(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】鉄道車両及び艤装品取付構造
(51)【国際特許分類】
B61D 37/00 20060101AFI20220914BHJP
【FI】
B61D37/00 F
B61D37/00 Z
(21)【出願番号】P 2018127581
(22)【出願日】2018-07-04
【審査請求日】2021-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390021577
【氏名又は名称】東海旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】村松 道夫
(72)【発明者】
【氏名】加藤 修
(72)【発明者】
【氏名】中村 征広
(72)【発明者】
【氏名】青木 盛人
(72)【発明者】
【氏名】伊東 隼
【審査官】川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-093562(JP,A)
【文献】特開2016-037188(JP,A)
【文献】特開2007-137217(JP,A)
【文献】特開2011-126360(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61D 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
艤装品と、前記艤装品が取り付けられる構体と、を備える鉄道車両において、
第1吊り溝を設けられた吊り溝プレートと、
前記第1吊り溝にスライド可能に保持され、前記艤装品を前記第1吊り溝に取り付ける取付部材と、を有すること、
前記吊り溝プレートは、車長方向の長さが前記艤装品の車長方向の長さより短く、前記取付部材を介して前記艤装品が取り付けられていること、
前記構体は、前記艤装品と別の艤装品が取り付けられ、
前記吊り溝プレートが、前記別の艤装品に取り付けられていること、
を特徴とする鉄道車両。
【請求項2】
艤装品と、前記艤装品が取り付けられる構体と、を備える鉄道車両において、
第1吊り溝を設けられた吊り溝プレートと、
前記第1吊り溝にスライド可能に保持され、前記艤装品を前記第1吊り溝に取り付ける取付部材と、を有すること、
前記吊り溝プレートは、車長方向の長さが前記艤装品の車長方向の長さより短く、前記取付部材を介して前記艤装品が取り付けられていること、
前記構体は、前記艤装品が取り付けられる第2吊り溝が設けられていること、
前記吊り溝プレートは、前記第1吊り溝が前記第2吊り溝の延長線上に配置されるように位置決めされていること、
を特徴とする鉄道車両。
【請求項3】
鉄道車両の構体に艤装品を取り付ける艤装品取付構造において、
第1吊り溝を設けられた吊り溝プレートと、
前記第1吊り溝にスライド可能に保持され、前記艤装品を前記第1吊り溝に取り付ける取付部材と、を有すること、
前記吊り溝プレートは、車長方向の長さが前記艤装品の車長方向の長さより短く、前記取付部材を介して前記艤装品が取り付けられていること、
前記艤装品と別の艤装品が前記構体に取り付けられ、
前記吊り溝プレートが、前記別の艤装品に取り付けられていること、
を特徴とする艤装品取付構造。
【請求項4】
鉄道車両の構体に艤装品を取り付ける艤装品取付構造において、
第1吊り溝を設けられた吊り溝プレートと、
前記第1吊り溝にスライド可能に保持され、前記艤装品を前記第1吊り溝に取り付ける取付部材と、を有すること、
前記吊り溝プレートは、車長方向の長さが前記艤装品の車長方向の長さより短く、前記取付部材を介して前記艤装品が取り付けられていること、
前記艤装品が取り付けられる第2吊り溝が前記構体に設けられていること、
前記吊り溝プレートは、前記第1吊り溝が前記第2吊り溝の延長線上に配置されるように位置決めされていること、
