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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】低風速ガス系消火システム
(51)【国際特許分類】
   A62C 31/02 20060101AFI20220914BHJP
   B05B 1/30 20060101ALI20220914BHJP
   A62C 35/13 20060101ALN20220914BHJP
【FI】
A62C31/02
B05B1/30
A62C35/13
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2017079069
(22)【出願日】2017-04-12
(65)【公開番号】P2017192722
(43)【公開日】2017-10-26
【審査請求日】2020-01-17
【審判番号】
【審判請求日】2021-11-08
(31)【優先権主張番号】P 2016081406
(32)【優先日】2016-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000168676
【氏名又は名称】株式会社コーアツ
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【弁理士】
【氏名又は名称】沖中 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】河岸 敏広
【合議体】
【審判長】山本 信平
【審判官】鈴木 充
【審判官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-87707(JP,A)
【文献】特開2008-12158(JP,A)
【文献】特開2002-253692(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第0700693(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C31/02,35/13
B05B 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
美術館又は博物館の展示室又は収蔵庫に適用される消火剤ガスを使用するガス系消火設備において防護区画に消火剤ガスを放出するために設置される噴射ヘッドに、オリフィス
の出口部に配設した円筒形状の気体が流通可能な繊維状又は多孔性材料からなる消火剤ガスの風速抑制手段を備えた低風速ガス系消火システムであって、前記消火剤ガスの風速抑制手段が、円筒形状の気体が流通可能な繊維状又は多孔性材料の端面に円板形状のデフレクタを設けることによって、外周面のみから消火剤ガスが放出されるようにしてなり、噴射ヘッドから消火剤ガスを放出したときの噴射ヘッドからの軸方向の距離が350mm~2350mm、水平方向の距離が0mm~3000mmの空間における風速が1~2m/sであることを特徴とする低風速ガス系消火システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、文化財などを展示したり収蔵される美術館、博物館などの展示室や収蔵庫に適用されるガス系消火システムに関する。
【背景技術】
【0002】
美術館、博物館などの展示室で展示される展示物には、絵画、陶器、掛け軸など多種多様であり、また展示方法も展示物を効果的に閲覧できるように固定方法や陳列位置など工夫が凝らされている。
美術館、博物館などでは、定期的もしくは不定期に展示物を変更し、多種多様な嗜好を持つ人間の閲覧要望を満足させることで入場者を獲得している。
【0003】
ところで、消防法では一定規模の建築物などの防火対象物には消火設備の設置が義務付けられており、美術館、博物館などの展示室においても、屋内消火栓設備などの消火剤として水を使用する消火設備を設置することがある。
そして、火災が発生した場合、屋内消火栓設備を起動させ、火災発生部分に対して放水することで消火することになるが、火災発生部分に展示物が含まれる場合には、消火はできたとしても放水による水圧や不清浄な水そのものにより貴重な展示物が損傷、損壊される場合がある。
また、火災発生部分の近辺に放水の障害となる物体、例えば、展示物を陳列する架台や展示物そのものが障害となり、火災発生部分に十分に放水できず火災が拡大し初期消火に失敗する場合がある。
放水により消火に至らしめた場合、放水された水は、燃焼生成物や防護区画そのものの汚れを含み、火災発生部分以外の範囲も汚染する結果となり、清掃などを含め、復元には多大な時間と費用が発生する。
