IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フィンガープリント カーズ アナカタム アイピー アクティエボラーグの特許一覧

特許7141335指紋画像を形成する方法及び指紋感知システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】指紋画像を形成する方法及び指紋感知システム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20220914BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20220914BHJP
   G06T 5/50 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
G06T7/00 530
G06T1/00 400G
G06T5/50
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018530044
(86)(22)【出願日】2016-12-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-12-13
(86)【国際出願番号】 SE2016051208
(87)【国際公開番号】W WO2017105318
(87)【国際公開日】2017-06-22
【審査請求日】2019-10-28
(31)【優先権主張番号】1551643-8
(32)【優先日】2015-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】521564434
【氏名又は名称】フィンガープリント カーズ アナカタム アイピー アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100141162
【弁理士】
【氏名又は名称】森 啓
(72)【発明者】
【氏名】エーリク セッテルバリ
(72)【発明者】
【氏名】ハンス トールンブローム
【審査官】宮島 潤
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0068073(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0003677(US,A1)
【文献】米国特許第06330345(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
G06T 1/00 - 1/40
G06T 3/00 - 5/50
G06T 9/00 - 9/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
指紋タッチセンサと前記指紋タッチセンサに接続された処理回路とを含む指紋感知システムによってユーザの指の指紋画像を形成する方法であって、
前記ユーザの指が前記指紋タッチセンサに完全に接触するときまで、前記ユーザの指が前記指紋タッチセンサにアプローチするときの前記指の押下の間、異なる段階で前記指の画像シーケンスを取得するステップであって、前記画像シーケンスは、第1取得画像および少なくとも1つの後の取得画像を含む、ステップと、
前記画像シーケンスの画像の一部分を選択するステップであって、
画像の前記選択された部分はすべて、前記指を示す情報を含み、
前記第1取得画像に対応する前記選択された部分は、中央部分を含み、前記画像シーケンスのうち初期に取得され、
前記少なくとも1つの後の取得画像に対応する前記選択された部分は、前記中央部分に対して、該中央部分を囲む前記指の外側部分を含み、
前記画像シーケンスのうち後期に取得される、ステップと、
前記指の画像の前記選択された部分に含まれる指紋画像情報を結合することによって前記指紋画像を形成するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記画像シーケンスは、前記指が前記指紋タッチセンサの上における押下の単一のイベントによって規定された時間枠内に連続して取得される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記画像のそれぞれは、複数の画素を含み、前記指紋画像を形成するステップは、-画像の選択された前記部分の各対応画素に対する画素値の平均を求めることを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記画像シーケンス内の画像の全てを取得するとき、前記指紋タッチセンサのセンサ設定が同じである、請求項1ないしのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記指の前記画像シーケンスの2枚の画像を取得する間の期間は、50ミリ秒未満である、請求項1ないしのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記画像シーケンスは、少なくとも3枚の画像を含む、請求項1ないしのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
