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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】塵芥収集車
(51)【国際特許分類】
   B65F 3/00 20060101AFI20220914BHJP
【FI】
B65F3/00 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019034807
(22)【出願日】2019-02-27
(65)【公開番号】P2019202887
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2021-10-19
(31)【優先権主張番号】P 2018095779
(32)【優先日】2018-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下田 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】河津 翔吾
(72)【発明者】
【氏名】辻 大貴
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-008313(JP,U)
【文献】特開2017-048049(JP,A)
【文献】実開平07-038539(JP,U)
【文献】特開平09-021272(JP,A)
【文献】特開2001-152746(JP,A)
【文献】特開2013-170074(JP,A)
【文献】特開2017-206380(JP,A)
【文献】特開2017-178458(JP,A)
【文献】特開平08-231004(JP,A)
【文献】実開平06-027712(JP,U)
【文献】特開2007-331922(JP,A)
【文献】特開平11-150823(JP,A)
【文献】特開平10-029701(JP,A)
【文献】特開平08-047861(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65F 3/00- 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車台上に設けられた塵芥収容箱と、該塵芥収容箱の後方開口部に連設され、塵芥が投入される塵芥投入口が形成された塵芥投入箱と、該塵芥投入箱に設けられて上記塵芥収容箱に塵芥を積み込む塵芥積込装置と、上端位置と下端位置との間をスライド移動することで上記塵芥投入口を開閉する投入口カバーとを備えた塵芥収集車において、
上記塵芥投入箱における上記塵芥積込装置の上方に設けられ、該塵芥投入箱の左右側壁をつなぐクロスバーと、
上記クロスバーに固定された駆動モータと、
上記駆動モータに駆動されるベルト又はチェーンよりなり、上下に延びる伝動部材と、
一端が上記伝動部材に回動可能に連結され、他端が上記投入口カバーに回動可能に連結されて上下に移動するアーム部と、
上記駆動モータを制御して上記投入口カバーを上記上端位置と上記下端位置との間でスライド移動させて上記塵芥投入口を開閉させる制御部とを備えている
ことを特徴とする塵芥収集車。
【請求項2】
請求項1に記載の塵芥収集車において、
上記塵芥投入箱にそれぞれ設けられ、上記投入口カバーが上記上端位置又は上記下端位置の手前に移動してきたのを検知する上側センサ及び下側センサを備え、
上記制御部は、上側センサ又は下側センサの信号を受けて上記駆動モータの回転数を低下させるように構成されている
ことを特徴とする塵芥収集車。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の塵芥収集車において、
上記伝動部材の一端側は、上記塵芥投入箱の上側に回転可能に支持された従動プーリに掛けられ、
上記伝動部材の他端側は、上記駆動モータの出力軸に設けた駆動プーリに掛けられており、
上記従動プーリは、左右側壁の中央から左右いずれか一方にずれた位置に設けられている
ことを特徴とする塵芥収集車。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の塵芥収集車において、
