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特許7141328洗浄システム、調理機、そのプログラムおよび洗浄方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】洗浄システム、調理機、そのプログラムおよび洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   F24C 14/00 20060101AFI20220914BHJP
   F24C 7/04 20210101ALI20220914BHJP
【FI】
F24C14/00 A
F24C7/04 301Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018241169
(22)【出願日】2018-12-25
(65)【公開番号】P2020101343
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-06-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083725
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100140349
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 継立
(74)【代理人】
【識別番号】100153305
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 卓弥
(72)【発明者】
【氏名】浅輪 泰久
(72)【発明者】
【氏名】黒川 みどり
(72)【発明者】
【氏名】島貫 友貴
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-337639(JP,A)
【文献】特開2016-064463(JP,A)
【文献】特開2015-128750(JP,A)
【文献】特開2009-019839(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 14/00
F24C 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理機の庫内を洗浄する洗浄システムであって、
調理機の庫内汚れに複数の汚れレベルを設定するとともに、前記汚れレベルに応じて、基準となる庫内画像と洗剤量、洗浄水量または洗浄時間の何れかまたは二以上を含む換算情報とをメモリ部に格納しておき、調理機の庫内画像を含む庫内情報を取り込み、該取り込んだ前記庫内画像と前記メモリ部に格納された前記基準となる庫内画像とを比較して前記汚れレベルを判定し、判定された前記汚れレベルが基準レベルを超えた場合に庫内洗浄が必要と判定して、前記メモリ部から判定された汚れレベルに応じた前記換算情報を読み出し、この換算情報により庫内洗浄を制御する制御部を備えることを特徴とする洗浄システム。
【請求項2】
さらに、情報提示部を備え、前記制御部は前記洗剤量、前記洗浄水量、前記洗浄時間の
何れかまたは二以上を含む提示情報を情報提示部に提示させることを特徴とする請求項1
に記載の洗浄システム。
【請求項3】
さらに、前記汚れレベルが前記基準レベルに到達したとき、前記制御部は前記庫内洗浄を促す告知情報を情報提示部に提示させることを特徴とする請求項1に記載の洗浄システム。
【請求項4】
前記汚れレベルが前記基準レベルに到達したとき、前記制御部は、前記調理機の休止時に前記調理機を洗浄モードに移行させることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の洗浄システム。
【請求項5】
調理庫と、
前記調理庫の汚れに設定された複数の汚れレベル毎に、基準となる前記調理庫の庫内画像と洗剤量、洗浄水量または洗浄時間の何れかまたは二以上を含む換算情報とを格納するメモリ部と、
前記調理庫の庫内画像と前記メモリ部に格納された前記基準となる庫内画像とを比較して前記汚れレベルを判定し、判定された前記汚れレベルが基準レベルを超えた場合に庫内洗浄が必要と判定し、前記メモリ部から判定された汚れレベルに応じた前記換算情報を読み出し、この換算情報により庫内洗浄を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする調理機。
【請求項6】
さらに、情報提示部を備え、前記制御部は前記洗剤量、前記洗浄水量または前記洗浄時間の何れかまたは二以上を含む提示情報を情報提示部に提示させることを特徴とする請求項5に記載の調理機。
【請求項7】
さらに、前記汚れレベルが前記基準レベルに到達したとき、前記制御部は前記庫内洗浄を促す告知情報を情報提示部に提示させることを特徴とする請求項5に記載の調理機。
【請求項8】
前記汚れレベルが前記基準レベルに到達したとき、前記制御部は、前記調理機の休止時に洗浄機能部に前記庫内洗浄を行わせることを特徴とする請求項5ないし請求項7の何れかの請求項に記載の調理機。
【請求項9】
コンピュータに実現させるためのプログラムであって、
庫内汚れに複数の汚れレベルを設定するとともに、前記汚れレベルに応じて、基準となる庫内画像と洗剤量、洗浄水量または洗浄時間の何れかまたは二以上を含む換算情報とをメモリ部に格納する機能と、