指紋タッチセンサと、
メモリと、
請求項1に記載の方法を実行するための前記指紋タッチセンサに接続された処理回路と
を含む、指紋感知システム。
【請求項8】
前記指紋タッチセンサは、容量性指紋タッチセンサである、請求項に記載の指紋感知システム。
【請求項9】
前記画像シーケンス内の画像の全てを取得するとき、前記指紋タッチセンサのセンサ設定が同じである、請求項またはに記載の指紋感知システム。
【請求項10】
電子デバイスであって、
請求項ないしのいずれか1項に記載の指紋感知システムと、
デバイスコントローラであって、
少なくとも1つの選択された前記指紋画像に基づいて指の認証を実行し、
前記認証が認証成功を示す場合にのみ、該電子デバイスを制御する少なくとも1つのアクションを実行する、デバイスコントローラと、
を含む、電子デバイス。
【請求項11】
前記電子デバイスは、携帯電話である、請求項10に記載の電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、指紋感知システムを使用して指紋画像を形成する方法に関し、特に、後に取得される複数の指の画像から指紋画像データを合成することにより、改善された指紋画像の形成に関する。本発明はまた、対応する指紋感知システム及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
種々の生体認証システムが電子デバイスにアクセスするための強化されたセキュリティを提供すると同時に、許容されるレベルでユーザの利便性を維持するために使用されている。特に、指紋センサは、例えば、それらの小さな形成要素、高性能かつユーザの受け入れのため、そのようなデバイスにうまく統合されている。様々な利用可能な指紋感知原理(例えば、静電容量式、光学式、熱式など)の中でも、静電容量式感知は、最も一般的に使用され、サイズと消費電力が重要な用途に特に使用される。
【0003】
全ての容量性指紋センサは、いくつかの感知素子と指紋センサの表面上に載置された指との間の静電容量を表す尺度を提供する。指紋画像の取得は、典型的には、二次元的にシーケンスされた感知素子を複数備えた指紋センサを用いて行われる。また、感知素子のブロックが順次サンプリングされるブロックベースの技術は、指紋画像を取得する指紋センサに適用することができ
【0004】
指紋センサに関連する問題の1つは、指先の隆線-谷線パターンの電気信号への信頼性のある正確な変換に関する。すなわち、指紋センサにより達成される画質であり、特にコントラストと明るさで、静電容量の測定変化をもたらす画像にどれだけ良好に結びつくかに依存し、特に、基本的な関心としてここでは指紋センサの場合に、指先がどの程度しっかりと指紋センサの載置部分の上に置かれるかに依存する。指がそこに単に軽く載置される場合は、小領域かつ単に少量のダークグレー成分を有する指紋画像が生成される。指がセンサにしっかりと押された場合は、指紋画像の面積が増加し、画像のグレー成分は、より暗い値にシフトする。指センサの表面上に載置する間、指が指紋センサから短い距離に到達するとき、皮膚表面に対して測定された導電領域の容量が、既に指紋センサの基本状態に対して差分を作り出すため、既に不完全な指紋画像がさらに発生する可能性がある。
【0005】
このように、指を指紋センサ上に載置する際の「適切な時」に指紋画像を取得できるようにするという高い重要性がある。この問題の解決を試みる例示的な実装は、US6990218に開示されている。US6990218は、センサによって短い間隔で連続して次々に記録された画像のシーケンスから、更なる処理に最適な画像を選択するように適合された方法を提供する。画像は、それが典型的な指紋に対応する可能性が最も高い画像であるという基準に基づいて選択される。選択された画像は、選択された画像から補正画像を減算することによってさらに改善される。この場合、補正画像は、画像のシーケンスを取得する際、本質的にバックグラウンドの乱れを表現するように形成されている。
【0006】