上記伝動部材の一端側は、上記塵芥投入箱の上側に回転可能に支持された従動プーリに掛けられ、
上記伝動部材の他端側は、上記駆動モータの出力軸に設けた駆動プーリに掛けられ、
上記従動プーリと上記駆動プーリに掛けられてエンドレス状となった上記伝動部材の内側領域には、上下に延びるガイド部材が設けられており、
上記ガイド部材の内部を上記アーム部に設けたローラが上下に移動するように構成されている
ことを特徴とする塵芥収集車。
【請求項5】
請求項4に記載の塵芥収集車において、
上記ガイド部材及び上記伝動部材は、カバー部材で覆われており、
上記カバー部材の上記アーム部側は、上下に延びる切れ目を有する防水シートで覆われ、上記切れ目から上記カバー部材の内部へ一部挿入された上記アーム部又は上記伝動部材に対する上記アーム部の固定部の一部が、上記切れ目に沿って移動するように構成されている
ことを特徴とする塵芥収集車。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載の塵芥収集車において、
上記アーム部の他端は、工具が不要なアーム結合用ノブボルトによって脱着可能なアーム取付ブラケットを介して上記投入口カバーに連結されている
ことを特徴とする塵芥収集車。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載の塵芥収集車において、
上記駆動モータは、上記塵芥積込装置にグリースを給脂するグリースニップルを集合させた集中給脂部が固定された左右に延びるクロスバーに設けられている
ことを特徴とする塵芥収集車。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1つに記載の塵芥収集車において、
上記投入口カバーには、上記塵芥投入口の周縁に設けた被係合部に係合して該投入口カバーの移動を規制可能な係合ピンが設けられ、
上記係合ピンは、付勢部材によって上記被係合部の方へ常に付勢され、
上記投入口カバーには、締め付けることにより上記係合ピンを上記被係合部と反対側へ移動させ、該被係合部との係合を規制する状態に保持する係合解除用ノブボルトが設けられている
ことを特徴とする塵芥収集車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵芥収集車に関し、特にその投入口カバーの自動開閉構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車台上に設けられた塵芥収容箱と、この塵芥収容箱の後方開口部に連設され、塵芥が投入される塵芥投入口が形成された塵芥投入箱と、この塵芥投入箱に設けられて塵芥収容箱に塵芥を積み込む塵芥積込装置と、スライド移動することで塵芥投入口を開閉する投入口カバーとを備えた塵芥収集車は知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
通常、この投入口カバーは、塵芥を積み込むときに作業者が開き、積み終わると閉じるようになっているが、積込作業の開始時と終了時に毎回投入口カバーを開閉するのは非常に面倒な作業である。
【0004】
そこで、例えば、特許文献1及び2のように手動ではなく、電動モータや油圧シリンダで投入口カバーを開閉できるようにするものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4369796号公報
【文献】特許第5792512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の塵芥収集車では、投入口カバーの上側左右に頑丈なラック部材を大きく延ばす必要があり、また、これらのラック部材を駆動するためのピニオンを左右端部に有する正逆回転可能な重いシャフトを設ける必要がある。このため、構造が複雑になり、重く、左右のスペースを必要とする。
【0007】