を特徴とする艤装品取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、艤装品が構体に取り付けられた鉄道車両及び艤装品取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両の構体には、多様な艤装品が取り付けられる。構体は、多数の部材を結合した大型構造体であることから、艤装品の取り付けを容易にするため、構体には、取付ボルトをスライド可能に保持する吊り溝が設けられる。作業者は、艤装品の取付位置に合わせて取付ボルトの位置を調整し、取付ボルトを締結することにより、艤装品を構体に取りつける。
【0003】
例えば特許文献1には、荷棚が取り付けられる吊り溝を構体に一体成形した鉄道車両が開示されている。
また、例えば、特許文献2には、吊り溝を備える補強プレートを構体に溶接し、吊り溝に内装材を固定する鉄道車両が開示されている。
また例えば、特許文献3には、吊り溝を備える吊り溝部材を屋根構体にねじ固定し、吊り溝に吊革を取り付けた鉄道車両が開示されている。
更に例えば、特許文献4には、構体のパネルに溶接された形材に支持具を締結ボルトで取り付け、支持具の吊り溝に荷棚を引っ掛けた鉄道車両が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-205443号公報
【文献】特開2016-037188号公報
【文献】特開2015-093562号公報
【文献】特開平07-172306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術は以下の問題を生じていた。例えば、特許文献1に記載されるように、鉄道車両の客室には、座席と天井との間に、荷棚が車長方向に沿って設けられている。荷棚は、側構体に車長方向に沿って設けられた吊り溝に、ブラケットを介して取り付けられる。ところが、側構体は、出入口を開閉する引き戸を収納する戸袋部が設けられる。そのため、特許文献1に記載された鉄道車両では、荷棚を現車に取り付ける際に、側構体の吊り溝の位置に合わせて戸袋部にボルト穴を加工し、ブラケットを戸袋部に取り付けなければならず、荷棚の取付作業に手間がかかっていた。しかも、ボルト穴を現車内で形成するため、ボルト穴を加工する際に生じた切り屑を清掃する手間もかかっていた。
【0006】
また、特許文献2~特許文献4に記載の技術は、構体に吊り溝を後付けするため、戸袋部に吊り溝を設けることができず、特許文献1と同様の問題を生じていた。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、艤装品の取付作業を容易にすることができる鉄道車両及び艤装品取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明の一態様は、次のような構成を有している。すなわち、(1)艤装品と、前記艤装品が取り付けられる構体と、を備える鉄道車両において、第1吊り溝を設けられた吊り溝プレートと、前記第1吊り溝にスライド可能に保持され、前記艤装品を前記第1吊り溝に取り付ける取付部材と、を有すること、前記吊り溝プレートは、車長方向の長さが前記艤装品の車長方向の長さより短く、前記取付部材を介して前記艤装品が取り付けられていること、を特徴とする。
【0009】
上記構成の鉄道車両は、構体を組み立てる際に、構体に艤装品を取り付ける位置に合わせて吊り溝プレートを構体に取り付けておき、現車内では、吊り溝プレートの第1吊り溝に取付部材を用いて艤装品を取り付けるだけで、艤装品を構体に取り付けることができる。そのため、作業者は、艤装品を現車に取り付ける際にボルト穴を加工したり、ボルト穴形成時に生じる切り屑を清掃したりする手間がかからない。また、吊り溝プレートは、車長方向の長さが前記艤装品の車長方向の長さより短いので、取り付けが容易である。よって、上記構成の鉄道車両によれば、艤装品の取付作業を容易にすることができる。
【0010】
(2)(1)に記載の鉄道車両において、前記構体は、前記艤装品と別の艤装品が取り付けられ、前記吊り溝プレートが、前記別の艤装品に取り付けられていること、が好ましい。
【0011】
上記構成の鉄道車両は、構体に取り付けた別の艤装品に吊り溝プレートを取り付けることにより、艤装品を構体に取り付ける場合と同様にして、艤装品を別の艤装品に取り付けることができる。
