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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】電子コンパスを備える装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 17/38 20060101AFI20220914BHJP
   G01C 17/32 20060101ALI20220914BHJP
   G01R 33/02 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
G01C17/38 C
G01C17/38 B
G01C17/32
G01R33/02 L
G01R33/02 X
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018147513
(22)【出願日】2018-08-06
(65)【公開番号】P2020024099
(43)【公開日】2020-02-13
【審査請求日】2021-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】513273292
【氏名又は名称】サイトテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 邦男
【審査官】菅家 裕輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-023293(JP,A)
【文献】特開2003-269965(JP,A)
【文献】特開2008-215915(JP,A)
【文献】特開2010-281598(JP,A)
【文献】特開2006-030171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 17/00-17/38
G01R 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、
3軸の磁気センサを有する電子コンパスと、
外力を受けて、前記電子コンパスを第1の平面の上で保持する第1の位置と前記電子コンパスを前記第1の平面と交わる第2の平面の上で保持する第2の位置との間を移動し、外力を受けて前記第1の平面と垂直な軸周りに回転する保持部材と
を備え
前記保持部材は、外力を受けて前記基台の上で前記第1の平面と垂直な軸周りに回転するターンテーブルと、外力を受けて前記ターンテーブルの上で前記第1の平面に沿った軸周りに回転するベースプレートとを有し、前記電子コンパスは前記ベースプレートに取り付けられている
装置。
【請求項2】
前記保持部材が有する前記ターンテーブルに外力を与えて前記保持部材を前記第1の平面と垂直な軸周りに回転させる回転機構
を備える請求項に記載の装置。
【請求項3】
前記電子コンパスに対する校正のための磁気の測定の開始と前記回転機構に対する前記保持部材を回転するための動作の開始とを指示し、前記電子コンパスによる校正のための磁気の測定が終了した場合、前記回転機構に対する前記保持部材を回転するための動作の終了を指示する指示装置
を備える請求項に記載の装置。
【請求項4】
前記保持部材が有する前記ベースプレートに外力を与えて前記保持部材を前記第1の位置と前記第2の位置の間で移動させる移動機構
を備える請求項1乃至のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記保持部材が有する前記ベースプレートに外力を与えて前記保持部材を前記第1の位置と前記第2の位置の間で移動させる移動機構を備え、
前記指示装置は前記移動機構に対する前記保持部材を移動するための動作を指示する
請求項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子コンパスを校正するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、3軸の磁気センサを有する電子コンパス(以下、単に「電子コンパス」という)を備える装置が広く利用されている。例えば、スマートフォンの多くは電子コンパスを備え、電子コンパスにより測定した方角を地図の表示等に用いている。
【0003】
電子コンパスが正確に方角を測定するためには、電子コンパスの周辺物に対する着磁による地磁気の方向の測定誤差を打ち消すために磁気センサの出力を補正するためのオフセット値を特定する必要がある。本願において、電子コンパスが備える磁気センサの出力を補正するためのオフセット値の特定を「電子コンパスの校正」と呼ぶ。
【0004】
