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特許7141155職務認知機能測定システムおよび職務認知機能測定アプリケーションプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】職務認知機能測定システムおよび職務認知機能測定アプリケーションプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20120101AFI20220914BHJP
   G16H 50/30 20180101ALI20220914BHJP
【FI】
G06Q10/06
G16H50/30
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021557263
(86)(22)【出願日】2021-06-04
(86)【国際出願番号】 JP2021021413
【審査請求日】2021-09-24
(31)【優先権主張番号】P 2021089638
(32)【優先日】2021-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516009210
【氏名又は名称】株式会社トータルブレインケア
(74)【代理人】
【識別番号】100134669
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 道彰
(72)【発明者】
【氏名】河越 眞介
【審査官】樋口 龍弥
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-512202(JP,A)
【文献】特表2017-533804(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G16H 50/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
職務上の複数の課題が設定されたタスクを被検組織の従事者に提供し、前記従事者の職務上の認知機能を総体的に測定することによって、前記従事者個人および前記被検組織の組織単位または職務単位の職務認知機能を測定する認知機能測定システムであって、
前記被検組織が、各従事者に職務が与えられている企業体であり、
前記タスクが、汎用の共通認知テストと前記職務に応じた職務別の認知テストを含む職務対応型タスクであり、
前記職務対応型タスクに基づいて前記被験組織の従事者に前記共通認知テストデータの各項目および前記職務認知テストデータの各項目またはそれらから選択されたものについて職務対応型タスクを提供する職務対応型タスク提供部と、
前記従事者ごとの前記共通認知データの各項目および前記職務認知テストの各項目の回答及び回答時間の結果に基づいて前記従事者ごとの職務認知スコアを算出する従事者単位の職務認知スコア算出部と、
前記被検組織における職務単位と当該職務単位に属する前記従事者を分類した従事者職務データに基づいて、前記従事者単位の職務認知スコア算出部で得た前記従事者ごとの前記職務認知スコアを基にした前記組織単位または前記職務単位の職務認知スコアを評価する職務認知評価部を備えたことを特徴とする職務認知機能測定システム。
【請求項2】
前記従事者ごとの前記職務認知スコアの履歴データと、前記従事者の過去の前記履歴データから算出される前記従事者ごとの職務認知ベースラインスコアと、前記組織単位または前記職務単位の職務認知スコアの履歴データと、前記組織単位または前記職務単位の過去の前記履歴データから算出される前記組織単位または前記職務単位の職務認知ベースラインスコアを含む諸データを記憶するデータ記憶部を備え、
測定結果の前記従事者の前記職務認知スコアと前記従事者の前記職務認知ベースラインスコアとの乖離が所定値以上であれば、前記従事者ごとの認知変化を検出し、測定結果の前記組織単位または前記職務単位の前記職務認知スコアと前記組織単位または前記職務単位の前記職務認知ベースラインスコアとの乖離が所定値以上となると、前記組織単位または前記職務単位ごとの認知変化を検出する職務認知変化検出部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の職務認知機能測定システム。
【請求項3】
前記従事者職務データにおいて、前記従事者ごとの前記職務単位における職責および意思決定の裁量範囲を示す職位データが含まれ、
前記職務認知評価部が、前記職位データを重みに変換する重みづけ評価を含み、当該従事者の認知が前記組織単位または職務単位に与える大きさを反映することを特徴とする請求項1または2に記載の職務認知機能測定システム。
【請求項4】
前記従事者職務データにおいて、前記職務単位における前記職責および前記意思決定の裁量範囲を示す前記職位ごとに満たすべき職務認知スコア基準が設定されており、
従事日において、前記職務認知スコア算出部により算出された前記従事者ごとの前記職務認知スコアが、当該従事者に本来与えられている職位に対する前記職務認知スコア基準が未達な場合、当該従事者に本来与えられている前記職位に就かせず、当該職務認知スコアにより従事可能な職位の候補を動的に推奨する、職位変更推奨部を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の職務認知機能測定システム。
【請求項5】
前記従事者に対する前記職位変更推奨部による動的な職位変更の推奨が所定期間以上続いた場合、当該従事者に前記組織単位または前記職務単位の内外の配置転換を推奨する配置転換推奨部を備えたことを特徴とする請求項4に記載の職務認知機能測定システム。
【請求項6】
前記職務認知評価部により前記組織単位または前記職務単位の前記職務認知スコアが継続して所定のしきい値より低下している状態が所定期間以上続いた場合、前記従事者職務データにおいて当該組織単位または当該職務単位を統括する職位またはそれに準ずる職位にある従事者を特定する統括職位従事者特定部と、
前記統括職位従事者特定部で特定された当該統括職位従事者による当該組織単位または当該職務単位への管理適性の問題またはハラスメントの可能性を通知する管理問題通知部を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の職務認知機能測定システム。
【請求項7】
前記職務認知評価部が、前記従事者単位の職務認知スコア算出部による前記従事者ごとに算出した職務認知スコアに対して、景気の状況、職場の環境、その企業の業績の好不調、疾病の流行、季節変動、気候、日没時間の変動のいずれかまたはそれら組み合わせをマクロ要素としてスコア化して算出したマクロスコアによる調整を反映させるマクロ調整部を備えたことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の職務認知機能測定システム。
【請求項8】
前記職務認知機能測定システムの運営主体が、国、自治体、公益財団法人、公益社団法人、業界団体、民間企業のいずれかまたはそれらの共同体であり、
前記職務認知機能測定システムの利用に参加する複数の前記企業体を通じて、前記職務対応型タスク提供部により提供される前記職務対応型タスクが業界単位で統一された標準職務対応型タスクであり、
参加する複数の前記企業体をまたがって前記職務認知スコアを前記業界単位で客観化したものとする企業評価指標提供部を備えたことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の職務認知機能測定システム。
【請求項9】