また、特許文献2の塵芥収集車では、一対の油圧シリンダと、これら一対の油圧シリンダと投入口カバーとを連結するパンタグラフ式のリンク機構とが設けられ、複雑で、重く左右のスペースを必要とする構成となっている。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、できるだけ軽くて省スペースの簡易な構造で投入口カバーを自動で確実に開閉できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、この発明では、構造上必要なことから、従来設けられている、左右側壁をつなぐクロスバーを利用して駆動モータを配置し、その駆動モータによってベルト等よりなる伝動部材を駆動して投入口カバーを自動で開閉できるようにした。
【0010】
具体的には、第1の発明では、車台上に設けられた塵芥収容箱と、該塵芥収容箱の後方開口部に連設され、塵芥が投入される塵芥投入口が形成された塵芥投入箱と、該塵芥投入箱に設けられて上記塵芥収容箱に塵芥を積み込む塵芥積込装置と、上端位置と下端位置との間をスライド移動することで上記塵芥投入口を開閉する投入口カバーとを備えた塵芥収集車を前提とし、
上記塵芥収集車は、
上記塵芥投入箱における上記塵芥積込装置の上方に設けられ、該塵芥投入箱の左右側壁をつなぐクロスバーと、
上記クロスバーに固定された駆動モータと、
上記駆動モータに駆動されるベルト又はチェーンよりなり、上下に延びる伝動部材と、
一端が上記伝動部材に回動可能に連結され、他端が上記投入口カバーに回動可能に連結されて上下に移動するアーム部と、
上記駆動モータを制御して上記投入口カバーを上記上端位置と上記下端位置との間をスライド移動させて上記塵芥投入口を開閉させる制御部とを備えている。
【0011】
上記の構成によると、比較的重量の大きい駆動モータを、従来設けられている左右側壁をつなぐ剛性の高いクロスバーに設けるので、駆動モータを設けるためだけに新たに補強部材を設ける必要がない。また、モータがベルト等よりなる伝動部材を直接駆動するので、特許文献1のような左右一対のピニオンラックを設ける場合のように、わざわざ左右に長い専用のシャフトを設けたり、頑丈なラック部材を投入口カバーから大きく延ばしたりする必要がない。これにより、軽くて省スペースな投入口カバーの開閉機構を備えた塵芥収集車にできる。また、投入口カバーと、伝動部材とをつなぐアーム部を回動可能に設けることで、投入口カバーが上下するときの伝動部材と投入口カバーとの距離の変化を簡単な構成で吸収させることができる。なお、「塵芥積込装置の上方」とは、塵芥積込装置の上方のスペースを意味し、塵芥積込装置の一部(例えば、シリンダの一部)が側面視でクロスバーよりも高い位置にあってもよい。
【0012】
第2の発明では、第1の発明において、
上記塵芥投入箱にそれぞれ設けられ、上記投入口カバーが上記上端位置又は上記下端位置の手前に移動してきたのを検知する上側センサ及び下側センサを備え、
上記制御部は、上側センサ又は下側センサの信号を受けて上記駆動モータの回転数を低下させるように構成されている。
【0013】
上記の構成によると、上側センサ及び下側センサを設けることで、塵芥投入口の上端位置又は下端位置で急に投入口カバーが停止することがなく、滑らかな開閉動作が行われる。
【0014】
第3の発明では、第1又は第2の発明において、
上記伝動部材の一端側は、上記塵芥投入箱の上側に回転可能に支持された従動プーリに掛けられ、
上記伝動部材の他端側は、上記駆動モータの出力軸に設けた駆動プーリに掛けられており、
上記従動プーリは、左右側壁の中央から左右いずれか一方にずれた位置に設けられている。
【0015】
上記の構成によると、左右側壁の中央は、塵芥積込装置のための配管などが密集しているが、それを避けた位置に従動プーリを設けることができるので、塵芥積込装置の上方の空いたスペースを有効に活用できる。
【0016】
第4の発明では、第1から第3のいずれか1つの発明において、
上記伝動部材の一端側は、上記塵芥投入箱の上側に回転可能に支持された従動プーリに掛けられ、
上記伝動部材の他端側は、上記駆動モータの出力軸に設けた駆動プーリに掛けられ、
上記従動プーリと上記駆動プーリに掛けられてエンドレス状となった上記伝動部材の内側領域には、上下に延びるガイド部材が設けられており、
上記ガイド部材の内部を上記アーム部に設けたローラが上下に移動するように構成されている。
【0017】
