(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】自走式電気掃除機
(51)【国際特許分類】
A47L 9/28 20060101AFI20220914BHJP
【FI】
A47L9/28 E
A47L9/28 L
A47L9/28 K
(21)【出願番号】P 2018008298
(22)【出願日】2018-01-22
【審査請求日】2020-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【氏名又は名称】樺澤 襄
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】丸谷 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】杉本 淳一
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 浩太
(72)【発明者】
【氏名】洪 庚杓
(72)【発明者】
【氏名】金山 将也
【審査官】程塚 悠
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2015-0124013(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0344019(US,A1)
【文献】特開2002-355204(JP,A)
【文献】国際公開第2017/141536(WO,A1)
【文献】特開2016-131888(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0111847(KR,A)
【文献】国際公開第2014/196272(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0131170(KR,A)
【文献】特表2017-535279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
この本体を走行させる走行駆動部と、
この走行駆動部の動作を制御する走行制御手段と、
前記本体の前面部に配置され、前記本体の前方を撮像するカメラと、
前記本体の前端側の下部に設けられた集塵口と、
この集塵口から塵埃を捕集するための電動掃除部とを具備し、
前記カメラの撮像範囲は、前記本体の直前の床面を含
み、
前記本体の直前の床面の前記カメラの撮像画像に基づいて前記床面の状態の変化が検出されたことに応じて、前記本体の走行制御又は前記電動掃除部の出力制御を変更する
ことを特徴とした自走式電気掃除機。
【請求項2】
走行制御手段は、カメラの撮像画像に基づい
て障害物が検出されると、本体を減速させるように走行駆動部の動作を制御する
ことを特徴とした請求項1記載の自走式電気掃除機。
【請求項3】
走行制御手段は、カメラの撮像画像に基づい
て床面の種類の変化が検出されたことに応じて、本体の走行速度を変更するように走行駆動部の動作を制御する
ことを特徴とした請求項1または2記載の自走式電気掃除機。
【請求項4】
走行制御手段は、カメラの撮像画像に基づいて
床面上に掃除対象物が検出されると、本体を減速させるように走行駆動部の動作を制御する
ことを特徴とした請求項1ないし3いずれか一記載の自走式電気掃除機。
【請求項5】
走行制御手段は、カメラの撮像画像に基づいて
床面上に掃除対象物が検出されると、集塵口の中央部がこの掃除対象物の直上を通過するように走行駆動部の動作を制御する
ことを特徴とした請求項1ないし4いずれか一記載の自走式電気掃除機。
【請求項6】
掃除非対象物を記憶する記憶手段を備え、
走行制御手段は、カメラの撮像画像に基づいて
床面上に前記記憶手段に記憶された掃除非対象物が検出されると、本体がこの掃除非対象物を避けて走行するように走行駆動部の動作を制御する
ことを特徴とした請求項1ないし5いずれか一記載の自走式電気掃除機。
【請求項7】
電動掃除部の出力を制御する出力制御手段を備え、
前記出力制御手段は、カメラの撮像画像に基づい
て障害物が検出されると、前記電動掃除部の出力を上げる
ことを特徴とした請求項1ないし6いずれか一記載の自走式電気掃除機。
【請求項8】
電動掃除部の出力を制御する出力制御手段を備え、
前記出力制御手段は、カメラの撮像画像に基づい
て床面の種類の変化が検出されたことに応じて、前記電動掃除部の出力を変更する
ことを特徴とした請求項1ないし7いずれか一記載の自走式電気掃除機。
【請求項9】
電動掃除部の出力を制御する出力制御手段を備え、
前記出力制御手段は、カメラの撮像画像に基づいて
床面上に掃除対象物が検出されると、前記電動掃除部の出力を上げる
ことを特徴とした請求項1ないし8いずれか一記載の自走式電気掃除機。
【請求項10】
掃除非対象物を記憶する記憶手段を備え、
出力制御手段は、カメラの撮像画像に基づいて
床面上に前記記憶手段に記憶された掃除非対象物が検出されると、前記電動掃除部の出力を低下または停止させる
ことを特徴とした請求項1ないし9いずれか一記載の自走式電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、本体の前方を撮像するカメラを備えた自走式電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被掃除面としての床面上を自律走行しながら床面を掃除する、いわゆる自律走行型の電気掃除機(掃除ロボット)が知られている。この種の電気掃除機として、近年、例えば前方を撮像するカメラを搭載し、このカメラにより撮像された画像に基づいて前方の物体やその動きなどを検出するものがある。
