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  • 特許-梱包物及び被運搬物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】梱包物及び被運搬物
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/671 20060101AFI20220914BHJP
   B65D 81/05 20060101ALI20220914BHJP
   B65D 81/07 20060101ALI20220914BHJP
   B65D 81/107 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
B65D85/671
B65D81/05 400
B65D81/07
B65D81/107
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018061616
(22)【出願日】2018-03-28
(65)【公開番号】P2019172295
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2021-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000005359
【氏名又は名称】富士紡ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】後藤 駿樹
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-213469(JP,A)
【文献】特開2001-242598(JP,A)
【文献】登録実用新案第3112380(JP,U)
【文献】特開2002-220140(JP,A)
【文献】特開2000-344402(JP,A)
【文献】特開2012-183584(JP,A)
【文献】特開2002-104522(JP,A)
【文献】特開2009-137644(JP,A)
【文献】特開2010-201547(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/671
B65D 81/05
B65D 81/07
B65D 81/107
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面と、第2主面を有し、前記第1主面が内側となり、前記第2主面が外側となるように丸みをもたせて捲回されている被運搬物と、
前記被運搬物を収容する容器と、
前記被運搬物の捲回方向における内周側の端部を、この内周側の端部における前記第2主面と向かい合う前記第1主面から離間させるための離間部材と、
を備え
前記離間部材は、
前記内周側の端部における前記第1主面に対向する第1端部と、
前記内周側の端部における前記第2主面に対向する第2端部と、
前記第1端部と前記第2端部を接続する湾曲した接続部と、
を備える緩衝部材であることを特徴とする梱包物
【請求項2】
第1主面と、第2主面を有し、前記第1主面が内側となり、前記第2主面が外側となるように丸みをもたせて捲回されている被運搬物と、
前記被運搬物を収容する容器と、
前記被運搬物の捲回方向における内周側の端部を
、この内周側の端部における前記第2主面と向かい合う前記第1主面から離間させるための離間部材と、
を備え
前記被運搬物は、前記第1主面と前記第2主面を接続する側面を有し、
前記離間部材は、前記内周側の端部と、捲回の回転軸の方向を向いた前記側面と向かい合う前記容器の壁面と、を接続することによって、前記被運搬物の捲回方向における内周側の端部を、この内周側の端部における前記第2主面と向かい合う前記第1主面から離間させる接続部材であることを特徴とする梱包物。
【請求項3】
前記離間部材は、前記内周側の端部における前記第2主面と、これに対向する前記第1主面との間に挿入されていることを特徴とする請求項に記載の梱包物。
【請求項4】
前記被運搬物は、前記第1主面により被加工物を保持するための保持パッドであることを特徴とする請求項1からの何れか一項に記載の梱包物。
【請求項5】
前記被運搬物は、前記第1主面により被加工物を研磨するための研磨パッドであることを特徴とする請求項1からの何れか一項に記載の梱包物。
【請求項6】
第1主面と、第2主面を有し、前記第1主面が内側となり、前記第2主面が外側となるように丸みをもたせて捲回されている被運搬物であって、
前記被運搬物の捲回方向における内周側の端部を、この内周側の端部の前記第2主面と向かい合う前記第1主面から離間させるための離間部材が設けられており
前記離間部材は、
前記内周側の端部における前記第1主面に対向する第1端部と、
前記内周側の端部における前記第2主面に対向する第2端部と、
前記第1端部と前記第2端部を接続する湾曲した接続部と、
を備える緩衝部材であることを特徴とする被運搬物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梱包物及び被運搬物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から荷物(「被運搬物」の一例)の運搬に際しては、荷物が損傷しないように、種々の容器に梱包された状態で運搬することが行われている。梱包時には、運搬中の揺れや振動による荷物の損傷等を回避するため、発泡性プラスチック、スポンジ等の緩衝材、ハニカム構造等を有する衝撃吸収材等が使用されている。