上記の構成によると、ローラがガイド部材に沿って上下に移動するので、伝動部材の屈曲が最小限に抑えられる。すなわち、投入口カバーの移動時の負荷変動によって伝動部材が屈曲しようとするが、ガイド部材によってその屈曲が抑えられるので、投入口カバーの移動速度を安定させることができ、伝動部材の耐久性が向上する。また、ガイド部材は、エンドレス状の伝動部材の内側領域に配置されるので、省スペース構造となる。
【0018】
第5の発明では、第4の発明において、
上記ガイド部材及び上記伝動部材は、カバー部材で覆われており、
上記カバー部材の上記アーム部側は、上下に延びる切れ目を有する防水シートで覆われ、上記切れ目から上記カバー部材の内部へ一部挿入された上記アーム部又は上記伝動部材に対する上記アーム部の固定部の一部が、上記切れ目に沿って移動するように構成されている。
【0019】
上記の構成によると、カバー部材及び防水シートにより、ガイド部材及び伝動部材に汚水やごみが付着しないようにできる。また、防水シートの切れ目により、アーム部が他の位置にあるときには、切れ目が閉じてガイド部材及び伝動部材が保護されると共に、防水シートがアーム部の移動を妨げない。
【0020】
第6の発明では、第1から第5のいずれか1つの発明において、
上記アーム部の他端は、工具が不要なアーム結合用ノブボルトによって脱着可能なアーム取付ブラケットを介して上記投入口カバーに連結されている。
【0021】
上記の構成によると、何らかの理由で自動で開閉できなくなった場合などに、工具を使わずに、アーム結合用ノブボルトを弛めて投入口カバーと伝動部材との接続を解除することで、手動で投入口カバーをスライドさせることができる。
【0022】
第7の発明では、第1から第6のいずれか1つの発明において、
上記駆動モータは、上記塵芥積込装置にグリースを給脂するグリースニップルを集合させた集中給脂部が固定された左右に延びるクロスバーに設けられている。
【0023】
上記の構成によると、集中給脂部を固定するクロスバーに駆動モータを固定することで、部品点数が減り、組立も容易となる。
【0024】
第8の発明では、第1から第7のいずれか1つの発明において、
上記投入口カバーには、上記塵芥投入口の周縁に設けた被係合部に係合して該投入口カバーの移動を規制可能な係合ピンが設けられ、
上記係合ピンは、付勢部材によって上記被係合部の方へ常に付勢され、
上記投入口カバーには、締め付けることにより上記係合ピンを上記被係合部と反対側へ移動させ、該被係合部との係合を規制する状態に保持する係合解除用ノブボルトが設けられている。
【0025】
すなわち、投入口カバーを駆動モータによって駆動してスライド移動させるには、係合ピンと被係合部との機械的なロックを常に解除しておく必要があるが、上記の構成によると、何らかの理由により自動で開閉できなくなった場合などに、工具を用いずに係合解除用ノブボルトを弛めて機械的なロックの解除を外して、手動で投入口カバーをスライドさせて係合ピンを被係合部に係合することができるようになる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように、本発明によれば、左右側壁をつなぐクロスバーに設けた駆動モータで伝動部材を駆動し、回動可能なアーム部を介して連結した投入口カバーを上下にスライド移動させて塵芥投入口を開閉するようにしたことにより、軽くて省スペースな構造で投入口カバーを自動で確実に開閉できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1A】投入口カバーの自動開閉装置及びその周辺を前側上方右側から見た斜視図である。
図1B】投入口カバーの自動開閉装置及びその周辺を前側上方左側の別の位置から見た斜視図である。
図2A】本発明の実施形態1に係る塵芥収集車を示す側面図である。
図2B】塵芥収集車の背面図である。
図3】駆動モータ及びその周辺を拡大して示す斜視図である。
図4】投入口カバーの自動開閉装置及びその周辺を後側上方左側から見た斜視図である。
図5】駆動モータ及びその周辺を後側上方左側から拡大して見た斜視図である。
図6】塵芥投入箱の内部構造を示す断面図である。
