(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】流体検知センサ
(51)【国際特許分類】
G01P 13/00 20060101AFI20220914BHJP
【FI】
G01P13/00 C
(21)【出願番号】P 2022055601
(22)【出願日】2022-03-30
【審査請求日】2022-03-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】593049017
【氏名又は名称】セキ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】迫田 宏治
(72)【発明者】
【氏名】三浦 誠司
(72)【発明者】
【氏名】小田 直樹
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-126841(JP,A)
【文献】実開昭60-102649(JP,U)
【文献】特開平6-167507(JP,A)
【文献】特開2014-92503(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0025626(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01P13/00-13/04
G01F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の存在を検知す
る流体検知センサ
において、
前記流体が存在し得る流路に連通す
るシリンダと、
前記
シリンダの内部において前記流体からの圧力を受け
且つ前記シリンダの内部を往復動可能なピストンと、
前記ピストンにおける前記流路とは反対側である先端側に連結されたロッドと、
前記ピストンを前記流路側である基端側に付勢する弾性部材と、を備え、
前記流路における前記流体の圧力により、前記ピストンが前記先端側に押され且つ前記弾性部材の付勢力に抗して前記先端側に移動することによって、前記ロッドは、前記シリンダにおける前記先端側の開口部から突出する、流体検知センサ
であって、
前記先端側に臨み且つ前記開口部から突出した前記ロッドが映る鏡面部を備える、流体検知センサ。
【請求項2】
請求項
1に記載の流体検知センサであって、
前記鏡面部は、前記シリンダにおける前記先端側の開口縁部に施されている、流体検知センサ。
【請求項3】
請求項
1又は
2に記載の流体検知センサであって、
前記鏡面部は、前記基端側に凹んでいる、流体検知センサ。
【請求項4】
流体の存在を検知す
る流体検知センサ
において、
前記流体が存在し得る流路に連通す
るシリンダと、
前記
シリンダの内部において前記流体からの圧力を受け
且つ前記シリンダの内部を往復動可能なピストンと、
前記ピストンにおける前記流路とは反対側である先端側に連結されたロッドと、
前記ピストンを前記先端側に付勢する弾性部材と、を備え、
前記流路における前記流体の圧力により、前記ピストンが前記流路側である基端側に引かれ且つ前記弾性部材の付勢力に抗して前記基端側に移動することによって、前記ロッドは、前記シリンダにおける前記先端側の開口部から引っ込む、流体検知センサ
であって、
前記先端側に臨み且つ前記開口部から突出した前記ロッドが映る鏡面部を備える、流体検知センサ。
【請求項5】
請求項
4に記載の流体検知センサであって、
前記鏡面部は、前記シリンダにおける前記先端側の開口縁部に施されている、流体検知センサ。
【請求項6】
請求項
4又は
5に記載の流体検知センサであって、
前記鏡面部は、前記基端側に凹んでいる、流体検知センサ。
【請求項7】
流体の存在を検知する流体検知センサであって、
前記流体が存在し得る流路に連通する収容部と、
前記収容部の内部において前記流体からの圧力を受け且つ液体の溜められた液溜り部と、を備え、
前記流路における前記流体の圧力により、
前記液溜り部が
前記流路とは反対側である先端側に押されることによって、前記液体が前記液溜り部から噴射される、流体検知センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流体の存在を検知する流体検知センサに関する。
【背景技術】
【0002】
流路における流体の存在を検知する流体検知センサが知られている。例えば、特許文献1に開示の電磁流量計は、配管の途中に接続されるボディと、ボディの内側に形成されて配管を流れる流体が通過する計測路と、計測路内に磁束を発生させる電磁石と、計測路内に対向配置された一対の検知電極と、を備える。電磁流量計は、計測路内を流体が流れることによって一対の検知電極の間に生じた電位差に基づいて、流体の流量を計測する。電磁流量計は、ボディの内側に取り付けられることで、計測路の断面積を変更可能な計測路変更部材をさらに備える。