【0004】
したがって、美術館、博物館などの展示室では、貴重な展示物の損傷、損壊を防ぐために、消火剤として水を使用する消火設備に代えて、消火剤として、気体(ガス)を使用するガス系消火設備を設置することが多くなっている。
【0005】
ところで、従来のガス系消火設備は、図9に示すように、主に消火剤を貯蔵している蓄圧式の貯蔵容器、貯蔵容器を開放するための容器弁、消火剤を防護区画まで搬送するための配管、容器弁と配管を接続する連結管、防護区画内に消火剤を放射するための噴射ヘッドなどで構成される。
防護区画が複数ある場合には、貯蔵容器を共用するために火災が発生した該防護区画だけの配管経路を構成するため、貯蔵容器と各防護区画に至る配管の途中に選択弁を設け、選択弁開放用に起動用ガス容器を設ける。
火災が発生した該防護区画用の起動用ガス容器が開放されることにより、起動用ガス容器内の起動用ガスが該防護区画用の選択弁を開放するとともに貯蔵容器の容器弁に設けられた容器弁開放装置を作動させて貯蔵容器を開放する。
【0006】
ところで、現在汎用されているガス系消火設備には、窒素ガス、二酸化炭素などの不活性ガスを用いる不活性ガス消火設備があるが、美術館、博物館などの展示室に多数の採用実績がある消火剤の1つとして、火災発生時に万一逃げ遅れた人員の安全性を考慮して、毒性が低く比較的安全であるとされる窒素ガスが挙げられる。
窒素ガスを用いる消火設備は、窒素ガス消火設備と称される。
【0007】
この窒素ガス消火設備は、防護区画内に設置された噴射ヘッドから気体の状態で放射され、防護区画の隅々に拡散し消火に至らしめること、消火後は燃焼生成物や消火剤である窒素ガスを排出装置によって防護区画外に排出することで、復元までの時間と費用を比較的低く抑えることができるという特長が挙げられる。
【0008】
しかしながら、この窒素ガス消火設備を含め、ガス系消火設備の場合、火災が拡大する前に消火剤を放射して消火する目的のため、消火に必要となる消火剤量を規定時間で放射するシステム設計をする必要があることから、消火剤の放射によって防護区画内に発生する風速が高くなる傾向にある。
風速が高い場合、貴重な展示物で、例えば、掛け軸や絵画などは大きく揺れ、固定位置から脱落する危険がある。また、風速により舞い上がる埃や塵による汚れの付着、直接的かつ間接的に発生する振動も展示物にとってはダメージとなる。
【0009】
このため、図8(a)に示すように、配管4に取り付けた噴射ヘッド10Aに、放射流量を調整するための単一のオリフィス2を設けたり、図8(b)に示すように、配管4に取り付けた噴射ヘッド10Bに、オリフィス2を複数に分けて設置し、各オリフィス2が受け持つ消火剤の流量を低くした上で、消火剤を放射する噴射ヘッド10Bに円錐形状のデフレクタ(偏向部材)5を備え、各オリフィス2からほぼ単一軸上に放射される消火剤を一旦デフレクタ5と衝突させて、運動エネルギーを減衰させ、かつ消火剤を多方向に飛散させることで、消火剤の放射による風速を低減させるようにしたり、図8(c)に示すように、配管4に取り付けた噴射ヘッド10Cに、円錐筒形状のホーン(拡散部材)6を備え、この消火剤ガスをホーン(拡散部材)6により拡散させて防護区画に放出するようにすることが行われている。
【0010】
しかしながら、これらの対策では、噴射ヘッド10A、10B、10Cの構造及び構成から、風速の低減効果には限界があり、特に、風速に敏感な掛け軸などが展示されている場合、噴射ヘッド1個が受け持つ放射流量を少なくするため、小型の噴射ヘッドを複数設置して風速を低減しなければならず、設備の構造が複雑になるなどの問題があった。
また、貴重な展示物にとっては、その風速により直接的かつ間接的に発生する揺れや振動、舞い上がる埃や塵による汚れの付着など発生するダメージは軽減されてはいるものの、皆無にはならないため、さらなる風速を低減させる措置を実施する必要があった。
なお、上記対策によって低減させた風速を、さらに低減させるためには、噴射ヘッド10A、10B、10Cによる対策以外に風よけ板を設置するなどの措置が考えられるが、展示物が変更となった場合に陳列位置が変わること、噴射ヘッドは天井裏などに敷設された鋼管と接続するため容易には設置位置が変更できないこと、また、噴射ヘッドは性能上、設置位置や方向の変更には制限があることなどから、これらの措置を実施することは困難を伴うことが多かった。
【0011】