図7】投入口カバーのリンク機構及びその周辺を示す側面図である。
図8】本発明の実施形態に係る塵芥収集車の後側を一部破断して示す側面図である。
図9A】投入口カバーの開閉自動制御を示すフローチャートである。
図9B】投入口カバーの処理1及び3の動作を示すグラフである。
図9C】投入口カバーの処理2及び4の動作を示すグラフである。
図10】PLC及びその周辺を簡略化して示す電気回路図である。
図11】塵芥積込装置の簡略化した油圧回路図である。
図12】本発明の実施形態2に係る、カバー部材を取り除いた状態の投入口カバーの自動開閉装置及びその周辺を示す斜視図である。
図13】本発明の実施形態2に係る投入口カバーの自動開閉装置及びその周辺を別の角度から見た斜視図である。
図14】本発明の実施形態2に係る投入口カバーの自動開閉装置及びその周辺をさらに別の角度から見た斜視図である。
図15】本発明の実施形態2に係る一対のローラ及びその周辺を拡大して示す断面図である。
図16】本発明の実施形態2に係るカバー部材及びその周辺を拡大して示す断面図である。
図17】本発明の実施形態2に係る投入口カバーの係合ピンの係合解除用ノブボルト及びその周辺を表面側の部材を外して示す拡大図である。
図18】上側取付ブラケット及び周面を拡大して示す斜視図である。
図19】下側取付ブラケット及び周面を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態1を図面に基づいて説明する。
【0029】
-塵芥収集車の構成-
図2A及び図2Bは、本発明の実施形態1の塵芥収集車1を示し、この塵芥収集車1は、走行可能な車台2と、その車台2上に設けられた運転室3及び塵芥収容箱4と、この塵芥収容箱4の後方開口部4aに連設され、塵芥が投入される塵芥投入口7が形成された塵芥投入箱5と、この塵芥投入箱5に設けられて塵芥収容箱4に塵芥を積み込む塵芥積込装置6(図6参照)と、上端位置Aと下端位置B(図6参照)との間をスライド移動することで塵芥投入口7を開閉する投入口カバー8とを備えている。なお、塵芥収容箱4内に前後にスライド移動可能な排出板が設けられていてもよいし、塵芥投入箱5を上側の回動軸を中心に回動させて後方開口部4aを開閉可能に構成してもよいし、塵芥収容箱4を傾動可能に構成してもよいが、以下の説明では、その場合の油圧シリンダ等は省略する。
【0030】
図6及び図8に示すように、本実施形態の塵芥積込装置6は、例えば、プレス式であり、塵芥投入箱5の両側壁9には溝型鋼で形成された案内溝部材20が補強枠を兼ねて前方上方より後方下部に向かって傾斜するように設けられている。塵芥投入箱5内にはその横幅一杯に広がる昇降板21が収容されている。一方、昇降板21の背面上部の左右端部に設けた支持部には、図7にも2点鎖線で示すように、昇降板支持軸21aが挿通されている。この昇降板支持軸21aが昇降板21の摺動距離に合致して塵芥投入箱5の側壁9に形成された摺動用開口22を越えて側壁9の内側より外側に突出するように配置されている。塵芥投入箱5の側壁から外側に突出した昇降板支持軸21aと塵芥投入箱5の下部間には、塵芥投入箱5の外側で案内溝部材20の傾斜方向に沿って設けられた昇降シリンダ23が連結されている。この昇降シリンダ23の伸縮作動によって昇降板21を案内溝部材20に沿って上下に往復移動させるようにしている。
【0031】
昇降板21の下端には、塵芥投入箱5内の横幅一杯に広がる圧縮板24の一端が前後に揺動自在に支持されている。この圧縮板24の先端は前方に向かって若干屈折形成されている。圧縮板24の背面に突設した接続部と昇降板21の背面上部に設けられた支持部との間には、揺動シリンダ25が連結され、この揺動シリンダ25の伸縮作動によって圧縮板24を前後に揺動させるようにしている。なお、塵芥積込装置6は、油圧シリンダで往復回動する押込板と、回転駆動される回転板とを備えた回転板式であってもよい。
【0032】
図1Bに示すように、投入口カバー8は、略矩形板状を有し、左右両端に設けたローラ8aが左右側壁9の内側に設けたレール部材8bに沿って動くことで、上下にスライド移動可能となっている。
【0033】