US6990218は、指紋画像を取得する際のタイミングを改善するため、及び画像内の乱れを低減するための興味深いアプローチを導入しているが、US6990218は、有益な情報を破棄する可能性がある。このように、指紋センサ上に指を載置する際の指紋画像取得に関しては更なる改善の余地があるように思われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の先行技術及び他の欠点を考慮すると、本発明は、指紋認証システムを使用して指紋画像を取得するための改善された方法を提供することを目的とする。特に、本発明者らは、指紋センサ上に載置される際にどのように指が行動するかという固有の特徴を考慮することが望ましいことを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従って、本発明の一態様によれば、指紋タッチセンサと、指紋タッチセンサに接続された処理回路とを含む指紋感知システムによって指の指紋画像を形成する方法が提供される。ここで、本方法は、指紋タッチセンサに接触したときの指の押下の異なる段階で指の画像のシーケンスを取得するステップと、画像のシーケンスの部分を選択するステップであって、画像の選択された部分のすべては、指を示す情報を含む、ステップと、指の画像の選択された部分に含まれる指紋画像情報を合成して指紋画像を形成するステップとを含む。
【0009】
本発明は、指が指紋センサに接触するイベント中、多少押し下げられるという認識に基づいている。すなわち、指が指紋センサの表面に押されたときに隆線-谷線パターンがわずかに歪む。具体的には、指紋の固有の身体的行動は、指紋が指紋センサに押し付けられたときに指紋の隆線がわずかに平坦化されるので、指紋の谷線をより狭くさせる。しかし、正確な身体的行動は異なるユーザ間で異なるであろう。変形/押下の正確な量は、もちろん指が指紋センサに対して押圧される加圧量に依存するであろう。
【0010】
本発明によれば、指の画像のシーケンスは、少なくとも指が「接近する」とき(指紋センサとの少しの接触)から指が指紋センサと完全に接触するまでの間にとられる。このように、画像のシーケンスは、指紋センサに接触したときの押下の異なる段階で指の画像をキャプチャする。押下/変形は、指紋センサと接触している間に異なる部分ごとに変化するので、上述したように「適切な時」は、典型的には、指のすべての部分に対して同じではない。典型的には、指先の中央部分は、最初に押下され、その後、指先の中心から外側に向かって新たに接触する部分が移動する。したがって、本発明によれば、指が最初に指紋センサに接触したときにできるだけ近くの(撮像されたシーケンス内の)画像を取得することが望ましい。好ましくは、本開示のいくつかの実施形態では、同じ(又は類似の)センサ設定を使用して画像のシーケンス内のすべての画像を取得するために適切であることである。すなわち、センサ設定、例えばゲインレベル、を調整することよりも、むしろ一連の画像のシーケンス内の取得された画像の各々に対して、取得した画像のすべてに同じゲインレベルが使用される。これは、典型的には、先行技術に従って使用されるアプローチに反して、特定の「ゲイン制御パターン」(例えば、第1画像には低いゲイン、第2画像にはわずかに高いゲイン、第3画像にはさらに高いゲイン等)が適用されてもよい。
【0011】
指が指紋センサに接触するときに指がどのように「身体的に行動」するかを説明した理解を用いれば、指紋センサとの接近-接触の全プロセス中に指の画像をキャプチャすることによって、改善された指紋画像を形成することが可能となる。本発明による改善は、取得された指紋画像の各々の少なくとも一部を合成することによって達成された。画像シーケンスからの画像データを合成する概念は、以下さらに詳述する。
【0012】
本発明の典型的な実装では、画像のシーケンスを取得する取得段階中に、いくつかの画像は、例えば、「早く」キャプチャされてもよい。本発明によれば、選択は、典型的には、指の情報を保持しない画像を除外するために行われる。例えば、指紋センサからのバックグラウンドノイズを含むような空の画像は、指紋画像を形成するときには含まれない。
【0013】
時間枠内に連続取得した画像のシーケンスは、指が指紋タッチセンサの上における押下の単一のイベントによって規定されることを強調したい。これは、上述したように、少なくとも指が「接近する」とき(指紋センサとの少しの接触)から指が指紋センサと完全に接触するまでの期間に対応する。さらに、画像を取得するこの時間は、いったん指がセンサ上にしっかりと載置された場合に1以上の画像を取得する従来のアプローチと混同してはならない。むしろ、本発明の方法は、比較として画像を取得するのもそうだが、指が指紋センサにしっかりと載置される以前に画像を取得する。
【0014】
指紋センサは、いわゆる「タッチ指紋センサ」と呼ばれることを理解すべきである。すなわち、複数の画像を順次取得し、その後、完全な指紋画像を形成するために一体として縫い合わせられる場合のスワイプセンサではないことを理解すべきである。本発明によれば、指は、むしろ高い位置からタッチセンサに向かって指紋センサに押し付けられ、すなわち、(スワイプセンサのように)センサ領域上をスワイプしない。