庫内画像と前記メモリ部に格納された前記基準となる庫内画像とを比較して前記汚れレベルを判定する機能と、
判定された前記汚れレベルが基準レベルを超えた場合に庫内洗浄が必要と判定して、前記メモリ部から判定された汚れレベルに応じた前記換算情報を読み出す機能と、
前記汚れレベルに応じて読み出した前記換算情報により庫内洗浄を制御する機能と、
を前記コンピュータに実現させるためのプログラム。
【請求項10】
さらに、前記汚れレベルが前記基準レベルに到達したとき、調理機の休止時に庫内洗浄を行わせる機能と、
を前記コンピュータに実現させるための請求項9に記載のプログラム。
【請求項11】
庫内汚れに複数の汚れレベルを設定するとともに、前記汚れレベルに応じて、基準となる庫内画像と洗剤量、洗浄水量または洗浄時間の何れかまたは二以上を含む換算情報とをメモリ部に格納する工程と、
庫内画像と前記メモリ部に格納された前記基準となる庫内画像とを比較して前記汚れレベルを判定する工程と、
判定された前記汚れレベルが基準レベルを超えた場合に庫内洗浄が必要と判定して、前記メモリ部から判定された汚れレベルに応じた前記換算情報を読み出す工程と、
前記汚れレベルに応じて読み出した前記換算情報により庫内洗浄を制御する工程と、
を含むことを特徴とする洗浄方法。
【請求項12】
さらに、前記汚れレベルが前記基準レベルに到達したとき、調理機の休止時に庫内洗浄を行う工程を含むことを特徴とする請求項11に記載の洗浄方法。
【請求項13】
前記庫内画像は、調理前、調理中、調理後、または洗浄後の画像のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の洗浄システム、請求項5に記載の調理器、請求項9に記載のプログラムまたは請求項11に記載の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スチームコンベクションオーブンなどの調理機、その庫内洗浄に関する。
【背景技術】
【0002】
スチームコンベクションオーブンなどの調理機では、食材の加熱調理による庫内の汚れを洗浄する洗浄システムが備えられる。
従来の庫内洗浄に関し、自動クリーニング機能を備えるスチームコンベクションオーブンには庫内の側壁に洗剤散布用ノズルが設置され、この洗剤散布用ノズルから庫内に洗浄液を散布し、天井側のシャワーヘッドから庫内に洗浄シャワーを噴出させることにより、庫内洗浄を行うことが知られている(たとえば、特許文献1)。
蒸気発生タンクの洗浄も行えるスチームコンベクションオーブンでは、循環系統に洗剤を投入することにより、洗剤を含む湯を庫内に散布し、タンク内の汚れを落とし易くする工夫も知られている(たとえば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-185197号公報
【文献】特開2010-38501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、スチームコンベクションオーブンの洗浄システム(たとえば、特許文献1)では、庫内への洗浄液の散布や、洗浄シャワーの噴出などが自動で行われるが、庫内の汚れ状態をユーザーが確認し、洗浄レベルを調整している。つまり、調理時間や調理内容を考慮しつつ、庫内の汚れ具合をユーザーが確認し、洗浄することが必要であった。スチームコンベクションオーブンが設置された店舗の繁忙状態によっては、洗浄間隔が長くなり、汚れた状態で使用しなければならないという課題がある。洗浄後の状態によっては、再洗浄を余儀なくされることも課題である。
【0005】
洗浄を自動化したスチームコンベクションオーブンにおいて、一定の周期で洗浄を行えば、庫内を常に清浄化できる点で有効である。しかし、調理内容によっては庫内の汚れの程度が低い場合も画一的に洗浄を行うこととなり、洗剤を過剰に消費するといった課題もある。
庫内の汚れ具合を確認し、洗剤を調整することは理想ではあるが、業務上、汚れ状況から洗浄レベルを選択することはユーザーに面倒を強いることとなり、設定した洗浄レベルが不足していれば、再洗浄が必要となるといった不都合も無視できない。
そこで、本発明の目的は上記課題に鑑み、庫内汚れレベルの判定を自動化し、庫内汚れレベルに応じた庫内洗浄を自動化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の洗浄システムの一側面によれば、調理機の庫内を洗浄する洗浄システムであって、調理機の庫内汚れに複数の汚れレベルを設定するとともに、前記汚れレベルに応じて、基準となる庫内画像と洗剤量、洗浄水量または洗浄時間の何れかまたは二以上を含む換算情報とをメモリ部に格納しておき、調理機の庫内画像を含む庫内情報を取り込み、該取り込んだ前記庫内画像と前記メモリ部に格納された前記基準となる庫内画像とを比較して前記汚れレベルを判定し、判定された前記汚れレベルが基準レベルを超えた場合に庫内洗浄が必要と判定して、前記メモリ部から判定された汚れレベルに応じた前記換算情報を読み出し、この換算情報により庫内洗浄を制御する制御部を備える。
この洗浄システムにおいて、さらに、情報提示部を備え、前記制御部は前記洗剤量、前記洗浄水量、前記洗浄時間の何れかまたは二以上を含む提示情報を情報提示部に提示させてよい。
この洗浄システムにおいて、さらに、前記汚れレベルが前記基準レベルに到達したとき、前記制御部は前記庫内洗浄を促す告知情報を情報提示部に提示させてよい。