また、美術館、博物館などの展示室のほか、展示物を保管する収蔵庫などでも、消火剤の風速による影響を低減させる必要があるが、上記と同様の理由で解決が困難な課題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、上記従来のガス系消火設備の有する問題点に鑑み、消火剤の放射によって発生する風速が貴重な展示物などに与える影響を、従来の噴射ヘッドと比較して極力低減させることができる低風速ガス系消火システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の低風速ガス系消火システムは、消火剤ガスを使用するガス系消火設備において防護区画に消火剤ガスを放出するために設置される噴射ヘッドに風速抑制手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
この場合において、前記風速抑制手段を、噴射ヘッドに配設した風速抑制器で構成することができる。
【0015】
また、前記風速抑制手段を、噴射ヘッドのオリフィスの出口部に配設した気体が流通可能な繊維状又は多孔性の材料で構成することができる。
【0016】
そして、繊維状又は多孔性材料の空隙の孔径を、気体が流通する方向に変化させること、例えば、繊維状又は多孔性材料の空隙の孔径を、気体が流通する方向に小さくすることができる。
また、消火に必要な消火剤量は、防護区画の容積により算出され、かつ規定時間内で放射する必要があり、放射流量をオリフィスで調整することから、放射流量により本発明で用いる噴射ヘッドを防護区画に適宜複数設置して、消火に必要となる消火剤量によらず展示室に発生する風速を好適に抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の低風速ガス系消火システムによれば、消火剤ガスを使用するガス系消火設備において防護区画に消火剤ガスを放出するために設置される噴射ヘッドに風速抑制手段を備えることにより、消火剤ガスが放出される際に発生する風速を低減でき、風速による貴重な展示物への影響を及ぼすことなどを低減することができる。
【0018】
また、前記風速抑制手段を、噴射ヘッドに配設した風速抑制器で構成することにより、風速抑制手段を簡易に配設することができるとともに、必要とされる風速抑制の程度、設置状態等に合わせて風速抑制器を設計することができることから、必要な風速抑制性能を確実に得ることができる。
また、風速抑制手段として風速抑制器を噴射ヘッドに配設することにより、風速抑制のために噴射ヘッド1個あたりの消火剤ガスの放出流量を低減させる必要がないことから、風速抑制のために噴射ヘッド1個あたりの消火剤ガスの放出流量を低減させた場合に必要となる噴射ヘッドの設置個数の増加を抑制することができ、これにより、低風速ガス系消火システムの構築コストを低廉にできる。
【0019】
また、前記風速抑制手段を、噴射ヘッドのオリフィスの出口部に配設した気体が流通可能な繊維状又は多孔性材料で構成することにより、風速抑制手段を簡易な構造とし、噴射ヘッドをコンパクトに構成でき、既存の設備にもそのまま適用することができる。
【0020】
そして、繊維状又は多孔性材料の空隙の孔径を、気体が流通する方向に変化させること、例えば、繊維状又は多孔性材料の空隙の孔径を、気体が流通する方向に小さくすることにより、大きな風速抑制効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の低風速ガス系消火システムに用いる噴射ヘッドの第1実施例を示す説明図である。
図2】本発明の低風速ガス系消火システムに用いる噴射ヘッドの第2実施例を示す説明図である。
図3】本発明の低風速ガス系消火システムに用いる噴射ヘッドの第3実施例を示す説明図である。
図4】本発明の低風速ガス系消火システムに用いる噴射ヘッドの第3実施例の第1変形実施例を示す説明図である。
図5】本発明の低風速ガス系消火システムに用いる噴射ヘッドの第3実施例の第2変形実施例を示す説明図である。
図6】本発明の低風速ガス系消火システムに用いる噴射ヘッドの第4実施例を示す説明図である。
図7】本発明の低風速ガス系消火システムに用いる噴射ヘッドの第4実施例の変形実施例を示す説明図である。
図8】従来のガス系消火設備用噴射ヘッドを示す説明図である。
図9】ガス系消火設備の一例を示す説明図である。
図10】試験の実施例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の低風速ガス系消火システムの実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0023】
図1に、本発明の低風速ガス系消火システムに用いる噴射ヘッドの第1実施例を示す。
