IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝ライフスタイル株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-冷蔵庫 図1
  • 特許-冷蔵庫 図2
  • 特許-冷蔵庫 図3
  • 特許-冷蔵庫 図4
  • 特許-冷蔵庫 図5
  • 特許-冷蔵庫 図6
  • 特許-冷蔵庫 図7
  • 特許-冷蔵庫 図8
  • 特許-冷蔵庫 図9
  • 特許-冷蔵庫 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/02 20060101AFI20220914BHJP
   F25D 25/00 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
F25D23/02 303H
F25D23/02 Z
F25D25/00 E
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018190854
(22)【出願日】2018-10-09
(65)【公開番号】P2020060310
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-05-07
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】武下 正憲
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-222343(JP,A)
【文献】特開2007-024405(JP,A)
【文献】特開2013-050289(JP,A)
【文献】実開平02-085985(JP,U)
【文献】特開2009-228911(JP,A)
【文献】特開2007-024339(JP,A)
【文献】特開2003-329362(JP,A)
【文献】特開2013-190136(JP,A)
【文献】特開2015-102320(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0012493(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 17/06 - 17/08
F25D 23/00 - 25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵庫本体に設けられた貯蔵室と、
前記貯蔵室の前面開口部を開閉するものであって、前記冷蔵庫本体の横方向に沿って分割されている複数の貯蔵室扉と、
前記貯蔵室内において前記冷蔵庫本体の横方向に沿って連続する第1貯蔵エリアと、
前記貯蔵室内において前記第1貯蔵エリア以外の部分に設けられる第2貯蔵エリアと、
前記第2貯蔵エリア内に設けられる貯蔵容器と、
前記貯蔵容器の前部を開閉するものであって、前記冷蔵庫本体の横方向に沿って分割されている複数の容器扉と、
を備え、
複数の前記貯蔵室扉が前記前面開口部を閉塞した閉塞状態において、一の前記貯蔵室扉と一の前記容器扉とが前後方向に対向し、且つ、他の前記貯蔵室扉と他の前記容器扉とが前後方向に対向するように構成されているとともに、
一の前記貯蔵室扉が前記前面開口部を開放した開放状態において、一の前記容器扉が開放可能であり、
前記貯蔵容器は、前記第2貯蔵エリア内に前記冷蔵庫本体の前後方向に沿って出し入れ可能に収容される引き出し容器であり、
前記貯蔵室扉の内面において前記第2貯蔵エリアから引き出された前記引き出し容器が当接可能な部分に、当接した前記引き出し容器をスライド移動可能に案内する傾斜状の案内部を備える冷蔵庫。
【請求項2】
前記第1貯蔵エリアは、複数の前記貯蔵室扉が前記前面開口部を閉塞した閉塞状態において、複数の前記貯蔵室扉の境界を横方向に跨るように設けられている請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記容器扉は、前記貯蔵容器の前部において回動可能またはスライド移動可能に設けられている請求項1または2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
複数の前記容器扉は、共通の回動軸によって回動可能に設けられている請求項3に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
仕切り部を備え、
