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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】衣類処理装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/32 20200101AFI20220914BHJP
   D06F 103/32 20200101ALN20220914BHJP
   D06F 103/38 20200101ALN20220914BHJP
   D06F 105/12 20200101ALN20220914BHJP
   D06F 105/60 20200101ALN20220914BHJP
【FI】
D06F58/32
D06F103:32
D06F103:38
D06F105:12
D06F105:60
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018213783
(22)【出願日】2018-11-14
(65)【公開番号】P2020078512
(43)【公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】徳岡 太陽
(72)【発明者】
【氏名】神沢 和則
【審査官】田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0139402(US,A1)
【文献】特開2016-049160(JP,A)
【文献】特開2004-350981(JP,A)
【文献】特開2015-066328(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0006886(US,A1)
【文献】特開2005-137503(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/22,58/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類を乾燥する乾燥工程を含む運転を実行することができる衣類処理装置であって、
前記衣類が収容される収容槽と、
前記収容槽に向けて送風する送風動作を実行可能な送風装置と、前記送風装置による送風を加熱して温風化する加熱動作を実行可能な加熱装置と、を有し、前記収容槽に対し循環風路を通して温風を循環供給する温風供給装置と、
前記循環風路中に設けられリントを捕獲するフィルタと、
前記循環風路において前記加熱装置よりも空気の流れの下流側であり且つ前記フィルタよりも空気の流れの上流側における温度を検出する第1温度検出部と、
前記第1温度検出部により検出された温度である第1検出温度に基づいて前記フィルタの詰まりを検知する詰まり検知部と、
を備え
前記詰まり検知部は、前記加熱動作および前記送風動作の双方が実行される動作状態から前記加熱動作が停止されるとともに前記送風動作が実行される動作状態へと遷移した時点から所定の判定時間が経過した後、前記第1検出温度が所定の判定温度以上である場合に前記フィルタに詰まりが生じていることを検知する衣類処理装置。
【請求項2】
衣類を乾燥する乾燥工程を含む運転を実行することができる衣類処理装置であって、
前記衣類が収容される収容槽と、
前記収容槽に向けて送風する送風動作を実行可能な送風装置と、前記送風装置による送風を加熱して温風化する加熱動作を実行可能な加熱装置と、を有し、前記収容槽に対し循環風路を通して温風を循環供給する温風供給装置と、
前記循環風路中に設けられリントを捕獲するフィルタと、
前記循環風路において前記加熱装置よりも空気の流れの下流側であり且つ前記フィルタよりも空気の流れの上流側における温度を検出する第1温度検出部と、
前記第1温度検出部により検出された温度である第1検出温度に基づいて前記フィルタの詰まりを検知する詰まり検知部と、
前記循環風路において前記フィルタよりも空気の流れの下流側であり且つ前記送風装置よりも空気の流れの上流側における温度を検出する第2温度検出部と、
を備え
前記詰まり検知部は、前記加熱動作および前記送風動作の双方が実行される動作状態から前記加熱動作が停止されるとともに前記送風動作が実行される動作状態へと遷移した時点から所定の判定時間が経過した後、前記第1検出温度と前記第2温度検出部により検出された温度である第2検出温度との温度差が所定の判定温度差以上である場合に前記フィルタに詰まりが生じていることを検知する衣類処理装置。
【請求項3】
前記詰まり検知部は、前記加熱動作および前記送風動作の双方が実行される動作状態が所定の判定時間だけ継続した後、前記第1検出温度が所定の判定温度以上である場合に前記フィルタに詰まりが生じていることを検知する請求項1または2に記載の衣類処理装置。
【請求項4】
前記循環風路において前記フィルタよりも空気の流れの下流側であり且つ前記送風装置よりも空気の流れの上流側における温度を検出する第2温度検出部を備え、
前記詰まり検知部は、前記加熱動作および前記送風動作の双方が実行される動作状態が所定の判定時間だけ継続した後、前記第1検出温度と前記第2温度検出部により検出された温度である第2検出温度との温度差が所定の判定温度差以上である場合に前記フィルタに詰まりが生じていることを検知する請求項1または2に記載の衣類処理装置。
【請求項5】
衣類を乾燥する乾燥工程を含む運転を実行することができる衣類処理装置であって、
前記衣類が収容される収容槽と、
前記収容槽に向けて送風する送風動作を実行可能な送風装置と、前記送風装置による送風を加熱して温風化する加熱動作を実行可能な加熱装置と、を有し、前記収容槽に対し循環風路を通して温風を循環供給する温風供給装置と、
