(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】X線検出器及びX線コンピュータ断層撮影装置
(51)【国際特許分類】
G01T 7/00 20060101AFI20220914BHJP
A61B 6/03 20060101ALI20220914BHJP
A61B 6/00 20060101ALI20220914BHJP
G01T 1/20 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
G01T7/00 A
A61B6/03 320W
A61B6/00 300Q
A61B6/00 300S
G01T1/20 L
(21)【出願番号】P 2018125959
(22)【出願日】2018-07-02
【審査請求日】2021-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】加藤 徹
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 博明
(72)【発明者】
【氏名】中井 宏章
(72)【発明者】
【氏名】林 幹人
(72)【発明者】
【氏名】井岡 久美子
(72)【発明者】
【氏名】村井 誠一郎
【審査官】藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-315466(JP,A)
【文献】特開2012-100900(JP,A)
【文献】特開2008-272018(JP,A)
【文献】特開2012-037274(JP,A)
【文献】特開2004-057834(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/00-1/16
G01T 1/167-7/12
A61B 6/03
A61B 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線を遮蔽するための複数の遮蔽板と、
表面において前記複数の遮蔽板を支持する支持部材と、
入射X線に応じた電気信号を出力する光センサと、
前記光センサが熱交換可能に実装される基板とを具備し、
前記支持部材の裏面と、前記光センサのX線入射面とは、対向し、
前記支持部材の裏面と、前記基板とは、熱交換可能に面接触している、
X線検出器。
【請求項2】
前記基板の表面は、前記支持部材の裏面に対向し、
前記基板の表面の一部には、前記光センサが配置されるキャビティが設けられ、
前記基板の表面のうち前記キャビティが設けられていない他の一部は、前記支持部材の裏面に面接触している、
請求項1に記載のX線検出器。
【請求項3】
前記支持部材の裏面と、前記光センサとは、接触していない、請求項1に記載のX線検出器。
【請求項4】
前記支持部材は、X線を透過させる、請求項1に記載のX線検出器。
【請求項5】
前記支持部材は、前記複数の遮蔽板を前記光センサのX線入射面に対して傾けて支持する、請求項1に記載のX線検出器。
【請求項6】
前記複数の遮蔽板は、前記支持部材に対して熱交換可能に接触している、請求項1に記載のX線検出器。
【請求項7】
前記複数の遮蔽板の各々は、列方向又はチャネル方向に前記光センサより長い、請求項6に記載のX線検出器。
【請求項8】
前記支持部材と前記基板とは、熱伝導部材を介して接触している、請求項1に記載のX線検出器。
【請求項9】
前記支持部材の裏面は、チャネル方向に湾曲した曲面に対する複数の接平面を含み、
前記複数の接平面の各々は、前記光センサが設けられた前記基板と熱交換可能に面接触している、
請求項1に記載のX線検出器。
【請求項10】
前記支持部材の裏面は、チャネル方向に湾曲した第1曲面を含み、
前記基板は、前記第1曲面の形状に適合した第2曲面を含み、
前記第1曲面と前記第2曲面とは、熱交換可能に面接触している、
請求項1に記載のX線検出器。
【請求項11】
前記支持部材とともに前記複数の遮蔽板を囲む筐体をさらに備え、
前記支持部材の列方向の端部は、前記筐体の列方向の端部より外側にある、
請求項1に記載のX線検出器。
【請求項12】
前記支持部材の列方向の端部は、前記基板の列方向の端部より外側にある、請求項11に記載のX線検出器。
【請求項13】
前記支持部材の列方向の端部に設けられ、前記支持部材との間で熱交換可能に構成された放熱部をさらに備える、請求項11又は12に記載のX線検出器。
【請求項14】
前記放熱部は、ヒートシンク、ファン、ペルチェ素子のうち、少なくとも1つを含む、請求項13に記載のX線検出器。
【請求項15】
前記光センサの温度を計測する温度計測部と、
前記温度計測部の出力に基づいて前記放熱部の動作を制御する温度制御部とをさらに備え、
前記放熱部は、ファン又はペルチェ素子のうち少なくとも一方を含む、
請求項13に記載のX線検出器。
【請求項16】
X線を発生するX線管と、
X線を遮蔽するための複数の遮蔽板と、
表面において前記複数の遮蔽板を支持する支持部材と、
前記X線管から発生され被検体を透過して入射した入射X線に応じた電気信号を出力する光センサと、
前記光センサが熱交換可能に実装される基板とを有し、
前記支持部材の裏面と、前記光センサのX線入射面とは、対向し、
前記支持部材の裏面と、前記基板とは、熱交換可能に面接触している
X線検出器と
を具備するX線コンピュータ断層撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、X線検出器及びX線コンピュータ断層撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線コンピュータ断層撮影装置のX線検出器には半導体回路等により形成されるX線検出素子やデータ収集回路等が含まれる。半導体回路等は、X線による劣化を低減するため、X線から遮蔽された背面側に高密度に実装されている。X線検出素子等のセンサは、動作温度により出力が変化するという特性を有する。このため、X線検出器からの排熱が不十分な状態では、安定した画像データの収集が困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第9599490号明細書
【文献】米国特許出願公開第2018/0059270号明細書
【文献】特開2010-187811号公報
【文献】特開2001-309912号公報
【文献】特開2001-215281号公報
【文献】特開2007-220087号公報
【文献】特開2012-386号公報
【文献】特開2013-39362号公報
【文献】特開平10-146332号公報
【文献】国際公開第2010/150717号
【文献】特開2012-141500号公報
【文献】特開2009-254816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明が解決しようとする課題は、効率良く放熱することができるX線検出器及びX線コンピュータ断層撮影装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係るX線検出器は、複数の遮蔽板と、支持部材と、光センサと、基板とを含む。複数の遮蔽板は、X線を遮蔽する。支持部材は、表面において前記複数の遮蔽板を支持する。光センサは、入射X線に応じた電気信号を出力する。基板には、前記光センサが熱交換可能に実装される。前記支持部材の裏面と、前記光センサのX線入射面とは、対向する。前記支持部材の裏面と、前記基板とは、熱交換可能に面接触している。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置の構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1のX線検出器の構成の一例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、
図1のX線検出器の有するグリッドの構成の一例を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図2のX線検出器のIV-IV断面の一例を示す断面図である。
