(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】タイミングゲーム装置およびタイミングゲーム用プログラム
(51)【国際特許分類】
A63F 13/44 20140101AFI20220914BHJP
A63F 13/5255 20140101ALI20220914BHJP
A63F 13/53 20140101ALI20220914BHJP
A63F 13/55 20140101ALI20220914BHJP
G06T 19/00 20110101ALI20220914BHJP
【FI】
A63F13/44
A63F13/5255
A63F13/53
A63F13/55
G06T19/00 C
(21)【出願番号】P 2018134444
(22)【出願日】2018-07-17
【審査請求日】2021-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】516137096
【氏名又は名称】株式会社アルファコード
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】水野 拓宏
【審査官】西村 民男
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-119033(JP,A)
【文献】特開2016-214822(JP,A)
【文献】特開2010-219849(JP,A)
【文献】国際公開第2008/052254(WO,A1)
【文献】[PSVR]中国Arrowiz、VRリズムゲーム『Beats Fever』は日本も含めたすべての地域でのリリースを検討,Social VR Info,[online],2017年03月30日,https://svrinfo.jp/detail?p=181434,[2019年7月3日検索]
【文献】VRリズムアクション『Airtone』が“VR音ゲー”の可能性を感じるデキ[東京インディーフェス],ファミ通App,[online],2017年05月13日,https://app.famitsu.com/20170513_1044473/,[2019年7月3日検索]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/24,13/00-13/98,
G06F 3/01, 3/048-3/04895,
G06T 1/00,11/00-11/40,
11/60-13/80,
15/00-17/00,
17/05,17/10-17/30,
19/00-19/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによるコントローラに対する操作を受け付ける操作受付部と、
上記ユーザが装着したヘッドマウントディスプレイの移動を検出する移動検出部と、
上記ヘッドマウントディスプレイの移動がない場合に対応する固定の視界よりも広い範囲の仮想空間内の異なる位置に複数のヒットエリアが設定された仮想現実画像データに基づいて、上記移動検出部により検出された上記ヘッドマウントディスプレイの移動に応じて視界が変移する仮想空間画像を生成して上記ヘッドマウントディスプレイに表示させる仮想空間画像表示部と、
上記仮想空間画像表示部により表示された上記仮想空間画像内において、上記複数のヒットエリアに対してそれぞれ移動するオブジェクトの移動ラインを複数生成して表示させる移動ライン表示部と、
上記仮想空間画像表示部により表示された上記仮想空間画像内において、上記移動ライン表示部により表示された上記移動ラインに沿って移動するように上記オブジェクトを表示させるオブジェクト表示部と、
上記移動検出部により検出された上記ヘッドマウントディスプレイの移動に応じて上記仮想空間画像表示部により表示された上記仮想空間画像に対応する視界の仮想空間内に設定された上記ヒットエリアに上記オブジェクトが到達するタイミングにおいて、上記オブジェクトに対する操作が上記操作受付部により受け付けられたか否かに基づいて、上記操作を評価する操作評価部とを備えることを特徴とするタイミングゲーム装置。
【請求項2】
上記移動ライン表示部は、上記仮想空間画像表示部により表示された上記仮想空間画像に対応する視界の仮想空間内に設定されている上記ヒットエリアに対する移動ラインと、上記仮想空間画像表示部により表示された上記仮想空間画像に対応する視界の仮想空間外に設定されている上記ヒットエリアに対する移動ラインとを識別可能に表示することを特徴とする請求項1に記載のタイミングゲーム装置。
【請求項3】
上記移動ライン表示部は、上記仮想空間画像表示部により表示された上記仮想空間画像に対応する視界の仮想空間内に設定されている上記ヒットエリアについては当該ヒットエリアに向かう移動ラインを生成して表示する一方、上記仮想空間画像表示部により表示された上記仮想空間画像に対応する視界の仮想空間外に設定されている上記ヒットエリアについては上記仮想空間画像の外へ向かう移動ラインを生成して表示することを特徴とする請求項2に記載のタイミングゲーム装置。
【請求項4】
上記移動ライン表示部は、上記ヒットエリアに向かって上記オブジェクトが移動中の移動ラインと、上記ヒットエリアに向かって上記オブジェクトが移動中ではない移動ラインとを識別可能に表示することを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載のタイミングゲーム装置。
【請求項5】
上記移動ライン表示部は、上記オブジェクト表示部により上記移動ラインに沿って移動するように表示される上記オブジェクトと上記ヒットエリアとの距離に応じて、上記移動ラインの表示態様を変えることを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載のタイミングゲーム装置。
【請求項6】
上記オブジェクト表示部は、上記仮想空間画像表示部により表示された上記仮想空間画像に対応する視界の仮想空間外に設定されている上記ヒットエリアについて、上記仮想空間画像の外へ向かう移動ラインに沿って移動するように上記オブジェクトを表示させ、表示中の上記仮想空間画像に対応する視界の仮想空間の外まで上記オブジェクトが移動する場合は上記オブジェクトの表示を消去しつつも当該オブジェクトの移動に関する演算を継続し、その後に上記移動検出部により検出された上記ヘッドマウントディスプレイの移動に応じて変移した視界の仮想空間内に上記オブジェクトが存在することになる場合は、上記変移した視界の仮想空間に対応する上記仮想空間画像内において上記移動ラインに沿って移動するように上記オブジェクトを表示させることを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載のタイミングゲーム装置。
【請求項7】
上記移動ライン表示部は、表示中の上記仮想空間画像に対応する視界の仮想空間の外まで上記オブジェクトが移動することによって上記オブジェクトの表示が消去されている間も、上記仮想空間画像の外へ向かう移動ラインの表示を継続し、上記オブジェクトの表示が消去された後に継続して移動が演算されるオブジェクトと上記ヒットエリアとの距離に応じて、上記移動ラインの表示態様を変えることを特徴とする請求項6に記載のタイミングゲーム装置。