【0003】
一方、カメラにより撮像された画像は、主として電気掃除機の走行制御に用いられ、電気掃除機の掃除部との関係については考慮されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、周囲の状況に応じた制御が可能な自走式電気掃除機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の自走式電気掃除機は、本体と、走行駆動部と、走行制御手段と、カメラと、集塵口と、電動掃除部とを有する。走行駆動部は、本体を走行させる。走行制御手段は、走行駆動部の動作を制御する。カメラは、本体の前面部に配置され、本体の前方を撮像する。集塵口は、本体の前端側の下部に設けられる。電動掃除部は、集塵口から塵埃を捕集する。そして、カメラの撮像範囲は、本体の直前の床面を含む。本体の直前の床面のカメラの撮像画像に基づいて床面の状態の変化が検出されたことに応じて、本体の走行制御又は電動掃除部の出力制御を変更する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】(a)は一実施形態の自走式電気掃除機を模式的に示す側面図、(b)は自走式電気掃除機を下方から模式的に示す平面図である。
【
図2】同上自走式電気掃除機の内部構造を示すブロック図である。
【
図3】同上電気掃除機を備えた電気掃除機システムを模式的に示す説明図である。
【
図4】同上自走式電気掃除機の直前に障害物を検出した場合を模式的に示す側面図である。
【
図5】同上自走式電気掃除機の直前の被掃除面の種類が絨毯である場合を模式的に示す側面図である。
【
図6】同上自走式電気掃除機の直前の被掃除面に掃除対象物を検出した場合を模式的に示す側面図である。
【
図7】同上自走式電気掃除機の直前の被掃除面に掃除対象物を検出した場合の自走式電気掃除機の走行挙動を模式的に示す平面図である。
【
図8】同上電気掃除機システムでの外部機器による掃除非対象物の登録方法の一例を模式的に示す説明図である。
【
図9】同上自走式電気掃除機の直前の被掃除面に掃除非対象物を検出した場合の自走式電気掃除機の走行挙動を模式的に示す平面図である。
【
図10】同上自走式電気掃除機の制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態の構成を、図面を参照して説明する。
【0009】
図1(a)、
図1(b)、
図2および
図3において、11は自走式電気掃除機である(以下、単に電気掃除機11という)。この電気掃除機11は、この電気掃除機11の充電用の基地部となる基地装置としての図示しない充電装置(充電台)とともに自律走行体装置としての電気掃除装置を構成するものである。そして、電気掃除機11は、本実施形態において、走行面としての被掃除面である床面上を自律走行(自走)しつつ床面を掃除する、いわゆる自走式の電気掃除機すなわちロボットクリーナ(掃除ロボット)である。なお、自走式の電気掃除機11とは、完全に自律走行するもののみをいうのではなく、リモコンなどの外部機器により遠隔操作されることで自走するものも含むものとする。そして、この電気掃除機11は、例えば掃除領域内などに配置された中継手段(中継部)としてのホームゲートウェイ(ルータ)14との間で有線通信あるいはWi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)などの無線通信を用いて通信(送受信)することにより、インターネットなどの(外部)ネットワーク15を介して、データ格納手段(データ格納部)としての汎用のサーバ16や、表示手段(表示部)の機能を備えた汎用の外部機器17などと有線あるいは無線通信可能となっている。また、電気掃除機11は、例えば建物の内部(宅内)などであれば、ホームゲートウェイ14を介して、外部機器17と無線通信可能となっている。したがって、電気掃除機11と、外部機器17とは、ホームゲートウェイ14、ネットワーク15、サーバ16などを介して電気掃除機システム18を構成している。
【0010】
この電気掃除機11は、自走可能な本体である中空状の本体ケース20を備えている。また、この電気掃除機11は、走行駆動部である駆動輪21を備えている。さらに、この電気掃除機11は、補助輪である旋回輪22を備えていてもよい。また、この電気掃除機11は、床面の塵埃を掃除する電動掃除部23を備えている。さらに、この電気掃除機11は、センサ部24を備えていてもよい。また、この電気掃除機11は、撮像部25を備えている。さらに、この電気掃除機11は、受信手段(受信部)および送信手段(送信部)の機能を有する出力手段(出力部)としての通信部26を備えていてもよい。また、この電気掃除機11は、ユーザにより信号が入力される入力部27を備えていてもよい。さらに、この電気掃除機11は、コントローラである制御手段としての制御部28を備えている。そして、この電気掃除機11は、電源部となる給電用の電池を備えていてもよい。なお、以下、電気掃除機11(本体ケース20)の走行方向に沿った方向を前後方向(
図1(a)などに示す矢印FR,RR方向)とし、この前後方向に対して交差(直交)する左右方向(両側方向)を幅方向として説明する。