【0003】
かかる構成によれば、配管に流れる流量に応じて、電磁流量計のボディに計測路変更部材を適宜着脱することで計測路の断面積が変更され、計測路内の流速を流量計測に適した大きさに近づけることができる。これにより、1台の電磁流量計で、流量が異なる複数種類の配管に対応することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この種の電磁流量計は、電気系統の設置が不可欠であり、複雑な構成にならざるを得ない。また、流路における流体の流れのON/OFFのみを単に検知したい場合や、流路における流体の存在の有無のみを単に検知したい場合には、流量の計測までは必要なく、上記電磁流量計はオーバスペックである。
【0006】
本開示は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡単な構成でもって、流路における流体の存在を検知することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1態様に係る流体検知センサは、流体の存在を検知する流体検知センサであって、上記流体が存在し得る流路に連通する収容部と、上記収容部の内部において上記流体からの圧力を受ける受圧部と、を備え、上記流路における上記流体の圧力により、上記受圧部が上記流路とは反対側である先端側に押される。
【0008】
かかる構成によれば、流体が流路に存在するとき、受圧部は、流路における流体の圧力によって、流路とは反対側の先端側に押される。ユーザは、受圧部が押される様子を視認することによって、流体が流路に存在することを検知することができる。
【0009】
また、この流体検知センサでは、収容部の内部において受圧部が流体により押されるだけなので、構成が簡単である。
【0010】
以上、簡単な構成でもって、流路における流体の存在を検知することができる。
【0011】
一実施形態に係る流体検知センサは、流体の存在を検知する流体検知センサであって、上記流体が存在し得る流路に連通する上記収容部としてのシリンダと、上記シリンダの内部を往復動可能な上記受圧部としてのピストンと、上記ピストンにおける上記流路とは反対側である先端側に連結されたロッドと、上記ピストンを上記流路側である基端側に付勢する弾性部材と、を備え、上記流路における上記流体の圧力により、上記ピストンが上記弾性部材の付勢力に抗して上記先端側に移動することによって、上記ロッドは、上記シリンダにおける上記先端側の開口部から突出する。
【0012】
かかる構成によれば、流体が流路に存在するとき、ピストンは、流路における流体の圧力によって、弾性部材の付勢力に抗して流路とは反対側の先端側に押されて、シリンダの内部を先端側に移動する。これにより、ピストンの先端側に連結されたロッドは、シリンダにおける先端側の開口部から突出する。ユーザは、シリンダの開口部からロッドが突出する様子を視認することによって、流体が流路に存在することを検知することができる。
【0013】
また、この流体検知センサでは、機械的作用によってピストン及びロッドがシリンダの内部を往復動するので、上記電磁流量計のように電気系統が必要なく、構成が簡単である。
【0014】
以上、簡単な構成でもって、流路における流体の存在を検知することができる。
【0015】
一実施形態では、上記先端側に臨み且つ上記開口部から突出した上記ロッドが映る鏡面部を備える。
【0016】
ロッドの往復動を先端側から見た場合、ロッドが視線方向の手前側と奥行側との間で移動するだけなので、ロッドの往復動を視認し難い場合がある。そこで、シリンダの開口部から突出したロッドを鏡面部に映すことによって、ユーザは、シリンダの開口部からロッドが突出する様子を、先端側からであっても、鮮明に視認することができる。
【0017】
一実施形態では、上記鏡面部は、上記シリンダにおける上記先端側の開口縁部に施されている。
【0018】
かかる構成によれば、鏡面部を構成するための新たな部材を用意する必要がなく、部品点数を低減することができる。
【0019】
一実施形態では、上記鏡面部は、上記基端側に凹んでいる。
【0020】
かかる構成によれば、シリンダの開口部から突出したロッドが、鏡面部に映りやすくなる。
【0021】
一実施形態に係る流体検知センサは、流体の存在を検知する流体検知センサであって、上記流体が存在し得る流路に連通する上記収容部としてのケーシングと、上記ケーシングの内部に設けられた回動軸回りに、上記流路側である基端側と上記流路とは反対側である先端側との間で回動可能な、上記受圧部としての回動部材と、を備え、上記流路における上記流体の圧力によって、上記回動部材が上記基端側から上記先端側に回動する。
【0022】