【0015】
上述したように、各選択画像に含まれる少なくともいくつかの情報を合成することにより、画像(すべてが指を示す情報を含む)の選択が指紋画像を形成するために使用される。本発明の一実施形態において、合成とは、分かりやすくは取得された指紋画像の対応する画素の値が要約又は結合されていることである。この考えは、画像の選択を使用して、各選択画像からの情報を形成された単一の「総合」指紋画像に合成することである。
【0016】
また、各選択画像を分析することによってより複雑なアプローチを取ること、及び形成された単一の指紋画像にいったん合成して使用される貴重な情報を提供する各選択画像のセクションを決定することが可能である。分析と決定は、例えば、情報が所定の品質基準を満たすかを評価することによって行われてもよい。あるいは、各選択画像から所定のセクション(領域)を合成することも可能であり、所定のセクション(面積)は、各選択画像とは少なくとも部分的に異なるものである。実施可能な形態では、所定のセクション(面積)は、取得シーケンス内の位置に依存している。
【0017】
例としては、シーケンス内の早期に取得した画像の中央部分/領域を選択することによって開始し、次に「環状に基づく方法」(必ずしも円形でない)で取得した指紋画像のシーケンス内の指紋センサの外縁部に向かってさらに部分/領域を取得することも可能である。そのような実装では、この考えは、わずかな押下状態で指の部分をキャプチャすることであり、指先の中央部分が取得画像のシーケンスで後により押し下げられるという期待を伴う。したがって、そのような実装では、合成指紋画像は、押し下げていない状態での指紋のセクションを含む。
【0018】
画像が取得され、次に画像が取得される間のおおよその「時間差」に関する情報が合成される特定のシーケンスの知識を利用することが非常に有利であることを理解するべきである。この情報は、指の深さプロファイルを形成するために合成して使用されてもよい。例えば、典型的には、指先の中央部分が指紋センサに最初に接触して、続いて指の「外側のセクション」に接触する。指の深さプロファイルは、一実施形態では、認証目的に使用することができる。一実施形態では、指の画像シーケンスの2枚の画像を取得する間の時間が50ミリ秒(ms)未満、好ましくは25ミリ秒未満、最も好ましくは10ミリ秒未満である。画像のシーケンスは、少なくとも3枚の画像、好ましくはそれ以上、そして典型的には指紋センサの種類及び設計された実装に依存する。
【0019】
本発明によれば、一実施形態では、例えば、低い「解像度」の画像を取得することにより、部分画像を取得することにより、又は例えば、各取得画像に対して指紋センサの1ピクセルおきにアクティベート(サブサンプリング)される場所のみの画像を取得することにより、2枚の順次取得される画像間の時間を削減することが可能である。サブサンプリングの場合、アクティブ画素の選択は、画像シーケンスの順次取得される画像間でシフトさせることが可能である。指紋センサは、それによって「全体の」画像が取得された場合のみの実装と比較して高速で指紋画像を取得するように構成することができる。
【0020】
さらに、形成された指紋画像は、典型的には、指の登録と、その後の指の認証とを可能にすることによって使用されることが理解されるべきである。また、形成された指紋は、指(ユーザの指)に関連するユーザを識別するために使用することができる。さらに、指紋画像が指紋画像の更なる改善を可能にするために形成された後、例えば、画像処理を実行してもよい。
【0021】
指紋センサを用いて取得された場合、本発明の文脈において、表現「指紋画像」は、指の指紋の通常の「視覚画像」と、指紋センサを使用して取得されるときの指に関連する測定値のセットとの両方を含むように広く解釈されるべきである。また、表現「処理回路」は、任意の種類のコンピューティングデバイス、例えば、ASIC、マイクロプロセッサ等、を含むことが理解されるべきである。そのような処理回路の実装は、複数のデバイス/回路を用いて行うこともできることが理解されるべきである。
【0022】
本発明の別の態様によれば、指紋タッチセンサと、メモリと、指が指紋タッチセンサに接触したときの指の押下の異なる段階で指の画像のシーケンスを取得し、画像のシーケンスの部分を選択し、指の画像の選択された部分のすべては、指を示す情報を含み、指の画像の選択された部分に含まれる指紋画像情報を合成することによって指紋画像を形成する、指紋センサに接続された処理回路とを含む、指紋感知システムが提供される。本発明のこの態様は、本発明の前述の態様に関連して上述した同様の利益を提供する。
【0023】
指紋センサは、上述したように、例えば、容量式、光学式、又は熱式の感知技術を含め、任意の種類の現在又は将来の指紋感知原理を使用して実施することができる。しかし、現状では容量式感知が最も好ましい。1次元及び2次元センサの両方が可能であり、本発明の範囲内である。