【
図5】
図5は、
図4のX線検出器のV-V断面の一例を示す断面図である。
【
図6】
図6は、第2の変形例に係るX線検出器の構成の一例を示す模式図である。
【
図7】
図7は、第3の変形例に係るX線検出器の構成の一例を示す模式図である。
【
図8】
図8は、第5の変形例に係るX線検出器の構成の一例を示す断面図である。
【
図9】
図9は、第7の変形例に係るX線検出器の構成の一例を示す断面図である。
【
図10】
図10は、第8の変形例に係るX線検出器の構成の一例を示す断面図である。
【
図12】
図12は、第9の変形例に係るX線検出器の構成の一例を示す断面図である。
【
図14】
図14は、第10の変形例に係るX線検出器の構成の一例を示す断面図である。
【
図16】
図16は、第12の変形例に係るグリッドの構成の一例を示す模式図である。
【
図17】
図17は、第12の変形例に係るX線検出器の構成の一例を示す断面図である。
【
図18】
図18は、第13の変形例に係る温度制御システムの構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係る放射線検出器及び放射線診断装置を説明する。なお、以下の説明において、既出の図に関して前述したものと同一又は略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表されている場合もある。
【0008】
本実施形態に係る放射線検出器は、X線やガンマ線等の任意の放射線を検出する検出器に適用可能である。本実施形態に係る放射線診断装置は、X線コンピュータ断層撮影装置やX線診断装置、核医学診断装置に適用可能である。以下、本実施形態に係る放射線診断装置は、X線コンピュータ断層撮影装置であるとする。本実施形態に係る放射線検出器は、X線コンピュータ断層撮影装置により搭載されるX線検出器であるとする。
【0009】
X線コンピュータ断層撮影装置(CT装置)には、第3世代CT、第4世代CT等様々なタイプがあり、いずれのタイプでも本実施形態へ適用可能である。ここで、第3世代CTは、X線管と検出器とが一体として被検体の周囲を回転するRotate/Rotate-Typeである。第4世代CTは、リング状にアレイされた多数のX線検出素子が固定され、X線管のみが被検体の周囲を回転するStationary/Rotate-Typeである。
【0010】
図1は、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置1の構成を示す図である。X線コンピュータ断層撮影装置1は、X線管11から被検体Pに対してX線を照射し、照射されたX線をX線検出器12で検出する。X線コンピュータ断層撮影装置1は、X線検出器12からの出力に基づいて被検体Pに関するCT画像を生成する。
【0011】
図1に示すように、X線コンピュータ断層撮影装置1は、架台10、寝台30及びコンソール40を有する。なお、
図1では説明の都合上、架台10が複数描画されている。架台10は、被検体PをX線CT撮影するための構成を有するスキャン装置である。寝台30は、X線CT撮影の対象となる被検体Pを載置し、被検体Pを位置決めするための搬送装置である。コンソール40は、架台10を制御するコンピュータである。例えば、架台10及び寝台30はCT検査室に設置され、コンソール40はCT検査室に隣接する制御室に設置される。架台10、寝台30及びコンソール40は互いに通信可能に有線または無線で接続されている。なお、コンソール40は、必ずしも制御室に設置されなくてもよい。例えば、コンソール40は、架台10及び寝台30とともに同一の部屋に設置されてもよい。また、コンソール40が架台10に組み込まれてもよい。
【0012】
図1に示すように、架台10は、X線管11、X線検出器12、回転フレーム13、X線高電圧装置14、制御装置15、ウェッジ16、コリメータ17及びデータ収集回路(DAS:Data Acquisition System)18を有する。
【0013】
X線管11は、X線を被検体Pに照射する。具体的には、X線管11は、熱電子を発生する陰極と、陰極から飛翔する熱電子を受けてX線を発生する陽極と、陰極と陽極とを保持する真空管とを含む。X線管11は、高圧ケーブルを介してX線高電圧装置14に接続されている。陰極と陽極との間には、X線高電圧装置14により管電圧が印加される。管電圧の印加により陰極から陽極に向けて熱電子が飛翔する。陰極から陽極に向けて熱電子が飛翔することにより管電流が流れる。X線高電圧装置14からの高電圧の印加及びフィラメント電流の供給により、陰極(フィラメント)から陽極(ターゲット)に向けて熱電子が飛翔し、熱電子が陽極に衝突することによりX線が発生される。例えば、X線管11には、回転する陽極に熱電子を照射することでX線を発生させる回転陽極型のX線管がある。
【0014】
なお、X線を発生させるハードウェアはX線管11に限られない。例えば、X線管11に代えて、第5世代方式を用いてX線を発生させることにしても構わない。第5世代方式は、電子銃から発生した電子ビームを集束させるフォーカスコイルと、電磁偏向させる偏向コイルと、被検体Pの半周を囲い偏向した電子ビームが衝突することによってX線を発生させるターゲットリングとを含む。
【0015】
X線検出器12は、X線管11から照射され被検体Pを通過したX線を検出し、検出されたX線の線量に対応した電気信号をDAS18に出力する。X線検出器12は、チャネル方向に複数のX線検出素子が配列されたX線検出素子列がスライス方向(列方向)に複数配列された構造を有する。X線検出器12は、例えば、グリッド、シンチレータアレイ及び光センサアレイを有する間接変換型の検出器である。シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有する。シンチレータは、入射X線量に応じた光量の光を出力する。グリッドは、シンチレータアレイのX線入射面側に配置され、散乱X線を吸収するX線遮蔽板を有する。なお、グリッドは、コリメータ(1次元コリメータ又は2次元コリメータ)と呼ばれる場合もある。光センサアレイは、シンチレータからの光の光量に応じた電気信号に変換する。光センサとしては、例えば、フォトダイオードが用いられる。
【0016】
回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とを回転軸(Z軸)回りに回転可能に支持する円環状のフレームである。具体的には、回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とを対向支持する。回転フレーム13は、固定フレーム(図示せず)に回転軸回りに回転可能に支持される。制御装置15により回転フレーム13が回転軸回りに回転することによりX線管11とX線検出器12とを回転軸回りに回転させる。回転フレーム13は、制御装置15の駆動機構からの動力を受けて回転軸回りに一定の角速度で回転する。回転フレーム13の開口部19には、画像視野(FOV)が設定される。
【0017】
なお、本実施形態では、非チルト状態での回転フレーム13の回転軸又は寝台30の天板33の長手方向をZ軸方向、Z軸方向に直交し床面に対し水平である軸方向をX軸方向、Z軸方向に直交し床面に対し垂直である軸方向をY軸方向と定義する。
【0018】
X線高電圧装置14は、高電圧発生装置及びX線制御装置を有する。高電圧発生装置は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管11に印加する高電圧及びX線管11に供給するフィラメント電流を発生する。X線制御装置は、X線管11が照射するX線に応じた出力電圧の制御を行う。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であっても構わない。X線高電圧装置14は、架台10内の回転フレーム13に設けられてもよいし、架台10内の固定フレーム(図示しない)に設けられても構わない。