前記循環風路中に設けられリントを捕獲するフィルタと、
前記循環風路において前記加熱装置よりも空気の流れの下流側であり且つ前記フィルタよりも空気の流れの上流側における温度を検出する第1温度検出部と、
前記第1温度検出部により検出された温度である第1検出温度に基づいて前記フィルタの詰まりを検知する詰まり検知部と、
を備え
前記衣類の洗濯から乾燥までの工程を自動的に行う洗濯乾燥運転を実行可能であり、
前記洗濯乾燥運転には、前記衣類を脱水するとともに前記加熱動作および前記送風動作の双方を実行することにより前記衣類を加熱するプリヒート脱水工程と、前記プリヒート脱水工程の実行後に続けて行われる工程であり前記加熱動作を停止するとともに前記送風動作を実行する工程と、が含まれ、
前記詰まり検知部は、前記プリヒート脱水工程の終了時点から所定の判定時間が経過した後、前記第1検出温度が所定の判定温度以上である場合に前記フィルタに詰まりが生じていることを検知する衣類処理装置。
【請求項6】
衣類を乾燥する乾燥工程を含む運転を実行することができる衣類処理装置であって、
前記衣類が収容される収容槽と、
前記収容槽に向けて送風する送風動作を実行可能な送風装置と、前記送風装置による送風を加熱して温風化する加熱動作を実行可能な加熱装置と、を有し、前記収容槽に対し循環風路を通して温風を循環供給する温風供給装置と、
前記循環風路中に設けられリントを捕獲するフィルタと、
前記循環風路において前記加熱装置よりも空気の流れの下流側であり且つ前記フィルタよりも空気の流れの上流側における温度を検出する第1温度検出部と、
前記第1温度検出部により検出された温度である第1検出温度に基づいて前記フィルタの詰まりを検知する詰まり検知部と、
を備え
前記衣類の洗濯から乾燥までの工程を自動的に行う洗濯乾燥運転を実行可能であり、
前記洗濯乾燥運転には、前記衣類を脱水するとともに前記加熱動作および前記送風動作の双方を実行することにより前記衣類を加熱するプリヒート脱水工程と、前記プリヒート脱水工程の実行後に続けて行われる工程であり前記加熱動作を停止するとともに前記送風動作を実行する工程と、が含まれ、
前記循環風路において前記フィルタよりも空気の流れの下流側であり且つ前記送風装置よりも空気の流れの上流側における温度を検出する第2温度検出部を備え、
前記詰まり検知部は、前記プリヒート脱水工程の終了時点から所定の判定時間が経過した後、前記第1検出温度と前記第2温度検出部により検出された温度である第2検出温度との温度差が所定の判定温度差以上である場合に前記フィルタに詰まりが生じていることを検知する衣類処理装置。
【請求項7】
前記乾燥工程の実行前または実行中に前記詰まり検知部によって前記フィルタの詰まりが検知された場合、前記乾燥工程の終了時点よりも前の時点において、前記フィルタの詰まりが生じたことを報知する報知部を備える請求項1からのいずれか一項に記載の衣類処理装置。
【請求項8】
前記報知部は、前記乾燥工程の実行前に前記詰まり検知部によって前記フィルタの詰まりが検知された場合、前記乾燥工程の開始時点よりも前の時点において、前記フィルタの詰まりが生じたことを報知する請求項に記載の衣類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、衣類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば洗濯乾燥機など、衣類を乾燥する乾燥工程を含む運転を実行することができる衣類処理装置では、乾燥によって衣類から発生する糸くずなどの異物いわゆるリントを除去するため、乾燥のための温風の循環風路中にフィルタが設けられている。フィルタが目詰まりすると、乾燥性能が低下するなどの問題が生じる。そのため、フィルタの目詰まりを検知する技術が種々考えられているが、それら従来技術は、検知精度が十分に高いとは言えないものであった。
【0003】
このような事情から、従来の洗濯乾燥機では、実際に目詰まりが生じているかどうかに関係なく、毎回の運転の実行後、所定回数の運転の実行後などにおいて、LEDの点灯、ブザーの鳴動などの報知動作を行い、ユーザに対してフィルタの掃除を促すようになっていた。しかし、このような方法では、フィルタに目詰まりが生じていないのに報知動作が実行されてしまったり、逆に、フィルタに目詰まりが生じているのに報知動作が実行されなかったりするおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-49160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、フィルタの詰まりを精度良く検知することができる衣類処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の衣類処理装置は、衣類を乾燥する乾燥工程を含む運転を実行することができる衣類処理装置であって、前記衣類が収容される収容槽と、前記収容槽に向けて送風する送風動作を実行可能な送風装置と、前記送風装置による送風を加熱して温風化する加熱動作を実行可能な加熱装置と、を有し、前記収容槽に対し循環風路を通して温風を循環供給する温風供給装置と、前記循環風路中に設けられリントを捕獲するフィルタと、前記循環風路において前記加熱装置よりも空気の流れの下流側であり且つ前記フィルタよりも空気の流れの上流側における温度を検出する第1温度検出部と、前記第1温度検出部により検出された温度である第1検出温度に基づいて前記フィルタの詰まりを検知する詰まり検知部と、を備える。前記詰まり検知部は、前記加熱動作および前記送風動作の双方が実行される動作状態から前記加熱動作が停止されるとともに前記送風動作が実行される動作状態へと遷移した時点から所定の判定時間が経過した後、前記第1検出温度が所定の判定温度以上である場合に前記フィルタに詰まりが生じていることを検知する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係る洗濯乾燥機の上半部の一部を破断して示す側面図
