(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】製氷機
(51)【国際特許分類】
F25C 1/10 20060101AFI20220914BHJP
F25C 1/25 20180101ALI20220914BHJP
【FI】
F25C1/10 301A
F25C1/25 305G
(21)【出願番号】P 2018176782
(22)【出願日】2018-09-21
【審査請求日】2021-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】原田 隆司
(72)【発明者】
【氏名】林 勝彦
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】特公昭47-005878(JP,B1)
【文献】特開2013-079798(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0019880(US,A1)
【文献】特開平05-322398(JP,A)
【文献】特開平06-011219(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25C 1/10
F25C 1/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水パイプから供給される水を貯留する貯水用凹部を備える製氷皿と、
前記製氷皿を通過する軸線回りにおいて、前記製氷皿を、前記貯水用凹部が上を向く貯水位置と当該貯水用凹部が下を向く氷離脱位置との間で反転させる駆動部と、
前記製氷皿および前記駆動部を支持するフレームと、を有し、
前記製氷皿は、前記貯水位置から前記氷離脱位置へ向かう第1回転方向への回転開始時に下方に移動する製氷皿部分に外側に突出する水受け部を備え、前記水受け部は前記貯水用凹部に連通し、
前記フレームは、前記水受け部の上方に位置するフレーム部分を備え、
前記フレーム部分は、その上面において前記軸線と交差する方向に延在する水路と、少なくとも一部が前記水路の側面に設けられた通水口と、前記通水口に対して前記水路の上流側であって、且つ、前記側面に沿う位置に設けられた遮水部と、を備え、
前記通水口は、前記製氷皿が前記貯水位置にある状態を上下方向から見たときに前記水受け部と重なる位置に前記水を通過させ、
前記給水パイプからの水は、前記通水口を通過して前記水受け部に注がれて前記貯水用凹部に流入することを特徴とする製氷機。
【請求項2】
前記遮水部は、前記側面から前記水路の内側へ向かって突出する凸部であることを特徴とする請求項1に記載の製氷機。
【請求項3】
前記凸部は、前記通水口の開口縁に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の製氷機。
【請求項4】
前記凸部は、前記通水口が位置する側を向く第1面と、前記通水口が位置する側とは反対側を向く第2面を備え、
前記第1面は、前記通水口の開口縁に接続され前記側面に対して略垂直であり、
前記第2面は、前記側面に対して鈍角をなす傾斜面であることを特徴とする請求項3に記載の製氷機。
【請求項5】
前記水路は、前記通水口に対して前記遮水部とは反対側へ拡がる緩衝領域を備えることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の製氷機。
【請求項6】
前記水路の底面は、前記通水口へ向かうに従って下降する傾斜面を備えることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の製氷機。
【請求項7】
前記フレーム部分は、前記通水口の開口縁から前記水路の外側へ突出するガイド板を備えることを特徴とする請求項1から6のうちの何れか一項に記載の製氷機。
【請求項8】
前記ガイド板は、前記通水口に対して前記遮水部とは反対側に位置することを特徴とする請求項7に記載の製氷機。
【請求項9】
前記ガイド板は、前記通水口に対して前記遮水部とは反対側に位置する第1ガイド板と、前記通水口に対して前記遮水部と同じ側に位置する第2ガイド板と、を備え、
前記第1ガイド板は、前記第2ガイド板より前記開口縁からの突出寸法が大きいことを特徴とする請求項8に記載の製氷機。
【請求項10】
前記通水口は、前記水路の底面に設けられた第1通水口部分と、前記側面に設けられ前記第1通水口部分と繋がる第2通水口部分と、を備え、
前記ガイド板は、前記第2通水口部分の開口縁に沿って上下方向に延びており、且つ、
前記第1通水口部分の開口縁から下方に突出して当該通水口を通過する水を前記水受け部に案内する案内板と繋がっていることを特徴とする請求項7から9のうちの何れか一項に記載の製氷機。
【請求項11】
前記製氷皿は、当該製氷皿を前記貯水位置に配置したときに、前記貯水用凹部の開口を囲んで上方に延びる周壁部と、前記周壁部の周方向の一部分に設けた切欠き部と、を備え、
前記水受け部は、前記製氷皿を前記貯水位置に配置したときに、前記周壁部における前記切欠き部の下側の縁部分から外側に突出して前記フレーム部分と対向する底部と、前記
周壁部の周方向における前記切欠き部の一方側の縁部分および他方側の縁部分からそれぞれ外側に突出して下端が前記底部に連続する一対の側板部と、前記底部の先端部分および前記一対の側板部の先端部分を連続させる端板部と、を備え、
前記製氷皿を前記貯水位置に配置したときに、前記案内板の下端は前記一対の側板部の上端よりも下方に位置することを特徴とする請求項10に記載の製氷機。
【請求項12】
前記駆動部は、前記製氷皿の前記軸線方向の一方側に連結されており、
前記水受け部は、前記製氷皿部分における前記軸線方向の他方側の部分から外側に突出することを特徴とする請求項1から11の何れか一項に記載の製氷機。
【請求項13】
前記製氷皿は、可撓性材料からなり、
