(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】ジャイロスコープ型制動装置、組立体及び方法
(51)【国際特許分類】
F16D 61/00 20060101AFI20220914BHJP
【FI】
F16D61/00
(21)【出願番号】P 2021107290
(22)【出願日】2021-06-29
(62)【分割の表示】P 2019500834の分割
【原出願日】2016-07-20
【審査請求日】2021-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】509103613
【氏名又は名称】エルケ・エルケ・アラスティルマラリ・ヴェ・ムヘンディスリク・エイ・エス
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100211236
【氏名又は名称】道下 浩治
(72)【発明者】
【氏名】オズターク,ムスタファ・ナジ
【審査官】土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-517753(JP,A)
【文献】国際公開第2009/022017(WO,A2)
【文献】西独国特許出願公開第03016381(DE,A1)
【文献】蘭国特許発明第01019065(NL,C)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1軸(101)周りに回転するように取り付けられている本体(2)と、
前記本体(2)を前記第1軸(101)周りに回転させるための手段(12、13、14、38、39、40、41、42、43、44)と、
を、備えている制動装置(1)であって、
前記制動装置(1)は、第2軸(102)、第3軸(103)、及び第4軸(104)を備え、前記制動装置(1)は前記本体を(2)更に前記第2軸(102)及び前記第3軸(103)周りに回転させることができるように構成されており、前記第1軸(101)は前記第2軸(102)に対して0度よりも大きいアルファ角度(α)に向き付けられ、前記第2軸(102)は前記第4軸(104)に対して0度よりも大きく90度よりも小さいベータ角度(β)に向き付けられ、前記第3軸(103)は、前記本体(2)を前記第1軸(101)周りに回転させトルクを前記本体(2)へ前記第2軸(102)周りに加えることの結果として前記本体(2)の歳差運動がその周りに発現する歳差運動軸であり、
前記制動装置(1)は、
回転及びトルクを前記本体(2)へ前記第2軸(102)周りに伝達するために前記第4軸(104)周りの制動させたい回転を前記本体(2)へ接続するための手段(16、37)、
を更に備え、
それにより前記本体(2)の前記第1軸(101)周りの前記回転及び前記本体(2)へ前記第2軸(102)周りに加えられる前記トルクが共同で前記本体(2)を更に前記第3軸(103)周りに回転させ、前記本体(2)は前記第1軸(101)と前記第2軸(102)と前記第3軸(103)周りに同時に回転し、前記本体(2)の前記第1軸(102)周りの前記回転及び前記本体(2)の前記第3軸(103)周りの前記回転が共同で前記第2軸(102)周りに発現する制動トルクを生じさせ、
前記第2軸(102)周りの制動トルクは、前記第4軸(104)周りの制動させたい回転を前記本体(2)へ接続するための前記手段(16、37)によって、前記第4軸(104)に伝達され、前記第4軸(104)の回転を制動する、
ことを特徴とする制動装置(1)。
【請求項2】
内側クレードル(4)、中間クレードル(6)、及びフレーム(10)、を更に備えている、請求項1に記載の制動装置(1)。
【請求項3】
外側クレードル(8)を更に備えており、前記本体(2)は前記第1軸(101)周りに回転するように前記内側クレードル(4)内に取り付けられ、前記内側クレードル(4)は前記第2軸(102)周りに回転するように前記中間クレードル(6)内に取り付けられ、前記中間クレードル(6)は第5軸(105)周りに回転するように前記外側クレードル(8)内に取り付けられ、前記外側クレードル(8)は第6軸(106)周りに回転するように前記フレーム(10)内に取り付けられている、請求項2に記載の制動装置(1)。
【請求項4】
前記中間クレードル(6)の前記第2軸(102)周りの回転を防止するための手段(28、29、30)を更に備えており、前記本体(2)は前記第1軸(101)周りに回転するように前記内側クレードル(4)内に取り付けられ、前記内側クレードル(4)は前記第2軸(102)周りに回転するように前記中間クレードル(6)内に取り付けられ、前記中間クレードル(6)は球面運動するように前記フレーム(10)内に取り付けられ、前記中間クレードル(6)の前記第2軸(102)周りの回転は防止される、請求項2に記載の制動装置(1)。
【請求項5】
前記中間クレードル(6)を球面運動するように前記フレーム(10)内に支持する流体ベアリング手段、を更に備えている、請求項4に記載の制動装置(1)。
【請求項6】
最内クレードル(31)を更に備えており、前記本体(2)は前記第1軸(101)周りに回転するように前記最内クレードル(31)内に取り付けられ、前記最内クレードル(31)は第7軸(107)周りに回転するように前記内側クレードル(4)内に取り付けられており、前記最内クレードル(31)の前記第7軸(107)周りの回転は前記アルファ角度(α)に変化を生じさせる、請求項2から請求項5の何れか一項に記載の制動装置(1)。
【請求項7】
前記本体(2)、前記最内クレードル(31)、前記内側クレードル(4)、前記中間クレードル(6)、及び前記外側クレードル(8)、のうちの1つ又はそれ以上を支持するために流体ベアリング手段、を更に備えている、請求項1から請求項6の何れか一項に記載の制動装置(1)。
【請求項8】
前記アルファ角度(α)を制御するための手段、を更に備えている請求項1から請求項7の何れか一項に記載の制動装置(1)。
【請求項9】
前記アルファ角度(α)を制御するための前記手段は、前記最内クレードル(31)を前記第7軸(107)周りに回転させるための手段(33)を備えている、
請求項6を引用する請求項8に記載の制動装置(1)。
【請求項10】
前記ベータ角度(β)を制御するための手段、を更に備えている、請求項1から請求項9の何れか一項に記載の制動装置(1)。
【請求項11】
前記ベータ角度(β)を制御するための前記手段は、前記ベータ角度(β)が選択値で一定し且つ前記第2軸(102)が前記第4軸(104)周りに回転することを許容されるように、前記第2軸(102)の運動を制限するための手段(22)を備えている、請求項10に記載の制動装置(1)。
【請求項12】
前記第2軸(102)の運動を制限するための前記手段(22)は、前記ベータ角度(β)を調節するために作動手段を備えている、請求項11に記載の制動装置(1)。
【請求項13】
回転及びトルクを前記本体(2)へ前記第2軸(102)周りに伝達するために前記第4軸(104)周りの制動させたい回転を前記本体(2)へ接続するための前記手段は、回転接続手段(16)を備えており、前記回転接続手段(16)は前記第4軸(104)周りに回転するように取り付けられ、前記回転接続手段(16)は前記第4軸(104)周りの前記制動させたい回転と連動され、前記回転接続手段(16)は、前記回転接続手段(16)が前記第4軸(104)周りに回転させられたときにトルクを前記本体(2)へ前記第2軸(102)周りに加えるように構造化されている、請求項1から請求項12の何れか一項に記載の制動装置(1)。
【請求項14】
前記回転接続手段(16)は、前記回転接続手段(16)と、前記回転接続手段(16)がそれを通してトルクを前記本体(2)へ加える構造と、の接触面に発現する摩擦力の影響を低減するための手段を備えている、請求項13に記載の制動装置(1)。
【請求項15】
前記摩擦力の影響を低減するための前記手段は、1つ又はそれ以上の作動器(34)であって、前記回転接続手段(16)へ取り付けられていて、前記摩擦力の前記影響を低減するために、前記回転接続手段(16)がそれを通してトルクを前記本体(2)へ加える前記構造へ、力を加えるように配列されている、作動器(34)、を備えている、請求項14に記載の制動装置(1)。
【請求項16】
前記回転接続手段(16)は、前記本体(2)の重心への合力の大きさを低減するために、前記回転接続手段(16)の2つの力印加点の間で力を分配するための手段を備えている、請求項13から請求項15の何れか一項に記載の制動装置(1)。
【請求項17】
前記回転接続手段(16)の前記2つの力印加点の間で力を分配するための前記手段は、2つのシリンダ(36)を備えており、前記シリンダ(36)は、前記回転接続手段(16)がそれを通してトルクを前記本体(2)へ加える前記構造へ、力を加えるように、前記回転接続手段(16)へ取り付けられ、前記シリンダ(36)の下部チャンバ同士が閉ループ式に相互接続されていて、前記2つのシリンダ(36)によって加えられる前記力は等しい、請求項16に記載の制動装置(1)。
【請求項18】
前記回転接続手段(16)がそれを通してトルクを本体(2)へ加える前記構造は、前記内側クレードル(4)又は前記最内クレードル(31)である、
請求項2及び6を引用する、請求項13から請求項17の何れか一項に記載の制動装置(1)。
【請求項19】
回転及びトルクを前記本体(2)へ前記第2軸(102)周りに伝達するために、前記第4軸(104)周りの制動させたい回転を前記本体(2)へ接続するための前記手段は、動力源(37)を備えており、前記動力源(37)の固定子部は前記中間クレードル(6)へ堅く連結され、前記動力源(37)の回転子部は前記内側クレードル(4)へ堅く連結され、前記動力源(37)に必要なパワーは前記制動させたい回転によって提供され、それにより、前記動力源(37)の前記固定子部の前記第2軸(102)周りの回転は防止され、前記動力源(37)はトルクを前記本体(2)へ前記第2軸(102)周りに加える、請求項2から請求項18の何れか一項に記載の制動装置(1)。
【請求項20】