図2】一実施形態に係る洗濯乾燥機に設けられた循環風路とその周辺構成を模式的に示す図
図3】一実施形態に係る洗濯乾燥機の電気的構成を示す図
図4】一実施形態に係るプリヒート脱水工程から乾燥工程へと遷移する際における第1検出温度および第2検出温度を模式的に示す図
図5】一実施形態に係る乾燥フィルタの詰まりを検知するための第1検知方法の内容を模式的に示す図
図6】一実施形態に係る乾燥フィルタの詰まりを検知するための第2検知方法の内容を模式的に示す図
図7】一実施形態に係る乾燥フィルタの詰まりを検知するための第3検知方法の内容を模式的に示す図
図8】一実施形態に係る乾燥フィルタの詰まりを検知するための第4検知方法の内容を模式的に示す図
図9】第1実施形態に係る報知処理の内容を模式的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、衣類処理装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の洗濯乾燥機1は、ドラム式の洗濯乾燥機である。洗濯乾燥機1は、衣類を乾燥する乾燥工程を含む運転を実行することができるものであり、衣類処理装置の一例である。洗濯乾燥機1は、乾燥工程を含む運転として乾燥運転および洗濯乾燥運転を実行可能である。洗濯乾燥運転では、衣類を洗濯する工程(洗い、すすぎ、脱水など)から乾燥工程までの工程が自動的に行われる。
【0009】
洗濯乾燥機1の外郭をなす略矩形箱の外箱2は、図1で左側の前面2a(正面)中央に、衣類投入口を開閉可能なドア3を備えている。外箱2の上部には、前面2a側に操作パネル4が設けられ、後面側に制御手段としての制御装置5が設けられている。外箱2の内部には、乾燥室としても機能する貯水可能な水槽6が横軸状で且つ前上がりの傾斜状に配設されている。水槽6の内部には、ドラム7が水槽6と平行で且つ同心状に配設されており、ドラム7を駆動するモータ8が水槽6の背部に取り付けられている。
【0010】
ドラム7は、多孔状を成しており(孔は一部のみを図示)、その内部7aに上記衣類投入口を通して衣類が出し入れ可能に収容されるものであり、収容槽に相当する。ドラム7は、洗濯時には洗濯槽として、脱水時には脱水槽として、乾燥時には乾燥槽(乾燥室)として機能する。モータ8は、例えばアウターロータ形のDCブラシレスモータからなり、制御装置5により洗濯運転および乾燥運転に応じて駆動制御される。
【0011】
図1および図2に示すように、水槽6の外側には、水槽6およびドラム7内に連通するように接続された循環風路10が設けられている。水槽6は、その周壁部における前側上部に出口6a、後側上部に入口6bを有する。循環風路10には、水槽6の出口6a側に位置する出口側ダクト11と、水槽6の入口6b側に位置する入口側ダクト12と、が含まれる。
【0012】
図2に示すように、循環風路10には、ヒータユニット13が設けられている。ヒータユニット13は、ドラム7に対し循環風路10を通して温風を循環供給するものであり、温風供給装置に相当する。ヒータユニット13は、ファン14およびヒータ15を有する。ファン14は、ドラム7に向けて送風する送風動作を実行可能なものであり、送風装置に相当する。ヒータ15は、ファン14による送風を加熱して温風化する加熱動作を実行可能なものであり、加熱装置に相当する。ヒータユニット13の動作、つまりファン14による送風動作およびヒータ15による加熱動作は、制御装置5により制御される。
【0013】
ヒータユニット13により生成された温風は、ヒータユニット13の出口13aから吹き出される。その吹き出される温風は、図2の矢印で示すように、入口側ダクト12を経由して入口6bから水槽6およびドラム7内に吐出される一方、水槽6の出口6a(出口側ダクト11)から乾燥に寄与した後の水分を含んだ温風が循環風路10内へ戻り、再び加熱されて水槽6およびドラム7内に供給する循環を繰り返す。そこで、加熱効率を上げるべく加熱前に空気中の水分を取り除くために、循環風路10内に除湿ユニットを設けるようにしてもよい。この場合の除湿ユニットは、例えば温風に対する注水により、その温風に含まれる水分が結露して除湿する水冷除湿タイプの熱交換器を用いることができる。
【0014】
循環風路10の途中部位、具体的には、出口側ダクト11の途中部位には、乾燥フィルタ16が設けられている。このように循環風路10中に設けられた乾燥フィルタ16は、循環風路10中に存在する糸くずなどの異物であるリントを捕獲するもので、フィルタに相当する。乾燥フィルタ16としては、合成樹脂などで形成された細かい網目状のもの、または繊維質を絡めて形成したものなどを利用することができる。
【0015】
ヒータユニット13の出口13a近傍には、吹き出し部温度センサ17が設けられている。吹き出し部温度センサ17は、ヒータユニット13の出口13a近傍、つまり温風の吹き出し部の温度を検出する。つまり、吹き出し部温度センサ17は、循環風路10においてヒータ15よりも空気の流れの下流側であり且つ乾燥フィルタ16よりも空気の流れの上流側における温度を検出するものであり、第1温度検出部に相当する。なお、以下では、循環風路10における空気の流れの上流側および下流側のことを、単に上流側および下流側と呼ぶこととする。
【0016】
