により高分子が送達される。プログラム可能な定電流制御器が作動し、定電流電気パルスを複数の針電極に印加する。印加された定電流電気パルスは、複数の電極間において高分子の細胞内への導入を促進する。定電流パルスにより組織内の電力散逸を制限することによって、細胞の過熱による細胞死が最小限に抑えられる。Cellectraデバイスおよびシステムは、米国特許第7,245,963号に記載されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0170】
MIDは、Elgen 1000システム(Inovio Pharmaceuticals)であってもよい。Elgen 1000システムは、中空針および流体送達手段を提供するデバイスを備えてもよく、該装置は、体組織に針を挿入している間に同時に(例えば、自動的に)本明細書に記載の所望のワクチンを前記体組織に注入するために流体送達手段を作動させて使用するように構成される。針が挿入されている間に流体を徐々に注入する能力によって、体組織を通して流体のより均一な分布がもたらされることは利点である。また、注入中に経験される疼痛は、注入される流体の体積がより広い領域にわたって分布されるために軽減されると考えられる。
【0171】
さらに、流体の自動注入が、注入される流体の実際量の自動監視および登録を容易にする。このデータは、必要に応じて文書化の目的で制御装置によって格納されてもよい。
【0172】
注入の速度は、直線的または非直線的のいずれかであってもよいこと、ならびに、注入は、治療されるべき対象の皮膚を通して針が挿入された後、およびそれらが体組織内にさらに挿入されている間に実行され得ることを理解されたい。
【0173】
本発明の装置によって流体を注入することができる好適な組織は、腫瘍組織、皮膚または肝組織を含むが、筋組織であってもよい。
【0174】
装置はさらに、体組織への針の挿入を誘導するための針挿入手段を備える。流体注入の速度は、針の挿入速度によって制御される。これは、挿入の速度が所望の注入の速度と一致し得るように針の挿入と流体の注入の両方を制御することができるという利点を有する。このことはまた、装置をユーザが操作し易くする。必要に応じて、体組織に自動的に針を挿入するための手段が提供されてもよい。
【0175】
ユーザは、流体の注入を開始する時を選択することができる。しかしながら、理想的には、針の先端が筋組織に到達した時に注入が開始され、装置は、流体の注入を開始するのに十分な深さまで針が挿入された場合に感知するための手段を含んでもよい。これは、針が所望の深さ(通常、筋組織が始まる深さ)に到達した時に流体の注入が自動的に開始するよう促すことができることを意味する。筋組織が始まる深さは、例えば、4mmの値等の本発明の針の挿入深さであると解釈されてもよく、それは針が皮膚層を通過するのに十分であると見なされる。
【0176】
感知手段は、超音波プローブを備えてもよい。感知手段は、インピーダンスまたは抵抗の変化を感知するための手段を備えてもよい。この場合、該手段は、それ自体では体組織内の針の深さを記録することはできないかもしれないが、むしろ、針が異なる種類の体組織から筋肉内へと移動した場合にインピーダンスまたは抵抗の変化を感知するように構成される。これらの代替手段のいずれも、注入が開始し得ることを感知する比較的正確で操作が単純な手段を提供する。針の挿入の深さは、必要に応じてさらに記録されてもよく、針挿入の深さが記録されると注入される流体の体積が決定されるように流体の注入を制御するために使用することができる。
【0177】
装置は、針を支持するための基部と、その中に基部を受容するための筐体とをさらに備えてもよく、基部が筐体に対して第1の後方位置にある場合、筐体内で針が後退し、基部が筐体内で第2の前方位置にある場合、針が筐体から伸長するように、基部は筐体に対して移動可能である。筐体は、患者の皮膚上に並べることができ、次いで、筐体を基部に対して移動させることによって針を患者の皮膚内に挿入することができるため、これはユーザにとって有利である。
【0178】
前述のように、針が皮膚に挿入されると流体が針の長さにわたって均一に分布されるように、制御された流体の注入速度を達成することが望ましい。流体送達手段は、制御された速度で流体を注入するように構成されるピストン駆動手段を備えてもよい。ピストン駆動手段は、例えば、サーボモータによって作動させることができる。しかしながら、ピストン駆動手段は、筐体に対して軸方向に移動させられる基部によって作動されてもよい。流体送達の代替手段が提供されてもよいことを理解されたい。したがって、例えば、制御されたまたは制御されない速度での流体送達のために圧搾できる密封容器が、シリンジおよびピストンシステムの代わりに提供されてもよい。
【0179】
前述の装置は、あらゆる種類の注入に使用することができる。しかしながら、電気穿孔の分野において特に有用であることが想定されるため、針に電圧を印加するための手段をさらに備えてもよい。これは、注入のためだけではなく、電気穿孔中の電極としても針が使用されることを可能にする。このことは、注入される流体と同じ領域に電場が印加されることを意味するため、これは特に有利である。従来、電気穿孔には、以前に注入された流体と電極を正確に位置に合わせることが非常に困難であるため、ユーザがより広い領域にわたって必要とされるよりも多くの体積の流体を注入し、注入された物質と電場との重複を確実にするためにより高い領域にわたって電場を印加する傾向があるという問題があった。本発明を使用すると、電場と流体との良好な適合を達成しながら、注入される流体の体積および印加される電場の大きさの両方を減少させることができる。
【0180】
本発明は、以下の非限定的な実施例によって示される複数の態様を有する。
【0181】
3.実施例
実施例1
IL-21の発現