前記制動させたい回転の速度の、前記本体(2)の前記第2軸(102)周りの前記回転の速度に対する、比を制御するための手段、を更に備えている、請求項1から請求項19の何れか一項に記載の制動装置(1)。
【請求項21】
前記制動させたい回転の速度の、前記本体(2)の前記第2軸(102)周りの前記回転の速度に対する、比を制御するための手段は、変速手段を備えており、前記制動させたい回転は前記変速手段の入力シャフトと連動され、回転及びトルクを前記本体(2)へ前記第2軸(102)周りに伝達するために、前記第4軸(104)周りの制動させたい回転を前記本体(2)へ接続するための、前記手段は前記変速手段の出力シャフトと連動されている、請求項20に記載の制動装置(1)。
【請求項22】
前記本体(2)を前記第1軸(101)周りに回転させるための前記手段は、電気モーター、油圧モーター、及び空気圧モーター、のうちの1つ又はそれ以上を備えている、請求項1から請求項21の何れか一項に記載の制動装置(1)。
【請求項23】
前記本体(2)は、1つ又はそれ以上のブレード(38)を備えている、請求項1から請求項22の何れか一項に記載の制動装置(1)。
【請求項24】
前記本体(2)を前記第1軸(101)周りに回転させるための前記手段は、流体を汲み上げるための手段(14)と、前記本体(2)を前記第1軸(101)周りに回転させるように流体を前記本体(2)の前記ブレード(38)へ投射するための手段(39)と、を備えている、請求項23に記載の制動装置(1)。
【請求項25】
前記本体(2)は1つ又はそれ以上の流体管(12、13)又はチャネルを備えている、請求項1から請求項24の何れか一項に記載の制動装置(1)。
【請求項26】
前記本体(2)を前記第1軸(101)周りに回転させるための前記手段は、流体を前記本体(2)の1つ又はそれ以上の流体管(12、13)又はチャネルの中へ汲み上げ、前記流体が前記管(12、13)又はチャネルのノズルから出てゆく際に、前記流体の反作用の結果として前記本体(2)が前記第1軸(101)周りに回転させられるようにするための手段(14)、を備えている、請求項25に記載の制動装置(1)。
【請求項27】
前記本体(2)を前記第1軸(101)周りに回転させるための前記手段(12、13、14、38、39、40、41、42、43、44)に必要なパワーは、前記制動させたい回転によって提供される、請求項1から請求項26の何れか一項に記載の制動装置(1)。
【請求項28】
前記本体(2)の前記第1軸(101)周りの前記回転の前記速度を制御するために、前記本体(2)を前記第1軸(101)周りに回転させるための前記手段を制御するための手段(27)、を更に備えている、請求項1から請求項27の何れか一項に記載の制動装置(1)。
【請求項29】
前記本体(2)を前記第1軸(101)周りに回転させるための前記手段は、前記本体(2)の前記第2軸(102)周りの前記回転を前記本体(2)の前記第1軸(101)周りの前記回転と連動させるための機械式連動手段(40、41、42、43、44)を備え、それにより、前記本体(2)が前記第2軸(102)周りに回転させられたときに前記本体(2)は前記第1軸(101)周りにも回転する、請求項1から請求項21の何れか一項に記載の制動装置(1)。
【請求項30】
前記機械式連動手段は、前記本体(2)の前記第1軸(101)周りの前記回転の速度を変化させるために変速手段(42)を備えている、請求項29に記載の制動装置(1)。
【請求項31】
次のパラメータ、即ち、前記本体(2)の前記第1軸(101)周りの前記回転の速度;回転及びトルクを前記本体(2)へ前記第2軸(102)周りに伝達するために前記第4軸(104)周りの制動させたい回転を前記本体(2)へ接続するための前記手段の回転の速度;前記アルファ角度(α);前記ベータ角度(β);前記制動トルクの大きさ;前記制動させたい回転の速度、のうちの1つ又はそれ以上の値を測定するための1つ又はそれ以上のセンサ、を更に備えている、請求項1から請求項30の何れか一項に記載の制動装置(1)。
【請求項32】
前記本体(2)の前記第1軸(101)周りの前記回転の速度;前記アルファ角度(α);前記ベータ角度(β);及び、前記制動させたい回転の速度の、前記本体(2)の前記第2軸(102)周りの前記回転の速度に対する、比、のうちの1つ又はそれ以上を制御する自動制御ユニット(27)を有する制御部、を更に備えている、請求項1から請求項31の何れか一項に記載の制動装置(1)。
【請求項33】
前記制動トルクの大きさを制御するための手段、を更に備えている、請求項1から請求項32の何れか一項に記載の制動装置(1)。
【請求項34】
前記制動トルクの大きさは、前記本体(2)の前記第1軸(101)周りの前記回転の速度;前記アルファ角度(α);及び、前記制動させたい回転の速度の、前記本体(2)の前記第2軸(102)周りの前記回転の速度に対する、比、のうちの1つ又はそれ以上を制御することによって制御される、請求項33に記載の制動装置(1)。
【請求項35】
前記制動トルクが必要でないときに、前記第1軸(101)と前記第4軸(104)とが平行になる又は一致する位置へ前記本体(2)を動かすための手段を更に備え、それにより前記制動装置(1)内部に発現する内力の大きさが低減される、請求項1から請求項34の何れか一項に記載の制動装置(1)。
【請求項36】
前記アルファ角度(α)は90度へ設定される、請求項1から請求項35の何れか一項に記載の制動装置(1)。
【請求項37】
前記本体(2)の前記重心は前記第4軸(104)上にある、請求項1から請求項36の何れか一項に記載の制動装置(1)。
【請求項38】
前記第1軸(101)、前記第2軸(102)、前記第3軸(103)、及び前記第4軸(104)は、前記本体(2)の前記重心で交わっている、請求項1から請求項37の何れか一項に記載の制動装置(1)。
【請求項39】
前記第1軸(101)、前記第2軸(102)、及び前記第3軸(103)の各々は他の2軸と垂直である、請求項1から請求項38の何れか一項に記載の制動装置(1)。
【請求項40】
前記制動装置(1)は、前記第4軸(104)周りの前記制動させたい回転に抗する継続的で好ましくは一定した制動トルクを提供する、請求項1から請求項39の何れか一項に記載の制動装置(1)。
【請求項41】
請求項1から請求項40の何れか一項に記載の制動装置(1)をそれぞれが備える2つ又はそれ以上の制動装置を、前記制動させたい回転を各制動装置(1)へ分配するための手段(46)と組み合わせて、回転及びトルクを前記本体(2)へ前記第2軸(102)周りに伝達するために、前記第4軸(104)周りの制動させたい回転を前記本体(2)へ接続するための前記手段(16)の各々を同じ回転速度で但し異なる個々の位相角度で回転させるようにした、組立体(45)であって、前記組立体(45)内の釣り合っていない力の大きさは低減され、それにより前記組立体(45)に発現する振動は低減され、前記組立体(45)によって提供される制動トルクの大きさは前記組立体(45)内の前記制動装置の各々によって提供される前記制動トルクの和である、組立体(45)。
【請求項42】
第1軸(101)、第2軸(102)、及び第3軸(103)を備える制動装置(1)が制動トルクを生成する方法であって、前記方法は、
自動制御ユニット(27)が、本体(2)を前記第1軸(101)周りに回転させる段階を備え、
前記制動装置は、第4軸(104)を更に備えており、前記第1軸(101)は前記第2軸(102)に対して0度よりも大きいアルファ角度(α)に向き付けられ、前記第2軸(102)は前記第4軸(104)に対して0度よりも大きく90度よりも小さいベータ角度(β)に向き付けられ、前記第3軸(103)は、前記本体(2)を前記第1軸(101)周りに回転させトルクを前記本体(2)へ前記第2軸(102)周りに加えることの結果として前記本体(2)の歳差運動がその周りに発現する歳差運動軸であり、
当該方法は、
自動制御ユニット(27)が、シャフト(17)に制動させたい回転を前記第4軸(104)へ伝達させ、前記第4軸(104)の回転及びトルクが回転接続手段(16)により前記本体(2)へ前記第2軸(102)周りに伝達される段階、
を更に備え、
それにより、前記本体(2)の前記第1軸(101)周りの前記回転及び前記本体(2)へ前記第2軸(102)周りに加えられる前記トルクが共同で前記本体(2)を更に前記第3軸(103)周りに回転させ、前記本体(2)は前記第1軸(101)と前記第2軸(102)と前記第3軸(103)周りに同時に回転し、但し、前記本体(2)の前記第2軸(102)周りの前記回転及び前記本体(2)の前記第3軸(103)周りの前記回転により、前記本体(2)が前記第4軸(104)周りを回転し、前記本体(2)の第1軸(101)周りの前記回転と前記本体(2)の前記第3軸(103)周りの前記回転とが共同で前記第2軸(102)周りに発現する制動トルクを生じさせ、
前記第2軸(102)周りの制動トルクが、回転接続手段(16)により、前記第4軸(104)に伝達され、前記第4軸(104)の回転を制動する、
ことを特徴とする、方法。
【請求項43】