前記組織単位または前記職務単位の前記職務認知スコアの履歴データをファイル化したビジネス認知スコアファイルを備え、
前記ビジネス認知スコアファイルを公開またはリクエストに応じて閲覧可能とするビジネス認知スコア提示部を備えたことを特徴とする請求項7または8に記載の職務認知機能測定システム。
【請求項10】
コンピューターに、 複数の課題が設定されたタスクを被検組織の従事者に提供し、前記従事者の脳に関する複数の認知機能を総体的に測定することによって、前記被検組織の組織単位または職務単位の認知機能を測定させる認知機能測定アプリケーションプログラムであって、
前記被検組織が、各従事者に職務が与えられている企業体であり、
前記タスクが、汎用の共通認知テストと、前記職務に応じた職務別の認知テストを含む職務対応型タスクであり、
前記職務対応型タスクに基づいて前記被験組織の従事者に前記共通認知テストデータの各項目および前記職務認知テストデータの各項目またはそれらから選択されたものについて職務対応型タスクを提供する職務対応型タスク提供処理ステップと、
前記従事者ごとの前記共通認知データの各項目および前記職務認知データの各項目の回答及び回答時間の結果に基づいて前記従事者ごとの職務認知スコアを算出する従事者単位の職務認知スコア算出処理ステップと、
前記被検組織における職務単位と前記職務単位に属する前記従事者を分類した従事者職務データと、前記被検組織全体または前記従事者職務データに基づいた前記職務単位に、前記従事者単位の職務認知スコア算出処理ステップで得た前記従事者ごとの前記職務認知スコアを基にした前記組織単位または前記職務単位の職務認知スコアを評価する職務認知評価処理ステップを実行させるための職務認知機能測定アプリケーションプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕事上求められる認知機能を測定するシステム及びそのアプリケーションプログラムなどに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、ヒトなどの高次脳機能の評価や各種の刺激、疾病あるいは外傷などが高次脳機能に与える影響の評価を行う認知機能測定システムなどが知られている。
従来技術において、以下の認知機能測定システムが知られている。
【0003】
例えば、特開2006-218065号公報(特許文献1)は、例えば、被験者が操作する操作入力手段の体中心に対する相対的な配置と被験者が該操作入力手段を操作するときに駆使する身体部位の体中心に対する相対的な配置が不適合である条件下での反応時間を測定するための構成を有する高次脳機能障害診断装置が知られている。
【0004】
また、特開2019-208758号公報(特許文献2)は認知機能を測定するために被験者に提供するタスクを規定するタスクデータであって、当該認知機能の種別情報を示す認知機能種別情報に対応付けられたタスクデータを取得する取得手段と、取得されたタスクデータに基づいて被験者に複数の異なる種別のタスクを提供するタスク提供手段と、提供されたタスク毎に該当するタスクに関する回答要素及び回答時間を検出する検出手段と、提供されたタスク毎に検出された回答要素及び回答時間の少なくともいずれか一方に基づいて該当するタスクに対する得点を算出する算出手段と、算出された各タスクの得点を該当するタスクに対して予め設定された標準データに基づいて、認知機能の種別毎に各タスクに対応付けられた認識機能を示す数値であって他の認知機能と同一のスケールによって示される値に変換する変換手段を備えたシステムが知られている。
【0005】
【文献】特開2006-218065号公報
【文献】特開2019-208758号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示された評価法にあっては、認知課題に対する反応の正確な計測を行うことができるものの、生活機能や社会機能などの各認知機能を評価することまではできず、改良の余地がある。
【0007】
また、上記特許文献2に開示された認知機能測定システムは、脳に関する複数の認知機能を総合的に測定する認知機能測定システムであるが、その目的は、測定対象となる被検者に対してタスクを与えてその正答率などを検出することによって、当該被検者個人の生活機能や社会機能などの複数の認知機能を評価するものであった。つまり、上記特許文献2に開示された認知機能測定システムの目的は被検者個人の認知機能を測定するものとされている。
この上記特許文献2に開示された認知機能測定システムの以前には、簡単な方法で比較的短時間に客観的に被検者個人の認知機能を測定するシステムがなく、現在でも優れたシステムの1つである。
【0008】
この上記特許文献2に開示された認知機能測定システムは、被検者個人の一般的な共通認知をテーマとしており、被検者個人の生活機能や社会機能などの認知機能を得られる上では有効であるが、実際の世の中の経済活動においては、個人の仕事で求められる職務上の認知機能、さらに、経済主体である各企業の組織単位や職務単位での認知機能が重要である。一見、認知機能は個人単位でしか存在し得ないと考えがちであるが、企業は組織体であり、所定の職務単位にて活動しており、キーマン1人の認知機能の高低がその組織体、所定の職務単位に及ぼす影響というものがある。
従来技術で語られる個人単位の一般的な認知機能である「個人の共通認知」に対して、本発明では、企業などの組織において個人に与えられている職務に必要な認知機能というものを「個人の職務認知」として取り上げて論じることとする。また、本発明では、企業などの組織体としての組織単位または職務単位の職務に必要な認知機能というものを「組織単位または職務単位の職務認知」として取り上げて論じることとする。
【0009】
分かりやすい例で言えば、鉄道会社においては保線業務があり、保線区ごとに安全を管理する旗振り役(列車や作業員に対する注意喚起を行う管理業務)などの仕事があるが、担当する作業員は個人であるが、その担当作業員の職務認知機能が低下している場合、列車や作業員に対する注意喚起が遅れたり適切なものでなかったりすると、保線業務自体の能力が低下した状態を引き起こしてしまう。また、旗振り役のみならず、保線業務を行う保線作業員自体の職務認知機能が低下している場合、旗振り役の指示に対する反応が遅れたり列車回避行動が適切なものでなかったりすると、保線業務自体の能力が低下した状態を引き起こしてしまう。つまり、ある個人にのみ注目していれば保線業務の能力が低下しないわけではなく、保線業務を担当する組織全体または職務単位に関する職務認知機能というものを取り上げて論じる意味がある。
【0010】
また、他の分かりやすい例で言えば、建設会社においては建設作業現場があり、建設作業現場において、例えば、地上勤務作業、足場上での鳶作業、建設現場付近での警備業務など多様な職務に分かれている。ここで、足場上での鳶作業の鳶職人の認知機能が低下していると道具の落下事故や本人の転落事故などにつながるため慎重にならざるを得ず、足場上での鳶作業の効率が落ちてしまう。これは1人の作業員の認知のみを取り上げても建設現場全体の効率を評価することはできない。建設現場の足場上での鳶作業にかかわる作業員全体で評価しなければ正確な評価とならない。また、時間帯によって作業員が交替してしまうためその管理が難しい。通例では足場上での鳶作業にかかわる鳶職人であってもその日の認知が落ちている鳶職人には地上勤務としたり警備作業を担当させたりする方が建設現場全体の効率が上がる。つまり、ある作業員個人にのみ注目していれば建設業務の能力が低下しないわけではなく、建設業務を担当する組織全体または職務単位に関する職務認知機能というものを取り上げて論じる意味がある。