この洗浄システムにおいて、前記汚れレベルが前記基準レベルに到達したとき、前記制御部は、前記調理機の休止時に前記調理機を洗浄モードに移行させてよい。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の調理機の一側面によれば、調理庫と、前記調理庫の汚れに設定された複数の汚れレベル毎に、基準となる前記調理庫の庫内画像と洗剤量、洗浄水量または洗浄時間の何れかまたは二以上を含む換算情報とを格納するメモリ部と、前記調理庫の庫内画像と前記メモリ部に格納された前記基準となる庫内画像とを比較して前記汚れレベルを判定し、判定された前記汚れレベルが基準レベルを超えた場合に庫内洗浄が必要と判定し、前記メモリ部から判定された汚れレベルに応じた前記換算情報を読み出し、この換算情報により庫内洗浄を制御する制御部とを備える。
この調理機において、さらに、情報提示部を備え、前記制御部は前記洗剤量、前記洗浄水量または前記洗浄時間の何れかまたは二以上を含む提示情報を情報提示部に提示させてよい。
この調理機において、さらに、前記汚れレベルが前記基準レベルに到達したとき、前記制御部は前記庫内洗浄を促す告知情報を情報提示部に提示させてよい。
この調理機において、前記汚れレベルが前記基準レベルに到達したとき、前記制御部は、前記調理機の休止時に洗浄機能部に前記庫内洗浄を行わせてよい。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明のプログラムの一側面によれば、コンピュータに実現させるためのプログラムであって、庫内汚れに複数の汚れレベルを設定するとともに、前記汚れレベルに応じて、基準となる庫内画像と洗剤量、洗浄水量または洗浄時間の何れかまたは二以上を含む換算情報とをメモリ部に格納する機能と、庫内画像と前記メモリ部に格納された前記基準となる庫内画像とを比較して前記汚れレベルを判定する機能と、判定された前記汚れレベルが基準レベルを超えた場合に庫内洗浄が必要と判定して、前記メモリ部から判定された汚れレベルに応じた前記換算情報を読み出す機能と、前記汚れレベルに応じて読み出した前記換算情報により庫内洗浄を制御する機能とを前記コンピュータに実現させる。
このプログラムにおいて、さらに、前記汚れレベルが前記基準レベルに到達したとき、調前記調理機の休止時に庫内洗浄を行わせる機能を前記コンピュータに実現させてよい。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の洗浄方法の一側面によれば、庫内汚れに複数の汚れレベルを設定するとともに、前記汚れレベルに応じて、基準となる庫内画像と洗剤量、洗浄水量または洗浄時間の何れかまたは二以上を含む換算情報とをメモリ部に格納する工程と、庫内画像と前記メモリ部に格納された前記基準となる庫内画像とを比較して前記汚れレベルを判定する工程と、判定された前記汚れレベルが基準レベルを超えた場合に庫内洗浄が必要と判定して、前記メモリ部から判定された汚れレベルに応じた前記換算情報を読み出す工程と、前記汚れレベルに応じて読み出した前記換算情報により庫内洗浄を制御する工程とを含む。
この洗浄方法において、さらに、前記汚れレベルが前記基準レベルに到達したとき、調理機の休止時に庫内洗浄を行う工程を含んでよい。
本発明の洗浄システム、調理器、プログラムまたは洗浄方法において、前記庫内画像は、調理前、調理中、調理後、または洗浄後のいずれの画像でもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) 庫内の汚れレベルの判定を自動化でき、判定した汚れレベルに応じて洗剤量、洗浄水量または洗浄時間を設定でき、庫内洗浄の効率化や合理化を図ることができる。
(2) 庫内洗浄の際、庫内の洗浄状態や洗浄後の状態の確認や再洗浄などの作業からユーザーを開放することができる。
(3) 庫内の清浄化を図ることができるとともに、庫内の汚れレベルに応じて高い洗浄効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施の形態(汚れレベルの提示、洗剤量の制御)に係るスチームコンベクションオーブンを示す図である。
図2】洗浄システムを構成する制御部のハードウェアを示す図である。
図3】庫内の汚れレベルの推移を示す図である。
図4】汚れレベルを表す庫内画像を示す図である。
図5】庫内画像・汚れレベル換算情報ファイルを示す図である。
図6】汚れレベルと洗剤量、洗浄水量または洗浄時間の関係を示す図である。
図7】汚れレベル・洗剤量など換算情報ファイルを示す図である。
図8】複数の洗浄情報ファイルを示す図である。
図9】第1の実施の形態に係る庫内洗浄の処理手順を示すフローチャートである。
図10】第2の実施の形態に係る洗浄情報ファイルを示す図である。
図11】第2の実施の形態に係る庫内洗浄の処理手順を示すフローチャートである。
図12】第3の実施の形態に係る洗浄情報ファイルを示す図である。
図13】第3の実施の形態に係る庫内洗浄の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔第1の実施の形態〕
図1は、第1の実施の形態に係るスチームコンベクションオーブンを示している。図1に示す構成は一例であり、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