【請求項8】
ユーザによるコントローラに対する操作を受け付ける操作受付手段、
上記ユーザが装着したヘッドマウントディスプレイの移動を検出する移動検出手段、
上記ヘッドマウントディスプレイの移動がない場合に対応する固定の視界よりも広い範囲の仮想空間内の異なる位置に複数のヒットエリアが設定された仮想現実画像データに基づいて、上記移動検出手段により検出された上記ヘッドマウントディスプレイの移動に応じて視界が変移する仮想空間画像を生成して上記ヘッドマウントディスプレイに表示させる仮想空間画像表示手段、
上記仮想空間画像表示手段により表示された上記仮想空間画像内において、上記複数のヒットエリアに対してそれぞれ移動するオブジェクトの移動ラインを複数生成して表示させる移動ライン表示手段、
上記仮想空間画像表示手段により表示された上記仮想空間画像内において、上記移動ライン表示手段により表示された上記移動ラインに沿って移動するように上記オブジェクトを表示させるオブジェクト表示手段、および
上記移動検出手段により検出された上記ヘッドマウントディスプレイの移動に応じて上記仮想空間画像表示手段により表示された上記仮想空間画像に対応する視界の仮想空間内に設定された上記ヒットエリアに上記オブジェクトが到達するタイミングにおいて、上記オブジェクトに対する操作が上記操作受付手段により受け付けられたか否かに基づいて、上記操作を評価する操作評価手段
としてコンピュータを機能させるためのタイミングゲーム用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイミングゲーム装置およびタイミングゲーム用プログラムに関し、特に、移動するオブジェクトの動きに合わせてユーザがタイミングをとって所定の操作をするタイミングゲームに用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、リズムや音楽、画像の動き等に合わせてタイミングをとるタイミングゲームが提供されている。タイミングゲームでは、基準ラインと当該基準ラインに対して移動するオブジェクトとを表示画面に表示させ、オブジェクトが基準ラインに到達するタイミングに合わせて所定の操作が行われたか否かによって評価が行われ、スコアが加算される(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のゲーム装置では、基準ラインの表示位置とオブジェクトの移動方向とを所定の変更条件に基づいて変更することにより、多様な演出を提供するようにしている。
【0003】
また、近年盛り上がりを見せている仮想現実(バーチャルリアリティ:VR)の技術を活用したタイミングゲームも提供されている(例えば、非特許文献1参照)。この非特許文献1に記載のVRリズムゲームでは、3次元の仮想空間内に存在する仮想プレイヤ側(空間の手前側)へ前方(空間の奥側)から向かってくるオブジェクトに対してユーザがVRコントローラでアクションを行う。そして、オブジェクトの到達位置や種類に応じてタイミングよく適切なアクションを行えたか否かによって評価が行われ、スコアが加算されるようになされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【文献】GAME Watch「VRリズムゲーム「Beat Saber」レビュー」2018年6月6日 https://game.watch.impress.co.jp/docs/review/1125974.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
VRゲームが持つ魅力の1つは、ユーザが体を動かして仮想のオブジェクトに対して直接干渉することができる体験である。非特許文献1に記載のVRリズムゲームも、そのような魅力を取り入れた内容になっている。また、非特許文献1に記載のVRリズムゲームでは、適切にアクションを起こすことによってスコアを得ることができるオブジェクト(スコアブロック)のほかに、ユーザ自身が動いて避ける必要のあるオブジェクト(壁や天井などの障害物)もあり、演出が単調とならないような工夫もされている。
【0007】
しかしながら、非特許文献1に記載のVRリズムゲームでは、表示されている仮想空間は常に固定であり、VRの特徴を活かしきれていないという問題があった。すなわち、仮想空間内の仮想プレイヤは常に同じ場所に立って同じ方向(オブジェクトが向かってくる前方)を向き、常に同じようなアクションを繰り返し行うだけである。スコアブロックのほかに障害物のオブジェクトを混ぜることによって単調さの緩和を図っているものの、ユーザがスコアブロックに対して起こすアクション自体の単調さは否めない。
【0008】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、VRを活用したタイミングゲームにおいて、HMDに表示される仮想空間画像の視界が変移し得るというVRの特徴を活かして、仮想空間内を移動してくるオブジェクトに対するアクションに多様性を持たせ、ユーザがゲームをより楽しむことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するために、本発明では、ヘッドマウントディスプレイの移動がない場合に対応する視界よりも広い範囲の仮想空間内の異なる位置に複数のヒットエリアが設定された仮想現実画像データに基づいて、ヘッドマウントディスプレイの移動に応じて視界が変移する仮想空間画像を生成してヘッドマウントディスプレイに表示させるとともに、複数のヒットエリアに対してそれぞれ移動するオブジェクトの移動ラインを複数生成して仮想空間画像内に表示させる。そして、移動ラインに沿って移動するように表示させたオブジェクトがヒットエリアに到達するタイミングにおいて、当該オブジェクトに対する操作が受け付けられたか否かに基づいて、操作を評価するようにしている。
【発明の効果】
【0010】
上記のように構成した本発明によれば、ヘッドマウントディスプレイの移動がない場合に対応する視界よりも広い範囲の仮想空間内の異なる位置に複数のヒットエリアが設定されているので、その中のいくつかは、ヘッドマウントディスプレイの移動によって、表示される仮想空間画像の視界を変位させないとユーザがアクションを行うことができないものとなっている。このため、ユーザは、ヘッドマウントディスプレイを移動させて仮想空間画像の視界を適宜変位させながら、変移させた視界の仮想空間内に設定されているヒットエリアにオブジェクトが到達するタイミングを見計らってヒットエリアに対する操作を行うことにより、ゲームを進めることになる。これにより、ヘッドマウントディスプレイに表示される仮想空間画像の視界が変移し得るというVRの特徴を活かして、仮想空間内を移動してくるオブジェクトに対するアクションに多様性を持たせることができ、ユーザがゲームをより楽しむことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態によるタイミングゲーム装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態のVR画像データにより実現される仮想空間と、HMDに表示される仮想空間画像に対応する視界と、仮想空間内に設定されている複数のヒットエリアとを模式的に示す図である。