【0019】
ウェッジ16は、被検体Pに照射されるX線の線量を調節する。具体的には、ウェッジ16は、X線管11から被検体Pへ照射されるX線の線量が予め定められた分布になるようにX線を減衰する。例えば、ウェッジ16としては、ウェッジフィルタ(wedge filter)やボウタイフィルタ(bow-tie filter)等のアルミニウム等の金属板が用いられる。
【0020】
コリメータ17は、ウェッジ16を透過したX線の照射範囲を限定する。コリメータ17は、X線を遮蔽する複数の鉛板をスライド可能に支持し、複数の鉛板により形成されるスリットの形態を調節する。なお、コリメータ17は、X線絞りと呼ばれる場合もある。
【0021】
DAS18は、X線検出器12により検出されたX線の線量に応じた電気信号をX線検出器12から読み出す。DAS18は、読み出した電気信号を増幅し、ビュー期間に亘り電気信号を積分することにより当該ビュー期間に亘るX線の線量に応じたデジタル値を有する検出データを収集する。検出データは、投影データと呼ばれる。DAS18は、例えば、投影データを生成可能な回路素子を搭載した特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)により実現される。投影データは、非接触データ伝送装置等を介してコンソール40に伝送される。
【0022】
なお、本実施形態では、積分型のX線検出器12及び積分型のX線検出器12が搭載されたX線コンピュータ断層撮影装置1を例として説明するが、本実施形態に係る技術は、光子計数型のX線検出器又は光子計数型のX線検出器が搭載されたX線コンピュータ断層撮影装置であっても適用可能である。
【0023】
制御装置15は、コンソール40の処理回路44のシステム制御機能441に従いX線CT撮影を実行するためにX線高電圧装置14やDAS18を制御する。制御装置15は、CPU(Central Processing Unit)あるいはMPU(Micro Processing Unit)等を有する処理回路と、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構とを有する。処理回路は、ハードウェア資源として、CPU等のプロセッサとROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリとを有する。また、制御装置15は、ASICやフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)により実現されてもよい。また、制御装置15は、他の複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)又は単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)により実現されてもよい。制御装置15は、コンソール40若しくは架台10に取り付けられた、後述する入力インターフェース43からの入力信号を受けて、架台10及び寝台30の動作制御を行う機能を有する。例えば、制御装置15は、入力信号を受けて回転フレーム13を回転させる制御や、架台10をチルトさせる制御、及び寝台30及び天板33を動作させる制御を行う。なお、架台10をチルトさせる制御は、架台10に取り付けられた入力インターフェースによって入力される傾斜角度(チルト角度)情報により、制御装置15がX軸方向に平行な軸を中心に回転フレーム13を回転させることによって実現される。なお、制御装置15は架台10に設けられてもよいし、コンソール40に設けられても構わない。
【0024】
寝台30は、基台31、支持フレーム32、天板33及び寝台駆動装置34を備える。基台31は、床面に設置される。基台31は、支持フレーム32を、床面に対して垂直方向(Y軸方向)に移動可能に支持する筐体である。支持フレーム32は、基台31の上部に設けられるフレームである。支持フレーム32は、天板33を中心軸(Z軸)に沿ってスライド可能に支持する。天板33は、被検体Pが載置される柔軟性を有する板である。
【0025】
寝台駆動装置34は、寝台30の筐体内に収容される。寝台駆動装置34は、被検体Pが載置された支持フレーム32と天板33とを移動させるための動力を発生するモータ又はアクチュエータである。寝台駆動装置34は、コンソール40等による制御に従い作動する。
【0026】
コンソール40は、メモリ41、ディスプレイ42、入力インターフェース43及び処理回路44を有する。メモリ41とディスプレイ42と入力インターフェース43と処理回路44との間のデータ通信は、バス(BUS)を介して行われる。なお、コンソール40は架台10とは別体として説明するが、架台10にコンソール40又はコンソール40の各構成要素の一部が含まれてもよい。
【0027】
メモリ41は、種々の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、集積回路記憶装置等の記憶装置である。メモリ41は、例えば、投影データや再構成画像データを記憶する。メモリ41は、HDDやSSD等以外にも、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、フラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体であってもよい。メモリ41は、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)等の半導体メモリ素子等との間で種々の情報を読み書きする駆動装置であってもよい。また、メモリ41の保存領域は、X線コンピュータ断層撮影装置1内にあってもよいし、ネットワークで接続された外部記憶装置内にあってもよい。
【0028】
ディスプレイ42は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、処理回路44によって生成された医用画像(CT画像)や、操作者からの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。ディスプレイ42としては、種々の任意のディスプレイが、適宜、使用可能となっている。例えばディスプレイ42として、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro Luminescence Display)又はプラズマディスプレイが使用可能である。また、ディスプレイ42は、架台10に設けられてもよい。また、ディスプレイ42は、デスクトップ型でもよいし、コンソール40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。
【0029】
入力インターフェース43は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路44に出力する。例えば、入力インターフェース43は、投影データを収集する際の収集条件や、CT画像を再構成する際の再構成条件、CT画像から後処理画像を生成する際の画像処理条件等を操作者から受け付ける。入力インターフェース43としては、例えば、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等が適宜、使用可能となっている。なお、本実施形態において、入力インターフェース43は、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等の物理的な操作部品を備えるものに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路44へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース43の例に含まれる。また、入力インターフェース43は、架台10に設けられてもよい。また、入力インターフェース43は、コンソール40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。