【0011】
本体ケース20は、例えば前面20aが左右方向に沿う平面状に形成されていてもよい。また、この本体ケース20には、集塵口である吸込口31などが床面に対向する下部などに設けられている。この吸込口31は、本体ケース20の前側寄り、本実施形態では本体ケース20の最前部に位置している。すなわち、この吸込口31は、本体ケース20の前部(前面20a)から下部に亘って形成されていてもよい。また、この吸込口31は、例えば本体ケース20の左右方向の中心線に対して左右対称(略対称も含む)に配置されている。さらに、この吸込口31は、左右方向に長手状、すなわち横長に形成されている。本実施形態において、この吸込口31の左右方向の中央部は、本体ケース20の左右方向の中央部と一致(略一致も含む)しているが、これらは互いにずれていてもよい。
【0012】
駆動輪21は、電気掃除機11(本体ケース20)を床面上で前進方向および後退方向に走行(自律走行)させる、すなわち走行用のものである。本実施形態では、この駆動輪21は、吸込口31の後方の位置に例えば本体ケース20の左右に一対設けられている。これら駆動輪21は、駆動手段としてのモータ33によりそれぞれ独立して駆動される。なお、この駆動輪21に代えて、駆動部としての無限軌道などを用いることもできる。
【0013】
旋回輪22は、駆動輪21とともに本体ケース20を床面に対して支持するものである。この旋回輪22は、例えば従動輪であり、本体ケース20の下部に、床面に対して平行(略平行も含む)に旋回可能に設けられている。本実施形態において、この旋回輪22は、駆動輪21よりも前方で、かつ、吸込口31よりも後方に位置し、この吸込口31に近接しているとともに、本体ケース20の左右方向の中央部(略中央部)に配置されている。
【0014】
電動掃除部23は、例えば床面の塵埃を除去するものである。この電動掃除部23は、例えば床面上の塵埃を吸込口31から集めて捕集したり、壁面を拭き掃除したりする機能を有している。この電動掃除部23は、吸込口31から塵埃を吸い込む電動送風機35を備えている。また、この電動掃除部23は、吸込口31に回転可能に取り付けられた回転清掃体としての回転ブラシ36およびこの回転ブラシ36を回転駆動させるブラシモータ37を備えていてもよい。したがって、この電動掃除部23は、本体ケース20の前側寄り、本実施形態においては本体ケース20の下部の最前端の位置に対向する床面の塵埃を掃除するようになっている。また、この電動掃除部23は、吸込口31を介して塵埃を集塵部40に捕集するように構成されている。すなわち、電気掃除機11は、電動送風機35を備えている。また、電気掃除機11は、回転転清掃体としての回転ブラシ36およびこの回転ブラシ36を回転駆動させるブラシモータ37を備えていてもよい。さらに、電気掃除機11は、集塵部40を備えている。
【0015】
電動送風機35は、吸込口31から床面に負圧を伝えることで空気とともに塵埃を集塵部40へと吸い込むものである。この電動送風機35は、本体ケース20に収容され、集塵部40を介して吸込側が吸込口31と連通している。この電動送風機35は、吸込口31に対して、この吸込口31の中央部(長手方向の中央部)の位置に接続されている。このため、吸込口31においては、中央部の吸込力(負圧)が最も強くなっており、長手方向の両端部に近づくほど吸込力(負圧)が弱くなっている。
【0016】
回転ブラシ36は、床面の塵埃を掻き取る、または掻き出すものである。この回転ブラシ36は、吸込口31の長手方向に沿って軸方向を有している。すなわち、この回転ブラシ36は、床面に対して平行(略平行も含む)な方向に沿って軸方向を有し、上下方向に回動するように配置されている。
【0017】
センサ部24は、例えば吸込口31から集塵部40に捕集される床面の塵埃量を検出する塵埃量検出手段(ごみセンサ)を備えていてもよい。また、このセンサ部24は、例えば床面の凹凸状態(段差)や、電気掃除機11の走行の障害となる壁あるいは障害物をセンシングする赤外線センサや超音波センサなどの障害物検出手段(障害物センサ)を備えていてもよい。
【0018】
撮像部25は、撮像手段本体(撮像部本体)としてのカメラ51を備えている。また、この撮像部25は、カメラ51の撮像範囲を照明する照明手段(照明部)としてのランプ53を備えていてもよい。したがって、電気掃除機11は、撮像手段(撮像部本体)としてのカメラ51を備えている。また、電気掃除機11は、照明手段(照明部)としての検出補助手段(検出補助部)であるランプ53を備えていてもよい。
【0019】
カメラ51は、本体ケース20の走行方向である前方のデジタルの画像(動画)を撮像するデジタルカメラである。このカメラ51は、単数でもよいし、複数でもよい。本実施形態では、本体ケース20の前面20aに一対設けられている。各カメラ51は、図示しないが、レンズ、絞り、シャッタ、CCDなどの撮像素子、および、撮像制御回路などを備えている。このカメラ51は、例えば本体ケース20の前側寄りの上部に配置されている。本実施形態において、このカメラ51は、前面20aの上方に配置されている。各カメラ51は、撮像範囲CAとして、本体ケース20の直前、すなわち吸込口31(回転ブラシ36)の直前の床面および本体ケース20の前方が写る画角が設定されている。換言すれば、吸込口31は、本体ケース20において、カメラ51の撮像範囲CAに隣接する位置にある。また、各カメラ51の撮像範囲CAは、左右において、少なくとも電気掃除機11(本体ケース20)の幅分の範囲を含むように設定されている。すなわち、各カメラ51の画角は、左右に広く(広角に)設定されている。