【
図3】ユーザが正面を向いたときにHMDに表示される画像の例を示す図である。
【
図4】ユーザが正面から右側にx度の方向を向いた場合にHMDに表示される画像の例を示す図である。
【
図5】ユーザが仮想空間の右端まで視界を変位させた場合にHMDに表示される画像の例を示す図である。
【
図6】ユーザがゲームの開始を指示したときに実行される全体処理を示すフローチャートである。
【
図7】本実施形態による仮想空間画像表示部の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】本実施形態による移動ライン表示部の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】本実施形態によるオブジェクト表示部および操作評価部の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】HMDに表示される画像の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態によるタイミングゲーム装置100の機能構成例を示すブロック図である。本実施形態のタイミングゲーム装置100は、VRの3次元仮想空間画像と仮想空間内を移動するオブジェクトとをHMD200に表示させ、仮想空間内に設定されたヒットエリアにオブジェクトが到達するタイミングに合わせて、オブジェクトに対するアクションをユーザがコントローラ300で適切に操作できたか否かによって操作の評価を行い、その評価結果に基づいてスコアを加算していくようになされたゲームを提供する装置である。
【0013】
仮想空間画像が表示されるHMD200には、ジャイロセンサや加速度センサが搭載されており、HMD200を装着したユーザの頭の動きを検出することが可能となっている。タイミングゲーム装置100は、HMD200のセンサにより検出されたユーザの頭の動きに応じて、HMD200の表示上に実現される仮想空間画像の視界が動的に変わるように、仮想空間画像の表示を制御する。そして、この仮想空間画像に重ねてオブジェクトと移動ライン(詳細は後述する)とを表示させ、移動ラインに沿って移動するオブジェクトがヒットエリアに到達するタイミングでオブジェクトに対するアクションが行われたか否かを評価する。
【0014】
本実施形態のタイミングゲーム装置100は、制御部10およびVR画像記憶部20を備えている。制御部10は、その機能構成として、操作受付部11、移動検出部12、仮想空間画像表示部13、移動ライン表示部14、オブジェクト表示部15、仮想プレイヤ表示部16および操作評価部17を備えている。これらの各機能ブロック11~17は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロック11~17は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶されたタイミングゲーム用プログラムが動作することによって実現される。
【0015】
VR画像記憶部20は、HMD200に仮想空間画像や移動ライン、オブジェクト、仮想プレイヤを表示させるためのVR画像データ(特許請求の範囲の仮想現実画像データ)を記憶する。本実施形態のVR画像データには、HMD200の移動がない場合に対応する固定の視界よりも広い範囲の仮想空間内の異なる位置に複数のヒットエリアが設定されている。
図2は、本実施形態のVR画像データにより実現される仮想空間と、HMD200に表示される仮想空間画像に対応する視界と、仮想空間内に設定されている複数のヒットエリアとを模式的に示す図である。
【0016】
図2において、全体の長方形枠で示した領域が、VR画像データにより実現される全体の仮想空間201である。また、仮想空間201の中で網掛けを付した領域が、HMD200に表示される仮想空間画像に対応する視界202である。ここでいう視界202とは、HMD200の表示画面に表示される範囲の部分的な仮想空間を意味する。すなわち、視界202は、全体の仮想空間201の中で、HMD200の移動によって変移し得るものである。
【0017】
なお、
図2では図示の便宜上、3次元の仮想空間201の縦方向と横方向の広がりを平面的に示している(奥行は表現していない)。すなわち、
図2は、3次元の仮想空間201を平面状に展開し、それを手前から正面視した状態を示している。長方形枠の縦方向は仮想空間201の高さ(長方形枠の下辺が最も低い位置、上辺が最も高い位置)に相当し、横方向は仮想空間201の幅に相当する。
【0018】
また、
図2の例において、仮想空間201の垂直方向の大きさは、視界202の垂直方向の大きさと一致している。すなわち、仮想空間201の垂直方向の大きさがHMD200の表示画面の縦方向の大きさと一致しており、そのため視界202は水平方向にのみ変移可能とされている。ここでは説明の簡易のため、視界202を水平方向にのみ変移可能とする例を示したが、視界202を垂直方向にも変移可能に構成してもよい。
【0019】
図2において、HA1~HA6で示す6個の領域がヒットエリアである。
図2に示すように、視界202よりも広い範囲の仮想空間201内の異なる位置に、複数のヒットエリアHA1~HA6が設定されている。ヒットエリアHA1~HA6の設定位置は固定である。
図2では、仮想空間201のほぼ中央付近に視界202があって、この視界202の中に2つのヒットエリアHA1,HA2が含まれている状態を示している。仮想空間201内の視界202を移動させると、視界202の中に含まれるヒットエリアも変動する。なお、非特許文献1にて公開された従来のVRリズムゲームでは、視界202が固定で変移せず、その中に含まれるヒットエリアHA1,HA2も固定で変動しない。
【0020】
操作受付部11は、ユーザによるコントローラ300に対する操作を受け付ける。コントローラ300は、VR用のコントローラであり、ユーザが手に把持して使用する。このコントローラ300にもジャイロセンサや加速度センサが搭載されており、コントローラ300を把持したユーザの手の動きを検出することが可能となっている。操作受付部11は、コントローラ300のセンサから出力される情報に基づいて、ユーザの手の動きをコントローラ300に対する操作として受け付ける。なお、コントローラ300に対する操作はこれに限定されない。例えば、操作受付部11は、コントローラ300に設けられたボタンに対する操作を受け付けるようにしてもよい。
【0021】
移動検出部12は、ユーザが装着したHMD200の移動を検出する。上述しように、HMD200にはジャイロセンサや加速度センサが搭載されている。移動検出部12は、HMD200のセンサから出力される情報に基づいて、HMD200の移動の有無、移動した場合の方向と移動量とを検出する。