このスチームコンベクションオーブン2は調理機または洗浄システムの一例であり、食材Fの焼く、蒸す、揚げる、煮る、炊く、茹でるなどの何れかまたは二以上を含む調理、真空調理、加熱調理などの各種調理法に用いられるマルチ調理機である。このスチームコンベクションオーブン2には調理庫4、洗浄機能部6、カメラ8、制御部10、モニター12、操作入力部14が備えられる。
【0013】
調理庫4は、調理器本体であるオーブン本体16に設置され、図示しない加熱部およびスチーム生成部としての加熱庫であり、食材Fを調理する調理エリアである。この調理庫4にはラック18が備えられ、このラック18に食材Fを収容するホテルパンなどの調理容器20が着脱可能に設置される。調理庫4では調理容器20において過熱スチームなどにより調理が行われる。
このスチームコンベクションオーブン2では、制御部10により制御される図示しない調理機能部として加熱部およびスチーム生成部が備えられる。この加熱部にはたとえば、庫内加熱用の熱交換器が備えられる。この熱交換器は電熱または燃焼熱を熱源とし、この熱源の熱を庫内空気に熱交換して庫内を加熱する。スチーム生成部には制御部10で制御されて調理用蒸気を発生する蒸気発生器が備えられる。したがって、このスチームコンベクションオーブン2では制御部10の制御により調理モードとして、熱風のみによるオーブンモード、熱風と蒸気によるコンビモード、蒸気のみによるスチームモードまたはバイオモードが設定可能である。
【0014】
洗浄機能部6には制御部10により制御される洗浄部22および洗剤供給部24が備えられる。各種の食材Fを加熱すると、調理容器20から油などが飛び散り、調理容器20や調理庫4の庫内に汚れが付着する。この汚れを洗浄する手段として洗浄機能部6が備えられる。洗浄機能部6は制御部10の制御により庫内洗浄を行う。この庫内洗浄には、洗剤および洗浄水を用いて行う少なくとも調理庫4の内壁のみの洗浄の他、調理容器20などの全ての洗浄を含んでもよい。洗浄部22には制御部10の制御により、洗浄水を圧送する機構や、その加熱機構などの他、上水や温水などの洗浄水を庫内に噴射する噴射ノズルなどが備えられる。洗剤供給部24は制御部10の制御により、洗剤を調理庫4内に供給する。洗剤は粉末状、顆粒状、液状の何れでもよい。
【0015】
カメラ8は、庫内を撮影する撮影部の一例であり、制御部10の制御により庫内撮影を行う。この庫内撮影のタイミングは、調理前、調理中または調理後の何れでよい。庫内撮影は、カメラ8の撮影により、撮影時期に関係づけられた庫内画像を生成し、制御部10の記憶手段に記録される。この庫内画像には調理庫4の内壁面の画像のほか、庫内に設置された各種の部材たとえば、ホテルパンなどの調理容器20から撮影画像を取得し、この画像を庫内画像としてもよい。
制御部10は通信機能を備えるコンピュータで構成し、食材Fの調理や庫内洗浄などの情報処理を行う。
モニター12は制御部10により情報提示する情報提示部の一例であり、調理情報、洗浄情報などの各種の提示情報を提示する。
操作入力部14はユーザー操作などによる情報入力に用いられる。この操作入力部14にはたとえば、モニター12の表示画面に設置されたタッチパネルの他、バーコード入力機器を含んでよい。
【0016】
<庫内汚れのレベル判定と庫内情報>
庫内汚れのレベル判定には庫内画像を含む庫内情報が用いられる。この庫内情報には、カメラ8で取得する庫内画像に限定されるものではなく、食材Fやその調理に用いられた油などの調理材料などの情報を含んでよい。これらのカメラ8による庫内画像以外の情報は操作入力部14を含む情報入力部から制御部10に入力すればよい。
【0017】
<制御部10のハードウェア>
図2は、制御部10のハードウェアを示している。図2において、図1と同一部分には同一符号を付している。
この制御部10は洗浄システムの一例である。この制御部10にはプロセッサ26、メモリ部28、入出力部(I/O)30、通信部32が備えられる。プロセッサ26は情報処理を実行する処理部の一例であり、メモリ部28に格納されているOS(Operating System)、調理プログラム、洗浄プログラムなどの各種のプログラムより情報処理を行う。このプロセッサ26による情報処理には、庫内画像により庫内の汚れレベルを判定し、該汚れレベルに応じて洗剤量、洗浄水量または洗浄時間の何れかを算出し、この算出結果により庫内洗浄を制御する処理が含まれる。メモリ部28にはOS、調理プログラム、洗浄プログラムなどの各種のプログラムを格納し、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory )などの記憶素子が用いられる。このメモリ部28にはプロセッサ26に無線接続または有線接続などにより接続されるハードディスク装置などの外部記憶装置を用いてもよい。
【0018】
I/O30は、プロセッサ26の制御により、庫内画像などの情報の取込み、洗浄機能部6などへの制御情報の出力を含む、情報の入出力を行う。通信部32はプロセッサ26の制御により、外部機器やサーバーとの情報処理のための通信を実行する。
I/O30には洗浄機能部6を構成する洗浄部22、洗剤供給部24、カメラ8、モニター12および操作入力部14が接続され、操作入力部14の操作入力情報、カメラ8からの庫内画像を含む庫内情報が取込まれ、洗浄部22や洗剤供給部24の制御出力が出力される。図示しないが、外部情報を取り込むための通信部を備えてよい。
