(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】電池レスリモコン装置
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20220914BHJP
F16H 25/18 20060101ALI20220914BHJP
G05G 1/02 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
H04Q9/00 301A
H04Q9/00 371B
F16H25/18 A
G05G1/02 B
(21)【出願番号】P 2017148596
(22)【出願日】2017-07-31
【審査請求日】2020-07-20
【審判番号】
【審判請求日】2021-11-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】302045705
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【氏名又は名称】小西 富雅
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 和男
(72)【発明者】
【氏名】石川 昌史
(72)【発明者】
【氏名】奥澤 宙
(72)【発明者】
【氏名】行武 陽平
(72)【発明者】
【氏名】大川 卓
(72)【発明者】
【氏名】小川 佳史
(72)【発明者】
【氏名】戸屋 智和
(72)【発明者】
【氏名】小松 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】辻 賢太郎
【合議体】
【審判長】角田 慎治
【審判官】赤穂 美香
【審判官】土居 仁士
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-168959(JP,A)
【文献】実開昭50-134680(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
該ケースへ移動可能に取り付けられる複数のボタンと、
前記ボタンの操作の力を利用して電力を発生する発電素子と、
前記ボタンの操作を検出するボタン操作検出部と、
前記ボタン操作検出部の検出結果に基づき、外部へ所定の信号を発信する発信回路であって、発信の電力が前記発電素子から供給される発信回路と、
前記各ボタンの操作に連動して前記発電素子に作用して発電をさせる発電素子操作部であって、
本体部と、
該本体部と前記各ボタンとを繋ぐ第1連結部と、
前記本体部と前記発電素子とを繋ぐ第2連結部とを備え、
少なくとも1つの前記ボタンが操作されたとき、前記第1連結部を介して前記本体部は前記ケース内を移動し、かつ前記各ボタンの操作が停止されたとき操作前の位置に戻るとともに、前記第2連結部は前記本体部の移動に伴い前記発電素子に作用して発電させる、電池レスリモコン装置において、
前記本体部は前記ボタンに対向する部分に貫通孔を備え、
前記ボタン操作検出部は、前記本体部の前記貫通孔内に前記ボタンに対向して配置され、
前記貫通孔の周面において移動方向下流側の
周面が前記ボタンと結合される前記第1連結部となり、前記ボタンの操作により前記周面が前記移動方向下流側へ押圧されて前記本体部が移動し、該本体部の移動に伴い前記第2連結部が前記発電素子に作用して発電させる、電池レスリモコン装置。
【請求項2】
前記本体部は一対の縦木部と該縦木部に懸架された複数の横木部とを備えたラダー形状にして、前記貫通孔を矩形とし、前記横木部の側面であって前記移動方向上流側の側面に前記1連結部が形成される、請求項1に記載の電池レスリモコン装置。
【請求項3】
前記第1連結部は、前記ボタンに形成された第1カム部と、該第1カム部に対向して前記本体部の貫通孔の前記移動方向下流側の周面に形成された第1カムフォロア部とを備えてなり、前記ボタンの操作により前記第1カム部が前記第1カムフォロア部を押圧して前記本体部を移動させる、請求項1又は2に記載の電池レスリモコン装置。
【請求項4】