【0022】
仮想空間画像表示部13は、VR画像記憶部20に記憶されたVR画像データに基づいて、移動検出部12により検出されたHMD200の移動に応じて視界が変移する仮想空間画像を生成してHMD200に表示させる。すなわち、仮想空間画像表示部13は、
図2に示した仮想空間201において、ユーザが正面を向けば、正面(
図2のように仮想空間201の中央に設定された視界202)の仮想空間が広がるような仮想空間画像を生成してHMD200に表示させる。また、仮想空間画像表示部13は、ユーザが正面から右側にx度の方向を向けば、正面の視界202から右側にx度だけ変移した範囲(視界)の仮想空間が広がるような仮想空間画像を生成してHMD200に表示させる。同様に、仮想空間画像表示部13は、ユーザが正面から左側にy度の方向を向けば、正面の視界202から左側にy度だけ変移した範囲(視界)の仮想空間が広がるような仮想空間画像を生成してHMD200に表示させる。
【0023】
移動ライン表示部14は、仮想空間画像表示部13により表示された仮想空間画像内において、複数のヒットエリアに対してそれぞれ移動するオブジェクトの移動ラインを複数生成して表示させる。なお、仮想空間画像表示部13により表示される仮想空間画像の視界が変移した場合、それに連動して、仮想空間画像上に表示される移動ラインも変動する。
【0024】
オブジェクト表示部15は、仮想空間画像表示部13により表示された仮想空間画像内において、移動ライン表示部14により表示された移動ラインに沿って移動するようにオブジェクトを表示させる。本実施形態において、複数のオブジェクトは何れも、仮想空間201内に設定した同一の始点(以下、オブジェクト発生点という)において発生し、それぞれのヒットエリアHA1~HA6に向かって移動するものとする。移動ライン表示部14により表示される移動ラインは、オブジェクト発生点と各ヒットエリアHA1~HA6の中点との間を結ぶ直線または曲線である。
【0025】
オブジェクト発生点は、仮想空間201の奥側の固定位置に設定される。固定位置とは、HMD200の移動により仮想空間画像の視界が変移しても、オブジェクト発生点の位置は全体の仮想空間201の中で変動せず、仮想空間201の中の常に同じ位置で固定されていることを意味する。一方、ヒットエリアHA1~HA6は、仮想空間201の手前側に設定される。上述したように、ヒットエリアHA1~HA6の設定位置も仮想空間201内で固定されている。
【0026】
仮想プレイヤ表示部16は、仮想空間画像表示部13により表示された仮想空間画像内の所定の位置に、仮想プレイヤのキャラクタ画像を表示させる。例えば、仮想プレイヤ表示部16は、仮想空間画像の中央下寄りの固定位置に仮想プレイヤを表示させる。この場合の固定位置は、HMD200の移動により仮想空間画像の視界が変移しても、仮想プレイヤの表示位置は仮想空間画像の中央下寄りの位置で変動せず、HMD200の表示画面上の常に同じ位置で固定されていることを意味する。
【0027】
仮想プレイヤ表示部16は、操作受付部11が受け付けたコントローラ300に対する操作に応じて、ユーザの身体の動きに連動して仮想プレイヤが動作するように表示を行う。すなわち、右手用のコントローラ300を把持したユーザが右手を動かすと、その右手の動きがコントローラ300に対する操作として操作受付部11により受け付けられる。これに応じて仮想プレイヤ表示部16は、ユーザの右手の動きと同じように仮想プレイヤの右手を動かすように表示する。また、左手用のコントローラ300を把持したユーザが左手を動かすと、その左手の動きがコントローラ300に対する操作として操作受付部11により受け付けられる。これに応じて仮想プレイヤ表示部16は、ユーザの左手の動きと同じように仮想プレイヤの左手を動かすように表示する。
【0028】
図3~
図5は、仮想空間画像表示部13、移動ライン表示部14およびオブジェクト表示部15によりHMD200に表示される画像の一例を示す図である。このうち、
図3は、ユーザが正面を向いたとき(すなわち、
図2のように仮想空間201の中央に視界202が設定されているとき)にHMD200に表示される画像の例を示している。
【0029】
図3に示すように、
図2のように仮想空間201の中央に視界202が設定されている場合、仮想空間画像に対応する視界202の仮想空間内に設定されているヒットエリアはHA1,HA2の2つである。残り4つのヒットエリアHA3~HA6は、
図3のようにHMD200に表示された仮想空間画像に対応する視界202の仮想空間外に設定されている。仮想空間画像表示部13は、仮想空間画像内にある2つのヒットエリアHA1,HA2を仮想空間画像に重ねて表示させてもよいし、表示させなくてもよい。
図3では、円形のエリアとしてヒットエリアHA1,HA2を表示させた状態を示している。
【0030】
図3に示すように、本実施形態においてオブジェクト発生点OGは、仮想空間201の左右方向中央における奥側の一点に設定されている。移動ライン表示部14は、このオブジェクト発生点OGと各ヒットエリアHA1~HA6の中点との間を結ぶ移動ラインML1~ML6を表示させる。なお、仮想空間画像上に表示されていない4つのヒットエリアHA3~HA6に関しては、仮想空間201内の位置に基づいて、仮想空間画像の外側に存在する仮想上の位置を求め、この仮想上の位置とオブジェクト発生点OGとの間を結ぶようにして、移動ラインML3~ML6を表示させる。これは、後述する
図4および
図5において、仮想空間画像上に表示されていないヒットエリアに対する移動ラインを表示するときも同様である。
【0031】
このとき移動ライン表示部14は、仮想空間画像表示部13により表示された仮想空間画像に対応する視界の仮想空間内に設定されているヒットエリアHA1,HA2に対する移動ラインML1,ML2と、仮想空間画像表示部13により表示された仮想空間画像に対応する視界の仮想空間外に設定されているヒットエリアHA3~HA6に対する移動ラインML3~ML6とを識別可能に表示するのが好ましい。
【0032】
本実施形態では、移動ライン表示部14は、仮想空間画像表示部13により表示された仮想空間画像に対応する視界の仮想空間内に設定されているヒットエリアHA1,HA2については、当該ヒットエリアHA1,HA2に向かう移動ラインML1,ML2を生成して表示させる。一方、仮想空間画像表示部13により表示された仮想空間画像に対応する視界の仮想空間外に設定されているヒットエリアHA3~HA6については、仮想空間画像の外へ向かう移動ラインML3~ML6を生成して表させる。これにより、HMD200に表示中の仮想空間画像内に存在するヒットエリアHA1,HA2に対する移動ラインML1,ML2と、表示中の仮想空間画像外に存在するヒットエリアHA3~HA6に対する移動ラインML3~ML6とを識別可能に表示している。
【0033】