この低風速ガス系消火システムに用いる噴射ヘッド1Aは、消火剤ガスが供給される配管4に接続された噴射ヘッド1Aにオリフィス2を備えるとともに、その先端側に風速抑制器3Aを配設し、この風速抑制器3Aを介して消火剤ガスを防護区画に放出するようにしている。
【0024】
本実施例において、風速抑制器3Aは、消火剤ガスの流路となる内管31の周面に多数の透孔31aを形成し、その外周を外管32で覆う構造としている。
この風速抑制器3Aは、消火剤ガスの持つ運動エネルギーを弱めて、消火剤ガスが放出される際に発生する風速を低減するようにしたものである。
すなわち、噴射ヘッド1Aのオリフィス2を通過した消火剤ガスを直接大気中に放出すると、消火剤ガスの持つ運動エネルギーがほとんど減衰しないため、それに伴って高い風速が発生することとなるが、本実施例の噴射ヘッド1Aにおいては、消火剤ガスの流路となる内管31の周面に多数の透孔31aを形成し、その外周を外管32で覆う構造としているため、オリフィス2を通過した消火剤ガスが内管31を通過する間に徐々に運動エネルギーは減衰し、消火剤ガスが内管31の先端に形成された開口31bから大気中に放出される際に高い風速が発生することを低減することができる。
【0025】
この場合において、内管31の周面に形成する透孔31aの大きさ及び個数(開口率)は、消火剤ガスの圧力や流量に応じて適宜設定することができる。
また、内管31と外管32との間に形成した空間33には、必要に応じて、グラスウール、ロックウール、スチールウール等の金属製ウール、合成繊維や天然繊維の不織布、無機材料(金属、金属の酸化物、金属の水酸化物を含む。)からなる多孔体(焼結体や粒状体を含む。)、合成樹脂発泡体、ハニカム構造の整流器等の気体が流通可能な繊維状又は多孔性の気流の乱れをなくす材料を充填するか、あるいは空間のままにすることができる。
また、外管32を焼結金属製のもので構成することもできる。
【0026】
なお、本実施例においては、消火剤ガスを、内管31の先端に形成された開口31bから防護区画に直接放出するようにしているが、図8(b)に示すように、円錐形状のデフレクタ(偏向部材)5を備え、内管31の先端に形成された開口31bから放出された消火剤ガスをデフレクタ(偏向部材)5により偏向させて防護区画に放出するようにしたり、図8(c)に示すように、円錐筒形状のホーン(拡散部材)6を備え、内管31の先端に形成された開口31bから放出された消火剤ガスをホーン(拡散部材)6により拡散させて防護区画に放出するようにすることもできる。
【0027】
この低風速ガス系消火システムに用いる噴射ヘッド1Aによれば、消火剤ガスを使用するガス系消火設備において防護区画に消火剤ガスを放出するために設置される噴射ヘッド1Aに風速抑制器3Aを配設することにより、消火剤ガスが放出される際に発生する風速を低減できる。
【0028】
本実施例の噴射ヘッド1Aを用いた低風速ガス系消火システムは、風速により直接的かつ間接的に発生する揺れや振動、舞い上がる埃や塵による汚れの付着など発生するダメージを従来のガス系消火設備より低減させることができる。
【0029】
また、噴射ヘッド1Aに配設した風速抑制器3Aは、風速抑制手段としての風速抑制器3Aを簡易に配設することができるとともに、必要とされる風速抑制の程度、設置状態等に合わせて風速抑制器3Aを設計することができることから、必要な風速抑制性能を確実に得ることができる。
【実施例2】
【0030】
図2に、本発明の低風速ガス系消火システムに用いる噴射ヘッドの第2実施例を示す。
この風速ガス系消火システムに用いる噴射ヘッド1Bは、消火剤ガスが供給される配管4に接続された噴射ヘッド1Bにオリフィス2を備えるとともに、その先端側に風速抑制器3Bを配設し、この風速抑制器3Bを介して消火剤ガスを防護区画に放出するようにしている。
【0031】
本実施例において、風速抑制器3Bは、消火剤ガスが、消火剤ガスの流路となる内部流路34から放射方向に放出されるように、中心部に内部流路34と連通する孔部35aを有する複数の円盤形状の板材35を、スペーサ(図示省略)によって間隔をあけて、ボルト37によって固定することにより、消火剤ガスが放射方向に放出される放出流路36が形成される構造としている。
この風速抑制器3Bは、消火剤ガスが持つ運動エネルギーを弱めて、消火剤ガスが放出される際に発生する風速を低減するようにしたものである。
