(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】コンセント
(51)【国際特許分類】
H01R 25/00 20060101AFI20220914BHJP
【FI】
H01R25/00 G
(21)【出願番号】P 2018029135
(22)【出願日】2018-02-21
【審査請求日】2020-08-07
【審判番号】
【審判請求日】2021-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100200159
【氏名又は名称】河野 仁志
(74)【代理人】
【識別番号】100142664
【氏名又は名称】熊谷 昌俊
(72)【発明者】
【氏名】益子 智信
【合議体】
【審判長】平田 信勝
【審判官】段 吉享
【審判官】尾崎 和寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-319744(JP,A)
【文献】特開平10-134894(JP,A)
【文献】特開平6-290834(JP,A)
【文献】特開2005-339979(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 25/00
H01R 13/652
H01R 24/78
H02G 3/00-3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大角連用形3個モジュールサイズに設けられたコンセント本体と;
前記コンセント本体に設けられる1つの共通接地極刃受部と;
前記コンセント本体に設けられ、前記共通接地極刃受部と電気的に接続されるアースターミナル部と;
一対の第1電圧用刃受部を有し、1つの前記共通接地極刃受部と一対の前記第1電圧用刃受部を組として前記コンセント本体に設けられる第1電圧用コンセント部と;
一対の第2電圧用刃受部を有し、1つの前記共通接地極刃受部と一対の前記第2電圧用刃受部を組として前記コンセント本体に設けられる第2電圧用コンセント部と;
を具備し、
前記一対の第1電圧用刃受部の一方は単相3線式電線の第1電圧極に接続され、前記一対の第1電圧用刃受部の他方は単相3線式電線の中性極に接続されることで、前記第1電圧用コンセント部は100V用コンセントとして機能し、
前記一対の第2電圧用刃受部の一方は単相3線式電線の第1電圧極に接続され、前記一対の第2電圧用刃受部の他方は単相3線式電線の第2電圧極に接続されることで、前記第2電圧用コンセント部は200V用コンセントとして機能することを特徴とするコンセント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、第1電圧用コンセント部および第2電圧用コンセント部を備えたコンセントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配線器具では、1つのコンセント本体に、第1電圧用コンセント部である例えば100V用コンセント部と、第2電圧用コンセント部である例えば200V用コンセント部とを並べて配置したコンセントがある。
【0003】
100V用コンセント部は、一対の100V用電圧極刃受部と1つの接地極刃受部とを組として設けられている。また、200V用コンセント部は、一対の200V用電圧極刃受部と1つの接地極刃受部とを組として設けられている。
【0004】
これら100V用コンセント部と200V用コンセント部は、コンセント本体に個別に配置されている。そのため、100V用コンセント部の接地極刃受端子と200V用コンセント部の接地極刃受端子とに、1つの共通刃受端子を用いる場合があるが、刃受端子構造が大形で複雑になっている。また、コンセント本体に占める2つのコンセント部の配置範囲が大きくなり、他の構成を設けることが制限される。
【0005】
