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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】管状体の接続構造
(51)【国際特許分類】
   F16L 21/02 20060101AFI20220914BHJP
   F16L 21/00 20060101ALI20220914BHJP
   F16L 37/088 20060101ALI20220914BHJP
   F16L 37/14 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
F16L21/02 A
F16L21/00 D
F16L37/088
F16L37/14
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018135272
(22)【出願日】2018-07-18
(65)【公開番号】P2020012514
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】390026538
【氏名又は名称】ダイキョーニシカワ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】幸 淳史
(72)【発明者】
【氏名】福島 英明
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 皓太
【審査官】▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-181266(JP,A)
【文献】特開2017-198338(JP,A)
【文献】実開昭59-094683(JP,U)
【文献】特表2015-521260(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 17/02
F16L 21/00,21/02
F16L 27/12
F16L 37/088,37/10-37/113,37/14
F16B 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1管状体(10)と第2管状体(20)とを接続する接続管状体(30)と、第1シール材(41)とを備え、
前記接続管状体(30)の一側に設けられた第1受口筒部(31)に、前記第1管状体(10)に設けられた挿入筒部(14)を挿入し、該挿入筒部(14)の外周面と前記第1受口筒部(31)の内周面との間に前記第1シール材(41)を介在させるように構成された管状体の接続構造において、
前記接続管状体(30)の内周面の中心線方向中間部には、径方向に突出する中間突出部(33)が形成され、
前記第1受口筒部(31)は、前記接続管状体(30)の中心線方向中央部から一端部側へ向けて同一内径で延びる第1直管部(31a)と、前記接続管状体(30)の一端部に位置する第1大径部(31b)と、前記第1直管部(31a)の中心線方向一端部から前記第1大径部(31b)まで該第1大径部(31b)に近づくほど大径となるように形成された第1傾斜部(31c)とを備え、
前記挿入筒部(14)の外周面には、前記第1直管部(31a)の内周面と対向する部分に、前記第1シール材(41)が嵌入するシール材保持溝(14c)を形成する第1環状突出部(14a、14b)が前記挿入筒部(14)の径方向外方へ向けて突出するとともに前記挿入筒部(14)の周方向に連続して形成され、
前記挿入筒部(14)の外周面における前記第1環状突出部(14a、14b)よりも前記挿入筒部(14)の基端側には、前記第1大径部(31b)の内周面と対向する部分に、第2環状突出部(14d)が前記挿入筒部(14)の径方向外方へ向けて突出するとともに前記挿入筒部(14)の周方向に連続して形成され、前記第1環状突出部(14a、14b)の突出高さは、前記第2環状突出部(14d)の突出高さよりも低く設定され、
前記第1環状突出部(14a、14b)の突出方向先端部と前記第1直管部(31a)の内周面との間、及び前記第2環状突出部(14d)の突出方向先端部と前記第1大径部(31b)の内周面との間には、それぞれ一側第1隙間(S1)及び一側第2隙間(S2)が形成され、前記一側第2隙間(S2)は、前記一側第1隙間(S1)よりも大きく形成され、
前記接続管状体(30)の前記中間突出部(33)と、前記挿入筒部(14)の先端部との間には、一側第3隙間(S3)が形成されていることを特徴とする管状体の接続構造。
【請求項2】
請求項1に記載の管状体の接続構造において、
前記接続管状体(30)の他側には、前記第2管状体(20)に設けられた挿入筒部(24)が挿入される第2受口筒部(32)が設けられ、前記第2管状体(20)の前記挿入筒部(24)の外周面と前記第2受口筒部(32)の内周面との間に第2シール材(42)が介在するように設けられ、
前記第2管状体(20)の前記挿入筒部(24)の外周面には、前記第2受口筒部(32)の内周面と対向する部分に、前記第2シール材(42)が嵌入するシール材保持溝(24c)を形成する第1環状突出部(24a、24b)が前記第2管状体(20)の前記挿入筒部(24)の径方向外方へ向けて突出するとともに前記第2管状体(20)の前記挿入筒部(24)の周方向に連続して形成され、
前記第2管状体(20)の前記挿入筒部(24)の外周面における前記第1環状突出部(24a、24b)よりも前記挿入筒部(24)の基端側には、前記第2受口筒部(32)の内周面と対向する部分に、第2環状突出部(24d)が前記第2管状体(20)の前記挿入筒部(24)の径方向外方へ向けて突出するとともに前記第2管状体(20)の前記挿入筒部(24)の周方向に連続して形成され、
