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特許7141069非接触式近距離無線通信機能を有する金属飾り具及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】非接触式近距離無線通信機能を有する金属飾り具及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/077 20060101AFI20220914BHJP
   H01Q 7/00 20060101ALI20220914BHJP
   H01Q 1/22 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
G06K19/077 228
G06K19/077 264
G06K19/077 248
H01Q7/00
H01Q1/22 Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021503137
(86)(22)【出願日】2019-08-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 KR2019009599
(87)【国際公開番号】W WO2020036349
(87)【国際公開日】2020-02-20
【審査請求日】2022-05-11
(31)【優先権主張番号】10-2018-0094493
(32)【優先日】2018-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521024215
【氏名又は名称】ジョン、ジス
【氏名又は名称原語表記】JUNG, Ji Su
【住所又は居所原語表記】101, 65-4, Bangbae-ro 25-gil Seocho-gu Seoul 06571 (KR)
(73)【特許権者】
【識別番号】521024226
【氏名又は名称】ジョン、ヨンジン
【氏名又は名称原語表記】JUNG, Yeon Jin
【住所又は居所原語表記】101, 65-4, Bangbae-ro 25-gil Seocho-gu Seoul 06571 (KR)
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ジス
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ヨンジン
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-53521(JP,A)
【文献】特開2003-271910(JP,A)
【文献】特開2008-146640(JP,A)
【文献】国際公開第2006/059454(WO,A1)
【文献】特開平9-232990(JP,A)
【文献】特表2021-527290(JP,A)
【文献】特開2020-184764(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0261911(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/077
A44C 9/00
H01Q 7/00
H01Q 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の端末と非接触式近距離無線通信が行える制御用集積回路素子(IC chip)と、
両端がそれぞれ前記制御用集積回路素子の両端につながれた所定の長さのループアンテナと、
金属または貴金属物質からなり、中央に貫通口が形成された環状を呈するが、環の一部の区間が切り欠かれて形成されたスリットを有する胴体部と、
を備え、
前記胴体部の内部に前記制御用集積回路素子及びループアンテナが搭載され、前記ループアンテナは、前記環状の胴体部に沿って数回巻回されたことを特徴とし、
前記胴体部は、前記スリットにより環状の一部が完全に切り欠かれ、前記ループアンテナが外部の端末からの無線信号により誘導電流を生じさせて前記制御用集積回路素子を駆動するように構成されたことを特徴とする非接触式近距離無線通信機能を有する金属飾り具。
【請求項2】
前記胴体部は、
制御用集積回路素子及びループアンテナが搭載される溝が内周面または外周面に沿って形成された主ボディと、
前記溝を覆う蓋体と、
を備え、
前記スリットは、前記主ボディ及び蓋体にそれぞれ形成されるが、主ボディのスリットと蓋体のスリットとは互いに連絡されていることを特徴とする請求項1に記載の非接触式近距離無線通信機能を有する金属飾り具。
【請求項3】
前記胴体部は、
中央に貫通口が形成された環状を呈するが、環の一部の区間が切り欠かれて形成されたスリットを有する第1の胴体部と、
第1の胴体部と同じ形状を呈するが、一方の面が第1の胴体部の一方の面に当接できるように構成された第2の胴体部と、
を備え、
前記第1の胴体部及び第2の胴体部の互いに当接する面に前記制御用集積回路素子及びループアンテナが搭載される溝が形成されたことを特徴とし、
前記第1の胴体部のスリットと第2の胴体部のスリットは、互いに対応する位置に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の非接触式近距離無線通信機能を有する金属飾り具。
【請求項4】
前記制御用集積回路素子は、前記ループアンテナを介して外部の端末と非接触式近距離無線通信を行って電力を提供され、データを送受信することを特徴とする請求項1に記載の非接触式近距離無線通信機能を有する金属飾り具。
【請求項5】
前記制御用集積回路素子は、クレジットカード用ICチップ、決済用ICチップまたは扉施錠装置用ICチップであることを特徴とする請求項4に記載の非接触式近距離無線通信機能を有する金属飾り具。