電子コンパスの校正に関する技術を開示した特許文献として、例えば特許文献1がある。特許文献1には、3軸の磁気成分を所定周期で検出し、検出した3軸の磁気成分を各軸の座標成分とする3次元座標空間における距離に基づいて、校正に用いる磁気成分を母集団として選定して蓄積し、校正時に蓄積しておいた磁気成分の母集団を読み出して用いる電子コンパスが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-2647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電子コンパスの校正の方法として広く用いられている方法として、電子コンパスが備えるZ軸の磁気センサの測定方向が鉛直方向となるように電子コンパスの姿勢を保ちながら鉛直方向の軸周りに電子コンパスを回転させ、続いて、電子コンパスが備えるX軸の磁気センサ(又はY軸の磁気センサ)の測定方向が鉛直方向となるように電子コンパスの姿勢を保ちながら鉛直方向の軸周りに電子コンパスを回転させ、それらの回転中に各磁気センサが測定した磁気が最大となる方向及び最小となる方向に基づき、オフセット値を算出する方法がある。以下、この方法を「2姿勢回転方法」と呼ぶ。
【0007】
装置が電子コンパスを備える場合、その電子コンパスを2姿勢回転方法で校正するためには、電子コンパスを備える装置を2つの異なる姿勢で回転させる必要がある。ただし、電子コンパスを備える装置が大きい場合や重い場合は、電子コンパスの校正のために装置を2つの姿勢で回転させる作業は容易ではない。
【0008】
本発明は、装置の大きさや重さにかかわらず、当該装置が備える電子コンパスを容易に校正する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題に鑑み、本発明は、基台と、3軸の磁気センサを有する電子コンパスと、外力を受けて、前記電子コンパスを第1の平面の上で保持する第1の位置と前記電子コンパスを前記第1の平面と交わる第2の平面の上で保持する第2の位置との間を移動し、外力を受けて前記第1の平面と垂直な軸周りに回転する保持部材とを備え、前記保持部材は、外力を受けて前記基台の上で前記第1の平面と垂直な軸周りに回転するターンテーブルと、外力を受けて前記ターンテーブルの上で前記第1の平面に沿った軸周りに回転するベースプレートとを有し、前記電子コンパスは前記ベースプレートに取り付けられている装置を第1の態様として提供する。
【0010】
第1の態様に係る装置によれば、保持部材を第1の位置に移動して電子コンパスを第1の平面と垂直な軸周りに回転させ、保持部材を第2の位置に移動して電子コンパスを第1の平面と垂直な軸周りに回転させることで、装置の姿勢を変更することなく電子コンパスを2姿勢回転方法で校正することができる。また、第1の態様に係る装置によれば、保持部材に外力を加えて保持部材を第1の平面と垂直な軸周りに回転させることによって、装置全体を回転させることなく、電子コンパスを2姿勢回転方法で校正することができる。従って、装置の大きさや重さにかかわらず、電子コンパスの校正が容易に行われる。
【0013】
の態様に係る装置において、前記保持部材が有する前記ターンテーブルに外力を与えて前記保持部材を前記第1の平面と垂直な軸周りに回転させる回転機構を備える、という構成が第の態様として採用されてもよい。
【0014】
の態様に係る装置によれば、ユーザは保持部材に外力を与えて保持部材を回転させる必要がない。
【0015】
の態様に係る装置において、前記電子コンパスに対する校正のための磁気の測定の
開始と前記回転機構に対する前記保持部材を回転するための動作の開始とを指示し、前記電子コンパスによる校正のための磁気の測定が終了した場合、前記回転機構に対する前記保持部材を回転するための動作の終了を指示する指示装置を備える、という構成が第の態様として採用されてもよい。
【0016】
の態様に係る装置によれば、ユーザは電子コンパスに対し校正のための磁気の測定の開始及び終了を指示する必要がない。
【0017】
第1乃至第のいずれかの態様に係る装置において、前記保持部材が有する前記ベースプレートに外力を与えて前記保持部材を前記第1の位置と前記第2の位置の間で移動させる移動機構を備える、という構成が第の態様として採用されてもよい。
【0018】
の態様に係る装置において、前記保持部材が有する前記ベースプレートに外力を与えて前記保持部材を前記第1の位置と前記第2の位置の間で移動させる移動機構を備え、前記指示装置は前記移動機構に対する前記保持部材を移動するための動作を指示する、という構成が第の態様として採用されてもよい。
【0019】
又は第の態様に係る装置によれば、ユーザは保持部材に外力を与えて保持部材を第1の位置と記第2の位置の間で移動させる必要がない。
【発明の効果】
【0020】
本願発明に係る装置によれば、装置の大きさや重さにかかわらず、装置が備える電子コンパスを2姿勢回転方法で容易に校正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】一実施形態に係る装置を斜め上方から見た図。
図2】一実施形態に係る、カバーが開かれた状態の装置を上から見た図。
図3】一実施形態に係る装置の筐体が備える電子コンパス、保持部材、基台を斜め上から見た図。
図4】一実施形態に係る装置の筐体が備える電子コンパス、保持部材、基台を斜め上から見た図。