前記第2管状体(20)の前記第1環状突出部(24a、24b)の突出方向先端部と前記第2受口筒部(32)の内周面との間、及び前記第2管状体(20)の前記第2環状突出部(24d)の突出方向先端部と前記第2受口筒部(32)の内周面との間には、それぞれ他側第1隙間(S5)及び他側第2隙間(S6)が形成され、
前記接続管状体(30)の前記中間突出部(33)と、前記第2管状体(20)の前記挿入筒部(24)の先端部との間には、他側第3隙間(S7)が形成されていることを特徴とする管状体の接続構造。
【請求項3】
請求項2に記載の管状体の接続構造において、
前記他側第2隙間(S6)は、前記他側第1隙間(S5)よりも大きいことを特徴とする管状体の接続構造。
【請求項4】
請求項1からのいずれか1つに記載の管状体の接続構造において、
前記第1管状体(10)の挿入筒部(14)が前記接続管状体(30)の前記第1受口筒部(31)から抜けるのを阻止するストッパリング(43)を備え、
前記第1受口筒部(31)には、前記第1管状体(10)の前記第1環状突出部(14b)と前記第1管状体(10)の前記第2環状突出部(14d)との間に向けて開口するスリット(31f)が該第1受口筒部(31)の周方向に延びるように形成され、
前記ストッパリング(43)は、前記第1受口筒部(31)の外側に嵌まるように形成されるとともに、前記スリット(31f)から前記第1管状体(10)の前記第1環状突出部(14a、14b)と前記第1管状体(10)の前記第2環状突出部(14dとの間へ突出する突出部(43c)を有していることを特徴とする管状体の接続構造。
【請求項5】
請求項に記載の管状体の接続構造において、
前記ストッパリング(43)は、弾性を有する線材を屈曲成形してなるものであり、
前記スリット(31f)の長手方向両端部には、前記第1受口筒部(31)の中心線方向に長い開口部(31k)が連続して形成されていることを特徴とする管状体の接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、パイプ等の管状体の接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、パイプとパイプとを接続する場合や、パイプと各種機器等を接続する場合には、接続部分の気密性や液密性を確保した状態で接続する構造が適用されることがある。例えば、特許文献1には、第1リブパイプと第2リブパイプとを、シールリングを介在させた状態で接続するリブパイプ接続構造が開示されている。第1リブパイプには受口が形成され、第2リブパイプには受口に挿入される差口が形成されている。差口の外周面には、シールリングが嵌着される一対のシールリング嵌着用リブが環状に形成されている。第2リブパイプの差口を第1リブパイプの受口に挿入することにより、シールリングが差口の外周面と、受口の内周面とに密着してシール性を確保することができるようになっている。
【0003】
また、第2リブパイプの差口には、シールリング嵌着用リブよりも差口の先端部に先端側リブが環状に形成され、また、シールリング嵌着用リブよりも差口の基端部に基端側リブが環状に形成されている。先端側リブ及び基端側リブの外径は、受口の内径よりも小さく形成されている。これにより、先端側リブ及び基端側リブと、受口の内周面との間に隙間が形成され、接続部分に曲げ力が加わった場合に接続部の損傷を抑制するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3959233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1において、例えば、第1リブパイプが、第2リブパイプの中心線に対して傾くような位置ずれを起こすことがある。多少の位置ずれであれば、先端側リブ及び基端側リブの外径を、受口の内径よりも小さくしていることによって許容することができるが、位置ずれが大きくなると、先端側リブ及び基端側リブが同径であることから、これら2つのリブが受口の内周面に当たり、傾き方向の位置ずれを許容することができなくなるおそれがある。
【0006】
特に、パイプに対して接続相手側となる別のパイプや機器の位置ずれが大きくなりがちな構造の場合、特許文献1の構造では許容できないことがある。このような場合、接続相手側となる別のパイプや機器の位置調整を行う等、作業が煩雑になるという問題がある。
【0007】
また、同様な理由から、パイプの中心線方向の位置ずれを許容する必要もある。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、管状体同士の位置ずれが大きくてもシール性を確保した状態で接続することができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、第1の発明は、第1管状体と第2管状体とを接続する接続管状体と、第1シール材とを備え、前記接続管状体の一側に設けられた第1受口筒部に、前記第1管状体に設けられた挿入筒部を挿入し、該挿入筒部の外周面と前記第1受口筒部の内周面との間に前記第1シール材を介在させるように構成された管状体の接続構造において、前記接続管状体の内周面の中心線方向中間部には、径方向に突出する中間突出部が形成され、前記第1受口筒部は、前記接続管状体の中心線方向中央部から一端部側へ向けて同一内径で延びる第1直管部と、前記接続管状体の一端部に位置する第1大径部と、前記第1直管部の中心線方向一端部から前記第1大径部まで該第1大径部に近づくほど大径となるように形成された第1傾斜部とを備え、前記挿入筒部の外周面には、前記第1直管部の内周面と対向する部分に、前記第1シール材が嵌入するシール材保持溝を形成する第1環状突出部が前記挿入筒部の径方向外方へ向