前記各貫通孔の前記移動方向下流側の周面に形成された傾斜面又は曲面が前記第1カムフォロア部となる、請求項3に記載の電池レスリモコン装置。
【請求項5】
前記第1連結部は、前記ボタンに形成された第1カム部と第1カムフォロア部としての前記横木部とからなり、前記横木部は棒状ローラであって、前記ボタンの操作により前記第1カム部が前記棒状ローラの横木部を押圧して前記本体部を移動させる、請求項2に記載の電池レスリモコン装置。
【請求項6】
前記ボタン操作検出部はプッシュボタンスイッチであり、前記ボタンが押圧されたとき前記発信回路へ信号を送る検出部と、該ボタンをその押圧方向と反対の方向へ付勢する第1弾性部材と、を備える、請求項1~5の何れかに記載の電池レスリモコン装置。
【請求項7】
前記本体部と前記ケースとの間に第2弾性部材が備えられ、該第2弾性部材は前記ボタンの操作により移動した前記本体部を移動前の位置側へ付勢する、
請求項6に記載の電池レスリモコン装置。
【請求項8】
前記本体部の縦木部に形成された第2カム部と前記発電素子に形成されて前記第2カム部に対向する第2カムフォロア部とから前記第2連結部が形成される、請求項2に記載の電池レスリモコン装置。
【請求項9】
前記本体部において前記一対の横木部が第1カムフォロア部を構成し、前記ボタンには該一対の横木部に対向するように傾斜面が形成され、
前記一対の横木部の間にプッシュボタンスイッチ式のボタン操作検出部が配置される、請求項2に記載の電池レスリモコン装置。
【請求項10】
電池レスリモコン装置において、ボタンの押下力を発電素子へ伝達する発電素子操作部に用いられるリンク部材であって、
ボタンの押圧を検出するスイッチを挿入可能な貫通孔を備え、該貫通孔の周面に前記ボタンに形成されたカム部と対向するカムフォロア部が形成されている、リンク部材。
【請求項11】
一対の縦木部と該縦木部に懸架された複数の横木部とを備えたラダー形状にして、前記貫通孔を矩形とし、前記横木部の側面に前記カムフォロア部が形成される、請求項10に記載のリンク部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電池レスリモコン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電池交換を必要としない電池レスリモコン装置が、例えば、トイレの分野で提供されている(特許文献1参照)。
この装置では、ケースと、ケースに収納され押圧されることで発電可能な発電装置と、ケースの表面に設けられる複数のボタンと、複数のボタンの何れか一つが押圧されると発電装置を押圧するように移動するリンク機構と、を有し、ケースに対して複数のボタンが弾性部材によって支持され、複数のボタンの何れか一つが押圧されリンク機構が移動するとき、押圧されていないボタンはリンク機構の動きに影響を受けないように構成されている 。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の電池レスリモコン装置では、ボタンの動きが連動していないため、ボタンを押す際に余計な押圧力が発生せず、使用者にとって使い勝手のよいものとなる。
このような電池レスリモコン装置にも、製造コストを低減する要請があり、かかる観点からこの装置の実施例を眺めると、ボタンの押下動作を回転動作に変換する構造を要するため、部品点数の増大、ひいては製造コストの増大を否めない。
特許文献1の
図8に示される変形態様の例では、ボタンの下端をカム部として、リンクから突出させたカムフォロア部に対向させている。これにより、ボタンの押下移動をリンクの平行移動に直接変換している。しかしながら、カム部に対向するカムフォロア部の傾斜面には高さが必要なため、カムフォロア部をリンクから突出させる構造の装置には、当該高さを確保するために、全体として厚くなることが避けられない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一つの目的は上記課題を解決することにある。即ち、この発明の第1の局面は次のように規定される。
ケースと、
該ケースへ移動可能に取り付けられる複数のボタンと、
前記ボタンの操作の力を利用して電力を発生する発電素子と、