前記仕切り部は、冷蔵庫の正面側から見て、複数の前記容器扉の間に位置している請求項1から4の何れか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記仕切り部は、貯蔵物を貯蔵可能な容器状である請求項5に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
1つの前記貯蔵容器の前部に複数の前記容器扉が設けられている請求項1から6の何れか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記第2貯蔵エリアは、前記冷蔵庫本体の上下方向に沿って分割されている複数の分割貯蔵エリアを有し、
一の前記分割貯蔵エリアには製氷用の給水タンクが設けられ、
他の前記分割貯蔵エリアには1つの前記貯蔵容器が設けられ、この1つの前記貯蔵容器の前部に複数の前記容器扉が設けられている請求項1から7の何れか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記貯蔵室扉の内面において前記貯蔵容器に対向する部分に、ドアポケットが備えられていない無ドアポケット部が設けられている請求項1から8の何れか1項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、冷蔵庫本体に設けられた貯蔵室の内部に複数の貯蔵エリアを設けた冷蔵庫が考えられている。例えば、特許文献1に開示されている冷蔵庫は、貯蔵室の一例である冷蔵室の内部に、第1貯蔵エリアとして冷蔵エリア、および、第2貯蔵エリアとしてチルドエリアを設けた構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-102320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年の冷蔵庫において、冷蔵室の前面開口部を開閉する冷蔵室扉は、冷蔵庫本体の横方向に沿って2つに分割されている、いわゆる観音開き式の2つの扉で構成されることが一般的である。一方、チルドエリア内に設けられる貯蔵容器は、冷蔵庫本体の横方向に沿う長尺な1つの容器で構成されることが一般的であり、また、この貯蔵容器の前部を開閉する容器扉も、冷蔵庫本体の横方向に沿う長尺な1つの扉で構成されることが一般的である。そのため、使用者は、貯蔵容器内に貯蔵物を出し入れする際には、2つの冷蔵室扉の双方を開く必要があり、2つの冷蔵室扉を開くことに伴い、冷蔵室内の温度が上昇してしまうという課題が生じている。
【0005】
本実施形態は、複数の貯蔵室扉の全てを開かなくとも貯蔵容器内に貯蔵物を出し入れすることができ、貯蔵物の出し入れの際における貯蔵室内の温度上昇を抑制することができる冷蔵庫を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る冷蔵庫は、冷蔵庫本体に設けられた貯蔵室と、前記貯蔵室の前面開口部を開閉するものであって、前記冷蔵庫本体の横方向に沿って分割されている複数の貯蔵室扉と、前記貯蔵室内において前記冷蔵庫本体の横方向に沿って連続する第1貯蔵エリアと、前記貯蔵室内において前記第1貯蔵エリア以外の部分に設けられる第2貯蔵エリアと、前記第2貯蔵エリア内に設けられる貯蔵容器と、前記貯蔵容器の前部を開閉するものであって、前記冷蔵庫本体の横方向に沿って分割されている複数の容器扉と、を備えている。そして、複数の前記貯蔵室扉が前記前面開口部を閉塞した閉塞状態において、一の前記貯蔵室扉と一の前記容器扉とが前後方向に沿って相互に対向し、且つ、他の前記貯蔵室扉と他の前記容器扉とが前後方向に沿って相互に対向するように構成されている。そして、一の前記貯蔵室扉が前記前面開口部を開放した開放状態において、一の前記容器扉が開放可能であり、他の前記貯蔵室扉が前記前面開口部を開放した開放状態において、他の前記容器扉が開放可能であり、前記貯蔵容器は、前記第2貯蔵エリア内に前記冷蔵庫本体の前後方向に沿って出し入れ可能に収容される引き出し容器であり、前記貯蔵室扉の内面において前記第2貯蔵エリアから引き出された前記引き出し容器が当接可能な部分に、当接した前記引き出し容器をスライド移動可能に案内する傾斜状の案内部を備える
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る冷蔵庫の要部の構成例を概略的に示す縦断側面図
図2】第1実施形態に係る冷蔵庫の要部の構成例を概略的に示す正面図
