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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】水路側壁用嵩上壁
(51)【国際特許分類】
   E02B 5/00 20060101AFI20220914BHJP
   E03F 5/04 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
E02B5/00 Z
E03F5/04 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021091425
(22)【出願日】2021-05-31
【審査請求日】2021-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】591281459
【氏名又は名称】マックストン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148792
【弁理士】
【氏名又は名称】三田 大智
(72)【発明者】
【氏名】渡井 忍
(72)【発明者】
【氏名】山本 剛史
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-138068(JP,A)
【文献】実開平01-075144(JP,U)
【文献】実開平02-093337(JP,U)
【文献】実開昭61-002585(JP,U)
【文献】特開2004-027641(JP,A)
【文献】特開2001-172943(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 5/00
E03F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水路を構成する側壁の上端部に連結して当該側壁の嵩上げを図る嵩上壁であって、間隔を置いて配置される複数の柱部と、該各柱部間に配置される長板状の単位壁部とから成り、上記柱部は、上記側壁の上端面に設置する設置部と、該設置部の内端部から垂下し上記側壁の内面に係合する係合部と、上記設置部の外端部から水平方向且つ外向き又は垂直方向且つ下向きに連続して設けられ上記側壁の外側において固定される支持部を有し、該係合部と該支持部の協働によって支持されると共に、上記設置部の内端部に立設された第一板部と、該第一板部に対向して立設された第二板部と、該第一・第二板部を繋ぐ腹板部と、上記第二板部の外面に該第二板部と直交するように設けられた補強板部を有し、隣接する一対の上記単位壁部の長手方向の端部を上記第一・第二板部でそれぞれ挾持することを特徴とする水路側壁用嵩上壁。
【請求項2】
上記第一板部及び上記第二板部は、上記設置部から垂直に立設されたことを特徴とする請求項1記載の水路側壁用嵩上壁。
【請求項3】
上記第一板部及び上記第二板部は、上記設置部から外側又は内側に傾斜して立設されたことを特徴とする請求項1記載の水路側壁用嵩上壁。
【請求項4】
上記第一板部の上端部に第三板部を垂直に若しくは外側又は内側に傾斜して連設すると共に、上記第二板部の上端部に第四板部を垂直に若しくは外側又は内側に傾斜して連設し、隣接する一対の上記単位壁部の長手方向の端部を上記第三・第四板部でそれぞれ挾持することを特徴とする請求項2記載の水路側壁用嵩上壁。
【請求項5】
上記単位壁部の長手方向における端部の内面及び/又は外面に凸部を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の水路側壁用嵩上壁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、側溝、排水溝、集水桝、放水路又は用水路等の水路における側壁を嵩上げし、越水(オーバーフロー)の防止や、土留めを図る嵩上壁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の水路側壁用嵩上壁として下記特許文献1,2に記載の嵩上ブロックが既知である。下記特許文献1,2の嵩上ブロックは、何れも、水路側壁の起立方向に沿って垂直に立設される垂壁部と、水路側壁の上端に当接する当接部と、水路側壁の外面に沿って垂下する控壁部とを備え、当該嵩上ブロック同士を連結して嵩上壁を構築することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3117786号公報