【0030】
処理回路44は、入力インターフェース43から出力される入力操作の電気信号に応じてX線コンピュータ断層撮影装置1全体の動作を制御する。処理回路44は、X線検出器12から出力された電気信号に基づいて画像データを生成する。処理回路44は、画像生成部の一例である。例えば、処理回路44は、ハードウェア資源として、CPUやMPU、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。処理回路44は、メモリに展開されたプログラムを実行するプロセッサにより、システム制御機能441、前処理機能442、再構成処理機能443、画像処理機能444、表示制御機能445等を実行する。なお、各機能441~445は単一の処理回路で実現される場合に限らない。複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより各機能441~445を実現するものとしても構わない。
【0031】
システム制御機能441において処理回路44は、X線CT撮影を行うためX線高電圧装置14と制御装置15とDAS18とを制御する。
【0032】
前処理機能442において処理回路44は、DAS18から出力された投影データに対して対数変換処理やオフセット補正処理、チャネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正等の前処理を施す。
【0033】
再構成処理機能443において処理回路44は、前処理機能442による前処理後の投影データに対して、フィルタ補正逆投影法や逐次近似再構成法等を用いた再構成処理を行い、CT画像データを生成する。
【0034】
画像処理機能444において処理回路44は、再構成処理機能443によって生成されたCT画像データを、任意断面の断面画像データや任意視点方向のレンダリング画像データに変換する。変換は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて行われる。例えば、処理回路44は、当該CT画像データにボリュームレンダリングや、サーフェスボリュームレンダリング、画像値投影処理、MPR(Multi-Planer Reconstruction)処理、CPR(Curved MPR)処理等の3次元画像処理を施して、任意視点方向のレンダリング画像データを生成する。なお、任意視点方向のレンダリング画像データの生成は再構成処理機能443が直接行っても構わない。
【0035】
表示制御機能445において処理回路44は、画像処理機能444により生成された各種画像データに基づいて、画像をディスプレイ42に表示させる。ディスプレイ42に表示させる画像は、CT画像データに基づくCT画像、任意断面の断面画像データに基づく断面画像、任意視点方向のレンダリング画像データに基づく任意視点方向のレンダリング画像等を含む。
【0036】
なお、コンソール40は、単一のコンソールにて複数の機能を実行するものとして説明したが、複数の機能を別々のコンソールが実行することにしても構わない。例えば、前処理機能442、再構成処理機能443等の処理回路44の機能を分散して有しても構わない。
【0037】
なお、処理回路44は、コンソール40に含まれる場合に限らず、複数の医用画像診断装置にて取得された検出データに対する処理を一括して行う統合サーバに含まれてもよい。
【0038】
なお、後処理は、コンソール40又は外部のワークステーションのどちらで実施することにしても構わない。また、コンソール40とワークステーションの両方で同時に処理することにしても構わない。
【0039】
なお、本実施形態に係る技術は、一管球型のX線コンピュータ断層撮影装置にも、X線管と検出器との複数のペアを回転リングに搭載した、いわゆる多管球型のX線コンピュータ断層撮影装置にも適用可能である。
【0040】
次に、本実施形態に係るX線検出器12の構成について説明する。
【0041】
図2は、
図1のX線検出器12の構成の一例を示す模式図である。
図2に示すように、X線検出器12は、グリッド121及び複数のX線検出器モジュール123を有する。
【0042】
グリッド121は、複数のX線検出器モジュール123の有する光センサへの入射X線をX線焦点に照準する。グリッド121は、複数のX線検出器モジュール123のX線入射面側に配置されている。
図3は、
図2のグリッド121の構成の一例を示す分解斜視図である。
図3に示すように、グリッド121は、チャネル方向DCに関して湾曲した形状を有する。グリッド121は、スライス方向DSに関してさらに湾曲した形状を有していてもよい。グリッド121は、筐体121a、背面板121b及び複数の遮蔽板121cを有する。背面板121bは、支持部材の一例である。
【0043】
筐体121aは、第1側板121aa、第2側板121ab、第3側板121ac、第4側板121ad及び正面板121aeを有する。第1側板121aa及び第2側板121abは、チャネル方向DCに延設され、スライス方向DSに並設された一対の側板である。スライス方向DSは、列方向の一例である。第1側板121aa及び第2側板121abは、それぞれ、例えばX線管11を中心とした円弧の一部である。第3側板121ac及び第4側板121adは、第1側板121aa及び第2側板121abのチャネル方向DCの両端部に設けられた一対の側板である。正面板121aeは、第1側板121aa及び第2側板121abの内周側に設けられた側板である。正面板121aeは、第1側板121aaと第2側板121abとを接続している。正面板121aeは、例えばX線管11を中心とした円弧の一部である。正面板121aeは、X線を透過させる。
【0044】
背面板121bは、第1側板121aa及び第2側板121abの外周側に設けられた側板である。背面板121bは、第1側板121aaと第2側板121abとを接続している。背面板121bは、例えばX線管11を中心とした円弧の一部である。背面板121bは、X線を透過させる。背面板121bは、X線に対して略透明であると表現されてもよい。背面板121bとして、比較的高い熱伝導率を有する部材が用いられればよい。背面板121bは、例えばピッチ系の炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastics:CFRP)によって形成されている。例えば、ピッチ系のCFRPには、常温で熱伝導率が300W/(m・K)を超えるものがある。背面板121bは、熱拡散板であるとも表現できる。
【0045】
なお、ピッチ系のCFRPでは、方向により熱伝導率の値が異なり得る。このようなとき、背面板121bは、例えばチャネル方向DC又はスライス方向DSに高い熱伝導率を有するように形成される。
【0046】
複数の遮蔽板121cの各々は、X線を吸収する。つまり、複数の遮蔽板121cの各々は、入射したX線を遮蔽する。複数の遮蔽板121cの各々は、モリブデン等のX線吸収率の高い材料から形成されている。複数の遮蔽板121cは、複数のX線検出器モジュール123の有する光センサへの散乱X線の入射を低減させる。つまり、複数の遮蔽板121cにより吸収されずにグリッド121を通過した入射X線は、複数のX線検出器モジュール123の有する光センサに対する直接線である。
【0047】
図4は、
図2のIV-IV断面を示す断面図である。
図5は、
図4のV-V断面を示す断面図である。なお、
図4及び
図5に示す例では、説明の簡単のために、背面板121bが平板の一部であるように示されている。
図4及び
図5に示すように、背面板121bには、複数の遮蔽板121cをそれぞれ支持するための複数の第1溝部121dがチャネル方向DCに沿って形成されている。複数の第1溝部121dの各々は、スライス方向に延びている。これら複数の第1溝部121dは、X線検出器12がX線コンピュータ断層撮影装置1に組込まれたとき、