すなわち、噴射ヘッド1Bのオリフィス2を通過した消火剤ガスを直接大気中に放出すると、消火剤ガスの持つ運動エネルギーがほとんど減衰しないため、それに伴って高い風速が発生することとなるが、本実施例の噴射ヘッド1Bにおいては、消火剤ガスが、消火剤ガスの流路となる内部流路34から放射方向に放出されるように、中心部に内部流路34と連通する孔部35aを有する複数の円盤形状の板材35を、スペーサ(図示省略)によって間隔をあけて、ボルト37によって固定することにより、消火剤ガスが放射方向に放出される放出流路36が形成される構造としているため、オリフィス2を通過した消火剤ガスが放出流路36を通過する間に徐々に運動エネルギーは減衰し、消火剤ガスが放出流路36から大気中に放出される際に高い風速が発生することを低減することができる。
【0032】
この場合において、円盤形状の板材35や放出流路36の大きさ及び個数は、消火剤ガスの圧力や流量に応じて適宜設定することができる。
【0033】
本実施例の低風速ガス系消火システムに用いる噴射ヘッド1Bのその他の作用は、上記第1実施例の風速ガス系消火システムに用いる噴射ヘッド1Aと同様である。
【実施例3】
【0034】
図3に、本発明の低風速ガス系消火システムに用いる噴射ヘッドの第3実施例を示す。
この低風速ガス系消火システムに用いる噴射ヘッド1Cは、消火剤ガスが供給される配管4に接続された噴射ヘッド1Cに横方向に開口する複数個(本実施例においては、4個)のオリフィス2を備えるとともに、その外周を覆うように風速抑制器3Cを配設し、この風速抑制器3Cを介して消火剤ガスを防護区画に放出するようにしている。
【0035】
本実施例において、風速抑制器3Cは、オリフィス2の外周囲に設けた筒状の筐体38と、消火剤ガスの流路となる筐体38の開口部38aに配設した充填材39aとで構成するようにしている。
この風速抑制器3Cは、消火剤ガスの進行方向を多方向に変えながら運動エネルギーを減衰させ、最終的に一軸方向に消火剤ガスが放出されることで発生する風速を低減するようにしたものである。
すなわち、噴射ヘッド1Cのオリフィス2を通過した消火剤ガスを直接大気中に放出すると、各オリフィスが受け持つ消火剤の運動エネルギーがほとんど減衰しないため、それに伴って高い風速が発生することとなるが、本実施例の噴射ヘッド1Cにおいては、消火剤ガスの流路となるオリフィス2の外周を筐体38で覆うとともに、この筐体38の開口部38aに充填材39aを配設した構造としているため、オリフィス2を通過した消火剤ガスが筐体38、さらには、充填材39aを通過する間に徐々に運動エネルギーは減衰し、筐体38の開口部38aから大気中に放出される際に高い風速が発生することを低減することができる。
【0036】
この場合において、充填材39aには、グラスウール、ロックウール、スチールウール等の金属製ウール、合成繊維や天然繊維の不織布、無機材料(金属、金属の酸化物、金属の水酸化物を含む。)からなる多孔体(焼結体や粒状体を含む。)、合成樹脂発泡体、ハニカム構造の整流器等の気体が流通可能な繊維状又は多孔性の気流の乱れをなくす材料を用いることができる。
また、充填材39aが飛散等しないように、充填材39aの材質等に応じて、パンチングメタル、エキスパンドメタル、焼結金属製の板材、ハニカム構造の整流器等からなる挟持板39b1、39b2によって挟持した状態で配設することができる。
また、風速抑制効果を一層高めるために、必要に応じて、筐体38の内周及び/又は外周をさらに運動エネルギーを減衰させる材料を用いて被覆したり、筐体38を焼結金属製のもので構成することもできる。
【0037】
本実施例の噴射ヘッド1Cを用いた低風速ガス系消火システムのその他の作用は、上記第3実施例の噴射ヘッド1Aを用いた低風速ガス系消火システムと同様である。
ところで、上記第3実施例の低風速ガス系消火システムに用いる噴射ヘッド1Cの充填材39aなどの配置形態は、同実施例に記載したものに限定されず、以下に記載するような種々の形態を採用することができる。
【0038】
図4に、上記第3実施例の第1変形実施例を示す。
この低風速ガス系消火システムに用いる噴射ヘッド1C1において、風速抑制器3C1は、横方向に開口する複数個(本実施例においては、4個)のオリフィス2の外周囲に設けけられた、消火剤ガスの流路となる開口部38aを形成した筒状の筐体38と、オリフィス2の横方向を向く開口の外周を若干の空間を設けて覆うようにして筐体38内に配設した有底の充填材39a1とで構成するようにしている。
【0039】
この風速抑制器3C1は、消火剤ガスの進行方向を多方向に変えながら運動エネルギーを減衰させ、最終的に一軸方向に消火剤ガスが放出されることで発生する風速を低減するようにしたものである。