前記フレームは、前記製氷皿が前記第1回転方向に回転して前記氷離脱位置に達したときに当該第1回転方向の前方から前記水受け部に当接して当該第1回転方向に駆動されている前記製氷皿の回転を阻止する当接部を備えることを特徴とする請求項12に記載の製氷機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水パイプから供給される水を製氷皿に貯留して製氷する製氷機に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫に搭載される製氷機は特許文献1に記載されている。同文献の製氷機は、貯水用凹部を備える製氷皿と、製氷皿を通過する軸線回りに当該製氷皿を反転させる駆動部と、製氷皿および駆動部を支持するフレームと、を有する。製氷機は、給水パイプから供給される水を貯水用凹部に充填して製氷を行う。また、製氷機は、製氷が完了すると、駆動部によって製氷皿を反転させるとともに、製氷皿の一部分をフレームに当接させて製氷皿を捻る。これにより、氷を製氷皿から離脱させて、下方に配置した貯氷容器へ落下させる。同文献では、給水パイプの給水口は、製氷皿の上方に位置しており、水は製氷皿に直接注がれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
製氷皿を反転(回転)させて氷を製氷皿から離氷させる際に、製氷皿と給水パイプとを干渉させないようにするため、給水パイプの水を直接製氷皿へ供給せずに、製氷皿を支持するフレームに設けた水路を経由して製氷皿へ水を供給する製氷機が提案されている。この種の製氷機は、フレームに水路と連通する通水口を設けて、水路を流れる水を通水口から製氷皿の水受け部に注ぐ構造になっている。しかしながら、水路の上流側から下流側へ向かう方向と交差する方向に通水口が開口している場合には、通水口から通水口の下側とは異なる方向へ水が飛び出し、水受け部の外側へ水がこぼれてしまうという問題がある。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、フレームに設けた水路から製氷皿へ供給される水が製氷皿からこぼれることを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る製氷機は、給水パイプから供給される水を貯留する貯水用凹部を備える製氷皿と、前記製氷皿を通過する軸線回りにおいて、前記製氷皿を、前記貯水用凹部が上を向く貯水位置と当該貯水用凹部が下を向く氷離脱位置との間で反転させる駆動部と、前記製氷皿および前記駆動部を支持するフレームと、を有し、前記製氷皿は、前記貯水位置から前記氷離脱位置へ向かう第1回転方向への回転開始時に下方に移動する製氷皿部分に外側に突出する水受け部を備え、前記水受け部は前記貯水用凹部に連通し、前記フレームは、前記水受け部の上方に位置するフレーム部分を備え、前記フレーム部分は、その上面において前記軸線と交差する方向に延在する水路と、少なくとも一部が前記水路の側面に設けられた通水口と、前記通水口に対して前記水路の上流側であって、且つ、前記側面に沿う位置に設けられた遮水部と、を備え、前記通水口は、前記製氷皿が前記貯水位置にある状態を上下方向から見たときに前記水受け部と重なる位置に前記水を通過させ、前記給水パイプからの水は、前記通水口を通過して前記水受け部に注がれて前記貯水用凹部に流入することを特徴とする。
【0007】
本発明では、給水パイプからの水は、フレームに設けられた水路へ注がれ、水路の側面に設けられた通水口を通過して、製氷皿から外側に突出する水受け部に注がれて貯水用凹
部に流入する。従って、給水パイプの給水口を製氷皿の外側に位置させることができ、製氷皿と給水パイプとを干渉させないようにすることができる。また、通水口は水路の側面に設けられ、フレームには、通水口の上流側であって、且つ、通水口が設けられた側面に沿う位置に遮水部が設けられている。このようにすると、通水口の上流側において、通水口の開口方向と交差する方向(側面に沿う方向)の流れを遮水部によって方向転換させることができる。これにより、通水口から開口方向と異なる方向に流出する成分を少なくすることができるので、通水口の下方に設けられた水受け部の外側へ水がこぼれにくい。
【0008】
本発明において、前記遮水部は、前記側面から前記水路の内側へ向かって突出する凸部であることが好ましい。このように、遮水部を水路の側面と一体にすれば、遮水部を簡単な構造にすることができる。また、遮水部を水路の側面と一体にすることにより、側面に沿って通水口へ向かう流れを効果的に遮ることができる。
【0009】
本発明において、前記凸部は、前記通水口の開口縁に設けられていることが好ましい。このようにすると、通水口の直前で通水口の開口方向と交差する方向(側面に沿う方向)の流れを遮ることができる。従って、通水口から開口方向と異なる方向に流出する成分を効果的に低減させることができる。
【0010】
本発明において、前記凸部は、前記通水口が位置する側を向く第1面と、前記通水口が位置する側とは反対側を向く第2面を備え、前記第1面は、前記通水口の開口縁に接続され前記側面に対して略垂直であり、前記第2面は、前記側面に対して鈍角をなす傾斜面であることが好ましい。このように、第2面を傾斜面にすることで、上流側からの流れが第2面にぶつかることによる水はねを抑制でき、水路から水がこぼれることを防止あるいは抑制できる。また、側面と第2面との間に水が残って結氷することを防止あるいは抑制できる。さらに、第1面により、通水口の直前で水が開口方向へ流れるようにガイドできる。従って、通水口から開口方向と異なる方向に流出する成分を低減させることができる。
【0011】
本発明において、前記水路は、前記通水口に対して前記遮水部とは反対側へ拡がる緩衝領域を備えることが好ましい。このようにすると、通水口に対して遮水部とは反対側で発生する水はねを抑制でき、水路から水がこぼれることを防止あるいは抑制できる。
【0012】
本発明において、前記水路の底面は、前記通水口へ向かうに従って下降する傾斜面を備えることが好ましい。このようにすると、水路の水を通水口へ集めることができる。従って、水路に水が残って結氷してしまうことを防止あるいは抑制できる。
【0013】
本発明において、前記フレーム部分は、前記通水口の開口縁から前記水路の外側へ突出するガイド板を備えることが好ましい。このようにすると、通水口を通過する水が通水口の開口方向と異なる方向へ拡がらないようにガイドできる。従って、水受け部の外側へ水がこぼれにくい。
【0014】
本発明において、前記ガイド板は、前記通水口に対して前記遮水部とは反対側に位置することが好ましい。このようにすると、通水口から開口方向と異なる方向へ水が流出しやすい側にガイド板を設けることができる。従って、水受け部の外側へ水がこぼれにくい。
【0015】