【0011】
上記は個人に依存した認知機能の変化が組織全体または職務単位に与える認知機能を論じたが、実際には、マクロの要素、例えば、景気の状況、職場の環境、その企業の業績の好不調、疾病の流行、季節変動、気候、日没時間の変動なども組織全体または職務単位に関する職務認知機能に影響を与える。これらのマクロ要素を織り込めれば、組織全体または職務単位の認知機能をより精度良く調整することができる。
【0012】
本発明は、上記問題に鑑み、本発明の職務認知機能測定システムは、従来は被検者個人単位の共通認知しか測定・評価できなかった認知機能について、各従事者の職務上求められる職務認知機能、さらに、実際の経済活動の単位である組織全体や所定の職務単位の職務認知機能というものを測定できる職務認知機能測定システムを提供することを目的とする。
また、個人に依存した認知機能の変化が組織全体または職務単位に与える認知機能だけでなく、景気の状況、職場の環境、その企業の業績の好不調、疾病の流行、季節変動、気候、日没時間の変動など組織全体または職務単位に関する職務認知機能に影響を与えるマクロ要素を織り込むことにより、より精度良く組織全体や所定の職務単位の認知機能を測定できる「職務認知機能測定システム」を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の職務認知機能測定システムは、複数の課題が設定されたタスクを被検組織の従事者に提供し、前記従事者の脳に関する複数の認知機能を総体的に測定することによって、前記被検組織の組織単位または職務単位の認知機能を測定する認知機能測定システムであって、前記被検組織が、各従事者に職務が与えられている企業体であり、前記タスクが、汎用の共通認知テストと、前記職務に応じた職務別の認知テストを含む職務対応型タスクであり、前記職務対応型タスクに基づいて前記被験組織の従事者に前記共通認知テストデータの各項目および前記職務認知テストデータの各項目またはそれらから選択されたものについて職務対応型タスクを提供する職務対応型タスク提供部と、前記従事者ごとの前記共通認知データの各項目および前記職務認知データの各項目の回答及び回答時間の結果に基づいて前記従事者ごとの職務認知スコアを算出する従事者単位の職務認知スコア算出部と、前記被検組織における職務単位と前記職務単位に属する前記従事者を分類した従事者職務データと、前記被検組織全体または前記従事者職務データに基づいた前記職務単位に、前記従事者単位の職務認知スコア算出部で得た前記従事者ごとの前記職務認知スコアを基にした前記組織単位または前記職務単位の職務認知スコアを評価する職務認知評価部を備えたことを特徴とする職務認知機能測定システムである。
上記構成により、個人に依存した認知機能の変化が、実際の経済活動の単位である組織全体や所定の職務単位の認知機能というものを客観的に測定できる。
【0014】
上記構成において、前記従事者ごとの前記職務認知スコアの履歴データと、前記従事者の過去の前記履歴データから算出される前記従事者ごとの職務認知ベースラインスコアと、前記組織単位または前記職務単位の職務認知スコアの履歴データと、前記組織単位または前記職務単位の過去の前記履歴データから算出される前記組織単位または前記職務単位の職務認知ベースラインスコアを含む諸データを記憶するデータ記憶部を備え、
測定結果の前記従事者の前記職務認知スコアと前記従事者の前記職務認知ベースラインスコアとの乖離が所定値以上であれば、前記従事者ごとの認知変化を検出し、測定結果の前記組織単位または前記職務単位の前記職務認知スコアと前記組織単位または前記職務単位の前記職務認知ベースラインスコアとの乖離が所定値以上となると、前記組織単位または前記職務単位ごとの認知変化を検出する職務認知変化検出部を備えた構成とすることも可能である。
上記構成により、従事者個人、または、実際の経済活動の単位である組織全体や所定の職務単位の認知機能の変化を捉え、通常のベースラインスコアよりも低下している場合に、アラームを出すことができ、注意喚起を行うことができる。
従事者であれば、自身の認知の変化を自覚し、当日の仕事でミスがあるかもしれないので慎重に作業を行うように心掛けたり、危険な作業から担当を外したりという取り扱いもできる。また、組織全体や所定の職務単位の職務認知が通常のベースラインよりも低下している場合に、チームとして作業する当日の仕事でミスがあるかもしれないので慎重に作業を行うように心掛けたり、チーム内での役割分担を変更したり、チームとして作業する量を調整したりすることもできる。
【0015】
なお、前記従事者職務データにおいて、前記従事者ごとの前記職務単位における職責および意思決定の裁量範囲を示す職位データが含まれ、前記職務認知評価部が、前記職位データを重みに変換する重みづけ評価を含み、当該従事者の認知が前記組織単位または職務単位に与える大きさを反映することが好ましい。
実際の組織において、すべての従事者がフラットの立場にある訳ではなく、職位に基づいて職責および意思決定の裁量範囲があるが、従事者がどの職位にあるかを織り込めばより実際の経済活動の単位である組織全体や所定の職務単位の認知機能というものを客観的に測定できる。
【0016】
本発明の職務認知機能測定システムを用いれば、認知機能の低下している従事者に対して適切に職位や職務を変えることにより、実際の経済活動の単位である組織全体や所定の職務単位の認知機能の低下を有効に防止することができる。
例えば、前記従事者職務データにおいて、前記職務単位における前記職責および前記意思決定の裁量範囲を示す前記職位ごとに満たすべき職務認知スコア基準が設定されており、従事日において、前記職務認知スコア算出部により算出された前記従事者ごとの前記職務認知スコアが、当該従事者に本来与えられている職位に対する前記職務認知スコア基準が未達な場合、当該従事者に本来与えられている前記職位に就かせず、当該職務認知スコアにより従事可能な職位の候補を動的に推奨する、職位変更推奨部を備えた構成とすることができる。
【0017】
また例えば、前記従事者に対する前記職位変更推奨部による動的な職位変更の推奨が所定期間以上続いた場合、当該従事者に前記組織単位または前記職務単位の内外の配置転換を推奨する配置転換推奨部を備えた構成とすることもできる。
【0018】
また、本発明の職務認知機能測定システムを用いれば、認知機能の低下している組織全体や職務単位について、影響を与えている職位にある従事者について、適切に職位や職務を変えることにより、実際の経済活動の単位である組織全体や所定の職務単位の認知機能の低下を有効に防止することができる。
例えば、前記職務認知評価部により前記組織単位または前記職務単位の前記職務認知スコアが継続して所定のしきい値より低下している状態が所定期間以上続いた場合、前記従事者職務データにおいて当該組織単位または当該職務単位を統括する職位またはそれに準ずる職位にある従事者を特定する統括職位従事者特定部と、前記統括職位従事者特定部で特定された当該統括職位従事者による当該組織単位または当該職務単位への管理適性の問題またはハラスメントの可能性を通知する管理問題通知部を備えた構成とすることができる。
また、本発明の職務認知機能測定システムでは、従事者という単位ではなく、組織全体や職務単位について影響を与え得る得るマクロな要素を加味することもできる。