【0020】
通信部26は、ホームゲートウェイ14およびネットワーク15を介してサーバ16経由で建物の外部(宅外)の外部機器17と相互通信可能である。また、通信部26は、ホームゲートウェイ14を介して建物の内部(宅内)の外部機器17と相互通信可能である。この通信部26は、外部機器17にデータを送信可能であるとともに、外部機器17からの信号を受信可能となっている。例えば、この通信部26は、外部機器17と無線通信をするための無線通信手段(無線通信部)および掃除機信号受信手段(掃除機信号受信部)としての無線LANデバイスなどを備えている。なお、例えば通信部26にアクセスポイント機能を搭載し、ホームゲートウェイ14を介さずに外部機器17と直接無線通信をするようにしてもよい。また、例えば通信部26にウェブサーバ機能を付加してもよい。
【0021】
入力部27は、図示しないリモコンなどの外部装置から送信される例えば赤外線信号などの無線信号による制御コマンドを受信する赤外線通信部などの信号受信手段(信号受信部)でもよいし、本体ケース20に設けられユーザの操作により制御コマンドが入力されるスイッチ、あるいはタッチパネルなどでもよい。
【0022】
制御部28は、例えば制御手段本体(制御部本体)であるCPUやROMおよびRAMなどを備えるマイコンが用いられる。この制御部28は、電動掃除部23、センサ部24、撮像部25、通信部26などと電気的に接続されている。より詳細に、この制御部28は、走行制御手段である走行制御部61を備えている。また、この制御部28は、出力制御手段(掃除制御手段)である掃除制御部62を備えている。さらに、この制御部28は、センサ制御手段であるセンサ接続部63を備えていてもよい。また、この制御部28は、通信制御手段である通信制御部64を備えていてもよい。さらに、この制御部28は、入力制御手段である入力制御部65を備えていてもよい。また、この制御部28は、撮像部25(カメラ51)からの画像データを取得する画像データ取得部66を備えている。さらに、この制御部28は、処理部67を備えている。また、この制御部28は、記憶手段(記憶部)としてのメモリ68を備えている。さらに、この制御部28は、電池と電気的に接続されている。そして、この制御部28は、電池の充電を制御する充電制御部を備えていてもよい。したがって、電気掃除機11は、走行制御手段である走行制御部61を備えている。また、電気掃除機11は、出力制御手段(掃除制御手段)である掃除制御部62を備えている。さらに、電気掃除機11は、センサ制御手段であるセンサ接続部63を備えていてもよい。また、電気掃除機11は、通信制御手段である通信制御部64を備えていてもよい。さらに、電気掃除機11は、入力制御手段である入力制御部65を備えていてもよい。また、電気掃除機11は、画像データ取得部66を備えている。さらに、電気掃除機11は、処理部67を備えている。また、電気掃除機11は、記憶手段(記憶部)としてのメモリ68を備えている。さらに、電気掃除機11は、電池の充電を制御する充電制御部を備えていてもよい。
【0023】
走行制御部61は、モータ33の駆動を制御することで駆動輪21の駆動を制御する。この走行制御部61は、電気掃除機11が配置された部屋などの走行領域を示す(走行領域に対応する)地図データに基づいて走行経路を設定し、駆動輪21(モータ33)の駆動を制御することで、この走行経路に沿って本体ケース20(電気掃除機11)を走行領域で自律走行させつつ掃除する掃除モードを備えている。
【0024】
掃除制御部62は、電動掃除部23の動作を制御するものである。本実施形態において、この掃除制御部62は、電動送風機35およびブラシモータ37の駆動を制御することで、これら電動送風機35およびブラシモータ37(回転ブラシ36)の駆動、すなわち出力(パワー)を制御する。
【0025】
センサ接続部63は、センサ部24と電気的に接続されている。このセンサ接続部63は、センサ部24による検出結果を取得し、走行制御部61、および、処理部67に出力可能となっている。
【0026】
通信制御部64は、通信部26と電気的に接続されている。また、この通信制御部64は、処理部67と電気的に接続されている。この通信制御部64は、通信部26から送信する信号やデータ、および、通信部26により受信した信号やデータを処理するものである。
【0027】
入力制御部65は、入力部27と電気的に接続、あるいは入力部27と一体的に設けられている。この入力制御部65は、処理部67と電気的に接続されている。この入力制御部65は、入力部27から入力された制御コマンドを処理するものである。
【0028】
画像データ取得部66は、カメラ51により撮像された画像を取得し、処理部67へと出力するものである。この画像データ取得部66は、例えばカメラ51により撮像された生画像のデータに対して、これらカメラ51のレンズにより生じた歪みの補正、ノイズの除去、コントラスト調整、および画像中心の一致化などの一次画像処理をする画像補正手段(画像補正部)の機能を有していてもよい。
【0029】
処理部67は、センサ接続部63、通信制御部64、画像データ取得部66とそれぞれ電気的に接続されている。そして、この処理部67は、カメラ51により撮像された画像のデータに基づき、各種画像処理をするものである。