本発明において、前記ガイド板は、前記通水口に対して前記遮水部とは反対側に位置する第1ガイド板と、前記通水口に対して前記遮水部と同じ側に位置する第2ガイド板と、を備え、前記第1ガイド板は、前記第2ガイド板より前記開口縁からの突出寸法が大きいことが好ましい。このようにすると、通水口を通過する水を通水口の両側でガイドできる。従って、水受け部の外側へ水がこぼれにくい。また、開口方向と異なる方向へ水が流出しやすい側のガイド板(第1ガイド板)の突出寸法を大きくすることにより、水受け部の
外側へ水がこぼれることを効果的に抑制できる。また、もう一方のガイド板(第1ガイド板)の突出寸法を小さくすることにより、ガイド板と製氷皿との干渉を回避できる。
【0016】
本発明において、前記通水口は、前記水路の底面に設けられた第1通水口部分と、前記側面に設けられ前記第1通水口部分と繋がる第2通水口部分と、を備え、前記ガイド板は、前記第2通水口部分の開口縁に沿って上下方向に延びており、且つ、前記第1通水口部分の開口縁から下方に突出して当該通水口を通過する水を前記水受け部に案内する案内板と繋がっていることが好ましい。このようにすると、通水口を通過する水を通水口の下方でガイドできるため、水受け部の外側へ水がこぼれることを抑制できる。
【0017】
本発明において、前記製氷皿は、前記製氷皿を前記貯水位置に配置したときに、前記貯水用凹部の開口を囲んで上方に延びる周壁部と、前記周壁部の周方向の一部分に設けた切欠き部と、を備え、前記水受け部は、前記製氷皿を前記貯水位置に配置したときに、前記周壁部における前記切欠き部の下側の縁部分から外側に突出して前記フレーム部分と対向する底部と、前記周壁部の周方向における前記切欠き部の一方側の縁部分および他方側の縁部分からそれぞれ外側に突出して下端が前記底部に連続する一対の側板部と、前記底部の先端部分および前記一対の側板部の先端部分を連続させる端板部と、を備え、前記製氷皿を前記貯水位置に配置したときに、前記案内板の下端は前記一対の側板部の上端よりも下方に位置することが望ましい。このようにすれば、通水口を通過して水受け部に注がれる水が、水受け部から外に飛散することを防止或いは抑制できる。
【0018】
本発明において、前記駆動部は、前記製氷皿の前記軸線方向の一方側に連結されており、前記水受け部は、前記製氷皿部分における前記軸線方向の他方側の部分から外側に突出することが望ましい。このようにすれば、水受け部に注がれた水が飛散した場合でも、駆動部にかかることを防止あるいは抑制できる。
【0019】
本発明において、前記製氷皿は、可撓性材料からなり、前記フレームは、前記製氷皿が前記第1回転方向に回転して前記氷離脱位置に達したときに当該第1回転方向の前方から前記水受け部に当接して当該第1回転方向に駆動されている前記製氷皿の回転を阻止する当接部を備えることが望ましい。このようにすれば、水受け部と当接部とが当接して製氷皿の回転を阻止したときに製氷皿に捻りが発生する。従って、氷離脱位置に達した時に氷が製氷皿から離脱しやすい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、給水パイプからの水は、フレームに設けられた水路へ注がれ、水路の側面に設けられた通水口を通過して、製氷皿から外側に突出する水受け部に注がれ、水受け部から貯水用凹部に流入する。従って、給水パイプの給水口を製氷皿の外側に位置させることができ、給水パイプを製氷皿と干渉させないようにすることができる。また、通水口は水路の側面に設けられ、フレームには、通水口の上流側であって、且つ、通水口が設けられた側面に沿う位置に遮水部が設けられている。このようにすると、通水口の上流側において、通水口の開口方向と交差する方向(側面に沿う方向)の流れを遮水部によって方向転換させることができる。これにより、通水口から開口方向と異なる方向に流出する成分を少なくすることができるので、通水口の下方に設けられた水受け部の外側へ水がこぼれにくい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明を適用した製氷機を上方から見た場合の斜視図である。
【
図2】製氷皿が貯水位置にある製氷機を下方から見た場合の斜視図である。
【
図3】製氷皿が氷離脱位置にある製氷機を下方から見た場合の斜視図である。
【
図7】フレームの水路および製氷皿の水受け部の周辺の部分拡大図である。
【
図8】フレームの第1水路部分の周辺の部分断面図である。
【
図9】製氷皿が貯水位置にある状態の製氷機の断面図である。
【
図10】製氷皿が氷離脱位置にある状態の製氷機の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に図面を参照して、本発明の実施の形態の製氷機を説明する。
(全体構成)
図1は本発明を適用した製氷機を上方から見た場合の斜視図である。
図2は
図1の製氷機を下方から見た場合の斜視図である。
図1、
図2では製氷機の製氷皿は貯水位置にある。
図3は製氷皿が氷離脱位置にある状態を下方から見た場合の斜視図である。
図4は製氷機の平面図である。
図5は製氷機の分解斜視図である。
【0023】
製氷機1は冷蔵庫に搭載されるものである。
図1に示すように、製氷機1は、製氷皿5と、製氷皿5を反転させる駆動部6と、製氷皿5および駆動部6を支持するフレーム7とを有する。製氷皿5は、その平面形状が略長方形である。製氷皿5は給水パイプ2から供給される水を貯留する複数の貯水用凹部9を備える。駆動部6は、製氷皿5を、当該製氷皿5の短手方向の中央部分を長手方向に通過する軸線L回りに反転させる。駆動部6は、その出力軸10(
図5参照)が製氷皿5の軸線L方向の一方側の端部分に連結されている。駆動部6の駆動により、製氷皿5は、貯水用凹部9が上方を向く貯水位置5Aと、貯水用凹部9が下方を向く氷離脱位置5Bとの間を回転する。
図1、
図2は製氷皿5が貯水位置5Aに配置されている状態である。
図3は製氷皿5が氷離脱位置5Bに配置されている状態である。
【0024】
製氷機1は、
図1、
図2に示すように、製氷皿5を貯水位置5Aに配置して給水パイプ2から供給される水を製氷皿5の貯水用凹部9に貯留して、製氷を行う。製氷が完了すると、
図3に示すように、製氷機1は、駆動部6を駆動して製氷皿5を貯水位置5Aから氷離脱位置5Bに回転させ、製氷皿5の氷を製氷機1の下方に配置した貯氷容器(不図示)へ落下させる。