けて突出するとともに前記挿入筒部の周方向に連続して形成され、前記挿入筒部の外周面における前記第1環状突出部よりも前記挿入筒部の基端側には、前記第1大径部の内周面と対向する部分に、第2環状突出部が前記挿入筒部の径方向外方へ向けて突出するとともに前記挿入筒部の周方向に連続して形成され、前記第1環状突出部の突出高さは、前記第2環状突出部の突出高さよりも低く設定され、前記第1環状突出部の突出方向先端部と前記第1直管部の内周面との間、及び前記第2環状突出部の突出方向先端部と前記第1大径部の内周面との間には、それぞれ一側第1隙間及び一側第2隙間が形成され、前記一側第2隙間は、前記一側第1隙間よりも大きく形成され、前記接続管状体の前記中間突出部と、前記挿入筒部の先端部との間には、一側第3隙間が形成されていることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、第1シール材が、第1管状体の挿入筒部の第1環状突出部により形成されたシール材保持溝に保持されることになり、この状態で、第1管状体の挿入筒部を接続管状体の第1受口筒部に挿入すると、第1シール材が接続管状体の第1受口筒部の内周面と、第1管状体の挿入筒部の外周面との間に介在して、接続管状体の第1受口筒部と第1管状体の挿入筒部との間がシールされる。この状態では、第1環状突出部の突出方向先端部と第1受口筒部の内周面との間、及び第2環状突出部の突出方向先端部と第1受口筒部の内周面との間に、それぞれ、一側第1隙間及び一側第2隙間が形成されることになる。これにより、例えば、第1管状体が接続管状体に対して傾く方向に位置ずれした場合、これら隙間の存在により、位置ずれが吸収される。また、接続管状体の中間突出部と、挿入筒部の先端部との間には、一側第3隙間が形成されているので、接続管状体と第1管状体の中心線方向の位置ずれも許容される。
【0011】
また、例えば、第1管状体が接続管状体に対して傾く方向に位置ずれした場合にその位置ずれが大きくなることがある。第1管状体が接続管状体に対して傾く方向の位置ずれが大きくなった場合、本発明では、第1環状突出部が、第1受口筒部の内周面に当接したとしても、第2環状突出部と第1受口筒部の内周面との間にはまだ隙間があるので、第1環状突出部近傍を中心として傾動するように、第1管状体と接続管状体との相対変位が許容される。
【0012】
第2の発明は、前記接続管状体の他側には、前記第2管状体に設けられた挿入筒部が挿入される第2受口筒部が設けられ、前記第2管状体の前記挿入筒部の外周面と前記第2受口筒部の内周面との間に第2シール材が介在するように設けられ、前記第2管状体の前記挿入筒部の外周面には、前記第2受口筒部の内周面と対向する部分に、前記第2シール材が嵌入するシール材保持溝を形成する第1環状突出部が前記第2管状体の前記挿入筒部の径方向外方へ向けて突出するとともに前記第2管状体の前記挿入筒部の周方向に連続して形成され、前記第2管状体の前記挿入筒部の外周面における前記第1環状突出部よりも前記挿入筒部の基端側には、前記第2受口筒部の内周面と対向する部分に、第2環状突出部が前記第2管状体の前記挿入筒部の径方向外方へ向けて突出するとともに前記第2管状体の前記挿入筒部の周方向に連続して形成され、前記第2管状体の前記第1環状突出部の突出方向先端部と前記第2受口筒部の内周面との間、及び前記第2管状体の前記第2環状突出部の突出方向先端部と前記第2受口筒部の内周面との間には、それぞれ他側第1隙間及び他側第2隙間が形成され、前記接続管状体の前記中間突出部と、前記第2管状体の前記挿入筒部の先端部との間には、他側第3隙間が形成されていることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、第2シール材が、第2管状体の挿入筒部の第1環状突出部により形成されたシール材保持溝に保持されることになり、この状態で、第2管状体の挿入筒部を接続管状体の第2受口筒部に挿入すると、第2シール材が接続管状体の第2受口筒部の内周面と、第2管状体の挿入筒部の外周面との間に介在して、接続管状体の第2受口筒部と第2管状体の挿入筒部との間がシールされる。この状態では、第2管状体の第1環状突出部の突出方向先端部と第2受口筒部の内周面との間、及び第2管状体の第2環状突出部の突出方向先端部と第2受口筒部の内周面との間に、それぞれ、他側第1隙間及び他側第2隙間が形成されることになる。これにより、例えば、第2管状体が接続管状体に対して傾く方向に位置ずれした場合、これら隙間の存在により、位置ずれが吸収される。また、接続管状体の中間突出部と、第2管状体の挿入筒部の先端部との間には、他側第3隙間が形成されているので、接続管状体と第2管状体の中心線方向の位置ずれも許容される
【0014】
の発明は、前記他側第2隙間は、前記他側第1隙間よりも大きいことを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、第の発明と同様に、第2管状体と接続管状体との相対変位が許容される。
【0016】
の発明は、前記第1管状体の挿入筒部が前記接続管状体の前記第1受口筒部から抜けるのを阻止するストッパリングを備え、前記第1受口筒部には、前記第1管状体の前記第1環状突出部と前記第1管状体の前記第2環状突出部との間に向けて開口するスリットが該第1受口筒部の周方向に延びるように形成され、前記ストッパリングは、前記第1受口筒部の外側に嵌まるように形成されるとともに、前記スリットから前記第1管状体の前記第1環状突出部と前記第1管状体の前記第2環状突出部との間へ突出する突出部を有していることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、第1管状体の挿入筒部を接続管状体の第1受口筒部に挿入した状態でストッパリングを第1受口筒部の外側に嵌めると、ストッパリングの突出部がスリットから突出して第1管状体の第1環状突出部と第2環状突出部との間に位置することになる。これにより、第1管状体の挿入筒部が接続管状体の第1受口筒部から抜き方向に移動しようとした際、ストッパリングの突出部が第1環状突出部に係合するので、第1管状体の挿入筒部が接続管状体の第1受口筒部から抜けるのが阻止される。