【0012】
(3)(1)又は(2)に記載の鉄道車両において、前記構体は、前記艤装品が取り付けられる第2吊り溝が設けられていること、前記吊り溝プレートは、前記第1吊り溝が前記第2吊り溝の延長線上に配置されるように位置決めされていること、が好ましい。
【0013】
上記構成の鉄道車両は、構体に設けられた第2吊り溝の延長線上に第1吊り溝を配置するように吊り溝プレートを位置決めして構体に取り付けるので、吊り溝プレートの第1吊り溝を第2吊り溝の一部のように利用できる。尚、第2吊り溝は、構体に一体成形することにより設けても良いし、吊り溝を有する別の吊り溝部材を構体に取り付けることにより設けても良い。
【0014】
(4)鉄道車両の構体に艤装品を取り付ける艤装品取付構造において、第1吊り溝を設けられた吊り溝プレートと、前記第1吊り溝にスライド可能に保持され、前記艤装品を前記第1吊り溝に取り付ける取付部材と、を有すること、前記吊り溝プレートは、車長方向の長さが前記艤装品の車長方向の長さより短く、前記取付部材を介して前記艤装品が取り付けられていること、を特徴とする。
【0015】
上記構成の艤装品取付構造によれば、上記鉄道車両と同様、艤装品の取付作業を容易にすることができる。
【発明の効果】
【0016】
従って、本発明によれば、艤装品が構体に取り付けられた鉄道車両及び艤装品取付構造において、艤装品の取付作業を容易にする技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係る鉄道車両の概略図である。
【
図4】戸袋部における荷棚の取付構造を説明する図である。
【
図6】吊り溝プレートを備える鉄道車両の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
先ず、
図1を参照して、鉄道車両10の概略構成を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る鉄道車両10の概略図である。鉄道車両10は、屋根構体(図示せず)と、床構体(図示せず)と、側構体111,111と、妻構体112により、構体11が構成されている。構体11の床構体には、台車が取り付けられる。
【0020】
鉄道車両10は、客室R1が車長方向(図中左右方向)F1の中央に設けられ、客室R1の車長方向F1の両端部にデッキR2,R2が設けられている。客室R1とデッキR2とは、内妻仕切14により仕切られている。
【0021】
側構体111は、それぞれ、デッキR2に対応する位置に出入口12が設けられている。出入口12は、引き戸13により開閉される。側構体111は、引き戸13を収納する戸袋部Mを備える。
【0022】
また、鉄道車両10は、側構体111に、荷棚2がそれぞれ設けられている。荷棚2は、一方の内妻仕切14から他方の内妻仕切14まで設けられている。荷棚2は、側構体111に取り付けられた第1ブラケット4と、客室端部に取り付けられた第2ブラケット3に、棚本体5が取り付けられている。
【0023】
図2~
図5を参照して、荷棚2の取付構造を説明する。
図2は、
図1のS部の拡大図である。
図2は、荷棚2の取付構造を分かりやすく記載するために概念的に記載している。また、
図2では、第1ブラケット4と第2ブラケット3の取付構造を明確にするために、棚本体5を二点鎖線で記載している。
図3は、荷棚2の取付構造を説明する図である。
図4は、戸袋部Mにおける荷棚2の取付構造を説明する図である。
図5は、
図4のAA断面図である。
【0024】
図2及び
図3に示すように、側構体111は、一対の構体側吊り溝111a,111aを備える。一対の構体側吊り溝111a,111aは、側構体111に加工された図示しない窓開口部の上側の位置において、側構体111の内側面111bに車長方向F1に沿って平行に設けられている。一対の構体側吊り溝111a,111aは、側構体111の内側面111bに一体成形されている。尚、長尺の吊り溝部材を側構体111に取り付け、その吊り溝部材の吊り溝を一対の構体側吊り溝にしても良い。
【0025】