例えば、前記職務認知評価部が、前記従事者単位の職務認知スコア算出部による前記従事者ごとに算出した職務認知スコアに対して、景気の状況、職場の環境、その企業の業績の好不調、疾病の流行、季節変動、気候、日没時間の変動のいずれかまたはそれら組み合わせをマクロ要素としてスコア化して算出したマクロスコアによる調整を反映させるマクロ調整部を備えた構成とすることができる。
【0019】
次に、本発明の職務認知機能測定システムを大規模に運用することもできる。
例えば、前記職務認知機能測定システムの運営主体が、国、自治体、公益財団法人、公益社団法人、業界団体、民間企業のいずれかまたはそれらの共同体であり、前記職務認知機能測定システムの利用に参加する複数の前記企業体を通じて、前記職務対応型タスク提供部により提供される前記職務対応型タスクが業界単位で統一された標準職務対応型タスクであり、参加する複数の前記企業体をまたがって前記職務認知スコアを前記業界単位で客観化したものとする企業評価指標提供部を備えた構成とすることができる。
なお、職務認知機能測定システムを、コンピュータネットワークを通じたクライアントサーバーシステムで構築することが好ましい。
例えば、前記運営主体が前記サーバーを運営し、前記被検組織である前記企業体が前記クライアントを使用し、前記サーバーに、少なくとも前記職務対応型タスク提供部と、前記従事者単位の職務認知スコア算出部と、前記組織単位または前記職務単位の職務認知スコアを評価する職務認知評価部が搭載されている構成とする。
【0020】
次に、本発明の職務認知機能測定システムを用いた結果を有効活用するべく、前記組織単位または前記職務単位の前記職務認知スコアの履歴データをファイル化したビジネス認知スコアファイルを備え、前記ビジネス認知スコアファイルを公開またはリクエストに応じて閲覧可能とするビジネス認知スコア提示部を備えた構成として提供できる。
【0021】
本発明の組織単位または職務単位の認知機能測定アプリケーションプログラムは、複数の課題が設定されたタスクを被検組織の従事者に提供し、前記従事者の脳に関する複数の認知機能を総体的に測定することによって、前記被検組織の組織単位または職務単位の認知機能を測定する認知機能測定アプリケーションプログラムであって、前記被検組織が、各従事者に職務が与えられている企業体であり、前記タスクが、汎用の共通認知テストと、前記職務に応じた職務別の認知テストを含む職務対応型タスクであり、前記職務対応型タスクに基づいて前記被験組織の従事者に前記共通認知テストデータの各項目および前記職務認知テストデータの各項目またはそれらから選択されたものについて職務対応型タスクを提供する職務対応型タスク提供処理ステップと、前記従事者ごとの前記共通認知データの各項目および前記職務認知データの各項目の回答及び回答時間の結果に基づいて前記従事者ごとの職務認知スコアを算出する従事者単位の職務認知スコア算出処理ステップと、前記被検組織における職務単位と前記職務単位に属する前記従事者を分類した従事者職務データと、前記被検組織全体または前記従事者職務データに基づいた前記職務単位に、前記従事者単位の職務認知スコア算出処理ステップで得た前記従事者ごとの前記職務認知スコアを基にした前記組織単位または前記職務単位の職務認知スコアを評価する職務認知評価処理ステップを備えたことを特徴とする組織単位または職務単位の認知機能測定アプリケーションプログラムである。
【発明の効果】
【0022】
本発明の職務認知機能測定システムによれば、個人に依存した認知機能の変化が、実際の経済活動の単位である組織全体や所定の職務単位の認知機能というものを客観的に測定できる。
また、本発明の職務認知機能測定システムを用いれば、認知機能の低下している従事者に対して適切に職位や職務を変えることにより、実際の経済活動の単位である組織全体や所定の職務単位の認知機能の低下を有効に防止することができる。
また、本発明の職務認知機能測定システムを用いれば、認知機能の低下している組織全体や職務単位について、影響を与えている職位にある従事者について、適切に職位や職務を変えることにより、実際の経済活動の単位である組織全体や所定の職務単位の認知機能の低下を有効に防止することができる。
また、本発明の職務認知機能測定システムでは、従事者という単位ではなく、組織全体や職務単位について影響を与え得る得るマクロな要素を加味することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の職務認知機能測定システム1の構成例を示す図である。
図2】職務対応型タスク提供部110が提供する汎用の共通認知テスト項目のタスク画面の例を示す図である。
図3】職務認知テスト項目のうち、「特別項目」の例を示す図である。
図4】従事者ごとに得られた職務認知スコアの例を簡単に示す図である。
図5】組織単位または職務単位の職務認知の概念を示した図である。
図6】足場上での鳶作業を行う鳶職人グループの従業員ごとの職務認知テストの結果と共通認知テストの結果と認知テストの合計結果と、鳶職人グループ単位での職務認知スコアの結果をまとめた表である。
図7】職位データを重みに変換する重み付け評価部131による重みづけの結果を反映した例を示す図である。
図8】職務認知変化検出処理に用いる諸データを示す図である。
図9】実施例2にかかる本発明の職務認知機能測定システム1aの構成例を示す図である。
図10】職位変更推奨部134の職位変更推奨処理の原理を簡単に説明する図である。
図11】配置転換推奨推奨部135の職位変更推奨処理の原理を簡単に説明する図である。
図12】統括職位従事者特定部136による統括職位にある従事者の特定と、管理問題通知部137による問題のある統括職位にある従事者の通知の原理を示す図である。
図13】実施例3にかかる本発明の職務認知機能測定システム1の構成例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照しつつ、本発明の職務認知機能測定システムの実施例を説明する。ただし、本発明の範囲は以下の実施例に示した具体的な用途、形状、個数などには限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0025】
以下、本発明の職務認知機能測定システム1の構成例を説明する。
図1は、本発明の職務認知機能測定システム1の構成例を示す図である。
図1に示すように、本発明の職務認知機能測定システム1は、サーバー100とクライアント200を備えたクライアントサーバーシステムで構築されている。
サーバー100は、職務対応型タスク提供部110、従事者単位の職務認知スコア算出部120、職務認知評価部130、重み付け評価部131、職務認知変化検出部132、マクロ調整部133、データ記憶部140を備えた構成となっている。
サーバー100の運営主体は、ここでは、国、自治体、公益財団法人、公益社団法人、業界団体、民間企業のいずれかまたはそれらの共同体のいずれかとして説明するが、運営主体は限定されない。
クライアント200は、制御部210、モニタ220、入力デバイス230を備えた構成となっている。
クライアント200の利用者は、被検組織であって各従事者に職務が与えられている企業体である。
【0026】
職務対応型タスク提供部110は、クライアント200を利用する企業体の従事者に対するタスクの内容を選択し、提供する部分である。ここでは、タスクが、汎用の共通認知テストと、前記職務に応じた職務別の認知テストを含む職務対応型タスクとなっている。
つまり、職務対応型タスク提供部110は、職務対応型タスクに基づいて被験組織の従事者に共通認知テストデータの各項目および職務認知テストデータの各項目またはそれらから選択されたものについて「職務対応型タスク」として提供する。