【0025】
以下の説明では、互いに直交する3方向をX方向、Y方向、Z方向とする。X方向は軸線L方向である。Z方向は製氷機1の設置姿勢(
図1に示す姿勢)における上下方向である。Y方向は、軸線L方向および上下方向と直交する方向である。また、X方向において、駆動部6が位置する側をX1方向とし、製氷皿5が位置する側をX2方向とする。Z方向において、上方をZ1方向、下方をZ2方向とする。また、Y方向において、製氷皿5が軸線L回りを貯水位置5Aから氷離脱位置5Bに向かうCCW方向(第1回転方向)に回転する際に、貯水用凹部9の開口が向く方向をY1方向とし、その反対側をY2方向とする。
【0026】
(製氷皿)
図6(a)は製氷皿5をZ1方向から見た場合の斜視図であり、
図6(b)は製氷皿5をZ2方向から見た場合の斜視図である。製氷皿5は弾性変形可能な材料からなる。本形態では製氷皿5は樹脂材料からなる。
図6に示すように、製氷皿5は、X1方向に位置する第1壁部15と、X2方向に位置する第2壁部16と、を備える。
図6(b)に示すように、第1壁部15には駆動部6の出力軸10に連結される連結部17が設けられている。
図6(a)に示すように、第2壁部16には、連結部17と同軸に、軸部18が設けられている。軸部18は第2壁部16からX2方向に突出する。第1壁部15と第2壁部16との間には複数の貯水用凹部9が配置されている。貯水用凹部9は、Y方向に並ぶ2つ
の貯水用凹部9が組になってX方向に5列配置されている。
【0027】
また、製氷皿5は、製氷皿5を貯水位置5Aに配置したときに、複数の貯水用凹部9の開口を囲んで上方に延びる枠状の周壁部20を備える。周壁部20は、複数の貯水用凹部9のY1方向の側でX方向に延びる第1周壁部分21と、複数の貯水用凹部9のY2方向の側でX方向に延びる第2周壁部分22と、Y方向に延びて第1周壁部分21および第2周壁部分22のX1方向の端部分を接続する第3周壁部分23と、Y方向に延びて第1周壁部分21および第2周壁部分22のX2方向の端部分を接続する第4周壁部分24とを備える。第1周壁部分21と第2周壁部分22とはY方向で対向し、第3周壁部分23と第4周壁部分24とはX方向で対向する。また、第4周壁部分24は、軸部18よりもY1方向に位置する側に切欠き部25を備える。切欠き部25は、矩形であり、第4周壁部分24の上端縁からZ2方向(下方)に向かって延びている。
【0028】
さらに、製氷皿5は、第4周壁部分24からX方向(軸線L方向)のX2方向に突出する水受け部26を備える。水受け部26は軸部18よりもY1方向に位置する。水受け部26は、第4周壁部分24における切欠き部25のZ2方向(下方)の縁部分から外側に突出する底部28と、第4周壁部分24における切欠き部25のY1方向の縁部分およびY2方向の縁部分からそれぞれ外側に突出して下端が底部28に連続する一対の側板部29、30と、底部28の先端部分および一対の側板部29、30の先端部分を連続させる端板部31と、を備える。底部28は、端板部31の側から周壁部20の側(切欠き部25の側)に向かって下方に傾斜する上面28aを備える。また、端板部31は、底部28に向かって周壁部20の側(切欠き部25の側)に傾斜している。水受け部26は、切欠き部25を介して周壁部20の内側に位置する複数の貯水用凹部9に連通している。
【0029】
ここで、水受け部26は、製氷皿5において、軸部18よりもY1方向に位置する部分に設けられている。軸部18よりもY1方向に位置する部分は、製氷皿5が貯水位置5Aから氷離脱位置5Bへ向かうCCW方向へ回転を開始するときに、Z2方向(下方)に移動する製氷皿部分である。
【0030】
図2に示すように、製氷皿5において、Z2方向の下面5aには、貯水用凹部9の形状が反映された凸部が配列されている。製氷皿5の下面5aには、製氷皿5の温度を検知するサーミスタ(図示省略)が配置されている。サーミスタは、製氷皿5の下面5aに固定されたカバー36で覆われている。
【0031】
(駆動部)
図5に示すように、駆動部6は、直方体状に成形されたケース41を備える。ケース41には、駆動源となるモータ(不図示)と、モータの回転力を伝達する回転伝達機構(不図示)と、回転伝達機構によりモータの回転力が伝達されるカム歯車33とが収納されている。カム歯車33には、出力軸10が一体成形されている。出力軸10は、ケース41のX2方向の端板42に設けられた穴43からケース41の外方に突出する。出力軸10は製氷皿5の第1壁部15に設けられた連結部17に連結される。出力軸10は、製氷皿5を貯水位置5Aから氷離脱位置5Bに回転させる際には、軸線Lを中心に時計回りCCWの方向に回転する。また、出力軸10は、製氷皿5を氷離脱位置5Bから貯水位置5Aに戻す際には、反時計回りCWの方向に回転する。
【0032】
製氷皿5に対してY1方向で隣り合う位置には、検氷レバー8が配置されている。なお、駆動部6のケース41内には、カム歯車33の回転角度に応じてカム歯車33と連動して検氷レバー8を軸線L回りに回転させる動作させる検氷機構や、サーミスタからの信号に基づいて動作するスイッチ機構等が構成されている。
【0033】
(フレーム)
図1から
図3に示すように、フレーム7は、製氷皿5および駆動部6のY1方向の側でX方向に延びる第1側板部45と、製氷皿5および駆動部6のY2方向の側で第1側板部45と平行に延びる第2側板部46とを備える。第1側板部45と製氷皿5との間には検氷レバー8が位置する。また、フレーム7は、Y方向に延びて第1側板部45および第2側板部46のX1方向の端を接続する端板部47と、Y方向に延びて第1側板部45および第2側板部46のX2方向の端を接続する壁部48と、を備える。壁部48は、板状の複数のリブが互いに連結された多孔性の壁である。壁部48の中央には、製氷皿5の軸部18を回転可能に支持する軸穴49が設けられている。
【0034】
さらに、フレーム7は、
図1、
図4に示すように、端板部47の上端からX2方向に張り出して駆動部6の上方で第1側板部45と第2側板部46との間を部分的に接続する矩形の支持部50を備える。駆動部6は支持部50に支持されている。
【0035】
