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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】投影装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20220914BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20220914BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20220914BHJP
   G02B 27/02 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
G03B21/14 A
G03B21/00 D
H04N5/74 A
G02B27/02 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018232230
(22)【出願日】2018-12-12
(65)【公開番号】P2019113842
(43)【公開日】2019-07-11
【審査請求日】2021-04-09
(31)【優先権主張番号】201711383884.3
(32)【優先日】2017-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】500093133
【氏名又は名称】中強光電股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】施 智維
(72)【発明者】
【氏名】洪 毅
(72)【発明者】
【氏名】林 孟萱
【審査官】近藤 幸浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-279889(JP,A)
【文献】特開2014-029430(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0138446(US,A1)
【文献】国際公開第2017/002685(WO,A1)
【文献】特開2012-093477(JP,A)
【文献】特開2003-029203(JP,A)
【文献】特開2001-272722(JP,A)
【文献】特開2016-033867(JP,A)
【文献】国際公開第2017/183249(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第106647128(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/14
G03B 21/00
H04N 5/74
G02B 27/02
G02B 27/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像装置及び照明システムを含む投影装置であって、
前記映像装置は、第一照明光束を映像光束に変換し、
前記照明システムは、第一照明光源、拡散素子、開口絞り及び光均一化素子を含み、
前記第一照明光源は、前記第一照明光束を提供し、前記第一照明光束は、順に、前記拡散素子、前記開口絞り及び前記光均一化素子を経由して前記映像装置に伝播し、
前記映像光束は、前記投影装置を離れ、且つ絞りに収斂し、前記絞りは、前記投影装置の外に位置し、
前記拡散素子は、前記映像光束が前記絞りの参考方向においてエネルギー強度分布を有するようにさせ、前記エネルギー強度分布は、ピーク値M1及び谷値M2を含み、均一性は、M=(M1-M2)/(M1+M2)×100%であり、且つ前記ピーク値M1>前記谷値M2であり、
前記開口絞りは、前記拡散素子と前記光均一化素子との間に配置される、投影装置。
【請求項2】
請求項1に記載の投影装置であって、
前記ピーク値M1は、複数のピーク値のうちの、最大で且つ前記絞りの中心に最も近いものであり、前記谷値M2は、前記ピーク値M1と、前記谷値M2に隣接する他のピーク値との間に位置する、投影装置。
【請求項3】
請求項1に記載の投影装置であって、
前記照明システムは、さらに、コリメーション(collimation)レンズ組及びプリズムモジュールを含み、
前記第一照明光束は、順に、前記コリメーションレンズ組、前記拡散素子、前記開口絞り、前記光均一化素子及び前記プリズムモジュールを経由して前記映像装置に伝播する、投影装置。