【0019】
<制御部10による情報処理>
プロセッサ26で実行する情報処理には、a)庫内画像の取込み、b)庫内画像による庫内の汚れレベルの判定、c)洗剤量、洗浄水量または洗浄時間の算出、d)提示情報の生成、e)調理制御などが含まれる。
a)庫内画像の取込み
プロセッサ26は、カメラ8を起動し、カメラ8による庫内撮影を行い、庫内画像を取得する。この庫内画像はメモリ部28の庫内画像・汚れレベル換算情報ファイル34(図5)、洗浄情報ファイル36-1a(図8のA)、洗浄情報ファイル36-1b(図8のB)、または洗浄情報ファイル36-1c(図8のC)に格納される。この庫内画像には調理前、調理中または調理後の複数の画像情報が含まれる。
b)庫内画像による庫内の汚れレベルの判定
プロセッサ26は、現在の庫内画像と基準となる画像情報とを比較し、庫内の汚れレベルを判定する。この判定結果は洗浄情報ファイル36-1a(図8のA)、洗浄情報ファイル36-1b(図8のB)、または洗浄情報ファイル36-1c(図8のC)に格納される。
【0020】
c)洗剤量、洗浄水量または洗浄時間の算出
プロセッサ26は、庫内の汚れレベルを表す汚れレベルの判定結果を用いて洗剤量、洗浄水量または洗浄時間を算出する。洗剤量は洗剤供給部24からスチームコンベクションオーブン2の庫内への洗剤の供給量であり、洗浄途上の追加的な補正量も含む。この洗剤量は洗浄情報ファイル36-1a(図8のA)に格納する。洗浄水量は庫内の汚れレベルを表す汚れレベルの判定結果を用いて算定された洗浄水の供給量であり、洗浄情報ファイル36-1b(図8のB)に格納する。また、洗浄時間は庫内の汚れレベルを表す汚れレベルの判定結果を用いて算定された洗浄時間であり、洗浄情報ファイル36-1c(図8のC)に格納する。
d)提示情報の生成
プロセッサ26は洗浄時、洗剤量、洗浄水量または洗浄時間の提示情報を生成する。この提示情報はプロセッサ26によりメモリ部28の格納情報(庫内画像・汚れレベル換算情報ファイル34)を用いて生成される。この算出結果は洗浄情報ファイル36-1a、36-1b、36-1cに格納されるとともに、モニター12に表示される。
e)調理制御
プロセッサ26は、調理庫4にある図示しない既述の加熱部およびスチーム生成部の個別制御または両者の統合制御により、調理モードとして調理庫4を熱風のみによるオーブンモード、熱風と蒸気によるコンビモード、蒸気のみによるスチームモード、またはバイオモードに設定する。
【0021】
<汚れレベルの推移と庫内洗浄の契機>
図3は、庫内の汚れレベルの推移を示している。このレベル推移は汚れレベルの変動情報を説明するための想定情報であり、斯かる情報に本発明が限定されるものではない。
図3は横軸に時間、縦軸に庫内の汚れレベルDの上昇を示している。調理庫4で繰り返し調理が行われることにより、庫内の汚れは時間の経過とともに増加することになる。
時刻t0はたとえば、洗浄直後の庫内の汚れレベルD=D0を示している。繰り返し調理が行われると、時刻t0から時刻t1、t2、t3、t4、t5の時間経過により、汚れレベルD=D0からD=D1、D2、D3、D4、またはD5に増加する。これら汚れレベルDの推移に対し、Drefは庫内洗浄に移行すべき基準レベル(洗浄基準レベル)である。基準レベルDrefは、庫内洗浄を促す告知情報の出力判断に用いることができる。
【0022】
図4は、カメラ8で撮影された庫内画像38を示している。汚れレベルD0の庫内画像38では洗浄直後であることから、清浄であることを表している。これに対し、汚れレベルDが、D=D1、D2、D3、D4、D5に増加するに従って、庫内画像38のたとえば、明度が低下し、汚れ状態が悪化している。この汚れレベルD=D0、D1、D2、D3、D4、D5および洗浄基準レベルDrefは庫内画像・汚れレベル換算情報ファイル34(図5)に格納される。
【0023】
<庫内画像・汚れレベル換算情報ファイル34>
この庫内画像・汚れレベル換算情報ファイル34は、汚れレベルの判定に用いる汚れおよび洗浄の基準情報であり、メモリ部28に基準情報として格納される。つまり、この庫内画像・汚れレベル換算情報ファイル34には汚れレベルの異なる複数の庫内画像38など、庫内の汚れ情報が格納される。
この庫内画像・汚れレベル換算情報ファイル34には図5に示すように、番号部40、庫内画像部42、汚れレベル部44および基準レベル部46が含まれる。番号部40には情報を識別する番号情報が格納される。庫内画像部42にはカメラ8の撮影により生成された庫内画像38が格納される。汚れレベル部44には汚れレベルDを表す汚れランクを表すレベル情報が格納される。基準レベル部46には基準レベルDrefを表す情報(洗浄基準レベル)が格納される。
【0024】
<汚れレベルDに対応する洗剤量WM、洗浄水量Rまたは洗浄時間Tmの算出>
図6は、汚れレベルDに対応する洗剤量WM、洗浄水量Rまたは洗浄時間Tmを示している。この特性は一例であり、斯かる特性に本発明が限定されるものではない。
庫内洗浄に必要な洗剤量WM、洗浄水量Rまたは洗浄時間Tmは、汚れレベルDに比例的に増加する傾向を呈する。つまり、汚れレベルD3では、洗剤量WM=WM3、洗浄水量R=R3、洗浄時間Tm=Tm3を求めることができる。
【0025】
<汚れレベル・洗剤量など換算情報ファイル48>