また、フレーム7は、第1側板部45の上端から第2側板部46に向けて張り出す第1上板部51を備える。第1上板部51は、支持部50のY1方向の側の端部分と壁部48の上端のY1方向の側の端部分とを接続する。第1上板部51には、検氷レバー8の上端部が内側に位置する開口部51aが形成されている。さらに、フレーム7は第2側板部46の上端から第1側板部45に向けて張り出す第2上板部52を備える。第2上板部52は、支持部50のY2方向の側の端部分と壁部48の上端のY2方向の側の端部分とを接続する。また、フレーム7は、壁部48の上側(Z1方向の側)に水路構成部55を備える。水路構成部55は、壁部48からX1方向に張り出してY方向に延びる張出部分55aと、張出部分55aのY方向の略中央において壁部48からX2方向に突出する突出部分55bとを備える。
【0036】
ここで、
図4に示すように、製氷皿5の上方には、支持部50、第1上板部51、第2上板部52および水路構成部55によって略矩形の開口部57が区画されている。かかる開口部57が形成されていることにより、製氷皿5が貯水位置5Aと氷離脱位置5Bとの間で反転する際に、上方に移動する製氷皿5の周壁部20の上端部分(第2周壁部分22の上端部分、第3周壁部分23のY2方向の側の上端部分、および、第4周壁部分24のY2方向の側の上端部分)がフレーム7と干渉することが回避される。
【0037】
(水路)
フレーム7には、水路構成部55の上面に、給水パイプ2から供給される水を流通させる水路60が設けられている。水路60は凹溝であり、上方が開放状態となっている。水路60は、壁部48に沿ってY方向(軸線Lと交差する方向)に延びる第1水路部分61と、第1水路部分61のY方向の略中央から突出部分55bに沿ってX2方向に延びる第2水路部分62を備える。第1水路部分61はZ方向から見た場合に張出部分55aおよび壁部48と重なる。従って、張出部分55aはその上面に水路60を備えている。
【0038】
図1、
図4に示すように、給水パイプ2の給水口2aは、第2水路部分62に位置している。第2水路部分62の底面62aは、第1水路部分61の側に向かって(X1方向に向かって)下方に傾斜する。給水口2aから第2水路部分62に注がれた水は、第1水路部分61へ流入し、第1水路部分61に設けられた通水口64から下方の水受け部26へ注がれる。
【0039】
図7はフレーム7の水路60および製氷皿5の水受け部26の周辺の部分拡大図である。また、
図8はフレーム7の第1水路部分61の周辺の部分断面図である。
図4、
図8に示すように、通水口64は、第1水路部分61のY1方向の端寄りであって、且つ、X1方向の端に位置する。
図8に示すように、第1水路部分61の底面61aは、通水口64
のX2方向側の部分が一段凹んだ矩形の凹部611となっている。凹部611の底面611aは通水口64の側(X1方向)へ向かうに従って下方に傾斜している。第1水路部分61は、凹部611と、凹部611に対してY2方向側の第1上流側領域612と、凹部611に対してX2方向側の第2上流側領域613と、凹部611に対してY1方向側の緩衝領域614とを備える。
【0040】
第1上流側領域612の底面612aは、凹部611のY2方向の端縁に向かって下方へ傾斜している。また、第2上流側領域613の底面613aは、凹部611のX2方向の端縁に向かって下方へ傾斜し、緩衝領域614の底面614aは、凹部611のY1方向の端縁に向かって下方へ傾斜している。第2水路部分62から第1水路部分61へ流入した水は、第1上流側領域612では主にY1方向へ向かって流れ、第2上流側領域613では主にX1方向へ向かって流れて凹部611へ流入する。また、凹部611および第2水路部分62へ流入した水の一部は緩衝領域614へ回り込む。緩衝領域614へ回り込んだ水はY2方向へ戻り、凹部611へ流入する。このように、第1水路部分61の水は、第1上流側領域612、第2上流側領域613、および緩衝領域614からそれぞれ凹部611へ向かって流れて、通水口64へ集まる。
【0041】
水路構成部55は、張出部分55aおよび突出部分55bの外周縁に沿って延在する周壁56を備えており、周壁56の内側が上方に開口する水路60である。第1水路部分61のX1方向の側面61bは、張出部分55aのX1方向の縁に沿ってY方向に延在する周壁部分によって構成されている。
図8に示すように、通水口64は、第1水路部分61の側面61bと底面61aとが繋がる角部に設けられている。通水口64は、底面61aのX1方向の端に設けられた第1通水口部分64aと、側面61bの下端に設けられた第2通水口部分64bとを備える。通水口64は、第1通水口部分64aと第2通水口部分64bとが繋がった開口である。
【0042】
(遮水部)
上記のように、第1水路部分61の第1上流側領域612では、第2水路部分62から流入した水は、通水口64が位置する側(Y1方向)へ向かって流れる。すなわち、通水口64が位置する側(Y1方向)が第1上流側領域612の下流側であり、通水口64が位置する側とは反対側(Y2方向)が第1上流側領域612の上流側である。水路構成部55には、第1水路部分61の側面61bに沿って通水口64へ向かう水流を通水口64の上流側(Y2方向)で遮る遮水部が設けられている。遮水部は、通水口64に対して上流側(Y2方向)の位置であって、且つ、側面61bに沿う位置に設けられている。側面61bに沿う水流は、通水口64の開口方向(X1方向)と交差する方向の水流である。従って、遮水部を設けることにより、通水口64から流出する水は、開口方向(X1方向)と異なる方向へ流出する成分が減少する。従って、水受け部26の外側へ水がこぼれにくくなる。
【0043】
本形態では、遮水部として、第1水路部分61のX1方向の側面61bから第1水路部分61の内側(X2方向)へ突出する凸部58が設けられている。凸部58は、第2通水口部分64bのY2方向の開口縁に設けられている。凸部58は、通水口64が位置する側(Y1方向)を向く第1面58aと、通水口64が位置する側とは反対側(Y2方向)を向く第2面58bとを備える。Z方向から見た凸部58の平面形状は略直角三角形であり、第1面58aは、第2通水口部分64bの開口縁に接続され側面61bに対して略垂直な面である。一方、第2面58bは、側面61bに対して鈍角をなす傾斜面である。第2面58bは、側面61bから離間するに従って通水口64が位置する側へ向かう方向へ傾斜する。
図8に示すように、側面61bに沿ってY1方向へ向かう水Wは第2面58bに沿う方向に方向転換される。これにより、通水口64の開口方向であるX1方向と交差する方向の流れが第1上流側領域612から直接通水口64へ到達しなくなる。
