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特許7141185無線通信装置、無線通信プログラム、無線通信方法、及び無線通信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】無線通信装置、無線通信プログラム、無線通信方法、及び無線通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 74/06 20090101AFI20220914BHJP
   H04W 4/38 20180101ALI20220914BHJP
   H04W 52/02 20090101ALI20220914BHJP
【FI】
H04W74/06
H04W4/38
H04W52/02 110
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018124086
(22)【出願日】2018-06-29
(65)【公開番号】P2020005156
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-01-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000221834
【氏名又は名称】東邦瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 裕介
(72)【発明者】
【氏名】中野 義久
(72)【発明者】
【氏名】堤 直崇
(72)【発明者】
【氏名】安元 啓人
(72)【発明者】
【氏名】田村 至
(72)【発明者】
【氏名】福島 圭亮
【審査官】吉村 真治▲郎▼
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-072415(JP,A)
【文献】特開平08-139634(JP,A)
【文献】特開2008-283330(JP,A)
【文献】特表2007-520106(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0266494(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信により、中継装置を介して上位装置とデータ送受信を行う無線通信装置において、
無線信号を送信する無線送信部と、
無線信号を受信する無線受信部と、
特定の周期である第1のポーリング周期又は前記第1のポーリング周期よりも短い第2のポーリング周期のいずれかが設定されると設定されたポーリング周期の時間を計測するポーリングタイマ制御部と、
前記無線送信部及び前記無線受信部を用いて無線によりデータの送信処理及びデータの受信処理を行う送受信制御部と、
前記ポーリングタイマ制御部が、ポーリング周期を計測する度に、前記送受信制御部を介して、前記上位装置に下りデータの送信を促すポーリング信号を送信するポーリング送信部と、
前記無線送信部が無線信号を送信してから、第1の時間が経過するまでの時間の計測を行う受信タイマ制御部と、
前記ポーリングタイマ制御部が前記第1の時間を計測した後、第2の時間が経過するまでの間において、前記無線受信部の電源をオンの状態に制御する省電力制御部とを備え、
前記送受信制御部は、前記ポーリングタイマ制御部に前記第1のポーリング周期を設定中に、前記無線送信部によるデータ送信が発生すると、前記ポーリングタイマ制御部に前記第2のポーリング周期を設定する
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
無線通信により、中継装置を介して上位装置とデータ送受信を行う無線通信装置において、
無線信号を送信する無線送信部と、
無線信号を受信する無線受信部と、
特定の周期である第1のポーリング周期又は前記第1のポーリング周期よりも短い第2のポーリング周期のいずれかが設定されると設定されたポーリング周期の時間を計測するポーリングタイマ制御部と、
前記無線送信部及び前記無線受信部を用いて無線によりデータの送信処理及びデータの受信処理を行う送受信制御部と、
前記ポーリングタイマ制御部が、ポーリング周期を計測する度に、前記送受信制御部を介して、前記上位装置に下りデータの送信を促すポーリング信号を送信するポーリング送信部と、
前記無線送信部が無線信号を送信してから、第1の時間が経過するまでの時間の計測を行う受信タイマ制御部と、
前記ポーリングタイマ制御部が前記第1の時間を計測した後、第2の時間が経過するまでの間において、前記無線受信部の電源をオンの状態に制御する省電力制御部とを備え、
前記送受信制御部は、前記ポーリングタイマ制御部に前記第1のポーリング周期を設定中に、前記無線送信部によるデータ送信又は前記無線受信部によるデータ受信が発生すると、前記ポーリングタイマ制御部に前記第2のポーリング周期を設定し、前記ポーリングタイマ制御部に前記第2のポーリング周期を設定した後、所定の上限回数連続して前記ポーリング送信部がポーリング処理を行う間、前記無線送信部によるデータ送信及び前記無線受信部によるデータ受信が発生しなかった場合、前記ポーリングタイマ制御部に前記第1のポーリング周期を設定する
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項3】
前記ポーリングタイマ制御部、前記送受信制御部、前記ポーリング送信部、前記受信タイマ制御部、及び前記省電力制御部を含む要素が制御部に搭載されており、前記制御部は、前記第2の時間が経過すると、次のポーリング送信までの間、通常よりも省電力動作する省電力モードで動作することを特徴とする請求項1又は2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
無線通信により、中継装置を介して上位装置とデータ送受信を行うものであって、無線信号を送信する無線送信部と、無線信号を受信する無線受信部とを備える無線通信装置に搭載されたコンピュータを、
特定の周期である第1のポーリング周期又は前記第1のポーリング周期よりも短い第2のポーリング周期のいずれかが設定されると設定されたポーリング周期の時間を計測するポーリングタイマ制御部と、
前記無線送信部及び前記無線受信部を用いて無線によりデータの送信処理及びデータの受信処理を行う送受信制御部と、
前記ポーリングタイマ制御部が、ポーリング周期を計測する度に、前記送受信制御部を介して、前記上位装置に下りデータの送信を促すポーリング信号を送信するポーリング送信部と、