【0024】
指紋感知システムは、好ましくは、少なくとも1枚の選択された指紋画像に基づいて指の認証を実行し、認証が認証成功を示す場合にのみ、少なくとも1つのアクションを実行するためのデバイスコントローラを含む、電子デバイスの一部を形成する。そのようなアクションは、ロックされたポータブルデバイス、例えば、ポータブルデバイスが携帯電話である場合、を解除するためのものであってもよい。少なくとも1つのアクションは、もちろん指を認証する必要があるときに、適切に使用される任意の種類のアクションであってもよい。
【0025】
本発明のさらに別の態様によれば、ポータブル電子デバイスを制御する手段のためのコンピュータプログラムを格納したコンピュータ可読媒体を含む、コンピュータプログラム製品であって、ポータブル電子デバイスは、指紋タッチセンサと処理回路とを含む指紋感知システムを備え、指紋感知システムは、指の指紋画像を形成するように適合され、コンピュータプログラム製品は、指が指紋タッチセンサに接触するときの指の押下の異なる段階で指の画像シーケンスを取得するためのコードと、画像シーケンスの部分を選択するためのコードであって、画像の選択された部分はすべて、指を示す情報を含む、コードと、指の画像の選択された部分に含まれる指紋画像情報を合成することによって指紋画像を形成するためのコードと、を含む。また、本発明のこの態様は、本発明の前の態様に関して上述したのと同様の利益を提供する。
【0026】
要約すれば、本発明は、概して、指紋感知システムを使用して指紋画像を形成する方法、特に、後に取得された複数の指の画像から指紋画像データを合成することにより、改善された指紋画像の形成に関する。本発明はまた、対応する指紋感知システム及びコンピュータプログラムに関する。本発明の利益には、指が指紋センサに最初に接触したときに取得され、順次取得された複数の画像の各々の対象領域を具体的に強調することによって形成された合成指紋画像を作成する実現性を含む。
【0027】
本発明の更なる特徴及び利益は、添付の特許請求の範囲及び以下の説明を検討する際に明らかになる。当業者は、本発明の異なる特徴が本発明の範囲から逸脱することなく、以下に記載された以外の実施形態を作成するために合成することができることを理解する。
【0028】
本発明の様々な態様は、その特定の特徴及び利益を含み、以下の詳細な説明及び添付図面から容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】統合された指紋センサを含む携帯電話の形で、本発明による電子デバイスを概略的に例示する。
図2図1の電子デバイスに含まれる指紋センサアレイを概略的に示す。
図3】指紋センサに接触する指の押下の様々な段階(A)~(D)を示す。
図4】画像データを合成することによって形成された単一の指紋画像(A)及び(B)を示す。
図5】本発明の現在好ましい実施形態による指紋感知システムを概念的に示す。
図6図4の指紋感知システムと関連して典型的に実行される本発明の例示的なステップを開示するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、本発明の現在好ましい実施形態が示される添付図面を参照して詳細に説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化でき、本明細書に記載された実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、当業者に本発明の範囲を徹底して完全に、そして十分に伝えるために提供される。同様の参照文字は、全体を通して同様の要素を指す。
【0031】
図面、特に図1を参照すると、統合された指紋センサ102と、タッチスクリーンインターフェース106を含む表示部104とを備える携帯電話100の形で、本発明による電子デバイスが概略的に図示されている。この実施形態では、指紋センサ102と表示部104は、携帯電話100の正面側に一体に配置されている。指紋センサ102は、例えば、携帯電話100のロックを解除するため、及び/又は携帯電話100等を使用して実行されるトランザクションを承認するために使用することができる。指紋センサ102は、もちろん携帯電話100の背面に配置されてもよい。
【0032】
好ましくは、当業者にとって明らかなように、図1に示す携帯電話100は、さらにWLAN/Wi-Fi通信用の第1のアンテナと、遠隔通信、マイクロフォン、スピーカ及び電話制御ユニット用の第2のアンテナとを備える。さらに、本発明は、他の種類のポータブル電子デバイス、例えば、ノートパソコン、リモコン、タブレットコンピュータ、又は任意の他の種類の現在又は将来同様に構成される装置に関して適用可能であることに留意すべきである。