図7は、汚れレベル・洗剤量など換算情報ファイル48の一例を示している。汚れレベル・洗剤量など換算情報ファイル48は、図6の特性をデータ化したものであり、メモリ部28に汚れレベルに応じた洗剤量などの換算情報として格納される。
この汚れレベル・洗剤量など換算情報ファイル48には、汚れレベル部50、洗剤量部52、洗浄水量部54および洗浄時間部56が含まれる。汚れレベル部50には汚れレベルDが格納される。洗剤量部52にはたとえば、汚れレベルにより求められた洗剤量WMを表す情報が格納される。洗浄水量部54にはたとえば、汚れレベルにより求められた洗浄水量Rを表す情報が格納される。洗浄時間部56にはたとえば、洗浄に必要な洗浄時間Tmが格納される。
【0026】
<洗浄情報ファイル36-1a>
この洗浄情報ファイル36-1aは洗浄情報の一例であり、メモリ部28に制御情報として格納される。
この洗浄情報ファイル36-1aには図8のAに示すように、番号部58、稼働情報部60、撮影時期部62、庫内画像部64、汚れレベル部66、洗剤量部68、洗浄履歴部70が含まれる。番号部58には情報を識別する番号情報が格納される。
稼働情報部60にはスチームコンベクションオーブン2の調理の稼働履歴情報が格納され、開始部60-1には調理開始時刻、終了部60-2には調理終了時刻が格納される。
撮影時期部62には、調理前、調理中または調理後などの撮影時期を表す時間情報が格納される。庫内画像部64には、撮影時期で撮影され、撮影により取得した庫内の汚れを表す画像情報が格納される。汚れレベル部66には汚れレベルの判定結果である汚れレベルDを表すレベル情報が格納される。洗剤量部68には汚れレベルに応じて算出された洗剤量情報が格納される。洗浄履歴部70には洗浄機能部6の洗浄履歴として、洗浄開始時期、洗浄終了時期、汚れレベルに応じた洗浄時間などの履歴情報が格納される。
【0027】
<洗浄情報ファイル36-1b>
この洗浄情報ファイル36-1bは洗浄情報の一例であり、メモリ部28に制御情報として格納される。
この洗浄情報ファイル36-1bには図8のBに示すように、番号部58、稼働情報部60、撮影時期部62、庫内画像部64、汚れレベル部66、洗浄履歴部70、洗浄水量部72が含まれる。洗浄水量部72は、汚れレベルに応じて算出された洗浄水量情報が格納される。番号部58、稼働情報部60、撮影時期部62、庫内画像部64、汚れレベル部66および洗浄履歴部70は既述したので、その説明を割愛する。
【0028】
<洗浄情報ファイル36-1c>
この洗浄情報ファイル36-1cは洗浄情報の一例であり、メモリ部28に制御情報として格納される。
この洗浄情報ファイル36-1cには図8のCに示すように、番号部58、稼働情報部60、撮影時期部62、庫内画像部64、汚れレベル部66、洗浄履歴部70、洗浄時間部74が含まれる。洗浄時間部74は、汚れレベルに応じて算出された洗浄時間情報が格納される。番号部58、稼働情報部60、撮影時期部62、庫内画像部64、汚れレベル部66および洗浄履歴部70は既述したので、その説明を割愛する。
【0029】
<処理手順>
図9は、第1の実施の形態に係る庫内洗浄の処理手順を示している。この処理手順では、庫内洗浄に当たり、汚れレベルに応じた洗剤量、洗浄水量または洗浄時間の算出処理や、汚れレベルが洗浄基準レベルに到達したときのアラート情報の生成およびその表示、汚れレベルが洗浄基準レベルに到達したとき、庫内洗浄の時期などの判断処理が含まれる。
この処理手順では、調理などの制御状態を監視し、調理が終了したかを判断する(S101)。調理が終了するまで待機し、調理終了後にカメラ8による撮影時期の到来かを判断する(S102)。撮影時期が到来するまで撮影は待機状態となり、撮影時期であれば(S102のYES)、プロセッサ26はカメラ8を駆動し、撮影により庫内画像38を取得する(S103)。この庫内画像38は庫内画像・汚れレベル換算情報ファイル34、洗浄情報ファイル36-1a、36-1bまたは36-1cに格納する。
【0030】
プロセッサ26はカメラ8から取得した庫内画像38を、庫内画像・汚れレベル換算情報ファイル34(図5)を参照して庫内の汚れレベルに換算し(S104)、この換算結果を洗浄情報ファイル36-1a、36-1bまたは36-1cに格納する。
プロセッサ26は汚れレベルにより庫内洗浄が必要かの判断を行い(S105)、庫内洗浄が必要でなければ(S105のNO)、つまり、基準レベルDrefを超えていなければ、待機状態となる。そして、庫内洗浄が必要であれば(S105のYES)、汚れレベルを参照し、汚れレベルの洗浄に必要な洗剤量、洗浄水量または洗浄時間を算出し(S106)、この洗剤量などの提示情報を生成し、情報提示を行う(S107)。この情報提示はモニター12の表示画面にたとえば、洗浄情報ファイル36-1a、36-1bまたは36-1cの内容を表示し、洗浄の必要性を告知するアラート情報などの告知情報を提示する。
【0031】
庫内洗浄の条件成立の後、スチームコンベクションオーブン2が休止中かを判断する(S108)。つまり、夜間などのスチームコンベクションオーブン2の休止中の期間に洗浄モードに移行させ、スチームコンベクションオーブン2が稼働中または稼働停止中など、調理稼働が予定される時間帯であれば、待機状態を維持する。そして、スチームコンベクションオーブン2が休止中であれば(S108のYES)、算出した洗剤量による庫内洗浄に移行し(S109)、この処理を終了する。