【請求項6】
前記胴体部は、指輪の形状を呈するか、あるいは、
ペンダント(pendant)状を呈することを特徴とする請求項1に記載の非接触式近距離無線通信機能を有する金属飾り具。
【請求項7】
前記胴体部のスリットは、
電気絶縁性を有する物質で充填されるか、または、
電気絶縁性を有する物質から製作されるか、あるいは、表面が酸化処理されて電気絶縁性を有するように構成されたスリット充填モジュールで満たされたことを特徴とする請求項1に記載の非接触式近距離無線通信機能を有する金属飾り具。
【請求項8】
外部の端末と非接触式近距離無線通信が行える制御用集積回路素子(IC chip)と、
両端がそれぞれ前記制御用集積回路素子の両端につながれた所定の長さのループアンテナと、
金属または貴金属物質からなり、前記制御用集積回路素子及びその両端につながれたループアンテナが搭載された胴体部と、
を備え、
前記胴体部における前記ループアンテナが搭載された領域の内部領域に孔(hole)が形成され、前記胴体部には孔と連絡されるように構成されたスリットが形成されたことを特徴とし、
前記胴体部は、前記スリットにより一部が完全に切り欠かれ、前記ループアンテナが外部の端末からの無線信号により誘導電流を生じさせて前記制御用集積回路素子を駆動するように構成されたことを特徴とする非接触式近距離無線通信機能を有する金属飾り具。
【請求項9】
前記胴体部は、
ループアンテナが搭載された領域の内部領域に孔が形成され、一部の区間が切り欠かれて形成されたスリットを有する第1の胴体部と、
第1の胴体部と同じ形状を呈するが、一方の面が第1の胴体部の一方の面に当接できるように構成された第2の胴体部と、
を備え、
前記第1の胴体部及び第2の胴体部の互いに当接する面に前記制御用集積回路素子及びループアンテナが搭載されることを特徴とし、
前記第1の胴体部のスリットと第2の胴体部のスリットは、互いに対応する位置に形成されたことを特徴とする請求項8に記載の非接触式近距離無線通信機能を有する金属飾り具。
【請求項10】
(a)金属または貴金属物質を用いて主ボディと蓋体とから構成された胴体部を製作するが、前記胴体部は、全体的に中央に貫通口が形成された環状を呈することを特徴とするステップと、
(b)前記胴体部の主ボディの内周面または外周面に沿ってループアンテナを嵌め込むための一定の深さの第1の溝を形成するステップと、
(c)前記内周面または外周面に形成された第1の溝の所定の領域に制御用集積回路素子を搭載するための第2の溝を形成するステップと、
(d)前記第2の溝に制御用集積回路素子を搭載し、前記第1の溝にループアンテナを数回巻いて搭載した後、制御用集積回路素子の両端とループアンテナの両端とを接着してつなぐステップと、
を含み、
前記ステップ(a)は、前記胴体部の主ボディの一部の区間を完全に切り欠いて第1のスリットを形成することを特徴とする非接触式近距離無線通信機能を有する金属飾り具の製造方法。
【請求項11】
前記ステップ(a)は、
(a1)金属物質または貴金属物質を用いて中央に貫通口が形成された環状の主ボディを製作するステップと、
(a2)前記主ボディの外周面または内周面に形成されるべき第1の溝及び第2の溝を覆うべき蓋体を製作するステップと、
(a3)前記主ボディの一部の区間を完全に切り欠いて第1のスリットを形成するステップと、
を含むことを特徴とする請求項10に記載の非接触式近距離無線通信機能を有する金属飾り具の製造方法。
【請求項12】
前記製造方法は、
(a4)前記蓋体の一部の区間を完全に切り欠いて第2のスリットを形成するが、前記第2のスリットは、第1のスリットと連絡されるように形成するステップをさらに含むか、あるいは、
(a5)前記蓋体を電気絶縁性を有する物質から製作したり、前記蓋体の表面を酸化処理して電気絶縁性を持たせたりするステップをさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の非接触式近距離無線通信機能を有する金属飾り具の製造方法。
【請求項13】
前記製造方法は、
(a6)前記第1のスリットを電気絶縁性を有する物質で充填するステップをさらに含むか、あるいは、
(a7)電気絶縁性を有する物質からスリット充填モジュールを製作したり、所定の物質からスリット充填モジュールを製作した後、電気絶縁性を有するように表面を酸化処理したりした後、前記スリット充填モジュールを第1のスリットに嵌め込むステップをさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の非接触式近距離無線通信機能を有する金属飾り具の製造方法。
【請求項14】
(a)金属物質または貴金属物質を用いて中央に貫通口が形成された環状の第1の胴体部を製作するステップと、
(b)金属または貴金属物質を用いて中央に貫通口が形成された第2の胴体部と同じ環状の第2の胴体部を製作するステップと、
(c)前記第1の胴体部と第2の胴体部とが互いに当接する面にループアンテナを嵌め込むための一定の深さの第1の溝を形成するステップと、
(d)前記第1の胴体部と第2の胴体部とが互いに当接する面のうちの一方の面に形成された第1の溝の所定の領域に制御用集積回路素子を搭載するための第2の溝を形成するステップと、
(e)前記第2の溝と前記第1の溝にそれぞれ制御用集積回路素子及び前記制御用集積回路素子の両端につながれたループアンテナを搭載するステップと、
(f)ループアンテナの搭載された面が露出されないように前記第1の胴体部と第2の胴体部の一方の面とを互いに当接するように接着するステップと、
を含み、
前記第1の胴体部の一方の面と第2の胴体部の一方の面は、同じ大きさと形状を有して、互いに当接するように配置された後に接着されることを特徴とし、