本発明では、職務対応型タスクのうちの「共通認知テストデータ」や「職務認知テストデータ」の内容は限定されないが、例えば、空間認識力をチェックする項目、注意力をチェックする項目、記憶力をチェックする項目、見当識をチェックする項目、計画力をチェックする項目などがある。これらのチェック項目の結果を組み合わせることにより、様々な問題事象の発生リスクを予見することに資する。
職務対応型タスクのうちの「職務認知テストデータ」の内容は限定されないが、例えば、仕事における判断能力の日々の変化、仕事をこなす処理速度の日々の変化、仕事の割り振りなどの分配能力の日々の変化、作業内容の記憶力の日々の変化、仕事を持続できる持久力の日々の変化などを測定できる内容がある。
【0027】
例えば、転倒するリスクや運転技量の低下や事故のリスクは、空間認識力のチェック項目のスコアと注意力のチェック項目のスコアが低下していると高くなると想定される。また、移動する行き道の誤認リスクや、手順や物事の忘れリスクは、記憶力のチェック項目のスコアと見当識のチェック項目のスコアが低下していると高くなると想定される。また、作業計画立案の段取りミスや遅れミスは、記憶力のチェック項目のスコアと計画力のチェック項目のスコアが低下していると高くなると想定される。これらは一例であり、本発明では、多様なリスクを想定するための多様なチェック項目があり得る。
職務対応型タスク提供部110は、それらのうちから選択されたものについて職務対応型タスクとして提供する。
【0028】
図2図3は、職務対応型タスク提供部110が提供する、クライアント200のモニタ220上に表示された「職務対応型タスク」の例を示す図である。
図2は、「職務対応型タスク」のうちの「共通認知テストデータ」の各項目の例を示している。
なお、図示していないが、共通認知テストデータの各項目として、基礎的項目のチェックも併せて行うことができる。例えば、基礎的項目として、年齢、体温や心拍数や血圧や血糖値に関する項目の数値、睡眠の質に関する項目の数値、その日の体調に関する質問事項、心理的ストレスを判定する質問事項などがあり、それらから従事者の体調、心身のストレス、心理状態、心配ごとの有無などをチェックする。
図2の例では、12個の共通認知テスト内容が示されているが、実際のクライアント200のモニタ220には、一度に併せて表示されるのではなく、1つ1つの共通認知テスト内容が順々に表示されるものとする。
これらは、被験従事者にとって一種の遊び感覚で実行して測定結果を得られるものとなっている。共通認知テスト内容はこれらに限定はされない。
なお、この職務対応型タスク提供部110が提供する汎用の共通認知テスト項目は、汎用的な従事者の共通の認知テストであるため、対象とする職務が変わっても共通する項目は多いものと推定される。
【0029】
次に、職務認知テストデータについて説明する。
この例では、建設現場で建設作業を受注して行っている建設会社用の職務認知テストデータの各項目には「基礎的項目」と「特別項目」がある。
この例では、図示しないが、建設現場従事者用の職務認知テストデータ「基礎的項目」としては、作業服の着用状態、ヘルメットの装着、建設従事に必要な免許証(例えば、クレーン運転士免許、フォークリフト運転者免許、ショベルローダー等運転者免許、ブルドーザーなどの車両系建設機械運転者免許、高所作業車運転者免許、玉掛け作業者免許など)の携帯をチェックするものなどが例示されている。
【0030】
図3は、建設現場で建設作業を受注して行っている建設会社用の職務認知テスト項目のうち、「特別項目」の例を示す図である。
図3の例は、建設現場の作業員を従事者として想定している。「今日の作業内容や作業手順に関する質問」、「作業に必要な視力テスト(遠方視力、老眼視力)」、「作業に必要な視野テスト(点滅体を追う)」、「作業に必要な聴力テスト(ホイップ音への反応)」、「作業に必要な平衡感覚テスト(片足立ちの持続時間)」、「発呼量テスト(しっかりと現場で声を出せるか否か)」などとなっている。
【0031】
各建設作業の従事者は、建設現場または建設現場に向かう事務所において、クライアント200のモニタ220に表示される上記した建設会社用の「職務対応型タスク」の「共通認知テスト」、「職務認知テスト」に対して、入力デバイス230を用いて回答を入力する。ここでは、入力デバイスとして、ボタン、キーボードなどが装備されているものとする。
【0032】
次に、従事者単位の職務認知スコア算出部120を説明する。
従事者単位の職務認知スコア算出部120は、従事者ごとに得られた、職務対応型タスク提供部110が提供した共通認知データの各項目および職務認知データの各項目の回答及び回答時間の結果に基づいて従事者ごとの職務認知スコアを算出するものである。
従事者単位の職務認知スコア算出部120が算出する職務認知スコアは、従業員ごとの汎用の共通認知のみでなく、従業員ごとの職務認知をも評価したスコアとなっているが、まだ、組織単位または職務単位の職務認知スコアとはなっていない。
【0033】
図4は、従事者ごとに得られた職務認知スコアの例を簡単に示す図である。
この例では、従事者1、従事者2、従事者3、従事者4、・・・従事者nに対する従事者ごとに得られた職務認知スコアを簡単に示すものとなっている。
図4のリストは一例であり、多様な項目があり得る。
この段階では、まだ従事者個人のものとなっている。
【0034】
職務認知評価部130は、被検組織全体または職務単位に、所属する従事者ごとの職務認知スコア算出手段で得た職務認知スコアを基にして、組織単位または職務単位の職務認知スコアを評価するものである。
被検組織全体または職務単位に所属する従事者を把握する情報として、職務認知評価部130は、被検組織における職務単位と当該職務単位に属する従事者を分類した従事者職務データを保持している。職務認知評価部130は従事者職務データを参照して被検組織全体または職務単位に所属する従事者を把握する。
【0035】
図5は、組織単位または職務単位の職務認知の概念を示した図である。
図5(a)は、個人(従事者)単位での共通認知の概念を示している。
図5(b)は、個人(従事者)単位での共通認知+職務認知の概念を示している。
図5(c)は、組織単位または職務単位の職務認知の概念を示している。
図5(a)は、従来技術で開示されている測定方法で測定した個人(従事者)単位での共通認知を示している。図5(b)は、共通認知をベースにしつつ、作業などに必要とされる認知まで拡張して測定した結果であり、ここでは、共通認知をコアに表示して職務認知が拡がるような概念で示している。図5(c)は、組織単位または職務単位に所属する全員の認知を合わせたチームとしての職務認知を示している。
【0036】
一例を挙げる。
図6は、足場上での鳶作業を行う鳶職人グループの従業員ごとの職務認知テストの結果と共通認知テストの結果と認知テストの合計結果と、鳶職人グループ単位での職務認知スコアの結果をまとめた表である。この例は、鳶職人グループ単位での職務認知スコアは、単純に各従業員の個別のスコアを合計して平均をとったものであるが、各従業員の職位や担当する職務に応じて重みづけをしたり評価を調整したりすることは可能であるが、ここでは、分かりやすい一例として、鳶職人グループ単位での職務認知スコアは、単純に各従業員の個別のスコアを合計して平均をとったものとなっている。
図6(a)の表において、数値はスコア、括弧書き内の数値は偏差値を示している。
この例では、A建設会社が抱える鳶職人グループがグループ1、2の2組あり、鳶職人グループ1の組織単位または職務単位の職務認知スコアは86.3点、鳶職人グループ2の組織単位または職務単位の職務認知スコアは85.6点であった。