このようにすることにより、現在表示されている仮想空間画像のままで視界を動かさなくても、今の仮想空間画像上でオブジェクトがヒットエリアに到達する移動ラインなのか、今の仮想空間画像上ではオブジェクトがヒットエリアに到達しない移動ラインなのかをユーザが直観的に判断できるようになる。すなわち、HMD200に表示された仮想空間画像上でオブジェクトがヒットエリアに到達するようにするために、現在表示されている仮想空間画像のままで視界を動かす必要がないのか、HMD200を動かして仮想空間画像の視界を動かす必要があるのかをユーザが直観的に判断できるようになる。
【0034】
なお、表示中の仮想空間画像内に存在するヒットエリアHA1,HA2に対する移動ラインML1,ML2と、表示中の仮想空間画像外に存在するヒットエリアHA3~HA6に対する移動ラインML3~ML6とを識別可能に表示する態様は、
図3に示す例に限定されない。例えば、移動ラインML1,ML2と、移動ラインML3~ML6とで線種または線色を変えたり、仮想空間画像外に存在するヒットエリアHA3~HA6に対する移動ラインML3~ML6のみ点滅表示させたりするようにしてもよい。
【0035】
特に、ヒットエリアHA1~HA6を仮想空間画像上に重ねて表示させない場合は、全ての移動ラインML1~ML6が仮想空間画像の外へ向かう移動ラインとなるため、線種や線色、その他の表示パターンを変えることが有効な識別方法となる。なお、表示中の仮想空間画像内に存在するヒットエリアHA1,HA2を仮想空間画像上に重ねて表示させない場合でも、ヒットエリアHA1,HA2に対する移動ラインML1,ML2については、非表示のヒットエリアHA1~HA6が存在する位置まで表示させる一方、表示中の仮想空間画像外に存在するヒットエリアHA3~HA6に対する移動ラインML3~ML6については、仮想空間画像の端部まで表示させることによって、両者を識別可能に表示するようにしてもよい。
【0036】
オブジェクト表示部15は、
図3のように表示された移動ラインML1~ML6に沿って移動するようにオブジェクトを表示させる。
図3の例では、3つの移動ラインML1,ML2,ML6に沿って移動中の3つのオブジェクトOT1,OT2,OT6が表示されている。オブジェクト表示部15がどのタイミングでオブジェクト発生点OGからオブジェクトを発生させるか、どの移動ラインML1~ML6に沿ってオブジェクトを移動させるかは、所定のルールに従って決められる。そのルールの内容は任意である。また、各オブジェクトOT1,OT2,OT6が移動する速度は、何れも同じとしてもよいし、オブジェクトごとに異ならせてもよい。
【0037】
3つのオブジェクトOT1,OT2,OT6のうち、移動ラインML1,ML2に沿って移動している2つのオブジェクトOT1,OT2は、やがて2つのヒットエリアHA1,HA2に到達する。ヒットエリアHA1,HA2が仮想空間画像上に表示されているので、オブジェクトOT1,OT2がヒットエリアHA1,HA2に到達することをユーザは目視可能である。一方、移動ラインML6に沿って移動しているオブジェクトOT6は、やがてヒットエリアHA6に到達する。しかし、ヒットエリアHA6が今の仮想空間画像上には表示されていないので、今の仮想空間画像を表示させたままの状態で(視界を変えないで)、オブジェクトOT6がヒットエリアHA6に到達することをユーザは目視することができない。
【0038】
なお、何れのオブジェクトOT1,OT2,OT6に関しても、仮想空間画像の端部まで移動した後は、仮想空間画像上から表示が消去される。ただし、オブジェクトOT1,OT2がヒットエリアHA1,HA2に到達したタイミングに合わせてユーザがコントローラ300を操作して所定のアクションを行った場合に、オブジェクトOT1,OT2が消滅するようなアニメーション表示を行うようにしてもよい。この場合でも、オブジェクトOT1,OT2がヒットエリアHA1,HA2に到達したタイミングに合わせてユーザがコントローラ300を操作せず、オブジェクトOT1,OT2がヒットエリアHA1,HA2を通過してしまった場合には、オブジェクトOT1,OT2が仮想空間画像の端部まで移動した後に仮想空間画像上から消去される。
【0039】
図4は、
図3と同じタイミングでユーザが正面から右側にx度の方向を向いた場合にHMD200に表示される画像の例を示している。
図4のように仮想空間画像の視界が設定されている場合、その仮想空間画像に対応する視界の仮想空間内に設定されているヒットエリアは、HA1~HA3の3つである。残り3つのヒットエリアHA4~HA6は、
図4のようにHMD200に表示された仮想空間画像に対応する視界の仮想空間外に設定されている。
【0040】
図4に示す仮想空間画像において、オブジェクト発生点OGは、左右方向中央よりもやや左側に変移した位置に存在する。全体の仮想空間201の中でオブジェクト発生点OGが左右方向中央の位置に固定されているのに対し、視界が左右方向中央よりも右側の方向に変移しているからである。この場合、移動ライン表示部14は、仮想空間画像上でやや左側に変移した位置に存在するオブジェクト発生点OGと各ヒットエリアHA1~HA6の中点(表示されていないヒットエリアHA4~HA6については仮想上の位置)との間を結ぶ移動ラインML1~ML6を表示させる。
【0041】
図4に示す仮想空間画像では、
図3に示した2つの移動ラインML1,ML2に加えて3つ目の移動ラインML3についても、オブジェクト発生点OGからヒットエリアHA3に向かう移動ラインとして表示される。これは、
図3に示した仮想空間画像の視界を右側に変移させて
図4のようにすることにより、3つ目のヒットエリアHA3が仮想空間画像の中に入ってきたからである。
【0042】
また、
図4に示す仮想空間画像では、3つ目の移動ラインML3に沿って移動するオブジェクトOT3も表示されている。このオブジェクトOT3は、
図3に示した仮想空間画像では右端から外へ移動することによって表示が消去されていたのに対し、
図4のように仮想空間画像の視界を変位させることにより、変移後の仮想空間画像に対応する視界の範囲内に再び入るようになったために表示されたものである。
【0043】
すなわち、オブジェクト表示部15は、
図3のように表示された仮想空間画像の中にオブジェクトOT3が存在している間は、仮想空間画像の外へ向かう移動ラインML3に沿って移動するようにオブジェクトOT3を表示させる。そして、表示中の仮想空間画像に対応する視界の仮想空間の外までオブジェクトOT3が移動すると、オブジェクト表示部15は、オブジェクトOT3の表示を消去する。
図3は、オブジェクトOT3の表示が消去された状態を示している。
【0044】
ただし、オブジェクトOT3の表示が消去された状態でも、オブジェクト表示部15は、オブジェクトOT3がヒットエリアHA3に到達するまでは当該オブジェクトOT3の移動に関する演算をバックグランドで継続する。その後、移動検出部12により検出されたHMD200の移動に応じて変移した視界の仮想空間内にオブジェクトOT3が存在することになると、オブジェクト表示部15は、変移した視界の仮想空間に対応する仮想空間画像内において移動ラインML3に沿って移動するようにオブジェクトOT3を表示させる。
【0045】
これから分かるように、