前記無線送信部が無線信号を送信してから、第1の時間が経過するまでの時間の計測を行う受信タイマ制御部と、
前記ポーリングタイマ制御部が前記第1の時間を計測した後、第2の時間が経過するまでの間において、前記無線受信部の電源をオンの状態に制御する省電力制御部として機能させ、
前記送受信制御部は、前記ポーリングタイマ制御部に前記第1のポーリング周期を設定中に、前記無線送信部によるデータ送信が発生すると、前記ポーリングタイマ制御部に前記第2のポーリング周期を設定する
ことを特徴とする無線通信プログラム。
【請求項5】
無線通信により、中継装置を介して上位装置とデータ送受信を行うものであって、無線信号を送信する無線送信部と、無線信号を受信する無線受信部とを備える無線通信装置に搭載されたコンピュータを、
特定の周期である第1のポーリング周期又は前記第1のポーリング周期よりも短い第2のポーリング周期のいずれかが設定されると設定されたポーリング周期の時間を計測するポーリングタイマ制御部と、
前記無線送信部及び前記無線受信部を用いて無線によりデータの送信処理及びデータの受信処理を行う送受信制御部と、
前記ポーリングタイマ制御部が、ポーリング周期を計測する度に、前記送受信制御部を介して、前記上位装置に下りデータの送信を促すポーリング信号を送信するポーリング送信部と、
前記無線送信部が無線信号を送信してから、第1の時間が経過するまでの時間の計測を行う受信タイマ制御部と、
前記ポーリングタイマ制御部が前記第1の時間を計測した後、第2の時間が経過するまでの間において、前記無線受信部の電源をオンの状態に制御する省電力制御部として機能させ、
前記送受信制御部は、前記ポーリングタイマ制御部に前記第1のポーリング周期を設定中に、前記無線送信部によるデータ送信又は前記無線受信部によるデータ受信が発生すると、前記ポーリングタイマ制御部に前記第2のポーリング周期を設定し、前記ポーリングタイマ制御部に前記第2のポーリング周期を設定した後、所定の上限回数連続して前記ポーリング送信部がポーリング処理を行う間、前記無線送信部によるデータ送信及び前記無線受信部によるデータ受信が発生しなかった場合、前記ポーリングタイマ制御部に前記第1のポーリング周期を設定する
ことを特徴とする無線通信プログラム。
【請求項6】
無線通信により、中継装置を介して上位装置とデータ送受信を行う無線通信装置が行う無線通信方法において、
前記無線通信装置は、無線信号を送信する無線送信部と、無線信号を受信する無線受信部と、ポーリングタイマ制御部と、送受信制御部と、ポーリング送信部と、受信タイマ制御部と、省電力制御部とを有し、
前記ポーリングタイマ制御部は、特定の周期である第1のポーリング周期又は前記第1のポーリング周期よりも短い第2のポーリング周期のいずれかが設定されると設定されたポーリング周期の時間を計測し、
前記送受信制御部は、前記無線送信部及び前記無線受信部を用いて無線によりデータの送信処理及びデータの受信処理を行い、
前記ポーリング送信部は、前記ポーリングタイマ制御部が、ポーリング周期を計測する度に、前記送受信制御部を介して、前記上位装置に下りデータの送信を促すポーリング信号を送信するポーリング処理を行い、
前記受信タイマ制御部は、前記無線送信部が無線信号を送信してから、第1の時間が経過するまでの時間の計測を行い、
前記省電力制御部は、前記ポーリングタイマ制御部が前記第1の時間を計測した後、第2の時間が経過するまでの間において、前記無線受信部の電源をオンの状態に制御し、
前記送受信制御部は、前記ポーリングタイマ制御部に前記第1のポーリング周期を設定中に、前記無線送信部によるデータ送信が発生すると、前記ポーリングタイマ制御部に前記第2のポーリング周期を設定する
ことを特徴とする無線通信方法。
【請求項7】
無線通信により、中継装置を介して上位装置とデータ送受信を行う無線通信装置が行う無線通信方法において、
前記無線通信装置は、無線信号を送信する無線送信部と、無線信号を受信する無線受信部と、ポーリングタイマ制御部と、送受信制御部と、ポーリング送信部と、受信タイマ制御部と、省電力制御部とを有し、
前記ポーリングタイマ制御部は、特定の周期である第1のポーリング周期又は前記第1のポーリング周期よりも短い第2のポーリング周期のいずれかが設定されると設定されたポーリング周期の時間を計測し、
前記送受信制御部は、前記無線送信部及び前記無線受信部を用いて無線によりデータの送信処理及びデータの受信処理を行い、
前記ポーリング送信部は、前記ポーリングタイマ制御部が、ポーリング周期を計測する度に、前記送受信制御部を介して、前記上位装置に下りデータの送信を促すポーリング信号を送信するポーリング処理を行い、
前記受信タイマ制御部は、前記無線送信部が無線信号を送信してから、第1の時間が経過するまでの時間の計測を行い、
前記省電力制御部は、前記ポーリングタイマ制御部が前記第1の時間を計測した後、第2の時間が経過するまでの間において、前記無線受信部の電源をオンの状態に制御し、
前記送受信制御部は、前記ポーリングタイマ制御部に前記第1のポーリング周期を設定中に、前記無線送信部によるデータ送信又は前記無線受信部によるデータ受信が発生すると、前記ポーリングタイマ制御部に前記第2のポーリング周期を設定し、前記ポーリングタイマ制御部に前記第2のポーリング周期を設定した後、所定の上限回数連続して前記ポーリング送信部がポーリング処理を行う間、前記無線送信部によるデータ送信及び前記無線受信部によるデータ受信が発生しなかった場合、前記ポーリングタイマ制御部に前記第1のポーリング周期を設定する
ことを特徴とする無線通信方法。
【請求項8】
無線通信により、中継装置を介して上位装置とデータ送受信を行う無線通信装置を1以上備える無線通信システムにおいて、前記無線通信装置として、請求項1~のいずれかに記載の無線通信装置を適用したことを特徴とする無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置、無線通信プログラム、無線通信方法、及び無線通信システムに関し、基地局を介して上位装置(例えば、サーバ等)と無線通信を行う子機を備えるシステムに適用し得る。
【背景技術】
【0002】
データ収集を行い収集したデータを無線通信により送信する子機と、子機からのデータ集約を行う上位装置(例えば、サーバ等)とで構成される無線通信システムが知られている。従来、上述のような構成の無線通信システムとしては、例えば、特許文献1に記載されたシステムが存在する。
【0003】