前記ステップ(a)は、前記第1の胴体部の環の一部の区間を完全に切り欠いて第1のスリットを形成し、前記ステップ(b)は、前記第2の胴体部の環の一部の区間を完全に切り欠いて第2のスリットを形成することを特徴とする非接触式近距離無線通信機能を有する金属飾り具の製造方法。
【請求項15】
前記ステップ(a)は、
(a1)金属物質または貴金属物質を用いて中央に貫通口が形成された環状の第1の胴体部を製作するステップと、
(a2)前記第1の胴体部の環の一部の区間を完全に切り欠いて第1のスリットを形成するステップと、
を含み、
前記ステップ(b)は、
(b1)金属物質または貴金属物質を用いて中央に貫通口が形成された環状の第2の胴体部を製作するステップと、
(b2)前記第2の胴体部の環の一部の区間を完全に切り欠いて第2のスリットを形成するステップと、
を含み、
前記第1のスリットと第2のスリットとは、互いに連絡されたことを特徴とする請求項14に記載の非接触式近距離無線通信機能を有する金属飾り具の製造方法。
【請求項16】
前記製造方法は、
(g)前記第1のスリット及び第2のスリットを電気絶縁性を有する物質で充填するステップをさらに含むか、あるいは、
(a7)電気絶縁性を有する物質からスリット充填モジュールを製作したり、所定の物質からスリット充填モジュールを製作した後、電気絶縁性を有するように表面を酸化処理したりした後、前記充填モジュールを第1のスリット及び第2のスリットに嵌め込むステップをさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の非接触式近距離無線通信機能を有する金属飾り具の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触式近距離無線通信機能を有する金属飾り具及びその製造方法に係り、さらに詳しくは、環状を呈する金属または貴金属材質の指輪やペンダント(pendant)に制御用集積回路素子(IC chip)との非接触式近距離無線通信を可能にするループアンテナを搭載して、非接触式近距離無線通信機能を有するように構成された金属材質の飾り具及びこのような金属飾り具の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、クレジットカードの使用が増えつつあるだけではなく、交通カードやデビットカードなどは少額決済のためにも多用されている。このようなカードの使用形態に応じて、使い勝手がよいながらも、カードの紛失のリスクを極力抑えるための多種多様な方法が提案されている。
【0003】
このような方法の一例として、指輪状のカードが提案されている。
【0004】
大韓民国登録実用新案第20-0294180号は、「ICチップを組み込んだ指輪」に関するものであり、同公報には、指輪、時計などの飾り具にICチップを組み込んで、ICカードを用いたクレジットカード、交通カード、電子貨幣、駐車場カード、デパートカードなどといった多くの機能が行えるようにしたICチップを組み込んだ指輪が開示されている。前述した考案に係るICチップを組み込んだ指輪は、非接触式近距離無線通信機能を提供するICチップに接続されたループアンテナが指輪の胴体に巻回されるような構造となっている。ICチップに接続されたループアンテナは、外部の端末と非接触式近距離無線通信を行い、非接触式近距離無線通信により、ループアンテナは、誘導電流を生成してICチップに与えるだけではなく、外部の端末とのデータの送受信を行う。
【0005】
しかしながら、ループアンテナが金属物質に巻回されている場合、金属物質は外部の端末から受信される信号の強さを減衰させ、その結果、ループアンテナは、誘導電流を生成できなくなるだけではなく、外部の端末とデータの送受信を行うことが困難になる。
【0006】
したがって、ICチップの非接触式近距離無線通信機能を円滑に行うために、前記指輪の胴体は、必ず電気が流れない電気絶縁性を有する物質からならなければならない。したがって、前述した考案に係る指輪は、電気が流れる金属材質や貴金属材質からは製作されることができず、プラスチックなどの合成樹脂、陶器などのように電気が流れない絶縁性物質から製作されなければならないという限界点を有している。
【0007】
一方、韓国登録実用新案第20-0445348号は、「交通カード」に関するものであり、同公報には、交通カードチップとループアンテナ及びキャパシターを備えるが、交通カードチップの2つの端子にループアンテナの2つの端子及びキャパシタの2つの端子が並列に接続されてなり、ループアンテナは、同心円の向きに3~5回巻回されるように形成されて環部の内部に組み込まれ、交通カードチップとキャパシターは胴体部の内部に組み込まれた交通カードが開示されている。しかしながら、前述した考案においても同様に、電磁気の遮へいにより交通カードとカード端末とが通信不能状態に陥ることを防ぐために、環部及び胴体部は合成樹脂などの絶縁性物質から成形されなければならないということが明示的に記載されている。したがって、前述した考案に係る交通カードもまた指輪の形状に製作されることはできるが、指輪の胴体が金属物質や貴金属物質からは製作できないという限界を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述した問題を解決するための本発明の目的は、非接触式近距離無線通信機能を有する金属材質または貴金属材質の金属飾り具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した技術的課題を達成するための本発明の第1の特徴による非接触式近距離無線通信機能を有する金属飾り具は、外部の端末と非接触式近距離無線通信が行える制御用集積回路素子(IC chip)と、両端がそれぞれ前記制御用集積回路素子の両端につながれた所定の長さのループアンテナと、金属または貴金属物質からなり、中央に貫通口が形成された環状を呈するが、環の一部の区間が切り欠かれて形成されたスリットを有する胴体部と、を備え、前記胴体部の内部に前記制御用集積回路素子及びループアンテナが搭載され、前記ループアンテナは、前記環状の胴体部に沿って数回巻回されたことを特徴とし、前記胴体部は、前記スリットにより環状の一部が完全に切り欠かれたことを特徴とする。