【請求項4】
請求項3に記載の投影装置であって、
前記光均一化素子は、レンズアレーである、投影装置。
【請求項5】
請求項3に記載の投影装置であって、
前記プリズムモジュールは、第一プリズムを含み、前記光均一化素子からの前記第一照明光束は、前記第一プリズムを経由して前記映像装置に伝播する、投影装置。
【請求項6】
請求項3に記載の投影装置であって、
前記プリズムモジュールは、第一プリズム、第二プリズム及び第三プリズムを含み、前記光均一化素子からの前記第一照明光束は、前記第一プリズム、前記第二プリズム及び前記第三プリズムを経由して前記映像装置に伝播する、投影装置。
【請求項7】
請求項に記載の投影装置であって、
第一間隙が前記第一プリズムと前記第二プリズムとの間に位置し、第二間隙が前記第二プリズムと前記第三プリズムとの間に位置し、
前記光均一化素子からの前記第一照明光束は、前記第一間隙及び前記第二間隙を経由して前記映像装置に伝播する、投影装置。
【請求項8】
請求項に記載の投影装置であって、
前記第一プリズムは、曲面を有し、該曲面は、前記光均一化素子からの前記第一照明光束を反射する、投影装置。
【請求項9】
請求項に記載の投影装置であって、
前記第一プリズムは、反射層を有し、該反射層は、前記光均一化素子からの前記第一照明光束を反射する、投影装置。
【請求項10】
請求項に記載の投影装置であって、
前記映像装置は、ライトバルブを含み、前記ライトバルブは、能動表面を有し、該能動表面は、前記照明システムからの前記第一照明光束を受け、
前記ライトバルブの前記能動表面が前記第一照明光束を受ける面積は、前記第三プリズムの、前記ライトバルブの前記能動表面に面する表面の面積よりも小さい、投影装置。
【請求項11】
請求項1に記載の投影装置であって、
前記照明システムは、さらに、第二照明光源を含み、前記第二照明光源は、第二照明光束を提供する、投影装置。
【請求項12】
請求項11に記載の投影装置であって、
前記照明システムは、さらに、光混合素子を含み、前記光混合素子は、前記第二照明光束を統合して前記第一照明光束を形成し、
前記第一照明光束は、順に、前記拡散素子及び前記光均一化素子を経由して前記映像装置に伝播する、投影装置。
【請求項13】
請求項1に記載の投影装置であって、
前記映像光束の前記絞りにおける前記均一性は、M<15%である、投影装置。
【請求項14】
請求項1に記載の投影装置であって、
前記映像光束の前記絞りのおける前記均一性は、M<10%である、投影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影装置に関し、特に、ヘッドマウントディスプレイに用いられる投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
接眼ディスプレイ(Near Eye Display、NED)及びヘッドマウントディスプレイ(Head-mounted Display、HMD)が、今のところ、大きな潜在力のある製品である。接眼ディスプレイは、応用上では、今のところ、拡張現実(Augmented Reality、AR)技術及び仮想現実(Virtual Reality、VR)技術という2種類に分けられている。拡張現実技術について言えば、開発者は、今のところ、如何に軽く薄いという前提で最高の映像品質を提供するかに専念している。拡張現実の光学アーキテクチャでは、表示のための映像光束が投影装置から発した後に、絞り(diaphragm)におけるエネルギー強度分布が均一であるかは、人間の目に見える画面の均一性に影響を与え、これにより、使用者の視覚品質に影響を与えることがある。よって、如何に使用者に良い視覚品質を持たせることで、良好な使用者体験(user experience)を提供するかは、今のところ、重要な課題の1つである。
【0003】
なお、この“背景技術”の部分が、本発明の内容への理解を助けるためだけのものであるため、この“背景技術”の部分に開示されている内容は、当業者に知られていない技術を含む可能性がある。よって、この“背景技術”の部分に開示されている内容は、該内容、又は、本発明の1つ又は複数の実施例が解決しようとする課題が本発明出願前に既に当業者に周知されていることを意味しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、映像光束の絞りにおけるエネルギー強度分布が均一である投影装置を提供することにある。