【0030】
すなわち、処理部67は、カメラ51により撮像された本体ケース20の直前(吸込口31(回転ブラシ36)の直前)に位置する物体(床面や壁、塵埃など)の画像データ中から特徴点などを抽出し、この特徴点をメモリ68に予め記憶された障害物や床面の種類、掃除対象物(吸込対象物)としての塵埃、および、掃除非対象物(吸込非対象物)などの物体の特徴情報である特徴点と比較して、本体ケース20の前方の所定距離内の(吸込口31(回転ブラシ36)の直前)の障害物の有無、床面の種類、塵埃の有無、掃除非対象物の有無を検出する機能を有している。換言すれば、この処理部67とカメラ51とにより、本体ケース20の前方の所定距離内に位置する障害物を検出する障害物検出手段(障害物検出部)の機能、床面の種類を判別する被掃除面判別手段(被掃除面判別部)の機能、塵埃の有無を検出する塵埃検出手段(塵埃検出部)の機能、および、掃除非対象物の有無を検出する掃除非対象物検出手段(掃除非対象物検出部)の機能がそれぞれ構成されている。すなわち、電気掃除機11は、障害物検出手段(障害物検出部)、被掃除面判別手段(被掃除面判別部)、塵埃検出手段(塵埃検出部)、および、掃除非対象物検出手段(掃除非対象物検出部)をそれぞれ備えている。
【0031】
なお、この処理部67は、例えば画像データ中における物体の位置に基づき、物体と電気掃除機11(本体ケース20)との距離を概算することもできる。すなわち、カメラ51の撮像範囲CAには、本体ケース20の前方の床面などが撮像されるので、この撮像範囲CAにおいて相対的に上側に位置するものほど、電気掃除機11(本体ケース20)からの距離が遠いと判断することが可能になる。
【0032】
また、この処理部67は、カメラ51により撮像された画像データ中の特徴点を抽出して3軸座標系で処理することにより走行領域(掃除対象領域)の地図データの作成および自己位置推定をする、既知のSLAM(simultaneous localization and mapping)技術などを用いる地図作成手段および自己位置推定手段の機能を有している。
【0033】
メモリ68は、例えばフラッシュメモリなどの不揮発性のものが用いられる。このメモリ68には、壁などの障害物、床面の種類、掃除対象物である塵埃などの特徴点が記憶されている。例えば、床面の種類としては、フローリング、絨毯、畳などの特徴点が記憶されている。また、このメモリ68には、電気掃除機11により掃除させたくない、例えばアクセサリなどの掃除非対象物の特徴点を記憶させることもできる。さらに、このメモリ68には、処理部67により作成された、あるいは外部から入力された走行対象領域の地図データが記憶されてもよい。
【0034】
電池は、電動掃除部23、センサ部24、撮像部25(カメラ51およびランプ53)、通信部26、および、制御部28などに給電するものである。この電池としては、本実施形態において、例えば充電可能な二次電池が用いられる。このため、本実施形態では、例えば本体ケース20の底部に、電池を充電するための充電端子71が露出して配置されている。
【0035】
充電装置は、電気掃除機11が走行(掃除)を終了したときに帰還する基地部となっている。この充電装置は、例えば定電流回路などの充電回路を内蔵していてもよい。また、この充電装置には、電池の充電用の充電用端子が設けられている。この充電用端子は、充電回路と電気的に接続されている。そして、この充電用端子は、充電装置に帰還した電気掃除機11の充電端子71と機械的および電気的に接続されるようになっている。
【0036】
ホームゲートウェイ14は、アクセスポイントなどとも呼ばれ、建物内に設置され、ネットワーク15に対して例えば有線により接続されている。
【0037】
サーバ16は、ネットワーク15に接続されたコンピュータ(クラウドサーバ)であり、各種データを保存可能である。
【0038】
外部機器17は、建物の内部では例えばホームゲートウェイ14を介してネットワーク15に対して有線あるいは無線通信可能であるとともに、建物の外部ではネットワーク15に対して有線あるいは無線通信可能な、例えばPC(タブレット端末(タブレットPC))やスマートフォン(携帯電話)などの汎用のデバイスである。この外部機器17は、液晶などのディスプレイ73を備えており、このディスプレイ73に少なくとも画像を表示する表示手段の機能を有している。このディスプレイ73には、例えばタッチパネル機能を持たせることもできる。すなわち、このディスプレイ73は、入力部の機能を備えている。また、この外部機器17には、図示しないが、カメラが搭載されていてもよい。さらに、この外部機器17には、電気掃除機11に掃除非対象物を登録するためのアプリケーション(プログラム)がインストールされていてもよい。具体的に、この掃除非対象物の登録については、例えば外部機器17に搭載されたカメラなどを利用して画像を撮像し、上記のアプリケーションを用いて登録することが可能である。例えば、
図8に示すように、撮像された掃除非対象物A1を外部機器17のディスプレイ73に表示し、ディスプレイ73に表示された登録ボタンBを操作することで、掃除非対象物A1の画像データが外部機器17から
図3に示すネットワーク15(サーバ16)を経由して電気掃除機11へと送信される。そして、