前記ボタンの操作を検出するボタン操作検出部と、
前記ボタン操作検出部の検出結果に基づき、外部へ所定の信号を発信する発信回路であって、発信の電力が前記発電素子から供給される発信回路と、
前記各ボタンの操作に連動して前記発電素子に作用して発電をさせる発電素子操作部であって、
本体部と、
該本体部と前記各ボタンとを繋ぐ第1連結部と、
前記本体部と前記発電素子とを繋ぐ第2連結部とを備え、
少なくとも1つの前記ボタンが操作されたとき、前記第1連結部を介して前記本体部は前記ケース内を移動し、かつ前記各ボタンの操作が停止されたとき操作前の位置に戻るとともに、前記第2連結部は前記本体部の移動に伴い前記発電素子に作用して発電させる、電池レスリモコン装置において、
前記本体部は前記ボタンに対向する部分に貫通孔を備え、該貫通孔の周面に前記ボタンと結合される前記第1連結部が形成され、前記ボタンの操作により前記貫通孔において移動方向下流側の周面が直交して本体部が移動し、前記本体部の移動に伴い前記第2連結部により前記発電素子に作用して発電させる、
電池レスリモコン装置。
【0006】
このように規定される第1の局面の電池レスリモコン装置によれば、本体部の貫通孔の周面に第1連結部が連結される。そして、ボタン側のカム部と本体部側のカムフォロア部とで第1連結部を構成したとき、貫通孔の周面をカムフォロア部として利用することにより、本体部の厚みをカムフォロア部の斜面の高さとして利用できるので、本体部から突出したカムフォロア部は不要となる。
第1連結部はボタンの移動(例えば、ケースに対する垂直方向移動)を本体部の横移動(例えば、ケースに沿った移動)に変換するものである。既述のカム機構の他にもリンク機構を採用することができる。リンク機構においてもこれを構成するリンクやジョイントを貫通孔内に配置できるので、ケースを何ら厚くする必要がない。ボタンの移動により本体部の貫通孔において移動方向下流側の周面が直交するので、これにより、第1連結部の連結が容易になる。
そして、貫通孔において移動方向下流側の周面が直交して本体部が移動し、前記本体部の移動に伴い前記第2連結部により前記発電素子に作用して発電させる。
【0007】
更には、本体部は一対の縦木部と該縦木部に懸架された複数の横木部とを備えたラダー形状にして、貫通孔を矩形とし、横木部の側面に第1連結部が形成されることが好ましい(第2の局面)。ラダー形状にすることで本体部を可及的に軽量化できる。また、横木部を縦木部に対して両持ちはりとすることで、横木部を棒状ローラとすることも可能となる。棒状ローラもカムフォロア部として利用できる。
【0008】
この発明の第3の局面の電池レスリモコン装置は次のように規定される。
第1~2のいずれかの局面で規定の電池レスリモコン装置において、
前記第1連結部は、前記ボタンに形成された第1カム部と、該第1カム部に対向して前記本体部の貫通孔の周面に形成された第1カムフォロア部とを備えてなり、前記ボタンの操作により前記第1カム部が前記第1カムフォロア部を押圧して前記本体部を移動させる。
この局面では、第1連結部がカム機構であることを規定する。カム機構はリンク機構に比べて部品点数が少なく、低コスト化の要請に適合する。
ここに、各ボタンの第1カム部は同一方向の傾斜面とする。ここでいう同一方向とは、発電素子を発電させる方向をいい、必ずしも物理的に同一方向を指すものはない。例えば、先行特許文献1に例示されているように、第1のリンク部材と第2のリンク部材とがギアより反対方向に移動する構造においては、第1のリンク部材に対向するカム部の斜面と第2のリンク部材に対向するカム部のそれとは物理的には反対向きであるが、発電素子を発電させる方向という観点からは同一方向と定義できる。これらリンク部材が本願発明の本体部に対応する。
ボタンの第1カム部の傾斜面に対して、貫通孔の周面にも傾斜面が形成される。即ち、各貫通孔において同一方向の周面に第1カムフォロア部としての傾斜面が形成される(第4の局面)。横木部は棒状ローラであってもよい(第5の局面)。棒状ローラのときは傾斜面は不要である。
ボタンの第1カム部として棒状ローラを採用してもよい。この場合には、各横木部において同一側の側面に傾斜面が形成される。