【0018】
の発明は、前記ストッパリングは、弾性を有する線材を屈曲成形してなるものであり、前記スリットの長手方向両端部には、前記第1受口筒部の中心線方向に長い開口部が連続して形成されていることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、ストッパリングの一部を開口部内に位置させることにより、ストッパリングと第1管状体との中心線方向の相対的な移動が許容される。
【発明の効果】
【0020】
第1の発明によれば、第1管状体の第1環状突出部の突出方向先端部と接続管状体の第1受口筒部の内周面との間、及び第1管状体の第2環状突出部の突出方向先端部と接続管状体の第1受口筒部の内周面との間に、それぞれ、一側第1隙間及び一側第2隙間を形成したので、第1管状体が接続管状体に対して傾く方向の位置ずれを吸収できる。また、接続管状体の中間突出部と、挿入筒部の先端部との間に一側第3隙間を形成したので、接続管状体と第1管状体の中心線方向の位置ずれも吸収できる。
【0021】
また、第1管状体と接続管状体との傾き方向の相対変位が大きい場合であっても吸収できる。
【0022】
第2の発明によれば、第2管状体が接続管状体に対して傾く方向の位置ずれを吸収できるとともに、接続管状体と第1管状体の中心線方向の位置ずれも吸収できる
【0023】
の発明によれば、第2管状体と接続管状体との傾き方向の相対変位が大きい場合であっても吸収できる。
【0024】
の発明によれば、接続管状体の第1受口筒部にスリットを形成し、第1受口筒部の外側に嵌まるストッパリングに、スリットから第1管状体の第1環状突出部と第2環状突出部との間へ突出する突出部を形成したので、第1管状体の挿入筒部が接続管状体の第1受口筒部から抜けるのを阻止することができる。
【0025】
の発明によれば、中心線方向の位置ずれを許容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施形態1に係る配管の斜視図である。
図2】配管の分解斜視図である。
図3図1におけるIII-III線断面図である。
図4】接続管状体の第1受口筒部近傍の拡大図である。
図5】実施形態2に係る図1相当図である。
図6】実施形態3に係る図4相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0028】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る管状体の接続構造が適用された配管Aを示すものである。配管Aは、特に限定されるものではないが、例えば自動車部品であり、エンジンの吸気系に使用することができる。吸気系の自動車部品としては、例えば、過給器の出口部からインタークーラーまで延びる配管、インタークーラーからスロットルボディ部やインテークマニホールドまで延びる配管を挙げることができる。このような吸気系の自動車部品では、接続部分に気密性及び液密性が要求される。
【0029】
(配管Aの全体構成)
図1に示すように、配管Aは、第1管状体10と、第2管状体20と、接続管状体30とを備えている。図2図3に示すように、配管Aは、その他にも、第1シール材41、第2シール材42、第1ストッパリング43及び第2ストッパリング44も備えている。第1管状体10及び第2管状体20は、接続管状体30に接続されており、第1管状体10、第2管状体20及び接続管状体30は一体化されている。この一体化された状態で車体等に取り付けられる。第1管状体10、第2管状体20及び接続管状体30は樹脂材で構成されている。
【0030】
図3に示すように、第1管状体10と接続管状体30との間には、第1シール材41が設けられている。同様に、第2管状体20と接続管状体30との間には、第2シール材42が設けられている。また、図1等に示すように、第1管状体10は、第1ストッパリング43により接続管状体30に固定され、また、第2管状体20は、第2ストッパリング44により接続管状体30に固定されている。
【0031】
尚、接続管状体30の形状や長さは、任意に設定することができる。接続管状体30は所定長さを有するパイプ等であってもよい。また、第1管状体10及び第2管状体20は、所定長さを有するパイプ等であってもよい。第1管状体10及び第2管状体20の構造は図示した構造に限られるものではなく、例えば他の部材に固定される取付部を備えていてもよい。また、第1管状体10及び第2管状体20は同じ構造であってもよいし、異なる構造であってもよい。第1管状体10及び第2管状体20の長さは相違していてもよい。
【0032】
(第1管状体10の構造)
第1管状体10は、本体管状部11と、フランジ部12と、カラー13と、該本体管状部11から突出するように設けられた挿入筒部14とを有している。フランジ部12は、本体管状部11における挿入筒部14側とは反対側の端部に形成されており、径方向に延出している。フランジ部12に、カラー13が嵌め込まれている。カラー13には、図示しないがボルト等の締結部材が挿通されるようになっている。ボルトは他の部品に対して螺合するようになっており、これにより、フランジ部12が他の部品に固定される。フランジ部12は、本発明の取付部である。尚、本体管状部11は、屈曲していてもよいし、直管状であってもよい。
【0033】