前記自動制御ユニット(27)が前記制動トルクの大きさを調節する段階、を更に備えている、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記制動トルクの大きさを調節する前記段階は、前記自動制御ユニット(27)が、前記本体(2)の前記第1軸(101)周りの前記回転の速度;前記アルファ角度(α);及び、前記制動させたい回転の速度の、前記本体(2)の前記第2軸(102)周りの前記回転の速度に対する、比、のうちの1つ又はそれ以上を調節する段階を備えている、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記制動トルクが必要でないときに前記自動制御ユニット(27)が前記制動トルクを除去する段階、を更に備えている、請求項42から請求項44の何れか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記制動トルクを除去する前記段階は、前記自動制御ユニット(27)が前記第1軸(101)と前記第4軸(104)が平行になる又は一致する位置へ前記本体(2)を動かす段階を備えている、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記制動トルクを除去する前記段階は、前記自動制御ユニット(27)が前記制動させたい回転の前記本体(2)への伝達を解除する段階を備えている、請求項45又は請求項46の何れか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記制動トルクを除去する前記段階は、前記自動制御ユニット(27)が前記アルファ角度(α)及び/又は前記ベータ角度(β)を0度へ調節する段階を備えている、請求項45から請求項47の何れか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記制動トルクを除去する前記段階は、前記自動制御ユニット(27)が前記本体(2)の前記第1軸(101)周りの前記回転を停止させる段階を備えている、請求項45から請求項48の何れか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記制動装置(1)が、継続的で好ましくは一定した制動トルクを、前記第4軸(104)周りの前記制動させたい回転に抗して提供する、請求項42から請求項49の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制動装置及び方法に関しており、専用ではないが、特にジャイロスコープ型制動装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
制動システムは、車両の基本的な構成要素であって、車両の速度を落とすのに使用されたり例えば下り坂走行中の車両の望まれない加速を防いだりする構成要素である。従来の制動システムでは、ブレーキパッド又はブレーキシューが、車両の車輪へ連結されている回転ディスク又はドラムへ押圧される。これが対応するディスク又はドラムの表面に摩擦力を起こさせる。これらの摩擦力により、車両の運動エネルギーが熱エネルギーに変換され、かくして車両の総運動エネルギーが小さくなる。これら従来の制動システムは、車両では広く使用されているものの、幾つかの不都合を有している。具体的には、これらの制動システムが使用されるにつれてブレーキパッド又はブレーキシューは擦り減り、よって、それらは定期的に交換されなくてはならない。同じく、ブレーキパッド又はブレーキシューは擦り減ることで、これらは、粉塵粒子を大気中にまき散らし、汚染及び場合によっては個人の健康問題を引き起こす。また、これらのシステムでの生成される熱エネルギーで熱として放散され得ない熱エネルギーの量が、摩擦面の温度を急激に上昇させる。温度が閾値よりも上に上昇すると、制動システムの性能は大幅に落ちる。この問題はブレーキフェードとしても知られている。
【0003】
継続使用時の制動システムの構成要素の過熱は、運動エネルギーを熱エネルギーに変換するという制動システムにとっての潜在的課題である。この課題に或る程度まで対処するために、ディスクブレーキでのディスクを換気するか、ドラムブレーキでのドラムへ冷却フィンを組み入れるといった様な、幾つかの空気力学的技法が、制動システムの冷却速度を高めるために使用することができる。代替的又は追加的に、適用可能なシステムについては、発生した熱エネルギーを制動システムの構成要素から除去するために追加の冷却システムが提供されていることもある。これは、車両の冷却システムの容量を増加させることを必要とし、又は制動システムに特化された別の冷却システムを設置することを必要とする。しかしながら、どちらの手法も車両の費用の増加を生じさせ、更には車両の性能に悪影響を及ぼしかねない車両の重量の増加を生じさせる。また、これらの制動システムから得ることのできる継続的な制動パワーの量は、制動システムから除去できる熱エネルギーの量によって制限され、ひいては空気冷却容量及び/又は使用される外部冷却システムの容量によって制限される。
【0004】
生成される熱エネルギーの量を低減するために、回生制動システムが使用されていることもある。例えば、電気式回生システムでは、発電機又はモーターを使用することによって、車両の運動エネルギーの一部が電気エネルギーに変換され、得られたエネルギーがバッテリ又はキャパシタに貯蔵される。しかしながら、これらのシステムは複雑であり、それらは車両への発電機/モーター及びバッテリ/キャパシタの設置を必要とし、車両の費用と重量との両方を増加させることになる。他方、フライホイールを用いる機械式回生制動システムでは、車両の運動エネルギーがそのままフライホイールに貯蔵される。しかしながら、その様なシステムで使用されるフライホイールは大きくて重く、車両の力学に悪影響を及ぼしかねない。更に、使用される回生制動システムの型式と無関係に、貯蔵できるエネルギーの量が、エネルギー貯蔵媒体の容量、例えばバッテリ/キャパシタの容量に、及びフライホイールの最大安全回転速度に、よって制限される。したがって、それらは継続使用にとって適しているとは考えられない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
故に、本発明は、これらの問題を解決しようと努めている。
【0006】
したがって、本発明の目的は、運動エネルギーを熱エネルギーに直接変換すること無しに継続的な制動パワーの所望量を得るための改善された制動装置及び方法であって、地球温暖化や環境汚染の低減に役立つ制動装置及び方法を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、一定で継続的な制動パワーの所望量を提供するための改善された制動装置及び方法を提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、振動の少ない制動システムを作製するための改善された制動装置及び方法を提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、安価で耐久性があり安全な制動システムを作製するための改善された制動装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、本発明の第1の態様によれば、第1軸周りに回転するように取り付けられている本体と;本体を第1軸周りに回転させるための手段と;第2軸、第3軸、及び第4軸であって、制動装置は本体を更に第2軸及び第3軸周りに回転させることができるように構成されていて、第1軸は第2軸に対して0度よりも大きいアルファ角度に向き付けられ、第2軸は第4軸に対して0度よりも大きく90度よりも小さいベータ角度に向き付けられ、第3軸は、本体を第1軸周りに回転させトルクを本体へ第2軸周りに加えることの結果として本体の歳差運動がその周りに発現する歳差運動軸であり、第2軸は本体の第2軸周りの回転とは独立に第4軸周りに回転することを許容され、本体は第2軸の第4軸周りの回転とは独立に第2軸周りに回転することを許容されている、第2軸、第3軸、及び第4軸と;回転及びトルクを本体へ第2軸周りに伝達するために第4軸周りの制動させたい回転を本体へ接続するための手段と;を備え、それにより本体の第1軸周りの回転及び本体へ第2軸周りに加えられるトルクが共同で本体を更に第3軸周りに回転させ、本体は第1軸と第2軸と第3軸周りに同時に回転し、本体の第1軸周りの回転及び本体の第3軸周りの回転が共同で第2軸周りに発現する制動トルクを生じさせ;それにより第4軸周りの制動させたい回転に抗する制動トルクを得る、制動装置が提供されている。
【0011】
発明の1つの態様では、本体の第2軸周りの回転及び本体の第3軸周りの回転は、本体が第4軸周りに回転しているかのように観察され、本体の第1軸周りの回転と本体の第3軸周りの回転とが共同で第2軸周りに発現する制動トルクを生じさせ;それにより、第4軸周りの制動させたい回転に抗する制動トルクが得られる。
【0012】
制動装置は、第4軸周りの制動させたい回転に抗する、継続的で好ましくは一定した制動トルクを提供し得る。
【0013】
制動装置では、第1軸と第2軸とが交わっているならば、その場合、アルファ角度は第1軸と第2軸との間の鋭角(又は第1軸と第2軸とが垂直である場合は直角)として定義される。第1軸と第2軸とが交わっていないならば、アルファ角度は、第1軸と第2軸とを結ぶ最も短い線の方向に沿って見たときの、第1軸と第2軸との間の、鋭角又は直角として定義される。この幾何学関係を表す代わりの方法は、第1軸上の或る点を考え、この点を通り第2軸に平行である仮想線を考えることである。その場合、アルファ角度は、第1軸がこの仮想線に交わる鋭角又は直角として定義される。第1軸と第2軸が平行であるか又は一致しているならば、その場合、アルファ角度は0度である。第1軸と第2軸が垂
直であるならば、その場合、アルファ角度は90度である。したがって、アルファ角度の最小値は0度であり、アルファ角度の最大値は90度である。
【0014】
制動装置では、第2軸と第4軸とが交わっているならば、その場合、ベータ角度は、第2軸と第4軸との間の鋭角(又は第2軸と第4軸とが垂直である場合は直角)として定義される。第2軸と第4軸とが交わっていないならば、ベータ角度は、第2軸と第4軸とを結ぶ最も短い線の方向に沿って見たときの、第2軸と第4軸との間の、鋭角又は直角として定義される。この幾何学関係を表す代わりの方法は、第2軸上の或る点を考え、この点を通り第4軸に平行である仮想線を考えることである。その場合、ベータ角度は、第2軸がこの仮想線に交わる、鋭角又は直角として定義される。第2軸と第4軸とが平行であるか又は一致しているならば、その場合、ベータ角度は0度である。第2軸と第4軸とが垂直であるならば、その場合、ベータ角度は90度である。したがって、ベータ角度の最小値は0度であり、ベータ角度の最大値は90度である。
【0015】
制動装置での制動トルクを得るためには、アルファ角度は0度よりも大きくなくてはならず、ベータ角度は0度よりも大きく90度よりも小さくなくてはならない。