【0010】
前述した第1の特徴による非接触式近距離無線通信機能を有する金属飾り具において、前記胴体部は、制御用集積回路素子及びループアンテナが搭載される溝が内周面または外周面に沿って形成された主ボディと、前記溝を覆う蓋体と、を備え、前記スリットは、前記主ボディ及び蓋体にそれぞれ形成されるが、主ボディのスリットと蓋体のスリットとは互いに連絡されるように構成してもよい。
【0011】
前述した第1の特徴による非接触式近距離無線通信機能を有する金属飾り具において、前記胴体部は、中央に貫通口が形成された環状を呈するが、環の一部の区間が切り欠かれて形成されたスリットを有する第1の胴体部と、第1の胴体部と同じ形状を呈するが、一方の面が第1の胴体部の一方の面に当接できるように構成された第2の胴体部と、を備え、前記第1の胴体部及び第2の胴体部の互いに当接する面に前記制御用集積回路素子及びループアンテナが搭載される溝が形成され、前記第1の胴体部のスリットと第2の胴体部のスリットは、互いに対応する位置に形成されるように構成してもよい。
【0012】
前述した第1の特徴による非接触式近距離無線通信機能を有する金属飾り具において、前記制御用集積回路素子は、前記ループアンテナを介して外部の端末と非接触式近距離無線通信を行って電力を提供され、データを送受信することが好ましく、
前記制御用集積回路素子は、クレジットカード用ICチップ、決済用ICチップまたは扉施錠装置用ICチップであることがより好ましい。
【0013】
前述した第1の特徴による非接触式近距離無線通信機能を有する金属飾り具において、前記胴体部は、指輪の形状を呈するか、あるいは、ペンダント(pendant)状を呈することが好ましい。
【0014】
前述した第1の特徴による非接触式近距離無線通信機能を有する金属飾り具において、前記胴体部のスリットは、電気絶縁性を有する物質で充填されるか、または、電気絶縁性を有する物質から製作されるか、あるいは、表面が酸化処理されて電気絶縁性を有するように構成されたスリット充填モジュールで満たされたことが好ましい。
【0015】
本発明の第2の特徴による非接触式近距離無線通信機能を有する金属飾り具の製造方法は、(a)金属または貴金属物質を用いて主ボディと蓋体とから構成された胴体部を製作するが、前記胴体部は、全体的に中央に貫通口が形成された環状を呈することを特徴とするステップと、(b)前記胴体部の主ボディの内周面または外周面に沿ってループアンテナを嵌め込むための一定の深さの第1の溝を形成するステップと、(c)前記内周面または外周面に形成された第1の溝の所定の領域に制御用集積回路素子を搭載するための第2の溝を形成するステップと、(d)前記第2の溝に制御用集積回路素子を搭載し、前記第1の溝にループアンテナを数回巻いて搭載した後、制御用集積回路素子の両端とループアンテナの両端とを接着してつなぐステップと、を含む。
【0016】
前述した第2の特徴による非接触式近距離無線通信機能を有する金属飾り具の製造方法において、前記ステップ(a)は、(a1)金属物質または貴金属物質を用いて中央に貫通口が形成された環状の主ボディを製作するステップと、(a2)前記主ボディの外周面または内周面に形成されるべき第1の溝及び第2の溝を覆うべき蓋体を製作するステップと、(a3)前記主ボディの一部の区間を完全に切り欠いて第1のスリットを形成するステップと、を含む。
【0017】
前述した第2の特徴による非接触式近距離無線通信機能を有する金属飾り具の製造方法において、前記製造方法は、(a4)前記蓋体の一部の区間を完全に切り欠いて第2のスリットを形成するが、前記第2のスリットは、第1のスリットと連絡されるように形成するステップをさらに含むか、あるいは、(a5)前記蓋体を電気絶縁性を有する物質から製作したり、前記蓋体の表面を酸化処理して電気絶縁性を持たせたりするステップをさらに含むことが好ましい。
【0018】
前述した第2の特徴による非接触式近距離無線通信機能を有する金属飾り具の製造方法において、前記製造方法は、(a6)前記第1のスリットを電気絶縁性を有する物質で充填するステップをさらに含むか、あるいは、(a7)電気絶縁性を有する物質からスリット充填モジュールを製作したり、所定の物質からスリット充填モジュールを製作した後、電気絶縁性を有するように表面を酸化処理したりした後、前記スリット充填モジュールを第1のスリットに嵌め込むステップをさらに含むことが好ましい。
【0019】
本発明の第3の特徴による非接触式近距離無線通信機能を有する金属飾り具の製造方法は、(a)金属物質または貴金属物質を用いて中央に貫通口が形成された環状の第1の胴体部を製作するステップと、(b)金属または貴金属物質を用いて中央に貫通口が形成された第2の胴体部と同じ環状の第2の胴体部を製作するステップと、(c)前記第1の胴体部と第2の胴体部とが互いに当接する面にループアンテナを嵌め込むための一定の深さの第1の溝を形成するステップと、(d)前記第1の胴体部と第2の胴体部とが互いに当接する面のうちの一方の面に形成された第1の溝の所定の領域に制御用集積回路素子を搭載するための第2の溝を形成するステップと、(e)前記第2の溝と前記第1の溝にそれぞれ制御用集積回路素子及び前記制御用集積回路素子の両端につながれたループアンテナを搭載するステップと、(f)ループアンテナの搭載された面が露出されないように前記第1の胴体部と第2の胴体部の一方の面とを互いに当接するように接着するステップと、