出口側ダクト11において乾燥フィルタ16の下流側の近傍には、出口部温度センサ18が設けられている。出口部温度センサ18は、乾燥フィルタ16の下流側の近傍の温度を検出する。つまり、出口部温度センサ18は、乾燥フィルタ16よりも下流側であり且つファン14よりも上流側における温度を検出するものであり、第2温度検出部に相当する。吹き出し部温度センサ17および出口部温度センサ18は、例えばサーミスタで構成されている。
【0017】
制御装置5は、例えばCPU、ROM、RAMなどを備えるマイクロコンピュータを主体に構成されたものであり、CPUがROMなどの記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムを実行することにより洗濯乾燥機1の動作全般を制御する。図3に示すように、制御装置5には、操作パネル4、吹き出し部温度センサ17、出口部温度センサ18、モータ8、ファン14、ヒータ15、報知部21などが接続されている。
【0018】
操作パネル4は、ユーザが洗濯乾燥機1に関する各種の設定および指示などを行うための操作部、洗濯乾燥機1に関する各種の情報の表示を行う表示部などから構成されている。制御装置5は、上記操作部に対する操作に応じて所定の制御を実行するとともに、上記表示部への表示を制御する。制御装置5は、モータ8、ファン14およびヒータ15の動作を制御する。
【0019】
制御装置5には、吹き出し部温度センサ17から出力される温度検出信号および出口部温度センサ18から出力される温度検出信号が入力されている。制御装置5は、これら温度検出信号に基づいて、吹き出し部温度センサ17により検出された温度である第1検出温度および出口部温度センサ18により検出された温度である第2検出温度を取得する。報知部21は、図示しないブザー、操作パネル4の表示部(例えば、LED、液晶表示器)などを利用してユーザに対する報知動作を実行するものである。制御装置5は、報知部21の動作を制御することにより、ユーザに対して後述する乾燥フィルタ16の詰まりなどの異常(エラー)を報知する。
【0020】
制御装置5は、重量検出部22および詰まり検知部23を備えている。重量検出部22および詰まり検知部23は、制御装置5のCPUがROMなどの記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムを実行することにより、つまりソフトウェアにより実現されている。なお、制御装置5は、重量検出部22および詰まり検知部23を、集積回路などのハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせにより実現してもよい。
【0021】
重量検出部22は、ドラム7内部に収容された衣類(洗濯物)の重量を検出することができる。重量検出部22は、例えばモータ8のベクトル制御におけるq軸電流を測定することによってモータ8に作用している現在の負荷を検出し、その負荷に基づいてドラム7内部の衣類の重量を測定することができる。また、重量検出部22は、例えば目標回転数とその実際の回転数との差からモータ8の負荷を検出してもよい。
【0022】
詰まり検知部23は、乾燥フィルタ16の網などの目が異物で詰まっていないか、つまり目詰まりが生じていないかどうかを検知することができる。詳細は後述するが、詰まり検知部23は、第1検出温度に基づいて乾燥フィルタ16の詰まりを検知することができる。また、詰まり検知部23は、第1検出温度および第2検出温度に基づいて乾燥フィルタ16の詰まりを検知することができる。
【0023】
図4は、洗濯乾燥運転において、プリヒート脱水工程から重量センシング工程を経て乾燥工程へと遷移する際における第1検出温度および第2検出温度を模式的に示している。プリヒート脱水工程は、衣類を脱水するとともにヒータ15による加熱動作およびファン14による送風動作の双方を実行することにより衣類を加熱する工程である。重量センシング工程は、プリヒート脱水行程の実行後に続けて行われる工程であり、ヒータ15による加熱動作を停止するとともにファン14による送風動作を実行しながら衣類の重量を検出する工程である。衣類の重量の検出は、重量検出部22により実行される。
【0024】
なお、重量センシング工程において、ヒータ15による加熱動作を停止する理由は、次の通りである。すなわち、重量センシング工程では、ドラム7の回転数が急激に上昇することから、モータ8を駆動する駆動回路などにおいて大きな突入電流が流れる。このような状態で、ヒータ15による加熱動作を実行すると、洗濯乾燥機1全体での消費電力が、その電力容量を超えるおそれがある。そこで、重量センシング工程では、ヒータ15による加熱動作を停止するようになっている。
【0025】
また、重量センシング工程において、ファン14による送風動作を停止する理由は、次の通りである。ファン14による送風動作が停止されると、循環風路10内における空気の流れが無くなってしまい、循環風路10内の温度を検出するサーミスタの温度が上昇してしまう。そこで、重量センシング工程では、ファン14による送風動作を停止せずに継続して実行するようになっている。
【0026】
図4では、乾燥フィルタ16に詰まりが生じていない場合における第1検出温度を二点鎖線で表すとともに符号Taを付し、乾燥フィルタ16に詰まりが生じていない場合における第2検出温度を点線で表すとともに符号Tbを付している。また、図4では、乾燥フィルタ16に詰まりが生じている場合における第1検出温度を一点鎖線で表すとともに符号Tcを付し、乾燥フィルタ16に詰まりが生じている場合における第2検出温度を実線で表すとともに符号Tdを付している。
【0027】