かかる構成によれば、流体が流路に存在するとき、回動部材は、流路における流体の圧力によって、回動軸回りに、流路側である基端側から、流路とは反対側である先端側に、回動する。ユーザは、回動部材が回動する様子を視認することによって、流体が流路に存在することを検知することができる。
【0023】
また、この流体検知センサでは、機械的作用によって回動部材がケーシングの内部を回動するので、上記電磁流量計のように電気系統が必要なく、構成が簡単である。
【0024】
以上、簡単な構成でもって、流路における流体の存在を検知することができる。
【0025】
一実施形態では、上記流路における上記流体の圧力により、光源を起動又は停止させるための上記受圧部としての押圧スイッチが上記先端側に押される。
【0026】
かかる構成によれば、流体が流路に存在するとき、押圧スイッチが先端側に押されることによって、光源が起動又は停止する。ユーザは、光源のON・OFFを視認することによって、流体が流路に存在することを検知することができる。
【0027】
一実施形態では、上記流路における上記流体の圧力により、液体の溜められた上記受圧部としての液溜り部が上記先端側に押されることによって、上記液体が上記液溜り部から噴射される。
【0028】
かかる構成によれば、流体が流路に存在するとき、液溜り部が先端側に押されることによって、液体が液溜り部から噴射される。ユーザは、液溜り部からの液体の噴射を視認することによって、流体が流路に存在することを検知することができる。
【0029】
本開示の第2態様に係る流体検知センサは、流体の存在を検知する流体検知センサであって、前記流体が存在し得る流路に連通する収容部と、前記収容部の内部において前記流体からの圧力を受ける受圧部と、を備え、前記流路における前記流体の圧力により、前記受圧部が前記流路側である基端側に引かれる。
【0030】
かかる構成によれば、流路における流体の圧力が負圧の場合に、受圧部は、流路における流体の圧力(負圧)によって、流路側の基端側に引かれる。ユーザは、受圧部が引かれる様子を視認することによって、流路における流体の圧力が負圧であることを検知することができる。
【発明の効果】
【0031】
本開示によれば、簡単な構成でもって、流路における流体の存在を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、本開示の第1実施形態に係る流体検知センサを正面図で示す。
【
図2】
図2は、エアがパイプに流れていない状態における流体検知センサを正面断面図で示す。
【
図3】
図3は、シリンダの先端側をIII矢視における斜視図で示す。
【
図4】
図4は、エアがパイプに流れている状態における
図2相当図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態の変形例に係る流体検知センサをエアシリンダ機構に適用した場合を示す。
【
図6】
図6は、第2実施形態の
図4相当図であって、流体検知センサを示す。
【
図7】
図7は、第3実施形態の
図4相当図であって、流体検知センサを示す。
【
図8】
図8は、第4実施形態の
図4相当図であって、流体検知センサを示す。
【
図9】
図9は、第5実施形態の
図4相当図であって、流体検知センサを示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物あるいはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0034】
<第1実施形態>
(流体検知センサ)
図1は、本開示の第1実施形態に係る流体検知センサ1を、正面図で示す。流体検知センサ1は、流路2における流体Wの存在を検知する。具体的には、流体検知センサ1は、流路2における流体Wの流れを検知する。
【0035】
流路2は、パイプ(以下、「パイプ2」という場合がある)である。流体Wは、エア(以下、「エアW」という場合がある)である。エアWは、パイプ2に存在し得る。具体的には、エアWは、パイプ2を流れる。流体検知センサ1は、パイプ2の途中に接続されている。詳細は後述するが、ユーザUは、ロッド40がシリンダ20から突出するか否かを視認することによって、エアWがパイプ2に流れているか否かを検知することができる。
【0036】
図2は、流体検知センサ1を、正面断面図で示す。流体検知センサ1は、ボディ10と、収容部としてのシリンダ20と、受圧部としてのピストン30と、ロッド40と、弾性部材としてのコイルばね50と、カバー60と、備える。カバー60は、ガラス製である。その他の部材10,20,30,40,50は、金属製である。
【0037】
ボディ10は、パイプ2の途中に接続されている。ボディ10の内部11には、空間が形成されている。ボディ10の内部11は、パイプ2に連通している。ボディ10の内部11には、パイプ2からのエアWが流れる。エアWの流れ方向H(パイプ2の長手方向)におけるボディ10の両端部には、2つの継手12が設けられている。ボディ10とパイプ2とは、2つの継手12によって、互いに接続される。
