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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】光照射装置、露光装置、および露光方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20220914BHJP
【FI】
G03F7/20 521
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022542508
(86)(22)【出願日】2022-04-12
(86)【国際出願番号】 JP2022017551
【審査請求日】2022-07-13
(31)【優先権主張番号】P 2021069495
(32)【優先日】2021-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510138741
【氏名又は名称】フェニックス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147706
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 裕司
(72)【発明者】
【氏名】池田 富彦
(72)【発明者】
【氏名】山下 健一
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 加名
【審査官】菅原 拓路
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2015-0120180(KR,A)
【文献】国際公開第2021/070643(WO,A1)
【文献】特開2008-241877(JP,A)
【文献】特開2003-173029(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
F21K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDを有する第1光源、および、前記第1光源における前記LEDから放射されるLED光よりも多くの光量を放射する光源で構成された第2光源を備える露光用光源と、
前記第1光源および前記第2光源からの光を露光面に導く光学系具とを備えており、
前記露光用光源は、 1回の露光工程中において前記第1光源からの光では不足する場合、前記第1光源からの光に変えて前記第2光源からの光で露光を行い、
1回の露光工程中において、
前記第1光源の発光中に、前記第1光源は前記光学系具の光路上の位置にあり、
前記第2光源の発光中に、前記第1光源は前記光学系具の光路から外れた位置にある
光照射装置
【請求項2】
LEDを有する第1光源、および、前記第1光源における前記LEDから放射されるLED光よりも多くの光量を放射する光源で構成された第2光源を備える露光用光源と、
前記第1光源および前記第2光源からの光を露光面に導く光学系具とを備えており、
前記露光用光源は、 1回の露光工程中において前記第1光源からの光では不足する場合、前記第1光源からの光に変えて前記第2光源からの光で露光を行い、
1回の露光工程中において、
前記第2光源の発光中に、前記第2光源は前記光学系具の光路上の位置にあり、
前記第1光源の発光中に、前記第2光源は前記光学系具の光路から外れた位置にある
光照射装置
【請求項3】
前記光学系具は、インテグレータレンズを有している
請求項1または2に記載の光照射装置
【請求項4】
前記第1光源または前記第2光源は、前記インテグレータレンズの最大有効面よりも狭い領域を照射するようなっている
請求項に記載の光照射装置。
【請求項5】
前記第1光源または前記第2光源と前記インテグレータレンズとの間には、アパーチャーが配設されている
請求項に記載の光照射装置。
【請求項6】
請求項1または2に記載の光照射装置を備える露光装置。
【請求項7】
LEDを有する第1光源と、前記第1光源における前記LEDから放射されるLED光よりも多くの光量を放射する光源で構成された第2光源と、前記第1光源および前記第2光源からの光を露光面に導く光学系具とを用意し、
1回の露光工程中において前記第1光源からの光では不足する場合、前記第1光源からの光に変えて前記第2光源からの光で露光を行い、
1回の露光工程中において、
前記第1光源の発光中に、前記第1光源は前記光学系具の光路上の位置にあり、
前記第2光源の発光中に、前記第1光源は前記光学系具の光路から外れた位置にあるようにする
露光方法。
【請求項8】
LEDを有する第1光源と、前記第1光源における前記LEDから放射されるLED光よりも多くの光量を放射する光源で構成された第2光源と、前記第1光源および前記第2光源からの光を露光面に導く光学系具とを用意し、