【0032】
<第1の実施の形態の効果>
この第1の実施の形態によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) カメラ8で撮影して取得した庫内画像38から汚れレベルを判定し、この汚れレベルが基準レベルDrefを超えていれば、汚れレベルに応じた洗剤量、洗浄水量または洗浄時間を算出し、汚れレベルに応じた適正な洗浄を行うことができる。
(2) 汚れレベルが基準レベルDrefを超えていれば、洗浄告知を行うことができ、ユーザーは洗浄の必要を自動的に認識できる。
(3) 洗浄モードへの移行は、深夜など、スチームコンベクションオーブン2の稼働が予定されていない時間帯に設定でき、調理業務を妨げることなく、スチームコンベクションオーブン2の庫内を自動的に清浄化することができる。
(4) 常にスチームコンベクションオーブン2の庫内を清浄化できるので、スチームコンベクションオーブン2による調理の安心、安全性を高めることができる。
【0033】
〔第2の実施の形態〕
第2の実施の形態に係るスチームコンベクションオーブン2では、第1の実施の形態における洗剤量の算出に加え、洗浄水量を算出し、庫内洗浄を実施する。この庫内洗浄には洗浄情報ファイル36-2(図10)が用いられる。
【0034】
<洗浄情報ファイル36-2>
この洗浄情報ファイル36-2において、洗浄情報ファイル36-1(図8のA)と同一部分には同一符号を付してある。この洗浄情報ファイル36-2は洗浄情報の一例であり、メモリ部28に制御情報として格納される点は上記実施の形態と同様である。そして、この洗浄情報ファイル36-2には図10に示すように、既述の番号部58、稼働情報部60、撮影時期部62、庫内画像部64、汚れレベル部66、洗剤量部68、洗浄履歴部70に加え、洗浄水量部72が含まれる。
洗浄水量部72には汚れレベルに応じて算出された洗浄水量情報、つまり、庫内汚れの洗浄に必要な洗浄水の水量情報が格納される。
【0035】
<処理手順>
図11は、第2の実施の形態に係る庫内洗浄の処理手順を示している。この処理手順では、庫内洗浄に当たり、汚れレベルに応じた洗剤量および洗浄水量の算出処理や、汚れレベルが洗浄に必要なレベルに到達したときのアラート情報の生成およびその表示、汚れレベルが洗浄基準レベルに到達したとき、庫内洗浄の時期などの判断処理に加え、その提示が含まれる。
この処理手順においても、調理などの制御状態を監視し、調理が終了したかを判断する(S201)。調理が終了するまで待機し、調理終了後にカメラ8による撮影時期の到来かを判断する(S202)。撮影時期が到来するまで撮影は待機状態となり、撮影時期であれば(S202のYES)、プロセッサ26はカメラ8を駆動し、撮影により庫内画像38を取得する(S203)。この庫内画像38は洗浄情報ファイル36-2(図10)に格納する。
【0036】
プロセッサ26はカメラ8から取得した庫内画像38を、庫内画像・汚れレベル換算情報ファイル34(図5)を参照して庫内の汚れレベルに換算し(S204)、この換算結果を洗浄情報ファイル36-2に格納する。
プロセッサ26は汚れレベルにより庫内洗浄が必要かの判断を行い(S205)、庫内洗浄が必要でなければ(S205のNO)、つまり、基準レベルDrefを超えていなければ、待機状態となる。そして、庫内洗浄が必要であれば(S205のYES)、汚れレベルを参照し、汚れレベルの洗浄に必要な洗剤量の算出(S206)、汚れレベルの洗浄に必要な洗浄水量を算出し(S207)、これら洗剤量および洗浄水量などの提示情報を生成し、情報提示を行う(S208)。この情報提示はモニター12の表示画面にたとえば、洗浄情報ファイル36-2の内容を表示し、洗浄の必要性を告知するアラート情報などの告知情報を提示する。
【0037】
庫内洗浄の条件成立の後、スチームコンベクションオーブン2が休止中かを判断する(S209)。つまり、夜間などのスチームコンベクションオーブン2の休止中の期間に洗浄モードに移行させ、スチームコンベクションオーブン2が稼働中または稼働停止中など、調理稼働が予定される時間帯であれば、待機状態を維持する。そして、スチームコンベクションオーブン2が休止中であれば(S209のYES)、算出した洗剤量および洗浄水量による庫内洗浄に移行し(S210)、この処理を終了する。
【0038】
<第2の実施の形態の効果>
この第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果に加え、次の何れかの効果が得られる。
(1) 汚れレベルに応じて洗浄に必要な洗浄水量を算出し、この洗浄水量情報を提示することができる。
(2) 洗浄水量が汚れレベルに応じて規制でき、洗浄水の過剰利用を防止できる。
【0039】
〔第3の実施の形態〕
第3の実施の形態に係るスチームコンベクションオーブン2では、第2の実施の形態における洗剤量、洗浄水量の算出に加え、洗浄時間を算出し、この洗浄時間で庫内洗浄を実施する。この庫内洗浄には洗浄情報ファイル36-3(図12)が用いられる。
【0040】
<洗浄情報ファイル36-3>