を含み、前記第1の胴体部の一方の面と第2の胴体部の一方の面は、同じ大きさと形状を有して、互いに当接するように配置された後に接着される。
【0020】
前述した第3の特徴による非接触式近距離無線通信機能を有する金属飾り具の製造方法において、前記ステップ(a)は、(a1)金属物質または貴金属物質を用いて中央に貫通口が形成された環状の第1の胴体部を製作するステップと、(a2)前記第1の胴体部の環の一部の区間を完全に切り欠いて第1のスリットを形成するステップと、を含み、
前記ステップ(b)は、(b1)金属物質または貴金属物質を用いて中央に貫通口が形成された環状の第2の胴体部を製作するステップと、(b2)前記第2の胴体部の環の一部の区間を完全に切り欠いて第2のスリットを形成するステップと、を含み、
前記第1のスリットと第2のスリットとは、互いに連絡されたことが好ましい。
【0021】
前述した第3の特徴による非接触式近距離無線通信機能を有する金属飾り具の製造方法において、前記製造方法は、(a6)前記第1のスリット及び第2のスリットを電気絶縁性を有する物質で充填するステップをさらに含むか、あるいは、(a7)電気絶縁性を有する物質からスリット充填モジュールを製作したり、所定の物質からスリット充填モジュールを製作した後、電気絶縁性を有するように表面を酸化処理したりした後、前記充填モジュールを第1のスリット及び第2のスリットに嵌め込むステップをさらに含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る金属飾り具は、環状の指輪またはペンダントの形状に製作し、その内部に非接触無線通信を可能にする集積回路素子及びループアンテナを搭載することにより、非接触式のクレジットカード、交通カードなどの機能を提供することが可能になる。
【0023】
また、本発明に係る金属飾り具は、中央に貫通口が形成された環状の金属物質または貴金属物質から製作するが、環状の胴体に一部の領域を切り欠いたスリットを備えることにより、外形は従来の貴金属指輪などと同じでありながらも、非接触式クレジットカードまたは交通カードなどの機能を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第1の実施形態に係る非接触式近距離無線通信機能を有する金属飾り具の一実施の形態を例示的に示す斜視図である。
図2図1の第1の実施形態に係る金属飾り具の分解斜視図である。
図3図1の第1の実施形態に係る金属飾り具を底面から見た分解斜視図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る金属飾り具の製造方法を示すフローチャートである。
図5】本発明の第2の実施形態に係る非接触式近距離無線通信機能を有する金属飾り具の一実施の形態を例示的に示す斜視図である。
図6図5の第2の実施形態に係る金属飾り具の分解斜視図である。
図7】本発明の第2の実施形態に係る金属飾り具の他の実施の形態を示す斜視図である。
図8図7の金属飾り具の分解斜視図である。
図9】本発明の第2の実施形態に係る金属飾り具の製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係る非接触式近距離無線通信機能を有する金属飾り具は、金属または貴金属材質の環状の指輪またはペンダント(pendant)であって、胴体の内部に集積回路素子及びループアンテナが搭載されて外部の端末と非接触式近距離無線通信が行えることを特徴とする。
【0026】
以下、添付図面に基づいて、本発明の好適な実施形態に係る非接触式近距離無線通信機能を有する金属飾り具の構造、動作及びその製造方法について詳しく説明する。
【0027】
<第1の実施形態>
図1から図3に基づいて、本発明の第1の実施形態に係る非接触式近距離無線通信機能を有する金属飾り具の構造及び動作について詳しく説明する。
【0028】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る非接触式近距離無線通信機能を有する金属飾り具の一実施の形態を例示的に示す斜視図である。図2及び図3は、図1の金属飾り具の分解斜視図及び底面から見た分解斜視図である。
【0029】
図1を参照すると、本実施形態に係る非接触式金属飾り具1は、指輪の形状を呈する金属飾り具であって、制御用集積回路素子100、ループアンテナ110、胴体部120及びスリット充填モジュール130を備える。
【0030】
前記制御用集積回路素子100は、外部の端末と非接触式近距離無線通信が行える集積回路素子(IC chip)であって、前記ループアンテナを介して外部の端末と非接触式近距離無線通信を行って電力を提供され、データを送受信し、送受信されたデータを用いて予め設定されたプログラムが起動され得る。前記制御用集積回路素子は、非接触方式により駆動されるクレジットカード用ICチップ、決済用ICチップまたは扉施錠装置用ICチップから構成されてもよい。前記制御用集積回路素子がカード用ICチップである場合、本発明に係る金属飾り具は、クレジットカードまたは交通カードなどの機能を行ったり、決済用カードの機能を行ったりすることができる。なお、前記制御用集積回路素子が扉施錠装置用ICチップである場合、本発明に係る金属飾り具は、扉施錠装置の携帯型鍵としての機能を行うことができる。
【0031】