第1管状体10の挿入筒部14の外周面には、後述する接続管状体30の第1受口筒部31の内周面と対向する部分に、先端側環状突出部(第1環状突出部)14a及び中間環状突出部(第1環状突出部)14bが挿入筒部14の径方向外方へ向けて突出するように設けられている。先端側環状突出部14a及び中間環状突出部14bは、挿入筒部14の中心線方向に互いに離れているとともに、挿入筒部14の周方向に連続して形成されている。先端側環状突出部14a及び中間環状突出部14bの間に、第1シール材41が嵌入するシール材保持溝14cが形成されている。第1シール材41としては、例えばゴム等の弾性材からなるOリングを使用することができる。シール材保持溝14cは挿入筒部14の周方向に連続して延びている。シール材保持溝14cの深さ方向の寸法は、第1シール材41の線径よりも短く設定されており、シール材保持溝14cに嵌入した第1シール材41は、シール材保持溝14cから挿入筒部14の径方向に突出するようになっている。先端側環状突出部14aの突出高さと、中間環状突出部14bの突出高さとは略同じに設定されている。
【0034】
第1管状体10の挿入筒部14の外周面における中間環状突出部14bよりも挿入筒部14の基端側には、後述する接続管状体30の第1受口筒部31の内周面と対向する部分に、基端側環状突出部(第2環状突出部)14dが挿入筒部14の径方向外方へ向けて突出するように設けられている。基端側環状突出部14dは、挿入筒部14の周方向に連続して形成されている。基端側環状突出部14dと中間環状突出部14bとは、挿入筒部14の中心線方向に所定距離だけ離れており、基端側環状突出部14dと中間環状突出部14bとの間には、環状溝14eが挿入筒部14の周方向に連続して形成されている。基端側環状突出部14dの突出高さは、中間環状突出部14bの突出高さよりも高く設定されている。
【0035】
(第2管状体20の構造)
第2管状体20は、本体管状部21と、フランジ部22と、カラー23と、該本体管状部21から突出するように設けられた挿入筒部24とを有している。フランジ部22は、本体管状部21における挿入筒部24側とは反対側の端部に形成されており、径方向に延出している。フランジ部22に、カラー23が嵌め込まれている。カラー23には、図示しないがボルト等の締結部材が挿通されるようになっている。ボルトは他の部品に対して螺合するようになっており、これにより、フランジ部22が他の部品に固定される。フランジ部22は、本発明の取付部である。尚、本体管状部21は、屈曲していてもよいし、直管状であってもよい。
【0036】
第2管状体20の挿入筒部24の外周面には、後述する接続管状体30の第2受口筒部32の内周面と対向する部分に、先端側環状突出部(第1環状突出部)24a及び中間環状突出部(第1環状突出部)24bが挿入筒部24の径方向外方へ向けて突出するように設けられている。先端側環状突出部24a及び中間環状突出部24bは、挿入筒部24の中心線方向に互いに離れているとともに、挿入筒部24の周方向に連続して形成されている。先端側環状突出部24a及び中間環状突出部24bの間に、第2シール材42が嵌入するシール材保持溝24cが形成されている。第2シール材42は第1シール材41と同じ部材である。シール材保持溝24cは挿入筒部24の周方向に連続して延びている。シール材保持溝24cの深さ方向の寸法は、第2シール材42の線径よりも短く設定されており、シール材保持溝24cに嵌入した第2シール材42は、シール材保持溝24cから挿入筒部24の径方向に突出するようになっている。先端側環状突出部24aの突出高さと、中間環状突出部24bの突出高さとは略同じに設定されている。
【0037】
第2管状体20の挿入筒部24の外周面における中間環状突出部24bよりも挿入筒部24の基端側には、後述する接続管状体30の第2受口筒部32と対向する部分に、基端側環状突出部(第2環状突出部)24dが挿入筒部24の径方向外方へ向けて突出するように設けられている。基端側環状突出部24dは、挿入筒部24の周方向に連続して形成されている。基端側環状突出部24dと中間環状突出部24bとは、挿入筒部24の中心線方向に所定距離だけ離れており、基端側環状突出部24dと中間環状突出部24bとの間には、環状溝24eが挿入筒部24の周方向に連続して形成されている。基端側環状突出部24dの突出高さは、中間環状突出部24bの突出高さよりも高く設定されている。
【0038】
(接続管状体30の構造)
接続管状体30は、第1管状体10と第2管状体20とを接続するための部材であり、配管Aの長手方向中間部に設けられている。一般的に、管状体を接続するための接続構造は管状体よりも大径化してしまい、配管Aの端部に接続構造を設けると配管Aの端部が大径化する。本実施形態では、配管Aの端部に接続構造を設けないことで、配管Aの端部を小径化することができ、配管Aの端部近傍に他の部品が接近している場合に有利になる。
【0039】
接続管状体30は、該接続管状体30の中心線方向の一側に第1受口筒部31が設けられ、該接続管状体30の中心線方向の他側に第2受口筒部32が設けられた部材である。また、接続管状体30の内周面の中心線方向中間部には、径方向に突出して周方向に連続して延びる中間突出部33が形成されている。中間突出部33は、接続管状体30における第1受口筒部31と第2受口筒部32との境界部分に位置している。尚、中心線方向の一側とは、図3の左側であり、中心線方向の他側とは、図3の右側である。
【0040】