このように、1つのコンセント本体に2つのコンセント部を並べて配置するコンセントでは、刃受端子構造が大形で複雑になっており、コンセント本体に占める2つのコンセント部の配置範囲が大きくなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、刃受端子構造を小形化および簡素化できるとともに、コンセント本体に占める2つのコンセント部の配置範囲を小さくできるコンセントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態のコンセントは、大角連用形3個モジュールサイズに設けられたコンセント本体、共通接地極刃受部、アースターミナル部、第1電圧用コンセント部および第2電圧用コンセント部を備える。共通接地極刃受部は、コンセント本体に1つ設ける。アースターミナル部は、コンセント本体に設けられ、共通接地極刃受部と電気的に接続される。第1電圧用コンセント部は、一対の第1電圧用刃受部を有し、1つの共通接地極刃受部と一対の第1電圧用刃受部を組としてコンセント本体に設ける。第2電圧用コンセント部は、一対の第2電圧用刃受部を有し、1つの共通接地極刃受部と一対の第2電圧用刃受部を組としてコンセント本体に設ける。一対の第1電圧用刃受部の一方は単相3線式電線の第1電圧極に接続され、一対の第1電圧用刃受部の他方は単相3線式電線の中性極に接続されることで、第1電圧用コンセント部は100V用コンセントとして機能する。一対の第2電圧用刃受部の一方は単相3線式電線の第1電圧極に接続され、一対の第2電圧用刃受部の他方は単相3線式電線の第2電圧極に接続されることで、第2電圧用コンセント部は200V用コンセントとして機能する。
【発明の効果】
【0009】
実施形態のコンセントによれば、刃受端子構造を小形化および簡素化するとともに、コンセント本体に占める2つのコンセント部の配置範囲を小さくすることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態を示すコンセントの正面図である。
【
図2】同上コンセントのアース扉を開けた状態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0012】
図1ないし
図3に一実施形態のコンセント10を示す。このコンセント10は、枠状のサポートに取り付けられ、サポートによって壁面に埋め込まれている埋込ボックスなどに取り付けられる配線器具である。
【0013】
コンセント10は、背面側のケース11と前面側のカバー12とを組み合わせて構成される縦長形状のコンセント本体13を有している。コンセント本体13は、JIS規格により規格化された大角連用形3個モジュールサイズに設けられている。コンセント本体13の両側には、サポートの枠内に取り付けるための取付部14が設けられている。
【0014】
そして、コンセント本体13の前面側には、第1電圧用コンセント部21、第2電圧用コンセント部22、およびアースターミナル部23が設けられている。
【0015】
第1電圧用コンセント部21は、例えば、定格電流15・20A兼用、定格電圧125V用の100V用コンセント部であり、負荷である電気機器の電源コードに設けられた接地極付100V用プラグが接続される。第2電圧用コンセント部22は、例えば、定格電流20A、定格電圧250V用の250V用コンセント部であり、負荷である電気機器の電源コードに設けられた接地極付200V用プラグが接続される。
【0016】
第1電圧用コンセント部21は、一対の第1電圧用刃受部25a,25bと1つの共通接地極刃受部26とを組として、コンセント本体13の上部側に設けられている。コンセント本体13の前面側において、上側に一対の第1電圧用刃受部25a,25bが配置され、これら一対の第1電圧用刃受部25a,25bの間の下側に1つの共通接地極刃受部26が配置されている。一対の第1電圧用刃受部25a,25bおよび1つの共通接地極刃受部26は、接地極付100V用プラグの各プラグ刃の位置と対応した位置に配置されている。
【0017】
一対の第1電圧用刃受部25a,25bは、例えば単相3線式電線の第1電圧極と中性極にそれぞれ接続されるもので、一方の第1電圧用刃受部25aが第1電圧極刃受部27であり、他方の第1電圧用刃受部25bが中性極刃受部28である。
【0018】
コンセント本体13のカバー12には、各刃受部26,27,28の位置に対応して、接地極付100V用プラグが差し込まれる差込口29,30,31が設けられている。共通接地極刃受部26の差込口29は四角形状に形成され、第1電圧極刃受部27の差込口30は断面I字形に形成され、中性極刃受部28の差込口31は横向きの断面T字形に形成されている。