前記ループアンテナ110は、両端がそれぞれ前記制御用集積回路素子の両端に接着されてつながれた所定の長さのアンテナであって、前記制御用集積回路素子とともに前記胴体部の内部に搭載される。前記ループアンテナ110は、前記環状の胴体部に沿って数回巻回されて構成されることが好ましい。
【0032】
外部の端末との円滑なデータの送受信に求められる信号の強さを得るために、前記ループアンテナは、全体的に約700mm以上の長さからなることが好ましい。
【0033】
前記胴体部120は、金属または貴金属物質からなる主ボディ121と蓋体122とから構成され、前記胴体部120は、全体的には、中央に貫通口'a'が形成された環状を呈する。
【0034】
前記胴体部の主ボディは、内周面または外周面に沿って前記制御用集積回路素子及びループアンテナが搭載されるための第2の溝及び第1の溝を備える。前記ループアンテナ110は、数回巻回されて前記環状の胴体部の主ボディ121の第1の溝に搭載される。前記制御用集積回路素子は、前記主ボディ121の第2の溝に搭載され、前記ループアンテナの両端は、前記制御用集積回路素子に接着されてつなぎ合わせられる。
【0035】
前記蓋体122は、前記主ボディ121の第1の溝及び第2の溝に嵌合されるように構成される。前記蓋体は、図1に示すように、複数の部品に分けられて製作されてもよく、単一の形状に製作されてもよい。
【0036】
前記胴体部の主ボディ121は、金属または貴金属物質から構成されるが、銀、金、白金、銀、銅などの貴金属物質または電気伝導性を有する金属物質の一つからなってもよい。なお、前記胴体部の主ボディ121は、環の一部の領域が完全に切り欠かれて形成された第1のスリットS1を備えなければならない。
【0037】
一方、前記主ボディの第1のスリットS1は、電気絶縁性を有する物質、例えば、合成樹脂などで充填されて、あるいは、第1のスリットに対応する形状の第1のスリット充填モジュール131が嵌め込まれて、前記第1のスリットが見かけ上には表示されないようにするとともに、胴体部に搭載されたループアンテナが外部に露出されないようにしてもよい。前記第1のスリット充填モジュール131は、電気絶縁性を有する物質から製作されてもよく、あるいは、金属などの物質から製作された後、表面を酸化処理して表面が電気絶縁性を有するように構成してもよい。
【0038】
前記蓋体122は、電気絶縁性を有する物質から製作されてもよく、あるいは、主ボディと同じ物質から製作されてもよい。前記蓋体が金属または貴金属のように主ボディと同じ物質から製作される場合、前記蓋体は、環状の一部の区間が完全に切り欠かれて形成された第2のスリットを備えなければならず、前記第2のスリットは、前記主ボディの第1のスリットと連絡されなければならない。
【0039】
一方、前記蓋体の第2のスリットは、電気絶縁性を有する物質、例えば、合成樹脂などで充填されて、あるいは、第2のスリットに対応する形状の第2のスリット充填モジュール132が嵌め込まれて、前記第2のスリットが見かけ上には表示されないようにするとともに、胴体部に搭載されたループアンテナが外部に露出されないようにしてもよい。前記第2のスリット充填モジュール132は、電気絶縁性を有する物質から製作されてもよく、あるいは、金属などの物質から製作された後に表面を酸化処理して表面が電気絶縁性を有するように構成してもよい。
【0040】
スリット充填モジュール130は、前述したように、第1のスリット充填モジュール131と第2のスリット充填モジュール132とから構成され、スリット充填モジュールにより胴体部のスリットが電気絶縁性を有する物質で満たされる。
【0041】
このように、金属物質または貴金属物質からなる胴体部の主ボディ及び蓋体に第1のスリット及び第2のスリットを形成することにより、ループアンテナが外部の端末による誘導電流を生じさせて制御用集積回路素子を駆動することができ、制御用集積回路素子がループアンテナを介して外部の端末とデータを送受信することが可能になる。
【0042】
前記第1のスリット及び第2のスリットは、単一の直線状に形成されてもよく、少なくとも一つ以上の折曲げ部を有するように構成してもよい。前記第1及び第2のスリットを折曲げ部を有するように構成することにより、胴体部の剛性を向上させることが可能になる。
【0043】
前記胴体部は、図1に示すように、指輪の形状を呈して、本発明に係る金属飾り具は、指輪型カードまたは指輪型扉施錠装置用鍵として使用可能になる。
【0044】
以下、添付図面に基づいて、前述した本発明の第1の実施形態に係る金属飾り具の製造方法について詳しく説明する。
【0045】
図4は、本発明の第1の実施形態に係る金属飾り具の製造方法を示すフローチャートである。
【0046】
図4を参照すると、本発明の第1の実施形態に係る金属飾り具の製造方法は、(a)金属または貴金属物質を用いて主ボディと蓋体とから構成された胴体部を製作するが、前記胴体部は、全体的に中央に貫通口が形成された環状を呈することを特徴とするステップと、(b)前記胴体部の主ボディの内周面または外周面に沿ってループアンテナを嵌め込むための一定の深さの第1の溝を形成するステップと、(c)前記内周面または外周面に形成された第1の溝の所定の領域に制御用集積回路素子を搭載するための第2の溝を形成するステップと、(d)前記第2の溝に制御用集積回路素子を搭載し、前記第1の溝にループアンテナを数回巻回して搭載した後、制御用集積回路素子の両端とループアンテナの両端とを接着してつなぐステップと、を含む。
【0047】
前記ステップ(a)は、(a1)金属物質または貴金属物質を用いて中央に貫通口が形成された環状の主ボディを製作するステップと、(a2)前記主ボディの外周面または内周面に形成されるべき第1の溝及び第2の溝を覆うべき蓋体を製作するステップと、(a3)前記主ボディの一部の区間を完全に切り欠いて第1のスリットを形成するステップと、を含む。