【0038】
シリンダ20は、ボディ10に接続されている。シリンダ20は、円筒状である。シリンダ20の軸方向Xは、エアWの流れ方向Hに直交している。シリンダ20の内部21には、空間が形成されている。シリンダ20の内部21は、ボディ10の内部11に連通している。すなわち、シリンダ20の内部21は、ボディ10の内部11を介して、パイプ2に連通している。
【0039】
ここで、シリンダ20の軸方向Xにおけるパイプ2側(ボディ10側)を、基端側X1という。シリンダ20の軸方向Xにおけるパイプ2(ボディ10)とは反対側を、先端側X2という。
【0040】
シリンダ20における先端側X2の開口部22は、外部に臨んでいる。シリンダ20における先端側X2の開口縁部(ヘッド)23には、鏡面磨きによって、鏡面部24が施されている。
【0041】
鏡面部24は、光を反射するとともに、物体の像が映る。「鏡面磨き」は、シリンダ20の開口縁部23の凹凸(表面粗さ)が極力小さくなるように研磨(鏡面仕上げ)したり、鏡面コーティングしたりする等の、公知の種々の方法によって得られる。
【0042】
図3は、シリンダ20の先端側X2を、III矢視における斜視図で示す。
図2,3に示すように、鏡面部24は、先端側X2に臨む。鏡面部24は、基端側X2に凹んでいる。鏡面部24は、円弧状(半球状、放物面状、椀状)に形成されている。詳細には、鏡面部24は、シリンダ20の外周側から内周側に至るに従って、基端側X2に凹んでいる。
【0043】
ピストン30は、シリンダ20の内部21に、配置されている。ピストン30は、円盤状である。ピストン30の外径は、シリンダ20の内径と略同じである。ピストン30は、シリンダ20の内部21を摺動する。ピストン30は、シリンダ20の内部21を軸方向Xに往復動可能である。ピストン30の受圧面31は、基端側X1を向いており、ボディ10の内部11に臨んでいる。
【0044】
詳細は後述するが、エアWがパイプ2に流れている(存在する)とき、ピストン30の受圧面31は、シリンダ20の内部21において、パイプ2を流れるエアWからの圧力Pを、受ける(
図4参照)。
【0045】
ロッド40は、ピストン30における先端側X2の取付面32に、連結されている。ロッド40は、円柱状であって、軸方向Xに延びている。ロッド40の外径は、ピストン30の外径よりも小さい。ピストン30の受圧面31に圧力Pが加わらない無負荷状態のとき、ロッド40の先端部41は、シリンダ20の開口部22よりも基端側X1に位置する。ピストン30の取付面32は、通常、大気圧を受ける。
【0046】
ロッド40の色とシリンダ20(特に開口縁部23)の色とは、補色の関係にあることが好ましい。「補色」とは、互いに混合することで無彩色を生成し得る2色の有彩色の組合せを、意味する。
【0047】
コイルばね50は、シリンダ20の内部21におけるピストン30よりも先端側X2に配置されており、ロッド40の外周部に巻き付けられている。コイルばね50の基端側X1の基端部は、ピストン30の取付面32に、接着剤等で固定されている。コイルばね50の先端側X2の先端部は、シリンダ20の内壁に、接着剤等で固定されている。コイルばね50は、その弾性力(付勢力)Fによって、ピストン30を基端側X1に付勢する(押し付ける)。
【0048】
ガラス製のカバー60は、半シェル状(ドーム状)である。カバー60は、シリンダ20の先端側X2に取り付けられており、シリンダ20の開口部22を先端側X2から覆っている。カバー60の開口部61は、シリンダ20の開口部22に臨んでいる。
【0049】
カバー60の頂点62は、先端側X2から、ロッド40の先端部41に臨んでいる。カバー60は、透明又は半透明である。「透明又は半透明」とは、カバー60を介して一方側から他方側を視認可能な程度の透過率であることを、意味する。
【0050】
流体検知センサ1の動作について、
図2,4を参照しながら説明する。
図2は、エアWがパイプ2に流れていない(存在しない)状態を示す。
図4は、エアWがパイプ2に流れている(存在する)状態を示す。
【0051】
図2に示すように、エアWがパイプ2に流れていない(存在しない)とき、ピストン30の受圧面31に圧力Pが加わらないので、ピストン30は、コイルばね50の弾性力(付勢力)Fによって、基端側X1に位置付けられる(押し付けられる)。このとき、ロッド40の先端部41は、シリンダ20の開口部22よりも基端側X1に位置する。
【0052】
一方、
図4に示すように、エアWがパイプ2に流れている(存在する)とき、ピストン30は、パイプ2(詳細にはボディ10の内部11)を流れるエアWの圧力Pによって、コイルばね50の弾性力(付勢力)Fに抗して先端側X2に押されて、シリンダ20の内部21を先端側X2に移動する。これにより、ロッド40の先端部41は、シリンダ20における先端側X2の開口部22から先端側X2に突出する。