図3のように仮想空間画像内に表示されていなくても、まだヒットエリアHA3に到達していないオブジェクトOT3が存在することがある。そして、このようなオブジェクトOT3については、視界を変位させることによって再び仮想空間画像上にヒットエリアHA3と共に表示させることにより、オブジェクトOT3がヒットエリアHA3に到達するタイミングに合わせてユーザが所定のアクションを行うことが可能である。
【0046】
そのようなオブジェクトOT3が存在することをユーザに知らしめるために、移動ライン表示部14は、オブジェクトが移動中の移動ラインと、オブジェクトが移動中ではない移動ラインとを識別可能に表示するようにしてもよい。
図3~
図5では、オブジェクトが移動中の移動ラインを、そうでない移動ラインよりも太い線で表示している。これにより、ユーザは、仮想空間画像の外側でヒットエリアに向かって移動中のオブジェクトが存在することを直感的に把握し、視界を移動させてそのオブジェクトとそれに対応するヒットエリアとを仮想空間画像に表示させることが可能である。なお、ここでは線の太さで移動ラインを識別する例を示しているが、線種や線色によって識別するようにしてもよい。
【0047】
図5は、
図3と同じタイミングでユーザが仮想空間201の右端まで視界を変位させた場合にHMD200に表示される画像の例を示している。
図5のように仮想空間画像の視界が設定されている場合、その仮想空間画像に対応する視界の仮想空間内に設定されているヒットエリアは、HA3,HA4の2つである。残り4つのヒットエリアHA1,HA2,HA5,HA6は、
図5のように表示された仮想空間画像に対応する視界の仮想空間外に設定されている。
【0048】
図5に示す状態では、表示中の仮想空間画像の中にオブジェクト発生点OGは存在しない。すなわち、オブジェクト発生点OGは、仮想空間画像の左端よりもっと左側の位置に存在する。この場合、移動ライン表示部14は、仮想空間画像の左端よりも左側に存在するオブジェクト発生点OGの仮想上の位置と各ヒットエリアHA1~HA6の中点(表示されていないヒットエリアHA1,HA2,HA5,HA6については仮想上の位置)との間を結ぶ移動ラインML1~ML6を表示させる。
【0049】
なお、4つの移動ラインML1,ML2,ML5,ML6については、その始点となるオブジェクト発生点OGも、終点となるヒットエリアHA1,HA2,HA5,HA6も仮想空間画像上に表示されていない(何れも仮想空間画像の外側にある)。そのため、仮想空間画像上にヒットエリアHA3,HA4が存在する移動ラインML3,ML4と同じように、移動ラインML1,ML2,ML5,ML6を直線状に描くことができない。そこで、
図5に例示するように、移動ラインML1,ML2,ML5,ML6を曲線によって表示させている。その中で、ヒットエリアHA1,HA2,HA6に移動中のオブジェクトOT1,OT2,OT6が存在する移動ラインML1,ML2,ML6については、これを太線で表示することにより、左側に視界を変位させて対応する必要があることをユーザに知らしめている。
【0050】
操作評価部17は、移動検出部12により検出されたHMD200の移動に応じて仮想空間画像表示部13により表示された仮想空間画像に対応する視界の仮想空間内に設定されたヒットエリア(
図3の場合は2つのヒットエリアHA1,HA2、
図4の場合は3つのヒットエリアHA1~HA3、
図5の場合は2つのヒットエリアHA3,HA4)にオブジェクトOT1~OT6が到達するタイミングにおいて、オブジェクトOT1~OT6に対する操作が操作受付部11により受け付けられたか否かに基づいて、操作を評価する。
【0051】
例えば、オブジェクトOT1~OT6がヒットエリアHA1~HA6に到達するタイミングに合わせて、仮想プレイヤがオブジェクトOT1~OT6をタッチすることを指示する操作を操作受付部11がコントローラ300から受け付けた場合は、その操作を「成功」と評価し、スコアを加算する。一方、操作受付部11がコントローラ300から操作を受け付けたタイミングが、オブジェクトOT1~OT6がヒットエリアHA1~HA6に到達するタイミングと一致していない場合は、その操作を「失敗」と評価し、スコアを加算しない。
【0052】
なお、ここでは、オブジェクトOT1~OT6に対するアクションの一例としてタッチ操作を例示したが、これに限定されない。すなわち、オブジェクトOT1~OT6がヒットエリアHA1~HA6に到達するタイミングにおいて、ヒットエリアHA1~HA6がある位置に対してアクションを行う操作であれば何でもよい。
【0053】
図6~
図9は、以上のように構成した本実施形態によるタイミングゲーム装置100の動作例を示すフローチャートである。
図6は、ユーザがゲームの開始を指示したときに実行される全体処理の一例を示すフローチャートである。すなわち、ゲームが開始されると、仮想空間画像表示部13は、VR画像記憶部20に記憶されたVR画像データに基づいて、移動検出部12により検出されたHMD200の移動に応じて視界が変移する仮想空間画像を生成してHMD200に表示させる(ステップS1)。
【0054】
また、仮想プレイヤ表示部16は、仮想空間画像表示部13により表示された仮想空間画像内の所定の位置に、仮想プレイヤのキャラクタ画像を表示させる(ステップS2)。ここで、仮想プレイヤ表示部16は、操作受付部11が受け付けたコントローラ300に対する操作に応じて、ユーザの身体の動きに連動して仮想プレイヤが動作するように表示を行う。
【0055】
次いで、移動ライン表示部14は、仮想空間画像表示部13により表示された仮想空間画像内において、複数のヒットエリアに対してそれぞれ移動するオブジェクトの移動ラインを複数生成して表示させる(ステップS3)。そして、オブジェクト表示部15は、仮想空間画像表示部13により表示された仮想空間画像内において、移動ライン表示部14により表示された移動ラインに沿って移動するようにオブジェクトを表示させる(ステップS4)。後述するように、このステップS4における処理の中で、ユーザによるオブジェクトに対する操作の評価を実行する。
【0056】
ステップS4の処理の後、タイミングゲーム装置100は、ゲームを終了するか否かを判定する(ステップS5)。なお、どのような場合にゲームが終了するかの条件はあらかじめルールにより決められている。ゲームの終了条件を満たさない場合は、処理はステップS1に戻る。一方、ゲームの終了条件を満たすと、
図6に示すフローチャートの処理は終了する。
【0057】
図7は、上記ステップS1における仮想空間画像表示部13の処理の一例を示すフローチャートである。すなわち、ゲームが開始されると、仮想空間画像表示部13は、VR画像記憶部20に記憶されたVR画像データに基づいて、あらかじめ決めされた所定の視界(例えば、
図2に示すように仮想空間201の左右方向中央に設定された視界202)の仮想空間画像を生成してHMD200に表示させる(ステップS11)。
【0058】