特許文献1に記載されたシステムでは、上位装置である親局から子局へポーリングを行い、子局は親局からのポーリングに応答して親局に上りデータを送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-101113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、子機から上位装置にデータ集約する無線通信システム(例えば、特許文献1に記載されたシステム)では、システムの用途から、子機が多数かつ広範囲に設置される傾向にある。そのため、近年、上述のような構成の無線通信システムでは、子機から上位装置へ上りデータを送る必要が生じた場合に、上位装置からの指示に依らず、子機が能動的に上位装置へ上りデータを送信する方式が採られる。
【0006】
そして、上述のような構成の無線通信システムでは、以下のような要件が求められる。
【0007】
第1に、上述のような構成の無線通信システムでは、子機が多数かつ広範囲に設置される故に、子機を電池駆動かつ省電力化することで、子機を電池により長期間にわたって運用可能とすることが求められる。第2に、上述のような構成の無線通信システムでは、子機が上位装置へ能動的に上りデータを送信可能とし、かつ、上位装置から子機への下りデータがある場合は、子機がより少ない遅延で上位装置から下りデータを受信可能とすることが求められる。
【0008】
ところで、特許文献1には、上位装置である親局が子局からのデータを効率的に収集するために、親局から発するポーリングの周期を可変とすることが記載されている。しかしながら、特許文献1では、上述の第1及び第2の要件については考慮されていない。
【0009】
そのため、上位装置へ能動的に上りデータ送信を行う無線通信装置(例えば、子機)を省電力化し、かつ、上位装置から無線通信装置へより少ない遅延で下りデータを伝送することができる無線通信装置、無線通信プログラム、無線通信方法、及び無線通信システムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の本発明は、無線通信により、中継装置を介して上位装置とデータ送受信を行う無線通信装置において、(1)無線信号を送信する無線送信部と、(2)無線信号を受信する無線受信部と、(3)特定の周期である第1のポーリング周期又は前記第1のポーリング周期よりも短い第2のポーリング周期のいずれかが設定されると設定されたポーリング周期の時間を計測するポーリングタイマ制御部と、(4)前記無線送信部及び前記無線受信部を用いて無線によりデータの送信処理及びデータの受信処理を行う送受信制御部と、(5)前記ポーリングタイマ制御部が、ポーリング周期を計測する度に、前記送受信制御部を介して、前記上位装置に下りデータの送信を促すポーリング信号を送信するポーリング送信部と、(6)前記無線送信部が無線信号を送信してから、第1の時間が経過するまでの時間の計測を行う受信タイマ制御部と、(7)前記ポーリングタイマ制御部が前記第1の時間を計測した後、第2の時間が経過するまでの間において、前記無線受信部の電源をオンの状態に制御する省電力制御部とを備え、(8)前記送受信制御部は、前記ポーリングタイマ制御部に前記第1のポーリング周期を設定中に、前記無線送信部によるデータ送信が発生すると、前記ポーリングタイマ制御部に前記第2のポーリング周期を設定することを特徴とする。
第2の本発明は、無線通信により、中継装置を介して上位装置とデータ送受信を行う無線通信装置において、(1)無線信号を送信する無線送信部と、(2)無線信号を受信する無線受信部と、(3)特定の周期である第1のポーリング周期又は前記第1のポーリング周期よりも短い第2のポーリング周期のいずれかが設定されると設定されたポーリング周期の時間を計測するポーリングタイマ制御部と、(4)前記無線送信部及び前記無線受信部を用いて無線によりデータの送信処理及びデータの受信処理を行う送受信制御部と、(5)前記ポーリングタイマ制御部が、ポーリング周期を計測する度に、前記送受信制御部を介して、前記上位装置に下りデータの送信を促すポーリング信号を送信するポーリング送信部と、(6)前記無線送信部が無線信号を送信してから、第1の時間が経過するまでの時間の計測を行う受信タイマ制御部と、(7)前記ポーリングタイマ制御部が前記第1の時間を計測した後、第2の時間が経過するまでの間において、前記無線受信部の電源をオンの状態に制御する省電力制御部とを備え、(8)前記送受信制御部は、前記ポーリングタイマ制御部に前記第1のポーリング周期を設定中に、前記無線送信部によるデータ送信又は前記無線受信部によるデータ受信が発生すると、前記ポーリングタイマ制御部に前記第2のポーリング周期を設定し、前記ポーリングタイマ制御部に前記第2のポーリング周期を設定した後、所定の上限回数連続して前記ポーリング送信部がポーリング処理を行う間、前記無線送信部によるデータ送信及び前記無線受信部によるデータ受信が発生しなかった場合、前記ポーリングタイマ制御部に前記第1のポーリング周期を設定することを特徴とする。
【0011】
の本発明の無線通信プログラムは、無線通信により、中継装置を介して上位装置とデータ送受信を行うものであって、無線信号を送信する無線送信部と、無線信号を受信する無線受信部とを備える無線通信装置に搭載されたコンピュータを、(1)特定の周期である第1のポーリング周期又は前記第1のポーリング周期よりも短い第2のポーリング周期のいずれかが設定されると設定されたポーリング周期の時間を計測するポーリングタイマ制御部と、(2)前記無線送信部及び前記無線受信部を用いて無線によりデータの送信処理及びデータの受信処理を行う送受信制御部と、(3)前記ポーリングタイマ制御部が、ポーリング周期を計測する度に、前記送受信制御部を介して、前記上位装置に下りデータの送信を促すポーリング信号を送信するポーリング送信部と、(4)前記無線送信部が無線信号を送信してから、第1の時間が経過するまでの時間の計測を行う受信タイマ制御部と、(5)前記ポーリングタイマ制御部が前記第1の時間を計測した後、第2の時間が経過するまでの間において、前記無線受信部の電源をオンの状態に制御する省電力制御部として機能させ、(6)前記送受信制御部は、前記ポーリングタイマ制御部に前記第1のポーリング周期を設定中に、前記無線送信部によるデータ送信が発生すると、前記ポーリングタイマ制御部に前記第2のポーリング周期を設定することを特徴とする。