【0003】
ここで、荷物がシート状のパッド、フィルムや紙等の場合、積層状態で梱包することが考えられる。しかしながら、柔軟性の高いパッド、シートの場合に積層状態で運搬すると、枚数が増えるにつれて、積み重ねられた被運搬物の重みが、下方にある被運搬物にかかってしまう。下方に位置するシートが圧縮されて変形を起こしてしまう。また、この際、積み重ねられた一部の被運搬物の位置がずれていると、下方にある被運搬物のエッジ付近に荷重がかかるため、エッジ付近が変形してしまうおそれがあった。特に厚み精度を要求される用途のものに対しては問題になる。
【0004】
このような問題を回避するためには、被運搬物同士を正確に位置決めして、被運搬物の表面全体に、平均的に重みがかかるようにすることが考えられる。しかしながら、(例えば2.0m以上の幅を有する)大判のシートを平板で運ぶ場合に運送に大きな制限を受けることになる。製造歩留りを維持しながら精度の良い被運搬物を製造するコストや、位置決めの手間を考慮すると、正確に位置決めして積層することは、現実的でない。
【0005】
積層することなく、かつ、荷物を損傷させることなく、被運搬物を運搬するための方法として、特許文献1には、被運搬物を捲回されている被運搬物を、凹陥を生じさせることなく運搬するために、柔軟性を有する保持シート3を容器の外フラップ2と外フラップ2の間に弛み部分4を持つように架け渡し、この保持シート3上に被運搬物を乗せる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実用新案登録第3179631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、本出願の発明者らは、被運搬物を捲回させて容器に収容する際、運搬中の揺れや、外圧等を受けて被運搬物の内側の端部が、対向する内側を向いた面と接触し、端部の形に従った筋のような傷ができる場合があることに気が付いた。傷は、端部が接触する部分のみならず、端部から押し付けられる部分について、端部からほぼ一周分の長さごとに、ほぼ一定周期で複数個形成される場合があった。特に、シートの圧縮率(JIS L 1021)が20%以上、樹脂の100%モジュラス(JIS K 6251)が20MPa以下、厚み(JIS K 6550)が0.5mm以上の柔軟なシートを有する場合において、厚みがあり剛性が高いPET基材を含む場合に、その傾向が強く、顕著な傷が形成される場合があった。
【0008】
このような被運搬物の表面に傷(圧迫痕、凹み跡も含む)が形成されると、見た目が悪くなるだけでなく、被運搬物の性能の劣化を招く。例えば、被研磨物を保持するための保持パッドを捲回する場合に、保持面の平坦度が損なわれると、傷によって均一性が損なわれるため、被研磨物が平坦に研磨されないという、平坦化不良を引き起こす。
【0009】
そこで本発明は、被運搬物を捲回して運搬しても、傷がつきにくい梱包物及び被運搬物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る梱包物は、第1主面と、第2主面を有し、第1主面が内側となり、第2主面が外側となるように丸みをもたせて捲回されている被運搬物と、被運搬物を収容する容器と、被運搬物の捲回方向における内周側の端部を、この内周側の端部の第2主面と向かい合う第1主面から離間させるための離間部材と、を備える。
【0011】
このような梱包物にあっては、被運搬物の捲回方向における内周側の端部を、この内周側の端部の第2主面と向かい合う第1主面から離間させるための離間部材を備えるから、内周側の端部が、第1主面に接触することを抑制することが可能になる。
【0012】
また、他の態様に係る被運搬物は、第1主面と、第2主面を有し、第1主面が内側となり、第2主面が外側となるように丸みをもたせて捲回されている被運搬物であって、被運搬物の捲回方向における内周側の端部を、この内周側端部の第2主面と向かい合う第1主面から離間させるための離間部材が設けられている。
【0013】
このような被運搬物にあっては、被運搬物の捲回方向における内周側の端部を、この内周側の端部の第2主面と向かい合う第1主面から離間させるための離間部材を備えるから、内周側の端部が、第1主面に接触することを抑制することが可能になる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、運搬中に傷がつきにくい梱包物及び被運搬物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態に係る梱包物10の断面図
図2】アルミバルーン16’を離間部材として備える被運搬物
図3】緩衝部材32’を離間部材として備える被運搬物
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1実施形態]
以下、図面を参照して本発明の各実施形態について詳細に説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。さらに、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。
【0017】