【文献】特開2016-166484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1,2記載の嵩上ブロックによれば、嵩上対象箇所に並べて連結することにより、短時間で容易に嵩上壁を構築することができるが、必要な嵩上の高さごとに嵩上ブロックを準備しなければならない問題点、必要な嵩上の高さが変更になった場合に柔軟に対応できない問題点を有している。
【0005】
また、上記特許文献1,2記載の嵩上ブロックにあっては、垂壁部、当接部及び控壁部が一体成形されているため、水路内の予想通水量や土留対象地盤の地形に応じて、垂壁部の立設角度を変更することができない問題点をも有している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、短時間で容易に構築できる上に、水圧や土圧を受ける壁体部分の高さや立設角度の変更又は調整を容易に行うことができる、画期的な水路側壁用嵩上壁を提供する。
【0007】
要述すると、本発明に係る水路側壁用嵩上壁は、水路を構成する側壁の上端部に連結して当該側壁の嵩上げを図る嵩上壁であって、間隔を置いて配置される複数の柱部と、該各柱部間に配置される長板状の単位壁部とから成り、上記柱部は、上記側壁の上端面に設置する設置部と、該設置部の内端部から垂下し同側壁の内面に係合する係合部と、上記設置部の外端部から水平方向且つ外向き又は垂直方向且つ下向きに連続して設けられ上記側壁の外側において固定される支持部を有し、該係合部と該支持部の協働によって支持されると共に、上記設置部の内端部に立設された第一板部と、該第一板部に対向して立設された第二板部と、該第一・第二板部を繋ぐ腹板部と、上記第二板部の外面に該第二板部と直交するように設けられた補強板部を有し、隣接する一対の上記単位壁部の長手方向の端部を上記第一・第二板部でそれぞれ挾持する構造とすることにより、施工を容易にすると共に簡易構造ながらも適切な越水防止及び土留めを図ることができる。
【0008】
好ましくは、上記第一板部及び上記第二板部を上記設置部から垂直に立設する構造とし、有効に越水防止又は土留めを図ることができる。
【0009】
また、上記第一板部及び上記第二板部を上記設置部から外側に傾斜して立設する構造とし、特に水路内の通水断面積を増加して越水を効果的に防止することができる。又は上記第一板部及び上記第二板部を上記設置部から内側に傾斜して立設する構造とし、当該第一・第二壁部をオーバーハング状にして水路上に覆い被さるようにして、効果的な越水防止を図ることができる。
【0010】
また、上記第一板部の上端部に第三板部を垂直に若しくは外側又は内側に傾斜して連設すると共に、上記第二板部の上端部に第四板部を垂直に若しくは外側又は内側に傾斜して連設し、隣接する一対の上記単位壁部の長手方向の端部を上記第三・第四板部でそれぞれ挾持する構造とし、上記第一・第二板部にそれぞれ連設された上記第三・第四壁部によって、さらに確実且つ適切な越水防止と土留めを図ることができる。
【0011】
好ましくは、上記単位壁部の長手方向における端部の内面及び/又は外面に凸部を設ける構造により、上記第一・第二板部間又は上記第三・第四板部間において強固に挾持できるようにし、上記単位壁部の抜け止め及び確実な固定を図ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る水路側壁用嵩上璧によれば、簡易構造ながらも、適切に越水防止又は土留めを図ることができる。
【0013】
また、本発明に係る水路側壁用嵩上璧は、水路側壁に間隔を置いて複数の柱部を設置して、該設置された柱部間に単位壁部を配設すれば、短時間で容易に構築することができる。
【0014】
さらに、水圧や土圧を受ける壁体部分を単位壁部で構成したので、当該単位壁部の軽量化を図り施工作業や部材運搬作業を容易にすることができる。
【0015】
また、単位壁部自体に変更を加えなくても、又は、大きさ違いの単位壁部を複数用意しなくても、柱部の構成を変更するだけで、単位壁部の追加(嵩上高さの変更、調整)や単位壁部の配設角度(挟持角度)の変更、調整を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る水路側壁用嵩上壁を適用する水路を例示する説明図である。