第4の本発明の無線通信プログラムは、(1)無線通信により、中継装置を介して上位装置とデータ送受信を行うものであって、無線信号を送信する無線送信部と、無線信号を受信する無線受信部とを備える無線通信装置に搭載されたコンピュータを、(2)特定の周期である第1のポーリング周期又は前記第1のポーリング周期よりも短い第2のポーリング周期のいずれかが設定されると設定されたポーリング周期の時間を計測するポーリングタイマ制御部と、(3)前記無線送信部及び前記無線受信部を用いて無線によりデータの送信処理及びデータの受信処理を行う送受信制御部と、(4)前記ポーリングタイマ制御部が、ポーリング周期を計測する度に、前記送受信制御部を介して、前記上位装置に下りデータの送信を促すポーリング信号を送信するポーリング送信部と、(5)前記無線送信部が無線信号を送信してから、第1の時間が経過するまでの時間の計測を行う受信タイマ制御部と、(6)前記ポーリングタイマ制御部が前記第1の時間を計測した後、第2の時間が経過するまでの間において、前記無線受信部の電源をオンの状態に制御する省電力制御部として機能させ、(7)前記送受信制御部は、前記ポーリングタイマ制御部に前記第1のポーリング周期を設定中に、前記無線送信部によるデータ送信又は前記無線受信部によるデータ受信が発生すると、前記ポーリングタイマ制御部に前記第2のポーリング周期を設定し、前記ポーリングタイマ制御部に前記第2のポーリング周期を設定した後、所定の上限回数連続して前記ポーリング送信部がポーリング処理を行う間、前記無線送信部によるデータ送信及び前記無線受信部によるデータ受信が発生しなかった場合、前記ポーリングタイマ制御部に前記第1のポーリング周期を設定することを特徴とする。
【0012】
の本発明は、無線通信により、中継装置を介して上位装置とデータ送受信を行う無線通信装置が行う無線通信方法において、(1)無線信号を送信する無線送信部と、無線信号を受信する無線受信部と、ポーリングタイマ制御部と、送受信制御部と、ポーリング送信部と、受信タイマ制御部と、省電力制御部とを有し、(2)前記ポーリングタイマ制御部は、特定の周期である第1のポーリング周期又は前記第1のポーリング周期よりも短い第2のポーリング周期のいずれかが設定されると設定されたポーリング周期の時間を計測し、(3)前記送受信制御部は、前記無線送信部及び前記無線受信部を用いて無線によりデータの送信処理及びデータの受信処理を行い、(4)前記ポーリング送信部は、前記ポーリングタイマ制御部が、ポーリング周期を計測する度に、前記送受信制御部を介して、前記上位装置に下りデータの送信を促すポーリング信号を送信するポーリング処理を行い、(5)前記受信タイマ制御部は、前記無線送信部が無線信号を送信してから、第1の時間が経過するまでの時間の計測を行い、(6)前記省電力制御部は、前記ポーリングタイマ制御部が前記第1の時間を計測した後、第2の時間が経過するまでの間において、前記無線受信部の電源をオンの状態に制御し、(7)前記送受信制御部は、前記ポーリングタイマ制御部に前記第1のポーリング周期を設定中に、前記無線送信部によるデータ送信が発生すると、前記ポーリングタイマ制御部に前記第2のポーリング周期を設定することを特徴とする。
第6の本発明は、無線通信により、中継装置を介して上位装置とデータ送受信を行う無線通信装置が行う無線通信方法において、(1)無線信号を送信する無線送信部と、無線信号を受信する無線受信部と、ポーリングタイマ制御部と、送受信制御部と、ポーリング送信部と、受信タイマ制御部と、省電力制御部とを有し、(2)前記ポーリングタイマ制御部は、特定の周期である第1のポーリング周期又は前記第1のポーリング周期よりも短い第2のポーリング周期のいずれかが設定されると設定されたポーリング周期の時間を計測し、(3)前記送受信制御部は、前記無線送信部及び前記無線受信部を用いて無線によりデータの送信処理及びデータの受信処理を行い、(4)前記ポーリング送信部は、前記ポーリングタイマ制御部が、ポーリング周期を計測する度に、前記送受信制御部を介して、前記上位装置に下りデータの送信を促すポーリング信号を送信するポーリング処理を行い、(5)前記受信タイマ制御部は、前記無線送信部が無線信号を送信してから、第1の時間が経過するまでの時間の計測を行い、(6)前記省電力制御部は、前記ポーリングタイマ制御部が前記第1の時間を計測した後、第2の時間が経過するまでの間において、前記無線受信部の電源をオンの状態に制御し、(7)前記送受信制御部は、前記ポーリングタイマ制御部に前記第1のポーリング周期を設定中に、前記無線送信部によるデータ送信又は前記無線受信部によるデータ受信が発生すると、前記ポーリングタイマ制御部に前記第2のポーリング周期を設定し、前記ポーリングタイマ制御部に前記第2のポーリング周期を設定した後、所定の上限回数連続して前記ポーリング送信部がポーリング処理を行う間、前記無線送信部によるデータ送信及び前記無線受信部によるデータ受信が発生しなかった場合、前記ポーリングタイマ制御部に前記第1のポーリング周期を設定することを特徴とする。
【0013】
の本発明は、無線通信により、中継装置を介して上位装置とデータ送受信を行う無線通信装置を1以上備える無線通信システムにおいて、前記無線通信装置として、第1の本発明の無線通信装置を適用したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、上位装置へ能動的に上りデータ送信を行う無線通信装置を省電力化し、かつ、上位装置から無線通信装置へより少ない遅延で下りデータを伝送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係る無線通信装置の機能的構成について示したブロック図である。
図2】実施形態に係る無線通信システムの全体構成について示したブロック図である。
図3】実施形態に係るネットワークサーバと子機との間におけるLoRa無線プロトコルに基づくデータ送受信の基本動作について示したシーケンス図である。
図4】実施形態に係る無線通信システムにおいて、子機がデータ送受信を行う際の例について示したシーケンス図である。
図5】実施形態に係る子機における省電力制御に関する動作について示したシーケンス図である。
図6】実施形態に係る子機とアプリケーションサーバとの間のレスポンスタイムについて示したシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(A)主たる実施形態
以下、本発明による無線通信装置、無線通信プログラム、無線通信方法、及び無線通信システムの一実施形態を、図面を参照しながら詳述する。この実施形態では、本発明の無線通信装置、無線通信プログラム及び無線通信方法を、無線通信を行う子機に適用する例について説明する。
【0017】
(A-1)実施形態の構成
図2は、この実施形態の無線通信システム1の全体構成を示すブロック図である。
【0018】