1回の露光工程中において前記第1光源からの光では不足する場合、前記第1光源からの光に変えて前記第2光源からの光で露光を行い、
1回の露光工程中において、
前記第2光源の発光中に、前記第2光源は前記光学系具の光路上の位置にあり、
前記第1光源の発光中に、前記第2光源は前記光学系具の光路から外れた位置にあるようにする
露光方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に半導体を製造する際の露光に用いられる露光用光源、露光装置、および露光方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、半導体製造用等の露光装置の光源として、例えば定格12kWの大型水銀灯を1本ないし数本使用する方式が採用されてきた。しかし、1台の露光装置に使用される水銀灯の本数が少ない場合、1本でも水銀灯が不点灯状態になると直ちに光量不足に陥ってしまい当該露光装置を停止せざるを得ないことから、大型水銀灯を使用する露光装置には生産継続性に問題があった。
【0003】
さらにいえば、万一、大型水銀灯が破裂した場合には、その衝撃の大きさによってリフレクターや反射鏡等の光学系部材まで破損してしまい、交換費用等の多額の修繕費用が発生するおそれがあった。
【0004】
このような問題を回避するため、近年、より小型の放電灯(例えば300W)を多数(例えば、240灯)並べてひとつの光源とする多灯式が実用化されている。このように多灯式にすることにより、もし、複数個の放電灯が不点灯になったとしても、装置全体として大きな光量の低下を避けることができるので、露光装置の停止による生産継続停止を避けることができる。
【0005】
また、万一、小型の放電灯が破裂した場合であっても、その衝撃は比較的小さいので光学系部材まで破損させてしまう可能性が低くなる。
【0006】
このような利点を有していることから、現在、例えば液晶パネルのカラーフィルターの生産に使用される露光装置の大部分には多灯式のものが採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2020-43012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように露光装置による生産継続性をさらに追求しようとすると、光源の交換頻度を減らすために、光源の長寿命化が求められる。
【0009】
光源の長寿命化を実現する方法のひとつとして放電灯の長寿命化があり、従来の平均寿命1250時間から1900時間まで延ばすことができている。
【0010】
光源の長寿命化を実現する別の方法として、光源にLED(発光ダイオード)を使用することが考えられる。LEDの平均寿命は2万時間から3万時間と非常に長いことから、光源としてLEDを使用することで光源の交換頻度は飛躍的に低くなることは明らかである。
【0011】
しかしながら、液晶パネル等のカラーフィルターの露光に必要な光は365nmより波長の短い光であり、現在、このような短波長の光を放射できるLEDからの光量は十分なものではない。このため、カラーフィルターの露光に使用されるレジストの種類によってはLEDの出力を高くする必要があり、LEDの出力を高くすると当該LEDの寿命が短くなってしまっていた。
【0012】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、通常はLEDを用いた光源で露光を行い、露光面照度が不足する場合には別の光源を用いてより多くの光量で露光を継続することのできる露光用光源、光照射装置、露光装置、および露光方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一局面によれば、
LEDを有する第1光源、および、前記第1光源における前記LEDから放射されるLED光よりも多くの光量を放射する光源で構成された第2光源を備える露光用光源と、
前記第1光源および前記第2光源からの光を露光面に導く光学系具とを備えており、
前記露光用光源は、1回の露光工程中において前記第1光源からの光では不足する場合、前記第1光源からの光に変えて前記第2光源からの光で露光を行い、
1回の露光工程中において、
前記第1光源の発光中に、前記第1光源は前記光学系具の光路上の位置にあり、
前記第2光源の発光中に、前記第1光源は前記光学系具の光路から外れた位置にある
光照射装置が提供される。
【0014】
本発明の他の局面によれば、
LEDを有する第1光源、および、前記第1光源における前記LEDから放射されるLED光よりも多くの光量を放射する光源で構成された第2光源を備える露光用光源と、
前記第1光源および前記第2光源からの光を露光面に導く光学系具とを備えており、
前記露光用光源は、1回の露光工程中において前記第1光源からの光では不足する場合、前記第1光源からの光に変えて前記第2光源からの光で露光を行い、
1回の露光工程中において、