【0005】
本発明の他の目的及び利点は、本発明に開示されている技術的特徴からさらに理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の1つ又は一部又は全部の目的或いは他の目的を達成するために、本発明の一実施例は、投影装置を提供する。投影装置は、映像装置及び照明システムを含む。映像装置は、第一照明光束を映像光束に変換するために用いられる。照明システムは、第一照明光源、拡散素子、及び光均一化素子を含む。第一照明光源は、第一照明光束を提供する。第一照明光束は、順に、拡散素子及び光均一化素子を経由して映像装置に伝播する。映像光束は、投影装置を離れ、且つ絞りに収斂(収束)する。絞りは、投影装置の外に位置する。拡散素子は、映像光束が絞りの参考方向においてエネルギー強度分布を有するようにさせ、前記エネルギー強度分布は、ピーク値M1及び谷値M2を含み、均一性は、M=(M1-M2)/(M1+M2)×100%であり、且つピーク値M1>谷値M2である。
【0007】
本発明の上記の特徴及び利点をより明らかにするために、以下、実施例を挙げて、添付した図面を参照することにより、詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】本発明の一実施例における投影装置の概略図である。
図1B】本発明の他の実施例における投影装置の概略図である。
図2】本発明の他の実施例における投影装置の概略図である。
図3】本発明の他の実施例における投影装置の概略図である。
図4】映像光束の絞りにおけるエネルギー強度分布図である。
図5】映像光束の位置Y=0におけるX方向上でのエネルギー強度分布曲線図である。
図6】本発明の他の実施例の投影装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の上記した及び他の技術的内容、特徴、機能及び効果は、添付した図面に基づく次のような好ましい実施例の詳細な説明により明確になる。なお、次の実施例に言及されている方向についての用語、例えば、上、下、左、右、前又は後などは、添付した図面の方向に過ぎない。よって、使用されている方向の用語は、本発明を説明するためだけのものであり、本発明を限定するためのものではない。
【0010】
図1Aは、本発明の一実施例の投影装置の概略図である。図1Aに示すように、本実施例の投影装置300Aは、照明システム350A及び映像装置330Aを含み、投影装置300Aは、ヘッドマウントディスプレイに用いられる。本実施例では、映像装置330Aは、例えば、DMD(Digital Micromirror Device、DMD)であり、照明システム350Aからの照明光束IL1(第一照明光束)を映像光束MLに変換するために用いられる。映像光束MLは、レンズモジュール340及び導波システムを経由して投射目標(target)P、例えば、人間の目に伝播する。導波システムは、第一導波素子310及び第二導波素子320を含む。なお、図1Aに示すレンズモジュール340及び導波システムは、例示に過ぎず、本発明を限定しない。
【0011】
本実施例では、映像光束MLは、投影装置を300A離れ、且つ絞りSTに収斂する。絞りSTは、投影装置300Aの外に位置し、例えば、導波システムの中にある。絞りSTは、映像光束MLのビームシュリンケージ(beam shrinkage)の最小断面積を有する。例えば、本実施例では、絞りMLは、例えば、円形であり、X軸及びY軸により形成された平面上に位置し、且つX軸方向上及びY軸方向上でのサイズは、一致する。本実施例では、映像光束MLは、投影装置300Aを離れた後に、絞りSTにおいて映像光束MLのビームシュリンケージ(beam shrinkage)の最小断面積を有する。よって、映像光束MLは、投影装置300Aを通過した後に絞りSTに集光することができ、且つ絞りSTを通過した後に発散することができる。
【0012】