図3に示すように、複数の遮蔽板121cの面がスライス方向DSに対し平行となるように配置されるように形成されている。また、これら複数の第1溝部121dは、X線検出器12がX線コンピュータ断層撮影装置1に組込まれたとき、複数の遮蔽板121cの全ての面の延長線上にX線管11の焦点が位置するように形成されている。換言すれば、背面板121bは、複数の遮蔽板121cの全ての面の延長線上にX線管11の焦点が位置するように、複数の遮蔽板121cをセンサ123aのX線入射面に対して傾けて支持する。このように、背面板121bは、表面において複数の遮蔽板121cを支持する。ここで、背面板121bの表面は、背面板121bのX線入射側の面である。
【0048】
このように、本実施形態に係る筐体121aと、背面板121bとは、複数の遮蔽板121cを囲んでいる。なお、複数の遮蔽板121cを支持するための溝部は、背面板121bに加えて、第1側板121aa、第2側板121ab又は正面板121aeに設けられていてもよい。
【0049】
図2に示すように、複数のX線検出器モジュール123は、グリッド121の背面側に配置されている。複数のX線検出器モジュール123は、チャネル方向DCにタイリングされている。
図4及び
図5に示すように、複数のX線検出器モジュール123の各々は、センサ123a及び基板123bを有する。
【0050】
センサ123aは、シンチレータアレイ及び光センサアレイを有する。センサ123aは、光センサの一例である。センサ123aは、入射X線に応じた電気信号を出力する。センサ123aは、動作に伴い発熱するため、発熱源であると表現できる。また、センサ123aの動作は、温度依存性を有する。センサ123aの表面と、背面板121bの裏面とは対向する。センサ123aの表面は、センサ123aのX線入射面である。
【0051】
基板123bの表面は、背面板121bの裏面に対して対向する。基板123bの表面は、基板123bのX線入射側の面である。基板123bの表面の一部には、キャビティ123cが設けられている。基板123bの表面のうち、キャビティ123cが設けられていない他の一部は、背面板121bの裏面に対して熱交換可能に面接触している。つまり、基板123bと、背面板121bの裏面とは、熱交換可能に面接触している。キャビティ123cの底部には、センサ123aが配置されている。つまり、基板123bには、センサ123aが実装されている。基板123bとセンサ123aとは、熱交換可能に接触している。一方で、センサ123aの表面と、背面板121bの裏面とは、接触していない。すなわち、キャビティ123cの深さはセンサ123aの厚みより長く設計され、センサ123aのX線入射面と背面板121bの裏面との間には間隙が設けられる。これにより、背面板121bによるセンサ123aへの直接的な接触を回避し、センサ123aの損傷や信号劣化を回避又は低減することができる。
【0052】
センサ123aと、背面板121bとの間の伝導伝熱による熱輸送は、基板123bを介して行われる。基板123bの裏面側には、図示しないASIC回路等が接続されている。図示しないASIC回路等は、センサ123aから電気信号を読み出す等、センサ123aの動作を制御する。図示しないASIC回路等は、動作に伴い発熱するため、発熱源であると表現できる。図示しないASIC回路等で生じた熱は、基板123bを介して、背面板121bへ輸送される。基板123bとして、比較的熱伝導率の高い部材が用いられればよい。基板123bは、例えば炭化珪素、窒化アルミニウム、窒化珪素等の比較的熱伝導率の高いセラミックで形成されている。例えば、炭化珪素、窒化アルミニウム及び窒化珪素の常温での熱伝導率は、それぞれ、200W/(m・K)、150W/(m・K)及び27W/(m・K)程度である。背面板121bへ輸送された熱は、背面板121bの内部で伝導伝熱により拡散される。つまり、背面板121bは、熱拡散板として作用する。また、背面板121bへ輸送された熱は、対流熱伝達又はふく射伝熱により、周囲空気等へさらに輸送される。つまり、背面板121bは、放熱板としても作用する。
【0053】
なお、本実施形態では、グリッド121と、シンチレータアレイ及び光センサアレイを有する複数のX線検出器モジュール123とを備える間接変換型のX線検出器12を例として説明したがこれに限らない。X線検出器12は、直接変換型の検出器であってもよい。
【0054】
なお、本実施形態では、複数の遮蔽板121cがスライス方向DSに延びている場合を例として説明したが、これに限らない。複数の遮蔽板121cは、さらにチャネル方向DCに延びていてもよい。つまり、複数の遮蔽板121cは、X線入射側から見て格子状に配置されていてもよい。
【0055】
本実施形態に係るX線検出器12及びX線コンピュータ断層撮影装置1によれば、センサ123aで発生した熱又は基板123bの背面側に配置されている回路等で発生した熱を、基板123bを介して背面板121bへ輸送することができる。このように、熱拡散板としての背面板121bは、複数のX線検出器モジュール123における内部温度の均一化に寄与する。複数のX線検出器モジュール123の内部温度の均一化は、センサ123aの出力のバラつきの低減に寄与する。また、放熱板としての背面板121bは、複数のX線検出器モジュール123の内部温度の抑制に寄与する。このように、本実施形態に係る技術は、X線検出器12で発生した熱について、X線入射側から放熱することができるため、冷却効率の向上及び安定した画像データの収集を実現することができる。
【0056】
(第1の変形例)
図4及び
図5に示す例では、説明の簡単のために、背面板121bが平板の一部であるように示されている。ところが、
図2に示すように、本実施形態に係る背面板121bは、曲線によって形成されている。そこで、背面板121bと複数のX線検出器モジュール123の基板123bとの間には、
図2に示すように、熱伝導部材125が配置されていてもよい。熱伝導部材125は、X線を透過する。熱伝導部材125は、ゲルであってもよいし、固体であってもよい。熱伝導部材125は、例えば熱伝導グリス又は熱伝導樹脂である。
【0057】
このように、本変形例に係るX線検出器12において、背面板121bと基板123bとは、熱伝導部材125を介して接触している。この構成によれば、背面板121bと基板123bとの間の接触熱抵抗を低減できる。これは、接触面における背面板121b又は基板123bの表面粗さに起因する伝熱量の低減を抑制できるとも表現できる。つまり、本変形例に係る技術によれば、上述の実施形態で得られる効果に加えて、背面板121bと基板123bとの間の伝熱量を増大させることができるという効果がある。
【0058】
(第2の変形例)
図6は、本変形例に係るX線検出器12の構成の一例を示す模式図である。
図6に示すように、背面板121bの裏面は、チャネル方向DCに湾曲した曲面に対する複数の接平面121baを有する。チャネル方向DCに湾曲した曲面は、例えばX線管11を中心とする円弧の一部により形成されている。チャネル方向DCに湾曲した曲面は、例えば
図2に示すグリッド121の背面板121bの裏面の形状である。複数の接平面121baの各々は、複数のX線検出器モジュール123の基板123bの表面の一部である領域123baの形状に適合した形状である。複数の接平面121baの各々は、基板123bの表面の領域123baと熱交換可能に面接触している。
【0059】
このように、本変形例に係るX線検出器12において、背面板121bの裏面と、基板123bの表面の領域123baとは、互いに適合する形状を有している。この構成によれば、背面板121bと基板123bとの間の伝熱面積を増大させることができる。つまり、本変形例に係る技術によれば、上述の実施形態で得られる効果に加えて、背面板121bと基板123bとの間の伝熱量を増大させることができるという効果がある。なお、本変形例に係る技術は、第1の変形例に係る技術と組み合わせることができる。
【0060】
(第3の変形例)
図7は、本変形例に係るX線検出器12の構成の一例を示す模式図である。
図7に示すように、本変形例に係る背面板121bの裏面は、チャネル方向DCに湾曲した第1曲面121bbを有する。第1曲面121bbは、例えばX線管11を中心とする円弧の一部により形成されている。第1曲面121bbは、例えば