図6(b)は、鳶職人グループの単位ごとの組織単位または職務単位の職務認知スコアをまとめたものである。
この結果からサーバー100の運営者であるA建設会社は、抱える建設現場のうち、もっとも建設が進んで高所作業が必要である建設現場1に鳶職人グループ1を派遣することとし、建設の進度が中程度で高所作業が難しくない建設現場2に鳶職人グループ2を派遣するという担当調整について、鳶職人グループの単位ごとの組織単位または職務単位の職務認知スコアを活用することができる。
【0037】
次に、各従業員の職位や担当する職務に応じて重みづけをしたり評価を調整したりする例について説明する。
職務認知評価部130は、職位データを重みに変換する重み付け評価部131を含み、当該従事者の認知が組織単位または職務単位に与える大きさを反映することができる構成となっている。
図7の例では、職位データを重みに変換する重み付け評価部131による重みづけの結果を反映した例となっている。
図7に示すように、職位データが付与されており、鳶職人1はグループリーダー、鳶職人2はサブリーダー、鳶職人4は見習いとなっている。重み付け評価部131はこの職位について重みづけを行う。
例えば、重み付け評価部131は、グループリーダーの職位の重み、つまり、鳶職人グループの組織単位または職務単位に対する影響力を考慮した重みとして“1.4”としており、サブグループリーダーの職位の重みを“1.2”としている。一方、見習い新人の職位の重みはベテランの手助けや指導の必要性から、組織単位または職務単位で考えれば職務認知を下げることもあり得るので“0.9”としている。他の中堅の職位の重みは“1.0”としている。
【0038】
職務認知評価部130が重み付け評価部131を装備しており、従事者の組織単位または職務単位の職務認知に職位の重み付けの調整を行った場合の結果は、図7に示す結果となったが、職務認知評価部130が重み付け評価部131を備えていないまたは用いなかった場合の結果は、上記した図6(b)であった。図6(b)と図7を比べると、組織単位または職務単位の職務認知の結果が異なっていることが分かる。この例では、職位の重みづけを反映した鳶職人グループ1の組織単位または職務単位の職務認知スコアは96.3点、鳶職人グループ2の組織単位または職務単位の職務認知スコアは98.7となっている。重みづけの結果、鳶職人グループ2の組織単位または職務単位の職務認知スコアの方が高くなっている。
このように、職位の重みづけを反映する前は図6(b)にあるように鳶職人グループ1の職務認知が高い結果となっていたが、職位の重みづけを反映した後は、鳶職人グループ2の職務認知がもっとも高い結果となっている。
【0039】
これは、従来技術のように、図5(a)の個人単位で汎用の共通認知テストを課して得られた共通認知データに基づく個人の認知機能のみの活用に比べると、本発明の職務認知機能測定システム1には大きな効果の違いがあることが分かる。
つまり、従来技術では、図5(a)に示すように、個人の一般的な認知機能のみしか測定できないが、本発明の職務認知機能測定システムでは、まず、図5(b)に示すように、職務に応じた職務認知を測定でき、さらに図5(c)に示すように、組織単位または職務単位の職務認知として測定でき、さらに、図7に示すように、職位など実際の組織活動において影響を与える事由を反映させたものとなる。
【0040】
次に、職務認知変化検出処理について述べる。
この構成例では、職務認知評価部130が、職務認知変化検出部132を備えた構成となっている。また、職務認知変化検出処理に用いる諸データをデータ記憶部140に保持している。
図8は、職務認知変化検出処理に用いる諸データを示す図である。
図8には、職務認知変化検出処理に用いる諸データには、「従事者ごとの職務認知スコアのデータ」と、「従事者の過去の履歴データから算出される従事者ごとの職務認知ベースラインスコア」、「組織単位または職務単位の職務認知スコアのデータ」、「組織単位または職務単位の過去の履歴データから算出される組織単位または職務単位の職務認知ベースラインスコア」が含まれている。
【0041】
職務認知変化検出部132は、これらデータから認知機能の変化や落ち込みを検出する。測定結果において、当日に得られた従事者の職務認知スコアと、もともとの当該従事者の職務認知ベースラインスコアとを比較すれば、その差分をもって従事者ごとの認知変化として検出できる。図8には、従事者ごとの職務認知ベースラインスコアから設定される職務認知の異常検知のしきい値が所定値として示されている。その乖離がその所定値以上となれば、職務認知が落ち込んでいることを職務認知変化検出部132がアラームとして通知するものとする。例えば、職務認知評価部130が運営主体に対して、当該従事者の職務認知が落ち込んでおり、当該従事者に対するケアを促すことができる。例えば、その日の作業シフトなどを見直したり、組織単位または職務単位において重要な作業や危険な作業から外したりする取り扱いなどが想定される。従事者自身も、自身の認知の変化を自覚し、当日の仕事でミスがあるかもしれないので慎重に作業を行うように心掛けたり、危険な作業から担当を外してもらうよう申し出たりすることもできる。
【0042】
職務認知変化検出部132は、組織単位または職務単位における職務認知スコアの変化についても対処できる。つまり、当日の測定結果における組織単位または職務単位の職務認知スコアと、もともとの当該組織単位または職務単位の職務認知ベースラインスコアとを比較すれば、その差分をもって当該組織単位または職務単位の認知変化として検出できる。図8には、組織単位または職務単位ごとの職務認知ベースラインスコアから設定される職務認知の異常検知のしきい値が所定値として示されている。その乖離がその所定値以上となれば、職務認知が落ち込んでいることを職務認知変化検出部132がアラームとして通知するものとする。例えば、職務認知評価部130が運営主体に対して、当該組織単位または職務単位の職務認知が落ち込んでおり、当該組織単位または職務単位に対するケアを促すことができる。例えば、組織単位または職務単位に予定されている作業シフトなどを見直したり、チームとして作業する当日の仕事でミスがあるかもしれないので慎重に作業を行うように心掛けたり、チーム内での役割分担を変更したり、チームとして作業する量を調整したりすることもできる。また、チームとして協働する作業を変更して重要な作業や危険な作業から外してもらうよう申し出ることもできる。
このように職務認知変化検出部132を用いれば、従事者個人、または、実際の経済活動の単位である組織全体や所定の職務単位の認知機能の変化を捉え、通常のベースラインスコアよりも低下している場合に、アラームを出すことができ、注意喚起を行うことができる。
【0043】
次に、職務認知に対するマクロ調整について述べる。
この構成例では、職務認知評価部130が、マクロ調整部133を備えた構成となっている。また、マクロ調整処理に用いる諸データをデータ記憶部140に保持している。
マクロ調整部133は、従事者単位の職務認知スコア算出部120によって従事者ごとに算出した職務認知スコアに対して、マクロスコアによる調整を反映させる。
ここで、マクロスコアとは、景気の状況、職場の環境、その企業の業績の好不調、疾病の流行、季節変動、気候、日没時間の変動のいずれかまたはそれら組み合わせをマクロ要素としてスコア化して算出したものである。