図2に示す無線通信システム1は、上位装置としてのアプリケーションサーバ10、中継装置としてのネットワークサーバ20、基地局30、及び子機40を有している。図2では、説明を簡易とするために、基地局30の配下に1つの子機40が無線接続される構成例を図示しているが、実際には基地局30の配下には複数の子機40が同時に接続される場合があるものとする。また、同様に、無線通信システム1を構成する他の装置の数についても限定されない。
【0019】
無線通信システム1では、子機40が基地局30に無線接続しているものとする。そして、無線通信システム1では、子機40が収集したデータが、基地局30及びネットワークサーバ20を介して、アプリケーションサーバ10に集約されるものとする。そして、アプリケーションサーバ10では集約されたデータが、図示しないアプリケーションプログラムにより処理される。また、この実施形態の例ではアプリケーションサーバ10とネットワークサーバ20との間、及び、ネットワークサーバ20と基地局30との間は有線ネットワーク(例えば、有線LAN等)により接続されているものとする。なお、アプリケーションサーバ10とネットワークサーバ20とが無線ネットワークにより接続されてもよく、同様にネットワークサーバ20と基地局30とが無線ネットワークにより接続されてもよい。
【0020】
子機40と基地局30との間の無線区間における通信方式は限定されないものであるが、より省電力で通信可能な通信方式であることが望ましい。子機40と基地局30との間の無線区間は、例えば、種々のLPWA(Low Power Wide Area)の通信方式を適用することが望ましい。この実施形態の例では、子機40と基地局30との間の無線区間に、LoRa(LoRaWAN)の通信方式を適用した例について説明する。したがって、無線通信システム1では、基地局30はLoRa無線プロトコルに基づいて動作する無線基地局として機能し、子機40はLoRa無線プロトコルに基づいて基地局30に接続する無線通信装置として機能することになる。
【0021】
以上のとおり、無線通信システム1では、子機40からアプリケーションサーバ10へ能動的に上りデータ送信を送信する際の通信方式(通信手順)としてLoRa無線プロトコルが適用されるものとする。そして、この実施形態において、子機40は、基地局30及びネットワークサーバ20を介してアプリケーションサーバ10と通信する。
【0022】
次に、この実施形態の子機40におけるデータ送受信の概要について説明する。
【0023】
まず、ネットワークサーバ20と子機40との間におけるLoRa無線プロトコルに基づくデータ送受信の基本動作について、図3のシーケンス図を用いて説明する。
【0024】
まず、アプリケーションサーバ10から、子機40を宛先とする下りデータ(LoRa無線プロトコルに基づくフレーム)が送出されたものとする(S101)。アプリケーションサーバ10から送出された下りデータは、一旦ネットワークサーバ20に保持(蓄積)される。
【0025】
そして、その後、子機40から上りデータが送出され、基地局30を介してネットワークサーバ20に到達したものとする(S102)。
【0026】
子機40は、上りデータを送信すると規定時間(以下、「T1」と表す)の経過後に、無線受信部43をオンに切替え、無線によりデータ受信可能な状態(以下、「受信モード」と呼ぶ)とする。そして、子機40は、一定時間(以下、「T2」と表す)を限度として受信モードでの動作を継続した後、無線受信部43をオフに切替え、受信モードでの動作を終了する(S103)。なお、ネットワークサーバ20は、受信した上りデータのポート番号(LoRa無線フレームのFProt)を確認し、確認したポート番号に応じた宛先に転送する。例えば、ネットワークサーバ20は、受信した上りデータのポート番号がアプリケーションサーバ10に対応するポート番号である場合には当該上りデータをアプリケーションサーバ10に転送する。また、ネットワークサーバ20は、受信した上りデータのポート番号に対応する宛先が存在しない場合には、当該上りデータを転送せずに破棄する。
【0027】
一方、ネットワークサーバ20は、子機40の受信モードの期間を狙って、保持している子機40宛の下りデータを子機40に送信する(S104)。このとき、ネットワークサーバ20は、特に子機40宛の下りデータを保持していなければ、子機40に対して特にデータ送信を行わない。ネットワークサーバ20は、例えば、上りデータを受信してから所定時間(以下、「T3」と表す)経過したタイミングで、下りデータを送信する。この場合、T3は、T1以上T1+T2未満に設定される。
【0028】
図3に示すようにLoRa無線プロトコルでは、子機40が上りデータを送信した後に受信モードとなり、ネットワークサーバ20から子機40が受信モードとなっている期間を狙って下りデータを送信する手順となっている。そのため、LoRa無線プロトコルに基づいて動作する子機40では、上りデータの送信が発生するまで、アプリケーションサーバ10から送信された下りデータがネットワークサーバ20に保留されたままとなるため、下りデータの伝送遅延が大きくなる場合があった。
【0029】
そのため、この実施形態では、アプリケーションサーバ10から子機40への下りデータの遅延をより少なくするため、LoRa無線プロトコルにおける上述のデータ送受信手順を利用して、子機40からネットワークサーバ20に対して、下りデータの送信を促すための処理(以下、「ポーリング処理」と呼ぶ)を行うものとする。
【0030】
例えば、子機40が、定期又は不定期の間隔で、所定の構成の上りデータ(以下、「ポーリングデータ」、「ポーリングフレーム」又は、「ポーリング信号」と呼ぶ)を送信することで、ネットワークサーバ20に対して、下りデータの送信を促すポーリング処理を実現することができる。
【0031】
ところで、LoRa無線プロトコルでは、ネットワークサーバ20に保持されている下りデータ(子機40を宛先とする下りデータ)の送信を促すためのポーリングについては規定されていない。したがって、LoRa無線プロトコルでは、上述のようなポーリング処理を実現するためのポーリングデータ(ポーリングフレーム)についても規定されていないため、この実施形態では、LoRa無線プロトコルの仕様の範囲内で、ポーリングデータの設定方法を設計するものとする。LoRa無線プロトコルの仕様の範囲内で実現可能なポーリングデータの設定方法としては、例えば、以下の2つが考えられる。
【0032】
第1のポーリングデータの構成は、上りデータ(LoRa無線フレーム)のユーザデータ部(FRMPayload)に特定のデータを設定する構成である。
【0033】