図2に示すグリッド121の背面板121bの裏面の形状である。
図7に示すように、本変形例に係る複数のX線検出器モジュール123の表面は、第2曲面123bbを有する。第2曲面123bbは、背面板121bの第1曲面121bbの形状に適合した形状である。第2曲面123bbは、背面板121bの第1曲面121bbと熱交換可能に面接触している。
【0061】
このように、本変形例に係るX線検出器12において、背面板121bの裏面と、基板123bの表面の領域123baとは、互いに適合する形状を有している。この構成であっても、第2の変形例と同様の効果が得られる。また、背面板121bの第1曲面121bbの曲率が一定であれば、第2曲面123bbを有する複数のX線検出器モジュール123は、第1曲面121bbのいずれの位置であっても配置できる。つまり、本変形例に係る技術によれば、第2の変形例で得られる効果に加えて、X線検出器12における各構成要素の配置の自由度を向上できるという効果がさらに得られる。なお、本変形例に係る技術は、第1の変形例に係る技術と組み合わせることができる。
【0062】
(第4の変形例)
本変形例に係るX線検出器12において、背面板121bの表面のうち複数の遮蔽板121cと接触していない領域と、背面板121bの裏面のうち基板123bと接触していない領域とには、粗化処理が施されている。粗化処理は、例えば微細加工により実現される。
【0063】
このような構成であれば、背面板121bと周囲空気との間の温度境界層を薄くし、背面板121bと周囲空気との間の熱伝達率を向上させることができる。つまり、本変形例に係る技術によれば、上述の実施形態で得られる効果に加えて、背面板121bと基板123bとの間の伝熱量を増大させることができるという効果がある。なお、本変形例に係る技術は、上述の各々の変形例に係る技術と組み合わせることができる。
【0064】
(第5の変形例)
図8は、本変形例に係るX線検出器12の構成の一例を示す断面図である。
図8は、
図2のIV-IV断面の別の一例を示す断面図であるとも表現できる。
図8に示すように、本変形例に係る背面板121b及び基板123bは、スライス方向DSにおいて、センサ123a及び複数の遮蔽板121cと比べて長い。
【0065】
このような構成であれば、背面板121bの裏面と基板123bとの接触面積及び背面板121bの表面と周囲空気との接触面積を十分に確保できる。つまり、本変形例に係る技術によれば、上述の実施形態で得られる効果に加えて、背面板121bと基板123bとの間の伝熱量及び背面板121bと周囲空気との間の熱伝達率をさらに増大させる効果が得られる。なお、本変形例に係る技術は、上述の各々の変形例に係る技術と組み合わせることができる。
【0066】
(第6の変形例)
本変形例に係るX線検出器12において、背面板121bと複数の遮蔽板121cとは、熱交換可能に接触している。このとき、複数の遮蔽板121cは、背面板121bの拡大伝熱面として作用する。ここで、複数の遮蔽板121cの各々は、例えばモリブデンで形成されている。モリブデンは、常温で142W/(m・K)程度の熱伝導率を有する。
【0067】
このような構成であれば、複数の遮蔽板121cを背面板121bの拡大伝熱面として用いることができる。つまり、本変形例に係る技術によれば、上述の実施形態で得られる効果に加えて、X線検出器12からX線入射側の周囲空気への対流熱伝達を促進させる効果が得られる。なお、本変形例に係る技術は、上述の各々の変形例に係る技術と組み合わせることができる。
【0068】
(第7の変形例)
図9は、本変形例に係るX線検出器12の構成の一例を示す断面図である。
図9は、
図2のIV-IV断面の別の一例を示す断面図であるとも表現できる。
図9に示すように、本変形例に係る背面板121b、基板123b及び複数の遮蔽板121cは、スライス方向DSにおいて、センサ123aと比べて長い。なお、複数の遮蔽板121cが格子状に配置されている場合には、基板123b及び複数の遮蔽板121cは、さらにチャネル方向DCにおいて、センサ123aと比べて長い。
【0069】
このような構成であれば、背面板121bの拡大伝熱面としての複数の遮蔽板121cの除熱に対する寄与を向上させることができる。つまり、本変形例に係る技術によれば、上述の第6の変形例で得られる効果を向上させることができる。
【0070】
(第8の変形例)
図10は、本変形例に係るX線検出器12の構成の一例を示す断面図である。
図10は、
図2のIV-IV断面の別の一例を示す断面図であるとも表現できる。
図11は、
図10のXI-XI断面を示す断面図である。なお、
図10及び
図11に示す例では、説明の簡単のために、隣接する複数のX線検出器モジュール123のセンサ123aの表面が同一面上にあるように示されている。センサ123aの表面は、センサ123aのX線入射側の面である。
【0071】
図10及び
図11に示すように、本変形例に係るX線検出器12には、背面板121bが設けられていない。このため、例えば本変形例に係る基板123bには、複数の第2溝部123dが設けられている。基板123bの複数の第2溝部123dは、上述の実施形態に係る背面板121bに設けられた複数の第1溝部121dと同様にして、複数の遮蔽板121cの各々を支持する。基板123bの複数の第2溝部123dは、基板123bの表面のうち、キャビティ123cが設けられていない領域に設けられている。本変形例に係るX線検出器12において、複数の遮蔽板121cの各々は、センサ123aの表面と熱交換可能に接触している。センサ123aの表面は、センサ123aのX線入射面側の面である。センサ123aの表面は、例えばシンチレータアレイのX線入射面側の面である。
【0072】
なお、複数の遮蔽板121cの各々は、基板123bと熱交換可能に接触していてもよい。この構成であれば、基板123bを介して、センサ123aから複数の遮蔽板121cへ伝導伝熱により熱を輸送できる。
【0073】
このように、本変形例に係るX線検出器12において、センサ123aから基板123b又は複数の遮蔽板121cへ伝導伝熱により熱が輸送される。基板123b又は複数の遮蔽板121cへ輸送された熱は、対流熱伝達又はふく射伝熱により、周囲空気等へ輸送される。つまり、本変形例に係る技術によれば、上述の実施形態で得られる効果に加えて、基板123b又は複数の遮蔽板121cを熱拡散板及び放熱板として作用させることにより、冷却効率を向上させることができるという効果が得られる。なお、本変形例に係る基板123bは、一体に形成された実施形態に係る背面板121b及び基板123bであるとも表現できる。つまり、本変形例に係る技術によれば、部品点数を低減できるため、低コスト化、装置の小型化、装置内部のレイアウトの自由度の向上といった効果がさらに得られる。
【0074】
(第9の変形例)
図12は、本変形例に係るX線検出器12の構成の一例を示す断面図である。
図12は、
図2のIV-IV断面の別の一例を示す断面図であるとも表現できる。
図13は、
図12のXIII-XIII断面を示す断面図である。なお、
図12及び
図13に示す例では、説明の簡単のために、隣接する複数のX線検出器モジュール123のセンサ123aの表面が同一面上にあるように示されている。センサ123aの表面は、センサ123aのX線入射側の面である。以下の説明は、第8の変形例との相違点について主に説明する。
【0075】
図12及び
図13に示すように、本変形例に係るX線検出器12は、第8の変形例に係るX線検出器12に対して、センサ123aに複数の第3溝部123aaが設けられている点が異なる。複数の第3溝部123aaは、センサ123aの表面に設けられている。センサ123aの複数の第3溝部123aaは、上述の実施形態に係る背面板121bに設けられた複数の第1溝部121dと同様にして、複数の遮蔽板121cの各々を支持する。センサ123aの複数の第3溝部123aaにおいて、複数の遮蔽板121cの各々は、センサ123aと熱交換可能に接触している。