【0053】
このとき、ロッド40の先端部41は、シリンダ20の開口縁部23に施された鏡面部24よりも、先端側X2に位置する。これにより、シリンダ20の開口部22から先端側X2に突出したロッド40の先端部41は、鏡面部24に映る。
【0054】
また、シリンダ20の開口部22から先端側X2に突出したロッド40は、カバー60によって、先端側及び外周側から覆われる。
【0055】
(作用効果)
以上の通り、本実施形態によれば、ユーザUは、ピストン30が押される様子を視認することによって、エアWがパイプ2に流れている(存在する)ことを検知することができる。具体的には、ユーザUは、シリンダ20の開口部22からロッド40の先端部41が突出する様子を視認することによって、エアWがパイプ2に流れている(存在する)ことを検知することができる。
【0056】
また、流体検知センサ1では、シリンダ20の内部21においてピストン30がエアWにより押されるだけなので、構成が簡単である。具体的には、流体検知センサ1では、機械的作用によってピストン30及びロッド40がシリンダ20の内部21を往復動するので、電磁流量計のように電気系統が必要なく、構成が簡単である。
【0057】
以上、簡単な構成でもって、パイプ2におけるエアWの流れ(存在)を検知することができる。流体検知センサ1は、パイプ2におけるエアWの流れのON/OFFのみを単に検知したい場合に、特に有効である。
【0058】
シリンダ20の開口部22から突出したロッド40の先端部41をカバー60で覆うことによって、往復動するロッド40からユーザUを保護することができる。また、ユーザUは、ロッド40の先端部41を、カバー60越しに、視認し得る。
【0059】
ここで、ロッド40の往復動を先端側X2から見た場合、ロッド40が視線方向Lの手前側と奥行側との間で移動するだけなので、ロッド40の往復動を視認し難い場合がある。 そこで、シリンダ20の開口部22から突出したロッド40の先端部41を鏡面部24に映すことによって、ユーザUは、シリンダ20の開口部22からロッド40の先端部41が突出する様子を、先端側X2からであっても、鮮明に視認することができる。
【0060】
シリンダ20の開口縁部23を鏡面磨きすることによって鏡面部24を形成しているので、鏡面部24を構成するための新たな部材を用意する必要がなく、部品点数を低減することができる。
【0061】
鏡面部24が基端側X1に凹んでいるので、シリンダ20の開口部22から突出したロッド40の先端部41が、鏡面部24に映りやすくなる。
【0062】
ロッド40の色とシリンダ20の色とが補色の関係にあることによって、ロッド40の往復動が視認しやすくなる。
【0063】
(第1実施形態の変形例)
鏡面部24は、シリンダ20の開口縁部23を鏡面磨きすることによって形成されるのではなく、別部材(例えば反射ミラーやレンズ)として新たに設けられてもよい。また、鏡面部24は、必ずしも基端側X1に凹む必要はなく、例えばフラット面状に形成されてもよい。さらに、流体検知センサ1は、鏡面部24を備えなくてもよい。
【0064】
弾性部材50は、コイルばねに限定されず、例えばゴムでもよい。ボディ10、シリンダ20、ピストン30及びロッド40の材質は、金属に限定されず、例えば樹脂でもよい。特に、可動部材であるピストン30及びロッド40を樹脂で形成することによって、これらの重量が小さくなり、シリンダ20の内部21を往復動しやすくなる。
【0065】
カバー60の形状は、半シェル状(ドーム状)に限定されず、例えばフラット状でもよい。カバー60は、反射面が多数設けられたレンズで構成されてもよい。カバー60の材質は、ガラスに限定されず、例えば樹脂でもよい。さらに、流体検知センサ1は、カバー60を備えなくてもよい。
【0066】
エアWがパイプ2に流れている(存在する)とき、ロッド40の先端部41は、元の状態に比較して相対的に、先端側X2に突出しさえすればよい。
【0067】
流体検知センサ1は、必ずしも、パイプ2の途中に接続されなくてもよい。
図5は、第1実施形態の変形例に係る流体検知センサ1をエアシリンダ機構70に適用した場合を示す。
図5に示すように、流体検知センサ1におけるボディ10の一方の継手12は、エアシリンダ機構70の第1エア供給口(第1エア排出口)71に、接続されている。なお、一方の継手12の位置は、上記実施形態と異なる。他方の継手12は、パイプ2に接続されている。
【0068】
流体検知センサ1におけるシリンダ20の内部21は、ボディ10の内部11及び第1エア供給口(第1エア排出口)71を介して、エアシリンダ機構70におけるシリンダ72の内部72aに、連通している。なお、シリンダ72の内部72aには、ピストン73が配置されている。ピストン73には、ロッド74が連結されている。ロッド74は、シリンダ72から突出している。