本実施例では、照明システム350Aは、照明光束IL1を映像装置330Aに提供するために用いられる。照明システム350Aは、照明光源351(第一照明光源)、コリメーション(collimation)レンズ組353、拡散素子355、光均一化素子357、及びプリズムモジュール359Aを含む。照明光源351は、例えば、発光ダイオード(Light Emitting Diode、LED)であり、照明光束IL1を提供する。他の実施例では、照明光源351、例えば、レーザーダイオード(Laser Diode)である。照明光束IL1は、コリメーション(collimation)レンズ組353、拡散素子355、光均一化素子357、及びプリズムモジュール359Aを経由して映像装置に330A伝播する。本実施例では、拡散素子355は、例えば、拡散角度が60度の拡散片(diffuser)であるが、これに限定されず、設計の応じて他の拡散角度の拡散片を採用しても良い。拡散素子355は、厚みが0.5mmよりも小さいフィルムに製作されても良い。拡散素子355は、コリメーション(collimation)レンズ組353と光均一化素子357との間に配置され、光均一化素子357は、例えば、単一レンズアレーであり、レンズアレーは、フライアイレンズアレー(fly-eye lens array)であっても良い。本実施例では、光均一化素子357は、複数のレンズアレーからなっても良く、限定することがない。本実施例では、プリズムモジュール359Aは、プリズム352(第一プリズム)を含む。光均一化素子357からの照明光束IL1は、プリズム352を経由しいて映像装置に330A伝播する。本実施例では、照明光源351と光均一化素子357との間に拡散素子355が設定され、よって、映像光束MLの絞りSTにおけるエネルギー強度(輝度)分布が均一である。
【0013】
図1Bは、本発明の他の実施例の投影装置の概略図である。図1A及び図1Bに示すように、主な相違点は、投影装置300Aは、映像光束MLを投射し、レンズモジュール340及び導波システムを経由して投射目標Pに伝播させることにある。導波システムは、第一導波素子310のみを有する。そのうち、本実施例では、映像光束MLは、投影装置300Aを離れ、且つ絞りSTに収斂する。絞りSTは、投影装置300Aの外に位置し、例えば、第一導波素子310の入光表面の領域に位置する。
【0014】
図2は、本発明の他の実施例の投影装置の概略図である。図1A及び図2に示すように、本実施例の投影装置300Bは、図1Aの投影装置300Aに類似したが、両者の主な相違点は、例えば、照明システム350B及び映像装置330Bの設計方式にある。
【0015】
具体的に言えば、本実施例では、映像装置330Bは、例えば、LCoS(Liquid Crystal On Silicon、LCoS)表示装置を含み、それは、照明システム350Bからの照明光束IL1を映像光束MLに変換するために用いられる。映像光束MLは、導波システムを経由して投射目標Pに伝播する。本実施例では、照明システム350Bは、照明光束IL1を映像装置330Bに提供するために用いられる。拡散素子355は、コリメーション(collimation)レンズ組353と光均一化素子357との間に配置される。本実施例では、プリズムモジュール359Bは、第一プリズム352_1及び第二プリズム352_2を含み、両者の間には、極性を有する塗層又は極性を有する薄膜が偏光ビームスプリッター(Polarizing beam splitter、PBS)を構成する。光均一化素子357からの、第一極性を有する一部の照明光束IL1は、第一プリズム352_1及び第二プリズム352_2を経由して映像装置330Bに伝播し、映像装置330Bは、第一極性を有する一部の照明光束IL1を、第二極性を有する一部の照明光束IL1に変換し、且つ偏光ビームスプリッターへ反射し、そして、偏光ビームスプリッターにより、第二極性を有する一部の照明光束IL1をレンズモジュール340へ反射する。
【0016】
本実施例では、映像光束MLは、投影装置300Bを離れ、且つ絞りSTに収斂する。絞りSTは、投影装置300Bの外に位置し、例えば、導波システムの中にある。本実施例では、照明光源351と光均一化素子357との間に拡散素子355が設置され、よって、映像光束MLの絞りSTにおけるエネルギー強度分布が均一である。
【0017】
図3は、本発明の他の実施例の投影装置の概略図である。図1A及び図3に示すように、本実施例の投影装置300Cは、図1Aの投影装置300Aに類似したが、両者の主な相違点は、例えば、プリズムモジュール359Cの設計方式にある。
【0018】