マクロ要素のスコア化は、職務によって異なることが想定される。外作業となる職務であれば、当日の気候が穏やかな晴天か、強い日差しの快晴か、雨天か、強風下かで作業に対する職務認知に影響を与えるため、気候のマクロ要素のスコアは比較的大きくなるが、屋内作業で空調装置が装備されている環境であれば、さほど外界の気候の影響は受けないので気候のマクロ要素のスコアは比較的小さくなる。
また、例えば、2020年以降に拡がった新型コロナウイルスにより従事者はマスクを装着することが求められているところ、従事者の中にはマスクを装着することで息苦しく感じたり、口元の違和感に気を取られたりする者がいる。つまり、平常時に比べて新型コロナウイルスというマクロ要素は職務認知スコアに対してマイナスに働くマクロ要素として織り込むことができる。
このように、マクロ調整部133は、従事者単位の職務認知スコアに対して、マクロスコアによる調整を反映させる。
以上、本発明の職務認知機能測定システム1の基本的構成について説明したが、上記の例は一例であって限定はされない。
【実施例2】
【0044】
実施例2にかかる本発明の職務認知機能測定システム1について述べる。実施例2の構成は、職務認知評価部130で得られた職務認知の結果に基づいて、運営主体に対して、従事者や組織単位または職務単位の認知変化について、適切な取り扱いを提案するものである。
図9は、実施例2にかかる本発明の職務認知機能測定システム1aの構成例を示す図である。
図9に示すように、実施例2にかかる本発明の職務認知機能測定システム1は、図1と同様、サーバー100aとクライアント200aを備えたクライアントサーバーシステムで構築されている。
サーバー100aは、実施例1で説明した職務対応型タスク提供部110、従事者単位の職務認知スコア算出部120、職務認知評価部130、重み付け評価部131、職務認知変化検出部132、マクロ調整部133、データ記憶部140に加えて、職位変更推奨部134、配置転換推奨部135、統括職位従事者特定部136、管理問題通知部137を備えた構成となっている。
クライアント200aは、実施例1で説明したクライアント200と同様で良い。
以下、実施例1と同様の説明については省略する。
【0045】
職位変更推奨部134は、従事者ごとの職務認知スコアが、当該従事者に本来与えられている職位に要求される職務認知を満たせなくなっている場合、職位の変更を推奨する提案を行うものである。
図10は、職位変更推奨部134の職位変更推奨処理の原理を簡単に説明する図である。
図10に示すように、データ記憶部140の従事者職務データにおいて、職務単位における職責および意思決定の裁量範囲を示す職位ごとに満たすべき職務認知スコア基準が設定されている。
従事日においてクライアント200aを介して、サーバー100aの職務対応型タスク提供部110が提供した職務対応型タスクを実行した従事者において、職務認知スコア算出部120により算出された職務認知スコアが、当該従事者に本来与えられている職位に対する職務認知スコア基準が未達な場合、当該従事者に本来与えられている職位に就かせず、当該職務認知スコアにより従事可能な職位の候補を動的に推奨する。
【0046】
例えば、建設現場の足場の鳶職グループのグループリーダーの職位にある従事者Aが、当日の職務認知スコアが落ち込んでいる場合、そのままグループリーダーとして鳶作業グループを率いることは組織単位または職務単位の認知を下げ、組織単位または職務単位の効率を落としたり、危険な鳶作業の各場面において適切な判断が下せずに配下の従事者を危険に晒したりすることもあり得る。そこで、職位変更推奨部134は、従事者Aに対して、本日はグループリーダーの職位に就かずに他の者に交替し、本人はサブリーダーとなるよう推奨する旨の表示データをクライアント200aのモニタ220に表示する。また、運営主体のコンピュータに対して本日の従事者Aの職位変更を推奨する旨の推奨データを送信する。
この運用は、従事者Aのグループリーダーの職位を解任するというものではなく、当日の職務認知の落ち込みに応じて一時的にグループリーダーを交替する扱いであり、人事異動ではない運用であるので、従事者Aもこの推奨に応じやすいと考えられる。
【0047】
次に、配置転換推奨処理について述べる。
上記した職位変更推奨部134では、当日の職務認知の落ち込みに応じて一時的にグループリーダーを交替することを推奨するものであったが、職務認知の落ち込みが継続している場合は、人事的に職位を変えたり配置転換を推奨したりすることが好ましい。
配置転換推奨部135は、従事者に対する職位変更推奨部134による動的な職位変更の推奨が所定期間以上続いた場合、当該従事者に組織単位または職務単位の内外の配置転換を推奨する処理を実行する。
図11は、配置転換推奨推奨部135の職位変更推奨処理の原理を簡単に説明する図である。
【0048】
例えば、建設現場の足場の鳶職グループのグループリーダーの職位にある従事者Aについて算出された職務認知スコアが、グループリーダーの職位に与えられている職務認知スコア基準が未達な状態が2週間にわたって継続しており、職位変更推奨部134による職位変更が継続しているとする。そのままグループリーダーの職位を継続させて鳶作業グループを率いることは組織単位または職務単位の認知を継続的に下げてしまう。認知症を発症し始めていたり、内臓疾患が進行していたりすると、従事者個人は治療による対処を行うとしても、組織単位または職務単位はその回復を待つわけには行かない。
そこで、配置転換推奨部135は、従事者Aに対してグループリーダーの職位を継続させず、人事的に職位を変えたり配置転換を推奨したりする。例えば、鳶作業グループのグループリーダーではなく、鳶作業を支援する地上での支援作業勤務とする旨の推奨データを運営主体のコンピュータに対して送信する。
この運用は、従事者Aの人事上の職位を変動させるものなので、当該推奨データは、建設現場全体を率いている現場監督が持つ端末に送信したり、運営主体の人事担当者が持つ端末に送信したりことが好ましい。
【0049】
次に、実際の組織で起こり得る統括職位にある者の行動に起因する職務認知の変動への対処について述べる。
実際の組織では起こり得る要因として、いわゆるハラスメント行為がある。ハラスメント行為を受けると被害者の職務認知は低下するものと考えられる。個人的な攻撃であれば、当該被害者の職務認知は低下するが、職位上位者が組織内でハラスメント行為を行うと組織単位または職務単位の全体の職務認知が低下することが想定される。
ハラスメント行為には様々なものがあるが、ここでは、職位上位者によるパワーハラスメントを例に説明する。
【0050】
職務認知評価部130が算出した組織単位または職務単位の職務認知スコアが継続して所定のしきい値より低下している状態が所定期間以上続いた場合、特定個人の問題ではなく、職位上位者によるパワーハラスメントなどの要因が、当該組織単位または職務単位全体に影響を与えている可能性がある。特に、マクロ調整部133によるマクロ要素の調整を行っても、ある特定の組織単位または職務単位における職務認知スコアが相対的にも継続して所定のしきい値より低下している状態が所定期間以上続いた場合は、特定の組織単位または職務単位にのみ存在する要因が考えられ、その候補の1つが職位上位者によるパワーハラスメントである。
【0051】
統括職位従事者特定部136は、従事者職務データにおいて当該組織単位または当該職務単位を統括する職位またはそれに準ずる職位にある従事者を特定する。
図12は、統括職位従事者特定部136による統括職位にある従事者の特定と、管理問題通知部137による問題のある統括職位にある従事者の通知の原理を示す図である。