前記第2光源の発光中に、前記第2光源は前記光学系具の光路上の位置にあり、
前記第1光源の発光中に、前記第2光源は前記光学系具の光路から外れた位置にある
光照射装置が提供される。
【0015】
好適には、
前記光学系具は、インテグレータレンズを有している。
【0016】
好適には、
前記第1光源または前記第2光源は、前記インテグレータレンズの最大有効面よりも狭い領域を照射するようなっている。
【0017】
好適には、
前記第1光源または前記第2光源と前記インテグレータレンズとの間には、アパーチャーが配設されている。
【0018】
本発明の他の局面によれば、
上述し光照射装置を備える露光装置が提供される。
【0019】
本発明の他の局面によれば、
LEDを有する第1光源と、前記第1光源における前記LEDから放射されるLED光よりも多くの光量を放射する光源で構成された第2光源と、前記第1光源および前記第2光源からの光を露光面に導く光学系具とを用意し、
1回の露光工程中において前記第1光源からの光では不足する場合、前記第1光源からの光に変えて前記第2光源からの光で露光を行い、
1回の露光工程中において、
前記第1光源の発光中に、前記第1光源は前記光学系具の光路上の位置にあり、
前記第2光源の発光中に、前記第1光源は前記光学系具の光路から外れた位置にあるようにする
露光方法が提供される。
さらに、本発明の別の局面によれば、
LEDを有する第1光源と、前記第1光源における前記LEDから放射されるLED光よりも多くの光量を放射する光源で構成された第2光源と、前記第1光源および前記第2光源からの光を露光面に導く光学系具とを用意し、
1回の露光工程中において前記第1光源からの光では不足する場合、前記第1光源からの光に変えて前記第2光源からの光で露光を行い、
1回の露光工程中において、
前記第2光源の発光中に、前記第2光源は前記光学系具の光路上の位置にあり、
前記第1光源の発光中に、前記第2光源は前記光学系具の光路から外れた位置にあるようにする
露光方法が提供される。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る露光用光源によれば、通常はLEDを用いた光源で露光を行い、露光面照度が不足する場合には別の光源を用いてより多くの光量で露光を継続するようになっているので、LEDの寿命を不必要に損なうことなく、露光光量が不足するのを回避できた。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明が適用された光照射装置10を示す図である。
図2】変形例1に係る光照射装置10を示す図である。
図3】変形例2に係る光照射装置10を示す図である。
図4】変形例3に係る、第1光源20から放射される光による露光量のイメージを示す図である。
図5】変形例3に係る、第1光源20から放射される光による露光量のイメージを示す図である。
図6】光学系具14にシャッターSが加えられた光照射装置10を示す図である。
図7】従来技術に係る一般的なコリメーション半角を示す図である。
図8】変形例3に係る光照射装置10におけるコリメーション半角の一例を示す図である。
図9】変形例3に係る光照射装置10におけるコリメーション半角の別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(光照射装置10の構成)
本発明が適用された実施形態に係る光照射装置10について以下に説明する。光照射装置10は、主に液晶パネルを製造する際の露光のために露光装置に組み込まれて用いられる。この光照射装置10は、図1に示すように、大略、露光用光源12と、光学系具14とを備えている。
【0023】
露光用光源12は、レジストが塗布されたワーク(露光対象物)Xが載置される露光面Aに向けて露光用光Lを照射するものであり、本実施形態では、第1光源20と、第2光源22とを備えている。なお、3つ以上の光源(例えば、第3光源や第4光源)で露光用光源12を構成してもよい。
【0024】
第1光源20は、複数のLED30が並べて配置された光源であり、これらLED30が放射する光(LED光)の波長は例えば365nmよりも短い側にピークがある。第1光源20を構成するLED30の数は特に限定されるものではなく、1つのLED30で第1光源20を構成してもよい。また、それぞれ波長の異なる複数のLED30を配置してもよい。
【0025】
また、第1光源20から放射される光の放射角は特に限定されるものではなく、所定の開き角内にある光であってもよいし、平行化された光であってもよいし、集光された光であってもよい。
【0026】
第2光源22は、複数の光源(本実施形態では、高圧放電灯)32が並べて配置されており、この第2光源22から放射される光量は、第1光源20から放射される光量(LED光量)よりも多くなるように設定されている。また、第2光源22を構成する光源32の数は特に限定されるものではなく、1つの光源32で第2光源22を構成してもよい。