図1(a)は、第1実施形態に係る梱包物10を模式的に示す断面図である。被運搬物は、例えば、横2400mm、縦2750mm、厚さ0.05mm~2.0mm、重さ数キログラムからなる薄い長方形状の保持パッド12である。この保持パッド12は、例えば、被研磨物を保持するためのポリウレタン樹脂からなる保持層と、粘着層と、ポリエチレンテレフタレート(PET)層と、粘着層と、離型紙とからなる積層構造を有している。離型紙を剥がして粘着層を露出させ、被研磨物を載置するための加工用のテーブルに貼りつけ、保持層の表面を水で湿らせ、大型の液晶ディスプレイ用のガラス基板や半導体デバイスを製造するためのシリコンウエハ等の被研磨物を吸着保持させることで、被研磨物を固定することができる。
【0018】
このような保持パッド12を運搬する際には、保護したい保持層の表面(「第1主面」の一例)が内側を向き、離型紙が設けられた裏面(「第2主面」の一例)が外側を向く様に、保持パッド12は、長手方向に捲回される。ここで、捲回された保持パッド12のうち、捲回方向端部の最内周に相当する部分を、内周側端部12Aと呼び、最外周に相当する部分を、外周側端部と呼ぶ。また、矩形の被運搬物の場合、表面と裏面を接続し、被運搬物の厚み相当の高さを有する小面積の側面は、内周側端部の先端に設けられ、捲回方向を向いた先端面と、外周側端部の後端に設けられ、捲回方向の反対方向を向いた後端面と、捲回の回転軸方向を向いた2つの側面を備える。
【0019】
例えば、保持パッド12を、半径が60mm~70mm程度(一周約400mm)となるように長手方向に捲回すると、保持パッド12は、約7周捲回され、外径が150mm程度、高さが2400mmの筒状に形成される。
【0020】
図1(a)に示されるように、捲回された保持パッド12を運搬する際には、保持パッド12の捲回方向における内周側端部12Aと、この内周側端部12Aにおける保持パッド12の裏面が向かい合う、外周側にある保持パッド12の表面との間に、アルミニウムが表面に塗布された袋に空気等の気体が封入されたアルミバルーン16(「緩衝部材」の一例)が挿入される。
【0021】
このため、内周側端部12Aを、外周側にある保持パッド12から離間した状態で支持することが可能になる。
【0022】
従って、本来であれば、保持パッド12の内周側端部12Aに作用する、外周方向に向かうモーメントによって、内周側端部12Aの先端が、外周側にある保持パッド12の表面に接触して傷つけることを抑制することができる。
【0023】
また、このとき、内周側端部12Aの曲率は、捲回によって外周側の保持パッド12が有する曲率(すなわち、半径の逆数)より、大きくなる。
【0024】
なお、保持パッド12の外周側端部は、図に示されるとおり自由端である。
【0025】
アルミバルーン16は、表面に極薄くアルミニウムが塗布されているビニル樹脂等の柔らかい材質からなる袋であり、内部に気体が封入されている。このため、被運搬物である保持パッド12の材質によっては、擦れ等により発生する可能性がある静電気等を好適に抑制することができる。また、内部に気体を封入することにより、アルミバルーン16は、変形することができる。このため、保持パッド12の内周側端部12A及び対向する外周側の保持パッド12の表面形状に従った大きな面積で、内周側端部12Aを支持することができる。このため、内周側端部12Aの変形や、保持パッド12の表面が傷つくことを抑制することができる。
【0026】
なお、捲回により円筒状になっている保持パッド12の軸方向にわたり、複数個のアルミバルーン16を挿入してもよい。
【0027】
なお、アルミバルーン16の大きさや、内部に封入する気体の気圧は、適宜変更可能である。ただし、気圧を高め過ぎると、保持パッド12の表面を傷つけるおそれが高くなるため、大気圧程度にすることが好ましい。また、アルミバルーン16を大きくしすぎると、内周側端部12Aの曲率が大きくなりすぎて変形してしまうため、内周側端部12Aが、保持パッド12の表面から僅かに離間する程度の大きさでよい。
【0028】
また、緩衝部材は、表面にアルミニウム等の金属が塗布されなくてもよい。被運搬物の材質にあわせて、緩衝部材の材質を適宜変更することが可能である。
【0029】
図1(a)に示されるように、このような保持パッド12は、容器14に収納される。容器14は、捲回された保持パッド12を、隙間をもって収納可能な大きさで設けられた、断面が略正方形で、奥行方向に長い直方体の形状をした、段ボール等の紙材から設けられた容器である。
【0030】
また、容器14の壁面のうち、保持パッド12の裏面に対向する向かい合った2つの壁面14A及び壁面14Bには、容器14の底面14Cに接触しない程度に弛ませた柔らかいフィルム14Eが架け渡されている。このように、弛ませたフィルム14Eの上に保持パッド12を乗せることによって、保持パッド12が容器14の壁面14A又は壁面14Bや、底面14Cと擦れて傷がつくことを抑制することができる。
【0031】
保持パッド12が収納された後に、容器14には、上面を覆う蓋14Dを設けてもよい。
【0032】
このような容器14の壁面14Aを、他の容器14の壁面14Bと接続することによって、複数の容器14を連結してもよい。例えば、4つの容器14を連結することにより、一度に運搬することができる保持パッド12の数を増やすとともに、剛性が高まるため、容器14が保持パッド12の自重等により変形することを抑制することができる。
【0033】