【0044】
図7に示すように、水路構成部55の張出部分55aの下面における第1通水口部分64aの開口縁には、通水口64を通過する水を案内する第1案内板65、第2案内板66、および第3案内板67が設けられている。第1案内板65は、第1通水口部分64aのX2方向の開口縁部分から下側に向かってX1方向に傾斜する。第2案内板66は、第1通水口部分64aのY1方向の開口縁部分から下側に向かって延びて第1案内板65のY1方向の端縁に連続する。第3案内板67は、第1通水口部分64aのY2方向の開口縁部分から下側に向かって延びて第1案内板65のY2方向の端縁に連続する。
【0045】
また、水路構成部55の張出部分55aのX1方向の側面における第2通水口部分64bの開口縁には、通水口64を通過する水を案内する第1ガイド板68および第2ガイド板69が設けられている。第1ガイド板68は、第2通水口部分64bのY1方向の端縁からX1方向へ突出しており、第2通水口部分64bよりも下方へ延びて第2案内板66のX1方向の縁と繋がっている。また、第2ガイド板69は、第2通水口部分64bのY2方向の端縁からX1方向へ突出しており、第2通水口部分64bよりも下方へ延びて第3案内板67のX1方向の縁と繋がっている。第1ガイド板68および第2ガイド板69の上端は、第2通水口部分64bより上方まで延びている。
【0046】
第2通水口部分64bに対してY1方向(すなわち、遮水部である凸部58とは反対側)に位置する第1ガイド板68は、第2通水口部分64bに対してY2方向(すなわち、遮水部である凸部58と同じ側)に位置する第2ガイド板69よりも、X1方向への突出寸法が大きい。
図4、
図7に示すように、第1ガイド板68は、製氷皿5の第2壁部16よりX1方向側に突出しているのに対して、第2ガイド板69は、第2壁部16のX2方向側に位置する。第1ガイド板68の上端部分には、第2ガイド板69と同じ突出寸法となるように切り欠いた切り欠き部68aが設けられている。
【0047】
駆動部6の出力軸10に製氷皿5の連結部17が連結された状態で、駆動部6がフレーム7の支持部50に支持され、製氷皿5の軸部18が軸穴49に挿入されると、
図1から
図4に示すように、駆動部6および製氷皿5はフレーム7に支持される。駆動部6および製氷皿5がフレーム7に支持されると、駆動部6が動作したときに、製氷皿5が軸線L回りに回転可能となる。
【0048】
また、駆動部6および製氷皿5をフレーム7に支持して、製氷皿5を貯水位置5Aに配置した場合には、
図7に示すように、水路構成部55の張出部分55a(フレーム部分)は、製氷皿5の水受け部26のZ1方向に位置する。さらに、製氷皿5の水受け部26(底部28の上面28a)と張出部分55aに設けられた通水口64とは、Z方向から見た場合に、重なる。また、フレーム7の張出部分55aに設けた第1案内板65、第2案内板66、第3案内板67、第1ガイド板68および第2ガイド板69の下端は、水受け部26の側板部29、30および端板部31の上端よりも下方に位置する。
【0049】
ここで、
図2に示すように、壁部48には、製氷皿5が軸線L周を貯水位置5AからCCW方向に回転して氷離脱位置5Bに達したときにCCW方向の前方から水受け部26に当接する当接部70が設けられている。当接部70は壁部48からX1方向に突出する。当接部70には、水受け部26の底部28が当接する。当接部70は、氷離脱位置5Bにおいて水受け部26に当接して、CCW方向に駆動されている製氷皿5の回転を阻止する。これにより、製氷皿5には捻りが発生する。
【0050】
(製氷動作)
図9は、製氷皿5が貯水位置5Aに配置された状態の製氷機1の断面図である。
図9(a)では、製氷機1を軸線Lと直交して製氷皿5の水受け部26を通過する面で切断し、
図9(b)では、製氷機1を軸線Lと直交してフレーム7の壁部48の当接部70を通過する面で切断している。
図10は、製氷皿5が氷離脱位置5Bに配置された状態の製氷機1の断面図である。
図10(a)では、製氷機1を軸線Lと直交して製氷皿5の水受け部26を通過する面で切断し、
図10(b)では、製氷機1を軸線Lと直交してフレーム7の壁部48の当接部70を通過する面で切断している。
【0051】
製氷動作を開始する初期状態では、
図1に示すように、製氷皿5は貯水位置5Aに配置されている。この状態で、給水パイプ2から所定量の水が供給される。
図9に鎖線の矢印で示すように、給水口2aを介して給水パイプ2からから供給された水Wは、水路60の第2水路部分62から第1水路部分61を流れて、通水口64に向かう。また、水は、通水口64を通過して、その下方に位置する製氷皿5の水受け部26に注がれる。その際、通水口64を通過する水は、水受け部26に注ぎ込まれる際に、第1案内板65、第2案内板66、第3案内板、第1ガイド板68、および第2ガイド板69に案内されて切欠き部25の側に向かう。
【0052】
次に、通水口64から水受け部26に注がれた水は、製氷皿5の周壁部20の切欠き部25を介して貯水用凹部9に流入し、貯水用凹部9に貯留される。ここで、水受け部26において通水口64と対向する底部28は、切欠き部25に向かって下方(Z2方向)に傾斜する上面28aを備える。従って、通水口64から水受け部26に注がれた水は、淀みなく流れて、貯水用凹部9に貯留される。また、製氷皿5は貯水用凹部9の開口を囲んで上方に延びる周壁部20を備えるので、水受け部26から切欠き部25を介して貯水用凹部9に流入する水が、製氷皿5から外に飛散することが防止される。
【0053】
貯水用凹部9への水の充填が終了すると、給水が停止する。その後、製氷皿5内に充填された水が冷却される。製氷が完了したか否かは、製氷皿5に取り付けられたサーミスタ35により、製氷皿5の温度が所定温度以下となったか否かで判断される。
【0054】
製氷が完了すると、検氷レバー8により、製氷皿5の下方に設置された貯氷容器の氷量の検出が行なわれる。具体的には、検氷レバー8が駆動部6に駆動されて下降する。その際、検氷レバー8が所定位置まで下降する場合には、貯氷容器内が満氷でないと判断される。一方、所定位置まで下降する前に、検氷レバー8が貯氷容器内の氷に接触する場合には、貯氷容器内が満氷であると判断される。貯氷容器内が満氷の場合には、所定時間待機した後、再度、検氷レバー8により貯氷容器内の氷量の検出が行なわれる。
