(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】光源装置、露光装置、および光源装置の判定方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20220914BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20220914BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20220914BHJP
F21Y 101/00 20160101ALN20220914BHJP
【FI】
G03F7/20 501
F21V23/00 110
F21S2/00 390
F21Y101:00 300
(21)【出願番号】P 2019537615
(86)(22)【出願日】2018-08-20
(86)【国際出願番号】 JP2018030635
(87)【国際公開番号】W WO2019039427
(87)【国際公開日】2019-02-28
【審査請求日】2021-07-09
(31)【優先権主張番号】P 2017160653
(32)【優先日】2017-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】510138741
【氏名又は名称】フェニックス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147706
【氏名又は名称】多田 裕司
(72)【発明者】
【氏名】池田 富彦
(72)【発明者】
【氏名】小谷 弘一
(72)【発明者】
【氏名】郷田 哲也
【審査官】菅原 拓路
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-200751(JP,A)
【文献】特開2005-235565(JP,A)
【文献】国際公開第2018/143300(WO,A1)
【文献】特表昭61-501662(JP,A)
【文献】特開2015-103882(JP,A)
【文献】国際公開第2019/054250(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
F21V 23/00
F21S 2/00
F21Y 101/00
H05B 39/00-47/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源となる放電灯と、
判定用回路と、
前記放電灯および前記判定用回路が取り付けられたリフレクタ容器とを備える光源装置であって、
前記判定用回路は、前記放電灯が純正品であるかどうかを検出するための
定電流が流される、白熱灯と、前記放電灯が新品であるかどうかを判別するために前記白熱灯に対して直列に接続され
ており、前記定電流よりも大きな電流が流されることによって断線するヒューズとを有している光源装置。
【請求項2】
光源となる放電灯と、
判定用回路と、
前記放電灯および前記判定用回路が取り付けられたリフレクタ容器とを備える光源装置であって、
前記判定用回路は、前記放電灯が純正品であるかどうかを検出するための
定電流が流される、白熱灯と、前記放電灯が新品であるかどうかを判別するために前記白熱灯に対して並列に接続され
ており、前記定電流よりも大きな電流が流されることによって断線するヒューズとを有している光源装置。
【請求項3】
光源となる放電灯と、
判定用回路と、
前記放電灯および前記判定用回路が取り付けられたリフレクタ容器とを備える光源装置であって、
前記判定用回路は、前記放電灯が純正品であるかどうかを検出するための白熱灯と、前記放電灯が新品であるかどうかを判別するために前記白熱灯に対して直列に接続されたダイオードとを有している光源装置。
【請求項4】
光源となる放電灯と、
判定用回路と、
前記放電灯および前記判定用回路が取り付けられたリフレクタ容器とを備える光源装置であって、
前記判定用回路は、前記放電灯が純正品であるかどうかを検出するための白熱灯と、前記放電灯が新品であるかどうかを判別するために前記白熱灯に対して並列に接続されたダイオードとを有している光源装置。
【請求項5】
光源となる放電灯と、
判定用回路と、
前記放電灯および前記判定用回路が取り付けられたリフレクタ容器とを備える光源装置であって、
前記判定用回路は、気密された内部空間を有する封体容器と、前記内部空間に配設されたフィラメントと、前記内部空間に封入された腐食性気体とを有していることを特徴とする光源装置。
【請求項6】
前記判定用回路は前記リフレクタ容器内に収容されていることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項7】
前記ヒューズは温度ヒューズであることを特徴とする、請求項1または2に記載の光源装置。
【請求項8】
前記腐食性気体には酸素が含まれていることを特徴とする、請求項5に記載の光源装置。
【請求項9】
請求項1に記載の光源装置と、
前記光源装置を被照射物に向けて装着するフレームと、
前記判定用回路に電流を供給する定電流電源と、
前記定電流電源からの前記電流をオン・オフするスイッチと、
前記スイッチをオン・オフして前記判定用回路に所定の時間通電する制御部と、
通電中の前記判定用回路の両端電圧を少なくとも2回測定する測定部と、
1回目の測定時の前記両端電圧と2回目の測定時の前記両端電圧との差と、放電灯の正否を判定する所定の上限値および下限値の電圧範囲とを比較する比較部と、
前記比較部からの信号を受け、前記両端電圧の差が所定の電圧範囲内にある場合は検査対象放電灯が純正品であると判定し、前記両端電圧の差が所定の電圧範囲外である場合は検査対象放電灯が純正品ではないと判定する判定部と、
前記放電灯が純正品であるか否かを判定した後で、
前記判定用回路に電流を供給する中古判定用定電流電源と、