図7に示すように、投入口カバー8の上端部において車幅方向に飛び出す棒状の車幅方向端部8cに板状のリンク部材40の先端が回動可能に連結されている。リンク部材40の他端には、外側アーム部41の先端がアーム連結ピン41aにより回動可能に連結されている。外側アーム部41の基端側は、側面視で昇降シリンダ23と重なる位置に回動可能に支持されている。
【0034】
外側アーム部41は、基端側のパイプ部材42と、基端側がパイプ部材42の先端に固定され、先端側がリンク部材40の基端側に回動可能に連結される板部材43とを備えている。パイプ部材42は、例えば、鋼製パイプで構成され、側面視で中間部において後方へ折り曲げられ、先端側はさらに側壁9に向かって(車幅方向内側へ)折り曲げられている。板部材43は、例えば車幅方向に一対の鋼板よりなり、パイプ部材42に対し溶接等により固定されている。これら一対の鋼板の間をリンク部材40が回動可能となっている。
【0035】
外側アーム部41の基端側は、側壁9における昇降シリンダ23と塵芥投入口7との間に設けられたアーム取付ブラケット44に回動可能に連結されている。アーム取付ブラケット44は、例えば基端が側壁9に固定された角錐台44aを備え、図4にも示すように、この角錐台44aの先端は、昇降シリンダ23よりも車幅方向外側まで延び、板状の先端部44bが一体に設けられている。板状の先端部44bは、図7に示すように、側面視で昇降シリンダ23のピストンロッド23aと重なる位置まで前方に向かって下方へ延び、この先端部44bがパイプ部材42の基端側と回動可能に連結されている。
【0036】
図8に示すように、塵芥投入箱5における塵芥積込装置6の上方には、塵芥投入箱5の左右側壁9をつなぐクロスバー10が設けられている。「塵芥積込装置6の上方」とは、塵芥積込装置6の上方のスペースを意味し、塵芥積込装置6の一部(例えば、昇降シリンダ23の一部)が側面視でクロスバー10よりも高い位置にあってもよい。クロスバー10は、例えば、剛性を保つためにある程度の厚さを有する鋼管よりなるが、棒鋼で構成されていてもよい。
【0037】
図1A及び図5に示すように、この左右に延びるクロスバー10の左右中央よりも背面から見て右側には、電動モータ等よりなる駆動モータ11が固定されている。駆動モータ11の電力は、例えば車台2側のバッテリBT(図10参照)から供給される。図5にも示すように、駆動モータ11の出力軸11aには、駆動プーリ11bが回転一体に設けられている。駆動モータ11は、モータ取付ブラケット11cを介してクロスバー10に固定されている。この駆動プーリ11bに伝動部材としての伝動ベルト12が掛けられている。一方、図1Bにも示すように、駆動プーリ11bの上方で、塵芥積込装置6の上側には、ベアリングを内蔵した上側支持部13を介して従動プーリ13aが回転可能に支持されている。従動プーリ13aは、左右側壁9の中央から左右いずれか一方にずれた位置(図1Bでは、前方から見て左側)に設けられている。この従動プーリ13aに伝動ベルト12の上端側が掛けられている。このように伝動ベルト12は、上下に延びて駆動プーリ11bと従動プーリ13aとの間で駆動モータ11によって駆動されるようになっている。
【0038】
そして、内側アーム部14の一端14aが伝動ベルト12に回動可能に連結されている。具体的には、図5に示すように、伝動ベルト12の所定位置に固定された固定部14cには、上側アーム支持部14dが設けられ、この上側アーム支持部14dに内側アーム部14の一端14aが回動可能に支持されている。一方、内側アーム部14の他端14bは、投入口カバー8の上端側に設けた下側アーム支持部14eに回動可能に連結されている。図1Bに示すように、下側アーム支持部14eは、投入口カバー8のコ字状断面のアーム取付ブラケット8dに固定されている。これにより、伝動ベルト12の駆動に合わせて内側アーム部14が上下に移動するようになっている。
【0039】
すなわち、駆動モータ11を制御して伝動ベルト12を駆動させることで、内側アーム部14が上下に移動し、それによって投入口カバー8が図7に示す上端位置Aと下端位置Bとの間でスライド移動し、塵芥投入口7が開閉されるようになっている。
【0040】