図4に示すように、第1検出温度および第2検出温度は、乾燥フィルタ16に詰まりが生じている場合と、乾燥フィルタ16に詰まりが生じていない場合とで、異なる変化の態様を示している。具体的には、乾燥フィルタ16に詰まりが生じていると、送風が弱められるためにヒータ15が冷まされず、第1検出温度が低下し難くなる。また、乾燥フィルタ16に詰まりが生じていると、送風が弱められるために出口部温度センサ18に温風が届き難くなり、第2検出温度が上昇し難くなる。本実施形態では、このような点に着目し、詰まり検知部23は、以下において説明する各種の検知方法により、乾燥フィルタ16の詰まりを検知するようになっている。
【0028】
[1]第1検知方法
第1検知方法は、加熱動作および送風動作の双方が実行される動作状態から加熱動作が停止されるとともに送風動作が実行される動作状態へと遷移した時点から所定の判定時間が経過した後、第1検出温度が所定の判定温度以上である場合に乾燥フィルタ16に詰まりが生じていることを検知する方法である。具体的には、詰まり検知部23は、洗濯乾燥運転の実行中に、このような第1検知方法により乾燥フィルタ16の詰まりを検知することができる。以下、このような第1検知方法の具体的な適用例について、図5のフローチャートを参照して説明する。
【0029】
まず、ステップS100では、プリヒート脱水工程が終了したか否かが判断される。プリヒート脱水工程が終了すると、ステップS100で「YES」となり、ステップS200に進む。ステップS200では、重量センシング工程が開始されることから、ヒータ15による加熱動作が停止される。ステップS200の次に実行されるステップS300では、プリヒート脱水工程から重量センシング工程へと遷移した時点(図4の時刻t2)から判定時間が経過したか否かが判断される。なお、判定時間は、任意の時間に設定することができる。ただし、乾燥工程の開始時点までに、乾燥フィルタ16の詰まりに関するエラーを報知可能とするためには、判定時間を図4の時刻t2~t3の期間よりも短い時間に設定する必要がある。
【0030】
プリヒート脱水工程から重量センシング工程へと遷移した時点から判定時間が経過すると、ステップS300で「YES」となり、ステップS400に進む。ステップS400では、第1検出温度が判定温度以上であるか否かが判断される。判定温度は、洗濯乾燥機1の仕様などに応じて任意の温度に設定することができる。例えば、判定温度は、事前に実験やシミュレーションなどを行うことにより、乾燥フィルタ16の詰まり検知の精度を高めつつ、誤検知が生じ難い適切な値に設定すればよい。
【0031】
ここで、第1検出温度が判定温度未満である場合、ステップS400で「NO」となり、本処理が終了となる。一方、第1検出温度が判定温度以上である場合、乾燥フィルタ16に詰まりが生じていると判断され、ステップS400で「YES」となり、ステップS500に進む。詳細は後述するが、ステップS500は、乾燥フィルタ16の詰まりが生じたことを報知するための報知処理である。ステップS500の実行後、本処理が終了となる。
【0032】
このように、第1検知方法の具体的な適用例では、詰まり検知部23は、プリヒート脱水工程の終了時点から所定の判定時間が経過した後、第1検出温度が所定の判定温度以上である場合に乾燥フィルタ16に詰まりが生じていることを検知するようになっている。つまり、この場合、プリヒート脱水工程が、加熱動作および送風動作の双方が実行される動作状態に相当し、重量センシング工程が、加熱動作が停止されるとともに送風動作が実行される動作状態に相当する。
【0033】
[2]第2検知方法
第2検知方法は、加熱動作および送風動作の双方が実行される動作状態から加熱動作が停止されるとともに送風動作が実行される動作状態へと遷移した時点から所定の判定時間が経過した後、第1検出温度と第2検出温度との温度差が所定の判定温度差以上である場合に乾燥フィルタ16に詰まりが生じていることを検知する方法である。具体的には、詰まり検知部23は、洗濯乾燥運転の実行中に、このような第2検知方法により乾燥フィルタ16の詰まりを検知することができる。以下、このような第2検知方法の具体的な適用例について、図6のフローチャートを参照して説明する。
【0034】
第2検知方法の具体的な適用例は、図5に示した第1検知方法の具体的な適用例に対し、ステップS400に代えてステップS410が設けられている点などが異なる。この場合、プリヒート脱水工程から重量センシング工程へと遷移した時点から判定時間が経過すると、ステップS300で「YES」となり、ステップS410に進む。ステップS410では、第1検出温度から第2検出温度を減算して得られる第1検出温度と第2検出温度との温度差が判定温度差以上であるか否かが判断される。
【0035】
判定温度差は、判定温度と同様、洗濯乾燥機1の仕様などに応じて任意の温度に設定することができる。例えば、判定温度差は、事前に実験やシミュレーションなどを行うことにより、乾燥フィルタ16の詰まり検知の精度を高めつつ、誤検知が生じ難い適切な値に設定すればよい。ここで、温度差が判定温度差未満である場合、ステップS410で「NO」となり、本処理が終了となる。一方、温度差が判定温度差以上である場合、乾燥フィルタ16に詰まりが生じていると判断され、ステップS410で「YES」となり、ステップS500に進む。
【0036】
このように、第2検知方法の具体的な適用例では、詰まり検知部23は、プリヒート脱水工程の終了時点から所定の判定時間が経過した後、第1検出温度と第2検出温度との温度差が所定の判定温度差以上である場合に乾燥フィルタ16に詰まりが生じていることを検知するようになっている。
【0037】
[3]第3検知方法