第1受口筒部31は、接続管状体30の中心線方向中央部近傍から該接続管状体30の中心線方向一端部までの領域に設けられている。この第1受口筒部31に、第1管状体10に設けられた挿入筒部14を挿入し、挿入筒部14の外周面と第1受口筒部31の内周面との間に第1シール材41を介在させるように構成されている。第2受口筒部32は、接続管状体30の中心線方向中央部近傍から該接続管状体30の中心線方向他端部までの領域に設けられている。この第2受口筒部32に、第2管状体20に設けられた挿入筒部24を挿入し、挿入筒部24の外周面と第2受口筒部32の内周面との間に第2シール材42を介在させるように構成されている。これにより、接続管状体30と第1管状体10との間、及び接続管状体30と第2管状体20との間をそれぞれシールすることができる。
【0041】
接続管状体30の第1受口筒部31は、第1直管部31aと、第1大径部31bと、第1傾斜部31cとを有している。第1直管部31aは、接続管状体30の中心線方向中央部近傍から一端部側へ向けて略同一内径で延びている部分である。第1直管部31aの内側に、先端側環状突出部14a及び中間環状突出部14bと、シール材保持溝14cとが位置している。従って、シール材保持溝14cに嵌入された第1シール材41は、第1直管部31aの内周面に接触するように配置されることになる。
【0042】
第1直管部31aの外周面には、基端側突出部31dと先端側突出部31eとが径方向に突出するように形成されている。基端側突出部31dと先端側突出部31eとは第1直管部31aの中心線方向に互いに離れており、周方向に連続して延びている。
【0043】
第1大径部31bは、第1受口筒部31の中心線方向一端部に位置しており、第1直管部31aよりも大径の部分である。第1大径部31bの内側に、基端側環状突出部14dが位置している。第1受口筒部31の中心線と、挿入筒部14の中心線とを一致させた状態で、先端側環状突出部14aの突出方向先端部と、第1直管部31aの内周面との間には一側第1隙間S1が形成されている。同様に、中間環状突出部14bの突出方向先端部と、第1直管部31aの内周面との間にも一側第1隙間S1が形成されている。また、第1受口筒部31の中心線と、挿入筒部14の中心線とを一致させた状態で、基端側環状突出部14dの突出方向先端部と、第1大径部31bの内周面との間に、一側第1隙間S1よりも大きな一側第2隙間S2が形成されている。一側第1隙間S1の寸法は、一側第2隙間S2の寸法よりも小さくなっており、例えば約1/2程度に設定することができる。
【0044】
一側第1隙間S1及び一側第2隙間S2の形成により、挿入筒部14が第1受口筒部31に対して径方向に相対的に変位可能になる。また、第1受口筒部31が挿入筒部14に対して傾斜する方向、即ち、第1受口筒部31の中心線と、挿入筒部14の中心線とが傾斜する関係となる方向に、第1受口筒部31または挿入筒部14が変位可能になる。このとき、一側第1隙間S1が一側第2隙間S2よりも狭いので、先端側環状突出部14aや中間環状突出部14bが第1直管部31aの内周面に当たる場合があるが、この状態で、一側第2隙間S2を広く確保していることにより、基端側環状突出部14dと、第1大径部31bとは接触せず、先端側環状突出部14aや中間環状突出部14b近傍を中心として傾動するように、第1管状体10と接続管状体30との相対変位が許容される。よって、第1管状体10と接続管状体30との位置ずれが大きくてもシール性が確保される。
【0045】
第1傾斜部31cは、第1直管部31aの中心線方向一端部から第1大径部31bまで、該第1大径部31bに近づくほど大径となるように形成された部分である。第1傾斜部31cの内側には、環状溝14eが位置している。
【0046】
第1受口筒部31の第1大径部31bには、中間環状突出部14bと基端側環状突出部14dとの間に向けて開口するスリット31fが第1大径部31bの周方向に延びるように形成されている。スリット31fは、例えば2つ以上設けることができ、この実施形態では4つのスリット31fが第1大径部31bの周方向に互いに間隔をあけて設けられている。スリット31fの幅は、環状溝14eの幅よりも狭く設定されている。スリット31fは等間隔に設けるのが好ましい。
【0047】
第1大径部31bの端部には、径方向に延出する延出部31gが形成されている。延出部31gは、第1大径部31bの周方向に延びている。延出部31gには、第1切欠部31hと、第2切欠部31iとが形成されている。
【0048】
第1ストッパリング43は、第1管状体10の挿入筒部12が接続管状体30の第1受口筒部31から抜けるのを阻止するための部材である。第1ストッパリング43は、弾性を有する例えば金属製または樹脂製の線材を屈曲成形してなるものであり、第1大径部31bの外側に嵌まるように形成されている。第1ストッパリング43を構成する線材の両端部には、それぞれ第1係合部43a及び第2係合部43bが形成されている。第1係合部43a及び第2係合部43bは、第1大径部31bの中心線と略平行な方向へ突出するように形成されている。第1係合部43aが第1切欠部31hに入った状態で係合し、第2係合部43bが第2切欠部31iに入った状態で係合している。第1係合部43a及び第2係合部43bを第1切欠部31h及び第2切欠部31iに係合させる際には、第1ストッパリング43を構成する線材を、第1係合部43a及び第2係合部43bが互いに広がる方向に弾性変形させてから、突出部43cを第1大径部31bに形成されたスリット31fに合わせた後、第1ストッパリング43を構成する線材の形状を復元させることで、第1ストッパリング43の突出部43cが第1大径部31bのスリット31fに外側から嵌る。その後、第1係合部43aを第1切欠部31hに入るとともに、第2係合部43bを第2切欠部31iに入れる。これにより、第1ストッパリング43が固定される。
【0049】