第1ブラケット4は、固定部31に形成された複数の挿通穴36に、一対の構体側吊り溝111a,111aにスライド可能に保持された取付ボルト34をそれぞれ挿通し、各取付ボルト34にナットを締め込むことにより、構体11に連結されている。
【0026】
棚本体5の構造や取付方法は周知のため、説明を省略する。
【0027】
図2に戻り、側構体111は、出入口12の縁部に沿って戸袋パネル91が溶接やボルトなどで固定され、戸袋部Mが設けられている。側構体111は、引き戸13の邪魔にならないように、一対の構体側吊り溝111a,111aが戸袋部M(内側面111bのうち戸袋パネル91と対向する部分)に設けられていない。
【0028】
そのため、戸袋部M(戸袋パネル91の設置位置)では、一対の構体側吊り溝111a,111aに荷棚2(第1ブラケット4)を取り付けることができない。尚、戸袋部Mは、艤装品を構体に取りつけることが困難な部分であり、戸袋パネル91は、別の艤装品の一例である。そこで、本形態では、一対のプレート側吊り溝20a,20aを有する吊り溝プレート20を戸袋パネル91に取り付け、その吊り溝プレート20を介して荷棚2を戸袋パネル91に取り付けるようにしている。プレート側吊り溝20a,20aは、第1吊り溝の一例である。
【0029】
図4及び
図5に示すように、吊り溝プレート20は、アルミで形成されている。吊り溝プレート20は、車長方向F1の長さが荷棚2の車長方向F1の長さより短い。つまり、吊り溝プレート20は、荷棚2(第2ブラケット3)の取付位置に部分的に配設されるものであり、従来技術のように側構体111の全長にわたって設けられるものではない。
【0030】
図4に示すように、吊り溝プレート20は、一対の構体側吊り溝111a,111aと同じ間隔で、一対のプレート側吊り溝20a,20aが一体成形されている。吊り溝プレート20は、一対のプレート側吊り溝20a,20aが一対の構体側吊り溝111a,111aの延長線上に配置されるように位置合わせされ、ブラインドリベット21を用いて、戸袋パネル91に固定されている。吊り溝プレート20は、荷棚2から受ける荷重を分散させるように、複数のブラインドリベット21を用いて戸袋パネル91に固定されている。
【0031】
図5に示すように、荷棚2は、第2ブラケット3が一対のプレート側吊り溝20a,20aに取付ボルト34を介して取り付けられ、棚本体5が第2ブラケット3に取り付けられている。取付ボルト34は、取付部材の一例である。第2ブラケット3は、車幅方向F2の長さが第1ブラケット4より短いこと以外は、第1ブラケット4と同様に構成されている。第2ブラケット3は、第1ブラケット4と同様にして、一対のプレート側吊り溝20a,20aに取り付けられている。
【0032】
続いて、荷棚2の取付手順を説明する。
【0033】
構体11を組み立てる場合に、戸袋パネル91を側構体111に取り付ける。作業者は、内装作業前の車内にて吊り溝プレート20を戸袋パネル91に固定する。すなわち、作業者は、側構体111に取り付けられた戸袋パネル91に、治具を用いて、ブラインドリベット21用の穴91a(
図5参照)を形成する。具体的には、作業者は、吊り溝プレート20のプレート側吊り溝20a,20aが側構体111の構体側吊り溝111a,111aに対し、所定の位置関係(本実施形態では延長線上)に配置されるように、治具を用いて穴91aの形成位置を決め、戸袋パネル91にドリルで穴91aを開ける。それから作業者は、ブラインドリベット21を吊り溝プレート20の貫通穴20bと戸袋パネル91の穴91aに挿通し、吊り溝プレート20を戸袋パネル91に固定する。
【0034】
構体11が組み立てられた後、作業者は、車内にて荷棚2を構体11に取り付ける。荷棚2の取付方法は周知のため、説明を省略する。
【0035】
以上説明したように、本形態の鉄道車両10は、(1)荷棚2と、荷棚2が取り付けられる構体11と、を備える鉄道車両10において、プレート側吊り溝20a,20aを設けられた吊り溝プレート20と、プレート側吊り溝20a,20aにスライド可能に保持され、荷棚2をプレート側吊り溝20a,20aに取り付ける取付ボルト34と、を有すること、吊り溝プレート20は、車長方向F1の長さが荷棚2の車長方向F1の長さより短く、取付ボルト34を介して荷棚2が戸袋部M(戸袋パネル91)に取り付けられていること、を特徴とする。