前記中古判定用定電流電源からの前記電流をオン・オフする中古判定用スイッチと、
前記中古判定用スイッチをオン・オフして前記判定用回路に通電する中古判定用制御部と、
通電中の前記判定用回路の両端電圧を測定する中古判定用測定部と、
測定した両端電圧が所定の上限値および下限値の電圧範囲内にあるか否かで前記放電灯が新品であるか中古品かを判定する中古判定部とを備える露光装置。
【請求項10】
請求項1に記載の光源装置の前記判定用回路に所定の時間通電し、
通電中の前記判定用回路の両端電圧を少なくとも2回測定し、
1回目の測定時の前記両端電圧と2回目の測定時の前記両端電圧との差と、放電灯の正否を判定する所定の上限値および下限値の電圧範囲とを比較し、
前記両端電圧の差が所定の電圧範囲内にある場合は判定対象の前記放電灯が純正品であると判定し、前記両端電圧の差が所定の電圧範囲外である場合は判定対象の前記放電灯が純正品ではないと判定し、
さらに、前記放電灯が純正品であるか否かを判定した後で、
前記判定用回路に通電し、
通電中の前記判定用回路の両端電圧を測定し、
測定した両端電圧が所定の上限値および下限値の電圧範囲内にある場合は判定対象の前記放電灯が新品であると判定し、所定の上限値および下限値の電圧範囲外である場合は判定対象の前記放電灯が中古品であると判定する
光源装置の判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線基板等の露光に用いる露光装置において、光源となる放電灯が純正品であるか否か、および、新品であるか中古品かを検出するための判定用回路を備えた光源装置、その光源装置を用いた露光装置、および、光源装置の判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器に部品を実装するために樹脂やガラスエポキシ材の基板上に銅等の金属で配線パターンを形成したプリント配線基板が用いられている。これらのプリント配線基板上への配線パターンの形成にはフォトエッチング技術が用いられている。フォトエッチングは、配線となる金属層が全面に形成された基板上全面に、感光性の薬剤であるフォトレジストを塗布し、これに配線パターンと同一のフォトマスクを通して露光装置からの照射光を照射することによって行う。
【0003】
フォトレジストには、照射光によりフォトレジストの溶解性が低下するネガ型フォトレジストと、逆に照射光によりフォトレジストの溶解性が増大するポジ型フォトレジストがある。照射光により溶解性が相対的に増大したフォトレジスト部分を化学処理して取り除き、露出した金属層をエッチングにより除去するとフォトレジストが残った部分の下にある金属層だけが残り、フォトレジストを除去することで配線パターンが基板上に形成される。ポジ型、ネガ型いずれのフォトレジストに照射光を照射する場合でも、照射面全面に亘って均一な露光量を確保するために、均一な照度で一定の時間、安定した照射光の照射が必要である。
【0004】
ところで、プリント配線基板の製造において、製造工程の効率化のために複数の回路が形成された1枚の大型プリント配線基板を製作し、基板完成後に個々の回路に分割することによって所望の電子機器に使用することが行われている。
【0005】
このようなプリント配線基板の大型化に伴い、露光装置メーカーは光源である放電灯を大型化して高照度を得るか、または複数の低照度の小型の放電灯を用いた多灯の光源として必要な照度を確保しようとしている。例えば、8kWの高圧放電灯の光源を1灯使用する代わりに2kWの高圧放電灯の光源を4灯使用するなどである。低照度の放電灯は高照度の放電灯に比して、製造難易度や製造コストにおいて優位であり、多灯の光源を有する露光装置が多数販売されている。
【0006】
しかしながら、このような光源の多灯化に伴って、均一な露光量の確保の必要性から複数の放電灯同士の均質性がより重要となってきている。そのため、露光装置の性能を安定させ、信頼性の高いプリント配線基板を製造するには、同一メーカーによって、同一材料、同一工法で製作された純正品の放電灯だけを使用することが必要となり、放電灯が純正品かどうか判定する装置および判定方法が必要となっている。
【0007】
露光装置に限らず光学装置において、使用されている放電灯や光源を判定する方法はいくつか知られている(例えば、特許文献1から3参照。)。例えば、特許文献1に記載のランプ異常検出装置では、ハロゲンランプなどフィラメントを使用した白熱電球に所定の電圧を供給し、フィラメントが半切れ状態時の電流値と、フィラメントが正常時の電流値とを比較して異常のあるランプを検出するとしている。しかしながら、これでは、ランプの寿命は検出できても、ランプが純正品か否かを判定することは困難である。
【0008】
また、例えば特許文献2では、白熱灯あるいは蛍光灯といった光源と並列に抵抗およびコンデンサーが接続された回路を接続し、この光源の両端に所定の電圧を供給した時の時定数(抵抗値と容量値の積)を測定して光源が白熱灯か蛍光灯かを検出するとしている。しかしながら、これでは、時定数の大きな違い(白熱灯と蛍光灯では時定数は大きく異なる。)は検出できても、同じ白熱灯間での純正品か否かを判定することは困難である。
【0009】
さらに、例えば特許文献3では、同一白熱電球のバルブ内に封入された複数のフィラメントに紫外線を放射しつつ、それらフィラメント間の放電開始電圧を測定し、不良品を検出するとしている。しかしながら、これでは不良品は検出できても、ランプが純正品か否かを判定することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特公平7-52677号公報
【文献】特表2010-527504号公報
【文献】特開昭62-43059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