図2に示す電気掃除機11の通信部26によってこの画像データが受信されると、この画像データ、あるいはこの画像データから抽出された特徴点がメモリ68に記憶されることで、掃除非対象物の登録が完了する。さらに、この外部機器17には、電子メールを送受信する機能が予め備えられていてもよい。
【0039】
次に、上記一実施形態の動作を説明する。
【0040】
まず、電気掃除機11による掃除の開始から終了までの概略を説明する。電気掃除機11は、例えば充電装置から離脱して掃除を開始すると、メモリ68に記憶された地図データに基づいて例えばジグザグ走行などの所定の走行経路に沿って走行しつつ床面を掃除する。そして、走行領域全体を走破すると、充電装置に帰還し、掃除を終了する。掃除を終了すると、所定のタイミングで電池の充電を開始する。
【0041】
上記の制御をより具体的に説明すると、電気掃除機11は、例えば予め設定された掃除開始時刻となったときや、外部機器17などによって送信された掃除開始の制御コマンドを通信部26や入力部27によって受信したときなどのタイミングで、制御部28が走行モードに切り換わり、掃除を開始する。すなわち、電気掃除機11は、走行制御部61による駆動輪21(モータ33)の駆動、掃除制御部62による電動掃除部23(電動送風機35および回転ブラシ36(ブラシモータ37))の駆動、および、カメラ51による撮像(画像データ取得部66による画像データの取り込み)を開始する。このとき、メモリ68に走行領域の地図データが記憶されていない場合には、ジグザグ走行などの所定の動作を行ってセンサ部24の障害物検出手段、カメラ51および処理部67などによって電気掃除機11(本体ケース20)の周囲の障害物などを検出することで処理部67により地図データを作成することもできる。なお、カメラ51により画像を撮像する際には、必要に応じてランプ53により照明することもできる。
【0042】
次いで、地図データに基づき、走行制御部61が走行経路を作成する。なお、地図データがメモリ68に予め記憶されている場合には、地図データの作成を省略して、メモリ68に記憶された地図データに基づき、走行制御部61が走行経路を作成する。
【0043】
そして、走行制御部61が駆動輪21(モータ33)を制御することで本体ケース20を設定した走行経路に沿って自律走行させつつ、掃除制御部62が電動掃除部23を動作させて走行領域(掃除可能領域)の床面を掃除する。
【0044】
そして、処理部67では、画像データ取得部66を介して取得した画像データに基づき、本体ケース20(吸込口31(回転ブラシ36))の直前の床面や壁などの特徴点を抽出し、この特徴点をメモリ68に予め記憶された障害物や床面の種類、掃除対象物である塵埃、および、掃除非対象物の特徴点と比較し、そのマッチング点数に応じて本体ケース20の直前(吸込口31(回転ブラシ36)の直前)の障害物の有無、床面の種類、塵埃の有無、掃除非対象物の有無を検出する。
【0045】
例えば、床面の種類がフローリングである場合、塵埃は壁際など走行領域の隅や障害物の近傍の位置に溜まりやすい。そのため、処理部67において、本体ケース20の直前(吸込口31(回転ブラシ36)の直前)の床面の種類がフローリングであると判断した場合、
図4に示すように所定距離内に壁などの障害物Oが検出されると、本体ケース20(電気掃除機11)の走行速度の減速、電動掃除部23の出力増加、あるいはそれらの双方を実施する。
【0046】
また、床面の種類が絨毯などである場合、フローリングと比較して塵埃を吸い込みにくい。そのため、処理部67において、
図5に示すように、本体ケース20の直前(吸込口31(回転ブラシ36)の直前)の床面の種類が絨毯Cであると判断した場合には、本体ケース20(電気掃除機11)の走行速度の走行速度の減速、電動掃除部23の出力増加、あるいはそれらの双方を実施する。
【0047】
したがって、処理部67は、カメラ51により撮像された画像データに基づいて所定距離内の床面の種類の変化が検出されたことに応じて、本体ケース20の走行速度を変更するように駆動輪21(モータ33)の動作を制御する。
【0048】
さらに、カメラ51により撮像された画像データに基づき、処理部67により
図6に示すように床面上に綿埃などの掃除対象物A2を検出した場合にも、同様に、走行速度の走行速度の減速、電動掃除部23の出力増加、あるいはそれらの双方を実施する。このとき、カメラ51により撮像された画像データから塵埃の位置を認識できるため、
図7の矢印に示すように、吸込口31の中央部がこの掃除対象物A2の直上を通過するように走行制御部61が駆動輪21(モータ33)の動作を制御する。
【0049】
上記のように電気掃除機11(本体ケース20)の走行速度の減速を実施する場合には、走行制御部61が駆動輪21(モータ33)の回転数を低下させることで、電気掃除機11(本体ケース20)を減速状態で走行させる。この減速の際の走行速度は、例えば床面の種類などに応じて任意に設定してもよいし、予め決められた走行速度や予め決められた走行速度が相対的に遅い走行モードに切り換えるようにしてもよい。
【0050】
また、上記のように電動掃除部23の出力増加を実施する場合には、掃除制御部62が電動送風機35の出力(吸込力)の増加、回転ブラシ36の回転数の増加、あるいはそれら双方を実施する。
【0051】
掃除中において、上記以外の場合においては、電池の消費を抑制するため、電動掃除部23(電動送風機35および回転ブラシ36)の出力は相対的に低下させ、掃除時間を短縮するために走行速度は相対的に速く設定する。
【0052】