【0019】
また、第2電圧用コンセント部22は、一対の第2電圧用刃受部33a,33bと1つの共通接地極刃受部26とを組として、コンセント本体13の上下方向中間部に設けられている。共通接地極刃受部26は、第1電圧用コンセント部21と共通である。コンセント本体13の前面側において、下側に一対の第2電圧用刃受部33a,33bが配置され、これら一対の第2電圧用刃受部33a,33bの間の上側に1つの共通接地極刃受部26が配置されている。一対の第2電圧用刃受部33a,33bおよび1つの共通接地極刃受部26は、接地極付200V用プラグのプラグ刃の位置と対応した位置に配置されている。
【0020】
一対の第2電圧用刃受部33a,33bは、例えば単相3線式電線の第1電圧極と第2電圧極にそれぞれ接続されるもので、一方の第2電圧用刃受部33aが第1電圧極刃受部34であり、他方の第2電圧用刃受部33bが第2電圧極刃受部35である。
【0021】
コンセント本体13のカバー12には、各刃受部34,35の位置に、接地極付200V用プラグが差し込まれる差込口36,37が設けられている。第1電圧極刃受部34の差込口36は断面L字形に形成され、第2電圧極刃受部35の差込口37は横向きの断面I字形に形成されている。
【0022】
また、コンセント本体13内には、複数の端子が収容されている。複数の端子には、接地極刃受端子40、第1電圧極刃受端子41、中性極刃受端子42および第2電圧極刃受端子43などが含まれている。共通接地極刃受部26の差込口29の内側に、接地極付100V用プラグまたは接地極付200V用プラグの接地極プラグ刃が接続される接地極刃受端子40の刃受40aが配置されている。第1電圧極刃受部27の差込口30の内側に、接地極付100V用プラグの第1電圧極プラグ刃が接続される第1電圧極刃受端子41の刃受41aが配置されている。中性極刃受部28の差込口31の内側に、接地極付100V用プラグの中性極プラグ刃が接続される中性極刃受端子42の刃受42aが配置されている。第1電圧極刃受部34の差込口36の内側に、接地極付200V用プラグの第1電圧極プラグ刃が接続される第1電圧極刃受端子41の刃受41bが配置されている。第2電圧極刃受部35の差込口37の内側に、接地極付200V用プラグの第2電圧極プラグ刃が接続される第2電圧極刃受端子43の刃受43aが配置されている。第1電圧極刃受端子41は、刃受41aと刃受41bを一体に有している。
【0023】
また、アースターミナル部23は、コンセント本体13の下部側に設けられている。カバー12に接続口46が形成され、この接続口46にはアース扉47が開閉可能に取り付けられている。接続口46の内側には、アース線(接地線)を接続するためのアース端子48およびアース接続ねじ49が配置されている。アース端子48は、接地極刃受端子40と電気的に接続されている。
【0024】
また、コンセント本体13のケース11の背面側には、複数の電線挿入孔が設けられている。複数の電線挿入孔には、単相3線式電線の第1電圧極線L1が挿入される電線挿入孔52、中性極線Nが挿入される電線挿入孔53、および第2電圧極線L2が挿入される電線挿入孔54が含まれているとともに、アース線Gが挿入される電線挿入孔55が含まれている。
【0025】
各電線挿入孔52~55の内側には、電線を電気接続状態に保持する電線接続端子(鎖錠端子)が接続されている。第1電圧極線L1が挿入される電線挿入孔52の電線接続端子は、第1電圧極刃受端子41と組み合わされて電気的に接続されている。中性極線Nが挿入される電線挿入孔53の電線接続端子は、中性極刃受端子42と組み合わされて電気的に接続されている。第2電圧極線L2が挿入される電線挿入孔54の電線接続端子は、第2電圧極刃受端子43と組み合わされて電気的に接続されている。アース線Gが挿入させる電線挿入孔55の電線接続端子は、接地極刃受端子40と組み合わされて電気的に接続されている。
【0026】
電線挿入孔52の近傍、電線挿入孔53,54の近傍、および電線挿入孔55の近傍には、電線接続端子による保持を解除して電線の抜き外しを可能とするリリースボタン56,57,58がそれぞれ配置されている。
【0027】