【0033】
図2を参照すると、指紋センサ102の拡大図が概念的に示されている。容量式感知技術を用いる場合、指紋センサ102は、多数の感知素子を含むように構成され、好ましくは二次元アレイとして配置される。この二次元アレイのサイズは、設計された実装に依存し、例えば、一実施形態では、160×160ピクセルが使用される。他のサイズは、本発明の範囲内でもちろん可能であり、上記の例と比較してより少ない画素を有する二次元アレイを含む。単一の感知素子(画素としても示される)が参照符号202によって図2に示される。
【0034】
図3(A)~(D)は、ユーザが指紋センサ102に接触して指を載置するときに順次取得された4枚の画像を例示する。図3(A)の最初の画像は、指が単に指紋センサ102と接触しているように取得されている。図から理解されるように、指先の中央部分は、ここでセンサ102と接触している。図3(A)では、指先に対していかなる特徴的な変形がなされる前に指先の中央部分が取得される。その理由は指先の中央部分の圧力が比較的低く、したがって隆線がまだ平坦化されていないからである。
【0035】
図3(B)において、圧力は指先の中央部で高くなる。図3(A)に示す指の中央部分と比較すると、より少ないビット数で特徴的な指の中央部を表現することができる。しかし、指先の中央部分を取り囲む指の第2の部分は、まだ指紋センサ102に「加圧して」接触しているわけではない。このように、指の第2の部分は、第2の画像を取得する時点で、最終的な指紋画像に適切な候補を提供する。このように、指の第2の部分に対応する第2の画像の一部は、最も重要である。
【0036】
同様に、図3(C)及び(D)に図示される指の第3及び第4の部分は、画像シーケンス内の第3及び第4の取得画像を用いてさらに説明される。第3及び第4の画像の対応する部分は、最終的な指紋画像に適した画像部分を提供する。
【0037】
図4(A)は、画像シーケンス(例えば、図3(A)~(D))の個別画像からのデータを、最終的な指紋画像の第1のバージョン400を形成するために合成する方法を概念的に示している。この第1の実施形態では、取得画像の選択されたサブセクションのみが、指紋画像400を形成するために合成される。例えば、指先の中央部のみに対応する所定のサブセクション402は、画像のシーケンスで最初(図3(A))に取得した指紋画像を使用して規定されてもよい。同様に、第2、第3及び第4のサブセクション404、406、408は、第2、第3及び第4にそれぞれ取得した取得画像(図3(B)~(D))により規定されてもよい。第2、第3及び第4のサブセクション404、406、408は、図4(A)に示す第1実施形態では以前のサブセクションを除外するが、しかし完全にではなく、多少重複する。サブセクション402、404、406及び408は、異なって規定されてもよいことが理解されるべきである。場合によって、サブセクションは、取得画像の品質基準に基づいて、「即座」に規定することができる。
【0038】
図4(B)は、画像シーケンス(例えば、図3(A)~(D))の個別画像からのデータを、最終的な指紋画像の第2のバージョン400'を形成するために合成する方法を概念的に示している。この第2の実施形態では、4枚の各画像(例えば、図3(A)~(D))からの画像データの「全て」が、指紋画像の第2のバージョン400'を形成するために合成される。ここで、代わりに、サブセクション410、412、414及び416は、画像シーケンスの各画像が取得された時点で指紋センサ102に接触する指全体に対応するように規定されている。
【0039】
最終的な指紋画像を形成するための画像シーケンスの別々の画像からの画像データの合成は、上記に示したように、(指紋画像の各対応画素に対する)画素値の平均に基づいてもよい。画像は、指紋画像全体を改善させる目的で、最終的な指紋画像を形成する他の方法を用いて、全て結合されてもよい。したがって、最終的な指紋画像は、取得された指紋画像データを含む取得された全ての画像からのデータの合成である。
【0040】
本発明によれば、指紋センサ102及び指紋画像を取得するための操作は、図5に示すように概念化した指紋センサシステム500を使用して達成される。次に、指紋センサシステム500は、典型的に、図1に例示されるように電子デバイス/モバイルの一部を形成する。
【0041】