図2に示すように、第1ストッパリング43には、径方向内方へ向けて突出する突出部43cが形成されている。突出部43cは、第1ストッパリング43を第1大径部31bの外側に嵌めた状態で、スリット31fから中間環状突出部14bと基端側環状突出部14dとの間へ突出するようになっている。この実施形態では、スリット31fが4つあるので、突出部43cも4つあり、突出部43cの間隔はスリット31fの間隔と一致している。第1ストッパリング43の突出部43cがスリット31fに入った状態で該スリット31fの周縁部に係合し、これにより、第1ストッパリング43が第1大径部31bに対して第1大径部31bの中心線方向に相対的に移動しなくなる。
【0050】
図3に示すように、突出部43cがスリット31fから中間環状突出部14bと基端側環状突出部14dとの間へ突出していると、例えば挿入筒部14が第1受口筒部31から抜ける方向に移動しようとした際、中間環状突出部14bの側面に対して突出部43cが当接し、これにより、挿入筒部14の第1受口筒部31からの抜けが阻止される。
【0051】
図3に示すように、挿入筒部14が第1受口筒部31に挿入された状態では、挿入筒部14の挿入筒部14の先端面と、中間突出部33との間に一側第3隙間S3が形成される。また、第1ストッパリング43の側面と、中間環状突出部14bの側面との間には一側第4隙間S4が形成される。また、環状溝14eの幅が第1ストッパリング43を構成している線材の線径よりも広くなっている。これにより、挿入筒部14は、第1受口筒部31に対して中心線方向両側に相対的に移動可能になる。
【0052】
接続管状体30の第2受口筒部32は、第2直管部32aと、第2大径部32bと、第2傾斜部32cとを有している。第2直管部32aは、接続管状体30の中心線方向中央部近傍から他端部側へ向けて略同一内径で延びている部分である。第2直管部32aの内側に、第2管状体20の挿入筒部24に設けられている先端側環状突出部24a及び中間環状突出部24bと、シール材保持溝24cとが位置している。従って、シール材保持溝24cに嵌入された第2シール材42は、第2直管部32aの内周面に接触するように配置されることになる。
【0053】
第2直管部32aの外周面には、基端側突出部32dと先端側突出部32eとが径方向に突出するように形成されている。基端側突出部32dと先端側突出部32eとは第2直管部32aの中心線方向に互いに離れており、周方向に連続して延びている。
【0054】
第2大径部32bは、第2受口筒部32の中心線方向他端部に位置しており、第2直管部32aよりも大径の部分である。第2大径部32bの内側に、基端側環状突出部24dが位置している。第2受口筒部32の中心線と、挿入筒部24の中心線とを一致させた状態で、先端側環状突出部24aの突出方向先端部と、第2直管部32aの内周面との間には他側第1隙間S5が形成されている。同様に、中間環状突出部24bの突出方向先端部と、第2直管部32aの内周面との間にも他側第1隙間S5が形成されている。また、第2受口筒部32の中心線と、挿入筒部24の中心線とを一致させた状態で、基端側環状突出部24dの突出方向先端部と、第2大径部32bの内周面との間に、他側第1隙間S5よりも大きな他側第1隙間S6が形成されている。他側第1隙間S5及び他側第1隙間S6の寸法の関係は、一側第1隙間S1及び一側第1隙間S2の寸法の関係と同様である。
【0055】
他側第1隙間S5及び他側第2隙間S6の形成により、挿入筒部24が第2受口筒部32に対して径方向に相対的に変位可能になる。また、第2受口筒部32が挿入筒部24に対して傾斜する方向、即ち、第2受口筒部32の中心線と、挿入筒部24の中心線とが傾斜する関係となる方向に、第2受口筒部32または挿入筒部24が変位可能になる。このとき、他側第1隙間S5が他側第2隙間S6よりも狭いので、先端側環状突出部24aや中間環状突出部24bが第2直管部32aの内周面に当たる場合があるが、この状態で、他側第2隙間S6を広く確保していることにより、基端側環状突出部24dと、第2大径部32bとは接触せず、先端側環状突出部24aや中間環状突出部24b近傍を中心として傾動するように、第2管状体20と接続管状体30との相対変位が許容される。よって、第2管状体20と接続管状体30との位置ずれが大きくてもシール性が確保される。
【0056】
第2傾斜部32cは、第2直管部32aの中心線方向他端部から第2大径部32bまで、該第2大径部32bに近づくほど大径となるように形成された部分である。第2傾斜部32cの内側には、環状溝24eが位置している。
【0057】
第2受口筒部32の第2大径部32bには、中間環状突出部24bと基端側環状突出部24dとの間に向けて開口するスリット32fが第2大径部32bの周方向に延びるように形成されている。スリット32fは、例えば2つ以上設けることができ、この実施形態では4つのスリット32fが第2大径部32bの周方向に互いに間隔をあけて設けられている。スリット32fの幅は、環状溝24eの幅よりも狭く設定されている。スリット32fは等間隔に設けるのが好ましい。
【0058】
第2大径部32bの端部には、径方向に延出する延出部32gが形成されている。延出部32gは、第2大径部32bの周方向に延びている。延出部32gには、第1大径部31bと同様に、第1切欠部及び第2切欠部(図示せず)が形成されている。
【0059】
第2ストッパリング44は、第2管状体20の挿入筒部22が接続管状体30の第2受口筒部32から抜けるのを阻止するための部材である。第2ストッパリング44は、第1ストッパリング43と同様に構成され、それぞれ第1係合部44a及び第2係合部44bと、径方向内方へ向けて突出する突出部44cとを有している。
【0060】