【0016】
制動装置は、内側クレードル、中間クレードル、及びフレームを備えていてもよい。
【0017】
制動装置では、第2軸は、本体の第2軸周りの回転とは独立に第4軸周りに回転することを許容され、本体は、第2軸の第4軸周りの回転とは独立に第2軸周りに回転することを許容される。これは、本体が初期に静止しているならば、その場合、第2軸の第4軸周りの回転が、制動装置のフレームに対しての、つまり制動装置のフレームへ付属されている基準フレームに対しての、本体の第2軸周りの回転を生じさせてはならず、また制動装置のフレームに対しての、本体の第2軸周りの回転が、第2軸の第4軸周りの回転を生じさせてはならない、ことを意味する。これは更に、本体が初期に静止しているならば、その場合、第2軸の第4軸周りの回転が本体の第4軸周りの回転を生じさせてはならず、本体の第2軸周りの回転が本体の第4軸周りの回転を生じさせてはならない、ことも意味する。
【0018】
制動装置は、次の2つの特徴、即ち、(i)本体が初期に静止しているならば、その場合、回転及びトルクを本体へ第2軸周りに伝達するために、第4軸周りの制動させたい回転を本体へ接続するための手段の回転は、本体を第2軸周りにしか回転させず、つまり、それは本体を第4軸周りに回転させることもなければ、第2軸を第4軸周りに回転させることもないこと、及び(ii)回転及びトルクを本体へ第2軸周りに伝達するために第4軸周りの制動させたい回転を本体へ接続するための手段が静止したままであったとしても、第2軸は第4軸周りに回転することを許容されること(これは制限された回転ということもあり得ることに留意)、を満たさなくてはならない。
【0019】
本体は、第3軸周りの回転の限定された自由度を有していてもよい。例えば、本体が第3軸と鋭角(90度よりも小さい角度)を成す軸x周りの回転の自由度を有しているならば(換言すると、軸xに沿ったベクトルが第3軸上に成分を有しているならば)、その場合、本体は第3軸周りの回転の限定された自由度を有しており、つまりそれは本体が第3軸周りに回転することを許容されることを意味する。
【0020】
制動装置が外側クレードルを備えていてもよく、本体は第1軸周りに回転するように内側クレードル内に取り付けられ、内側クレードルは第2軸周りに回転するように中間クレードル内に取り付けられ、中間クレードルは第5軸周りに回転するように外側クレードル内に取り付けられ、外側クレードルは第6軸周りに回転するようにフレーム内に取り付けられてもよい。
【0021】
制動装置が中間クレードルの第2軸周りの回転を防止するための手段を備えていてもよく、本体は第1軸周りに回転するように内側クレードル内に取り付けられ、内側クレードルは第2軸周りに回転するように中間クレードル内に取り付けられ、中間クレードルは球面運動するようにフレーム内に取り付けられ、中間クレードルの第2軸周りの回転は防止されてもよい。
【0022】
制動装置は、中間クレードルを球面運動するようにフレーム内に支持する流体ベアリング手段を備えていてもよい。
【0023】
制動装置が最内クレードルを備えていてもよく、本体は第1軸周りに回転するように最内クレードル内に取り付けられ、最内クレードルは第7軸周りに回転するように内側クレードル内に取り付けられ、最内クレードルの第7軸周りの回転はアルファ角度に変化を生じさせてもよい。
【0024】
制動装置は、本体、最内クレードル、内側クレードル、中間クレードル、及び外側クレードル、のうちの1つ又はそれ以上を支持するために、流体ベアリング手段を備えていてもよい。
【0025】
制動トルクの大きさは、アルファ角度を調節することによって調節することができる。他のパラメータを固定したままで、アルファ角度が0度へ設定されると、制動トルクの大きさは0となり、つまり制動トルクは存在しない。アルファ角度が増加すると、制動トルクの大きさは増加する。アルファ角度が90度へ設定された場合、制動トルクの大きさは最大である。
【0026】
制動装置はアルファ角度を制御するための手段を備えていてもよい。アルファ角度を制御するための手段は、最内クレードルを第7軸周りに回転させるための手段を備えていてもよい。
【0027】
制動装置が動作している間は、本体が、更に、ベータ角度を増加させる方向に回転し得る。この回転を防止するために、制動装置はベータ角度を制御するための手段を備えていてもよい。ベータ角度を制御するための手段は、ベータ角度が選択値で一定し且つ第2軸が第4軸周りに回転するのを許容されるように、第2軸の運動を制限するための手段を備えていてもよい。第2軸の運動を制限するための手段は、ベータ角度を調節するために作動手段を備えていてもよい。
【0028】
他のパラメータを固定したままで、ベータ角度が0度へ又は90度へ設定されると、制動トルクの大きさは0となり、つまり制動トルクは存在しない。
【0029】
回転及びトルクを本体へ第2軸周りに伝達するために第4軸周りの制動させたい回転を本体へ接続するための手段が、回転接続手段を備えてもよく、回転接続手段は第4軸周りに回転するように取り付けられ、回転接続手段は第4軸周りの制動させたい回転と連動され、回転接続手段は、回転接続手段が第4軸周りに回転させられたときにトルクを本体へ第2軸周りに加えるように構造化されていてもよい。
【0030】
回転接続手段は、回転接続手段が第4軸周りに回転させられたときにトルクを本体の支持構造へ第2軸周りに接触を通して加えるように構造化されていてもよい。換言すると、回転接続手段はトルクを本体へ第2軸周りに本体の支持構造を通して加えるように構造化され、回転接続手段はトルクを支持構造へ第2軸周りに加えるように支持構造に接触していてもよい。支持構造は、内側クレードル若しくは最内クレードルであってもよいし、又
は本体を支持する何れかの他の適した構造/クレードルであってもよい。
【0031】
回転接続手段と、回転接続手段がそれを通してトルクを本体へ加える構造と、の接触面に発現する摩擦力は、摩擦力が無かったならば、本体が取るはずの位置を本体に取らせないこともあり得る。これは制動トルクの大きさに減少を生じさせる。摩擦力の大きさが大きいなら、これらの摩擦力は回転接続手段にトルクを本体へ第2軸の代わりに第4軸周りに加えさせて、制動トルクが発現することを妨げ得る。したがって、回転接続手段は、回転接続手段と、回転接続手段がそれを通してトルクを本体へ加える構造と、の接触面に発現する摩擦力の影響を低減するための手段を備えていてもよい。摩擦力の影響を低減するための手段は、1つ又はそれ以上の作動器であって、回転接続手段へ取り付けられ、摩擦力の影響を低減するために、回転接続手段がそれを通してトルクを本体へ加える構造へ力を加えるように配列されている作動器、を備えていてもよい。
【0032】
回転接続手段は、回転接続手段がそれを通してトルクを本体へ加える構造へ、第2軸から或る距離に在る1つの点又は2つの異なる点にて、力を加えることによって、本体へ第2軸周りにトルクを加えてもよい。2つの力印加点がある場合、回転接続手段は、本体の重心への合力の大きさを低減するために回転接続手段の2つの力印加点の間で力を分配するための手段を備えていてもよい。回転接続手段の2つの力印加点の間で力を分配するための手段が2つのシリンダを備えていてもよく、シリンダは、回転接続手段がそれを通してトルクを本体へ加える構造へ、力を加えるように回転接続手段へ取り付けられ、シリンダの下部チャンバ同士が閉ループ式に相互接続されていて、2つのシリンダによって加えられる力は等しくてもよい。回転接続手段がそれを通してトルクを本体へ加える構造は、内側クレードル又は最内クレードルであってもよい。回転接続手段がそれを通してトルクを本体へ加える構造は、更に、本体の支持構造であってもよい。
【0033】
回転及びトルクを本体へ第2軸周りに伝達するために第4軸周りの制動させたい回転を本体へ接続するための手段が、動力源を備えていてもよく、動力源の固定子部は、中間クレードルへ堅く連結され、動力源の回転子部は、内側クレードルへ堅く連結されていて、動力源に必要なパワーは、制動させたい回転によって提供され、それにより動力源の固定子部の第2軸周りの回転は防止され、動力源はトルクを本体へ第2軸周りに加えていてもよい。代わりに、動力源の回転子部が、中間クレードルへ堅く連結され、動力源の固定子部が、内側クレードルへ堅く連結されていてもよい。
【0034】
制動トルクの大きさは、本体の第2軸周りの回転の速度を調節することによって調節することができる。他のパラメータを固定したままで、本体の第2軸周りの回転の速度が増加されると、制動トルクの大きさも増加する。本体の第2軸周りの回転の速度が減少されると、制動トルクの大きさも減少する。
【0035】
制動装置は、制動させたい回転の速度の、本体の第2軸周りの回転の速度に対する、比を制御するための手段を備えていてもよい。
【0036】
制動させたい回転の速度の、本体の第2軸周りの回転の速度に対する、比を制御するための手段が変速手段を備えていてもよく、制動させたい回転は変速手段の入力シャフトと連動され、回転及びトルクを本体へ第2軸周りに伝達するために、第4軸周りの制動させたい回転を本体へ接続するための手段は、変速手段の出力シャフトと連動されていてもよい。
【0037】
本体を第1軸周りに回転させるための手段は、電気モーター、油圧モーター、及び空気圧モーター、のうちの1つ又はそれ以上を備えていてもよい。
【0038】
本体は、更に、加圧流体によって第1軸周りに回転させられてもよい。この目的のため、本体は1つ又はそれ以上のブレードを備えていてもよい。本体を第1軸周りに回転させるための手段は、流体を汲み上げるための手段と、本体を第1軸周りに回転させるように流体を本体のブレードへ投射するための手段と、を備えていてもよい。代替的又は追加的に、本体は、1つ又はそれ以上の流体管又はチャネルを備えていてもよい。本体を第1軸周りに回転させるための手段は、流体を本体の1つ又はそれ以上の流体管又はチャネルの中へ汲み上げ、流体が管又はチャネルのノズルから出てゆく際に、流体の反作用の結果として本体が第1軸周りに回転させられるようにするための手段を備えていてもよい。
【0039】