【0009】
この発明の第4の局面は次のように規定される。即ち、第3の局面に規定の電池レスリモコン装置において、前記各貫通孔の周面の同一側側面に形成された傾斜面が前記カムフォロア部となる。
かかる構成を採用することにより、第1連結部の構造が簡素化される。
【0010】
この発明の第5の局面は次にように規定される。即ち、第2の局面に規定の電池レスリモコン装置において、前記第1連結部は、前記ボタンに形成された第1カム部と第1カムフォロア部としての前記横木部とからなり、前記横木部は棒状ローラであって、前記ボタンの操作により前記第1カム部が前記棒状ローラの横木部を押圧して前記本体部を移動させる。
このように規定される第5の局面の電池レスリモコン装置によれば、棒状ローラの採用により、カム機構の駆動が滑らかになり、操作性が向上する。
【0011】
この発明の第6の局面は次のように規定される。即ち、第1~第5の何れかの局面に規定の電池レスリモコン装置において、前記ボタン操作検出部はプッシュボタンスイッチであり、前記本体部の貫通孔内に前記ボタンに対向してそれぞれ配置され、前記ボタンが押圧されたとき前記発信回路へ信号を送る検出部と、該ボタンをその押圧方向と反対の方向へ付勢する第1弾性部材とを備える。
このように規定される第6の局面の電池レスリモコン装置によれば、ボタン検出部が第1弾性部材を備えている。この第1の弾性部材はボタンが非押下状態でこれを弾性的に支え、ボタンが押下された後、押下が解放されたときにはボタンを押し返して元の位置に戻す。かかる弾性部材として圧縮コイルばねを用いることができる。この圧縮コイルばねは、従来ではボタンの押下を検出するスイッチとは別体として配置されていた。プッシュボタン式のスイッチを採用することにより、部品点数が削減される。勿論、ボタン操作を安定させるため、プッシュボタンスイッチとは別に、即ち追加して、圧縮コイルばねを採用してもよい。その他、同様の作用を奏するばね弾性を有する弾性部材、例えばゴム、エラストマー、引っ張りコイルばね、バネ板等を採用できる。
【0012】
この局面において、プッシュボタンスイッチが本体部の貫通孔の内に配置されることを規定した。これは、本体部に貫通孔を設けたことにより得られる構造であり、これにより装置を小型化できる。
プッシュボタンスイッチの代わりに、汎用的な接触式スイッチ、非接触式スイッチをボタン操作検出部として採用することができる。これらの場合、圧縮コイルばねをボタンとケースとの間に介在させる。勿論、プッシュボタンスイッチを採用するときにも、別途圧縮コイルばねを介在させることができる。
発信回路には汎用的な回路を採用できる。なお、トイレ等では発信回路は無線の発信機の役割を果たしている。発信回路から発信される信号を有線で制御対象となる装置へ送信してもよい。
【0013】
この発明の第7の局面は次のように規定される。即ち、第6の局面に規定の電池レスリモコン装置において、前記本体部と前記ケースとの間に第2弾性部材が備えられ、該第2弾性部材は前記ボタンの操作により移動した前記本体部を移動前の位置側へ付勢する。
このように規定される第7の局面に規定の電池レスリモコン装置によれば、ボタンの押下が解放されたとき、第2弾性部材により本体部自体が元の位置に戻される。このとき、当該本体部の移動にともない第1連結部を介してボタンも押し戻される。ここに、プッシュボタンスイッチによるボタンの戻し作用と相まって、ボタンをニュートラルにする作用が確実に実行される。
第2弾性部材にも圧縮コイルばねを採用できる。その他、同様の作用を奏するばね弾性を有する弾性部材、例えばゴム、エラストマー、引っ張りコイルばね、バネ板等を採用できる。
【0014】
この発明の第8の局面は次のように規定される。即ち、第2の局面に規定の電池レスリモコン装置において、前記本体部の縦木部に形成された第2カム部と前記発電素子に形成されて前記第2カム部に対向する第2カムフォロア部とから前記第2連結部が形成される。
このように規定される第8の局面に規定の電池レスリモコン装置によれば、第2連結部にカム機構を採用したので、構造がシンプルになる。また、縦木に第2カム部を設けることで、発電素子の配置の自由度が増大する。