図3】第1実施形態に係る冷蔵庫の要部の構成例を概略的に示す平面図
図4】第1実施形態に係る冷蔵庫において一の貯蔵室扉を開放した状態例を概略的に示す平面図
図5】第1実施形態に係る冷蔵庫において他の貯蔵室扉を開放した状態例を概略的に示す平面図
図6】第2実施形態に係る冷蔵庫の要部の構成例を概略的に示す平面図
図7】第2実施形態に係る冷蔵庫において一の貯蔵室扉を開放した状態例を概略的に示す平面図
図8】第3実施形態に係る冷蔵庫の要部の構成例を概略的に示す平面図(その1)
図9】第3実施形態に係る冷蔵庫の要部の構成例を概略的に示す平面図(その2)
図10】第4実施形態に係る冷蔵庫の要部の構成例を概略的に示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、冷蔵庫に係る複数の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、複数の実施形態において実質的に同一の要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0009】
(第1実施形態)
図1図2図3に例示する冷蔵庫10は、その外郭を構成する矩形箱状の断熱箱体11の内部に複数の貯蔵室を備えている。断熱箱体11は、冷蔵庫10の本体部を構成する冷蔵庫本体の一例であり、内箱と外箱との間に真空断熱パネルや発泡ウレタンなどの断熱材を備えた構成である。断熱箱体11には、例えば食品類などの貯蔵物を収容する貯蔵室として、冷蔵温度帯に維持される冷蔵室12が設けられている。また、詳しい図示は省略するが、断熱箱体11には、貯蔵室として、さらに、冷蔵温度帯に維持される野菜室、冷凍温度帯に維持される冷凍室、小冷凍室、製氷室などの各種の貯蔵室が設けられている。
【0010】
また、冷蔵庫10は、冷蔵室12の前面開口部13を開閉する冷蔵室扉21,22を備えている。冷蔵室扉21,22は、断熱箱体11の横方向、換言すれば、冷蔵室12の横方向に沿って複数、この場合、2つに分割されており、いわゆる観音開き式の2つの扉により構成されている。冷蔵室扉21,22は、冷蔵室12の前面開口部13の左右の両端部に設けられている回動軸23,24によって、図3に矢印Rで例示するように左右方向に回動可能に支持されている。なお、詳しい図示は省略するが、冷蔵庫10は、冷蔵室12以外の貯蔵室についても、それぞれの前面開口部を開閉する、例えば引き出し式あるいは観音開き式の貯蔵室扉を備えている。
【0011】
また、冷蔵庫10は、複数の冷蔵室扉21,22の内面、この場合、冷蔵室扉21,22が冷蔵室12の前面開口部13を閉塞した閉塞状態において冷蔵室12内側となる面に、複数のドアポケット25を備えた構成となっている。ドアポケット25は、上面が開放した箱状に設けられており、内部に食品類などの貯蔵物を収容可能となっている。また、冷蔵庫10は、複数の冷蔵室扉21,22が冷蔵室12の前面開口部13を閉塞した閉塞状態において、冷蔵室扉21,22の内面のうち後述するチルドエリア32、換言すれば、後述する引き出し容器41に対向する部分に、無ドアポケット部26,27を設けている。この無ドアポケット部26,27は、冷蔵室扉21,22の内面においてドアポケット25が備えられていない部分となっている。複数の冷蔵室扉21,22が冷蔵室12の前面開口部13を閉塞した閉塞状態において、無ドアポケット部26,27とチルドエリア32との間には、所定の大きさの空間が形成される。
【0012】
図2にも例示するように、冷蔵室12の内部には、冷蔵エリア31およびチルドエリア32が設けられている。冷蔵エリア31は、第1貯蔵エリアの一例であり、冷蔵室12の内部空間の殆どの領域を占めている。また、冷蔵エリア31は、冷蔵室12内において断熱箱体11の横方向に沿って連続する空間を形成している。即ち、冷蔵エリア31内には、上下方向に延びる仕切りなどの部材が設けられておらず、断熱箱体11の横方向に沿う連続した一連の空間が形成されている。また、図3に例示するように、冷蔵エリア31は、冷蔵室扉21,22が冷蔵室12の前面開口部13を閉塞した閉塞状態において、これら冷蔵室扉21,22の境界B1を横方向に跨るように設けられている。なお、図1に例示するように、冷蔵エリア31内には、例えば当該冷蔵エリア31内を上下方向に仕切る載置棚31aなど、横方向に延びる部材を着脱可能に取り付けることが許容される。
【0013】