【0069】
シリンダ72の内部72aは、ピストン73を境に、第1室75と第2室76とに、区画されている。第1室75は、第1エア供給口(第1エア排出口)71に連通している。第2室76は、第2エア供給口(第2エア排出口)77に連通している。ロッド74は、第2室76に配置されている。第1室75にエアWが供給されると、ロッド74が進む(
図5参照)。第2室76にエアWが供給されると、ロッド74が退く(図示せず)。エアWは、第1エア供給口(第1エア排出口)71及び第2エア供給口(第2エア排出口)77を介して、シリンダ20に対して供給又は排出される。
【0070】
この構成によれば、エアシリンダ機構70におけるシリンダ72の内部72aへのエアWのON/OFFを、検知することができる。さらに、エアシリンダ機構70よりも上流側においてソレノイドバルブや流体操作機器などを同時にチェックすることができるので、エアシーケンス回路を目視することができる。なお、流体検知センサ1を、第2エア供給口(第2エア排出口)77に接続してもよい。
【0071】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る流体検知センサ1について、
図6を参照しながら説明する。なお、上記実施形態と同様の構成については、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0072】
流体検知センサ1は、収容部としてのケーシング80と、受圧部としての回動部材81と、を備える。ケーシング80の内部80aは、ボディ10の内部11を介して、パイプ2に連通している。
【0073】
回動部材81は、板状である。回動部材81の厚み方向は、パイプ2側(ボディ10側)に臨んでいる。回動部材81は、ケーシング80の内部80aにおいて、パイプ2を流れるエアWからの圧力Pを受ける。回動部材81におけるエアWからの受圧方向において、パイプ2側(ボディ10側)を基端側X1といい、パイプ2(ボディ10)とは反対側を先端側X2という。ケーシング80は、例えば、円筒状(シリンダ状)である。ケーシング80の先端側X2には、カバー60が取り付けられている。カバー60は、例えば、ガラス製であって、半シェル状である。
【0074】
ケーシング80の内部80a、具体的にはケーシング80の内壁部80bには、回動軸82が、設けられている。回動軸82は、例えばヒンジで構成されている。回動軸82は、上記受圧方向に直交して延びている。回動部材81の一端部81aは、回動軸82に回動可能に連結されている。回動部材81の他端部81bは、回動軸82回りに、基端側X1と先端側X2との間で回動可能である。回動部材81の他端部81bは、重力によって、基端側X1に付勢されている。
【0075】
エアWがパイプ2に流れている(存在する)とき、回動部材81の他端部81bは、パイプ2を流れるエアWの圧力Pによって、回動軸82回りに、基端側X1から先端側X2に回動する。
【0076】
本実施形態によれば、ユーザUは、回動部材81が回動する様子を視認することによって、エアWがパイプ2に流れている(存在する)ことを検知することができる。
【0077】
また、この流体検知センサ1では、機械的作用によって回動部材81がケーシング80の内部80aを回動するので、電磁流量計のように電気系統が必要なく、構成が簡単である。
【0078】
以上、簡単な構成でもって、パイプ2におけるエアWの流れ(存在)を検知することができる。
【0079】
なお、回動部材81は、板状に限定されず、例えば棒状でもよい。また、回動部材81は、一端部81aを中心として他端部81bにおいて広がった扇形状(扇柱状)でもよい。ケーシング80は、円筒状に限定されず、例えば、球状、ドーム状又は多角形状(多角柱状)等でもよい。ケーシング80は、カバー60と一体的に形成されてもよい。回動部材81の他端部81bは、スプリング等の付勢手段によって、基端側X1に付勢されてもよい。回動部材81は、中間部材を介して、エアWからの圧力Pを受けてもよい。
【0080】
<第3実施形態>
第3実施形態に係る流体検知センサ1について、
図7を参照しながら説明する。なお、上記実施形態と同様の構成については、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。本実施形態では、ケーシング80の内部80aには、ランプ83が配置されている。詳細には、ランプ83は、ケーシング80の内壁部80bに固定されている。ランプ83は、例えば、公知の電池式LEDランプである。ランプ83は、光を発する光源83aと、受圧部としての押圧スイッチ83bと、を有する。光源83aは、パイプ2(ボディ10)とは反対側(先端側X2)に臨んでいる。押圧スイッチ83bは、パイプ2側(ボディ10側:基端側X1)に臨んでいる。