本体を第1軸周りに回転させるための手段に必要なパワーは、制動させたい回転に提供されていてもよい。この目的のために、制動させたい回転と連動される発電機及び/又は流体ポンプが提供されていてもよい。代わりに、本体を第1軸周りに回転させるための手段は、本体の第2軸周りの回転を本体の第1軸周りの回転と連動させるための機械式連動手段を備えていてもよく、それにより、本体が第2軸周りに回転させられたときに、本体が第1軸周りにも回転してもよい。この場合、機械式連動手段は、本体の第1軸周りの回転の速度を変化させるために変速手段を備えていてもよい。
【0040】
制動トルクの大きさは、本体の第1軸周りの回転の速度を調節することによって調節することができる。本体の第1軸周りの回転の速度が増加されると、制動トルクの大きさも増加する。本体の第1軸周りの回転の速度が減少されると、制動トルクの大きさも減少する。
【0041】
制動装置は、本体の第1軸周りの回転の速度を制御するために、本体を第1軸周りに回転させるための手段を制御するための手段を備えていてもよい。
【0042】
制動装置は、次のパラメータ、即ち、本体の第1軸周りの回転の速度;回転及びトルクを本体へ第2軸周りに伝達するために、第4軸周りの制動させたい回転を本体へ接続するための手段の回転の速度;アルファ角度;ベータ角度;制動トルクの大きさ;制動させたい回転の速度、のうちの1つ又はそれ以上の値を測定するための、1つ又はそれ以上のセンサを備えていてもよい。
【0043】
制動装置は、本体の第1軸周りの回転の速度;アルファ角度;ベータ角度;及び、制動させたい回転の速度の、本体の第2軸周りの回転の速度に対する、比、のうちの1つ又はそれ以上を制御する自動制御ユニットを有する制御部を備えていてもよい。
【0044】
制動装置は、制動トルクの大きさを制御するための手段を備えていてもよい。制動トルクの大きさは、本体の第1軸周りの回転の速度;アルファ角度;及び、制動させたい回転の速度の、本体の第2軸周りの回転の速度に対する、比、のうちの1つ又はそれ以上を制御することによって制御されてもよい。
【0045】
本体が第1軸周りに回転している間は、制動トルクが必要でないならば、制動トルクを除去するためにアルファ角度が0度に設定されていればよい。但し、制動装置内部に発現する内力の大きさを低減するために、制動装置は、制動トルクが必要でないときに、第1軸と第4軸が平行になる又は一致する位置へ本体を動かすための手段を備えていてもよく、それにより制動装置内部に発現する内力の大きさを低減されてもよい。第1軸と第4軸が平行になる又は一致する位置へ本体を動かすための手段は、アルファ角度とベータ角度との両方を0度へ設定してもよい。
【0046】
アルファ角度は90度へ設定されてもよい。
【0047】
本体の重心は第4軸上にあってもよい。第1軸、第2軸、第3軸、及び第4軸は、本体の重心で交わっていてもよい。第1軸、第2軸、及び第3軸の各々は、他の2軸に垂直であってもよい。
【0048】
本体は、70GPaを超える弾性係数を有する材料、例えば固い合金又は鉄から作られていてもよい。本体は円柱対称であってもよい。単位質量当たりの本体の第1軸周りの慣性モーメントは(2/5)*R2以上とすることができ、ここで、Rは本体の最小境界球即ち本体を内包する最も小さい球の半径である。本体は、ハブ、ウェブ、及びリング形状のリムを備えていてもよい。
【0049】
その様な制動装置の場合、制動装置内の釣り合っていない内力から望ましくない振動が発生し得る可能性がある。この課題は、制動装置を車両のプラットホーム又はシャーシへ、適したモーター架台を使用して取り付けることによって、解決することができる。代替的に、又は追加的に、制動装置は、第4軸周りに回転するように取り付けられた1つ又はそれ以上の釣り合わせ質量を備えていてもよい。単独又は上記解決策の1つ若しくは両方と併せて、何れかで使用され得る更なるオプションは、内力を釣り合わせるように一体に取り付けられた複数のその様な装置を提供することである。
【0050】
したがって、本発明は、上記型式の1つ又はそれ以上の制動装置を、制動させたい回転を各制動装置へ分配するための手段と組み合わせて、回転及びトルクを本体へ第2軸周りに伝達するために第4軸周りの制動させたい回転を本体へ接続するための手段の各々を同じ回転速度で但し異なる個々の位相角度で回転させるようにした、組立体へと拡張することができ、組立体内の釣り合っていない力の大きさは低減され、それにより組立体に発現する振動は低減され、組立体によって提供される制動トルクの大きさは組立体内の制動装置の各々によって提供される制動トルクの和である。
【0051】
制動装置は、任意の回転を、運動エネルギーを熱エネルギーへ直接に変換すること無しに、制動するために使用することができる。制動装置は、制動プロセス中は、摩擦力の結果として放散される熱以外に、熱を放散しない。
【0052】
本発明の第2の態様によれば、第1軸、第2軸、及び第3軸を備える制動装置での制動トルクを生成する方法が提供されており、方法は、本体を第1軸、第2軸、及び第3軸周りに回転するように取り付ける段階と;本体を第1軸周りに回転させる段階と;を備え、制動装置は、第4軸を更に備えており、第1軸は第2軸に対して0度よりも大きいアルファ角度に向き付けられ、第2軸は第4軸に対して0度よりも大きく90度よりも小さいベータ角度に向き付けられ、第3軸は、本体を第1軸周りに回転させトルクを本体へ第2軸周りに加えることの結果として本体の歳差運動がその周りに発現する歳差運動軸であり、第2軸は本体の第2軸周りの回転とは独立に第4軸周りに回転することを許容され、本体は第2軸の第4軸周りの回転とは独立に第2軸周りに回転することを許容されており;方法は、回転及びトルクを本体へ第2軸周りに伝達するために、制動させたい回転を第4軸周りへ接続する段階、を備え;それにより、本体の第1軸周りの回転及び本体へ第2軸周りに加えられるトルクが共同で本体を更に第3軸周りに回転させ、本体は第1軸と第2軸と第3軸周りに同時に回転し、但し、本体の第2軸周りの回転及び本体の第3軸周りの回転は、本体が第4軸周りに回転しているかのように観察され、本体の第1軸周りの回転と本体の第3軸周りの回転が共同で第2軸周りに発現される制動トルクを生じさせ;それにより、第4軸周りの制動させたい回転に抗する制動トルクを得る。
【0053】
方法は、制動トルクの大きさを調節する段階を備えていてもよい。
【0054】
制動トルクの大きさを調節する段階は、本体の第1軸周りの回転の速度;アルファ角度
;及び、制動させたい回転の速度の、本体の第2軸周りの回転の速度に対する、比、のうちの1つ又はそれ以上を調節する段階を備えていてもよい。
【0055】
方法は、制動トルクが必要でないときに、制動トルクを除去する段階を備えていてもよい。制動トルクを除去する段階は、第1軸と第4軸とが平行になる又は一致する位置へ本体を動かす段階を備えていてもよい。制動トルクを除去する段階は、制動させたい回転を本体から接続解除する段階を備えていてもよい。制動トルクを除去する段階は、アルファ角度及び/又はベータ角度を0度へ調節する段階を備えていてもよい。制動トルクを除去する段階は、本体の第1軸周りの回転を停止させる段階を備えていてもよい。
【0056】
方法では、継続的で好ましくは一定した制動トルクが、第4軸周りの制動させたい回転に抗して提供され得る。
【0057】
主要請求項は、プレアンブルと特徴付け部とに構造化されている。この構造は、請求項の主題を理解し易くするためである。特徴のプレアンブルと特徴付け部への割り振りは、プレアンブルの全ての特徴は既知であり、特徴付け部の特徴全ては新規であること意味するものではなく、又はその逆を意味するものでもない。請求項の特徴の真価は、それらがプレアンブルにあるか特徴付け部にあるかには無関係である。
【0058】
特許請求の範囲の中の参照符号の目的は、特許請求の範囲を全ての人が理解し易いようにするためである。符号は特許請求の範囲を限定するものではなく、符号は明快さに影響を及ぼし、符号が無かった場合に考えられるよりも簡潔に特許請求の範囲を表現できるようにし得る。
【0059】
発明のこれらの更なる特徴、態様、及び利点は、以下の、本稿の好適な例示としての実施形態の詳細な説明を添付図面と関連付けて閲読することによって、より正当に評価されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図1】本発明の第1の実施形態による制動装置の概略図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態による制動装置の部分断面概略図である。
【
図3】第1軸、第2軸、第3軸、及び第4軸、第2軸及び第4軸を内包する平面の法線、アルファ角度、ベータ角度、及びシータ角度、の一例としての向き付けを示している図である。
【
図4】本体を第1軸周りに回転させるための手段の或る実施形態による、一例としての、本体の回転シャフト上の管の配置を示している図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態による、中間クレードルの第2軸周りの回転を防止するための手段の或る実施形態を示している図である。
【
図6】本発明の第3の実施形態による、最内クレードルの或る実施形態及び最内クレードルを回転させるための手段の或る実施形態を示している図である。
【
図7】摩擦力の影響を低減するための手段の或る実施形態及び回転接続手段の2つの力印加点の間で力を分配するための手段の或る実施形態を示している図である。
【
図9】回転接続手段の或る実施形態を示している図である。
【
図10】回転及びトルクを本体の第2軸周りに伝達するために、第4軸周りの制動させたい回転を、本体へ接続するための手段の或る実施形態を示している図である。
【
図11】本体を第1軸周りに回転させるための手段の或る実施形態による、一例としての、ブレード及びノズルの配置を示している図である。
【
図12】本体を第1軸周りに回転させるための手段の或る実施形態を示している図である。
【
図13】制動装置の組立体の或る実施形態を示している図である。
【