純正品の光源装置か、あるいは、他のメーカーによって製造された類似品の光源装置かを判定するためには特許文献1および3のように、光源が不良か否か、あるいは特許文献2のように異種の光源であるか否かを識別するよりも、さらに精度の高い判定装置が必要である。また、複数の光源の検査時間が露光装置の起動時間を大きく超えないことと、露光装置全体のコストを大きく増やさないことという課題も同時に解決する必要がある。
【0012】
さらに言えば、均一な露光量の確保という観点からすると、同一メーカーによる純正品の光源装置であっても、新品と中古品とを混在させて使用するのは好ましくない。このため、一度でも使用されたことのある中古品の光源装置であるか否かを判定できる光源装置が求められていた。
【0013】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、プリント配線基板等の露光に用いる露光装置において、光源となる放電灯が純正品であるか否か、および、新品であるか中古品かを高精度、短時間かつ低コストで識別するための判定用回路を備えた光源装置およびその光源装置を用いた露光装置とその判定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一局面によれば、
光源となる放電灯と、
判定用回路と、
前記放電灯および前記判定用回路が取り付けられたリフレクタ容器とを備える光源装置であって、
前記判定用回路は、前記放電灯が純正品であるかどうかを検出するための定電流が流される、白熱灯と、前記放電灯が新品であるかどうかを判別するために前記白熱灯に対して直列に接続されており、前記定電流よりも大きな電流が流されることによって断線するヒューズとを有している光源装置が提供される。
【0015】
また、本発明の他の局面によれば、
光源となる放電灯と、
判定用回路と、
前記放電灯および前記判定用回路が取り付けられたリフレクタ容器とを備える光源装置であって、
前記判定用回路は、前記放電灯が純正品であるかどうかを検出するための定電流が流される、白熱灯と、前記放電灯が新品であるかどうかを判別するために前記白熱灯に対して並列に接続されており、前記定電流よりも大きな電流が流されることによって断線するヒューズとを有している光源装置が提供される。
【0016】
さらに、本発明の他の局面によれば、
光源となる放電灯と、
判定用回路と、
前記放電灯および前記判定用回路が取り付けられたリフレクタ容器とを備える光源装置であって、
前記判定用回路は、前記放電灯が純正品であるかどうかを検出するための白熱灯と、前記放電灯が新品であるかどうかを判別するために前記白熱灯に対して直列に接続されたダイオードとを有している光源装置が提供される。
【0017】
また、本発明の他の局面によれば、
光源となる放電灯と、
判定用回路と、
前記放電灯および前記判定用回路が取り付けられたリフレクタ容器とを備える光源装置であって、
前記判定用回路は、前記放電灯が純正品であるかどうかを検出するための白熱灯と、前記放電灯が新品であるかどうかを判別するために前記白熱灯に対して並列に接続されたダイオードとを有している光源装置が提供される。
【0018】
また、本発明の他の局面によれば、
光源となる放電灯と、
判定用回路と、
前記放電灯および前記判定用回路が取り付けられたリフレクタ容器とを備える光源装置であって、
前記判定用回路は、気密された内部空間を有する封体容器と、前記内部空間に配設されたフィラメントと、前記内部空間に封入された腐食性気体とを有していることを特徴とする光源装置が提供される。
【0019】
好適には、前記判定用回路は前記リフレクタ容器内に収容されている。
【0020】
好適には、前記ヒューズは温度ヒューズである。
【0021】
好適には、前記腐食性気体には酸素が含まれている。
【0022】
また、本発明の他の局面によれば、
1つ以上の上記光源装置と、
前記光源装置を被照射物に向けて装着するフレームと、
前記判定用回路に電流を供給する定電流電源と、
前記定電流電源からの前記電流をオン・オフするスイッチと、
前記スイッチをオン・オフして前記判定用回路に所定の時間通電する制御部と、
通電中の前記判定用回路の両端電圧を少なくとも2回測定する測定部と、
1回目の測定時の前記両端電圧と2回目の測定時の前記両端電圧との差と、放電灯の正否を判定する所定の上限値および下限値の電圧範囲とを比較する比較部と、
前記比較部からの信号を受け、前記両端電圧の差が所定の電圧範囲内にある場合は検査対象放電灯が純正品であると判定し、前記両端電圧の差が所定の電圧範囲外である場合は検査対象放電灯が純正品ではないと判定する判定部と、
前記放電灯が純正品であるか否かを判定した後で、
前記判定用回路に電流を供給する中古判定用定電流電源と、
前記中古判定用定電流電源からの前記電流をオン・オフする中古判定用スイッチと、
前記中古判定用スイッチをオン・オフして前記判定用回路に通電する中古判定用制御部と、
通電中の前記判定用回路の両端電圧を測定する中古判定用測定部と、
測定した両端電圧が所定の上限値および下限値の電圧範囲内にあるか否かで前記放電灯が中古品か否かを判定する中古判定部と、
判定結果を表示する表示部とを備える露光装置が提供される。
【0023】
上記光源装置の前記判定用回路に所定の時間通電し、
通電中の前記判定用回路の両端電圧を少なくとも2回測定し、
1回目の測定時の前記両端電圧と2回目の測定時の前記両端電圧との差と、放電灯の正否を判定する所定の上限値および下限値の電圧範囲とを比較し、
前記両端電圧の差が所定の電圧範囲内にある場合は判定対象の前記放電灯が純正品であると判定し、前記両端電圧の差が所定の電圧範囲外である場合は判定対象の前記放電灯が純正品ではないと判定し、
さらに、前記放電灯が純正品であるか否かを判定した後で、
前記判定用回路に通電し、
通電中の前記判定用回路の両端電圧を測定し、