【0015】
この発明の第9の局面は次のように規定される。即ち、第2の局面に規定の電池レスリモコン装置において、前記本体部において一対の横木部が第1カムフォロア部を構成し、前記ボタンには該一対の横木部に対向するように傾斜面が形成され、
前記一対の横木部の間に前記プッシュボタンスイッチ式のボタン検出部が配置される。
このように規定される第9の局面に規定の電池レスリモコン装置によれば、一対の横木部をカムフォロア部としそれに対向する一対のカム部をボタンに設けたので、ボタンと横木部との接触点が増大する。これによりボタンの押下動作が安定する。即ち、ボタンの押下方向においてボタンの投影面内に複数のカム-カムフォロアからなるカム機構を配置できる。よって、中心からずれた位置でボタンが押下されても、その押下動作が本体部に確実に伝達され、本体部の移動が安定する。
この局面では、横木部の間にプッシュブタンスイッチが配置される。このプッシュブタンスイッチは一対のカム部の間に配置されるので、ボタンの支持がより安定する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1はこの発明の実施の形態の電池レスリモコン装置の分解斜視図である。
【
図4】
図4は装置の動作を説明する断面図であって、ボタンの押下前の状態を示す。
【
図5】
図5は装置の動作を説明する断面図であって、ボタンの押下後の状態を示す。
【
図6】
図6はラダー形状の本体部を示す平面図である。
【
図7】
図7は他の実施形態の本体部を示す平面図である。
【
図8】
図8は
図7に示す本体部に取り付けられるボタン及びスイッチを示す模式図である 。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1はこの発明の実施の形態の電池レスリモコン装置(以下「装置」と略することがある)1の分解斜視図である。
この装置1は、ケース10、ボタン20(
図3参照)、発電素子操作部100を備えている。
ケース10は上蓋部11と下蓋部30とに分割され、上蓋部11にはボタン孔12があけられる。
図2、3に示されるように、ボタン孔12にはボタン20がその軸方向、即ちケース10の厚さ方向へ移動可能に挿着される。ボタン孔12の周りにはリング状の補強部14が形成されている。
【0018】
ボタン20は、被押圧部21、スイッチ押圧部25及びカム部26を備えている。被押圧部21は例えば円板状であってその表面にはボタンの作用を把握できるように、文字や記号が印刷されている。
被押圧部21の周縁からはその意匠面と反対側(
図2で下側)へ縁取り部23が垂れ下がっている。この縁取り部23はリング状であり、その外径寸法は上蓋部11の補強部14の内径寸法に略等しく、両者は摺動状態となる。縁取り部23の下端は外方へ折れ曲がってフランジ24を構成する。このフランジ24は補強部14の下端に当接して、ボタン20が上蓋部11から外れないようにしている。
【0019】
被押圧部21の裏面(意匠面と反対側面)のほぼ中央に棒状のスイッチ押圧部25が突設される。このスイッチ押圧部25はプッシュボタンスイッチ(以下、単に「スイッチ」と略することがある)200に対向して、ボタン20が押下されたときこのスイッチ200を押圧してオンとする。スイッチ押圧部25の形状は、スイッチ200を押圧できるように任意に設計変更できる。
被押圧部21の裏面において、スイッチ押圧部25を挟むように一対のカム部26が突設される。カム部26は板状である。板の自由端(
図3の下端)の両角に傾斜面が形成さる。この傾斜面が第1カム部27となる。
この例では、被押圧部21の裏面において中心から対象の位置に同一板状のカム部26が設けられ、各板の自由端の両角に第1カム部27が形成される。その結果、4つの第1のカム部27は、平面視において、被押圧部21の中心から放射状の位置にかつ点対称に配置される。よって、被押圧部21の中心以外の部分が押された場合に、傾いた部分がその下方のカム機構で支持される。よって、被押圧部21は殆どかしがずにその水平状態を維持し、横木部130を安定して押圧する。