具体的に言えば、本実施例では、映像装置330Cは、例えば、DMD(Digital Micromirror Device、DMD)を含み、それは、照明システム350Cからの照明光束IL1を映像光束MLに変換する。映像光束MLは、導波システムを経由して投射目標Pに伝播する。本実施例では、プリズムモジュール359Cは、第一プリズム359_1、第二プリズム359_2、及び第三プリズム359_3を含む。本実施例では、第一プリズム359_1は、曲面を有し、第一プリズム359_1の曲面は、さらに、反射層Rを有しても良く、そのうち、反射層Rは、反射塗層(coating layer)であっても良く、又は、第一プリズム359_1の曲面に貼り付けられる反射片であっても良い。曲面は、光均一化素子357からの照明光束IL1を反射するために用いられるが、これに限定されない。他の実施例では、第一プリズム359_1は、曲面を有するが、反射層Rを必要とせず、全反射の特性により、第一プリズム359_1の曲面は、光均一化素子357からの照明光束IL1を反射することができるが、これに限定されない。
【0019】
本実施例では、図3における各2つのプリズムには、空気間隙を有する。例えば、第一間隙は、第一プリズム359_1と第二プリズム359_2との間に位置し、第二間隙は、第二プリズム359_2と第三プリズム359_3との間に位置する。光均一化素子357からの照明光束IL1は、順に、第一プリズム359_1、第一プリズム359_1の曲面、第一間隙、第二プリズム359_2、第二間隙、及び第三プリズム359_3を経由して、映像装置330Cに伝播する。他の実施例では、透明接着剤により、第一プリズム359_1を第二プリズム359_2に接着し、及び、第二プリズム359_2を第三プリズム359_3に接着することができ、そのうち、透明粘着剤は、第一プリズム359_1、第二プリズム359_2、及び第三プリズム359_3とは異なる屈折率を有する。
【0020】
また、本実施例では、照明光源351からの照明光束IL1は、照明システム350Cにおいて開口絞り358に収斂することができ、これにより、映像画面にゴースト(影)が生じることを避けることができる。開口絞り358は、例えば、拡散素子355の後に位置するが、これに限定されない。他の実施例では、開口絞り358は、例えば、拡散素子355の前に位置し、例えば、コリメーション(collimation)レンズ組353と拡散素子355との間に位置し、又は、拡散素子355と光均一化素子357との間に位置する。開口絞り358は、実物であり、且つ開口絞り358は、駆動素子(図示せず)を有しても良い。駆動素子は、開口絞り358の開口大小を制御するために用いられる。よって、開口絞り358は、その開口を通過する照明光束IL1の光量を調整することができる。一実施例では、前記開口絞り358の開口は、固定した開口大小(サイズ)であっても良い。本実施例では、映像光束MLは、投影装置300Cを離れ、且つ絞りSTに収斂する。絞りSTは、投影装置300Cの外に位置する。本実施例では、絞りSTは、例えば、導波素子310の中に位置する。
【0021】
本実施例では、映像装置330Cは、ライトバルブを含む。ライトバルブは、能動表面S1を有し、それは、照明システム350Cからの全ての第一照明光束IL1を受けるために用いられる。能動表面S1が第一照明光束IL1を受ける面積は、ライトバルブの能動表面S1に面する第三プリズム359_3の表面S2の面積よりも小さく、即ち、S2>S1である。よって、ライトバルブの能動表面S1が受け得る第三プリズム359_3からの照明光束IL1は、最大有効照射範囲を有するものであり、これにより、ライトバルブの能動表面S1は、最大使用効率を有する。
【0022】
図4は、映像光束の絞りにおけるエネルギー強度分布図である。図5は、映像光束の位置Y=0におけるX方向上でのエネルギー強度分布曲線図である。本実施例では、映像光束MLの、絞りSTの位置Y=0におけるX方向(参考方向)上でのエネルギー強度分布は、複数のピーク値及び複数の谷値を含む。ピーク値M1は、これらのピーク値のうちの、最大で且つ絞りSTの中心に最も近いものである。本実施例では、絞りSTの中心は、例えば、光軸OAが絞りSTを通過する箇所である。谷値M2は、ピーク値M1と、それに隣接する他のピーク値との間の最低強度値である。本実施例では、前記他のピーク値は、ピーク値M1に隣接する左のピーク値M3又は右のピーク値M4であっても良いので、ここで、谷値M2は、ピーク値M1と、右のピーク値M4との間の谷値とする。