第2のポーリングデータの構成は、上りデータ(LoRa無線フレーム)のポート番号(FProt)に特定のポート番号を設定する構成である。この場合、当該上りデータを構成するユーザデータ部(FRMPayload)には特にデータを設定しなくてもよい。また、この場合、当該上りデータのポート番号には、通常のLoRa無線プロトコルの通信では利用されないポート番号(例えば、LoRa無線プロトコルの仕様でユーザが使用可能なポート番号のいずれか)を使用することが望ましい。
【0034】
この実施形態では、各子機40は、上述の第1又は第2のいずれかの構成の上りデータ(フレーム)をポーリングデータとして送信するものとする。また、この実施形態では、アプリケーションサーバ10から子機40への下りデータの遅延をより少なくするために、子機40がデータ送受信のタイミングに応じて、ポーリングデータを送信する周期(以下、「ポーリング周期」と呼ぶ)を変動させる処理を行うものとする。
【0035】
具体的には、この実施形態では、子機40において、アプリケーションサーバ10への上りデータ送信、又はアプリケーションサーバ10からの下りデータ受信があった場合に、ポーリング周期を通常時(上りデータ送信又は下りデータ受信が発生する前)よりも短い周期に変更する処理が行われるものとする。
【0036】
以下では、子機40において通常時(初期状態を含む)に設定されるポーリング周期を「長周期ポーリング時間TL」と表し、上りデータ送信又は下りデータ受信が発生した後に設定されるポーリング周期(長周期ポーリング時間TLよりも短いポーリング周期)を「短周期ポーリング時間TS」(TS<TL)と表すものとする。また、以下では、子機40が長周期ポーリング時間TLごとに行うポーリング処理を「長周期ポーリング」と呼び、子機40が短周期ポーリング時間TSごとに行うポーリング処理を「短周期ポーリング」と呼ぶものとする。
【0037】
また、この実施形態の例において、子機40では、ポーリング周期が長周期ポーリング時間TLから短周期ポーリング時間TSに切り替わった後、連続して予め指定された上限回数(以下、「N」と表す)ポーリングデータを送信する間に、データ送受信が無かった場合(アプリケーションサーバ10とのデータ送受信がなかった場合)、ポーリング周期が長周期ポーリング時間TLに戻されるものとする。上限回数Nは、1以上の整数であり、予め子機40に設定された値であるものとする。この実施形態の例では、N=2であるものとして説明する。
【0038】
次に、図1を用いて、子機40の構成例について説明する。
【0039】
子機40は、制御部41、無線送信部42、無線受信部43、及びタイマ44を有している。
【0040】
制御部41は、子機40の全体を制御する機能を担っており、少なくとも、ユーザアプリケーション411、ポーリング送信部412、ポーリングタイマ制御部413、及び送受信制御部414を有している。また、送受信制御部414は、省電力制御部415及び受信タイマ制御部416を有している。
【0041】
無線送信部42は、無線通信によるデータ送信を行う機能を担っている。また、無線受信部43は、無線通信によりデータ受信を行う機能を担っている。無線送信部42は、送受信制御部414から呼び出され、送受信制御部414から供給されたデータを、基地局30へ送信する処理を行う。無線受信部43は、基地局30から無線通信によりデータを受信すると、その受信したデータを送受信制御部414へ供給する処理を行う。
【0042】
タイマ44は、制御部41の省電力制御に必要な時間を計測する機能を担っている。
【0043】
制御部41は、例えば、コンピュータ(例えば、マイクロコンピュータやシングルボードコンピュータ等)にプログラム(実施形態に係る無線通信プログラムを含む)をインストールすることにより実現するようにしてもよい。実施形態に係る無線通信プログラムは、例えば、ポーリング送信部412、ポーリングタイマ制御部413、及び送受信制御部414を含む要素に対応するプログラム(ソフトウェア)が該当する。
【0044】
ユーザアプリケーション411は、子機40において、データ(アプリケーションサーバ10に送信すべきデータ)の発生源(以下、「データ発生源」と呼ぶ)として機能する。
【0045】
ユーザアプリケーション411としては、例えば、業務用のアプリケーションソフトウェアが該当する。具体的には、例えば、ユーザアプリケーション411は、図示しないセンサ(例えば、家庭に設置されるガスメータ)の検知結果(例えば、ガスメータで検知されたガス消費量)のデータを取得(収集)する処理を含むアプリケーションソフトウェア(例えば、ガス販売事業者の業務用のアプリケーションソフトウェア)が該当する。
【0046】
また、ユーザアプリケーション411は、アプリケーションサーバ10に送信すべきデータが発生した場合(新たなデータを収集した場合)には、送受信制御部414にそのデータの送信依頼(アプリケーションサーバ10への送信依頼)を行う。また、ユーザアプリケーション411は、送受信制御部414を介して、アプリケーションサーバ10から送信された下りデータを受信する。
【0047】
ポーリング送信部412は、ポーリングタイマ制御部413からの通知に基づいたタイミングで、送受信制御部414に対して、ポーリングデータの送信を依頼するモジュールである。
【0048】
ポーリングタイマ制御部413は、ポーリングデータの送信タイミングを制御するモジュールである。この実施形態では、ポーリングタイマ制御部413は、送受信制御部414から設定されたポーリング周期を計測し、設定されたポーリング周期が経過する毎に、ポーリング送信部412に、ポーリング処理の実行を促す通知を行う。
【0049】
送受信制御部414は、ユーザアプリケーション411、または、ポーリング送信部412からデータ送信依頼(ポーリングデータ、又はユーザアプリケーション411からのアプリケーションサーバ10へのデータの送信依頼)を受け取った場合、無線送信部42にそのデータの送信を依頼する。また、送受信制御部414は、無線送信部42に依頼したデータ送信が完了した場合、規定時間(T1)の経過後に、所定期間(T2)の間だけ無線受信部43に無線信号の受信(受信モードで動作すること)を依頼する。この時、送受信制御部414は、基地局30から下りデータを受信した場合には、ユーザアプリケーション411に受信したデータを供給する。
【0050】
受信タイマ制御部416は、省電力制御部415から設定された時間が経過した場合に、省電力制御部415に、タイマ時間満了(タイムアウト)を通知するモジュールである。
【0051】