図2】本発明に係る水路側壁用嵩上壁を水路側壁に設置した状態を示す図であり、(A)は横断面図、(B)は分解斜視図である。
図3】対象水路脇が地盤の場合の柱部の取り付けを説明する斜視図である。
図4】本発明に係る水路側壁用嵩上壁の越水防止における変形例を説明する図であり、(A)は外側に傾斜した第一・第二板部で単位壁部を挟持して配設した状態を示す横断面図、(B)は内側に傾斜した第一・第二板部で単位壁部を挟持して配設した状態を示す横断面図、(C)は垂直に設けた第一・第二板部で挟持した単位壁部の上位に、垂直に設けた第三・第四板部で挟持した単位壁部を配設した状態を示す横断面図、(D)は垂直に設けた第一・第二板部で挟持した単位壁部の上位に、内側に傾斜した第三・第四板部で挟持した単位壁部を配設した状態を示す横断面図である。
図5】本発明に係る水路側壁用嵩上壁の土留めにおける変形例を説明する図であり、(A)は垂直に設けた第一・第二板部で挟持した単位壁部を配設した状態を示す横断面図、(B)は外側に傾斜した第一・第二板部で単位壁部を挟持して配設した状態を示す横断面図、(C)は垂直に設けた第一・第二板部で挟持した単位壁部の上位に、外側に傾斜した第三・第四板部で挟持した単位壁部を配設した状態を示す横断面図である。
図6】対象水路脇がコンクリート盤の場合の柱部の取り付けを説明する斜視図である。
図7】対象水路脇がコンクリート盤の場合の設置例を示す説明図であり、(A)は垂直に設けた第一・第二板部で挟持した単位壁部を配設した状態を示す横断面図、(B)は内側に傾斜した第一・第二板部で単位壁部を挟持して配設した状態を示す横断面図、(C)は外側に傾斜した第一・第二板部で単位壁部を挟持して配設した状態を示す横断面図、(D)は垂直に設けた第一・第二板部で挟持した単位壁部の上位に、垂直に設けた第三・第四板部で挟持した単位壁部を配設した状態を示す横断面図、(E)は垂直に設けた第一・第二板部で挟持した単位壁部の上位に、内側に傾斜した第三・第四板部で挟持した単位壁部を配設した状態を示す横断面図である。
図8】単位壁部を説明する図であり、(A)は単位壁部の外面を示す図であり、(B)は側面を示す図である。
図9】単位壁部の他例を説明する図であり、(A)は単位壁部の外面を示す図であり、(B)は側面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る水路側壁用嵩上壁の最適な実施例について、図1乃至図9に基づき、説明する。
【0018】
図1は本発明に係る水路側壁用嵩上壁を適用する水路11を例示するものである。このように、例えば法面Sに沿って縦横に設けられた水路11の内、特に横方向に配設された水路11においては、法面Sの傾斜方向の下側の側壁12から越水が生じやすく、また水が集まる集水桝13においても越水が生じやすく、適切に越水防止を図ることができる嵩上壁が望まれている。なお、本発明の水路側壁用嵩上壁が適用される水路は、図1に例示した法面Sに配される水路11に限られるものではないことは当然であり、道路脇の側溝や、農業用水路等の各種水路に適用可能である。また、後述するように、水路脇の地盤形状によっては、水路内に土砂が流入するのを防ぐために土留めを図ることもできる。
【0019】
〈基本構成〉
図2に示すように、本発明に係る水路側壁用嵩上壁1(以下、単に「嵩上壁1」という。)は、水路11を構成する側壁12の上端部に連結して当該側壁12の嵩上げを図る嵩上壁であり、基本構成として、水路11の長手方向に沿って、間隔を置いて配置される複数の柱部2と、該各柱部2間に配置される長板状の単位壁部3とから成る。
【0020】
〈柱部の構成〉
柱部2は、図2図3に示すように、側壁12の上端面に設置する設置部4と、該設置部4の内端部4aから垂下し同側壁12の内面12aに係合する係合部5と、上記設置部4の外端部4bから垂直方向且つ下向きに連続する支持部6を有する。図3に示すように、支持部6はボルト14を介して水路側壁12の外面12bに固定することができ、図4図5に示すように、水路側壁12の外側が地盤Gのときには、当該地盤G内に埋設することにより、さらに強固に固定することができる。