測定した両端電圧が所定の上限値および下限値の電圧範囲内にある場合は判定対象の前記放電灯が新品であると判定し、所定の上限値および下限値の電圧範囲外である場合は判定対象の前記放電灯が中古品であると判定する
光源装置の判定方法。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、プリント配線基板等の露光に用いる露光装置において、光源となる放電灯が純正品であるか否か、および、新品であるか中古品かを高精度、短時間かつ低コストで識別するための判定用回路を備えた光源装置およびその光源装置を用いた露光装置とその判定方法を提供できた。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明が適用された露光機10の一例を示す図である。
【
図2】本発明が適用された露光装置50の一例を示す図である。
【
図3】本発明が適用された露光装置50の一例を示す平面図である。
【
図4】本発明が適用された光源装置100の一例を示す断面図である。
【
図6】本発明が適用された判定装置57の一例を示す図である。
【
図7】本発明が適用された変形例1に係る光源装置100の一例を示す断面図である。
【
図8】本発明が適用された変形例2に係る光源装置100の一例を示す断面図である。
【
図9】本発明が適用された変形例3に係る光源装置100の一例を示す断面図である。
【
図10】本発明が適用された変形例4に係る光源装置100の一例を示す断面図である。
【
図11】判定用回路200の配設位置に関する他の実施例を示す断面図である。
【
図12】判定用回路200の配設位置に関する他の実施例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(実施例1)
(露光機10の構成)
図1は、本発明が適用された実施例1に係る露光機10を示す。露光機10は、大略、露光装置50と、インテグレータ12と、凹面鏡14と、照射面16とで構成されている。
【0027】
露光装置50は、露光対象物Xの露光に適した波長を含む光を放射する。露光装置50の詳細については、露光機10の構成を説明した後で説明する。
【0028】
インテグレータ12は、露光装置50からの光を受け入れる入射面18、および、受け入れた光の均一性を高めたうえで当該光を出射する出射面20を有している。入射面18および出射面20には、それぞれ、複数のフライアイレンズ21が形成されている。
【0029】
凹面鏡14は、その内側に反射凹面22を有している。この凹面鏡14は、インテグレータ12から出射された光を反射凹面22で反射させて平行光にする。
【0030】
照射面16は、凹面鏡14からの平行光を受ける光であり、当該平行光に対して略直交する向きに配置されている。この照射面16には、露光対象物Xが載置される。露光対象物Xの表面には、例えば感光剤が塗布されている。凹面鏡14からの平行光が露光対象物Xにおける所望の領域を照射することにより、露光対象物Xの表面に所望の回路パターン等が形成される。
【0031】
(露光装置50の構成)
図2は、本発明が適用された実施例1に係る露光装置50を示す図である。また、
図3は、露光装置50の平面図である。露光装置50は、複数の光源装置100と、フレーム52と、点灯回路54と、スイッチ55と、定電流電源56と、判定装置57と、中古判定用定電流電源76と、中古判定用スイッチ78とを備えている。なお、スイッチ55と中古判定用スイッチ78、および、定電流電源56と中古判定用定電流電源76は、それぞれ物理的に同じものが機能を共有するように設定してもよいし、それぞれ物理的に別のものを用意してもよい。
【0032】
光源装置100は、露光対象物Xの露光に適した波長を含む光を放射する。光源装置100は、
図4に示すように、大略、放電灯110と、リフレクタ150と、絶縁ベース170と、判定用回路200とで構成されている。なお、リフレクタ150と絶縁ベース170とをまとめてリフレクタ容器151と記載することがある。
【0033】
放電灯110は、
図5に示すように、発光管部112と、当該発光管部112から延出する一対のシール部114とを有している。発光管部112および一対のシール部114は、石英ガラスで一体的に形成されている。さらに、発光管部112内にはシール部114によって密閉された内部空間116が形成されている。
【0034】
放電灯110の各シール部114内には、埋設されたモリブデン製の箔118と、一端が箔118の一方端部に接続されているとともに他端が内部空間116内に配置されたタングステン製の一対の電極120と、一端が箔118の他方端部に接続されているとともに他端がシール部114から外部へ延出する一対のリード棒122とがそれぞれ設けられている。また、内部空間116には、所定量の水銀124およびハロゲン(例えば臭素)が封入されている。
【0035】
放電灯110に設けられた一対のリード棒122に所定の高電圧を印加すると、発光管部112の内部空間116に設けられた一対の電極120間で開始したグロー放電がアーク放電に移行し、このアークによって蒸発および励起された水銀124によって光(主に紫外線)が放射される。
【0036】
図4に戻って、本実施例にかかる光源装置100では、一方のシール部114がリフレクタ150のシール部挿設孔156に挿設されている。なお、放電灯110は、交流点灯用でも直流点灯用でもよい。
【0037】
リフレクタ150は、椀状の反射面152をその内側表面に有している。この反射面152は、リフレクタ150の内側に発光管部112が位置するように配置された放電灯110からの光の一部を反射させる。本実施例では、この反射面152は回転放物面で規定されている。また、放電灯110における発光点(概略、内部空間116における一対の電極120間に形成されたアークの中央位置)は当該回転放物面の焦点に一致している。これにより、放電灯110の発光点から放射され、反射面152で反射した後、リフレクタ150の開口154から出た光は、ほぼ平行光となる。もちろん、反射面152の形状はこれに限定されるものではなく、回転楕円面やその他の回転面、あるいは回転面以外の形状であってもよい。また、発光点を焦点に一致させることは必須ではなく、必要に応じて、発光点を焦点からずらしてもよい。