IL-21の発現のために、IL-21遺伝子をコードするプラスミド(すなわち、pVAX-mIL-21 Opt)を構築した(図1)。IL-21のDNA配列を、プラスミドに挿入する前にコドン最適化およびRNA最適化した。
【0182】
プラスミドをHEK 293T細胞にトランスフェクトしてIL-21の発現を確認した。ELISAにより細胞上清を分析した。結果は、HEK 293T細胞においてIL-21が発現されたことを示した(図2)。
【0183】
実施例2
IL-21増強IgGおよびIgA血清力価測定
筋肉内経路を介してワクチンを投与した場合に、IL-21がアジュバントとして機能することができるかどうかを決定するためのモデル系としてマウスを使用した。ワクチンは、それぞれのプラスミドによってコードされたディフィシル菌由来のトキシンAおよびトキシンB抗原ならびにIL-21を含んでいた。
【0184】
具体的には、プラスミドpVAX-mIL-21 Opt(図1、および実施例1で前述)と、前述のディフィシル菌由来のトキシンAおよびトキシンB抗原をコードするプラスミドとを用いて、一群のマウスを免疫した。第2の群のマウスは、トキシンAおよびトキシンB抗原をコードするプラスミドのみで免疫した。第3の群のマウスは空の対照プラスミドpVAXのみを用いて免疫した。マウスは、電気穿孔を使用して筋肉内経路により免疫した。循環する抗原特異的IgGおよびIgA抗体分泌細胞を、次に、免疫した動物の血液中で分析して、IL-21アジュバントの影響を決定した。
【0185】
図4の上部パネルに示すように、IL-21アジュバントは、抗原単独での免疫に比較して、血清抗トキシンA IgGの総量を増大させ、IL-21の群では1:2000希釈度においてロバストな力価が見られたが、抗原のみを受けた群ではこれは見られなかった。血清IgAを分析した時点で、IL-21アジュバントを含有したことの結果として、1:2000希釈度で力価を示す抗原特異的IgAの検知可能なレベルがもたらされることが指摘され、一方、抗原単独での免疫は、ナイーブな動物に比べてロバストなシグナルを示さなかった(図4、下部パネル)。
【0186】
上記データは、IL-21がディフィシル菌由来のトキシンAおよびトキシンB抗原に対する液性免疫応答を増大させたため、筋肉内経路によって投与された場合に、IL-21がアジュバントとして機能する能力を有することを示した。上記データはまた、IL-21が、細菌抗原とともにアジュバントとして機能できることも示した。
【0187】
実施例3
IL-21は、HIV抗原に対する細胞性および液性免疫応答を増強した
IL-21アジュバントは、同様に、HIV由来のEnvAおよびEnvC抗原をコードするプラスミドと組合せても投与された。ワクチン内にIL-21を含み入れることで、EnvCに対する細胞性および液性免疫応答の両方が増強した。ワクチンは、HIV由来のEnvAおよびEnvC抗原およびIL-21を含んでいた。EnvA抗原、EnvC抗原およびIL-21は別個のプラスミドによりコードされた。
【0188】
具体的には、EnvA抗原は、配列番号5に記載のヌクレオチド配列によりコードされたコンセンサスタンパク質(配列番号6)であった。配列番号5に記載のこのヌクレオチド配列は、プラスミド内に取り込まれて。
【0189】
EnvC抗原は、配列番号7に記載のヌクレオチド配列によりコードされたコンセンサスタンパク質(配列番号8)であった。配列番号7に記載のこのヌクレオチド配列は、プラスミド内に取り込まれた。
【0190】
具体的には、プラスミドpVAX-mIL-21 Opt(図1、および実施例1で前述)と、前述のEnvAおよびEnvC抗原をコードするプラスミドとを用いて、一群のマウスを免疫した。第2の群のマウスは、EnvAおよびEnvC抗原をコードするプラスミドのみで免疫した。第3の群のマウスは、空の対照プラスミドpVAXを用いて免疫した。マウスは、電気穿孔を使用して筋肉内経路により免疫した。インターフェロンγ ELISpotアッセイを使用して、免疫群のマウスにおける細胞性免疫応答を調べた。
【0191】
図5に示すように、IL-21による免疫化は、EnvC抗原に対する細胞性免疫応答を、抗原単独と比較して2倍より多く増強した。したがって、これらのデータは、IL-21がEnvAおよびEnvC抗原に対する細胞性免疫応答を増大させたため、IL-21が筋肉組織においてアジュバントとして機能できることを示唆するものであった。
【0192】
EnvAタンパク質に対するELISAによる3回目の免疫後に、免疫された動物の血中で抗体応答を測定した(図6)。1:400の希釈度において、HIV EnvA/Cの平均O.D.は約0.6であり、その一方でIL-21アジュバント群は1.0の平均O.D.読取り値を有していた。
【0193】
これらのデータを合わせて考慮すると、IL-21が、抗体分泌細胞の頻度増大、産生されるIgG量およびクラススイッチング、IgA産生量の増大、およびDNAワクチンに含み入れられた場合のIFN-γ分泌の増大の形での新規アジュバント活性を発揮することが示唆される。
【0194】
上記の詳細な説明および付随する実施例は、例示であるに過ぎず、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物によってのみ定義される本発明の範囲に対する制限であると解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0195】
開示される実施形態に対する種々の変更および改変は、当業者には明白であろう。限定されないが、本発明の化学構造、置換基、誘導体、中間体、合成、組成物、製剤、または使用方法に関連するものを含むそのような変更および改変は、その主旨および範囲から逸脱することなく行うことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【配列表】
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