【0021】
また、支持部6は、図6に示すように、水路側壁12の外側がコンクリート盤Cのときには、設置部4の外端部4bから水平方向且つ外向きに連続して設け、コンクリート盤Cに穿設したネジ穴にボルト14を螺合することにより、強固に固定することができる。
【0022】
よって、いずれにしても水路側壁12の内面12aに係合する係合部5と、水路側壁12の外側において強固に固定される支持部6とが協働して柱部2を支持することができ、ひいては、後述する単位壁部3を安定して支持することができる。
【0023】
また、柱部2は、上述した設置部4の内端部4aに立設された第一板部7Aと、該第一板部7Aに対向して立設された第二板部7Bと、該対向する第一・第二板部7A・7Bを繋ぐ腹板部8と、上記第二板部7Bの外面に該第二板部7Bと直交するように設けられた補強板部9を有する。これら第一・第二板部7A・7B、腹板部8及び補強板部9が協働して、第一板部7a側に加わる水圧又は第二板部7B側に加わる土圧に適切に対応することができる。なお、補強板部9は、図2(A)等に示すように、第二板部7Bの外面のみならず、支持部6の外面にも連続して設けるのが望ましい。支持部6をも補強して柱部2全体を強固に支持するためである。同様に、後述する第四板部7Dの外面にも連続して設けるのが望ましい。
【0024】
第一板部7A及び第二板部7Bは、図2(B)に示すように、隣接する一対の単位壁部3の長手方向の端部をそれぞれ挾持し、嵩上壁1全体を構築することができ、これにより、施工を容易にすることができる。
【0025】
第一・第二板部7A・7Bは、図2(A)・図5(A)・図7(A)に示すように、垂直に立設することができる他、図4(A)・図5(B)・図7(C)に示すように、外側(水路11から離れる側)に傾斜して設けることができる。特に、図4(A)・図7(C)に示す場合においては、第一・第二板部7A・7Bに挾持された単位板部3で水路11内を流れる水Wの通水断面積を増やすことができ、通水量の増加に伴う越水を効果的に防止することができる。また、図5(B)に示す場合においては、土留対象の地盤Gの形態に適切に対応することができる。
【0026】
他方、第一・第二板部7A・7Bは、図4(B)・図7(B)に示すように、内側(水路11に近づく側)に傾斜して設けることができる。これらの場合、第一・第二板部7A・7Bに挾持された単位壁部3がオーバーハング状に水路11上に張り出すため、水路11内を流れる水Wの水勢が強いときに当該水Wを跳ね返すことができ、適切に越水防止を図ることができる。
【0027】
また、本発明においては、上述した第一・第二板部7A・7Bに別の板部を連設することができる。すなわち、図4(C)・図7(D)に示すように、垂直に立設した第一板部7Aの上部に第三板部7Cを垂直に連接し、同じく垂直に立設した第二板部7Bの上部に第四板部7Dを垂直に連接することができる。このように第一・第二板部7A・7Bに第三・第四板部7C・7Dを連接することにより、単位壁部3を二段配置することができ、単位壁部3自体に変更を加えることなく、柱部2に第三・第四板部7C・7Dを追加するだけで嵩上げ高さを追加することができる。
【0028】
また、図4(D)・図7(E)に示すように、垂直に立設した第一板部7Aの上部に第三板部7Cを内側に傾斜して連接し、同じく垂直に立設した第二板部7Bの上部に第四板部7Dを内側に傾斜して連接することができる。このように構成することにより、特に第三・第四板部7C・7Dに挾持された単位壁部3がオーバーハング状に水路11上に張り出すため、水路11内を流れる水Wの水勢が強いときに当該水Wを跳ね返すことができ、適切に越水防止を図ることができる。
【0029】
また、図5(C)に示すように、垂直に立設した第一板部7Aの上部に第三板部7Cを外側に傾斜して連接し、同じく垂直に立設した第二板部7Bの上部に第四板部7Dを外側に傾斜して連接することができる。このように構成することにより、土留対象の地盤Gの形態に適切に対応することができる。
【0030】
上記説明したように、本発明に係る嵩上壁1にあっては、単位壁部3自体に変更を加えなくても、又は、大きさ違いの単位壁部3を複数用意しなくても、柱部2の構成を変更するだけで、単位壁部3の追加(嵩上高さの変更、調整)や単位壁部3の配設角度(挟持角度)の変更、調整を行うことができる。