また、処理部67において、
図9に示すように電気掃除機11(本体ケース20)の前方の床面に掃除非対象物A1があると判断した場合には、矢印に示す回避動作(迂回動作)、電動掃除部23の出力の停止または低減、あるいはそれら双方を実施する。回避動作を実施する場合には、電気掃除機11(本体ケース20)が掃除非対象物を回避するように、すなわち掃除非対象物A1を電動掃除部23によって掃除しない位置を走行するように走行制御部61が駆動輪21(モータ33)の動作を制御する。また、電動掃除部23の出力の停止または低減を実施する場合には、本実施形態において、掃除制御部62が電動送風機35の出力(吸込力)を停止または低減するとともに、回転ブラシ36(ブラシモータ37)の回転を停止または回転数を減少させるが、少なくともいずれか一方を実施することでも効果がある。
【0053】
そして、走行領域全体を走破して掃除が終了すると、電気掃除機11は、充電装置へと帰還してこの充電装置に接続される。
【0054】
これらの制御を、
図10に示すフローチャートも参照して説明する。
【0055】
まず、掃除制御を開始すると、走行制御部61が駆動輪21(モータ33)の動作を制御して電気掃除機11(本体ケース20)を走行領域で走行させながら、カメラ51により画像を撮像する(ステップS1)。そして、この画像データを画像データ取得部66に取り込んで、処理部67においてこの画像データから抽出した特徴点とメモリ68に記憶された障害物の特徴点とを比較する、障害物の検出処理を実施する(ステップS2)。次いで、処理部67では、障害物を検出したか否かを判断する(ステップS3)。
【0056】
このステップS3において、障害物を検出したと判断した場合には、(ステップS4)、後述のステップS12に進む。一方、ステップS3において、障害物を検出しないと判断した場合には、処理部67において画像データから抽出した特徴点とメモリ68に記憶された床面の特徴点とを比較する、床面の種類の判別処理を実施する(ステップS5)。そして、処理部67では、床面の種類が絨毯であるか否かを判断する(ステップS6)。
【0057】
このステップS6において、床面が絨毯であると判断した場合には、ステップS4に進む。一方、ステップS6において、床面が絨毯でない(例えばフローリングである)と判断した場合には、処理部67において画像データから抽出した特徴点とメモリ68に記憶された掃除対象物(綿埃などの大きい塵埃)の特徴点とを比較する、掃除対象物の検出処理を実施する(ステップS7)。次いで、処理部67では、掃除対象物を検出したか否かを判断する(ステップS8)。
【0058】
このステップS8において、掃除対象物を検出したと判断した場合には、ステップS4に進む。このとき、掃除対象物の位置を検出して、吸込口31の中央部がこの掃除対象物の直上を通過する走行経路を取るように走行制御部61が駆動輪21(モータ33)の動作を制御してもよい。一方、ステップS8において、掃除対象物を検出しないと判断した場合には、処理部67において画像データから抽出した特徴点とメモリ68に記憶された掃除非対象物の特徴点とを比較する、掃除非対象物の検出処理を実施する(ステップS9)。そして、処理部67では、掃除非対象物を検出したか否かを判断する(ステップS10)。
【0059】
このステップS10において、掃除非対象物を検出したと判断した場合には、回避動作、電動掃除部23の出力の停止または低減、あるいはそれらの双方を実施し(ステップS11)、ステップS12に進む。一方、ステップS10において、掃除非対象物を検出しないと判断した場合には、走行制御部61が、走行領域全体を走破したか否かに基づき、掃除を終了するか否かを判断する(ステップS12)。
【0060】
このステップS12において、掃除を終了しない(走行領域を走破していない)と判断した場合には、ステップS1に進む。一方、ステップS12において、掃除を終了する(走行領域を走破した)と判断した場合には、走行制御部61が駆動輪21(モータ33)を動作させて電気掃除機11(本体ケース20)を充電装置に帰還させ(ステップS13)、掃除制御を終了する。
【0061】
以上説明した一実施形態によれば、塵埃を捕集する吸込口31を、本体ケース20のうち、この本体ケース20の前方を撮像するカメラ51の撮像範囲CAに隣接する位置に設けることで、周囲の状況に応じた制御が可能となる。
【0062】
すなわち、吸込口31をカメラ51の撮像範囲CAから離れた位置に設けると、電気掃除機11の走行中に吸込口31が撮像範囲CAに到達するまでに相当の時間差が生じてしまい、実際の周囲の状況に対して制御の内容が妥当でない場合がある。そこで、走行速度に応じた時間が経過すれば撮像画像中の領域に吸込口31が到達するとの予測に基づき、時間差を見込んで制御することが考えられるものの、床面に対して駆動輪21が空転するなどして、予測通りに走行するとは限らない。これに対して、本実施形態のように構成することで、吸込口31がカメラ51の撮像範囲CAに到達するまでの時間差を殆ど無くすことができ、実際の周囲の状況に応じた制御が容易になる。
【0063】