指紋センサシステム500は、指紋センサ102と、処理回路、例えば指紋センサ102を制御する制御ユニット502とを含む。指紋センサシステム500は、さらにデータベース504のようなメモリを含む。制御ユニット502は、それぞれマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、プログラマブルデジタル信号プロセッサ又は他のプログラマブルデバイスを含む。また、制御ユニット502は、それぞれ特定用途向け集積回路、プログラマブルゲートアレイ、又はプログラマブルアレイロジック、プログラマブルロジックデバイス、又はデジタル信号プロセッサであってもよく、又はその代わりに含むことができる。制御ユニット502がプログラマブルデバイス、例えば、上記マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ又はプログラマブルデジタル信号プロセッサなどを含む場合、プロセッサは、プログラマブルデバイスの操作を制御するコンピュータ実行可能コードをさらに含むことができる。制御ユニット502(又は、概して「処理回路」として説明する)によって提供される機能の全部又は一部は、指紋センサ502に少なくとも部分的に統合できることが理解されるべきである。
【0042】
さらに図6を参照すると、指紋センサシステム500の動作中に、指が指紋タッチセンサ102と接触したときの指の押下の異なる段階で指の画像のシーケンスを取得する(S1)ように、指紋センサシステム500が配置される。上述のように、画像は、好ましくは指紋センサ102に最初に接触するときに近い時間に取得される。しかし、画像の選択部分のすべてが指を示す情報を含む、画像のシーケンスの部分のみを選択する(S2)ことにより、指が十分に指に接触をする前に取得された、例えば「空」の画像を除外することが可能である。いったん取得画像の部分が選択されると、これらの画像は、指の画像の選択部分に含まれる指紋画像情報を合成することによって、指紋画像を形成する(S3)ために使用される。
【0043】
形成された指紋画像400、400'は、指紋システム500によってさらに処理され、使用されてもよい。さらに、このような処理には、画像強調を含むことができる。形成された指紋画像400、400'は、さらに典型的には、指の登録と後の指の認証に使用される。
【0044】
本開示の制御機能は、既存のコンピュータプロセッサを使用して、又はこの若しくは他の目的のために組み込まれた適切なシステム用の専用コンピュータプロセッサによって、又は専用ハードウェアシステムによって、実装されてもよい。本開示の範囲内の実施形態は、その上に格納される機械実行可能な命令又はデータ構造を担持又は有するための機械可読媒体を含むプログラム製品を含む。そのような機械可読媒体は、プロセッサを有する、汎用又は専用コンピュータ、又は他の機械によってアクセスできる任意の利用可能な媒体とすることができる。一例として、そのような機械可読媒体は、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、CD-ROM又は他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置又は他の磁気記憶装置、又は機械実行可能命令若しくはデータ構造の形で所望のプログラムコードを担持又は格納するために使用され、及びプロセッサを有する、汎用又は専用コンピュータ、又は他の機械によってアクセスすることができる他の任意の媒体、を含むことができる。情報は、ネットワーク又は別の通信接続(有線、無線、又は有線と無線の組み合わせのいずれか)を介して機械に転送又は提供されるとき、機械は接続を適切に機械可読媒体として見る。したがって、そのような接続は、適切に機械可読媒体と呼ばれる。上記の組み合わせもまた、機械可読媒体の範囲内に含まれる。機械実行可能命令は、例えば、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は特定の機能若しくは機能群を実行する専用処理機械に実行させる、命令及びデータを含む。
【0045】
図はシーケンスを示すが、ステップの順序が示されているものと異なってもよい。また、2以上のステップは、同時に又は部分的に同時に実行されてもよい。このような変形は、選択されたソフトウェアとハードウェアのシステム及び設計者の選択に依存する。このような変形の全ては、本開示の範囲内である。同様に、ソフトウェアの実装は、様々な接続ステップ、処理ステップ、比較ステップ及び決定ステップを達成するために、ルールベースのロジック及び他のロジックを有する標準プログラミング技術で達成することができる。さらに、本発明をその特定の例示の実施形態を参照して説明されているが、多くの異なる変更、修正等がなされることが当業者には明らかであろう。
【0046】
さらに、開示された実施例に対する変形は、請求された発明を実施する際に当業者によって図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の研究が行われることにより、理解及び達成されることができる。また、特許請求の範囲において、「含む/備える」という単語は、他の要素又はステップを除外するものではない。
図1
図2
図3A-3D】
図4A-4B】
図5
図6