駆動モータ11の制御は、制御部としてのPLC15及びコントロールボード16が行う。図10に簡略化して示すように、PLC15は、プログラマブル・ロジック・コントローラ(programmable logic controller)であり、適宜プログラムを書き換えることが可能となっている。コントロールボード16は、例えば、マイコン(マイクロコンピュータ)及びDACを含む。DACは「Digital Analog Converter」の略で、「D/Aコンバーター」ともいわれ、デジタル信号をアナログ信号に変換する回路又はコンポーネントを意味する。コントロールボード16は、ドライバ17に接続され、ドライバ17が駆動モータ11に接続されている。
【0041】
図1A及び図1Bに示すように、塵芥投入箱5内には、投入口カバー8が上端位置A又は下端位置Bの手前に移動してきたのを検知する上側センサ18及び下側センサ19がそれぞれ設けられている。具体的には後述するが、下側センサ19は、塵芥投入口7の上縁よりも少し上方のクロスバー10の近傍に設けられている。上側センサ18は、塵芥投入箱5内部の上端近傍に設けられている。
【0042】
一方、投入口カバー8の上辺の上側センサ18及び下側センサ19に対応する位置には、上下に延びるプレート状の被検知板26が設けられている。この被検知板26が上側センサ18及び下側センサ19の近傍に移動したときに、その存在が検出されるようになっている。被検知板26の上下長さは、上側センサ18及び下側センサ19によって検出したい投入口カバー8の高さに合わせて設定すればよい。図9Bにも示すように、PLC15は、上側センサ18又は下側センサ19の信号を受けて駆動モータ11の回転数を低下させるように構成されている。
【0043】
具体的には、図1Bに示すように、上側センサ18は、投入口カバー8が上端位置Aに来て完全に開くよりも所定位置手前で被検知板26を検出するように、上側センサ取付ブラケット18aを介して塵芥投入箱5の上側に固定されている。図1Aに示すように、上側センサ18は、上側センサ取付ブラケット18aの長孔18b等を利用して上下位置を微調整可能となっている。また、下側センサ19は、投入口カバー8が下端位置Bに来て完全に閉じるよりも所定位置手前で被検知板26を検出するように、クロスバー10に下側センサ取付ブラケット19aを介して取り付けられている。図5に示すように、下側センサ19も、下側センサ取付ブラケット19aの長孔19b等を利用して位置を微調整可能となっている。
【0044】
次に、塵芥積込装置6等を制御するPLC15に対する入出力状態について、図2A図2B図6図8図10及び図11により説明する。
【0045】
塵芥収集車1は、図2A及び図2Bに示すように、塵芥投入箱5の塵芥投入口7の周辺を監視するためのカメラ91を備えている。このカメラ91は、例えば、運転室3等に設けられる画像処理ユニット90に接続されている。具体的には、カメラ91は、図10に示すように、信号分配器92を介して監視用のモニタ93及び画像処理ユニット90に接続されている。画像処理ユニット90には、所定のプログラムを実行して各種の制御を行うCPU94、カメラ91からの画像データを取得して公知の画像処理を行う画像処理部(DSP95)、CPU94やDSP95において使用されるデータを記憶するメモリM96、CPU94の指令を受けて開閉されるリレースイッチSW4等も設けられている。CPU94は、上記PLC15及びコントロールボード16と共に、本発明の制御部を構成している。例えば、DSP95において人物が積込危険検知エリアにいると認識すれば、CPU94がリレースイッチSW4を開放させて塵芥積込装置6を緊急停止させるように構成されている。また、DSP95において人物が投入口カバー8の開閉検知エリア(積込危険検知エリアと異なる)にいると認識すれば、CPU94がPLC15にその認識結果を出力し、PLC15がコントロールボード16に投入口カバー8を開かせるための指示を出す。また、積込作業が終了してPTOスイッチSWPをOFFにすると、PLC15がコントロールボード16に投入口カバー8を閉じさせるための指示を出す。
【0046】