【0055】
貯氷容器内が満氷でない場合には、製氷皿5から氷を離脱させて、貯氷容器内に落下させる。具体的には、駆動部6の駆動により出力軸10をCCW方向に回転させて、製氷皿5を、軸線L回りでCCW方向に回転させる。
【0056】
ここで、製氷皿5が外側に突出するように設けた水受け部26は、製氷皿5が貯水位置5Aから氷離脱位置5Bに向かうCCW方向への回転開始時に下方に移動する。すなわち、製氷皿5がCCW方向に回転するときに、水受け部26は、その上方に位置する水路構成部55の張出部分55aから離間する方向に移動する。従って、製氷皿5に設けた水受け部26が設けた場合でも、水受け部26がフレーム7部分と干渉することはない。
【0057】
製氷皿5は、水平に配置された貯水位置5Aから90°以上の所定の回転角(例えば120°)まで製氷皿5が回転して氷離脱位置5Bに到達する。
図10(a)に示すように、氷離脱位置5Bでは、製氷皿5の周壁部20は通水口64の開口縁に設けられた第2ガイド板69よりもY1方向側に位置するが、第2ガイド板69のX1方向への突出寸法は小さいため、第2ガイド板69と製氷皿5とは干渉しない。また、第1ガイド板68のX1方向への突出寸法は第2ガイド板69より大きいが、第1ガイド板68の上端には切り
欠き部68aが設けられている。従って、第1ガイド板68と製氷皿5は干渉せず、氷離脱位置5Bまで製氷皿5を回転させることができる。
【0058】
図10(b)に示すように、氷離脱位置5Bでは、フレーム7の当接部70が、製氷皿5の水受け部26の底部28に当接する。ここで、製氷皿5の水受け部26が当接部70に当接した時点では、製氷皿5は駆動部6によってCCW方向に駆動されているが、水受け部26と当接部70との当接によって製氷皿5が更にCCW方向に回転することが阻止される。これにより、製氷皿5には捻りが加えられて、変形する。よって、製氷皿5内の氷が貯水用凹部9から剥離し、製氷皿5から離脱して、貯氷容器に落下する。
【0059】
しかる後に、駆動部6は、製氷皿5をCW方向に回転させ、製氷皿5を貯水用凹部9が上を向く貯水位置に戻す。その後、上記の製氷動作が繰り返される。
【0060】
(本形態の主な作用効果)
本形態の製氷機1は、給水パイプ2からの水が、フレーム7に設けられた通水口64を通過して、製氷皿5から外側に突出する水受け部26に注がれて、水受け部26から貯水用凹部9に流入する。従って、給水パイプ2の給水口2aを製氷皿5の外側に位置させることができる。これにより、給水パイプ2の給水口2aを製氷皿5の上方で当該製氷皿5の回転領域から離間する位置に配置する必要がなくなるので、給水パイプ2を含めた製氷機1の設置スペースを上下方向で抑制できる。
【0061】
また、給水パイプ2の給水口2aを製氷皿5の上方に配置した場合には、給水口2aの位置を製氷皿5が反転する際の回転領域よりも上方に必要があるので、給水口2aと貯水用凹部9との間の距離が離間しやすい。従って、給水パイプ2の給水口2aからの水が貯水用凹部9に注がれる際に飛散しやすく、製氷皿5において複数の貯水用凹部9の開口を囲んで上方に延びる周壁部20を高くする必要がある。これに対して、本形態のように、給水パイプ2からの水がフレーム7に設けられた通水口64を通過して、製氷皿5から外側に突出する水受け部26に注がれて貯水用凹部9に流入する場合には、貯水用凹部9に注がれる水の飛散を防止或いは抑制できる。従って、周壁部20の高さを低くすることが可能である。これにより、製氷皿5が貯水位置5Aにあるときに、製氷皿5を上下方向Zで小さくできる。
【0062】
本形態では、フレーム7に軸線L方向と交差する第1水路部分61が設けられている。通水口64の一部(第2通水口部分64b)は第1水路部分61の製氷皿5側(X1方向)の側面61bに設けられている。そして、フレーム7には、通水口64の上流側(Y2方向)であって、且つ、通水口64が設けられた側面61bに沿う位置に、遮水部として機能する凸部58が設けられている。従って、通水口64の上流側において、通水口64の開口方向(X1方向)と交差する方向(側面61bに沿う方向)の流れを凸部58によって遮ることができ、通水口64の開口方向と異なる方向に流れる水が通水口64へ到達することを防止あるいは抑制できる。これにより、通水口64から開口方向(X1方向)と異なる方向に流出する成分を少なくすることができるので、通水口64の下方に設けられた水受け部の外側へ水がこぼれにくい。
【0063】
本形態では、遮水部として、側面61bから第1水路部分61の内側へ向かって突出する凸部58が設けられている。これにより、遮水部を側面61bと一体に形成できるため、遮水部を単純な構造にすることができる。また、遮水部を側面61bと一体にすることによって、側面61bに沿って通水口64へ向かう流れを効果的に遮ることができる。
【0064】
本形態では、通水口64の開口縁に凸部58が設けられているため、通水口64の直前で通水口64の開口方向と交差する方向(側面61bに沿う方向)の流れを遮ることがで
きる。従って、通水口64の開口方向と異なる方向の流れを効果的に低減させることができる。
【0065】
本形態の凸部58は、通水口64が位置する側を向く第1面58aと、通水口64が位置する側とは反対側を向く第2面58bを備え、第1面58aは、通水口64の開口縁に接続され第1水路部分61の側面61bに対して略垂直である。また、第2面58bは、側面61bに対して鈍角をなす傾斜面である。第2面58bを傾斜面にすることで、上流側からの流れが第2面52bにぶつかることによる水はねを抑制でき、水路60から水がこぼれることを防止あるいは抑制できる。また、側面61bと第2面58bとの間に水が残って結氷することを防止あるいは抑制できる。さらに、第1面58aにより、通水口64の直前で水が開口方向へ流れるようにガイドできる。従って、通水口64から開口方向と異なる方向に流出する成分を低減させることができる。
【0066】
本形態では、フレーム7の水路60に、通水口64に対して凸部58とは反対側(Y1方向側)へ拡がる緩衝領域614が設けられているため、通水口64に対して凸部58とは反対側で発生する水はねを抑制できる。従って、水路60から水がこぼれることを防止あるいは抑制できる。
【0067】