チルドエリア32は、第2貯蔵エリアの一例であり、冷蔵室12内において冷蔵エリア31以外の部分、この場合、冷蔵エリア31の下方部分に設けられている。この場合、チルドエリア32は、冷蔵室12の内部空間の底部において、断熱箱体11の横方向に沿って連続する空間を形成している。即ち、チルドエリア32内には、上下方向に延びる仕切りなどの部材が設けられておらず、断熱箱体11の横方向に沿う連続した一連の空間が形成されている。また、図3に例示するように、チルドエリア32は、冷蔵室扉21,22が冷蔵室12の前面開口部13を閉塞した閉塞状態において、これら冷蔵室扉21,22の境界B1を横方向に跨るように設けられている。
【0014】
そして、チルドエリア32の内部には、引き出し容器41が備えられている。引き出し容器41は、例えば食品類などの貯蔵物を収容可能な貯蔵容器の一例であり、この場合、上面が開放した矩形箱状の容器として構成されている。引き出し容器41は、チルドエリア32の内部に、断熱箱体11の前後方向、換言すれば、当該チルドエリア32の前後方向に沿って出し入れ可能に収容されている。なお、引き出し容器41は、その前面壁が側面壁および背面壁よりも低く形成されており、チルドエリア32内から引き出されていない状態であっても、引き出し容器41の前側から貯蔵物の出し入れが可能な構成となっている。
【0015】
そして、このチルドエリア32の前方には、当該チルドエリア32内に収容されている引き出し容器41の前部を開閉する容器扉51,52が設けられている。容器扉51,52は、断熱箱体11の横方向、換言すれば、冷蔵室12の横方向に沿って複数、この場合、上述した2つの冷蔵室扉21,22に対応して2つに分割されている。つまり、冷蔵庫10は、1つの引き出し容器41の前部に複数、この場合、2つの容器扉51,52を設けた構成となっている。
【0016】
容器扉51,52は、チルドエリア32内に収容されている引き出し容器41の前部において回動可能に設けられている。即ち、チルドエリア32の前部の上部には、断熱箱体11の横方向、換言すれば、チルドエリア32の横方向に沿って直線状に延びる1本の回動軸53が設けられている。容器扉51,52は、この1本の共通の回動軸53によって、図1に矢印Kで例示するように上下方向に回動可能に設けられている。なお、冷蔵庫10は、容器扉51を回動可能に支持する回動軸および容器扉52を回動可能に支持する回動軸を、それぞれ別個に備える構成としてもよい。また、容器扉51,52は、左右方向に回動可能に設けてもよい。
【0017】
また、図3に例示するように、容器扉51,52は、複数の冷蔵室扉21,22が冷蔵室12の前面開口部13を閉塞した閉塞状態において、冷蔵庫10の正面側から見て、冷蔵室扉21と冷蔵室扉22との境界B1が容器扉51と容器扉52との境界B2に殆ど或いは完全に一致するように構成されている。即ち、複数の冷蔵室扉21,22が冷蔵室12の前面開口部13を閉塞した閉塞状態において、冷蔵室扉21と冷蔵室扉22との境界B1および容器扉51と容器扉52との境界B2は、冷蔵庫10の前後方向に沿って殆どあるいは完全に重なるように構成されている。
【0018】
また、複数の容器扉51,52は、複数の冷蔵室扉21,22が冷蔵室12の前面開口部13を閉塞した閉塞状態において、冷蔵庫10の正面側から見て、一の冷蔵室扉21と一の容器扉51とが冷蔵庫10の前後方向に沿って相互に対向し、且つ、一の冷蔵室扉21と他の容器扉52とが冷蔵庫10の前後方向に沿って相互に対向しない構成となっている。また、複数の容器扉51,52は、複数の冷蔵室扉21,22が冷蔵室12の前面開口部13を閉塞した閉塞状態において、冷蔵庫10の正面側から見て、他の冷蔵室扉22と他の容器扉52とが冷蔵庫10の前後方向に沿って相互に対向し、且つ、他の冷蔵室扉22と一の容器扉51とが冷蔵庫10の前後方向に沿って相互に対向しない構成となっている。
【0019】
また、冷蔵庫10は、複数の冷蔵室扉21,22が冷蔵室12の前面開口部13を閉塞した閉塞状態において、冷蔵庫10の正面側から見て、一の冷蔵室扉21と一の容器扉51とが冷蔵庫10の前後方向において重なり、他の冷蔵室扉22と他の容器扉52とが冷蔵庫10の前後方向において重なるように構成されている。また、冷蔵庫10は、複数の冷蔵室扉21,22が冷蔵室12の前面開口部13を閉塞した閉塞状態において、冷蔵庫10の側面側から見て、一の冷蔵庫扉21と他の冷蔵庫扉22とが冷蔵庫10の左右方向において重なり、閉塞状態にある一の容器扉51と他の容器扉52とが冷蔵庫10の左右方向において重なるように構成されている。
【0020】