第3検知方法は、加熱動作および送風動作の双方が実行される動作状態が所定の判定時間だけ継続した後、第1検出温度が所定の判定温度以上である場合に乾燥フィルタ16に詰まりが生じていることを検知する方法である。具体的には、詰まり検知部23は、洗濯乾燥運転の実行中に、このような第3検知方法により乾燥フィルタ16の詰まりを検知することができる。以下、このような第3検知方法の具体的な適用例について、図7のフローチャートを参照して説明する。
【0038】
第3検知方法の具体的な適用例は、図5に示した第1検知方法の具体的な適用例に対し、ステップS100およびS200に代えてステップS110が設けられている点、ステップS300に代えてステップS310が設けられている点などが異なる。まず、ステップS110では、加熱動作および送風動作の双方が実行されているか否かが判断される。洗濯乾燥運転では、プリヒート脱水工程中または乾燥行程中に、加熱動作および送風動作の双方が実行される。したがって、プリヒート脱水工程が開始された場合、または、乾燥工程が開始された場合、ステップS110で「YES」となり、ステップS310に進む。
【0039】
ステップS310では、プリヒート脱水工程の開始時点(図4の時刻t1)または乾燥工程の開始時点(図4の時刻t3)から判定時間が経過したか否かが判断される。なお、判定時間は、任意の時間に設定することができる。プリヒート脱水工程の開始時点または乾燥工程の開始時点から判定時間が経過すると、ステップS310で「YES」となり、ステップS400に進む。ステップS400以降の処理は、第1検知方法の具体的な適用例と同様の処理となる。
【0040】
このように、第3検知方法の具体的な適用例では、詰まり検知部23は、プリヒート脱水工程の開始時点から所定の判定時間が経過した後、または乾燥工程の開始時点から所定の判定時間が経過した後、第1検出温度が所定の判定温度以上である場合に乾燥フィルタ16に詰まりが生じていることを検知するようになっている。つまり、この場合、プリヒート脱水工程および乾燥工程が、加熱動作および送風動作の双方が実行される動作状態に相当する。
【0041】
[4]第4検知方法
第4検知方法は、加熱動作および送風動作の双方が実行される動作状態が所定の判定時間だけ継続した後、第1検出温度と第2検出温度との温度差が所定の判定温度差以上である場合に乾燥フィルタ16に詰まりが生じていることを検知する方法である。具体的には、詰まり検知部23は、洗濯乾燥運転の実行中に、このような第4検知方法により乾燥フィルタ16の詰まりを検知することができる。以下、このような第4検知方法の具体的な適用例について、図8のフローチャートを参照して説明する。
【0042】
第4検知方法の具体的な適用例は、図7に示した第3検知方法の具体的な適用例に対し、ステップS400に代えてステップS410が設けられている点などが異なる。この場合、プリヒート脱水工程の開始時点または乾燥工程の開始時点から判定時間が経過すると、ステップS310で「YES」となり、ステップS410に進む。ステップS410以降の処理は、第2検知方法の具体的な適用例と同様の処理となる。
【0043】
このように、第4検知方法の具体的な適用例では、詰まり検知部23は、プリヒート脱水工程の開始時点から所定の判定時間が経過した後、または乾燥工程の開始時点から所定の判定時間が経過した後、第1検出温度と第2検出温度との温度差が所定の判定温度差以上である場合に乾燥フィルタ16に詰まりが生じていることを検知するようになっている。
【0044】
[5]報知処理
報知処理は、報知部21により実行される処理であり、具体的には、図9に示すような内容の処理となっている。まず、ステップS501では、報知処理へと移行したタイミング、つまり詰まり検知部23によって乾燥フィルタ16の詰まりが検知されたタイミングが、乾燥工程の実行前であるか否かが判断される。乾燥工程の実行前に乾燥フィルタ16の詰まりが検知された場合、ステップS501で「YES」となり、ステップS502に進む。
【0045】
ステップS502では、乾燥工程の開始時点(図4の時刻t3)よりも前の時点において、乾燥フィルタ16の詰まりが生じたことが報知される(エラー報知される)。一方、乾燥工程の実行中に乾燥フィルタ16の詰まりが検知された場合、ステップS501で「NO」となり、ステップS503に進む。ステップS503では、乾燥工程の終了時点よりも前の時点において、乾燥フィルタ16の詰まりが生じたことが報知される(エラー報知される)。ステップS502またはS503の実行後、本処理が終了となる。
【0046】
以上説明した本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
本実施形態の洗濯乾燥機1は、ヒータユニット13の出口13a近傍の温度を検出する吹き出し部温度センサ17および乾燥フィルタ16の下流側の近傍の温度を検出する出口部温度センサ18を備えている。吹き出し部温度センサ17により検出される第1検出温度および出口部温度センサ18により検出される第2検出温度は、乾燥フィルタ16の詰まりの有無によって、図4に示した通り、異なる変化の態様を示す。そこで、本実施形態の洗濯乾燥機1は、第1検出温度および第2検出温度に基づいて乾燥フィルタ16の詰まりを検知する詰まり検知部23を備えている。このような構成によれば、乾燥フィルタ16の詰まりを精度良く検知することができる。
【0047】
詰まり検知部23は、洗濯乾燥運転の実行中に前述した第1検知方法により乾燥フィルタ16の詰まりを検知することができる。第1検知方法は、次のような点に着目した検知方法となっている。すなわち、プリヒート脱水工程では、ヒータ15の加熱動作に伴って循環風路10内の空気が温まった状態となっている。そして、プリヒート脱水工程の後に続けて行われる重量センシング工程では、ヒータ15の加熱動作が停止されるとともにファン14の送風動作が継続して実行される。