【0036】
このような鉄道車両10は、構体11を組み立てる際に、構体11に荷棚2を取り付ける位置に合わせて吊り溝プレート20を構体11の戸袋部M(戸袋パネル91)に取り付けておき、現車内では、吊り溝プレート20のプレート側吊り溝20aに取付ボルト34を用いて荷棚2を取り付けるだけで、荷棚2を構体11の戸袋部M(戸袋パネル91)に取り付けることができる。そのため、作業者は、荷棚2を現車に取り付ける際にボルト穴を加工したり、ボルト穴形成時に生じる切り屑を清掃したりする手間がかからない。また、吊り溝プレート20は、車長方向F1の長さが荷棚2の車長方向F1の長さより短いので、取り付けが容易である。よって、本形態の鉄道車両10によれば、荷棚2の取付作業を容易にすることができる。
【0037】
(2)(1)に記載の鉄道車両において、構体11は、荷棚2と戸袋パネル91が取り付けられ、吊り溝プレート20が、戸袋パネル91に取り付けられていること、を特徴とする。
【0038】
このような鉄道車両10は、構体11に取り付けた戸袋パネル91に吊り溝プレート20を取り付けることにより、荷棚2を構体11に取り付ける場合と同様にして、荷棚2を戸袋パネル91に取り付けることができる。
【0039】
(3)(1)又は(2)に記載の鉄道車両10において、構体11は、荷棚2が取り付けられる構体側吊り溝111a,111aが設けられていること、吊り溝プレート20は、プレート側吊り溝20a,20aが構体側吊り溝111a,111aの延長線上に配置されるように位置決めされていること、を特徴とする。
【0040】
このような鉄道車両10は、構体11に設けられた構体側吊り溝111a,111aの延長線上にプレート側吊り溝20a,20aを配置するように吊り溝プレート20を位置決めして、構体11に取り付けられた戸袋パネル91に取り付けられるので、吊り溝プレート20のプレート側吊り溝20a,20aを構体側吊り溝111a,111aの一部のように利用できる。
【0041】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、色々な応用が可能である。
【0042】
上記形態では、戸袋パネル91に吊り溝プレート20を取り付けたが、例えば、構体に段差があることや艤装品の設置範囲が狭いことなど、艤装品を取り付けるための吊り溝を構体に設けることが困難な部分に、吊り溝プレート20を取り付けても良い。
【0043】
例えば、上記形態では、構体11の構体側吊り溝111aの延長線上にプレート側吊り溝20aを配置するように吊り溝プレート20を位置決めして戸袋部Mに取り付けた。これに対して、例えば、
図6に示す鉄道車両100のように、艤装品の取付位置に吊り溝プレート201,202,203,204を各々配置し、構体150に取り付けるようにしても良い。これによれば、内装作業前に、構体の形状や艤装品の大きさ等に合わせて吊り溝プレート201,202,203,204を適宜構体150に取り付けることができる。そして、現車内では、ボルト穴の形成や切り屑の清掃などを行わずに、艤装品を吊り溝プレート201,202,203,204を介して構体150に取り付けることができる。よって、鉄道車両100によれば、例えば、構体の車長方向に沿って吊り溝を設ける場合と比べ、車両重量が無駄に重くなることを回避できる。
【0044】
例えば、吊り溝プレート20は、側構体の前、中央、後ろの3箇所に設けられた出入口12に対応する戸袋部Mに車外で取り付け、各出入口の間に車長方向に沿って設けられた荷棚を吊り溝プレート20のプレート側吊り溝20aに取り付けても良い。
【符号の説明】
【0045】
2 荷棚
10,100 鉄道車両
11 構体
111a 構体側吊り溝
20,201,202,203,204 吊り溝プレート
20a,201a,202a,203a,204a プレート側吊り溝
M 戸袋部