このように構成される冷蔵庫10は、図4に例示するように、一の冷蔵室扉21が冷蔵室12の前面開口部13を開放した開放状態においては、使用者が冷蔵庫10の前面側から前面開口部13を介して一の容器扉51を開放可能な状態となる。また、閉塞状態で維持されている他の冷蔵室扉22に対応する他の容器扉52は、開放不能な状態のまま維持される。また、冷蔵庫10は、図5に例示するように、他の冷蔵室扉22が冷蔵室12の前面開口部13を開放した開放状態においては、使用者が冷蔵庫10の前面側から前面開口部13を介して他の容器扉52を開放可能な状態となる。また、閉塞状態で維持されている一の冷蔵室扉21に対応する一の容器扉51は、開放不能な状態のまま維持される。
【0021】
本実施形態に係る冷蔵庫10によれば、冷蔵室12のチルドエリア32内に1つの引き出し容器41が収容されており、この引き出し容器41の前部を開閉する容器扉51,52は、冷蔵室12の前面開口部13を開閉する複数、この場合、2つの冷蔵室扉21,22と同様の態様により、冷蔵室12の横方向に沿って複数、この場合、冷蔵室扉21,22に対応して2つに分割されている。より詳細には、冷蔵庫10は、複数の冷蔵室扉21,22が冷蔵室12の前面開口部13を閉塞した閉塞状態において、一の冷蔵室扉21と一の容器扉51とが前後方向に沿って相互に対向し、且つ、他の冷蔵室扉22と他の容器扉52とが前後方向に沿って相互に対向するように構成されている。そして、一の冷蔵室扉21が冷蔵室12の前面開口部13を開放した開放状態においては、一の容器扉51が開放可能な状態となり、一方、他の冷蔵室扉22が冷蔵室12の前面開口部13を開放した開放状態においては、他の容器扉52が開放可能な状態となる。
【0022】
この構成によれば、使用者は、複数の冷蔵室扉21,22の全てを開かなくとも、冷蔵室扉21およびこれに対応する容器扉51を開くことで、引き出し容器41に対する貯蔵物の出し入れを行うことができ、また、冷蔵室扉22およびこれに対応する容器扉52を開くことで、引き出し容器41に対する貯蔵物の出し入れを行うことができる。このように、冷蔵庫10によれば、複数の冷蔵室扉21,22のうち何れか一方を閉じたままの状態であっても、引き出し容器41に対する貯蔵物の出し入れを行うことができる。よって、引き出し容器41に対する貯蔵物の出し入れの際における冷蔵室12内の温度上昇を効果的に抑制することができる。
【0023】
また、冷蔵庫10によれば、冷蔵室12内において、冷蔵エリア31は、冷蔵室12の前面開口部13を閉塞した閉塞状態における複数の冷蔵室扉21,22の境界B1を横方向に跨るように連続して設けられている。この構成によれば、使用者は、複数の冷蔵室扉21,22の何れか一方を開くことにより、開かれていない冷蔵室扉21,22の裏側にも手を延ばすことができ、冷蔵エリア31内の広範囲にわたって貯蔵物を出し入れすることができる。このように、冷蔵庫10によれば、複数の冷蔵室扉21,22のうち何れか一方を閉じたままの状態であっても、冷蔵エリア31に対する貯蔵物の出し入れを行うことができ、冷蔵エリア31に対する貯蔵物の出し入れの際における冷蔵室12内の温度上昇も効果的に抑制することができる。
【0024】
また、冷蔵庫10によれば、容器扉51,52は、引き出し容器41の前部において回動可能に設けられている。この構成によれば、使用者は、容器扉51,52の開閉を容易に行うことができ、引き出し容器41に対する貯蔵物の出し入れを円滑に行うことができる。また、引き出し容器41に対する貯蔵物の出し入れが円滑に行われることで、冷蔵室扉21あるいは冷蔵室扉22が開かれている期間を短くすることができ、冷蔵室12内の温度上昇を一層抑制することができる。
【0025】
また、冷蔵庫10によれば、複数の容器扉51,52は、1本の共通の回動軸53によって回動可能に設けられている。この構成によれば、複数の容器扉51,52を回動可能に設けるための構成を、より少ない部品点数によって実現することができる。
【0026】
また、冷蔵庫10によれば、チルドエリア32内に収容されている1つの引き出し容器41の前部に複数の容器扉51,52が設けられている。この構成によれば、使用者は、複数の容器扉51,52の全てを開かなくとも、容器扉51を開くことで、引き出し容器41に対する貯蔵物の出し入れを行うことができ、また、容器扉52を開くことで、引き出し容器41に対する貯蔵物の出し入れを行うことができる。このように、冷蔵庫10によれば、複数の容器扉51,52のうち何れか一方を閉じたままの状態であっても、引き出し容器41に対する貯蔵物の出し入れを行うことができ、引き出し容器41に対する貯蔵物の出し入れの際におけるチルドエリア32内の温度上昇、ひいては、冷蔵室12内の温度上昇を効果的に抑制することができる。