勿論、カム部26の構造は、その第1カム部27で横木部
130(即ち、第1カムフォロア部)を押圧可能であれば、任意に設計可能である。
第1カム部27として、この例では、平面状の傾斜面を採用したが、曲面であってもよい。曲面を採用した場合、ボタンに対する押圧力のフィーリングを変更できる。傾斜面の形成方向は同方向とし、本体部101の移動方向を向いている。第1カム部27として棒状ローラを採用することができる。即ち、一対のカム部26の自由端の両角に棒状ローラを懸架する。この場合、横木部130が傾斜面となる。この横木部の傾斜面は本体部101の移動方向と反対向きである。即ち、図示の傾斜面の第1カム部と対向する方向である。
【0020】
本体部101は、
図4に示すように、ラダー形状である。即ち、一対の縦木部110に複数の横木部130が懸架されている。この例では、この横木部130はボタン20の第1カム部27に対向する棒状ローラである。
図4においては、この棒状ローラの他に、第2の横木部として補強梁133が架設されている。
この例では横木部130を棒状ローラとしてこれを第1カム部27に対向する第1カムフォロア部としたが、横木部130を、非回転体、即ち棒体としてその第1カム部27に対向する側面を傾斜面としてもよい。この傾斜面が第1カムフォロア部となる。
【0021】
本体部101の縦木部110は長板状の部材であり、その下面にはスライド部111と被ガイド部113が形成されている。スライド部111は下蓋部30に接触しこれに対し摺動可能である。スライド部111はボタン20に対向する位置に形成することが好ましく、これにより、ボタン20が押圧されて横木部130に下向きの力が加えられたときにも縦木部110は変形しない。
縦木部110の下面を全面的に下蓋部13に接触させると、接触抵抗が大きくなるので、スライド部111の接触面積は限定される。換言すれば、縦木部110においてスライド部111以外の下面は下蓋部30から離隔していることが好ましい。
この例では、離隔した下面の一部に板状の被ガイド部113が設けられている。下蓋部30には被ガイド部113を挟むようにガイドレール31が形成されている。ボタン20が押圧されてその押圧力が第1カム部27から縦木部110に伝達されると、縦木部110、即ち本体部101はこのガイドレール31に沿って移動する。縦木部110の自由端には圧縮コイルばね115が下蓋部30との間に設けられる。この圧縮コイルばね115は、ボタンの押下に従い移動してきた縦木部110をその移動と反対方向に付勢する。これにより、ボタンの押下操作が解放されたとき、縦木部110を元の位置に戻す。この戻し動作において、横木部130が第1カム部27を押圧してボタン20を持ち上げる。
【0022】
一方の縦木部110の外方側面に第2カム部120が形成されている。
この第2カム部120は発電素子300の可動部に対向している。即ち、縦木部110の移動に伴い第2カム部120が移動すると、これに対向するように配置された発電素子300の可動部(第2カムフォロア部)が操作されて発電素子300が発電する。
この例では発電素子300として電磁誘導型のものを用いた。圧電素子型の発電素子を用いることもできる。発電素子300は縦木部110の外方側面に対向するように配置されているが、発電素子300の配設位置は特に限定されるものではなく、縦木部110の内方側面、上面、又は端面(圧縮コイルばね115側の面)に対向するように設けることができる。更には、横木部130に第2カム部を設けることも可能である。これらの場合、発電素子300に対向するように第2カム部が設けられていることは言うまでもない。
【0023】
ボタン20の第1カム部27が当接する一対の横木部130の間にスイッチ200が配置される。このスイッチはプッシュボタン式であり、圧縮コイルばねを内蔵していて、ボタン20が押下されるとこれを反対方向に付勢する。これにより、本体部101の縦木部110の端面に設けられた圧縮コイルばね115と協働して、ボタン20を元の位置に戻す 。