次いで、仮想空間画像表示部13は、HMD200のセンサから出力される情報に基づいて、移動検出部12によりHMD200の移動が検出されたか否かを判定する(ステップS12)。HMD200の移動が検出されていない場合、処理はステップS11に戻り、現在の視界の仮想空間画像を表示し続ける。一方、HMD200の移動が検出された場合、仮想空間画像表示部13は、検出されたHMD200の移動の方向および移動量に応じて、視界を変移させた仮想空間画像を生成してHMD200に表示させる(ステップS13)。その後、処理はステップS11に戻る。
【0059】
図8は、上記ステップS3における移動ライン表示部14の処理の一例を示すフローチャートである。すなわち、ゲームが開始されると、移動ライン表示部14は、あらかじめ決めされた所定の視界となるように仮想空間画像表示部13により表示された仮想空間画像内において、仮想空間201内に設定されたオブジェクト発生点OGから複数のヒットエリアに対してそれぞれ移動するオブジェクトの移動ラインを複数生成して表示させる(ステップS21)。
【0060】
次いで、移動ライン表示部14は、HMD200のセンサから出力される情報に基づいて、移動検出部12によりHMD200の移動が検出されたか否かを判定する(ステップS22)。HMD200の移動が検出されていない場合、処理はステップS21に戻り、現在の移動ラインを表示し続ける。一方、HMD200の移動が検出された場合、移動ライン表示部14は、仮想空間画像表示部13により視界を変移して生成された仮想空間画像において、オブジェクト発生点OGから複数のヒットエリアに対してそれぞれ移動するオブジェクトの移動ラインを再生成して表示させる(ステップS23)。その後、処理はステップS22に戻る。
【0061】
図9は、上記ステップS4におけるオブジェクト表示部15の処理の一例(一部に操作評価部17の処理を含む)を示すフローチャートである。なお、
図9に示すフローチャートは、オブジェクト表示部15が1つのオブジェクトを発生させてからその表示が消去されるまでの処理を示したものであり、発生するオブジェクトごとに
図9に示す処理が実行される。
【0062】
オブジェクト表示部15は、まず、仮想空間201に設定されたオブジェクト発生点OGからオブジェクトを発生させる(ステップS31)。そして、オブジェクト表示部15は、発生させたオブジェクトを所定の速度で仮想空間画像内を移動ラインに沿って移動するように表示させる(ステップS32)。このとき、オブジェクト表示部15は、所定のルールに従って、複数の移動ラインのうちどの移動ラインに沿ってオブジェクトを移動させるかを決定する。
【0063】
次いで、オブジェクト表示部15は、HMD200のセンサから出力される情報に基づいて、移動検出部12によりHMD200の移動が検出されたか否かを判定する(ステップS33)。HMD200の移動が検出されていない場合、処理はステップS35に進む。一方、HMD200の移動が検出された場合、オブジェクト表示部15は、仮想空間画像表示部13により視界を変移して生成された仮想空間画像において、再表示された移動ラインに沿って移動するようにオブジェクトを表示させる(ステップS34)。
【0064】
次いで、操作受付部11は、ユーザによるコントローラ300に対する操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS35)。操作受付部11が操作を受け付けた場合、操作受付部11は、その受け付けた操作が、オブジェクトがヒットエリアに到達したタイミングにおけるオブジェクトに対する操作か否かを判定する(ステップS36)。
【0065】
ここで、オブジェクトがヒットエリアに到達したタイミングにおけるオブジェクトに対する操作であった場合、オブジェクト表示部15は、そのオブジェクトの表示を変更することにより、適切なタイミングで操作が行われたことをユーザに知らしめる(ステップS37)。例えば、オブジェクトの表示を変えた上で、当該オブジェクトの表示を消去する。次いで、操作評価部17は、操作受付部11が受け付けた操作を「成功」と評価し、スコアを加算する(ステップS38)。これにより、
図9に示すフローチャートの処理は終了する。
【0066】
上記ステップS35において操作受付部11が操作を受け付けていない場合、および、上記ステップS36においてオブジェクトがヒットエリアに到達したタイミングにおけるオブジェクトに対する操作ではないと判定された場合、オブジェクト表示部15は、オブジェクトが仮想空間画像の範囲外まで移動することになるか否かを判定する(ステップS39)。オブジェクトが仮想空間画像の範囲内にまだ留まる場合、処理はステップS32に戻り、オブジェクトの移動を継続する。
【0067】
一方、オブジェクトが仮想空間画像の範囲外まで移動することになると判定した場合、オブジェクト表示部15は、そのオブジェクトの表示を消去する(ステップS40)。その後、オブジェクト表示部15は、表示を消去したオブジェクトがヒットエリアを通過済みか否かについて判定する(ステップS41)。ここでは、表示中の仮想空間画像に対応する仮想空間内に存在するヒットエリアにオブジェクトが到達するタイミングでユーザによる操作が行われず、ヒットエリアを通過した後に仮想空間画像の範囲外までオブジェクトが移動するケースか否かを判定している。そのようなケースに該当する場合は、
図9に示すフローチャートの処理は終了する。
【0068】
一方、ステップS41において、表示を消去したオブジェクトがヒットエリアを通過済みではないと判定された場合、これは、表示中の仮想空間画像に対応する仮想空間の外に存在するヒットエリアに向かってまだオブジェクトが移動中であることを意味する。よって、この場合にオブジェクト表示部15は、当該オブジェクトの移動に関する演算をバックグランドで継続する(ステップS42)。そして、そのオブジェクトが再び仮想空間画像の範囲内に入ったか否かを判定する(ステップS43)。オブジェクトが仮想空間画像の範囲内に再び入る場合とは、HMD200の移動に応じて視界が変移するように再表示された仮想空間画像内にオブジェクトが存在することになる場合である。
【0069】
ここで、バックグランドで移動中のオブジェクトが仮想空間画像の範囲内に入っていない場合、処理はステップS41に戻る。ここで、バックグランドで移動中のオブジェクトが通過してしまうと、
図9に示すフローチャートの処理は終了するが、まだ通過していない間は、当該オブジェクトの移動に関する演算がバックグランドで継続される(ステップS41)。一方、バックグランドで移動中のオブジェクトが仮想空間画像の範囲内に再び入ったと判定された場合、処理はステップS32に戻る。この場合、オブジェクトが仮想空間画像内に再表示されて、ヒットエリアに向かって移動する表示が再開される。
【0070】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、HMD200の移動がない場合に対応する視界(表示画面の大きさに対応する視界)よりも広い範囲の仮想空間201内の異なる位置に複数のヒットエリアが設定された仮想現実画像データに基づいて、HMD200の移動に応じて視界が変移する仮想空間画像を生成してHMD200に表示させるとともに、複数のヒットエリアに対してそれぞれ移動するオブジェクトの移動ラインを複数生成して仮想空間画像内に表示させる。そして、移動ラインに沿って移動するように表示させたオブジェクトがヒットエリアに到達するタイミングにおいて、当該オブジェクトに対する操作が受け付けられたか否かに基づいて、操作を評価するようにしている。