【0027】
(第2実施形態)
図6に例示するように、第2実施形態では、冷蔵庫10は、複数の冷蔵室扉21,22および複数の容器扉51,52に対応して、複数の引き出し容器61,62を備えた構成となっている。つまり、冷蔵庫10は、複数の冷蔵室扉21,22が冷蔵室12の前面開口部13を閉塞した閉塞状態において、複数の引き出し容器61,62の前部に、複数の容器扉51,52および複数の冷蔵室扉21,22が配置される構成となっている。
【0028】
また、引き出し容器61,62は、複数の冷蔵室扉21,22が冷蔵室12の前面開口部13を閉塞した閉塞状態において、冷蔵庫10の正面側から見て、引き出し容器61と引き出し容器62との境界B3が冷蔵室扉21と冷蔵室扉22との境界B1および容器扉51と容器扉52との境界B2に殆ど或いは完全に一致するように構成されている。即ち、冷蔵庫10は、複数の冷蔵室扉21,22が冷蔵室12の前面開口部13を閉塞した閉塞状態において、冷蔵室扉21と冷蔵室扉22との境界B1、容器扉51と容器扉52との境界B2、および、引き出し容器61と引き出し容器62との境界B3が、冷蔵庫10の前後方向に沿って殆どあるいは完全に重なるように構成されている。
【0029】
また、冷蔵庫10は、冷蔵室扉21,22の内面においてチルドエリア32から引き出された引き出し容器61,62が当接可能な部分、この場合、無ドアポケット部26,27のうち回動軸23,24側の部分に傾斜面部71,72を備えている。傾斜面部71,72は、案内部の一例であり、無ドアポケット部26,27のうち回動軸23,24側の部分から回動軸23,24側とは反対側に向かって直線状に傾斜した平面部となっている。また、傾斜面部71,72は、回動軸23,24側が回動軸23,24側とは反対側よりも深く切り欠かれた平面部となっている。なお、傾斜面部71,72は、平面状に限られるものではなく、例えば、湾曲面状に形成してもよい。
【0030】
図7に例示するように、冷蔵室扉21および容器扉51が開かれて、これら冷蔵室扉21および容器扉51に対応する引き出し容器61がチルドエリア32内から引き出されたときにおいて、冷蔵室扉21の回動角度が比較的小さい場合、少なくとも、閉塞状態からの回動角度が90度以下である場合には、引き出される引き出し容器61の前端部が傾斜面部71に当接する可能性がある。そして、引き出し容器61の前端部が傾斜面部71に当接した場合において、使用者が、さらに引き出し容器61を手前側に引き出すと、傾斜面部71に当接した引き出し容器61の前端部が当該傾斜面部71の表面をスライドしながら移動する。これにより、引き出し容器61を引き出そうとする力が冷蔵室扉21を開こうとする方向に作用するようになり、引き出し容器61を引き出しながら冷蔵室扉21を開くことができる。
【0031】
なお、詳しい説明は省略するが、冷蔵室扉22および容器扉52が開かれて、これら冷蔵室扉22および容器扉52に対応する引き出し容器62がチルドエリア32内から引き出される場合においても、引き出される引き出し容器62の前端部が傾斜面部72に当接する場合には、さらに引き出し容器62が引き出されることに伴い、冷蔵室扉22を開くことが可能である。
【0032】
冷蔵庫10によれば、冷蔵室12のチルドエリア32内に設けられる貯蔵容器も、複数の冷蔵室扉21,22および複数の容器扉51,52と同様の態様により分割されて、複数の引き出し容器61,62として備えられている。この構成によれば、使用者は、冷蔵室扉21およびこれに対応する容器扉51を開くことで、引き出し容器61に対する貯蔵物の出し入れを行うことができ、また、冷蔵室扉22およびこれに対応する容器扉52を開くことで、引き出し容器62に対する貯蔵物の出し入れを行うことができる。このように、冷蔵庫10によれば、複数の冷蔵室扉21,22のうち何れか一方を閉じたままの状態であっても、引き出し容器61あるいは引き出し容器62に対する貯蔵物の出し入れを行うことができ、引き出し容器61,62に対する貯蔵物の出し入れの際における冷蔵室12内の温度上昇を効果的に抑制することができる。
【0033】
また、冷蔵庫10によれば、引き出し容器61,62をチルドエリア32内から引き出した状態で貯蔵物の出し入れを行うことができ、引き出し容器61,62に対する貯蔵物の出し入れを一層行いやすくすることができる。