他の実施例では、谷値は、ピーク値M1と、左のピーク値M3との間の最低強度値としても良い。本実施例では、映像光束MLの絞りSTにおけるエネルギー強度分布の均一性は、M=(M1-M2)/(M1+M2)×100%であり、そのうち、M1>M2である。他の実施例では、エネルギー強度分布の均一性は、M<15%である。本実施例では、エネルギー強度分布の均一性は、M<10%である。Mの値が小さいほど、映像光束MLの絞りSTにおけるエネルギー強度分布の均一性が良い。よって、本実施例では、照明光源351と光均一化素子357との間には、拡散素子355が設置されている。よって、映像光束MLの絞りSTにおけるエネルギー強度分布が均一である。例えば、図5に示すように、ピーク値は、M1=8であり、谷値は、M2=7.3であり、ピーク値は、M4=7.9であり、そのうち、M=(8-7.3)/(8+7.3)×100%、即ち、M=4.5%であり、Mは、10%よりも小さい。なお、本発明は、これに限定されない。
【0023】
拡散素子355は、拡散片を含み、その拡散角度は、円対称、軸対称、又は非対称であっても良いが、本発明は、拡散片の規格について限定しない。
【0024】
図6は、本発明の他の実施例の投影装置の概略図である。図3及び図6に示すように、本実施例の投影装置300Dは、図3の投影装置300Cに類似したが、両者の主な相違点は、例えば、照明システム350Dの設計方式にある。具体的に言えば、本実施例では、照明システム350Dは、さらに、第二照明光源352及び光混合素子354を含む。第二照明光源352は、第二照明光束IL2を提供するために用いられる。光混合素子354は、例えば、ウェッジプリズム(Wedge Prism)であり、第三照明光束IL1’と第二照明光束IL2とを統合して第一照明光束IL1を形成するために用いられ、そのうち、第三照明光束IL1’は、例えば、赤色光であり、第二照明光束IL2は、例えば、緑色光及び青色光であるが、これに限定されない。第一照明光束IL1は、順に、拡散素子355、光均一化素子357、及びプリズムモジュール359Cを経由して映像装置330Cに伝播する。他の実施例では、光混合素子354は、例えば、ダイクロイックミラー(Dichroic Mirror)であり、それは、第三照明光束IL1’と第二照明光束IL2とを統合して第一照明光束IL1を形成するために用いられる。
【0025】
以上のことから、本発明の好適な実施例では、照明システムは、拡散素子を含み、それは、照明光束と光均一化素子との間に設置され、これにより、映像光束の絞りにおけるエネルギー強度分布を均一にさせることができる。
【0026】
本発明は、前述した好適な実施例に基づいて以上のように開示されたが、前述した好適な実施例は、本発明を限定するためのものでなく、当業者は、本発明の思想と範囲を離脱しない限り、本発明に対して些細な変更と潤色を行うことができるので、本発明の保護範囲は、添付した特許請求の範囲に定まったものを基準とする。また、本発明の何れの実施例又は特許請求の範囲は、本発明に開示された全ての目的又は利点又は特徴を達成する必要がない。また、要約の一部と発明の名称は、文献の検索を助けるためのみのものであり、本発明の権利範囲を限定するものでない。また、本明細書又は特許請求の範囲に言及している「第一」、「第二」などの用語は、要素(element)に名前を付け、又は、異なる実施例又は範囲を区別するためのもののみであり、要素の数量上の上限又は下限を限定するためのものでない。
【符号の説明】
【0027】
300A、300B、300C、300D:投影装置
310:第一導波素子
320:第二導波素子
330A、330B、330C:映像装置
340:レンズモジュール
350A、350B、350C、350D:照明システム
351、352:照明光源
352、352_1、352_2、359_1、359_2、359_3:プリズム
353:コリメーション(collimation)レンズ組
355:拡散素子
357:光均一化素子
358:開口絞り
359A、359B、359C:プリズムモジュール
OA:光軸
IL1、IL2、IL1’:照明光束
ML:映像光束
M1、M3、M4:ピーク値
M2:谷値
P:投射目標
ST:絞り
R:反射層
S1、S2:表面
X、Y:方向/位置
Z:方向
I:強度
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6