【0031】
なお、柱部2は、単位壁部3を挾持しつつ支持することができると共に、水路側壁12に確実に係合することができれば、特に材質に限定はなく、例えば、木製、金属製、合成樹脂製とすることができるが、加工の容易性と強度の両立を考慮すれば、金属製とすることが望ましい。
【0032】
〈単位壁部の構成〉
単位壁部3は、図2(B)に示すように、長板状の単位材である。該単位壁部3は適切に越水防止又は土留めを図ることができれば、材質に限定はなく、例えば、木製、石製、合成樹脂製、ゴム製、コンクリート製、モルタル製とすることができるが、耐久性、強度及びコストを考慮して、コンクリート製又はモルタル製とすることが望ましい。
【0033】
単位壁部3をコンクリート製又はモルタル製とした場合には、図8図9に示すように、単位壁部3の外面3bに肉抜き部3cを設けて軽量化を図ると共に運搬時の持ち手部とすることができる。なお、具体的には図示しないが、単位壁部3の内面3aに肉抜き部3cを設けるか、或いは、単位壁部3の内面3a及び外面3bの双方に肉抜き部3cを設けることも実施に応じ任意である。
【0034】
また、本発明の単位壁部3においては、コンクリート内又はモルタル内に補強筋3dや補強繊維を埋設し、引張強度や曲げ強度を補完することが望ましい。
【0035】
また、図8図9に示すように、単位壁部3は、好ましくは、その長手方向の端部において、内面3aに単数又は複数の凸部3eを設ける。当該凸部3eは、図8に示すように、突起状のものを複数設けても良いし、図9に示すように、膨出状のものを設けても良い。このように単位壁部3に凸部3eを設けることにより、第一・第二板部7A・7B間又は第三・第四板部7C・7D間において確実に且つ抜け止めを図りつつ挟持されることができる。なお、具体的には図示しないが、単位壁部3の外面3bに凸部3eを設けるか、或いは、単位壁部3の内面3a及び外面3bの双方に凸部3eを設けることも実施に応じ任意である。
【0036】
以上のとおり、本発明に係る嵩上壁1は、簡易構造ながらも、適切に越水防止又は土留めを図ることができる。
【0037】
また、水路側壁12に間隔を置いて複数の柱部2を設置して、該設置された柱部2間に単位壁部3を配設すれば、短時間で容易に構築することができる。
【0038】
さらに、水圧や土圧を受ける壁体部分を単位壁部3で構成したので、当該単位壁部3の軽量化を図り施工作業や部材運搬作業を容易にすることができると共に、単位壁部3による壁体部分の高さや立設角度の変更や調整を容易に行うことができる。
【0039】
また、単位壁部3自体に変更を加えなくても、又は、大きさ違いの単位壁部3を複数用意しなくても、柱部2の構成を変更するだけで、単位壁部3の追加(嵩上高さの変更、調整)や単位壁部3の配設角度(挟持角度)の変更、調整を行うことができる。
【符号の説明】
【0040】
1…水路側壁用嵩上壁、2…柱部、3…単位壁部、3a…内面、3b…外面、3c…肉抜き部、3d…補強筋、3e…凸部、4…設置部、4a…内端部、4b…外端部、5…係合部、6…支持部、7A…第一板部、7B…第二板部、7C…第三板部、7D…第四板部、8…腹板部、9…補強板部、11…水路、12…水路側壁、12a…側壁内面、12b…側壁外面、13…集水桝、14…ボルト、S…法面、G…地盤、C…コンクリート盤、W…水。
【要約】
【課題】 短時間で容易に構築できる上に、水圧や土圧を受ける壁体部分の高さや立設角度の変更又は調整を容易に行うことができる、画期的な水路側壁用嵩上壁の提供。
【解決手段】 本発明に係る水路側壁用嵩上壁は、水路を構成する側壁の上端部に連結して当該側壁の嵩上げを図る嵩上壁であって、間隔を置いて配置される複数の柱部と、該各柱部間に配置される長板状の単位壁部とから成り、上記柱部は、上記側壁の上端面に設置する設置部と、該設置部の内端部から垂下し同側壁の内面に係合する係合部と、上記設置部の外端部から水平方向且つ外向き又は垂直方向且つ下向きに連続する支持部を有すると共に、上記設置部の内端部に立設された第一板部と、該第一板部に対向して立設された第二板部と、該第一・第二板部を繋ぐ腹板部と、上記第二板部の外面に該第二板部と直交するように設けられた補強板部を有する。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9