図14】制動装置の組立体の或る実施形態での或る特定の時点における本体の相対的向き付けを示している図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
本発明は、以下に説明されている本稿の好適な例示としての実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変えること無く適切な修正がなされ得る。
【0062】
図1及び
図2を参照して、発明の第1の好適な実施形態による制動装置1は、回転シャフト3と共に第1軸101周りに回転するように、回転シャフト3上に同軸に取り付けられている、中実円筒形ホイールの形態をした、本体2を備えている。回転シャフト3は、内側ベアリング5によって内側クレードル4内に取り付けられている。内側クレードル4は、第2軸102周りに回転するように、中間ベアリング7によって中間クレードル6内に取り付けられている。中間クレードル6は、第5軸105周りに回転するように、外側ベアリング9によって外側クレードル8内に取り付けられており、外側クレードル8は、第6軸106周りに回転するように、フレームベアリング11によってフレーム10内に取り付けられている。制動装置1内のベアリングの型式は、流体ベアリング型式であってもよい。流体は、液体及び/又はガス状流体を備えていてもよい。
【0063】
制動装置1は、第4軸104周りの制動させたい回転を制動するために使用される。第4軸104は、何れの所望の向き付けにあってもよい。第2軸102は、第4軸104に対してベータ角度βに向き付けられている。第1軸101は、第2軸102に対してアルファ角度αに向け付けられている。第6軸106は、第4軸104に実質的に垂直であり、第5軸105は、第6軸106に実質的に垂直である。制動トルクを得るためには、アルファ角度αは0度よりも大きい値へ設定されなくてはならず、ベータ角度βは0度よりも大きく90度よりも小さい値へ設定されなくてはならない。第3軸103は、本体2を第1軸101周りに回転させトルクを本体2へ第2軸102周りに加えることの結果として、本体2の歳差運動がその周りに発現する歳差運動軸として定義される。換言すると、本体2が第1軸101周りに回転させられている間に、トルクが本体2へ第2軸102周りに加えられれば、本体2は第3軸103周りに歳差運動をし始め、即ち第1軸101が第3軸103周りに回転し始める。第3軸103は、第1軸101と第2軸102とのどちらにも垂直である。第1軸101、第2軸102、第3軸103、及び第4軸104は、本体2の重心にて実質的に交わっている。それらの軸の一例としての向き付けを
図4に見ることができる。
【0064】
ベータ角度βが0度か又は90度であるときには、制動トルクが存在しないので、0度又は90度に近いベータ角度βの値は、制動トルクの大きさに減少を生じさせ、故にこれらの値は好ましくないことがある。
【0065】
本体2の強度と本体2の密度分布は、制動トルクの大きさに影響し得る。本体2の形態は、中実円筒形ホイールとは異なっていてもよい。本体2は、ハブ、ウェブ、及びリング形状のリムを備えていてもよい。本体2の形態は、単位質量当たりの本体2の第1軸101周りの慣性モーメントが(2/5)*R2以上となるような形態とすることができ、ここで、Rは本体2の最小境界球の半径である。最小境界球は、本体2を内包する最小球として定義される。本体2は、更に、70GPaを超える弾性係数を有する材料から作られていてもよい。第1軸101は、本体2に対して、本体2の第1軸101周りの慣性モーメントが実質的に最大化されるように、向き付けられていてもよい。
【0066】
本体2は、加圧流体によって第1軸101周りに回転させられる。この目的のため、本体2は、回転シャフト3の中心から半径方向外方に方向決めされて回転シャフト3上に取
り付けられた1つ又はそれ以上の流体管12を備えている。これに加えて、制動装置1は、流体ポンプ14と、回転シャフト3上に取り付けられた管12へ加圧流体を搬送するための手段(図示せず)と、を備えている。回転シャフト3内部には流体チャネルが設けられている。このチャネルに進入する流体は、
図4に見ることができる様に、軸方向に配列された矢印によって示されている。加圧流体を管12へ搬送するための手段(図示せず)は、管、チューブ、ホース、チャネル、及び回転継手、のうちの1つ又はそれ以上を備えていてもよい。流体ポンプ14に必要なパワーは、外部電源によって提供されるか、又は制動させたい回転によって提供されてもよい。管12のノズルは、本体2を第1軸101周りに回転させるために、加圧流体がノズルから出てゆく際に流体の反作用がトルクを本体2へ加えるように向き付けられている。本体2へ第1軸101周りに加えられるトルクの大きさを増加させるためには、ノズルが本体2に対し接線方向に向き付けられているのが好適である。本体2へ第1軸101周りに加えられるトルクの大きさは、流体の流量を制御することによって制御することができる。
【0067】
本体2は、トルクを本体2へ第1軸101周りに逆方向に加えるようにノズルが向き付けられている流体管13の別の組を備えていてもよい。この場合、管13のこの組へ流体を搬送することが、本体2の第1軸101周りの減速を生じさせる。流体を管12の第1の組と管13の第2の組との間に交互に搬送するために、弁が提供されていてもよい。管12の第1の組と管13の第2の組との一例としての配置を
図4に見ることができる。
図4の矢印は、この特定の実施例についての流体の流れ方向を示している。管の代わりに、同様に形成されたチャネルが本体2内部に提供されていてもよい。
【0068】
例えば、
図1、
図2、及び
図5を参照すると、制動装置1は、回転及びトルクを本体2へ第2軸102周りに伝達するために、第4軸104周りの制動させたい回転を本体2へ接続するのに使用される回転接続手段16を、備えている。回転接続手段16は、第4軸104周りに回転するように回転接続手段ベアリング18によって取り付けられているシャフト17へ堅く連結されている。第4軸104に沿った回転接続手段16のシャフト17は、第4軸104周りの制動させたい回転と連動される。回転接続手段16は、リングの形態をしている。回転接続手段16上には、第4軸104に対して対称の2つのスロット20がある。内側クレードル4は、第3軸103に沿って向き付けられている固体球の形態をした2つのピン21を備えている。これら2つのピン21の各々は、球面運動するように滑動部19によって支持されている。各滑動部19は、回転接続手段16側のスロット20の1つの中で滑動するように配列されている。この配列は、内側クレードル4が回転接続手段16に対して第3軸103周りに回転することを許容する。スロット20の向き付けは、内側クレードル4が回転接続手段16に対して制限された方式で第8軸108周りに回転することを許容されるように確定されている。第8軸108は、第3軸103と第4軸104の両方に垂直で本体2の重心を通る軸として定義される。スロット20の寸法及び場所もまた、回転接続手段16が静止したままであっても、第2軸102の第4軸104周りの充分な回転が許容されるように確定されている。滑動部19と対応するスロット20との間の摩擦力、及びピン21と対応する滑動部19との間の摩擦力、の大きさは可能な限り小さい方が好適である。この配列の場合、本体2が初期に静止していれば、回転接続手段16の回転は本体2を第2軸102周りに回転させる。
【0069】
製造公差のために、回転接続手段16によって内側クレードル4へこれら2つのピン21を通して加えられる力の大きさには差があることもある。この差を小さくするために、ピン21を内側クレードル4へ弾性的に取り付けてピン21の内側クレードル4に対する僅かな動きが許容されるようにしてもよい。これは、これら2つのピン21を通して加えられる力のより均衡のとれた分散を提供し、ひいては本体2の中心への合力を低減する。
【0070】
制動装置1は、更に、制動トルクが必要でないときに、制動させたい回転を回転接続手
段16から解放するためのクラッチを備えていてもよい。追加的に、制動させたい回転の速度の、回転接続手段16の第4軸104周りの回転の速度に対する、比を変化させるために、変速機が提供されていてもよい。この場合、変速機の入力シャフトは制動させたい回転と連動され、出力シャフトは回転接続手段16のシャフト17と連動される。回転接続手段16は、回転及びトルクを本体2へ第2軸102周りに伝達するために、第4軸104周りの制動させたい回転を本体2へ接続するので、変速機は、更に、制動させたい回転の速度を一定させながら、本体2の第2軸102周りの回転の速度を変化させることを許容する。
【0071】
例えば、
図1、
図2、及び
図12を参照すると、制動装置1は、更に、ベータ角度βを制御するための手段を備えている。ベータ角度βを制御するための手段は、アーム22を備えており、そのアーム22を制限アーム22と呼ぶことにする。制限アーム22は2つのロッドを備えていて、それらロッドは、第1ロッド23が沿うように向き付けられている軸と第2ロッド24が沿うように向き付けられている軸との間の角度が、ベータ角度βにとっての所望値になるように、堅く互いに連結されている。制限アーム22は、第1ロッド23が第4軸104に沿って位置し第4軸104周りに回転するようフレーム10の第1制限アームベアリング25によって支持されるように、そしてまた第2ロッド24が第2軸102に沿って位置し第2軸102周りに回転するよう内側クレードル4の第2制限アームベアリング26によって支持されるように、制動装置1へ取り付けられている。この配列は、第2軸102が第4軸104の周りに回転することを許容しながらも、ベータ角度βを一定して選択値に維持するために第2軸102の運動が制限されることを確約する。
【0072】
ベータ角度βを制御するための手段は、ベータ角度βを調節するために、更に作動器を備えていてもよい。この場合、制限アーム22が油圧式シリンダを備え、シリンダのバレルが第1ロッド23へ関節式に連結されシリンダのピストンロッドが第2ロッド24へ関節式に連結されるようにしてもよい。この配列は、ピストンロッドのストロークの長さを調節することによってベータ角度βを制御することを可能にさせる。