【0027】
さらに、光源32の種類も特に限定されるものではなく、例えば、第1光源20と同様に光源32として第1光源20のものよりもより発光量の多いLEDを使用してもよいし、長寿命放電灯(多灯式でもよい)や長尺型放電灯、又はレーザー光を放射するランプを使用してもよい。放電灯の場合、開始材の反応に必要な短い波長域は十分に出力できているので、第2光源22に使用される光源32の使用電力を下げて運転することができ、放電灯でもLEDに匹敵する寿命が確保できる。
【0028】
また、第2光源22から放射される光の放射角は特に限定されるものではなく、所定の開き角内にある光であってもよいし、平行化された光であってもよいし、集光された光であってもよい。
【0029】
光学系具14は、第1光源20および第2光源22からの光を露光面Aに導くための部材の集合体であり、本実施形態では、インテグレータレンズ40、第2光源22からの光をインテグレータレンズ40に導く第1反射鏡42、インテグレータレンズ40からの光を平行化するための平行化鏡44、および、平行化された光を露光面Aに導く第2反射鏡46が使用されている。
【0030】
本実施形態では、第1光源20は、光学系具14に対して第1光源20の位置を移動させる光源移動装置48に取り付けられており、第2光源22の発光中において当該第1光源20は光学系具14の光路から外れた位置にあり、逆に、第1光源20が発光する際、当該第1光源20は、インテグレータレンズ40を直接的に照射することのできる位置に移動するようになっている。
【0031】
また、第2光源22の位置は光学系具14に対して固定されており、この第2光源22から放射された光が、2つの鏡で構成された第1反射鏡42によってインテグレータレンズ40に導かれる。そして、インテグレータレンズ40から出た光が平行化鏡44および第2反射鏡46で反射した後、露光面Aを照射するようになっている。
【0032】
つまり、本実施形態では、インテグレータレンズ40を照射するまでの光路に関し、第2光源22は第1反射鏡42を介してインテグレータレンズ40を照射するようになっているが、第1光源20は当該第1反射鏡42を介することなくインテグレータレンズ40を独自に照射するようになっている。インテグレータレンズ40から出た光の光路は、第1光源20からの光も、第2光源22からの光も同じである。
【0033】
なお、本明細書全体を通して、「独自に照射する」とは、例えば、第1光源20や第2光源22からの光が直接的にインテグレータレンズ40等を照射するケース(例えば、光源移動装置48を用いて必要なときに第1光源20や第2光源22を光学系具14の光路上等必要な位置に移動させるケースや、光源移動装置48を使用することなく第1光源20や第2光源22を固定して直接的にインテグレータレンズ40等を照射するケース)だけではなく、光学系具14とは別の反射鏡や光学フィルター(例えば、第2光源22からの波長の光は透過し、第1光源20からの波長の光は反射させるようなフィルター)等を介してインテグレータレンズ40等を照射するケースも含む概念である。
【0034】
(本実施形態に係る露光用光源12および光照射装置10による露光の手順)
露光用光源12および光照射装置10による露光の手順について簡単に説明する。最初に、第1光源20を光学系具14における光路上に配置して点灯させ、当該第1光源20からの光で独自にインテグレータレンズ40を照射し、当該光でワークXのレジストが光反応を開始するために必要な波長の光を当該レジストに照射する。
【0035】
万一、第1光源20からの光量ではレジストの露光に足りない場合、露光開始前に、第1光源20を消灯するとともに、光源移動装置48によって当該第1光源20を光学系具14の光路から外れた位置に移動させる。そして、光学系具14の光路から第1光源20が外れた位置にある状態で光学系具14の光路上にある第2光源22を点灯する。そして、第1光源20からの光よりも量の多い第2光源22からの光でインテグレータレンズ40を照射し、当該光でレジストの光反応を進めて露光を完了させる。
【0036】
なお、第1光源20からの光量ではレジストの露光に足りない場合において、露光の途中までは第1光源20からの光で露光を進め、途中からは第2光源22からの光で露光を完了させてもよい。
【0037】
(本実施形態に係る露光用光源12および光照射装置10の効果)
本実施形態に係る露光用光源12および光照射装置10によれば、通常はLED30を用いた第1光源20で露光を行い、露光面照度が不足する場合には別の第2光源22を用いてより多くの光量で露光を継続するようになっているので、LED30の寿命を不必要に損なうことなく、露光光量が不足するのを回避できる。
【0038】
(変形例1)