【0038】
また、リフレクタ150における開口154とは反対側からは、底頸部155が突設されている。さらに、リフレクタ150の反射面152には、放電灯110にける一方のシール部114が挿設されるシール部挿設孔156が形成されている。このシール部挿設孔156は、反射面152の底から底頸部155の先端にかけて形成されている。
【0039】
図1に示すように、放電灯110にリフレクタ150を組み合わせることにより、放電灯110から放射された光は、反射面152の中心軸CLに沿って進む光を中心として所定の角度(開き角)をもった範囲でリフレクタ150の前方に進むようになる。
【0040】
図4に戻り、絶縁ベース170は、セラミック等の電気的絶縁体で形成されており、リフレクタ150の底頸部155およびシール部挿設孔156に挿設された放電灯110における一方のシール部114が挿入されるリフレクタ挿入穴172が形成されている。底頸部155およびシール部114がリフレクタ挿入穴172に挿入されることにより、絶縁ベース170がシール部挿設孔156を外側から覆うことになる。
【0041】
また、絶縁ベース170には、上述したリフレクタ挿入穴172に連通する内側空間174が形成されており、さらに当該内側空間174と外側とを互いに連通して電源ケーブルAが挿通される電源ケーブル挿通穴176が形成されている。
【0042】
さらに、絶縁ベース170および放電灯110(本実施例の場合、さらに、判定用回路200)は、電気絶縁性および高い熱伝導性を有する無機接着剤Cによって互いに固定されている。具体的に説明すると、絶縁ベース170のリフレクタ挿入穴172にリフレクタ150の底頸部155の端部、および、放電灯110の一方のシール部114を挿入し、さらに、絶縁ベース170の内側空間174に判定用回路200や電源ケーブルAを配置した状態で、当該内側空間174に無機接着剤Cが充填されている。
【0043】
判定用回路200は、本実施例の場合、白熱灯210と、ヒューズ220とを有している。ヒューズ220は白熱灯210に対して直列に接続された部品である。本実施例の場合、ヒューズ220の容量は、後述するように放電灯110が純正品であるか否かを判定するための定電流が流される際には断線せず、純正品判定の後、ヒューズ断線動作部67によって当該定電流よりも大きな電流が流されたときに断線するように設定されている。なお、これに代えて、点灯中の放電灯110からの熱で断線するようなヒューズ220、つまり、「温度ヒューズ」を使用してもよい。
【0044】
図3に戻り、フレーム52は、複数の光源装置100が装着される複数の凹所58が形成された略直方体状の部材である。
【0045】
図2に戻り、点灯回路54は、フレーム52に取り付けられた各光源装置100の放電灯110に必要な電力を供給する回路である。また、定電流電源56および中古判定用定電流電源76は、各光源装置100の判定用回路200に直流の定電流を供給する電源であり、スイッチ55および中古判定用スイッチ78は判定用回路200に供給する直流の定電流をオン・オフする。なお、判定用の定電流は交流であってもよい。
【0046】
判定装置57は、各光源装置100(放電灯110)が純正品か否か、および、各光源装置100(放電灯110)が新品かあるいは中古品かを判定するための装置であり、
図6に示すように、大略、制御部60と、測定部62と、比較部64と、判定部66と、ヒューズ断線動作部67と、中古判定用制御部68と、中古判定用測定部70と、中古判定部72とを有している。なお、制御部60と中古判定用制御部68、測定部62と中古判定用測定部70、および、判定部66と中古判定部72は、それぞれ物理的に同じものが機能を共有するように設定してもよいし、それぞれ別のものを用意してもよい。
【0047】
制御部60は、スイッチ55を操作して、定電流電源56から判定用回路200に供給される電流をオン・オフする機能を有する。
【0048】
測定部62は、判定用回路200の両端電圧を測定する機能を有する。なお、本実施例の場合、測定部62は、通電中の判定用回路200の両端電圧を少なくとも2回測定するようになっている。
【0049】
比較部64は、測定部62で測定された判定用回路200の1回目の測定時の両端電圧と2回目の測定時の両端電圧との差と、放電灯110が純正品か否かを判定する所定の上限値および下限値の電圧範囲とを比較する機能を有する。比較部64には予め所定の条件で測定された複数の純正品検出用の白熱灯の電圧分布範囲が記録されており、比較部64は、上記比較した結果の信号を判定部66に送信する。
【0050】
判定部66は、比較部64から送信された結果の信号を受け、両端電圧の差が所定の電圧範囲内にある場合は検査対象の放電灯110が純正品であると判定し、逆に、両端電圧の差が所定の電圧範囲外である場合は検査対象の放電灯110が純正品ではないと判定する。
【0051】
放電灯110が純正品か否かを判定部66が判定した後、ヒューズ断線動作部67が判定用回路200に対して純正品判定用の定電流よりも大きな電流を流す。これにより、ヒューズ220が断線して判定用回路200がオープンとなり、判定用回路200の両端抵抗値は無限大になる。
【0052】
中古判定用制御部68は、ヒューズ断線動作部67による動作の後、中古判定用スイッチ78を操作して、中古判定用定電流電源76から判定用回路200に供給される電流をオン・オフする機能を有する。
【0053】
中古判定用測定部70は、通電中の判定用回路200の両端電圧を測定する機能を有する。
【0054】