本形態では、第2水路部分62の底面62aは第1水路部分61の側に向かって下方に傾斜する。また、第1水路部分61の底面61aは通水口64に向かって下方に傾斜する。すなわち、第1上流側領域612の底面612a、第2上流側領域613の底面613a、緩衝領域614の底面614aは、いずれも凹部611へ向かって下方へ傾斜する傾斜面であり、凹部611の底面611aは通水口64の側(X1方向)へ向かうに従って下方に傾斜している。従って、給水パイプ2から供給される水は淀みなく通水口64に向かう。また、給水が停止したときに、水路60の水を通水口64へ集めることができる。従って、水路60に水が残って結氷してしまうことを防止あるいは抑制できる。
【0068】
本形態では、水路構成部55の張出部分55aには、第2通水口部分64bの開口縁に沿って外側(X1方向)へ突出する第1ガイド板68および第2ガイド板69が設けられている。このため、通水口64から流出する水を水路60の外側でガイドできるので、水受け部26の外側へ水がこぼれにくい。さらに、第1ガイド板68は、通水口64に対して凸部58(遮水部)とは反対側に位置し、通水口64から開口方向と異なる方向へ水が流出しやすい側に設けられている。加えて、水が流出しやすい側に設けられた第1ガイド板68の突出寸法が第2ガイド板69の突出寸法より大きい。これにより、水受け部26の外側へ水がこぼれにくくする効果が高められる。また、第1ガイド板68の上端部分には切り欠き部68aが設けられているので、製氷皿5と第1ガイド板68との干渉を回避できる。
【0069】
本形態では、さらに、水路構成部55の張出部分55aには、通水口64の開口縁からZ2方向(下方)に突出する第1案内板65、第2案内板66、第3案内板67が設けられている。従って、通水口64を通過する水は、水受け部26に注ぎ込まれる際に、第1案内板65に案内されて切欠き部25の側に向かう。また、通水口64を通過する水は、第2案内板66および第1ガイド板68、および、第3案内板67および第2ガイド板69により案内されるので、通水口64を通過した水がY方向に飛散することが防止或いは抑制される。さらに、
図7に示すように、製氷皿5の水受け部26と張出部分55aに設けた通水口64とはZ方向から見た場合に重なっており、フレーム7の張出部分55aに設けた第1案内板65、第2案内板66、第3案内板67、第1ガイド板68および第2ガイド板69の下端は、水受け部26の側板部29、30および端板部31の上端よりも下方に位置する。よって、通水口64を通過した水を、確実に水受け部26に注ぐことができる
【0070】
本形態では、水受け部26は、製氷皿5から軸線Lに沿った方向に突出している。従って、水受け部26が製氷皿5から軸線Lと直交する方向に突出する場合と比較して、製氷皿5が反転する際の回転領域を小さくすることができる。よって、製氷機1が軸線Lと直交する方向に大型化することを抑制できる。
【0071】
本形態では、駆動部6は、製氷皿5の軸線L方向の一方側に連結されており、水受け部26は、製氷皿5における軸線L方向の他方側の部分から外側に突出する。よって、水受け部26に注がれた水が飛散した場合でも、駆動部6にかかることを防止あるいは抑制できる。
【0072】
本形態では、製氷皿5は、可撓性材料からなり、フレーム7は、製氷皿5が貯水位置5Aから氷離脱位置5Bに向かうCCW方向の前方から水受け部26に当接する当接部70を備える。これにより、水受け部26を利用して製氷皿5に捻りを発生させることができるので、製氷皿5が氷離脱位置5Bに達した時に氷が製氷皿5から離脱しやすい。
【0073】
(変形例)
(1)上記形態では、遮水部として機能する凸部59を側面61bと一体に形成しているが、遮水部は側面61bと一体でなくてもよく、側面61bに沿う位置に設けられていればよい。例えば、別部材をフレーム7に取り付けてもよいし、底面61aから上方へ突出する形状としてもよい。
【0074】
(2)上記形態では、給水パイプ2は、その給水口2aが水路60の第2水路部分62の上方に位置するように配置されているが、給水パイプ2を、その給水口2aが第1水路部分61の上方に位置するように配置してもよい。この場合には、第2水路部分62を省略できる。また、給水パイプ2の設置の自由度が向上する。
【0075】
(3)水受け部26は、製氷皿5の周壁部20の第1周壁部分21から軸線Lと直交する方向に突出するように設けることもできる。この場合には、周壁部20の第1周壁部分21に切欠き部25を設け、切欠き部25を介して水受け部26と貯水用凹部9とを連通させる。また、製氷皿5を貯水位置5Aに配置したときに、第1上板部51において、Z方向から見た場合に水受け部26と重なる位置に通水口64を設けるとともに、通水口64を設けた位置まで、水路60を第1上板部51に沿ってX方向に延設する。
【符号の説明】
【0076】
1…製氷機、2…給水パイプ、2a…給水口、5…製氷皿、5a…下面、5A…貯水位置、5B…氷離脱位置、6…駆動部、7…フレーム、8…検氷レバー、9…貯水用凹部、10…駆動部の出力軸、15…第1壁部、16…第2壁部、17…連結部、18…軸部、20…周壁部、21…第1周壁部分、22…第2周壁部分、23…第3周壁部分、24…第4周壁部分、25…切欠き部、26…水受け部、28…底部、28a…底部の上面、29、30…側板部、31…端板部、33…カム歯車、36…カバー、41…ケース、42…端板、43…穴、45…フレームの第1側板部、46…フレームの第2側板部、47…フレームの端板部、48…フレームの壁部、49…軸穴、50…支持部、51a…開口部、51…第1上板部、52…第2上板部、55…水路構成部、55a…張出部分(フレーム部分)、55b…突出部分、56…周壁、57…開口部、58…凸部(遮水部)、58a…第1面、58b…第2面、60…水路、61…第1水路部分、61a…第1水路部分の底面、61b…第1水路部分の側面、62…第2水路部分、62a…第2水路部分の底面、64…通水口、64a…第1通水口部分、64b…第2通水口部分、65…第1案内板、66…第2案内板、67…第3案内板、68…第1ガイド板、68a…切り欠き部、69…第2ガイド板、70…当接部、611…凹部、611a…凹部の底面、612…第1
上流側領域、612a…第1上流側領域の底面、613…第2上流側領域、613a…第2上流側領域の底面、614…緩衝領域、614a…緩衝領域の底面、L…軸線