【0034】
また、使用者は、複数の引き出し容器61,62のうち、貯蔵物を収容したい引き出し容器を引き出し、一方、引き出しが不要な引き出し容器はチルドエリア32内に残したままとすることができる。よって、引き出しが不要な引き出し容器61,62内の温度上昇を効果的に抑制することができる。
【0035】
また、冷蔵庫10によれば、冷蔵室扉21,22の内面において引き出し容器61,62に対向する部分に、ドアポケット25が備えられていない無ドアポケット部26,27が設けられている。この構成によれば、チルドエリア32内から引き出し容器61,62を引き出す際に、その引き出された引き出し容器61,62がドアポケット25に衝突することを抑制することができ、引き出し容器61,62の引き出しを円滑に行うことができる。
【0036】
また、冷蔵庫10によれば、冷蔵室扉21,22の内面においてチルドエリア32内から引き出された引き出し容器61,62が当接可能な部分に、当接した引き出し容器61,62をスライド移動可能に案内する傾斜面部71,72を備えている。この構成によれば、チルドエリア32内から引き出されて傾斜面部71,72に当接した引き出し容器61,62が、さらに前側に引き出されることに伴い、引き出し容器61,62を引き出そうとする力を傾斜面部71,72を介して冷蔵室扉21,22を開けようとする力として作用させることができる。よって、引き出し容器41を引き出そうとする力を利用して冷蔵室扉21,22を開けることができる。
【0037】
(第3実施形態)
図8に例示するように、第3実施形態では、冷蔵庫10は、チルドエリア32内に収容される複数の引き出し容器61,62の間に仕切り部81を備えている。仕切り部81は、チルドエリア32の横方向のほぼ中央部において冷蔵庫10の前後方向に沿って直線状に延びる板状の部材である。また、仕切り部81は、冷蔵庫10の正面側から見て、複数の容器扉51,52の間に位置している。即ち、仕切り部81は、冷蔵庫10の正面側から見て、容器扉51と容器扉52との境界B2に殆どあるいは完全に一致するように配置されている。
【0038】
冷蔵庫10によれば、引き出し容器61,62の何れか一方がチルドエリア32内から引き出された状態において、引き出されていない引き出し容器側に外気が流れ込むことを仕切り部81によって抑制することができる。よって、引き出しが不要な引き出し容器61,62内の温度上昇を効果的に抑制することができる。
【0039】
なお、図9に例示するように、冷蔵庫10は、板状の仕切り部81ではなく、貯蔵物を貯蔵可能な容器状の仕切り部82を備える構成としてもよい。この仕切り部82は、チルドエリア32の内部に、断熱箱体11の前後方向、換言すれば、当該チルドエリア32の前後方向に沿って出し入れ可能に収容されている。即ち、この仕切り部82も、いわゆる引き出し式の容器である。そして、仕切り部82は、複数の冷蔵室扉21,22が開放され、且つ、複数の容器扉51,52が開放されると、冷蔵庫10の前側に引き出し可能な状態となるようになっている。この構成によれば、仕切り部82内にも貯蔵物を収容することができ、冷蔵庫10全体として、貯蔵物の収容可能容量の増大を図ることができる。
【0040】
また、詳しい図示は省略するが、冷蔵庫10は、第1実施形態において例示した1つの引き出し容器41の内部に仕切り部を備える構成としてもよい。この場合、仕切り部は、引き出し容器41内において横方向に位置調整可能に構成してもよい。また、1つの引き出し容器41の内部に設ける仕切り部は、板状であってもよいし、容器状であってもよい。
【0041】
(第4実施形態)
図10に例示するように、第4実施形態では、チルドエリア32は、断熱箱体11の上下方向に沿って複数に分割されており、複数、この場合、2つの分割貯蔵エリア32A,32Bを有している。そして、これら複数の分割貯蔵エリア32A,32Bのうち、一の分割貯蔵エリアである分割貯蔵エリア32Aは、チルドエリア32の下段を構成している。この場合、分割貯蔵エリア32A内には、製氷用の水を製氷室に供給する給水タンク91が収容されている。また、分割貯蔵エリア32A内には、引き出し容器92が収容されている。給水タンク91および引き出し容器92は、分割貯蔵エリア32Aの内部において左右方向に並んで収容されている。また、分割貯蔵エリア32Aは、当該分割貯蔵エリア32A内に収容されている引き出し容器92の前部を開閉する容器扉を設けた構成としてもよいし、設けない構成としてもよい。