上述した実施形態では、第2光源22が光学系具14の光路上(第1反射鏡42を介してインテグレータレンズ40を照射する位置)にあり、当該光路から外れた位置にある第1光源20がインテグレータレンズ40を独自に照射するようになっていたが、図2に示すように、第1光源20と第2光源22との位置を逆転させて、第1光源20を光学系具14の光路上に位置させ、当該光路から外れた位置にある第2光源22がインテグレータレンズ40を独自に照射するようにしてもよい。
【0039】
(変形例2)
また、上述した実施形態では、第1光源20に光源移動装置48が取り付けられており、第1光源20が発光する際には、第1光源20が直接的にインテグレータレンズ40を照射できる位置に移動するようになっていたが、図3に示すように、第1光源20にも光源移動装置48を取り付けて、第1光源20が発光する際には当該第1光源20が直接的にインテグレータレンズ40を照射できる位置にあるとともに第2光源22は光学系具14の光路から外れた位置にあり、第2光源22が発光する際には第1光源20が光学系具14の光路から外れた位置に移動するとともに第2光源22が直接的にインテグレータレンズ40を照射できる位置に移動するようにしてもよい。
【0040】
なお、図3では、直接的にインテグレータレンズ40を照射できる位置に第1光源20および第2光源22をそれぞれ移動するようにしていたが、これに変えて、第1反射鏡42を介してインテグレータレンズ40を照射できる位置や、露光面Aを直接的に照射できる位置に第1光源20および第2光源22をそれぞれ移動できるようにしてもよい。
【0041】
(変形例3)
さらに、第1光源20からの光量ではレジストの露光に足りない場合において、1回の露光の途中までは第1光源20からの光で露光を進め、途中からは第2光源22からの光で露光を完了させる場合において、例えば、第1光源20によるレジストの露光を以下のように行うのが好適である。すなわち、1回の露光の開始段階では、第1光源20は光源移動装置48によって当該第1光源20が直接的にインテグレータレンズ40を照射できる位置に移動されており、第1光源20に配置されたすべてのLED30からの光がインテグレータレンズ40を照射できる位置にある。
【0042】
ここで、光学系具14の光路上から徐々に光路外に移動していく第1光源20の位置と、各位置において第1光源20から放射される光による露光量のイメージを図4に示す。図4において左右方向に延びる点線Tは、光学系具14の光路上にあるか否かの境界線を示しており、当該点線Tよりも図中上側に位置している第1光源20のLED30からの光がインテグレータレンズ40を照射できるようになっている。
【0043】
例えば、第1光源20が移動を開始する前段階である「段階1」では、第1光源20の図中上下方向のすべてが点線Tよりも上側に位置しているので、上述のように、第1光源20に配置されたすべてのLED30からの光がインテグレータレンズ40を照射できる位置にある。この「段階1」では、点線Tの位置から遠くにあるLED30ほど、より多くの光量を放射し、点線Tの位置に近づくにつれて放射する光量がより少なくなるように設定されている。これにより、図中左右方向に「露光量」を示す(図中右方に延びるほど露光量が多い)と、「段階1」では略三角形状になる。
【0044】
次に、第1光源20が移動を開始し、当該第1光源20において点線Tの位置に近い一部が点線Tを越えて図中下側の領域に入った状態である「段階2」となる。この「段階2」では、第1光源20における各LED30が図示するような台形状の露光量となるように発光する。これにより、「段階2」の時点における積算露光量イメージは、「段階1」における略三角形状に、「段階2」における台形状を加えたものとなる。なお、積算露光量イメージにおける上下方向が露光面における幅方向に対応しており、また、積算露光量イメージの上下方向における各位置での積算露光量は、当該上下方向位置で左右方向に見たときのハッチング部分(=露光量)の合計となる。例えば、「段階2」において、領域Yは、所定の露光量に達している(=ハッチングの空白部分がない)が、領域Zは、未だ所定の露光量に達していない(=ハッチングの空白部分がある)。
【0045】
以後、段階を進めていくに連れて、第1光源20における各LED30を図示するような台形状の露光量となるように発光させていき、第1光源20全体がインテグレータレンズ40を照射できる位置の外に出て、第2光源22からの光に切り換える直前で、「段階6」に示すように、積算露光量イメージが略長方形状となり、積算露光量イメージにおける上下方向(=露光面における幅方向)全体で略均一な積算露光量となる。
【0046】
さらに、各段階における第1光源20から放射する光量を変えて、図5に示すような露光量としてもよい。図5では、第1光源20からの発光量(=露光量)を図中上下方向(露光面の幅方向)にブロック状に分けて制御しており、「段階1」では、点線Tから遠い図中上方から下方に向けて順に発光量が少なくなるように設定されている。