【0073】
制動装置1は、本体2の第1軸101周りの回転の速度、回転接続手段16の回転の速度、ベータ角度β、制動させたい回転の速度、の値を測定するためのセンサを備えていることが望ましい。
【0074】
制動装置1は、異なる作動条件を提供するために使用される自動制御ユニット27(例えば
図1及び
図2に確認できる)を備えている。適用分野にも依るが、自動制御ユニット27は、制動装置1の様々なセンサからの異なる入力信号を入手し、本体2の第1軸101周りの回転の速度、制動トルクの大きさ、ベータ角度β、及び制動させたい回転の速度の、本体2の第2軸102周りの回転の速度に対する、比の様な、装置のパラメータを設定する。自動制御ユニット27は、更に、制動させたい回転の速度を実質的に一定して所望値に維持するように(例えば、下り坂を走行中の車両の速度を実質的に一定して所望値に維持するために)制動トルクの大きさを制御してもよい。
【0075】
制動トルクの大きさを制御するために、自動制御ユニット27は、本体2の第1軸101周りの回転の速度及び/又は本体2の第2軸102周りの回転の速度を制御する。本体2の第2軸102周りの回転の速度は、制動させたい回転の速度の、回転接続手段16の第4軸104周りの回転の速度に対する、比を変えることによって、即ち変速機の速度比を変えることによって、制御されてもよい。
【0076】
自動制御ユニット27は、更に、制動トルクが必要でないときは、制動させたい回転への制動トルクを除去するように制動装置1を制御してもよい。制動トルクは、(i)本体
2の第1軸101周りの回転を停止させること、(ii)ベータ角度βを0度又は90度へ設定すること、(iii)制動させたい回転を回転接続手段16から解放すること、のうちの少なくとも1つを用いて除去することができる。但し、内力によって引き起こされる振動及び歪が制動装置1に発現するかもしれないので、ベータ角度βを0度又は90度に設定することによって、制動トルクが完全に除去されるとは限らない。
【0077】
制動装置1の動作を説明する前に、更なる角度定義を紹介しておく。第2軸102及び第4軸104を内包する平面の法線は、この平面に直交し本体2の重心を通る線として定義される。シータ角度θは、第1軸101と、第2軸102及び第4軸104軸を内包する平面の法線と、の間の鋭角(又は直角もあり得る)として定義される。
【0078】
制動装置1の動作では、本体2は、最初に、流体ポンプ14から得られる加圧流体を本体2の回転シャフト上の管12へ搬送することによって、第1軸101周りに回転が引き起こされる。制動させたい回転が回転接続手段16と連動されると、回転接続手段16は、回転及びトルクを本体2へ第2軸102周りに伝達するために、制動させたい回転を本体2へ接続する。かくして、回転接続手段16を通して、トルクが本体2へ第2軸102周りに加えられて、本体2を第2軸102周りに回転させる。最初は、本体2へ第2軸102周りに加えられるトルクは、本体2に第2軸102周りに回転を生じさせるので、シータ角度θは、まだ90度よりも小さくなければ90度よりも小さくなる。換言すると、第1軸101はもはや第2軸102及び第4軸104を内包する平面内に位置していない。これは、本体2が第3軸103周りの回転の限定された自由度を有することを可能にするので、本体2は第3軸103周りに回転することができる。(i)本体2の第1軸101周りの回転及び(ii)本体2へ第2軸102周りに加えられるトルク、の結果として、本体2は第3軸103周りに回転し始める。文献では、この回転は歳差運動として知られている。かくして、本体2は、第1軸101、第2軸102、及び第3軸103周りに同時に回転する。但し、本体2の第2軸102周りの回転及び本体2の第3軸103周りの回転は、本体2が第4軸104周りに回転しているかのように観察される。換言すると、本体2は、第4軸104軸周りに回転させられているのではなく、つまり、観察される本体2の第4軸104周りの回転は、実際には、本体2の第2軸102と第3軸103との両軸周りの回転の結果である。本体2の第1軸101周りの回転と本体2の第3軸103周りの回転とは、共同で第2軸102周りに発現する制動トルクを生じさせる。第2軸102周りの制動トルクは、回転接続手段16によって、制動させたい第4軸104周りの回転へ差し戻し伝達される。制動装置1の動作中は、シータ角度θは、制動装置1のパラメータが一定に維持される限り一定して90度よりも小さい値に留まる。シータ角度θの値は、制動装置1のパラメータに依存する。したがって、制動装置1は、第4軸104周りの制動させたい回転に抗する継続的な制動トルクを提供する。
【0079】
図5を参照して、第2の好適な実施形態では、外側クレードル8は使用されておらず、中間クレードル6が、球面運動するように、流体ベアリングによってフレーム10内に取り付けられている。但し、回転接続手段16が適正に機能するためには、第2軸102の第4軸104周りの回転を許容しながらも、中間クレードル6の第2軸102周りの回転が防止されなくてはならない。これは、例えば、中間クレードル6へ付属された案内ピン28と、一端をフレーム10へ関節式に取り付けられ他端を中間クレードル6の案内ピン28へ関節式に取り付けられた案内アーム30と、を備える案内機構を提供することにより実現できる。案内アーム30を案内ピン28へ取り付けるために、直線状の案内スロット29がフレーム10に設けられている。案内ピン28はこの案内スロット29の中に位置付けられている。案内アーム30は、起こり得る振動を緩衝するために幾分弾性のある材料を備えていることが望ましい。案内ピン28、案内アーム30、及び案内スロット29の形態及び場所は、第2軸102の第4軸104周りの回転を許容しながら中間クレードル6の第2軸102周りの回転が防止される限り、
図5に示されているものとは異なっ
ていてもよい。
図5は、この実施形態に特有の部分を例示するために提供されていることに留意されたい。
【0080】
案内アーム30を使用する代わりに、案内ピン28の運動を案内スロット29だけを用いて拘束させることもできる。この場合、案内ピン28は、球面運動するように滑動部によって回転を支持されることができる。滑動部は、案内スロット29の中で滑動するように配列されていてもよい。滑動部とスロット29との間の摩擦力の大きさ及び案内ピン28と滑動部との間の摩擦力の大きさは、可能な限り小さいことが望ましい。
【0081】
なお留意すべきこととして、中間クレードル6の第2軸102周りの回転に抗する摩擦力が、第2軸102の第4軸104周りの回転に抗する摩擦力よりも高いことが保証されているなら、上述の案内機構は必要ない。この場合、中間クレードル6の第2軸102周りの回転は、摩擦力によって防止される。但し、これが信頼できないなら、上述の案内機構を使用するのが好適である。
【0082】
第3の好適な実施形態では、
図6に示されている様に、最内クレードル31が提供されている。本体2の回転シャフト3を先の実施形態の様に、内側ベアリング5によって内側クレードル4内に取り付ける代わりに、この実施形態では、本体2の回転シャフト3は、第1軸101周りに回転するように、最内ベアリング32によって最内クレードル31内に取り付けられている。最内クレードル31は、第7軸107周りに回転するように、例えばトラックローラーガイドシステム又は流体ベアリングによって、内側クレードル4内に取り付けられている。第7軸107は、最内クレードル31の第7軸107周りの回転がアルファ角度αに変化を生じさせるような軸である。但し、第7軸107は第3軸103と同じであることが望ましい。制動装置1は、更に、最内クレードル31を内側クレードル4内で第7軸107周りに回転させるための作動器33を備えている。作動器33は、例えば、モーター又は油圧シリンダ若しくは空気圧シリンダとすることができ得る。アルファ角度αは、作動器33を制御することによって調節することができる。したがって、この実施形態では、制動トルクの大きさは、アルファ角度αを調節することによって調節することができる。また、ベータ角度βを制御するための手段と併用して、制動トルクが必要でないときには、第1軸101と第4軸104とが平行か又は一致する位置へ本体2を動かすことが可能である。これを実現するために、自動制御ユニット27は、制動トルクが必要ないときには、アルファ角度αとベータ角度βとの両方を0度に設定して、制動装置1内部に発現する内力の大きさに減少を生じさせることができる。
図6はこの実施形態に特有の部分を例示するために提供されていることに留意されたい。
【0083】
図7を参照すると、回転接続手段16と、回転接続手段16がそれを通してトルクを本体2へ加える構造と、の接触面に発現する摩擦力の影響を低減するための手段の好適な実施形態は、第4軸104に対して対称的に取り付けられている2つの同一構造を備えている。各構造は、シリンダ34とハウジング35とを備えており、シリンダ34のバレルは回転接続手段16へ関節式に取り付けられ、シリンダ34のピストンロッドはハウジング35へ関節式に取り付けられている。シリンダ34は、油圧式又は空気圧式とすることができる。シリンダ34の代わりに、別の種類の作動器が使用されてもよい。ハウジング35の各々は回転接続手段16のスロット20の1つの中で滑動する構造であり、更に、内側クレードル4の球面ピン21の1つを球面運動するように支持している。この配列では、一方のシリンダ34を伸展させ他方のシリンダ34を収縮させることが、内側クレードル4を第8軸108周りに回転を生じさせる。内側クレードル4の第8軸108周りの回転がシータ角度θに変化を生じさせる。かくして、シリンダ34のストローク長さを制御することによって、シータ角度θを調節することができる。
【0084】
制動装置1の動作中、制動装置1のパラメータが一定に維持される限り、シータ角度θ