【0081】
押圧スイッチ83bは、内部のスプリング(図示せず)の弾性力によって、基端側X1に付勢されている。押圧スイッチ83bをスプリングの弾性力に抗して先端側X2に押すと、光源83aが起動(ON)して発光する。一方、押圧スイッチ83bを先端側X2に押さなければ、光源83aが停止(OFF)して発光しない。すなわち、押圧スイッチ83bは、光源83aを起動させるためにある。
【0082】
エアWがパイプ2に流れている(存在する)とき、ランプ83の押圧スイッチ83bは、パイプ2を流れるエアWの圧力Pによって、先端側X2に押される。これにより、ランプ83の光源83aは、起動(ON)する。その他の構成は、第2実施形態と同様である。
【0083】
ユーザUは、ランプ83の光源83aのON・OFFを視認することによって、エアWがパイプ2に流れている(存在する)ことを検知することができる。また、電池式のランプ83を用いることによって、構成が簡単になる。
【0084】
なお、押圧スイッチ83bを先端側X2に押すときに、光源83aが停止(OFF)して発光しない一方、押圧スイッチ83bを先端側X2に押さないときに、光源83aが起動(ON)して発光してもよい。すなわち、押圧スイッチ83bは、光源83aを停止させるためにあってもよい。この場合、パイプ2を流れるエアWの圧力Pによりランプ83の押圧スイッチ83bが先端側X2に押されることによって、ランプ83の光源83aが停止(OFF)する。
【0085】
押圧スイッチ83bは、重力によって、基端側X1に付勢されてもよい。押圧スイッチ83bは、中間部材を介して、エアWからの圧力Pを受けてもよい。また、ランプ83を外部電源に接続して、外部電源からの電気信号を読み取ることによって、パイプ2におけるエアWの流れを検知してもよい。
【0086】
<第4実施形態>
第4実施形態に係る流体検知センサ1について、
図8を参照しながら説明する。なお、上記実施形態と同様の構成については、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。本実施形態では、ケーシング80の内部80aには、受圧部としての液溜り部84が配置されている。液溜り部84は、容器(以下、「容器84」という)で構成されている。容器84は、略直方体状である。容器84は、ケーシング80の内壁部80bに固定されている。容器84は、例えばビニル製である。容器84の内部には、液体Cが溜められている。
【0087】
容器84の底壁部84aは、パイプ2側(ボディ10側:基端側X1)に臨んでいる。容器84には、内外を連通する開口部84bが設けられている。容器84の開口部84bは、底壁部84aに対向しており、パイプ2(ボディ10)とは反対側(先端側X2)に臨んでいる。
【0088】
容器84の底壁部84aを先端側X2に押すと、容器84の内部に溜められた液体Cは、開口部84bを介して、容器84の内部から外部へと、先端側X2に向かって噴射される。
【0089】
エアWがパイプ2に流れている(存在する)とき、容器84の底壁部84aは、パイプ2を流れるエアWの圧力Pによって、先端側X2に押される。これにより、容器84の内部に溜められた液体Cは、開口部84bを介して、容器84の内部から外部へと、先端側X2に向かって噴射される。その他の構成は、第2実施形態と同様である。
【0090】
ユーザUは、容器84からの液体Cの噴射を視認することによって、エアWがパイプ2に流れている(存在する)ことを検知することができる。また、機械的作用により液体Cが容器84から噴射されるので、構成が簡単になる。
【0091】
容器84の底壁部84aは、中間部材を介して、エアWからの圧力Pを受けてもよい。開口部84bが容器84の側壁部に設けられて、液体Cが横方向(先端側X2に直交する方向)に噴射されてもよい。容器84は、例えば、球形状でもよい。
【0092】
<第5実施形態>
第5実施形態に係る流体検知センサ1について、
図9を参照しながら説明する。なお、上記実施形態と同様の構成については、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0093】
本実施形態では、流体検知センサ1は、エアWの存在を検知する。流体検知センサ1は、エアWが存在し得るパイプ2に連通する収容部としてのシリンダ20と、シリンダ20の内部21においてエアWからの圧力Q1を受け且つシリンダ20の内部21を往復動可能な受圧部としてのピストン30と、ピストン30におけるパイプ2とは反対側である先端側X2に連結されたロッド40と、ピストン30をパイプ2とは反対側である先端側X2に付勢する弾性部材としてのコイルばね90と、を備える。
【0094】