このスイッチ200はボタンの押下に伴いオンとなる。即ち、ボタン20の操作が検出される。このオンの状態が図示しない発信回路へ反映されて、当該オン状態に対応した信号が外部へ送信される。スイッチ200のオンと同時に、発電素子300もオンとなる。発電素子300が発電した電力は発信回路へ供給され、もって、スイッチ200のオン状態に対応した信号が外部へ発信される。ボタン操作の検出、発信回路及びこの発信回路へ発電素子から電力を供給するシステムは汎用的なものを利用できる。
このボタン20はこのプッシュボタンスイッチに支えらえた状態である。
【0024】
この例では、横木部130の間にスイッチ200を配置したので、装置全体を、ケースの幅方向に対して、コンパクトにできる。また、横木部130の側面を第1フォロア部として利用するので、第1フォロア部を上方へ何ら突設する必要がなくなり、ケースの厚さ方向に対して、コンパクトにできる。
装置のコンパクト化の見地から上記の例を眺めると次のことが敷衍される。ケースの厚さ方向のコンパクト化において、ボタンの操作に連動して発電素子に作用して発電をさせる発電素子操作部の本体部(リンク機構)に貫通孔を形成して、その貫通孔の周面を第1カムフォロア部として利用すればよいことがわかる。また、この貫通孔内へスイッチを配設することで、ケースの幅方向のコンパクト化を達成できる。
【0025】
図7及び
図8には、他の発電素子操作部の本体部400の例を示す。この本体部400は板状の部材に貫通孔401が穿設されている。貫通孔401の形状は任意であるが、その周面において本体部400の移動方向下流側の面が斜面、即ち第1カムフォロア面403とされる。
かかる本体部400に対して、ボタン420はその中央部にカム部426が配置され、カム部426の下面が傾斜面(第1カム部427)とされる。符号430はプッシュボタンスイッチである。
上記において、貫通孔の周面は連続していなくてもよい。換言すれば、本体部の側面から切り欠きを設けてそれを貫通孔としてもよい。この場合、本体部の剛性を確保するため、材料、厚さ、切り欠きの大きさなど装置の用途に応じて適宜設計する。
本体部は直線状の板材に限定されず、二次元的にまた三次元的に屈曲していてもよい。また、特許文献1に示されるように複数の本体部をギアで連結することもできる。
【0026】
図1~6に示した電池レスリモコン装置1は次のように動作する。
ボタン20を押下すると、カム部26の自由端に形成された傾斜面又は曲面(第1カム部27)がラダー形状の本体部101の横木部130を押圧する。これより、本体部101はケース10の下蓋部30の面に沿って移動する。移動方向を制御するためにガイドレール31が用いられる。ボタンの押下によりスイッチ200がオンとなり、当該ボタンが操作されたことが検出される。この検出結果に伴い、発信回路は当該ボタンに応じた信号を発信可能となる。また、ボタンの押下により、プッシュボタンスイッチに内蔵された圧縮コイルばねが、ボタンをその押下方向と反対側方向へ付勢する。
【0027】
本体部101の移動に伴い、縦木部110の外方側面に設けられた第2カム部120が発電素子300に作用して、即ちその可動部を変位させ電力を発生させる。この電力は発信回路に供給される。電力の供給を受けてた発信回路は、押下されたボタンに応じた信号を外部の制御対象に向けて発信する。
なお、ボタンの種類によっては、引っ張りやスライドにより操作される場合がある。この場合においてもボタンの移動方向に第1カム部を設け、この第1カム部に対向する第1カムフォロア部を備えた発電素子操作部を設ける。そして、その本体部に貫通孔を設けて周縁部を第1カムフォロア部とする。
これらの部品はスイッチや発電素子等の機能部品を除いて、樹脂で型成形可能である。よって、工業製品として安価に製造可能となる。
【0028】
この発明は上記発明の実施の態様及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【符号の説明】
【0029】
1 電池レスリモコン装置
10 ケース
20 ボタン
25 スイッチ押圧部
26、42 カム部
27 第1カム部
31 ガイドレール
100 本体部
110 縦木部
115 コイルばね
130 横木部
200、430 プッシュボタンスイッチ