【0042】
一方、複数の分割貯蔵エリア32A,32Bのうち、他の分割貯蔵エリアである分割貯蔵エリア32Bは、チルドエリア32の上段を構成している。この場合、分割貯蔵エリア32B内には、1つの引き出し容器93が収容されている。そして、この1つの引き出し容器93の前部には、複数、この場合、2つの容器扉94,95が設けられている。これら容器扉94,95は、冷蔵室12の前面開口部13を開閉する複数の冷蔵室扉21,22と同様の態様により、冷蔵室12の横方向に沿って複数、この場合、冷蔵室扉21,22に対応して2つに分割されている。また、容器扉94,95は、1つの共通の回動軸53によって上下方向に回動可能に設けられている。
【0043】
そして、冷蔵庫10は、複数の冷蔵室扉21,22が冷蔵室12の前面開口部13を閉塞した閉塞状態において、一の冷蔵室扉21と一の容器扉94とが前後方向に沿って相互に対向し、且つ、他の冷蔵室扉22と他の容器扉95とが前後方向に沿って相互に対向するように構成されている。そして、一の冷蔵室扉21が冷蔵室12の前面開口部13を開放した開放状態においては、使用者が冷蔵庫10の前面側から前面開口部13を介して一の容器扉94が開放可能な状態となり、一方、他の冷蔵室扉22が冷蔵室12の前面開口部13を開放した開放状態においては、使用者が冷蔵庫10の前面側から前面開口部13を介して他の容器扉95が開放可能な状態となる。
【0044】
この構成によっても、使用者は、複数の冷蔵室扉21,22の全てを開かなくとも、冷蔵室扉21およびこれに対応する容器扉94を開くことで、引き出し容器93に対する貯蔵物の出し入れを行うことができ、また、冷蔵室扉22およびこれに対応する容器扉95を開くことで、引き出し容器93に対する貯蔵物の出し入れを行うことができる。このように、冷蔵庫10によれば、複数の冷蔵室扉21,22のうち何れか一方を閉じたままの状態であっても、引き出し容器93に対する貯蔵物の出し入れを行うことができ、引き出し容器93に対する貯蔵物の出し入れの際における冷蔵室12内の温度上昇を効果的に抑制することができる。なお、冷蔵庫10は、分割貯蔵エリア32Bの内部に、冷蔵庫扉21,22および容器扉94,95に対応させて、複数の引き出し容器を分割して備える構成としてもよい。
【0045】
(その他の実施形態)
なお、本実施形態は、上述した複数の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の変形または拡張をすることができる。例えば、上述した複数の実施形態を適宜組み合わせて実施してもよい。また、貯蔵容器の前部を開閉する容器扉は、回動可能に設ける構成に限られず、例えば、断熱箱体11の左右方向あるいは上下方向に沿ってスライド移動可能に設けてもよい。また、冷蔵庫10は、容器扉を、3つ以上の複数に分割した構成としてもよい。また、貯蔵容器は、引き出し式の容器に限られるものではなく、例えば嵌め込み式などの引き出し式以外の容器であってもよい。また、本実施形態は、冷蔵室12以外の貯蔵室にも適用可能である。
【0046】
また、冷蔵庫10は、複数の貯蔵室扉の大きさ、特に、冷蔵庫10の左右方向における大きさを異ならせた構成としてもよい。この場合、冷蔵庫10は、大きさが異なる貯蔵室扉の分割態様に合わせて、複数の容器扉の大きさ、特に、冷蔵庫10の左右方向における大きさも異ならせるように構成するとよい。また、冷蔵庫10は、一の貯蔵室扉が前面開口部を開放した開放状態において、一の容器扉が開放可能であり、且つ、他の貯蔵室扉が前面開口部を開放した開放状態において、他の容器扉が開放可能である構成としてもよい。
【0047】
以上、本発明の複数の実施形態を説明したが、本実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0048】
図面中、10は冷蔵庫、11は断熱箱体(冷蔵庫本体)、12は冷蔵室(貯蔵室)、13は貯蔵室の前面開口部、21,22は冷蔵室扉(貯蔵室扉)、25はドアポケット、26,27は無ドアポケット部、31は冷蔵エリア(第1貯蔵エリア)、32はチルドエリア(第2貯蔵エリア)、32A,32Bは分割貯蔵エリア、41,61,62,92,93は引き出し容器(貯蔵容器)、51,52,94,95は容器扉、53は回動軸、71,72は傾斜面部(案内部)、81,82は仕切り部、91は給水タンクを示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10