中古判定部72は、中古判定用測定部70で測定した両端電圧が所定の上限値および下限値の電圧範囲内にあるか否かで放電灯110が新品かあるいは中古品かを判定する機能を有する。すなわち、中古判定用測定部70で測定した両端電圧が所定の上限値および下限値の電圧範囲内にある場合、中古判定部72は当該放電灯110が新品であると判定する。逆に、中古判定用測定部70で測定した両端電圧が所定の上限値および下限値の電圧範囲外にある場合、中古判定部72は当該放電灯110が中古品であると判定する。
【0055】
(露光装置50の動作)
露光装置50の電源スイッチ(図示せず)が投入されると、点灯回路54はフレーム52に取り付けられたすべての光源装置100における放電灯110に電力を供給する。通常、放電灯110が完全に立ち上がるには数分を要する。
【0056】
例えば、露光装置50の電源スイッチ投入の直後に、判定装置57における制御部60がフレーム52に取り付けられたいずれか1つの光源装置100における判定用回路200に接続されたスイッチ55をオンにして、定電流電源56から当該判定用回路200に定電流を供給する。もちろん、判定装置57が動作するタイミングはこれに限定されるものではない。
【0057】
1回目にスイッチ55をオンにした直後に測定部62が判定用回路200の両端電圧を測定し、その結果(1回目)を比較部64に送る。次に、1回目の測定から所定時間後(例えば、10秒後)に同じ判定用回路200に対して再度定電流を供給し、測定部62が判定用回路200の両端電圧を測定し、その結果(2回目)を比較部64に送る。
【0058】
2回の両端電圧測定結果を受け取った比較部64は、2回の測定電圧の差が予め記録されていた電圧差範囲内か否かの結果信号を判定部66に送る。両端電圧の差が所定の電圧範囲内にある場合、判定部66は検査対象の放電灯110が純正品であると判定し、逆に、両端電圧の差が所定の電圧範囲外である場合、判定部66は検査対象の放電灯110が純正品ではないと判定する。
【0059】
一般的に、白熱灯210は、それに含まれるフィラメントの特性上、電流を通電してからしばらく(数秒)の間は抵抗値が増加する傾向にある。このため、光源装置100が純正品である場合、2回目に測定した判定用回路200の両端電圧(例えば8.5V)は、1回目に測定した両端電圧(例えば2.0V)に比べて大きくなる。逆に、純正品でない場合は2回目の測定結果が1回目の測定結果と同一か殆ど同じになる。これにより、上述した判定方法で光源装置100(放電灯110)が純正品か否かを判定できる。なお、上述した2回目の測定のタイミングでのみ両端電圧を測定することによって純正品か否かを判定してもよい。この場合、両端電圧の測定値が所定の電圧範囲内にあるか否かで純正品か否かを判定することになる。
【0060】
1つ目の光源装置100における純正品判定が完了した後、制御部60は他の光源装置100における判定用回路200への定電流の供給を開始する。以降、上述した1つ目の場合と同様に純正品判定を行い、すべての光源装置100の判定を終了するまで、あるいは所定の範囲の光源装置100の検査を終了するまで同様の判定を繰り返す。
【0061】
必要な純正品判定が完了した後、判定装置57におけるヒューズ断線動作部67は、判定用回路200に対して純正品判定用の定電流よりも大きな電流(例えば、30V,1.4A)を流す。これにより、ヒューズ220が断線して判定用回路200がオープンとなり、判定用回路200の両端抵抗値は無限大になる。
【0062】
然る後、判定装置57における中古判定用制御部68はいずれか1つの光源装置100における判定用回路200に接続された中古判定用スイッチ78をオンにして、中古判定用定電流電源76から当該判定用回路200に定電流を供給する。中古判定用スイッチ78をオンにした直後に中古判定用測定部70が判定用回路200の両端電圧を測定し、その結果を中古判定部72に送る。
【0063】
中古判定部72は、測定電圧が所定の上限値および下限値の電圧範囲内にあるか否かで放電灯110が新品かあるいは中古品かを判定する。
【0064】
本実施例の場合、中古判定用測定部70で測定した両端電圧が所定の上限値および下限値の電圧範囲内にある場合、中古判定部72は当該放電灯110が新品であると判定する。逆に、中古判定用測定部70で測定した両端電圧が所定の上限値および下限値の電圧範囲外にある場合、中古判定部72は当該放電灯110が中古品であると判定する。光源装置100が純正品であり、かつ、1回でも使用されたことのあるもの(=中古品)である場合、上述のように判定用回路200におけるヒューズ220はヒューズ断線動作部67によって既に断線されていることから、判定用回路200はオープン(抵抗値=無限大)状態になっている。このため、判定用回路200の両端電圧は中古判定用定電流電源76の最大電圧が印加されている。所定の上限値をこの「中古判定用定電流電源76の最大電圧」よりも小さく設定しておくことにより、判定用回路200がオープンとなった中古品を中古判定用測定部70で判定できる。
【0065】
ここまでは、露光装置50に取り付けられたすべての光源装置100に対して純正品判定を行った後で中古品判定を開始する例を説明したが、ひとつの光源装置100に対して純正品判定および中古品判定を続けて行った後、他の光源装置100に対しても純正品判定および中古品判定を続けて行うようにしてもよい。もちろん、複数の光源装置100をひとまとめにして順に純正品判定を行い、然る後、順に中古品判定を行ってもよい。このことは、以下の変形例でも同じである。さらに、純正品判定を行った後、2000時間程度使用した後で、中古品判定を行ってもよい。
【0066】
(露光装置50の特徴)
本実施例によれば、光源となる放電灯110が純正品であるか否か、および、新品かあるいは中古品かを高精度、短時間かつ低コストで識別するための判定用回路200を備えた光源装置100、および、当該光源装置100を用いた露光装置50とその判定方法を提供できた。