すなわち、噴射ヘッド1C1のオリフィス2を通過した消火剤ガスを直接大気中に放出すると、各オリフィスが受け持つ消火剤の運動エネルギーが大きく、それに伴って高い風速が発生することとなるが、本実施例の噴射ヘッド1C1においては、消火剤ガスの流路となるオリフィス2の外周を充填材39a1を介して筐体38で覆う構造としているため、オリフィス2を通過した消火剤ガスが充填材39a1を通過する間に徐々に運動エネルギーが減衰し、筐体38の開口部38aから大気中に放出される際に高い風速が発生することを低減できる。
【0040】
この場合において、充填材39a1には、気体が流通可能な繊維状又は多孔性の気流の乱れをなくす材料を用いることができるが、特に、形状保持性能の高い無機材料(金属、金属の酸化物、金属の水酸化物を含む。)の焼結体からなる多孔体を好適に用いることができる。
また、図4(b)に示すように、オリフィス2と充填材39a1との間に形成された空間の下部に気体が流通しない有底筒状の遮蔽体39cを配設することができる。
これにより、噴射ヘッド1C1のオリフィス2を通過した消火剤ガスを、一旦遮蔽体39cで受け、その後、充填材39a1を通過させることによって、消火剤ガスの圧力によって充填材39a1が損傷を受けることを防止し、消火剤ガスが充填材39a1を円滑に通過させることができる。
【0041】
なお、噴射ヘッド1C1のオリフィス2と充填材39a1との間の空間を形成しないようにすることもできるが、空間を形成することにより、噴射ヘッド1C1のオリフィス2を通過した消火剤ガスを、一旦噴射ヘッド1C1のオリフィス2と充填材39a1との間に形成した空間に放出することによって拡散させ、消火剤ガスが充填材39a1を円滑に通過するようにすることができる。
【0042】
本実施例の噴射ヘッド1C1を用いた低風速ガス系消火システムのその他の作用は、上記第3実施例の噴射ヘッド1Cを用いた低風速ガス系消火システムと同様である。
【0043】
図5に、上記第3実施例の第2変形実施例を示す。
この低風速ガス系消火システムに用いる噴射ヘッド1C2において、風速抑制器3C2は、下方向に開口する複数個(本実施例においては、6個)のオリフィス2の出口に円板形状(又は図8(b)に示すような円錐形状)のデフレクタ(偏向部材)5を設けて横方向に偏向させた開口の外周囲に設けられた、消火剤ガスの流路となる開口部38aを形成した筒状の筐体38と、オリフィス2の横方向を向く開口の外周を覆うようにして筐体38内に配設した有底の充填材39a1とで構成するようにしている。
【0044】
さらに、この噴射ヘッド1C2においては、下方向に開口するオリフィス2の出口部に気体が流通可能な繊維状又は多孔性の気流の乱れをなくす材料(図示省略)を配設し、その周囲をスリット等を形成することにより気体が流通可能なカバー部材39dで覆うようにしている。
【0045】
この場合、気体が流通可能な繊維状又は多孔性の気流の乱れをなくす材料は、オリフィス2の出口部に、気流の乱れを生じさせる空隙を生じることがないように、できるだけ近接して配設することが好ましい。
【0046】
この風速抑制器3C2は、消火剤ガスの進行方向を多方向に変えながら運動エネルギーを減衰させ、最終的に一軸方向に消火剤ガスが放出されることで発生する風速を低減するようにしたものである。
すなわち、噴射ヘッド1C2のオリフィス2を通過した消火剤ガスを直接大気中に放出すると、各オリフィスが受け持つ消火剤の運動エネルギーが大きく、それに伴って高い風速が発生することとなるが、本実施例の噴射ヘッド1C2においては、消火剤ガスの流路となる下方向に開口するオリフィス2の出口部に気体が流通可能な繊維状又は多孔性の気流の乱れをなくす材料を配設するとともに、横方向を向く開口の外周を充填材39a1を介して筐体38で覆う構造としているため、オリフィス2を通過した消火剤ガスが、気体が流通可能な繊維状又は多孔性の気流の乱れをなくす材料及び充填材39a1を通過する間に徐々に運動エネルギーを減衰させ、筐体38の開口部38aから大気中に放出される際に高い風速が発生することを低減できる。
【0047】
この場合において、充填材39a1には、気体が流通可能な繊維状又は多孔性の気流の乱れをなくす材料を用いることができるが、特に、形状保持性能の高い無機材料(金属、金属の酸化物、金属の水酸化物を含む。)の焼結体からなる多孔体を好適に用いることができる。
また、消火剤ガスの流路となる下方向に開口するオリフィス2の出口部に配設する気体が流通可能な繊維状又は多孔性の気流の乱れをなくす材料には、グラスウール、ロックウール、スチールウール等の金属製ウールや形状保持性能の高い無機材料(金属、金属の酸化物、金属の水酸化物を含む。)の焼結体からなる多孔体を好適に用いることができる。