【0047】
そして、「段階1」に続く各段階2から6において、必要なブロックを狙って露光を行い、第2光源22からの光に切り換える直前で、「段階6」に示すように、積算露光量イメージが略長方形状となり、積算露光量イメージにおける上下方向(=露光面における幅方向)全体で略均一な積算露光量となるように設定されている。
【0048】
なお、図4および図5に示す露光パターンはあくまで例示であり、第1光源20から第2光源22に切り換える段階で、積算露光量イメージにおける上下方向(=露光面における幅方向)全体で略均一な積算露光量となればよい。
【0049】
さらに、第1光源20から第2光源22への切り換え手法については、光学系具14の光路上にある第1光源20自体を第2光源22からの光に対するシャッターとして使用してもよいし、図6に示すように、光学系具14の光路上において、第1光源20と第2光源22との間に別部材としてのシャッターSを配設し、このシャッターSの開閉によって第2光源22からの光による露光のオン/オフを制御してもよい。
【0050】
(変形例4)
ところで、露光性能を決めるファクターとして重要なコリメーション半角に関して、一般的な露光において求められる「2.0°以下」を達成することはできるが、高解像度の露光と言われる「0.75°以下」を達成しようとすると、照度が不足してしまうことからこの達成が難しい。
【0051】
なお、「コリメーション半角」とは、照射面から見た光源の視角(半角)のことである。この角度が小さいほど、露光に用いられるマスクを通過した光が角度を持たずに進むためにより緻密な露光パターンを形成することができ、高解像度の液晶パネルを生産することができる。
【0052】
一般的なコリメーション半角C(2.0°)の場合、図7に示すように、光源Dからの光がインテグレータレンズ40全体を照射している。これに対し、高解像度の液晶パネルへの生産条件の変更、つまり、コリメーション半角を0.75°以下に変更するには、光源における中央部分からの光だけを露光に使用することで可能になる。
【0053】
具体的には、図8に示すように、第1光源20に配置されているLED30のうち、当該第1光源20の発光中央部分に配置された1つあるいは複数のLED30のみを点灯して、インテグレータレンズ40の最大有効面積に比してより狭い領域を照射するようにする。これにより、コリメーション半角Cを0.75°以下にすることができる。
【0054】
あるいは、図9に示すように、第1光源20とインテグレータレンズ40との間にアパーチャー50を配設してもよい。このアパーチャー50は略矩形の板状材であり、その中央部に開口52が形成されている。この開口52は、第1光源20の発光中央部分に配置された1つあるいは複数のLED30から放射された光のみを通すように予め設定されている。
【0055】
これにより、アパーチャー50の開口52を通過した光はインテグレータレンズ40の最大有効面積に比してより狭い領域を照射するので、コリメーション半角Cを0.75°以下にすることができる。
【0056】
ここまでは、第1光源20からの光のコリメーション半角Cを小さくするために、第1光源20の発光中央部分に配置された1つあるいは複数のLED30のみを点灯する手法、および、アパーチャー50を用いる手法について説明したが、これらを第2光源22からの光に適用してもよい。もちろん、上述した変形例1および2における第1光源20や第2光源22に適用してもよい。
【0057】
さらに言えば、第1光源20または第2光源22の発光中央部分に配置された1つあるいは複数の光源のみを点灯する手法とアパーチャー50を用いる手法とを併用してもよい。
【0058】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0059】
10…光照射装置
12…露光用光源、14…光学系具
20…第1光源、22…第2光源
30…LED、32…(第2光源22用の)光源
40…インテグレータレンズ、42…第1反射鏡、44…平行化鏡、46…第2反射鏡、48…光源移動装置
50…アパーチャー、52…開口
X…ワーク(露光対象物)、A…露光面、D…光源、L…露光用光、C…コリメーション半角、S…シャッター
【要約】
通常はLEDを用いた光源で露光を行い、露光面照度が不足する場合には別の光源を用いてより多くの光量で露光を継続することのできる露光用光源を提供する。
露光用光源12を、LED30を有する第1光源20と、第1光源20におけるLED30から放射されるLED光よりも多くの光量を放射する光源で構成された第2光源22とで構成する。そして、1回の露光工程中において第1光源20からの光では不足する場合、第1光源20からの光に変えて第2光源22からの光で露光を行う。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9