例えば、建設会社の鳶作業グループ1におけるグループリーダーである鳶職人1がパワーハラスメント気質の持ち主で、グループ内の鳶職人2,3,4,5に対して威圧的言動を行っているものとする。このパワーハラスメントに晒されているグループ内の鳶職人2,3,4,5が、サーバー100aの職務対応型タスク提供部110が提供した職務対応型タスクを実行すれば、職務認知スコア算出部120により算出された職務認知スコアが各人とも継続的に低下しており、職務認知評価部130による鳶作業グループ1の職務認知も継続的に低下していることが検出できれば、統括職位従事者特定部136は、鳶作業グループ1において、鳶作業グループ1全体の職務認知を継続的な低下を招く影響を与え得る人物として、従事者職務データを基に鳶作業グループ1のグループリーダーである鳶職人1が特定でき、鳶職人1のパワーハラスメントの存在を推定できる。
【0052】
管理問題通知部137は、統括職位従事者特定部136で特定された当該統括職位従事者による当該組織単位または当該職務単位への管理適性の問題またはハラスメントの可能性を示す管理データを運営主体のコンピュータに送信する。運営主体の人事担当者、総務担当者、経営陣などが当該管理データを活用してパワーハラスメントの有無のチェックや対処を実行できる。この例では、鳶作業グループ1のグループリーダーである鳶職人1によるパワーハラスメントの可能性がある旨の管理データを生成し、運営主体のコンピュータに送信する。
以上、実施例2にかかる職務認知機能測定システム1aの基本的構成と、職務認知評価部130で得られた従事者や組織単位または職務単位の認知変化について、適切な取り扱いを提案する処理内容について説明したが、上記の例は一例であって限定はされない。
【実施例3】
【0053】
次に、実施例3として、本発明の職務認知機能測定システムを、広域に適用する運用例を説明する。
前提として、職務認知機能測定システムの運営主体が、国、自治体、公益財団法人、公益社団法人、業界団体、民間企業のいずれかまたはそれらの共同体であるものとする。また、職務対応型タスク提供部110により提供される職務対応型タスクが業界単位で統一されているものとする。
つまり、本発明の職務認知機能測定システムを用いて測定した各企業における組織単位または職務単位の職務認知スコアの基準が、企業間で統一または共通化されており、組織単位または職務単位の職務認知スコアの高低が、企業での働き方の内容を示す1つの指標となり得る。
【0054】
図13は、実施例3にかかる本発明の職務認知機能測定システム1の構成例を示す図である。
図13に示すように、職務認知機能測定システム1は、サーバー100bとクライアント200bを備えたクライアントサーバーシステムで構築されている。
サーバー100bは、実施例1に示した職務対応型タスク提供部110、従事者単位の職務認知スコア算出部120、職務認知評価部130、重み付け評価部131、職務認知変化検出部132、マクロ調整部133、データ記憶部140に加え、企業評価指標提供部150とビジネス認知スコア提示部160を備えた構成となっている。なお、さらに、実施例2に示した職位変更推奨部134、配置転換推奨部135、統括職位従事者特定部136、管理問題通知部137を備えた構成であっても良い。
サーバー100bの運営主体は、ここでは、国、自治体、公益財団法人、公益社団法人、業界団体、民間企業のいずれかまたはそれらの共同体のいずれかとして説明するが、運営主体は限定されない。
【0055】
企業評価指標提供部150は、参加する複数の企業体をまたがって測定された職務認知スコアを、業界単位で客観化されている企業評価指標データとして提供するものである。企業評価指標提供部150は各企業で個別に得られる組織単位または職務単位の職務認知スコアについて、企業間で統一された企業評価指標を生成する。
各企業で個別に得られる職務認知スコアを特段調整せずに生データのままで企業評価指標データとする場合、企業評価指標提供部150は無調整にて各企業で測定された職務認知スコアを企業評価指標とする。企業ごとに企業規模の違いによる調整や、企業の売り上げや業績の違いによる調整や、従事する地域の違いによる調整や、従事者における正社員と派遣社員の比率の過多の違いによる調整や、従事者における男女の比率の過多の違いによる調整、従事者における平均年齢の違いによる調整など、企業ごとに異なる環境を織り込んで企業間で統一された企業評価指標を生成する上ではこれら調整が必要な場合があり得る。
【0056】
ビジネス認知スコア提示部160は、企業評価指標提供部150が算出した企業ごとの職務認知スコアを対外的に提示したりデータ提供したりするものである。
ビジネス認知スコア提示部160は、組織単位または職務単位の職務認知スコアの履歴データをファイル化したビジネス認知スコアファイルを備え、ビジネス認知スコアファイルを公開したり、他者からのリクエストに応じて閲覧可能としたりするものである。
図10に示した構成例では、サーバー100bのビジネス認知スコア提示部160によりインターネットなどのネットワークを通じて、企業ごとの職務認知スコアを対外的に提示できる構成となっている。なお、企業には職務認知スコアの公開を望まない企業もあり得るので、企業ごとに職務認知スコアの公開の可否を設定する運用も可能である。
【0057】
例えば、就職活動や転職活動において、求職者にとっては組織単位または職務単位の職務認知スコアの履歴データは重要である一方、採用活動において良い人材を求めている企業側にとっても、求職者に自らの企業の職務認知スコアを提示することは採用活動に資することとなる。そのため、企業が本発明の職務認知機能測定システムの導入を促進し、積極的に企業の職務認知スコアを提示することが期待される。
【0058】
以上、本発明の職務認知機能測定システムの構成例における好ましい実施例を図示して説明してきたが、本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の職務認知機能測定システムは、従事者の仕事上求められる職業認知や、組織単位または職務単位の職務認知の測定システムとして広く適用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 職務認知機能測定システム
100 サーバー
110 職務対応型タスク提供部
120 従事者単位の職務認知スコア算出部、
130 職務認知評価部
131 重み付け評価部
132 職務認知変化検出部
133 マクロ調整部
134 職位変更推奨部
135 配置転換推奨部
136 統括職位従事者特定部
137 管理問題通知部
140 データ記憶部
150 企業評価指標提供部
160 ビジネス認知スコア提示部
200 クライアント
【要約】
【課題】 各従事者の職務上求められる職務認知機能、さらに組織単位や職務単位の職務認知機能というものを測定できる職務認知機能測定システムを提供する。
【解決手段】 職務上必要とされるタスクを被検組織の従事者に回答させて従事者の職務認知スコアを得て、従事者の職務認知機能を総体的に統合して被検組織の組織単位または職務単位の認知機能を測定する。タスクが汎用の共通認知テストと職務に応じた職務別の認知テストを含む職務対応型タスクである。職務対応型タスク提供部110により職務対応型タスクを提供する。職務認知スコア算出部120により従事者ごとの職務認知スコアを算出する。職務認知評価部130により職務認知スコア算出部120で得た従事者ごとの職務認知スコアを基にして組織単位または職務単位の職務認知スコアを評価する。実際の経済活動の単位である組織全体や職務単位の認知機能を客観的に測定する。
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