なお、カバー部材39dには、気体が流通可能な繊維状又は多孔性の気流の乱れをなくす材料の材質に応じて、パンチングメタル、エキスパンドメタル、焼結金属製の板材、ハニカム構造の整流器等を用いることができるが、気体が流通可能な繊維状又は多孔性の気流の乱れをなくす材料の材質によっては、省略することもできる。
【0048】
また、図5(b)に示すように、噴射ヘッド1C2のオリフィス2と充填材39a1との間に空間を形成することができる。
これにより、噴射ヘッド1C2のオリフィス2を通過した消火剤ガスを、一旦噴射ヘッド1C2のオリフィス2と充填材39a1との間に形成した空間に放出することによって拡散させ、消火剤ガスが充填材39a1を円滑に通過するようにすることができる。
【0049】
本実施例の噴射ヘッド1C2を用いた低風速ガス系消火システムのその他の作用は、上記第3実施例の噴射ヘッド1Cを用いた低風速ガス系消火システムと同様である。
【実施例4】
【0050】
また、同様に、第3実施例の第2変形実施例に示すオリフィス2の出口部に、気体が流通可能な繊維状又は多孔性の気流の乱れをなくす材料を配設する構造のみ(筒状の筐体38を省略。)によって風速抑制効果を得るようにすることもできる。
【0051】
この場合、気体が流通可能な繊維状又は多孔性の気流の乱れをなくす材料は、オリフィス2の出口部に、気流の乱れを生じさせる空隙を生じることがないように、できるだけ近接して配設することが好ましい。
【0052】
具体的には、図6に示すように、噴射ヘッド1I、1Jのオリフィス2の出口部に気体が流通可能な繊維状又は多孔性の気流の乱れをなくす材料7を配設することにより、オリフィス2を通過した消火剤ガスが、気体が流通可能な繊維状又は多孔性の気流の乱れをなくす材料7を通過する間に徐々に運動エネルギーを減衰させ、大気中に放出される際に高い風速が発生することを低減できる。
【0053】
ここで、図6(a)に示す噴射ヘッド1Iは、複数個(本実施例においては、6個)のオリフィス2を備え、その出口に円板形状(又は図8(b)に示すような円錐形状)のデフレクタ(偏向部材)5を設けて横方向に偏向させた開口を備えたものであり、図6(b)に示す噴射ヘッド1Jは、1個のオリフィス2に連なる下方向の開口を備えたものである。
なお、噴射ヘッドやオリフィスの形式は、本実施例のものに限定されるものではない。
【0054】
この場合において、気体が流通可能な繊維状又は多孔性の気流の乱れをなくす材料7には、特に、グラスウール、ロックウール、スチールウール等の金属製ウールや形状保持性能の高い無機材料(金属、金属の酸化物、金属の水酸化物を含む。)の焼結体からなる多孔体を、その材質等に応じて、必要に応じて、パンチングメタル、エキスパンドメタル、焼結金属製の板材、ハニカム構造の整流器等からなるカバー部材を併用することによって、好適に用いることができる。
このように、風速抑制手段を、オリフィス2の出口部に配設した気体が流通可能な繊維状又は多孔性の気流の乱れをなくす材料7で構成することにより、風速抑制手段を簡易な構造とし、噴射ヘッドをコンパクトに構成でき、既存の設備にもそのまま適用することができる。
【0055】
本実施例のガス系消火設備用のディフューザを有する噴射ヘッド1I、1Jのその他の作用は、上記第3実施例の第2変形実施例の噴射ヘッド1C2を用いた低風速ガス系消火システムと同様である。
【0056】
ところで、オリフィス2の出口部に配設する気体が流通可能な繊維状又は多孔性の気流の乱れをなくす材料7は、全体を均質な材料で構成するほか、図7に示す噴射ヘッド1K、1Lに示すように、繊維状又は多孔性材料の空隙の孔径を気体が流通する方向に変化させた材料、例えば、繊維状又は多孔性材料の空隙の孔径を気体が流通する方向に小さくした材料を用いることができる。
【0057】
具体的には、図7(a)に示す噴射ヘッド1Kは、複数個のオリフィス2を備え、その出口に、中心部に空隙の孔径が大きな3次元の網目状組織からなる金属多孔性材料7aを、外周部にそれより空隙の孔径が小さな金属多孔性材料7bを層状に配して構成した円板形状の多孔性の気流の乱れをなくす材料7を配設したものであり、図7(b)に示す噴射ヘッド1Lは、複数個のオリフィス2を備え、その出口に、中心部に空隙の孔径が大きな3次元の網目状組織からなる金属多孔性材料7aを、外周部にそれより空隙の孔径が小さな金属多孔性材料7bを層状に配して構成した円筒形状の多孔性の気流の乱れをなくす材料7を配設したものである。
【0058】
なお、噴射ヘッドやオリフィスの形式、さらに、気体が流通可能な繊維状又は多孔性の気流の乱れをなくす材料7は、本実施例のものに限定されるものではない。
【0059】
[比較試験1]
次に、図7(b)に示す噴射ヘッド1Lと、図8(b)に示す従来の噴射ヘッド10Bをそれぞれ用いて比較試験を行った。