【0048】
一方、前記製造方法においては、前記蓋体を主ボディと同一の金属または貴金属物質から製作してもよく、電気絶縁性を有する物質から製作してもよい。前記蓋体を主ボディと同一の金属または貴金属物質から製作する場合、前記蓋体の一部の区間を完全に切り欠いて第2のスリットを形成するが、前記第2のスリットは、第1のスリットと連絡されるように形成するステップをさらに含むか、あるいは、前記蓋体の表面を酸化処理して電気絶縁性を持たせるステップをさらに含むことが好ましい。一方、前記蓋体に第2のスリットを形成する場合、前記第2のスリットは、主ボディの第1のスリットと連絡されるように構成することが好ましい。
【0049】
前記製造方法は、前記第1のスリット及び第2のスリットを電気絶縁性を有する物質で充填するステップをさらに含むか、あるいは、スリット充填モジュールを嵌め込むステップをさらに含むことが好ましい。前記スリット充填モジュールは、電気絶縁性を有する物質から充填モジュールを製作したり、所定の物質から充填モジュールを製作した後、表面を酸化処理することにより、電気絶縁性を持たせたりすることが好ましい。
【0050】
<第2の実施形態>
以下、添付図面に基づいて、本発明の第2の実施形態に係る金属飾り具の構造及び動作について詳しく説明する。
【0051】
図5は、本発明の第2の実施形態に係る非接触式近距離無線通信機能を有する金属飾り具の一実施の形態を例示的に示す斜視図である。図6は、図5の金属飾り具の分解斜視図である。
【0052】
図5及び図6を参照すると、本実施形態に係る非接触式金属飾り具5は、指輪の形状を呈する金属飾り具であって、制御用集積回路素子500、ループアンテナ510、胴体部520及びスリット充填モジュール530を備える。
【0053】
前記制御用集積回路素子500及び前記ループアンテナ510は、第1の実施形態のそれらと同様であるため、重複する説明は省略する。
【0054】
前記胴体部520は、金属または貴金属物質からなる第1の胴体部580及び第2の胴体部590から構成され、前記胴体部520は、全体的には、中央に貫通口'a'が形成された環状を呈する。前記第1の胴体部と第2の胴体部は、それぞれ第1の貫通口a1及び第2の貫通口a2を備え、全体的に同じ形状を呈するが、一方の面が互いに当接できるように構成されることが好ましい。
【0055】
前記第1及び第2の胴体部の互いに当接する面のうちの一方の面または両方の面に前記制御用集積回路素子及びループアンテナが搭載されるための溝584、594を備える。前記ループアンテナ510は、数回巻回されて前記環状の第1及び第2の胴体部のどちらか一方に形成された第1の溝に搭載される。前記制御用集積回路素子は、第1及び第2の胴体部のどちらか一方に形成された第2の溝に搭載され、前記ループアンテナの両端は、前記制御用集積回路素子に接着されてつなぎ合わせられる。
【0056】
一方、前記制御用集積回路素子及びループアンテナは、前記第1の溝及び第2の溝に搭載可能な形状に鋳造されて一体形に形成されたアンテナモジュールを構成してもよく、アンテナモジュールを前記第1の溝と第2の溝に搭載して完成してもよい。
【0057】
前記胴体部の第1の胴体部580及び第2の胴体部590は、金属または貴金属物質から構成されるが、銀、金、白金、銀、銅などの貴金属物質または電気伝導性を有する金属物質のいずれか一種からなってもよい。また、前記胴体部の第1の胴体部580及び第2の胴体部590は、それぞれ環の一部の領域が完全に切り欠かれて形成された第1のスリットS1及び第2のスリットS2を備えなければならない。前記第1のスリットと第2のスリットとは、互いに連絡されるように構成されることが好ましい。
【0058】
一方、前記第1のスリットS1及び第2のスリットS2は、電気絶縁性を有する物質、例えば、合成樹脂などから充填されて、あるいは、第1のスリット及び第2のスリットのそれぞれは、第1のスリット及び第2のスリットに対応する形状を呈する第1のスリット充填モジュール582及び第2のスリット充填モジュール592が嵌め込まれて、前記第1のスリット及び第2のスリットが見かけ上には表示されないようにするとともに、胴体部に搭載されたループアンテナが外部に露出されないようにしてもよい。前記第1のスリット充填モジュール及び第2のスリット充填モジュールは、電気絶縁性を有する物質から製作されてもよく、あるいは、金属などの物質から製作された後、表面を酸化処理して表面が電気絶縁性を有するように構成してもよい。
【0059】
このように、金属物質または貴金属物質からなる胴体部の第1の胴体部及び第2の胴体部にそれぞれ第1のスリット及び第2のスリットを形成することにより、ループアンテナが外部の端末による誘導電流を生じさせて制御用集積回路素子を駆動することができ、制御用集積回路素子がループアンテナを介して外部の端末とデータを送受信することが可能になる。
【0060】
前記第1のスリット及び第2のスリットは、単一の直線の形状に形成されてもよく、あるいは、少なくとも一つ以上の折曲げ部を有するように構成してもよい。前記第1及び第2のスリットを折曲げ部を有するように構成することにより、胴体部の剛性を向上させることが可能になる。
【0061】
前記胴体部は、図5に示すように、指輪の形状を呈して、本発明に係る金属飾り具は、指輪型カードまたは指輪型扉施錠装置用鍵として使用可能になる。
【0062】
以下、添付図面に基づいて、前述した本発明の第2の実施形態に係る金属飾り具の製造方法について詳しく説明する。
【0063】
図9は、本発明の第2の実施形態に係る金属飾り具の製造方法を示すフローチャートである。
【0064】