また、複数の容器14を連結させた後に、一枚のフィルム14Eを、一端にある容器14の壁面14Aから、他端にある容器14の壁面14Bに至るまで、架け渡してもよい。このような構成とすることにより、容器14ごとにフィルム14Eを切り離して、壁面14Aと壁面14Bの間に架け渡す手間を省くことができる。
【0034】
さらに、このように複数の容器14を連結させたものを、高さ方向に、多段に積層してもよい。このような構成とすることによって、多数の保持パッド12を効率的に運搬することができる。
【0035】
図2は、捲回された保持パッド12の捲回方向における内周側端部12Aと、その内周側端部12Aが対向する外周側の保持パッド12との間に、アルミバルーン16’を挿入した様子を示している。このアルミバルーン16’は、袋のような形状をしており、内部の空気が漏れにくいように端部が結ばれている。
【0036】
以上述べたような形態によれば、保持パッド等の被運搬物を捲回しても、内周側端部が対向する表面に接触することを抑制することができるから、運搬時に傷がつきにくい梱包物並びに被運搬物を提供することができる。
【0037】
なお、被運搬物は、PET基材を備える保持パッドに限られるものではなく、例えば、ナイロンやポリビニル化合物、不織布等を備えるものであってもよい。また、被研磨物を研磨するための研磨布が表面に設けられている研磨パッドを被運搬物としてもよい。
【0038】
また、被運搬物の形状は、長方形に限られない。例えば、円形その他の形状であってもよい。ただし、剛性が高く重量が大きいために傷が発生しやすい被運搬物ならびにその梱包物に本発明を適用することにより、一層の効果が発揮される。
【0039】
[第2実施形態]
図1(b)は、第2実施形態に係る梱包物20を模式的に示す断面図である。被運搬物である保持パッド12及び容器14は、第1実施形態と同様のものを用いることができるが、これに限られるものではない。
【0040】
この図に示されるように、本実施形態における容器14の壁面のうち、捲回された保持パッド12の側面が対向する壁面14Fには、クッションテープなどのテープ22によって、紐24(「接続部材」の一例)の一端が貼りつけられている。一方で、紐24の他端は、保持パッド12の内周側端部12Aに、テープ等の接着剤26等によって接続されている。
【0041】
紐24の長さは、十分に短く、かつ、テープ22によって、紐24の一端は、壁面14Fの中央付近に貼りつけられている。このため、引張力を作用させた状態で、内周側端部12Aを、外周側にある保持パッド12の表面から離間保持することが可能になる。
【0042】
同様に、図示しない紐によって、保持パッド12の他方の側面が対向する容器14の壁面と、保持パッド12の内周側端部12Aは、接続されている。このため、保持パッド12の内周側端部12Aの先端は、捲回により円筒状になっている保持パッド12の軸方向にわたり、外周側の保持パッド12から離間した状態で保持されている。
【0043】
このような構成とすることによっても、保持パッド12の内周側端部12Aが対向する表面に接触することを抑制することができる。
【0044】
なお、紐24は、内周側端部12Aを好適に拘束する程度に短いことが好ましく、例えば、捲回されている保持パッド12の半径の半分以下の長さであることが好ましい。
【0045】
また接続部材は、紐24に限られるものではない。内周側端部12Aと、保持パッド12の側面に対向する壁面14Fを接続し、内周側端部12Aに引張力を加えることによって、外周側にある保持パッド12の表面から離間させるものであれば、紐24以外の部材を用いてもよい。
【0046】
[第3実施形態]
図1(c)は、第3実施形態に係る梱包物30を模式的に示す断面図である。被運搬物である保持パッド12及び容器14は、第1実施形態及び第2実施形態と同様のものを用いることができるが、これに限られるものではない。
【0047】
この図に示されるように、保持パッド12の捲回方向における内周側端部12Aには、湾曲した緩衝部材として、断面がC字状の緩衝部材32が挿入されている。緩衝部材32の一端32Aは、内周側端部12Aの表面に対向し、他端32Bは、内周側端部12Aの裏面に対向し、両端を滑らかに接続する接続部32Cの内壁面は、内周側端部12Aの側面に対向している。
【0048】
図3は、このような捲回された保持パッド12の捲回方向における内周側端部12Aと、その内周側端部12Aが対向する外周側の保持パッド12との間に、緩衝部材32’を挿入した様子を示している。この図に示されるように、内周側端部12Aには、外側に向かうモーメントが作用するが、緩衝部材32’の他端32B’が内周側端部12Aの裏面と接触するので、内周側端部12Aが対向する保持パッド12の表面に接触することが抑制される。また、緩衝部材32’の一端32A’は、保持パッド12の表面と離間しているから、保持パッド12の表面に傷をつけることがない。
【0049】
なお、緩衝部材32は、捲回により円筒状になっている保持パッド12の軸方向にわたって設けてもよいが、軸方向の中央部の一か所や、両端の2か所のみに設けてもよい。
【符号の説明】
【0050】
10…梱包物、12…保持パッド、12A…内周側端部、14…容器、14A…壁面、14B…壁面、14C…底面、14D…蓋、14E…フィルム、14F…壁面、16…アルミバルーン、20…梱包物、22…テープ、24…紐、26…接着剤、30…梱包物、32…緩衝部材、32A…一端、32B…他端、32C…接続部
図1
図2
図3