図3に示すように、突出部44cがスリット32fから中間環状突出部24bと基端側環状突出部24dとの間へ突出していると、例えば挿入筒部24が第2受口筒部32から抜ける方向に移動しようとした際、中間環状突出部24bの側面に対して突出部42cが当接し、これにより、挿入筒部24の第2受口筒部32からの抜けが阻止される。
【0061】
図3に示すように、挿入筒部24が第2受口筒部32に挿入された状態では、挿入筒部24の先端面と、中間突出部33との間に他側第3隙間S7が形成される。また、第2ストッパリング44の側面と、中間環状突出部24bの側面との間には他側第4隙間S8が形成される。また、環状溝24eの幅が第2ストッパリング44を構成している線材の線径よりも広くなっている。これにより、挿入筒部24は、第2受口筒部32に対して中心線方向両側に相対的に移動可能になる。
【0062】
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、この実施形態に係る管状体の接続構造によれば、第1シール材41が、第1管状体10の挿入筒部14の第1環状突出部14a、14bにより形成されたシール材保持溝14cに保持されることになり、この状態で、第1管状体10の挿入筒部14を接続管状体30の第1受口筒部31に挿入すると、第1シール材41が接続管状体30の第1受口筒部31の内周面と、第1管状体10の挿入筒部14の外周面との間に介在して、接続管状体30の第1受口筒部31と第1管状体10の挿入筒部14との間がシールされる。
【0063】
そして、第1環状突出部14a、14bの突出方向先端部と第1受口筒部31の内周面との間、及び第2環状突出部14dの突出方向先端部と第1受口筒部31の内周面との間に、それぞれ、一側第1隙間S1及び一側第2隙間S2が形成されることになる。これにより、例えば、第1管状体10が接続管状体30に対して傾く方向に位置ずれした場合、これら隙間S1、S2の存在により、位置ずれが吸収される。また、接続管状体30の中間突出部33と、挿入筒部14の先端部との間には、一側第3隙間S3が形成されているとともに、第1ストッパリング43の側面と、中間環状突出部14bの側面との間には一側第4隙間S4が形成されているので、接続管状体30と第1管状体10の中心線方向の位置ずれも許容される。
【0064】
(実施形態2)
図5は、本発明の実施形態2に係る管状体の接続構造が適用された配管Aを示すものである。実施形態2では、第1管状体10及び第2管状体20の形状が実施形態1のものと相違しているだけであり、他の部分は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。
【0065】
実施形態2の第1管状体10には、フランジ部及びカラーが設けられておらず、第1管状体10の先端部を相手側の管状部材に差し込むことによって接続することが可能になっている。第2管状体20にも、フランジ部及びカラーが設けられておらず、第2管状体20の先端部を相手側の管状部材に差し込むことによって接続することが可能になっている。
【0066】
この実施形態2の場合も、実施形態1と同様な作用効果を奏することができる。
【0067】
(実施形態3)
図6は、本発明の実施形態3に係る接続管状体30の第1受口筒部31を示すものである。この実施形態3では、接続管状体30の第1受口筒部31に形成したスリット31fに開口部31kが連続して形成されている点で実施形態1のものと異なっており、他の部分は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
【0068】
実施形態3では、スリット31fの長手方向両端部に、第1受口筒部31の中心線方向に長い開口部31kがそれぞれ連続して形成されている。第1ストッパリング43を構成する線材が各開口部31kに入るように配置されており、従って第1ストッパリング43を構成する線材が各開口部31k内を、該開口部31kの長手方向に相対移動可能になっている。
【0069】
また、実施形態3では、中間環状突出部14bと基端側環状突出部14dとの間隔を実施形態1のものよりも狭くすることができる。具体的には、中間環状突出部14bと基端側環状突出部14dとの間隔を、第1ストッパリング43を構成する線材の径と同程度とすることができる。これにより、第1ストッパリング43が挿入筒部14の中心線方向に相対的に移動しなくなるが、第1ストッパリング43は第1受口筒部31の開口部31k内を該開口部31kの長手方向に相対移動可能になっているので、第1受口筒部31に対して中心線方向へ相対的に移動することができる。従って、この実施形態3の場合も実施形態1と同様な作用効果を奏することができる。
【0070】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0071】
以上説明したように、本発明に係る管状体の接続構造は、例えば、各種自動車部品の接続構造として利用することができる。
【符号の説明】
【0072】
10 第1管状体
14 挿入筒部
14a 先端側環状突出部(第1環状突出部)
14b 中間環状突出部(第1環状突出部)
14c シール材保持溝
14d 基端側環状突出部(第2環状突出部)
14e 環状溝
20 第2管状体
24 挿入筒部
24a 先端側環状突出部(第1環状突出部)
24b 中間環状突出部(第1環状突出部)
24c シール材保持溝
24d 基端側環状突出部(第2環状突出部)
24e 環状溝
30 接続管状体
31 第1受口筒部
31f スリット
31k 開口部
32 第1受口筒部
33 中間突出部
41 第1シール材
42 第2シール材
43 第1ストッパリング
44 第2ストッパリング
A 配管
S1 一側第1隙間
S2 一側第2隙間
S3 一側第3隙間
S4 一側第4隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6