【0076】
なお、本変形例に係る基板123bには、複数の第2溝部123dが設けられていなくてもよい。このとき、基板123bと複数の遮蔽板121cとは、熱交換可能に接触していてもよいし、接触していなくてもよい。
【0077】
このように、本変形例に係るX線検出器12において、センサ123aから複数の遮蔽板121cへの伝導伝熱による熱輸送は、センサ123aの表面に設けられた複数の第3溝部123aaを介して行われる。つまり、センサ123aと複数の遮蔽板121cとの間の伝導伝熱に寄与する接触面積は、第8の変形例に係るX線検出器12における接触面積より大きい。つまり、本変形例に係る技術によれば、上述の第8の変形例に係る技術と同様の効果に加えて、冷却効率をさらに向上させることができるという効果が得られる。
【0078】
(第10の変形例)
図14は、本変形例に係るX線検出器12の構成の一例を示す断面図である。
図14は、
図2のIV-IV断面の別の一例を示す断面図であるとも表現できる。
図15は、
図14のXV-XV断面を示す断面図である。なお、
図14及び
図15に示す例では、説明の簡単のために、隣接する複数のX線検出器モジュール123のセンサ123aの表面が同一面上にあるように示されている。センサ123aの表面は、センサ123aのX線入射側の面である。以下の説明は、第8の変形例との相違点について主に説明する。
【0079】
図14及び
図15に示すように、本変形例に係るX線検出器12は、第8の変形例に係るX線検出器12の構成に加えて、背面側放熱部127をさらに有する。背面側放熱部127は、基板123bの裏面と熱交換可能に接触している。背面側放熱部127は、対流熱伝達又はふく射伝熱により、X線検出器12の外部と熱交換可能に構成されている。背面側放熱部127は、例えばヒートシンクである。背面側放熱部127は、ファン、ペルチェ素子又はヒートパイプ等をさらに備えていてもよい。また、本変形例に係るX線検出器12において、複数の遮蔽板121cのうち任意の遮蔽板121caと、背面側放熱部127とは、熱交換可能に接触している。任意の遮蔽板121caは、例えばチャネル方向DCにおいて、隣接する複数のX線検出器モジュール123の間に位置する。任意の遮蔽板121caは、センサ123aの表面から背面側放熱部127にまで延びている。なお、任意の遮蔽板121caは、
図15に示すように、センサ123aの表面から背面側放熱部127にまで延びている領域において、センサ123a及び基板123bとさらに熱交換可能に接触していてもよい。
【0080】
このように、本変形例に係るX線検出器12において、熱は、任意の遮蔽板121caを介して、センサ123aから背面側放熱部127へさらに伝導伝熱により輸送される。つまり、本変形例に係る技術によれば、上述の第8の変形例に係る技術と同様の効果に加えて、冷却効率をさらに向上させることができるという効果が得られる。なお、本変形例では、第8の変形例との相違点について主に説明したが、本変形例に係る技術は、上述の各々の変形例に係る技術と組み合わせることができる。
【0081】
(第11の変形例)
本変形例に係る背面板121bは、スライス方向DSにおいて、筐体121aより長い。背面板121bのスライス方向DSの端部は、筐体121aのスライス方向DSの端部より外側にある。また、背面板121bのスライス方向DSの端部は、基板123bのスライス方向DSの端部より外側にある。このように、本変形例に係る背面板121bは、グリッド121の筐体121aを内部から外部に向けて貫通し、筐体121aから突出している。回転フレーム13が回転軸回りに回転することにより、突出した背面板121bの端部が空冷され、突出した背面板121bの端部とX線検出器12の外部との間で強制対流熱伝達による熱交換が実現する。
【0082】
なお、背面板121bのスライス方向DSにおける端部のうち、少なくとも一方の端部がグリッド121の筐体から突出していればよい。
【0083】
なお、複数のX線検出器モジュール123のうち、任意のX線検出器モジュールに対応する位置において、背面板121bの端部がスライス方向DSに突出していればよい。
【0084】
なお、背面板121bに加えて、基板123bがさらにグリッド121の筐体から突出するように構成されていてもよい。
【0085】
このように、本変形例に係る背面板121bの端部は、X線検出器12の外部とさらに熱交換可能な放熱板である。つまり、本変形例に係る技術によれば、上述の実施形態で得られる効果に加えて、X線入射側から外部への排熱をさらに促進させる効果がある。
【0086】
なお、任意のX線検出器モジュールは、チャネル方向DCにおいて、一定の間隔で配置されていてもよいし、中央部に密となるように配置されていてもよい。X線検出器12のチャネル方向DCの中央部は、チャネル方向DCの端部と比較して除熱が困難である。このような中、任意のX線検出器モジュールがチャネル方向DCの中央部に密に配置されれば、X線検出器12の内部温度のバラつきを低減できるという効果がさらに得られる。このとき、任意のX線検出器モジュールの配置は、X線検出器12の内部の温度分布に応じて決定され得る。
【0087】
なお、本変形例に係る技術は、上述の各々の変形例に係る技術と組み合わせることができる。ただし、本変形例に係る技術と、第8の変形例、第9の変形例又は第10の変形例に係る技術とを組み合わせるときには、任意のX線検出器モジュールにおいて、基板123bがグリッド121の筐体から突出していればよい。このとき、第8の変形例、第9の変形例又は第10の変形例に係る基板123bは、一体に形成された本変形例に係る背面板121b及び基板123bであると表現されてもよい。
【0088】
(第12の変形例)
図16は、本変形例に係るグリッド121の構成の一例を示す模式図である。
図17は、本変形例に係るX線検出器12の構成の一例を示す断面図である。
図17は、
図2のIV-IV断面の別の一例を示す断面図であるとも表現できる。以下の説明は、第11の変形例との相違点について主に説明する。
【0089】
図16及び
図17に示すように、本変形例に係るX線検出器12は、放熱部53をさらに有する。放熱部53は、グリッド121の筐体から突出した背面板121bのスライス方向DSの端部に設けられている。放熱部53は、背面板121bのスライス方向DSの端部のうち少なくとも一方の端部に設けられていればよい。放熱部53は、背面板121bと熱交換可能に構成されている。放熱部53は、対流熱伝達又はふく射伝熱により、X線検出器12の外部と熱交換可能に構成されている。放熱部53は、例えばヒートシンクである。放熱部53は、ファン、ペルチェ素子又はヒートパイプであってもよいし、ヒートシンク、ファン、ペルチェ素子又はヒートパイプのうち少なくとも2つの組み合わせであってもよい。なお、ヒートパイプは、例えば背面板121bの内部に配置される。ヒートパイプは、背面板121bと基板123bとの接触面と、グリッド121から突出した背面板121bの端部との間で熱交換を行う。
【0090】
このように、本変形例に係る背面板121bの端部に設けられた放熱部53は、X線検出器12の外部とさらに熱交換を行う。つまり、本変形例に係る技術によれば、第11の変形例で得られる効果に加えて、X線検出器12の外部への放熱をさらに促進する効果がある。
【0091】
(第13の変形例)
以下、第12の変形例との相違点について主に説明する。
【0092】
図18は、本変形例に係る温度制御システムの構成の一例を示すブロック図である。
図18に示すように本変形例に係るX線検出器12は、温度制御システムを有する。温度制御システムは、複数の温度センサ51、温度制御回路52及び複数の放熱部53を含む。温度センサ51は、温度計測部の一例である。温度制御回路52は、温度計測部及び温度制御部の一例である。
【0093】