図9を参照すると、本発明の第2の実施形態に係る金属飾り具の製造方法は、(a)金属物質または貴金属物質を用いて中央に貫通口が形成された環状の第1の胴体部を製作するステップと、(b)金属または貴金属物質を用いて中央に貫通口が形成された第2の胴体部と同じ環状の第2の胴体部を製作するステップと、(c)前記第1の胴体部と第2の胴体部とが互いに当接する面にループアンテナを嵌め込むための一定の深さの第1の溝を形成するステップと、(d)前記第1の胴体部と第2の胴体部とが互いに当接する面のうちの一方の面に形成された第1の溝の所定の領域に制御用集積回路素子を搭載するための第2の溝を形成するステップと、(e)前記第2の溝と前記第1の溝にそれぞれ制御用集積回路素子及び前記制御用集積回路素子の両端につながれたループアンテナを搭載するステップと、(f)ループアンテナの搭載された面が露出されないように前記第1の胴体部と第2の胴体部の一方の面とを互いに当接するように接着するステップと、を含む。
【0065】
前記第1の胴体部の一方の面と第2の胴体部の一方の面は、同じ大きさと形状を有して、互いに当接するように配置した後、接着して一体形に構成することが好ましい。
【0066】
前記ステップ(a)は、(a1)金属物質または貴金属物質を用いて中央に貫通口が形成された環状の第1の胴体部を製作するステップと、(a2)前記第1の胴体部の環の一部の区間を完全に切り欠いて第1のスリットを形成するステップと、を含む。前記ステップ(b)は、(b1)金属物質または貴金属物質を用いて中央に貫通口が形成された環状の第2の胴体部を製作するステップと、(b2)前記第2の胴体部の環の一部の区間を完全に切り欠いて第2のスリットを形成するステップと、を含み、前記第1のスリットと第2のスリットとは、互いに連絡されるように構成することが好ましい。
【0067】
前記製造方法は、(a6)前記第1のスリットを電気絶縁性を有する物質で充填するステップをさらに含むか、あるいは、(a7)電気絶縁性を有する物質からスリット充填モジュールを製作したり、所定の物質からスリット充填モジュールを製作した後、電気絶縁性を有するように表面を酸化処理したりした後、前記スリット充填モジュールを第1のスリットに嵌合するステップをさらに含むことが好ましい。
【0068】
<第3の実施形態>
以下、添付図面に基づいて、本発明の第3の実施形態に係る金属飾り具の構造及び動作について詳しく説明する。本発明の第3の実施形態に係る金属飾り具は、ペンダント(pendant)状を呈して、ネックレスまたは携帯電話ストラップなどにつながれて決済用カードまたは扉施錠装置用鍵として使用可能である。
【0069】
図7は、本発明の第3の実施形態に係る非接触式近距離無線通信機能を有する金属飾り具の一実施の形態を例示的に示す斜視図である。図8は、図7の金属飾り具の分解斜視図である。
【0070】
図7及び図8を参照すると、本実施形態に係る非接触式金属飾り具7は、ペンダントのような金属飾り具であって、制御用集積回路素子700、ループアンテナ710、胴体部720及びスリット充填モジュール730を備える。
【0071】
前記制御用集積回路素子700及び前記ループアンテナ710は、第2の実施形態のそれらと同様であるため、重複する説明は省略する。
【0072】
前記胴体部720は、金属または貴金属物質からなる第1の胴体部780及び第2の胴体部790から構成され、前記胴体部720には、前記制御用集積回路素子700及び数回以上巻回された状態で前記制御用集積回路素子の両端につながれたループアンテナ710が搭載される。前記胴体部において、前記ループアンテナの内側の領域には所定の直径以上の孔'a'が形成され、前記胴体部には孔と連絡されるスリットS1、S2が形成されることが好ましい。各スリットS1、S2には、スリット充填モジュール782、792が嵌合される。
【0073】
前記第1の胴体部と第2の胴体部は、それぞれ第1の孔a1及び第2の孔a2を備え、全体的に同じ形状を呈するが、一方の面が互いに当接できるように構成されることが好ましい。
【0074】
前記第1及び第2の胴体部の互いに当接する面のうちの一方の面または両方の面に前記制御用集積回路素子及びループアンテナが搭載されるための溝784、794を備える。前記ループアンテナ710は、数回巻回されて前記環状の第1及び第2の胴体部のどちらか一方に形成された第1の溝に搭載される。前記制御用集積回路素子は、第1及び第2の胴体部のどちらか一方に形成された第2の溝に搭載され、前記ループアンテナの両端は、前記制御用集積回路素子に接着されてつなぎ合わせられる。
【0075】
前述した第1から第3の実施形態において、本発明に係る金属飾り具は、胴体部におけるループアンテナが搭載される領域の内部領域に貫通孔を形成したり孔を形成したりすることにより、磁場が通過できる空間を与える。また、本発明に係る金属飾り具は、胴体部におけるループアンテナが搭載される領域の一部の領域にスリットを形成することにより、共振効果を奏する。したがって、本発明に係る金属飾り具のループアンテナ及び制御用集積回路素子は、外部の端末や読み取り機(リーダー)と非接触式近距離無線通信を行うことが可能になる。
【0076】
以上、本発明についてその好適な実施形態を中心として説明したが、これは単なる例示にすぎず、本発明を限定するものではなく、本発明が属する分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性を逸脱しない範囲において以上に例示されていない種々の変形と応用が可能であるということが理解できる筈である。そして、このような変形と応用に係わる相違点は、特許請求の範囲において定める本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9