【0048】
このとき、乾燥フィルタ16に詰まりが生じていると、乾燥フィルタ16の下流側に存在するヒータ15が冷まされず、図4に示したように、乾燥フィルタ16に詰まりが生じていない場合に比べ、第1検出温度(温風の吹き出し部の温度)が低下し難くなる。第1検知方法では、このような第1検出温度の特徴を利用することにより、乾燥フィルタ16の詰まりを精度良く検知することができる。
【0049】
詰まり検知部23は、洗濯乾燥運転の実行中に前述した第2検知方法により乾燥フィルタ16の詰まりを検知することができる。第2検知方法は、次のような点に着目した検知方法となっている。すなわち、プリヒート脱水工程では、ヒータ15の加熱動作に伴って循環風路10内の空気が温まった状態となっている。そして、プリヒート脱水工程の後に続けて行われる重量センシング工程では、ヒータ15の加熱動作が停止されるとともにファン14の送風動作が継続して実行される。
【0050】
このとき、乾燥フィルタ16に詰まりが生じていると、乾燥フィルタ16の下流側近傍に設けられた出口部温度センサ18に温風が届き難くなり、図4に示したように、乾燥フィルタ16に詰まりが生じていない場合に比べ、第2検出温度(乾燥フィルタ16の下流側近傍の温度)が上昇し難くなる。第2検知方法では、このような第2検出温度の特徴と前述した第1検出温度の特徴とを利用することにより、乾燥フィルタ16の詰まりを精度良く検知することができる。
【0051】
第1検出温度および第2検出温度は、洗濯乾燥機1が設置された場所の室温などの温度条件に応じて多少のばらつきが生じる。しかし、第2検知方法では、第1検出温度および第2検出温度の温度差に基づいて詰まりを検知するようになっているため、このような各温度のばらつきの影響を排除したうえで、乾燥フィルタ16の詰まりを検知することができるため、その検知精度が一層高まるという効果が得られる。
【0052】
第1検知方法および第2検知方法によれば、元々洗濯乾燥運転において設けられているプリヒート脱水工程および重量センシング工程を利用して乾燥フィルタ16の詰まりを検知することができるため、乾燥フィルタ16の検知のための期間を別途設ける必要がなく、洗濯乾燥運転の所要時間を従来通りの時間に抑えつつ、乾燥フィルタ16の詰まりを検知することができる。
【0053】
詰まり検知部23は、洗濯乾燥運転の実行中に前述した第3検知方法により乾燥フィルタ16の詰まりを検知することができる。第3検知方法は、次のような点に着目した検知方法となっている。すなわち、プリヒート脱水工程の開始後または乾燥工程の開始後、乾燥フィルタ16に詰まりが生じていると、加熱動作を実行しているヒータ15が、ファン14による送風により冷却され難くなり、図4に示したように、乾燥フィルタ16に詰まりが生じていない場合に比べ、第1検出温度(温風の吹き出し部の温度)が高くなる。第3検知方法では、このような第1検出温度の特徴を利用することにより、乾燥フィルタ16の詰まりを精度良く検知することができる。
【0054】
詰まり検知部23は、洗濯乾燥運転の実行中に前述した第4検知方法により乾燥フィルタ16の詰まりを検知することができる。第4検知方法は、次のような点に着目した検知方法となっている。すなわち、プリヒート脱水工程の開始後または乾燥工程の開始後、乾燥フィルタ16に詰まりが生じていると、乾燥フィルタ16の下流側近傍に設けられた出口部温度センサ18に温風が届き難くなり、図4に示したように、乾燥フィルタ16に詰まりが生じていない場合に比べ、第2検出温度(乾燥フィルタ16の下流側近傍の温度)が低くなる。
【0055】
第4検知方法では、このような第2検出温度の特徴と前述した第1検出温度の特徴とを利用することにより、乾燥フィルタ16の詰まりを精度良く検知することができる。第4検知方法では、第1検出温度および第2検出温度の温度差に基づいて詰まりを検知するようになっているため、第2検知方法と同様、各温度のばらつきの影響を排除したうえで、乾燥フィルタ16の詰まりを検知することができるため、その検知精度が一層高まるという効果が得られる。
【0056】
第3検知方法および第4検知方法によれば、元々洗濯乾燥運転において設けられているプリヒート脱水工程または乾燥工程を利用して乾燥フィルタ16の詰まりを検知することができるため、乾燥フィルタ16の検知のための期間を別途設ける必要がなく、洗濯乾燥運転の所要時間を従来通りの時間に抑えつつ、乾燥フィルタ16の詰まりを検知することができる。
【0057】
詰まり検知部23は、第1~第4検知方法のいずれかを用いて乾燥フィルタ16の詰まりを検知するようにしてもよいし、第1~第4検知方法を任意に組み合わせて乾燥フィルタ16の詰まりを検知するようにしてもよい。図4に示すように、乾燥フィルタ16の詰まりの有無による第1検出温度の差は、第1または第2検知方法での検知が行われる重量センシング工程中に比べ、第3または第4検知方法での検知が行われる乾燥工程中のほうが大きくなっている。そのため、第1または第2検知方法に比べ、第3または第4検知方法のほうが、乾燥フィルタ16の詰まり検知の精度を高めることができる。
【0058】
そこで、詰まり検知部23は、重量センシング工程の段階で第1検知方法または第2検知方法を用いて詰まり検知を実行し、その後、乾燥工程の段階で第3検知方法または第4検知方法を用いて詰まり検知を再度実行してもよい。このようにすれば、乾燥フィルタ16の詰まり具合が大きい(ほぼ完全に目詰まりしている)場合には、重量センシング工程の段階で詰まりを検知することができ、乾燥フィルタ16の詰まり具合が小さい場合には、後工程である乾燥工程で詰まりを検知することができる。
【0059】