は一定して90度未満の値に留まる。内側クレードル4(又は、特にこの特定の実施形態ではハウジング35)のピン21へ接続されている滑動部19と、回転接続手段16の対応するスロット20と、の間の摩擦力が、本体2に、より小さいシータ角度θ値を有する位置を取らせないようにしてしまうことがある。これは、制動トルクの大きさに減少を生じ得る。摩擦力のこの影響を防止又は低減するために、内側クレードル4を第8軸108周りに回転させて、本体2を先の値よりも小さい所望のシータ角度θ値を有する位置へ至らせるようにすることができる。内側クレードル4の第8軸108周りのシータ角度θを減少させる方向への回転が、妨げられてはならない、ということに留意されたい。但し、一方で、シリンダ34は、所望のシータ角度θ値にて、内側クレードル4の第8軸108周りのシータ角度θを増加させる方向への回転を防止するべく制御されてもよい。
【0085】
代替的には、シリンダ34を使用する代わりに、回転接続手段16のスロット20の寸法及び場所を、内側クレードル4の第8軸108周りのシータ角度θを増加させる方向への回転が、所望のシータ角度θ値にて、止められるように確定してもよい。これは、回転接続手段16に設置された機械式当接部によって、内側クレードル4のピン21へ接続されている滑動部19のうち少なくとも一方の、回転接続手段16の対応するスロット20内での運動を拘束することによって実現させることもできる。より小さいシータ角度θ値は、制動トルクの大きさの増加及び制動装置1に発現する振動量に減少をもたらすことがわかる。
【0086】
図7及び
図8を参照して、本体2の重心への合力を低減するために回転接続手段16の2つの力印加点の間で力を分配するための手段の或る好適な実施形態は、2つの同一のシリンダ36を備えている。シリンダ36のバレルがハウジング35の内表面へ堅く取り付けられ、望ましくはピン21が球面運動のために支持されるように球状表面を有するシリンダ36のピストンロッドが内側クレードル4の球面ピン21と接触するようにして、各シリンダ36は、ハウジング35の1つへ取り付けられている。2つのシリンダ36の下部チャンバ同士が閉ループ式に相互接続されていて、2つのシリンダ36によって加えられる力は等しい。この機構は、確実に、回転接続手段16によって内側クレードル4の2つのピン21へ加えられる力の大きさが実質的に等しくなるようにする。これは、本体2の重心への合力の大きさに減少をもたらす。
【0087】
図9を参照して、回転接続手段16の別の好適な実施形態では、回転接続手段16の2つのスロット20の向き付けは、第9軸109周りにガンマ角度γだけ回転させられている。第9軸109は、第4軸104と第8軸108との両方に垂直で、本体2の重心を通る軸として定義される。したがって、この配列では、内側クレードル4は、回転接続手段16に対して第8軸108の代わりに第11軸111周りに制限されたやり方で回転することを許容される。第11軸111は、第8軸108軸を第9軸109周りにガンマ角度γだけ回転させることによって形成される軸である。スロット20の向き付けの回転の方向は、回転接続手段16が更にシータ角度θに減少を生じさせるように確定されることが望ましい。この効果の大きさは、ガンマ角度γの値を変えることによって変化させることができる。
【0088】
図10を参照して、回転及びトルクを本体2へ第2軸102周りに伝達するために第4軸104周りの制動させたい回転を本体2へ接続するための手段の別の好適な実施形態は、動力源37を備えている。動力源37の固定子部は中間クレードル6へ堅く連結され、動力源37の回転子部は内側クレードル4へ堅く連結されている。この配列では、動力源37の固定子部の第2軸102周りの回転は防止される。かくして、作動されると、動力源37は、トルクを本体2へ第2軸102周りに内側クレードル4を通して加える。動力源37は、例えば、電気モーター、油圧モーター、又は空気圧モーターであってもよい。動力源37に必要なパワーは、制動させたい回転によって提供される。この目的のために
、制動させたい回転と連動される発電機又は流体ポンプが提供されている。発電機又は流体ポンプから得られるパワーは、電気ワイヤ又はホース、チューブ、及び管の様な流体搬送手段と、第4軸104周りに回転するようにフレーム10内に取り付けられている回転継手と、によって、動力源37へ移送することができる。
【0089】
図11を参照して、本体2を第1軸101周りに回転させるための手段の別の好適な実施形態では、制動装置1は、ブレード38の組を有する本体2と、内側クレードル4へ付属されている一組の2つのノズル39と、流体ポンプ14と、内側クレードル4へ付属されているノズルへ加圧流体を搬送するための手段(図示せず)と、を備えている。2つのノズル39の向き付け及びブレード38の形態は、加圧流体が本体2のブレード38へ投射されたときに、流体がトルクを本体2へ第1軸101周りに加えさせて本体2を第1軸101周りに加速させるように確定されている。本体2へ第1軸101周りに加えられるトルクの大きさは、流体の流量を制御することによって、制御することができる。また、トルクを本体2へ第1軸101周りに逆方向に加えるために、即ち本体2を第1軸101周りに減速させるために、ノズルの第2の組(
図11に図示せず)が提供されていてもよい。流体をノズルの第1の組とノズルの第2の組との間に交互に搬送するために弁が提供されていてもよい。
【0090】
図12を参照して、本体2を第1軸101周りに回転させるための手段の別の好適な実施形態は、固定された外側歯車40と、内側歯車41と、変速機42と、第1傘歯車43と、第2傘歯車44と、を備えている。固定された外側歯車40は、中間クレードル6へ堅く連結され、内側歯車41と噛み合っている。内側歯車41は、変速機42の入力シャフトと連動されている。第1傘歯車43は、変速機42の出力シャフトと連動されている。第2傘歯車44は、本体2の回転シャフト3と連動されていて、更に第1傘歯車43と噛み合っている。この機構は、本体2の第2軸102周りの回転を、本体2の第1軸101周りの回転へ、連動するので、本体2が第2軸102周りに回転させられると、本体2は第1軸101周りにも回転する。変速機42は、本体2の第2軸102周りの回転の速度の、本体2の第1軸101周りの回転の速度に対する、比を変えるのに使用されている。変速機42は、固定速度比を有していてもよいし、又は可変速度比を有していてもよい。変速機42の速度比は、本体2の第1軸101周りの回転の速度を変えるために、自動制御ユニット27によって制御されてもよい。
【0091】
本体2を第1軸101周りに回転させるための手段の別の好適な実施形態では、本体2を第1軸101周りに回転させるために、動力源が提供されている。動力源は、例えば、電気モーター、油圧モーター、又は空気圧モーターであってもよい。動力源に必要なパワーは、外部電源によって提供されてもよいし、又は制動させたい回転により提供されてもよい。
【0092】
第4の代わりの実施形態では、第1軸、第2軸、第3軸、又は第4軸のうちの少なくとも1つは、本体2の重心を通っていない。
【0093】
図13を参照すると、制動装置1の組立体45の或る実施形態が提供されている。組立体45は、2x2アレイに配列された4つの同一の制動装置1を備えている。制動装置1のフレーム10同士は、制動装置1の第4軸104が互いに実質的に平行になるように堅く一体に連結されている。組立体45は、第10軸110周りの回転を各制動装置1へ分配するための手段46を更に備えており、回転を分配するための手段46のシャフト47は、各制動装置1の回転接続手段16を同じ回転速度で、但し異なる個々の位相角度で回転させるために各制動装置1の回転接続手段16のシャフト17と連動されている。第10軸110は、制動装置1の第4軸104に実質的に平行である何れかの軸とすることができる。制動させたい回転は、回転を分配するための手段46のシャフト47へ連動され
る。回転を分配するための手段46は、1つ又はそれ以上のチェーン-スプロケット機構、ベルト-プーリ機構、又は歯車機構を備えていてもよい。この実施形態の位相角度は、内在合成トルクの大きさを低減するために、等間隔である。例えば、上部左側の制動装置1の位相角度が0度であると仮定すると、下部左側の制動装置の位相角度は90度、下部右側の制動装置の位相角度は180度、上部右側の制動装置の位相角度は270度、となる。或る特定の時点における制動装置1の本体2の相対的向き付けが
図14に示されている。回転を分配するための手段46は、制動装置1の本体2の相対的向き付けを持続させるために、確実に、制動装置1の回転接続手段16の回転が同期されている。この配列は、組立体45に発現する振動を低減する。組立体45によって提供される制動トルクの大きさは、組立体45内の制動装置1の各々によって提供される制動トルクの和である。
【符号の説明】
【0094】
1 制動装置
2 本体
3 回転シャフト
4 内側クレードル
5 内側ベアリング
6 中間クレードル
7 中間ベアリング
8 外側クレードル
9 外側ベアリング
10 フレーム
11 フレームベアリング
12 流体管の第1の組
13 流体管の第2の組
14 流体ポンプ
16 回転接続手段
17 回転接続手段のシャフト
18 回転接続手段ベアリング
19 滑動部
20 回転接続手段のスロット
21 球面ピン
22 制限アーム
23 制限アームの第1ロッド
24 制限アームの第2ロッド
25 第1制限アームベアリング
26 第2制限アームベアリング
27 自動制御ユニット
28 案内ピン
29 案内スロット
30 案内アーム
31 最内クレードル
32 最内ベアリング
33 最内クレードルを回転させるための作動器
34 摩擦力の影響を低減するための手段のシリンダ
35 ハウジング
36 力を分配するための手段のシリンダ
37 動力源
38 本体のブレード
39 ノズル
40 外側歯車
41 内側歯車
42 変速機
43 第1傘歯車
44 第2傘歯車
45 制動装置の組立体
46 回転を分配するための手段
47 回転を分配するための手段のシャフト
101 第1軸
102 第2軸
103 第3軸
104 第4軸
105 第5軸
106 第6軸
107 第7軸
108 第8軸
109 第9軸
110 第10軸
111 第11軸
α アルファ角度
β ベータ角度
γ ガンマ角度
θ シータ角度
N 第2軸及び第4軸を内包する平面の法線