そして、このように構成されたコンセント10は、例えば、住宅の壁面などに設置されるエアコン用コンセントとして使用される。
【0028】
100V仕様のエアコンが設置された場合には、そのエアコンの電源コードの接地極付100V用プラグが第1電圧用コンセント部21に接続される。すなわち、接地極付100V用プラグの各プラグ刃が、共通接地極刃受部26、第1電圧極刃受部27および中性極刃受部28の各差込口29,30,31に差し込まれて各端子40,41,42に接続される。
【0029】
200V仕様のエアコンが設置された場合には、そのエアコンの電源コードの接地極付200V用プラグが第2電圧用コンセント部22に接続される。すなわち、接地極付200V用プラグの各プラグ刃が、共通接地極刃受部26、第1電圧極刃受部34および第2電圧極刃受部35の各差込口29,36,37に差し込まれて各端子40,41,43に接続される。
【0030】
なお、第1電圧用コンセント部21と第2電圧用コンセント部22とは、いずれか一方のみが使用される。
【0031】
また、電源コードがプラグとは別に引き出されたアース線を有する場合には、アース扉47を開けて接続口46を開口し、アース線をアース接続ねじ49でアース端子48に接続する。アース線が速結端子付きの場合でも、アース接続ねじ49を有することでアース端子48に接続できる。
【0032】
そして、
図4に比較例のコンセント10Aを示す。コンセント本体13Aの前面側に、第1電圧用の接地極刃受部26Aを有する第1電圧用コンセント部21Aと、第1電圧用の接地極刃受部26Aとは別の第2電圧用の接地極刃受部26Bを有する第2電圧用コンセント部22Aとが並べて設けられたものである。この比較例のコンセント10Aでは、第1電圧用コンセント部21Aの接地極刃受部26Aと第2電圧用コンセント部22Aの接地極刃受部26Bとがそれぞれ個別に設けられているため、接地極刃受部26Aと接地極刃受部26Bとに1つの接地極刃受端子を共用しようとした場合、接地極刃受端子が大形で複雑になってしまう。また、コンセント本体13Aの前面側に占める2つのコンセント部21A,22Aの配置範囲が大きくなり、アースターミナル部などの他の構成を設けることが制限される。
【0033】
それに対し、
図1ないし
図3に示す本実施形態のコンセント10では、第1電圧用コンセント部21と第2電圧用コンセント部22とで1つの共通接地極刃受部26を共用するため、接地極刃受端子40を小形化および簡素化するとともに、コンセント本体13の前面側に占める2つのコンセント部21,22の配置範囲を小さくすることができる。
【0034】
そして、コンセント本体13の前面側に占める2つのコンセント部21,22の配置範囲を小さくできることにより、コンセント本体13の前面側には、第1電圧用コンセント部21および第2電圧用コンセント部22とともに、アースターミナル部23も一緒に配置することができる。
【0035】
なお、コンセント本体13の前面側には、上側に第1電圧用コンセント部21、下側に第2電圧用コンセント部22を並べて配置したが、1つの共通接地極刃受部26を共用していれば、上側に第2電圧用コンセント部22、下側に第1電圧用コンセント部21を並べて配置してもよく、あるいは、左右に第1電圧用コンセント部21と第2電圧用コンセント部22と並べて配置してもよい。
【0036】
また、第1電圧用コンセント部21と第2電圧用コンセント部22とは、1つの共通接地極刃受部26を共用していれば、同じ電圧で電流が異なる組み合わせでよく、あるいは、電流、電圧が同じ組み合わせでもよい。第1電圧用コンセント部21と第2電圧用コンセント部22とで電流、電圧が同じ組み合わせの場合には、例えばプラグのプラグ刃が電源コードの接続方向に対して交差しているプラグの場合、第1電圧用コンセント部21と第2電圧用コンセント部22とで、接続時の電源コードの引出方向を反対になるため、電源コードの引出方向を任意に選択することができる。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0038】
10 コンセント
13 コンセント本体
21 第1電圧用コンセント部
22 第2電圧用コンセント部
23 アースターミナル部
25a,25b 第1電圧用刃受部
26 共通接地極刃受部
33a,33b 第2電圧用刃受部