省電力制御部415は、無線送信部42及び無線受信部43の電力制御(省電力制御)を行うモジュールである。
【0052】
省電力制御部415は、送受信制御部414から無線送信部42にデータの送信を依頼する際に、無線送信部42の電源をオンに切替え、無線送信部42でデータの送信が完了すると、無線送信部42の電源をオフに切り替える省電力制御を行う。
【0053】
また、省電力制御部415は、無線送信部42でデータの送信が完了し、無線送信部42の電源をオフに切り替える制御を行った後、受信タイマ制御部416にあらかじめ規定された期間(T1)を設定する。その後、省電力制御部415は、受信タイマ制御部416からタイマ時間満了(タイムアウト)の通知を受け取ると、所定時間(T2)だけ無線受信部43の電源をオン状態に切り替えて無線受信部43をデータ受信可能な状態(受信モードで動作可能な状態)とする省電力制御を行う。
【0054】
次に、制御部41自体の省電力制御の概要について説明する。
【0055】
この実施形態では、制御部41は、特に機能制限の無い通常時の動作モード(以下、「通常モード」と呼ぶ)よりも省電力で動作する省電力モードに切り替えて動作することが可能となっているものとする。制御部41は、省電力状態から復帰するまでの時間をタイマ44にセットしてから、省電力モードに移行するものとする。そして、制御部41は、タイマ44のタイムアウトをトリガとして省電力モードから通常モードに復帰する省電力制御が可能となっているものとする。なお、制御部41の省電力制御の詳細については後述する。また、子機40において、制御部41自体の省電力制御については行わない構成とするようにしてもよい。
【0056】
(A-2)実施形態の動作
次に、以上のような構成を有するこの実施形態における無線通信システム1の動作を説明する。
【0057】
図4は、無線通信システム1において、子機40がデータ送受信を行う際の動作について示したシーケンス図である。
【0058】
図4のシーケンス図では、ステップS201の以前に子機40が起動して、基地局30に正常に無線接続(無線ネットワークに正常に参加)しているものとする。また、図4のシーケンス図では、ステップS201の以前に、子機40において、送受信制御部414が、ポーリングタイマ制御部413に長周期ポーリング時間TLを設定しているものとする。すなわち、ステップS201の以前に、子機40では、長周期ポーリング(長周期ポーリング時間TLごとにポーリングデータを送信する処理)が開始されているものとする。
【0059】
そして、まず、子機40が、基地局30を介してネットワークサーバ20に、ポーリングデータ(長周期ポーリングのポーリングデータ)を送信したものとする(S201)。
【0060】
その後アプリケーションサーバ10から、子機40宛にユーザデータ(コマンド1)が設定された下りデータが送信されネットワークサーバ20に保持されたものとする(S202)。
【0061】
その後、子機40は、長周期ポーリング時間TLの計測後に、次のポーリングデータの送信を行う(S203)。
【0062】
そして、ネットワークサーバ20は、ポーリングデータ受信に伴い、規定時間T3の経過後に保持している下りデータ(アプリケーションサーバ10から子機40へのユーザデータ)を子機40に送信する(S204)。
【0063】
子機40では、送受信制御部414により下りデータを受信されると、その下りデータがユーザアプリケーション411に供給される。そして、このとき、子機40では、送受信制御部414により、ポーリングタイマ制御部413に設定するポーリング周期が長周期ポーリング時間TLから短周期ポーリング時間TSに変更される。この時、子機40のポーリングタイマ制御部413は、長周期ポーリング時間TLの計測をキャンセルし、新たに短周期ポーリング時間TSの計測を開始する処理を行う。
【0064】
図4のシーケンス図に示す通り、以後、子機40(ポーリングタイマ制御部413)では、ネットワークサーバ20とのデータ送受信の発生に伴い、短周期ポーリング時間TSにてポーリングが継続されることになる(ステップS205~S215)。
【0065】
この間、子機40では、送受信制御部414は、ポーリングタイマ制御部413に短周期ポーリング時間TSを設定した後、ポーリングデータの送信回数(ポーリング送信部412からのポーリングデータ送信依頼の回数)をカウントする。以下では、送受信制御部414が管理するポーリングデータの送信回数をカウントするカウンタ(以下、「送信回数カウンタ」と呼ぶ)を「C1」と表すものとする。送受信制御部414は、送信回数カウンタC1が上限回数Nに達すると、ポーリングタイマ制御部413にポーリング周期として長周期ポーリング時間TLを設定する。この時、事前にポーリングタイマ制御部413は、短周期ポーリング時間TSの計測をキャンセルし、新たに長周期ポーリング時間TLの計測を開始する処理を行う。
【0066】
ただし、送受信制御部414は、ポーリングタイマ制御部413に設定するポーリング周期を、短周期ポーリング時間TSを変更した後、送信回数カウンタC1が上限回数N(ここではN=2とする)に達する前に、上りデータ送信(ユーザアプリケーション411のデータ送信)又は下りデータ受信(ユーザアプリケーション411のデータ受信)が発生した場合、送信回数カウンタC1を0にリセットする処理を行う。
【0067】
図4の例では、ステップS216の時点で、子機40がポーリングデータ(短周期ポーリングのポーリングデータ)を送信すると、送信回数カウンタC1が上限回数N(2)に達する。したがって、この時点で送受信制御部414は、ポーリングタイマ制御部413に設定するポーリング周期を長周期ポーリング時間TLに戻す。
【0068】
これにより、子機40は、その後に長周期ポーリング時間TLを計測するごとに、ポーリングデータ(長周期ポーリングのポーリングデータ)を送信することになる(S217)。
【0069】
次に、子機40における省電力制御に関する動作について、図5のシーケンス図を用いて説明する。
【0070】
図5では、子機40が、ポーリング周期の変更と並行して、データ送受信のタイミングを計りながら、無線機能部(無線送信部42及び無線受信部43)及び制御部41の電力制御を行う際の動作について示している。
【0071】
データの送信は、ユーザアプリケーション411からのアプリケーションデータの送信依頼か、ポーリング送信部412からのポーリングデータの送信依頼から発生する。
【0072】