図5】従来技術に係る装置において、電子コンパスに校正を行わせるために装置全体が回転される状態を示した図。
図6】一変形例に係る電子コンパスとその周辺の構成部を斜め上から見た図。
図7】一変形例に係る電子コンパスとその周辺の構成部を斜め上から見た図。
図8A】一変形例に係る制御ユニットが行う処理のフローを示した図。
図8B】一変形例に係る制御ユニットが行う処理のフローを示した図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明の一実施形態に係る装置1を説明する。図1は、装置1を斜め上方から見た図である。装置1はドローンと通称される無人航空機である。装置1の筐体10には開閉できるカバー11が設けられている。
【0023】
図2は、カバー11が開かれた状態の装置1を上から見た図である。筐体10の中には電子コンパス12と、電子コンパス12を保持する保持部材13と、筐体10に取り付けられ保持部材13がその上に載せ置かれる基台14が収容されている。
【0024】
図3は、筐体10から取り出した状態の電子コンパス12、保持部材13、基台14を斜め上から見た図である。保持部材13は板状の部材であるベースプレート131と、ヒンジ132を備える。ベースプレート131には電子コンパス12が取り付けられている。
【0025】
ヒンジ132は基台14とベースプレート131を連結している。ヒンジ132により、ベースプレート131は基台14の平坦面に沿った方向の軸周りに自由に回転することができる。ただし、ヒンジ132は所定の大きさ以上のトルクが軸周りに加えられない限り軸周りに回転しないトルクヒンジであり、ベースプレート131の平坦面が水平面と交わるようにユーザがヒンジ132の軸周りにベースプレート131を持ち上げた後にベースプレート131から手を離しても、ベースプレート131は手を離された位置に留まる。
【0026】
図4は、ユーザによりベースプレート131がヒンジ132の軸周りに持ち上げられて、ベースプレート131の平坦面と基台14の平坦面の角度が90度となった状態を斜め上から見た図である。
【0027】
図3に示した保持部材13の位置を「第1の位置」と呼び、図4に示した保持部材13の位置を「第2の位置」と呼ぶ。また、第1の位置の保持部材13におけるベースプレート131の平坦面を「第1の平面」と呼び、第2の位置の保持部材13におけるベースプレート131の平坦面を「第2の平面」と呼ぶ。この場合、第1の平面は水平面であり、第2の平面は水平面に垂直な平面である。
【0028】
すなわち、保持部材13は、外力を受けて、電子コンパス12を第1の平面の上で保持する第1の位置と、電子コンパス12を第2の平面の上で保持する第2の位置との間を移動する。
【0029】
電子コンパス12は、図3の状態、すなわち、第1の位置の保持部材13に保持された状態において、図3に示す矢印Xの方向の磁気を測定する磁気センサ(以下、「磁気センサX」という)と、矢印Yの方向の磁気を測定する磁気センサ(以下、「磁気センサY」という)と、矢印Zの方向の磁気を測定する磁気センサ(以下、「磁気センサZ」という)を有する。
【0030】
電子コンパス12が図4の状態、すなわち、第2の位置の保持部材13に保持された状態においては、電子コンパス12が有する磁気センサX、磁気センサY、磁気センサZの磁気を測定する方向は、図4の矢印X、矢印Y、矢印Zが示す方向となる。
【0031】
ユーザは、例えば、図3の状態で、電子コンパス12に設けられているボタン(図示略)を押す等の操作によって、電子コンパス12に、磁気センサXと磁気センサYに関する校正のための磁気の測定の開始を指示する。その後、ユーザは、装置1を鉛直方向の軸周りに360度以上、回転させる。この場合、ユーザが装置1を回転させると、磁気センサXと磁気センサYが水平方向の磁気を測定しながら鉛直方向の軸周りに360度以上、回転することになる。
【0032】
続いて、ユーザは電子コンパス12に設けられているボタンを押す等の操作によって、電子コンパス12に磁気センサXと磁気センサYに関する校正のための磁気の測定の終了を指示する。この指示に応じて、電子コンパス12は測定した磁気に基づき磁気センサXと磁気センサYのオフセット値を算出する。
【0033】
続いて、ユーザはベースプレート131を持ち上げ、保持部材13を図4の状態とした後、電子コンパス12に設けられているボタンを押す等の操作によって、電子コンパス12に、磁気センサZに関する校正のための磁気の測定の開始を指示する。その後、ユーザは、装置1を鉛直方向の軸周りに360度以上、回転させる。この場合、ユーザが装置1を回転させると、磁気センサZが水平方向の磁気を測定しながら鉛直方向の軸周りに360度以上、回転することになる。
【0034】
続いて、ユーザは電子コンパス12に設けられているボタンを押す等の操作によって、電子コンパス12に、磁気センサZに関する校正のための磁気の測定の終了を指示する。この指示に応じて、電子コンパス12は測定した磁気に基づき磁気センサZのオフセット値を算出する。
【0035】