【0067】
(変形例1)
上述の実施例における光源装置100の判定用回路200では、ヒューズ220が白熱灯210に対して直列に接続されていたが、
図7に示すように、当該ヒューズ220を白熱灯210に対して並列に接続してもよい。
【0068】
この場合、光源装置100の正規品判定は以下のようになる。すなわち、制御部60がスイッチ55を操作して定電流電源56から判定用回路200に給電させた後、測定部62が判定用回路200の両端電圧を測定する。このとき、正規品であれば、主にヒューズ220に電流が流れることから、両端電圧は十分に小さく(例えば、0.4V程度)なる。
【0069】
然る後、ヒューズ断線動作部67を動作させて、判定用回路200(主にヒューズ)に対して大きな電流および電圧(例えば、30V,1.4A)を流す。これにより、ヒューズ220が断線して判定用回路200は実質的に白熱灯210のみとなる。もちろん、上述した実施例1と同様に点灯中の放電灯110からの熱でヒューズ220を断線させてもよい。
【0070】
次に、制御部60により、再度、スイッチ55をオンにして、定電流電源56から当該判定用回路200に定電流を供給する。1回目にスイッチ55をオンにした直後に測定部62が判定用回路200の両端電圧を測定し、その結果(1回目)を比較部64に送る。次に、1回目の測定から所定時間後(例えば、10秒後)に同じ判定用回路200に対して再度定電流を供給し、測定部62が判定用回路200の両端電圧を測定し、その結果(2回目)を比較部64に送る。
【0071】
2回の両端電圧測定結果を受け取った比較部64は、2回の測定電圧の差が予め記録されていた電圧差範囲内か否かの結果信号を判定部66に送る。両端電圧の差が所定の電圧範囲内にある場合、判定部66は検査対象の放電灯110が純正品であると判定し、逆に、両端電圧の差が所定の電圧範囲外である場合、判定部66は検査対象の放電灯110が純正品ではないと判定する。なお、判定用の定電流は直流でも交流でもよい。また、上述した2回目の測定のタイミングでのみ両端電圧を測定することによって純正品か否かを判定してもよい。この場合、両端電圧の測定値が所定の電圧範囲内にあるか否かで純正品か否かを判定することになる。
【0072】
中古品判定は以下のようになる。すなわち、中古判定用制御部68により、中古判定用スイッチ78をオンにして、中古判定用定電流電源76から当該判定用回路200に定電流を供給する。1回目に中古判定用スイッチ78をオンにした直後に中古判定用測定部70が判定用回路200の両端電圧を測定し、その結果(1回目)を中古判定用比較部71に送る。次に、1回目の測定から所定時間後(例えば、10秒後)に同じ判定用回路200に対して再度定電流を供給し、中古判定用測定部70が判定用回路200の両端電圧を測定し、その結果(2回目)を中古判定用比較部71に送る。
【0073】
2回の両端電圧測定結果を受け取った中古判定用比較部71は、2回の測定電圧の差が予め記録されていた電圧差範囲内か否かの結果信号を中古判定部72に送る。両端電圧の差が所定の電圧範囲内にある場合、中古判定部72は検査対象の放電灯110が中古品であると判定し、逆に、両端電圧の差が所定の電圧範囲外である場合、中古判定部72は検査対象の放電灯110が新品であると判定する。この理由は、実施例1における純正品判定の際に説明したものと同じである。
【0074】
光源装置100が純正品の新品である場合、上述のように判定用回路200におけるヒューズ220は白熱灯210に対して並列に接続されていることから、判定用回路200の両端電圧は何回測定してもほぼゼロになる。これにより、1回目と2回目の両端電圧の測定値の差が所定の電圧範囲外(ほぼ同じ=差はゼロ)となることから、判定用回路200が実質的に白熱灯210のみになった中古品を中古判定用測定部70で判定できる。なお、判定用の定電流は直流でも交流でもよい。また、上述した2回目の測定のタイミングでのみ両端電圧を測定することによって新品か中古品かを判定してもよい。この場合、両端電圧の測定値が所定の電圧範囲内(ほぼゼロ)であるか否かで新品か中古品かを判定することになる。
【0075】
(変形例2)
上述の実施例における光源装置100の判定用回路200は、白熱灯210およびヒューズ220で構成されていたが、
図8に示すように、ヒューズ220に代えて、ダイオード230を白熱灯210に対して直列に接続してもよい。
【0076】
この場合、光源装置100の正規品判定は実施例1と同じ(ただし、定電流電源56から判定用回路200に流す電流は、ダイオード230の順方向の直流である点に注意)であるから、実施例1の正規品判定の手順を援用して説明を省略する。
【0077】
次に、この変形例2では、実施例1におけるヒューズ断線動作部67に代えて、逆電圧印加部80が用いられる。この逆電圧印加部80は、ダイオード230が破損する程度の逆方向電圧(直流)を当該ダイオード230(判定用回路200)に対して印加する機能を有する。光源装置100の正規品判定を完了した後、この逆電圧印加部80を作動させてダイオード230を逆方向電圧で破損させる。これにより、ダイオード230が内部でショートをおこしてその機能を失い、判定用回路200は白熱灯210のみで構成されたのと同じになる。
【0078】
このように光源装置100が正規品である場合、逆電圧印加部80が作動した後の判定用回路200は白熱灯210のみで構成されたのと同じになることから、変形例2に係る光源装置100の中古品判定は上述した変形例1で説明したものと基本的に同じ方法で行う。なお、中古判定用定電流電源76から当該判定用回路200に供給する直流の定電流は、正常な場合のダイオード230の逆方向に流す必要がある。
【0079】
(変形例3)
また、