試験は、図10に示す試験室で、各噴射ヘッド及び風速センサを用いて実施した。
試験結果を、表1に示す。ここで、各風速は測定した最大値を示している。
【0060】
【表1】
【0061】
表1に示す比較試験1の結果から明らかなように、風速抑制手段を備えた噴射ヘッドを用いた低風速ガス系消火システムでは、ガスの流量を確保しながら、消火剤ガスが放出される際に発生する風速の大きさを、1/3~1/6程度まで軽減することができることを確認した。
【0062】
[比較試験2]
次に、同様に、図7(b)に示す噴射ヘッド1Lと、図8(b)に示す従来の噴射ヘッド10Bをそれぞれ用いて、より多くの地点(噴射ヘッドから水平方向及び垂直方向に所定距離だけ離れた地点)で風速(m/s)の測定を行った。
試験は、噴射ヘッドから40m/minの消火剤ガスが放出される際に発生する風速の大きさを風速センサを用いて実施した。
試験結果を、表2(実施例:噴射ヘッド1L)及び表3(比較例:噴射ヘッド10B)に示す。ここで、各風速は測定した最大値を示している。
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】
表2及び表3に示す比較試験2の結果から明らかなように、風速抑制手段を備えた噴射ヘッドを用いた低風速ガス系消火システムでは、ガスの流量を確保しながら、消火剤ガスが放出される際に発生する風速の大きさを、極めて低い値(2m/s以下)に軽減することができることを確認した。
【0066】
ところで、消火に必要な消火剤量は、防護区画の容積により算出され、かつ規定時間内で放射する必要があり、放射流量をオリフィスで調整することから、1つの噴射ヘッドの放射能力には限度があるため、放射流量により複数の噴射ヘッドを防護区画に適宜設置する。
これにより、消火に必要な消火剤量の大小に関係なく、展示室に発生する風速を好適に抑制することができる。
また、展示物が掛け軸等の風速に敏感なものである場合、従来の噴射ヘッドでは噴射ヘッド1個あたりの放射流量を少なくするために複数の設置が必要であったが、本発明の低風速ガス系消火システムでは大幅に改善された噴射ヘッドの性能により、1個あたりの消火剤ガスの放出流量を低減させる必要がないことから、風速抑制のために噴射ヘッド1個あたりの消火剤ガスの放出流量を低減させた場合に必要となる噴射ヘッドの設置個数の増加を抑制する(例えば、従来の噴射ヘッドでは、数十個の設置が必要であったケースで、数個の設置で対応できるようにする)ことができ、これにより、低風速ガス系消火システムの構築コストを低廉にできる。
【0067】
以上、本発明の低風速ガス系消火システムについて、複数の実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、例えば、各実施例に記載した構成を適宜組み合わせたり、風速抑制器に消火剤ガスが放出される際に発生する風速を低減できる各種構造のものを使用する等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の低風速ガス系消火システムは、消火剤ガスが放出される際に発生する風速を低減できることから、二酸化炭素、窒素、フッ素化合物等の消火剤ガスを使用するガス系消火設備の用途、特に、文化財などを展示したり収蔵される美術館、博物館などの展示室や収蔵庫に適用されるガス系消火設備の用途に好適に用いることができ、適用対象も、新設のガス系消火設備に限定されず、噴射ヘッドを交換又は風速抑制器を付設するだけで、既設のガス系消火設備にも適用することができる。
【符号の説明】
【0069】
1A 低風速ガス系消火システムに用いる噴射ヘッド
1B 低風速ガス系消火システムに用いる噴射ヘッド
1C 低風速ガス系消火システムに用いる噴射ヘッド
1C1 低風速ガス系消火システムに用いる噴射ヘッド
1C2 低風速ガス系消火システムに用いる噴射ヘッド
1I 低風速ガス系消火システムに用いる噴射ヘッド
1J 低風速ガス系消火システムに用いる噴射ヘッド
1K 低風速ガス系消火システムに用いる噴射ヘッド
1L 低風速ガス系消火システムに用いる噴射ヘッド
2 オリフィス
3A 風速抑制器
3B 風速抑制器
3C 風速抑制器
3C1 風速抑制器
3C2 風速抑制器
4 配管
5 デフレクタ(偏向部材)
6 ホーン(拡散部材)
7 気体が流通可能な繊維状又は多孔性の気流の乱れをなくす材料
7a 空隙の孔径が大きな金属多孔性材料
7b 空隙の孔径が小さな金属多孔性材料
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10