【0071】
このように構成した本実施形態によれば、全体の仮想空間201内に設定されているヒットエリアのいくつかは、HMD200の移動によって、表示される仮想空間画像の視界を変位させないとユーザがアクションを行うことができないものとなっている。このため、ユーザは、HMD200を移動させて仮想空間画像の視界を適宜変位させながら、変移させた視界の仮想空間内に設定されているヒットエリアにオブジェクトが到達するタイミングを見計らってオブジェクトに対する操作を行うことにより、ゲームを進めることになる。これにより、HMD200に表示される仮想空間画像の視界が変移し得るというVRの特徴を活かして、仮想空間内を移動してくるオブジェクトに対するアクションに多様性を持たせることができ、ユーザがゲームをより楽しむことができるようになる。
【0072】
なお、上記実施形態では、表示中の仮想空間画像内に存在するヒットエリアに対する移動ラインと、表示中の仮想空間画像外に存在するヒットエリアに対する移動ラインとを識別可能に表示する例について説明したが、これに代えてまたは加えて、移動ラインに沿って移動中のオブジェクトとヒットエリアとの距離に応じて、移動ラインの表示態様を変えるようにしてもよい。
【0073】
例えば、ヒットエリアから所定距離手前の位置を境界として、オブジェクト発生点OGから境界までの間をオブジェクトが移動中のときは移動ラインを青色表示とし、境界からヒットエリアまでの間をオブジェクトが移動中のときは移動ラインを赤色表示とするなどの態様が考えられる。この場合において、移動ライン表示部14は、表示中の仮想空間画像に対応する視界の仮想空間の外までオブジェクトが移動することによってオブジェクトの表示が消去されている間も、仮想空間画像の外へ向かう移動ラインの表示を継続し、オブジェクトの表示が消去された後に継続して移動が演算されるオブジェクトとヒットエリアとの距離に応じて、移動ラインの表示態様を変えるようにするのが好ましい。
【0074】
このようにすれば、表示中の仮想空間画像に対応する仮想空間内にヒットエリアがある場合もない場合も、オブジェクトがヒットエリアの近くまで接近していることをユーザが直観的に把握することができる。そして、仮想空間画像の外にあるヒットエリアにオブジェクトが接近中であることを把握したユーザは、即座に視界を変位させて、ヒットエリアに到達するタイミングに合わせてオブジェクトに対する操作を行うことができるようになる。なお、移動中のオブジェクトとヒットエリアとの距離に応じて変更する移動ラインの表示態様は、上述のような線色に限らない。例えば、オブジェクトがヒットエリアの近くまで接近していることを線種の変更によってユーザに知らしめたり、点滅表示によってユーザに知らしめたりするようにしてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、オブジェクト発生点OGの位置を仮想空間201内の1点に固定する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、視界の変位に応じて変動する仮想空間画像内における所定の位置(例えば、仮想空間画像の左右方向中央で奥側の位置)に固定するようにしてもよい。
図10は、仮想空間画像内における所定の位置にオブジェクト発生点OGを固定するようにした場合に表示される画像の例を示す図であり、
図10(a)は
図4に対応し、
図10(b)は
図5に対応している。
【0076】
すなわち、仮想空間画像内における所定の位置にオブジェクト発生点OGを固定するようにした場合、
図4と同じシーンにおいて、移動ラインML1~ML6、ヒットエリアHA1~HA3およびオブジェクトOT1~OT3は、
図10(a)のように表示される。また、
図5と同じシーンにおいて、移動ラインML1~ML6、ヒットエリアHA3,HA4およびオブジェクトOT3は、
図10(b)のように表示される。
【0077】
また、上記実施形態では、複数の移動ラインML1~ML6の始点に当たるオブジェクト発生点OGを共通の1点とする例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、移動ラインML1~ML6ごとに異なるオブジェクト発生点OGを設けるようにしてもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、ヒットエリアHA1~HA6も仮想空間201内の固定位置に設定する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ゲームの進行に応じて、ヒットエリアHA1~HA6の位置を仮想空間201内で移動させるようにしてもよい。この場合、オブジェクト発生点OGにおいてオブジェクトを発生する時点でヒットエリアを任意の位置に設定し、その後はそのオブジェクトが消去されるまでヒットエリアの位置を固定する。あるいは、オブジェクトがヒットエリアに向かって移動中の際に、そのヒットエリアの設置位置を移動させるようにしてもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、オブジェクトがヒットエリアに到達するタイミングに合わせてオブジェクトに対する操作が行われたか否かという観点のみから操作を評価する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、オブジェクトがヒットエリアに到達するタイミングに合わせてオブジェクトに対する操作が行われたか否かという観点に加えて、オブジェクトに応じて指定された種類の操作が行われたか否かという観点からも操作を評価するようにしてもよい。この場合、例えばオブジェクトの表示態様を変えることにより、そのオブジェクトに対して行うべき操作の種類をユーザが把握できるようにする。
【0080】
また、上記実施形態では、表示中の仮想空間画像に対応する視界の仮想空間内に設定されているヒットエリアについては当該ヒットエリアに向かう移動ライン(ヒットエリアの位置を終端とする移動ライン)を生成して表示する一方、表示中の仮想空間画像に対応する視界の仮想空間外に設定されているヒットエリアについては仮想空間画像の外へ向かう移動ライン(仮想空間画像の端部を終端とする移動ライン)を生成して表示する例について説明したが、全ての移動ラインについて、仮想空間画像の外へ向かう移動ラインを生成して表示するようにしてもよい。
【0081】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0082】
10 制御部
11 操作受付部
12 移動検出部
13 仮想空間画像表示部
14 移動ライン表示部
15 オブジェクト表示部
16 仮想プレイヤ表示部
17 操作評価部
20 VR画像記憶部(仮想空間画像記憶部)
100 タイミングゲーム装置
200 HMD
300 コントローラ