また、カメラ51の撮像画像に基づいて所定距離内に障害物が検出されると、本体ケース20を減速させるように走行制御部61が駆動輪21(モータ33)の動作を制御することで、障害物と床面との際を念入りに掃除できる。なお、カメラ51と障害物(部屋の壁など)との距離が近すぎると、撮像画像から周囲の情報を得ることが難しい場合がある。そこで、電気掃除機11は、カメラ51に加えて、周囲の物体と電気掃除機11との距離を検出する距離センサ(距離検出手段(距離検出部))を備えるとよい。距離センサの検出範囲をカメラ51の撮像範囲と重なるように設ければ、カメラ51の撮像画像によって周囲の情報を得ることが難しい場合であっても、距離センサによって周囲の情報を得ることが可能となる。この距離センサとしては、光線(赤外線や可視光など)あるいは超音波などを電気掃除機11から周囲に向けて発射し、周囲の物体からの反射を受信することで周囲の物体との距離を検出するセンサを用いることができる。また、距離センサに代えて、電気掃除機11と周囲の物体とが接触したことを検出する接触センサを設けてもよいし、距離センサと接触センサとの両方を設けてもよい。接触センサによっても、カメラ51と障害物との距離が近すぎる場合に周囲の情報を得ることが可能となる。
【0064】
あるいは、カメラ51の撮像画像に基づいて所定距離内に障害物が検出されると、掃除制御部62が電動掃除部23(電動送風機35、あるいは回転ブラシ36)の出力を上げることで、障害物と床面との際を念入りに掃除できる。
【0065】
さらに、カメラ51の撮像画像に基づいて所定距離内の床面の種類の変化が検出されたことに応じて、本体ケース20の走行速度を変更するように走行制御部61が駆動輪21(モータ33)の動作を制御することで、例えば、床面の種類がフローリングから絨毯に変わる位置まで走行したら、速度を落として絨毯の領域については念入りに掃除するというように、塵埃が除去しにくい、高い掃除出力が必要な床面については念入りに掃除しつつ、それ以外の時には速度を上げて掃除の長時間化を抑制できる。
【0066】
あるいは、カメラ51の撮像画像に基づいて所定距離内の床面の種類の変化が検出されたことに応じて、掃除制御部62が電動掃除部23(電動送風機35、あるいは回転ブラシ36)の出力を変更することで、例えば床面の種類がフローリングの場合には使用電力を抑制しつつ、床面の種類が絨毯の場合には掃除出力を増加させるなど、床面に応じた掃除出力で掃除できる。
【0067】
また、カメラ51の撮像画像に基づいて床面上に掃除対象物である塵埃が検出されると、本体ケース20を減速させるように走行制御部61が駆動輪21(モータ33)の動作を制御することで、カメラ51の撮像画像から検出されるような綿埃などの大きな塵埃を掃除しやすくしつつ、それ以外の場合には走行速度を上げて掃除の長時間化を抑制できる。
【0068】
あるいは、カメラ51の撮像画像に基づいて床面上に掃除対象物である塵埃が検出されると、掃除制御部62が電動掃除部23(電動送風機35、あるいは回転ブラシ36)の出力を上げることで、カメラ51の撮像画像から検出されるような綿埃などの大きな塵埃については確実に掃除するようにしつつ、それ以外の場合には使用電力を抑制できる。
【0069】
さらに、カメラ51の撮像画像に基づいて床面上に掃除対象物である塵埃が検出されると、吸込口31の中央部がこの塵埃の直上を通過するように走行制御部61が駆動輪21(モータ33)の動作を制御することで、塵埃を確実に掃除できる。特に、電動送風機35の負圧は、吸込口31の中央部において両端部よりも床面上に伝え易いので、このように制御することで、掃除残しが少なくなる。
【0070】
そして、カメラ51の撮像画像に基づいて床面上にメモリ68に記憶された掃除非対象物が検出されると、本体ケース20がこの掃除非対象物を避けて走行するように走行制御部61が駆動輪21(モータ33)の動作を制御することで、例えばアクセサリなどの、掃除したくない掃除非対象物を予め記憶させておくことにより、ユーザ自らがその場に居なくても、電気掃除機11が掃除非対象物を掃除して集塵部40に捕集してしまうことを防止ができる。
【0071】
あるいは、カメラ51の撮像画像に基づいて床面上にメモリ68に記憶された掃除非対象物が検出されると、掃除制御部62が電動掃除部23(電動送風機35、あるいは回転ブラシ36)の出力を低下または停止させることで、例えばアクセサリなどの掃除したくない掃除非対象物を予め記憶させておくことにより、ユーザ自らがその場に居なくても、電気掃除機11が掃除非対象物を集塵部40に捕集してしまうことを抑制または防止できる。
【0072】
なお、上記一実施形態において、電動掃除部23は、電動送風機35と、回転ブラシ36およびブラシモータ37とをそれぞれ備える構成としたが、これらはいずれか一方のみ備える構成でもよい。すなわち、電気掃除機11は、吸込口31から電動送風機35の駆動により生じる負圧を作用させて塵埃を吸い込む構成とすることもできるし、集塵口から回転ブラシ36の回転駆動によって塵埃を掻き上げる構成とすることもできる。
【0073】
また、本体ケース20(電気掃除機11)の走行速度の減速と、電動掃除部23の出力増加とのそれぞれの制御を備える構成としたが、これらはいずれか一方の制御のみを備える構成とすることもできる。
【0074】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0075】
11 自走式電気掃除機
20 本体である本体ケース
21 走行駆動部である駆動輪
23 電動掃除部
31 集塵口である吸込口
51 カメラ
61 走行制御手段である走行制御部
62 出力制御手段である掃除制御部
68 記憶手段としてのメモリ
A1 掃除非対象物
A2 掃除対象物
CA 撮像範囲