送受信制御部414は、ユーザアプリケーション411または、ポーリング送信部412からのデータ送信依頼を受け取ると(S301)、省電力制御部415から無線送信部42に電源オンの依頼をさせる(S302)。その後、送受信制御部414は、無線送信部42にデータ(ポーリングデータ、又はアプリケーションサーバ10への上りデータ)の送信依頼を行う(S303)。
【0073】
そして、送受信制御部414は、無線送信部42からデータの送信完了通知を受け取ると、省電力制御部415から無線送信部42に電源オフの依頼をさせる(S305)。そして、省電力制御部415は、受信タイマ制御部416にあらかじめ決められた受信タイマの時間(規定時間T1)を設定する(S306)。
【0074】
その後、受信タイマ制御部416で設定された受信タイマの時間(規定時間T1)が満了(タイムアウト)すると、受信タイマ制御部416から省電力制御部415に受信タイマの満了(タイムアウト)が通知される(S307)。
【0075】
そして、省電力制御部415は、受信タイマ制御部416から受信タイマの満了通知を受け取ると、省電力制御部415から無線受信部43に電源オンを依頼させる(S308)。その後、省電力制御部415は、無線受信部43に対してデータの受信依頼を行う(S309)。
【0076】
そして、ここでは、無線受信部43において無線によるデータ受信があったものとする。そうすると、無線受信部43で受信されたデータが、送受信制御部414に供給されることになる(S310)。
【0077】
送受信制御部414は、無線受信部43から受信データが供給されると、その受信データをユーザアプリケーション411に供給する(S311)。そして、送受信制御部414は、省電力制御部415から無線受信部43に電源オフを依頼させる(S312)。なお、送受信制御部414は、無線受信部43の電源をオンさせた後、所定期間(T2)の間、データ受信が無かった場合にもステップS312の処理(省電力制御部415から無線受信部43に電源オフを依頼させる処理)を行う。
【0078】
無線受信部43の電源がオン状態からオフ状態となると、ポーリングタイマ制御部413が、送受信制御部414から設定されたポーリング周期(長周期ポーリング時間TL又は短周期ポーリング時間TS)を、タイマ44に設定する(S313)。
【0079】
その後、制御部41は、省電力モードでの動作に移行する(S314)。
【0080】
その後、タイマ44で、設定されたポーリング周期の期間満了(タイムアウト)すると、その旨が制御部41に通知される(S315)。
【0081】
ポーリング周期の期間満了が通知されると、制御部41は、省電力動作モードから復帰(通常動作モードに復帰)する(S316)。
【0082】
その後、子機40は、上述のステップS301から動作し、次のポーリングデータの送信処理に移行することになる。
【0083】
(A-3)実施形態の効果
この実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0084】
この実施形態では、子機40が、ポーリング周期(長周期ポーリング時間TL又は短周期ポーリング時間TS)ごとにポーリング処理(ポーリングデータの送信)を行うことにより、子機40は電池の消耗を抑えながらも、アプリケーションサーバ10からの下りデータの確実な受信(下りデータの伝送遅延の抑制)が可能となる。
【0085】
また、この実施形態では、子機40とアプリケーションサーバ10との間の通信にて双方向のシーケンスを伴う場合には、長周期ポーリングと短周期ポーリングの組み合わせにより、子機40は電池の消耗を抑えながらも、応答時間を短縮することが可能となる。
【0086】
図6は、子機40とアプリケーションサーバ10との間のデータ送受信のレスポンスタイム(応答時間)について示したシーケンス図である。図6(a)は、仮に子機40が長周期ポーリングの処理のみを行う場合におけるデータ送受信のレスポンスタイムについて示した図(シーケンス図)である。図6(b)は、子機40が長周期ポーリングと短周期ポーリングを組み合わせた場合におけるデータ送受信のレスポンスタイム(この実施形態の子機40におけるレスポンスタイム)について示した図(シーケンス図)である。
【0087】
図6(a)、図6(b)では、子機40とアプリケーションサーバ10との間で、ユーザデータが2往復伝送されるまでの間のレスポンスタイムを示している。具体的には、図6(a)、図6(b)では、アプリケーションサーバ10から子機40へのコマンド1(ユーザアプリケーション411における任意のコマンド)のユーザデータが伝送された後、子機40からアプリケーションサーバ10にレスポンス1(コマンド1に応答するレスポンス)のユーザデータが伝送され、さらにその後、アプリケーションサーバ10から子機40へコマンド2(ユーザアプリケーション411における任意のコマンド)のユーザデータが伝送された後、子機40からアプリケーションサーバ10にレスポンス2(コマンド2に応答するレスポンス)のユーザデータが伝送される際のレスポンスタイム(アプリケーションサーバ10におけるコマンド1の送信から、アプリケーションサーバ10におけるレスポンス2の受信完了までの期間)を示している。図6(a)、図6(b)では、子機40とアプリケーションサーバ10との間で、ユーザデータが2往復伝送される間のレスポンスタイムをそれぞれTR1、TR2と図示している。図6に示すように、長周期ポーリングのみを適用した場合のレスポンスタイムTR1よりも、長周期ポーリングと短周期ポーリングを組み合わせた場合のレスポンスタイムTR2の方が短くなることがわかる。
【0088】
(B)他の実施形態
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
【0089】
(B-1)上記の実施形態では、子機40は、短周期ポーリング時間を長周期ポーリング時間に戻すタイミングをポーリングデータの送信回数(送信回数カウンタC1のカウンタ値)が上限回数Nに到達するまでのタイミングとしたが、一定時間にデータの送受信が発生しなかった場合に短周期ポーリング時間を長周期ポーリング時間に戻すようにしてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1…無線通信システム、10…アプリケーションサーバ、20…ネットワークサーバ、30…基地局、40…子機、41…制御部、411…ユーザアプリケーション、412…ポーリング送信部、413…ポーリングタイマ制御部、414…送受信制御部、415…省電力制御部、416…受信タイマ制御部、42…無線送信部、43…無線受信部、44…タイマ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6