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▶ 三上 善弘の特許一覧

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  • 特許-疑似餌 図1
  • 特許-疑似餌 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】疑似餌
(51)【国際特許分類】
   A01K 85/16 20060101AFI20220914BHJP
   A01K 85/00 20060101ALI20220914BHJP
   A01K 85/01 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
A01K85/16
A01K85/00 G
A01K85/01 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019073852
(22)【出願日】2019-04-09
【基礎とした実用新案登録】
【原出願日】2018-09-20
(65)【公開番号】P2020043849
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】518336444
【氏名又は名称】三上 善弘
(74)【代理人】
【識別番号】100098969
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 正行
(72)【発明者】
【氏名】三上 善弘
【審査官】磯田 真美
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-250390(JP,A)
【文献】特開平10-210885(JP,A)
【文献】実開昭54-027079(JP,U)
【文献】特開2004-089101(JP,A)
【文献】実開昭59-000669(JP,U)
【文献】特開2003-038066(JP,A)
【文献】特開平11-009144(JP,A)
【文献】特開平10-191837(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0247445(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 85/00 - 85/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
尾・鰭を除くほかは外観が魚に似せて金属で一体的に形成された本体と、本体の頭側端部及び/又は尾側端部とに各々固定されて針又は糸をかけるための止め輪とを備えるものにおいて、
前記本体の長寸方向中点よりも少なくとも尾側外周面に螺旋状の条溝が形成されており、前記止め輪は、前記本体に対して回転不能であることを特徴とする疑似餌。
【請求項2】
前記条溝の深さが本体外径の1/15~1/5で、条溝の一つのターンとその前後のターンとの間隔は条溝の幅よりも大きく、ターン間の表面は滑らかである、請求項1に記載の疑似餌。
【請求項3】
前記本体は、中実である、請求項1に記載の疑似餌。
【請求項4】
前記条溝の各ターンは、前記本体の長寸方向に対して40~50度傾いている、請求項1に記載の疑似餌。
【請求項5】
前記本体の頭側端部に近い表面に魚の眼に似せた凹部が形成され、その凹部に蓄光シールが固着されている、請求項1に記載の疑似餌。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、メタルジグと通称されている疑似餌に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の疑似餌は、一般に鉛などの重い金属からなり魚に似た外観を有する本体と、本体の頭側端部又は尾側端部に固定されて針や糸をかける止め輪とを備える(特許文献1、2)。そして、キャスティング後は、長寸方向をほぼ水平にして同方向前後に揺動しながら、その自重によって水中を沈降し、その間に魚が疑似餌にかかることにより、魚が釣られる。従って、その沈降時間が長いほど一回のキャスティングで魚に注目される時間も長くなるので望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-197429号公報
【文献】特開2003-250390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の疑似餌は、沈降時間を長引かせることを目的としては久しく改良がなされていない。
それ故、この発明の課題は、沈降時間が長くなるように改良された疑似餌を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、この発明の疑似餌は、
尾・鰭を除くほかは外観が魚に似せて金属で形成された本体と、本体の頭側端部及び/又は尾側端部とに各々固定されて針又は糸をかけるための止め輪とを備えるものにおいて、
前記本体の長寸方向中点よりも少なくとも尾側外周面に螺旋状の条溝が形成されていることを特徴とする。
この発明の疑似餌の作用は定かでないが、前記条溝が本体の揺動に対する抵抗になるとともに水流のガイドともなり、それらが疑似餌を浮かせる方向に働いて沈降速度を遅らせるものと考えられる。
【0006】
前記止め輪は、前記本体に対して回転不能である。回転可能とすると本体が回転してしまって抵抗が小さくなるからである。
前記条溝の深さが本体外径の1/15~1/5で、条溝の一つのターンとその前後のターンとの間隔は条溝の幅よりも大きく、ターン間の表面は滑らかであるとよい。条溝が浅すぎると抵抗にもガイドにもならないし、深すぎると本体の強度が不十分となるからである。また、ターン間隔よりも条溝の幅が大きいと本体の強度が不十分となるし、ターン間の表面が尖っていると魚の形状から遠くなるし、取り扱いにくいからである。
前記本体は、中実であるとよい。内部に空間があると浮力が作用して沈降速度が遅くなりすぎるからである。前記条溝の各ターンは、前記本体の長寸方向に対して40~50度傾いているのがよい。
【発明の効果】
【0007】
以上のように、この発明の疑似餌によれば、従来とほぼ同様の外観で沈降時間を長く確保できるので、大きな釣果を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態の疑似餌を示す斜視図である。
図2】同じく正面図である。
図3】同じく底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
疑似餌1は、本体2と2つの止め輪3、3とを備える。本体2は、鉛からなり、尾・鰭を除くほかは外観が鰯などの小魚に似ており、頭部と尾部とはいずれも端に向かって滑らかに縮径しているとともに長寸方向尾側半分の外径が後端に向かうにつれて漸減している。本体2は、全長10~12cm、胴外径7~12mmの外寸を有する。本体2の頭側端部に近い上面には眼に似せて形成された平面視円形の浅い凹み4がある。凹み4には図略の蓄光シールが固着されている。
【0010】
下面は頭側端部から長寸方向中点付近にかけて平坦に形成されており、商標を構成する文字など(本実施形態では筆記体の「Dream」)が刻印されている。止め輪3、3は、金属製で、針又は糸をかけるためのもので、頭側端部すなわち先端と尾側端部すなわち後端とに各々固定されている。止め輪3、3は本体2内部で互いに連なっていてよい。
【0011】
そして、本体2の長寸方向ほぼ中間点より尾側半分の外周面に螺旋状の条溝5が形成されている。条溝5は、幅2~3mm、深さ1~2mmで、後端から長寸方向ほぼ中間点までに長寸方向に対して45度をなして2ターン半形成され、ターン間の表面は滑らかである。
【0012】
疑似餌1を製造するためには、先ず本体2と同形同大の中子を木で造り、中子の長寸方向両端に止め輪3、3と同形同大の輪を固定する。そして中子の周囲にシリコンを注入固化した後、中子を抜くことにより、型を得る。別途、1本の針金を折り曲げて両端に止め輪3、3を成形する。前記型内に止め輪3、3を置き、残部空間に溶解した鉛を鋳込む。鉛が固化し常温に達した段階で型を取り外すことにより、疑似餌1が完成する。
【0013】
比較のために、疑似餌1とほぼ同形同大の市販の疑似餌を準備した。疑似餌1と市販疑似餌を同一条件で水中に入れたところ、疑似餌1のほうが長寸方向をほぼ水平に保った状態でゆっくりと揺動しながら沈降した。また、現実に、マダイ、青魚(サバなど)、根魚(カサゴ、メバルなど)、ハマチ、ブリ、サワラなどの釣果において疑似餌1のほうが優れていた。特に蓄光シールの作用によって餌の眼に興味をもつ魚がよく釣れた。
【0014】
疑似餌1の寸法は、前記より大きくても小さくてもよく、例えばヒラマサなどのように大きい餌を好む魚を対象とする場合、本体2としては、全長18~20cm、胴外径10~15mm程度のものがよい。
【符号の説明】
【0015】
1 疑似餌
2 本体
3 止め輪
4 凹み
5 条溝
図1
図2
図3