複数の温度センサ51は、複数のX線検出器モジュール123のうち、任意のX線検出器モジュールに設けられている。複数の温度センサ51の各々は、例えば熱電対又はサーミスタである。温度センサ51は、例えばセンサ123aの裏面の温度を計測するように構成されている。複数の温度センサ51は、温度制御回路52に接続されている。複数の温度センサ51は、計測した値を温度制御回路52へ出力する。複数の温度センサ51は、複数の放熱部53と同一のX線検出器モジュールに設けられていてもよいし、異なるX線検出器モジュールに設けられていてもよい。また、複数の温度センサ51の数は、複数の放熱部53の数と異なっていてもよい。
【0094】
本変形例に係るX線検出器12において、複数の放熱部53と、X線検出器12の外部との間の伝熱量、すなわち複数の放熱部53による放熱量は調節可能である。複数の放熱部53は、例えば、少なくともファン又はペルチェ素子を有するとする。ここでは、
図16に示すように、複数の放熱部53として、第1放熱部53a、第2放熱部53b、第3放熱部53c、第4放熱部53d、第5放熱部53e及び第6放熱部53fが配置されている場合を例として説明する。複数の放熱部53は、チャネル方向DCに生じ得る温度分布に従って、グリッド121の中央部に密となるように配置されているとする。このとき、第1放熱部53a、第2放熱部53b、第3放熱部53c、第4放熱部53d、第5放熱部53e及び第6放熱部53fの各々が設けられた任意のX線検出器モジュールには、それぞれ、第1温度センサ51a、第2温度センサ51b、第3温度センサ51c、第4温度センサ(図示しない)、第5温度センサ(図示しない)及び第6温度センサ(図示しない)が設けられているとする。
【0095】
温度制御回路52は、複数の放熱部53に接続されている。温度制御回路52は、複数の温度センサ51の出力に基づいて、複数の放熱部53の動作を制御する。温度制御回路52は、温度計測回路(図示しない)及び放熱制御回路(図示しない)を有する。温度計測回路は、温度計測部の一例である。温度計測回路は、複数の温度センサ51の出力に基づいて、各センサ123aの温度を計測する。放熱制御回路は、温度計測回路の出力に基づいて、計測された温度に応じて複数の放熱部53へ出力する制御信号を生成する。
【0096】
放熱制御回路は、生成した制御信号を、複数の放熱部53の各々へ出力する。複数の放熱部53の各々は、供給された制御信号に応じた放熱量で駆動する。例えば、放熱制御回路は、各温度センサ51により計測される温度が略均一になるように、各温度センサ51の出力に基づき各放熱部53の放熱量を決定し、決定された放熱量に応じた制御信号を出力する。これにより、X線検出器12内の温度を空間的に略均一にすることができる。
【0097】
なお、温度制御回路52は、例えば、FPGAにより実現される。温度制御回路52は、ASIC、他のCPLD、SPLDにより実現されてもよい。温度制御回路52は、CPU、MPU等のプロセッサと、ROM、RAM等のメモリとにより実現されてもよい。また、温度制御回路52は、制御装置15に設けられていてもよい。温度制御回路52は、単一の処理回路で実現される場合に限らない。複数の独立した処理回路を組み合わせて処理回路を構成してもよい。例えば、温度制御回路52において、温度計測回路と放熱制御回路とは、それぞれ独立した処理回路であってもよいし、単一の処理回路で実現されていてもよい。
【0098】
なお、複数の放熱部53は、
図16に示すようにチャネル方向DCにおいて中央部に密である場合に限らない。複数の放熱部53は、例えば、チャネル方向DCにおいて等間隔に配置されていてもよい。
【0099】
なお、複数の放熱部53又は複数の温度センサ51は、6つに限らず、5つ以下又は6つ以上の複数であってもよい。また、温度センサ51は、複数のX線検出器モジュール123のうち1つのX線検出器モジュールに設けられていてもよい。つまり、温度センサ51は、1点の温度を計測するセンサであってもよい。この場合、例えば、測定点における温度毎のX線検出器12の内部の温度分布が予めメモリ等に記録されていればよい。当該温度分布は、予め複数の放熱部53を動作させない状態で取得されたり、予め数値解析によって算出されたりすればよい。複数の放熱部53の各々へ出力される制御信号は、それぞれ温度センサ51の出力及び当該温度分布に応じて決定されればよい。
【0100】
なお、本変形例では、複数の放熱部53による放熱量が調節可能である場合を例として説明したが、複数の放熱部53による放熱量が一定であって、制御信号が複数の放熱部53のオンオフを制御する信号であってもよい。この場合、複数の放熱部53は、例えば、予め取得されたX線検出器12の内部の温度分布に応じて配置されていてもよい。
【0101】
このように、本変形例に係る温度制御システムは、X線検出器12の内部温度を計測し、計測した温度に応じて、複数の放熱部53を動作させる。つまり、本変形例に係る技術によれば、上述の効果に加えて、適切な温度制御が実現できるという効果がさらに得られる。適切な温度制御は、冷却に限らず、X線検出器12の内部温度のバラつきの低減に寄与する。
【0102】
なお、複数の放熱部53の動作をオンとしたりオフとしたりする切り替えは、上述のような制御回路に限らず、所定の温度で動作する機械的なスイッチによって実現されてもよい。機械的なスイッチは、温度計測部及び温度制御部の一例である。つまり、温度センサ51及び温度制御回路52に代えて、機械的なスイッチが用いられてもよい。機械的なスイッチは、例えば形状記憶合金の温度変化に伴う変形により動作する。このような構成であっても、上述と同様の効果が得られる。
【0103】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、効率良く放熱することができる。
【0104】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(Programmable Logic Device:PLD)等の回路を意味する。PLDは、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)を含む。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。また、プログラムを実行するのではなく、論理回路の組合せにより当該プログラムに対応する機能を実現してもよい。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、
図1及び
図18における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0105】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0106】
1…X線コンピュータ断層撮影装置
10…架台
11…X線管
12…X線検出器
13…回転フレーム
14…X線高電圧装置
15…制御装置
16…ウェッジ
17…コリメータ
19…開口部
30…寝台
31…基台
32…支持フレーム
33…天板
34…寝台駆動装置
40…コンソール
41…メモリ
42…ディスプレイ
43…入力インターフェース
44…処理回路
51…温度センサ(温度計測部)
52…温度制御回路(温度計測部、温度制御部)
53…放熱部
53a…第1放熱部
53b…第2放熱部
53c…第3放熱部
53d…第4放熱部
53e…第5放熱部
53f…第6放熱部
121…グリッド
121a…筐体
121aa…第1側板
121ab…第2側板
121ac…第3側板
121ad…第4側板
121ae…正面板
121b…背面板(支持部材)
121ba…接平面
121bb…第1曲面
121c…複数の遮蔽板
121ca…任意の遮蔽板
121d…第1溝部
123…複数のX線検出器モジュール
123a…センサ(光センサ)
123aa…第3溝部
123b…基板
123ba…領域
123bb…第2曲面
123c…キャビティ
123d…第2溝部
125…熱伝導部材
127…背面側放熱部
441…システム制御機能
442…前処理機能
443…再構成処理機能
444…画像処理機能
445…表示制御機能