ここで、ピストン30におけるパイプ2とは反対側である先端側X2の取付面32は、大気圧Q0を受ける。パイプ2にはバキュームポンプ(真空ポンプ)が接続されており、パイプ2を流れるエアWの圧力Q1は、負圧(Q1<Q0)である。そして、パイプ2を流れるエアWの圧力(負圧)Q1とコイルばね90の弾性力(付勢力)Jとの合計が、ピストン30の取付面32が受ける大気圧Q0よりも小さいとする(Q1+J<Q0)。
【0095】
ピストン30は、パイプ2を流れるエアWの圧力(負圧)Q1、コイルばね90の弾性力(付勢力)J及びピストン30の取付面32が受ける大気圧Q0によって、パイプ2側である基端側X1に引かれる。そして、ピストン30がコイルばね90の弾性力Jに抗して基端側X1に移動することによって、ロッド40の先端部41は、シリンダ20における先端側X2の開口部22から基端側X1へ引っ込む。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0096】
本実施形態によれば、パイプ2を流れるエアWの圧力Q1が負圧(Q1<Q0)の場合に、ピストン30は、パイプ2を流れるエアWの圧力(負圧)Q1によって、パイプ2側の基端側X1に引かれる。ユーザUは、ピストン30が基端側X1に引かれる様子(ロッド40が基端側X1に引っ込む様子)を視認することによって、パイプ2におけるエアWの圧力Q1が負圧(Q1<Q0)であることを検知することができる。なお、ロッド40の先端部41は、元の状態に比較して相対的に、基端側X1に引っ込みさえすればよい。
【0097】
<その他の実施形態>
以上、本開示を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。
【0098】
第2実施形態に係る回動部材81の他端部81bを、第5実施形態のように、パイプ2におけるエアWの圧力(負圧)Q1によって基端側X1に引いてもよい。図示しないが、この場合、流体検知センサ1は、エアWが存在し得るパイプ2に連通する収容部としてのケーシング80と、ケーシング80の内部80aにおいてエアWからの圧力(負圧)Q1を受け且つ(ケーシング80の内部80aに設けられた回動軸82回りに、パイプ2側である基端側X1とパイプ2とは反対側である先端側X2との間で回動可能な)受圧部としての回動部材81と、を備える。ここで、回動部材81におけるパイプ2とは反対側である先端側X2の面は、大気圧Q0を受ける。その他の構成は、第2実施形態と同様である。
【0099】
パイプ2を流れるエアWの圧力Q1が負圧(Q1<Q0)の場合に、回動部材81の他端部81bは、パイプ2を流れるエアWの圧力(負圧)Q1によって、パイプ2側の基端側X1に引かれる。そして、パイプ2を流れるエアWの圧力Q1が負圧(Q1<Q0)の場合に、回動部材81の他端部81bは、パイプ2を流れるエアWの圧力(負圧)Q1によって、回動軸82回りに、先端側X2から基端側X1に回動する。ユーザUは、回動部材81の他端部81bが基端側X1に引かれる(回動部材81の他端部81bが先端側X2から基端側X1に回動する)様子を視認することによって、パイプ2におけるエアWの圧力Q1が負圧(Q1<Q0)であることを検知することができる。
【0100】
流体検知センサ1は、パイプ2におけるエアWの流れのON/OFFではなく、パイプ2におけるエアWの存在の有無のみを単に検知したい場合にも、有効である。
【0101】
流体Wは、エアに限定されず、例えば液体でもよい。また、流路2は、パイプに限定されず、流体Wが存在し得るのであれば、チューブやタンク又は圧力容器等、いかなる構成でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本開示は、流体検知センサに適用できるので、極めて有用であり、産業上の利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0103】
W エア(流体)
X 軸方向
X1 基端側
X2 先端側
L 視線方向
F 弾性力(付勢力)
P 圧力
Q0 大気圧
Q1 圧力(負圧)
U ユーザ
C 液体
1 流体検知センサ
2 パイプ(流路)
10 ボディ
20 シリンダ(収容部)
21 内部
22 開口部
23 開口縁部
24 鏡面部
30 ピストン(受圧部)
40 ロッド
41 先端部
50 コイルばね(弾性部材)
60 カバー
80 ケーシング(収容部)
80a 内部
81 回動部材(受圧部)
82 回動軸
83 ランプ
83a 光源
83b 押圧スイッチ
84 容器(液溜り部、受圧部)
【要約】
【課題】簡単な構成でもって、流路における流体の存在を検知する。
【解決手段】流体検知センサ1は、エアWの存在を検知する。流体検知センサ1は、エアWが存在し得るパイプ2に連通するシリンダ20と、シリンダ20の内部21においてエアWからの圧力Pを受けるピストン30と、を備える。パイプ2におけるエアWの圧力Pにより、ピストン30がパイプ2とは反対側である先端側X2に押される。
【選択図】
図4