その後、ユーザはベースプレート131を倒して、保持部材13を図3の状態に戻した後、カバー11を閉じる。これにより、2姿勢回転方法による電子コンパス12の校正が行われる。
【0036】
従来の装置においては、電子コンパスに磁気センサXに関する校正を行わせるために、装置全体を図5に示すように水平方向の軸周りに90度回転させた後、鉛直方向の軸周りに回転させる必要がある。装置が大きい場合や重い場合、この作業は容易ではない。
【0037】
一方、本実施形態に係る装置1においては、装置1を水平方向の軸周りに90度回転させる必要はなく、図1に示す状態の装置1を鉛直方向の軸周りに回転させるだけでよい。従って、装置1のユーザは電子コンパスの校正を容易に行うことができる。
【0038】
[変形例]
上述した実施形態は様々に変形されてよい。以下にそれらの変形の例を示す。
【0039】
(1)上述した実施形態において、電子コンパス12の校正のために、ユーザは(a)保持部材13を第1の位置と第2の位置の間で移動させる作業と、(b)電子コンパス12に校正のための処理の開始及び終了を指示する作業と、(c)装置1全体を鉛直方向の軸周りに回転させる作業とを行う必要がある。これらの(a)~(c)の作業の1以上を少なくとも一部を、装置1が行ってもよい。
【0040】
図6及び図7はこの変形例に係る電子コンパス12とその周辺の構成部を斜め上から見た図である。図6は保持部材13が第1の位置にある状態を示しており、図7は保持部材13が第2の位置にある状態を示している。
【0041】
この変形例に係る装置1が備える保持部材13は、ベースプレート131とヒンジ132に加え、ターンテーブル133を有する。ターンテーブル133は基台14の上で鉛直方向の軸周りに自由に回転する板状の部材である。ターンテーブル133の側面にはラックが設けられている。この変形例において、ヒンジ132はベースプレート131とターンテーブル133を連結している。そのため、ターンテーブル133が回転すると、電子コンパス12の取り付けられたベースプレート131がターンテーブル133と共に鉛直方向の軸周りに回転することになる。
【0042】
この変形例に係る装置1は、さらに、モータ15、モータ16、制御ユニット17、ターンテーブル133の回転角度を測定するセンサ(図示略)、ベースプレート131の回転角度を測定するセンサ(図示略)を備える。
【0043】
モータ15は、ターンテーブル133を鉛直方向の軸周りに回転させる。すなわち、モータ15の回転軸にはピニオンが取り付けられており、ターンテーブル133の側面のラックにそのピニオンが噛み合わされている。従って、モータ15の回転軸が回転すると、ターンテーブル133が回転する。モータ15は、保持部材13に外力を与え保持部材13を第1の平面と垂直な軸周りに回転させる回転機構の一例である。なお、図6及び図7の例ではモータ15はターンテーブル133に直接、駆動力を与えるが、モータ15の駆動力がギアやベルト等の動力伝達系を介してターンテーブル133に伝達されてもよい。この場合、回転機構はモータ15と動力伝達系により構成されることになる。
【0044】
モータ16は、ベースプレート131をヒンジ132の軸周りに回転させる。例えば、ヒンジ132のベースプレート131側のプレート(羽)に連結された軸を取り囲む筒状部材(軸筒)の外側面にはラックが設けられており、モータ16の回転軸に取り付けられているピニオンと噛み合わされている。従って、モータ16の回転軸が回転すると、ベースプレート131が回転する。モータ16は、保持部材13に外力を与え保持部材13を第1の位置と第2の位置の間で移動させる移動機構の一例である。なお、図6及び図7の例ではモータ16はヒンジ132を直接、駆動力を与えるが、モータ16の駆動力がギアやベルト等の動力伝達系を介してヒンジ132に伝達されてもよい。この場合、移動機構はモータ16と動力伝達系により構成されることになる。
【0045】
制御ユニット17は、電子コンパス12に対する校正のための磁気の測定の開始及び終了の指示と、モータ15及びモータ16に対する運転の開始及び終了を指示する指示装置である。
【0046】
図8A及び図8Bは、制御ユニット17が行う処理のフローを示した図である。制御ユニット17は、例えばユーザによる指示や装置1が備えるセンサによる所定のイベントの検知等をトリガに、図8のフローに従う処理を行う。
【0047】
まず、制御ユニット17は、電子コンパス12に対し、磁気センサXと磁気センサYに関する校正のための磁気の測定の開始を指示する(ステップS101)。続いて、制御ユニット17は、モータ15に運転の開始を指示する(ステップS102)。続いて、制御ユニット17は、ターンテーブル133の回転角度を測定するセンサから出力される測定結果を示す信号に基づき、ターンテーブル133が360度回転したか否かを継続的に判定する(ステップS103)。制御ユニット17は、ターンテーブル133が360度回転したと判定した場合(ステップS103;Yes)、モータ15に運転の終了を指示する(ステップS104)。続いて、制御ユニット17は、電子コンパス12に対し、磁気センサXと磁気センサYに関する校正のための磁気の測定の終了を指示する(ステップS105)。この指示に応じて、電子コンパス12は磁気センサXと磁気センサYのオフセット値を算出する。