図9に示すように、ダイオード230を白熱灯210に対して並列に接続してもよい。この場合、光源装置100の正規品判定は実施例1と同じ(ただし、定電流電源56から判定用回路200に流す電流は、ダイオード230の逆方向の直流である点に注意)であるから、実施例1の正規品判定の手順を援用して説明を省略する。
【0080】
光源装置100が正規品であることを確認した後、逆電圧印加部80によってダイオード230に大きな逆方向電圧(直流)が印加され、ダイオード230が内部でショートをおこしてその機能を失い、判定用回路200はショート状態になる。
【0081】
然る後、判定装置57における中古判定用制御部68は、中古判定用スイッチ78をオンにして、中古判定用定電流電源76から当該判定用回路200に定電流を供給する(ただし、中古判定用定電流電源76から判定用回路200に流す電流は、ダイオード230の逆方向の直流である点に注意)。中古判定用スイッチ78をオンにした直後に中古判定用測定部70が判定用回路200の両端電圧を測定し、その結果を中古判定部72に送る。
【0082】
中古判定部72は、測定電圧が所定の上限値および下限値の電圧範囲内にあるか否かで放電灯110が新品かあるいは中古品かを判定する。本実施例の場合、中古判定用測定部70で測定した両端電圧が所定の上限値および下限値の電圧範囲内にある場合、中古判定部72は当該放電灯110が新品であると判定する。逆に、中古判定用測定部70で測定した両端電圧が所定の上限値および下限値の電圧範囲外にある場合、中古判定部72は当該放電灯110が中古品であると判定する。
【0083】
光源装置100が純正品である場合、上述のように判定用回路200におけるダイオード230は逆電圧印加部80によって既にショート状態になっていることから、判定用回路200はショート(抵抗値がかなり小さい)状態になっている。このため、中古品の場合、判定用回路200の両端電圧は1V以下になっている。万一、光源装置100が新品の場合、ダイオード230はその機能を失っていないことから逆方向に電流は流れないので、電流は白熱灯210のみを流れる。つまり、判定用回路200は白熱灯210のみと同じ状態になっていることから、判定用回路200の両端電圧は1Vよりも大きくなる(例えば、2.0Vから8.5V)。これにより、光源装置100の中古判定を行うことができる。
【0084】
(変形例4)
さらに、
図10に示すように、気密された内部空間240を有する封体容器242と、内部空間240に配設されたフィラメント244と、内部空間240に封入された腐食性気体246とで判定用回路200を構成してもよい。腐食性気体246は、酸素を含む空気が入手性等の点で好適であるが、過剰な量のハロゲン(例えば、フッ素・塩素・ヨウ素・臭素)を封入してもよい。
【0085】
一般的な白熱灯の封体容器内にはフィラメントを腐食(燃焼)させる腐食性気体は封入されておらず、フィラメントが焼き切れるのを防止する適正量のハロゲンが封入されているのに対して、この変形例4で使用されている判定用回路200は一般的な白熱灯に近い構成を有しているが、封体容器242の内部空間240に腐食性気体246が封入されている点が異なっている。
【0086】
このため、フィラメント244に通電すると、フィラメント244は、所定の時間は一般的な白熱灯と同様の抵抗値挙動を示し、当該所定の時間が経過すると、腐食性気体246によってフィラメント244は焼き切れるようになっている。フィラメント244が焼き切れると、本変形例4の判定用回路200はオープン(抵抗値=無限大)状態になる。
【0087】
したがって、フィラメント244が焼き切れるまでの間に行う光源装置100の正規品判定の方法は実施例1と同じであるから、実施例1の正規品判定の手順を援用して説明を省略する。
【0088】
次に、この変形例4では、上述したヒューズ断線動作部67や逆電圧印加部80といった意図的に断線を起こしたり、ダイオード230を破損させたりする機能は必須ではない。正規品判定において、制御部60がスイッチ55をオンにして、定電流電源56から判定用回路200に定電流を供給し続けて所定の時間が経過すると、上述のようにフィラメント244が焼き切れて判定用回路200がオープン(抵抗値=無限大)状態になるからである。
【0089】
このようにフィラメント244が焼き切れた後、光源装置100の中古品判定を行うが、この中古品判定の方法も実施例1と同じであるから、上述した実施例1の中古品判定の手順を援用して説明を省略する。
【0090】
(変形例5)
上述した実施例・変形例では、判定用回路200はリフレクタ容器151内に収容されているが、判定用回路200の配設位置はこれに限定されるものではなく、例えば、リフレクタ容器151の外部側方に配設してもよいし(
図11)、リフレクタ150の外側(背面側)に配設してもよい(
図12)。
【0091】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0092】
10…露光機、12…インテグレータ、14…凹面鏡、16…照射面
50…露光装置、52…フレーム、54…点灯回路、55…スイッチ、56…定電流電源、57…判定装置、58…凹所、60…制御部、62…測定部、64…比較部、66…判定部、67…ヒューズ断線動作部、68…中古判定用制御部、70…中古判定用測定部、71…中古判定用比較部、72…中古判定部、76…中古判定用定電流電源、78…中古判定用スイッチ
80…逆電圧印加部
100…光源装置
110…放電灯、112…発光管部、114…シール部、116…内部空間、118…箔、120…電極、122…リード棒、124…水銀
150…リフレクタ、151…リフレクタ容器、152…反射面、154…開口、155…底頸部、156…シール部挿設孔
170…絶縁ベース、172…リフレクタ挿入穴、174…内側空間、176…電源ケーブル挿通穴
200…判定用回路
210…白熱灯
220…ヒューズ
230…ダイオード
240…内部空間、242…封体容器、244…フィラメント、246…腐食性気体