また、詰まり検知部23は、プリヒート脱水工程の段階で第3検知方法または第4検知方法を用いて詰まり検知を実行し、その後、重量センシング工程の段階で第1検知方法または第2検知方法を用いて詰まり検知を再度実行してもよい。このようにすれば、乾燥フィルタ16の詰まり具合にかかわらず、乾燥工程が開始される前に、乾燥フィルタ16の詰まりを検知するとともに報知することができる。
【0060】
洗濯乾燥機1は、詰まり検知部23によって乾燥フィルタ16の詰まりが検知された場合、その直後のタイミングにおいて乾燥フィルタ16の詰まりが生じたことを報知する報知部21を備えている。このような構成によれば、実際に乾燥フィルタ16に詰まりが生じているときにユーザに対して乾燥フィルタ16の掃除を促すような報知動作を実行することができる。したがって、本実施形態によれば、乾燥フィルタ16に目詰まりが生じたまま乾燥工程が実行されてしまい、その乾燥性能が低下して未乾燥などの不具合が生じることを防止することができる。
【0061】
報知部21は、乾燥工程の実行中に詰まり検知部23によって乾燥フィルタ16の詰まりが検知された場合、乾燥工程の終了時点よりも前の時点において、乾燥フィルタ16の詰まりが生じたことを報知する。このようすれば、ユーザは、遅くとも乾燥工程が終了するまでに乾燥フィルタ16に詰まりが生じていることを知り、その掃除を行うことができる。その結果、乾燥フィルタ16に詰まりが生じた状態のまま乾燥工程が実行されて終了することが防止でき、上述した未乾燥などの不具合の発生を極力抑制することができる。
【0062】
また、報知部21は、乾燥工程の実行前に詰まり検知部23によって乾燥フィルタ16の詰まりが検知された場合、乾燥工程の開始時点よりも前の時点において、乾燥フィルタ16の詰まりが生じたことを報知する。このようにすれば、ユーザは、乾燥工程が開始されるまでに乾燥フィルタ16に詰まりが生じていることを知り、その掃除を行うことができる。その結果、乾燥フィルタ16に詰まりが生じた状態のまま乾燥工程が実行されることが防止でき、上述した未乾燥などの不具合の発生を確実に抑制することができる。
【0063】
なお、報知部21によって乾燥フィルタ16の詰まりが生じたことが報知された後、その際に実行中の運転を制御装置5が一時停止するようにしてもよい。このようにすれば、ユーザは、乾燥フィルタ16の詰まりが生じたことが報知された際、運転を一時停止するための操作を行うことなく、速やかに乾燥フィルタ16の掃除を実施することができる。
【0064】
(その他の実施形態)
なお、本発明は上記し且つ図面に記載した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で任意に変形、組み合わせ、あるいは拡張することができる。
上記実施形態で示した数値などは例示であり、それに限定されるものではない。
本発明は、ドラム式洗濯乾燥機である洗濯乾燥機1に限らず、例えば縦軸型の洗濯乾燥機、洗濯機能のない衣類乾燥機など、衣類を乾燥する乾燥工程を含む運転を実行することができる衣類処理装置全般に適用することができる。
【0065】
吹き出し部温度センサ17は、ヒータユニット13の出口13a近傍に限らず、循環風路10においてヒータ15よりも空気の流れの下流側であり且つ乾燥フィルタ16よりも空気の流れの上流側における温度を検出することができる箇所に設けられていればよい。また、出口部温度センサ18は、乾燥フィルタ16の下流側の近傍に限らず、乾燥フィルタ16よりも下流側であり且つファン14よりも上流側における温度を検出することができる箇所に設けられていればよい。
【0066】
第1温度検出部および第2温度検出部としては、サーミスタにより構成された吹き出し部温度センサ17および出口部温度センサ18に限らず、各種の温度センサを用いて構成することができる。
加熱装置としては、ヒータ15による構成に限らずともよく、例えばヒートポンプを有する構成であってもよい。
報知部21による報知のタイミングは、上記実施形態において説明したタイミングに限らず、任意のタイミングとすることができる。
【0067】
詰まり検知部23が第2または第4検知方法による詰まり検知を行わない場合、第2温度検出部としての出口部温度センサ18を設けなくともよい。このようにすれば、乾燥フィルタ16の詰まり検知を行う検知方法のバリエーションは少なくなるものの、構成および制御の簡素化を図ることができる。
【0068】
詰まり検知部23は、第1~第4検知方法による詰まり検知を、洗濯乾燥運転の実行中以外に行うこともできる。例えば、ユーザの操作に応じて詰まり検知のための専用の運転を実行するようにしておき、詰まり検知部23は、その専用の運転の実行中に、第1~第4検知方法による詰まり検知を行うようにしてもよい。なお、第1および第2検知方法に対応した専用の運転は、加熱動作および送風動作の双方が実行される動作状態から加熱動作が停止されるとともに送風動作が実行される動作状態へと遷移するようになっていればよい。また、第3および第4検知方法に対応した専用の運転は、加熱動作および送風動作の双方が実行される動作状態が含まれる運転であればよい。
【0069】
以上、本発明の複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
図面中、1は洗濯乾燥機(衣類処理装置)、7はドラム(収容槽)、13はヒータユニット(温風供給装置)、14はファン(送風装置)、15はヒータ(加熱装置)、16は乾燥フィルタ(フィルタ)、17は吹き出し部温度センサ(第1温度検出部)、18は出口部温度センサ(第2温度検出部)、21は報知部、23は詰まり検知部を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9