【0048】
続いて、制御ユニット17は、モータ16に運転の開始を指示する(ステップS201)。この場合、制御ユニット17がモータ16に与える指示は、ベースプレート131を第1の位置から第2の位置へ移動させる方向へ回転軸を回転する指示である。続いて、制御ユニット17は、ベースプレート131の回転角度を測定するセンサから出力される測定結果を示す信号に基づき、ベースプレート131が90度回転したか否かを継続的に判定する(ステップS202)。制御ユニット17は、ベースプレート131が90度回転したと判定した場合(ステップS202;Yes)、モータ16に運転の終了を指示する(ステップS203)。
【0049】
続いて、制御ユニット17は、電子コンパス12に対し、磁気センサZに関する校正のための磁気の測定の開始を指示する(ステップS301)。続いて、制御ユニット17は、モータ15に運転の開始を指示する(ステップS302)。続いて、制御ユニット17は、ターンテーブル133の回転角度を測定するセンサから出力される測定結果を示す信号に基づき、ターンテーブル133が360度回転したか否かを継続的に判定する(ステップS303)。制御ユニット17は、ターンテーブル133が360度回転したと判定した場合(ステップS303;Yes)、モータ15に運転の終了を指示する(ステップS304)。続いて、制御ユニット17は、電子コンパス12に対し、磁気センサZに関する校正のための磁気の測定の終了を指示する(ステップS305)。この指示に応じて、電子コンパス12は磁気センサZのオフセット値を算出する。
【0050】
続いて、制御ユニット17は、モータ16に運転の開始を指示する(ステップS401)。この場合、制御ユニット17がモータ16に与える指示は、ベースプレート131を第2の位置から第1の位置へ移動させる方向へ回転軸を回転する指示である。続いて、制御ユニット17は、ベースプレート131の回転角度を測定するセンサから出力される測定結果を示す信号に基づき、ベースプレート131が90度回転したか否かを継続的に判定する(ステップS402)。制御ユニット17は、ベースプレート131が90度回転したと判定した場合(ステップS402;Yes)、モータ16に運転の終了を指示する(ステップS403)。
【0051】
なお、この変形例に係る装置1は、保持部材13を回転させる回転機構と保持部材13を第1の位置と第2の位置の間で移動させる移動機構の両方を備えるものとしたが、装置1がこれらの一方のみを備えてもよい。例えば、装置1が回転機構を備え移動機構を備えない場合、ユーザはベースプレート131を起こしたり倒したりする作業を手動で行う必要があるが、装置1を回転させる作業を行う必要がない。
【0052】
さらに、装置1が、保持部材13を回転させる回転機構と保持部材13を第1の位置と第2の位置の間で移動させる移動機構のいずれも備えない構成であってもよい。この場合、ユーザはベースプレート131を起こしたり倒したりする作業と、ターンテーブル133を回転させる作業を手動で行う必要があるが、装置1全体を回転させる作業を行う必要がない。
【0053】
(2)装置1の種類は無人航空機に限られない。装置1の種類は、3軸磁気センサを有する電子コンパスを備える装置であれば、例えば船舶など、どのような種類の装置であってもよい。
【0054】
(3)上述した実施形態においては、保持部材13が第1の位置の状態で保持部材13を鉛直方向の軸周りに回転し、磁気センサXと磁気センサYに関するオフセット値を算出した後、保持部材13が第2の位置の状態で保持部材13を鉛直方向の軸周りに回転し、磁気センサZに関するオフセット値を算出するものとした。これに代えて、保持部材13が第2の位置の状態で保持部材13を鉛直方向の軸周りに回転し、磁気センサZに関するオフセット値を算出した後、保持部材13が第1の位置の状態で保持部材13を鉛直方向の軸周りに回転し、磁気センサXと磁気センサYに関するオフセット値を算出してもよい。また、磁気センサYに関するオフセット値の算出は、保持部材13が第2の位置の状態で鉛直方向の軸周りに回転する際に測定された磁気に基づき算出されてもよい。
【0055】
(4)上述した実施形態においては、第1の平面を水平面としたが、第1の平面は必ずしも水平面でなくてよい。また、上述した実施形態においては、第2の平面を第1の平面と垂直な平面としたが、第1の平面と第2の平面は90度以外の角度で交わってもよい。
【符号の説明】
【0056】
1…装置、10…筐体、11…カバー、12…電子コンパス、13…保持部材、14…基台、15…モータ、16…モータ、17…制御ユニット、131…ベースプレート、132…ヒンジ、133…ターンテーブル。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B