この洗浄情報ファイル36-3において、洗浄情報ファイル36-2(図10)と同一部分には同一符号を付してある。この洗浄情報ファイル36-3は洗浄情報の一例であり、メモリ部28に制御情報として格納される点は上記実施の形態と同様である。そして、この洗浄情報ファイル36-3には図12に示すように、既述の番号部58、稼働情報部60、撮影時期部62、庫内画像部64、汚れレベル部66、洗剤量部68、洗浄履歴部70、洗浄水量部72に加え、洗浄時間部74が含まれる。
洗浄時間部74には汚れレベルに応じて算出された洗浄に必要な洗浄時間、つまり、庫内汚れの洗浄に必要な時間情報が格納される。
【0041】
<処理手順>
図13は、第3の実施の形態に係る庫内洗浄の処理手順を示している。この処理手順では、庫内洗浄に当たり、汚れレベルに応じた洗剤量、洗浄水量および洗浄時間の算出処理や、汚れレベルが洗浄に必要なレベルに到達したときのアラート情報の生成およびその表示、汚れレベルが洗浄基準レベルに到達したとき、庫内洗浄の時期などの判断処理に加え、その提示が含まれる。
この処理手順においても、調理などの制御状態を監視し、調理が終了したかを判断する(S301)。調理が終了するまで待機し、調理終了後にカメラ8による撮影時期の到来かを判断する(S302)。撮影時期が到来するまで撮影は待機状態となり、撮影時期であれば(S302のYES)、プロセッサ26はカメラ8を駆動し、撮影により庫内画像38を取得する(S303)。この庫内画像38は洗浄情報ファイル36-3(図12)に格納する。
【0042】
プロセッサ26はカメラ8から取得した庫内画像38を、庫内画像・汚れレベル換算情報ファイル34(図5)を参照して庫内の汚れレベルに換算し(S304)、この換算結果を洗浄情報ファイル36-3に格納する。
プロセッサ26は汚れレベルにより庫内洗浄が必要かの判断を行い(S305)、庫内洗浄が必要でなければ(S305のNO)、つまり、基準レベルDrefを超えていなければ、待機状態となる。そして、庫内洗浄が必要であれば(S305のYES)、汚れレベルを参照し、汚れレベルの洗浄に必要な洗剤量を算出し(S306)、汚れレベルの洗浄に必要な洗浄水量を算出し(S307)、洗浄に必要な時間として洗浄時間を算出し(S308)、これら洗剤量、洗浄水量、洗浄時間などの情報提示を行う(S309)。この実施の形態においても、情報提示はモニター12の表示画面にたとえば、洗浄情報ファイル36-3の内容を表示し、洗浄の必要性を告知するアラート情報などの告知情報を提示する。
【0043】
庫内洗浄の条件成立の後、スチームコンベクションオーブン2が休止中かを判断する(S310)。つまり、夜間などのスチームコンベクションオーブン2の休止中の期間に洗浄モードに移行させ、スチームコンベクションオーブン2が稼働中または稼働停止中など、調理稼働が予定される時間帯であれば、待機状態を維持する。そして、スチームコンベクションオーブン2が休止中であれば(S310のYES)、算出した洗剤量、洗浄水量および洗浄時間による庫内洗浄に移行し(S311)、この処理を終了する。
【0044】
<第3の実施の形態の効果>
この第3の実施の形態によれば、第2の実施の形態の効果に加え、次の何れかの効果が得られる。
(1) 汚れレベルに応じて洗浄に必要な洗浄時間を算出し、この洗浄時間に洗浄を行うことができる。
(2) 洗浄時間が算出されて提示されるので、スチームコンベクションオーブン2の計画的利用を図ることができる。
【0045】
〔他の実施の形態〕
(1) 上記実施の形態では、調理機の一例としてスチームコンベクションオーブン2を例示したが、本発明はスチームコンベクションオーブン以外の調理機に利用することができる。
(2) 制御部はスチームコンベクションオーブン2の内部に設置したが、通信部32を利用して通信機能を有するパーソナルコンピュータやサーバー装置との通信により、スチームコンベクションオーブン2の庫内洗浄を制御する構成としてもよい。
(3) 上記実施の形態では、庫内汚れのレベル判定に庫内画像を用いているが、庫内画像に限定されるものではなく、庫内画像を含む庫内情報を用いて庫内汚れを判定してよい。
(4) 上記実施形態では洗浄前の庫内画像を含む庫内情報を取り込んでいるが、洗浄後の庫内画像を含む庫内情報を取込み、庫内の清浄状態を確認する処理を含んでよい。
【0046】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明によれば、調理人などのユーザーが庫内の汚れを目視で監視して洗浄レベルを設定するなどの作業から開放されるとともに、経済性の高い庫内清浄を行うことができる。
【符号の説明】
【0048】
2 スチームコンベクションオーブン
F 食材
4 調理庫
6 洗浄機能部
8 カメラ
10 制御部
12 モニター
14 操作入力部
16 オーブン本体
18 ラック
20 調理容器
22 洗浄部
24 洗剤供給部
26 プロセッサ
28 メモリ部
30 入出力部(I/O)
32 通信部
34 庫内画像・汚れレベル換算情報ファイル
36-1a、36-1b、36-1c、36-2、36-3 洗浄情報ファイル
38 庫内画像
40 番号部
42 庫内画像部
44、50 汚れレベル部
46 洗浄基準レベル部
52 洗剤量部
54 洗浄水量部
56 洗浄時間部
58 番号部
60 稼働情報部
60-1 開始部
60-2 終了部
62 撮影時期部
64 庫内画像部
66 汚れレベル部
68 洗剤量部
70 洗浄履歴部
72 洗浄水量部
74 洗浄時間部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13