塵芥収集車1の運転室3内の前部操作部(図示せず)及び塵芥投入箱5の後部操作部27には、各種作動スイッチ27aが設けられている。各作動スイッチ27aには、緊急停止スイッチSW1,SW2、塵芥積込装置6の始動スイッチSW5、塵芥積込装置6の停止スイッチSW6、投入口カバー8の開スイッチSW7、閉スイッチSW8等が設けられている。また、塵芥投入箱5には、緊急停止プレート50に対応する緊急停止スイッチSW3が設けられている。
【0047】
また、図6に示すように、塵芥投入箱5内には、昇降板21を昇降させる昇降シリンダ23が最伸長した状態を検出する無接点スイッチLS1、昇降シリンダ23が最収縮した状態を検出する無接点スイッチLS2、圧縮板24を揺動させる揺動シリンダ25が最伸長した状態を検出する無接点スイッチLS4、揺動シリンダ25が最収縮した状態を検出する無接点スイッチLS3等が設けられている。無接点スイッチLS1及びLS2は、塵芥投入箱5と昇降シリンダ23との間において、それぞれ一方に検出体が、他方に被検知体が配設されて切換作動するようになっている。また、無接点スイッチLS3及びLS4は、昇降板21と揺動シリンダ25との間において、それぞれ一方に検出体が、他方に被検知体が配設されて切換作動するようになっている。なお、上記無接点スイッチLS1~LS4は、昇降シリンダ23及び揺動シリンダ25の作動を検出するセンサ部に相当し、当該作動の検出信号をPLC15に送る機能を有している。これらの無接点スイッチLS1~LS4、上側センサ18及び下側センサ19としては、例えば光電スイッチ、近接スイッチ等を使用できる。
【0048】
図11に油圧回路図を簡略化して示すように、この油圧回路は、油圧ポンプP、オイルリザーバT、昇降シリンダ23を伸縮制御する電磁制御弁V1、揺動シリンダ25を伸縮制御する電磁制御弁V2等から構成されている。油圧ポンプPには、車両エンジン(図示省略)の駆動力がPTO(パワーテイクオフ)を介して伝達される。電磁制御弁V1,V2は、例えば6ポート3位置の電磁式の方向切換弁よりなる。電磁制御弁V1はソレノイドSOLa及びSOLbを有し、電磁制御弁V2はソレノイドSOLc及びSOLdを有している。電磁制御弁V1,V2は、各ソレノイドに通電されているときのみ上方位置又は下方位置に切り換わり、通電されていない状態では中立位置に復帰するようになっている。
【0049】
図10に示すように、これらの各種スイッチSW1~SW8、無接点スイッチLS1~LS4、上側センサ18、下側センサ19、ソレノイドSOLa~SOLd等は、PLC15に接続されている。PLC15は、図示省略の信号用電力供給部、中央処理部、各種リレーコイル、リレーコイルのa接点等を有しており、バッテリBT、キースイッチSWK、PTOスイッチSWP、メンテナンススイッチSWM等と共に電気回路に組み込まれている。このPLC15は、各種スイッチSW1~SW8、無接点スイッチLS1~LS4、上側センサ18、下側センサ19の入力状況に基づいて予め設定された手順に従って、対応するソレノイドSOLa~SOLdに出力するようにプログラムされている。なお、以下において、ソレノイドSOLa~SOLdへの通電・解除を説明する際、リレーコイルの説明は省略する。
【0050】
以下、上記電気回路について詳細に説明する。PLC15への電力供給は、バッテリBTによって行われる。このバッテリBTの正極から図10の右側に延びてグランドラインK1に至る通電ラインK2上には、上流側から順に、キースイッチSWK、リレーコイルCR1が介設されている。通電ラインK2のキースイッチSWKとバッテリBTとの間には、通電ラインK3の上流端が電気的に接続されている。また、通電ラインK3には、リレーコイルCR1の接点cr1と電源ランプLが介設されている。リレーコイルCR1がONになって接点cr1が閉じられると、通電ラインK3に通電することによって電源ランプLが点灯する。また、リレーコイルCR1の接点cr1及び電源ランプLの中間において通電ラインK3から分岐するように、通電ラインK4の上流端が電気的に接続されている。通電ラインK4とPLC15との間には、PTOスイッチSWP、各種スイッチSW1~SW8、無接点スイッチLS1~LS4、上側センサ18、下側センサ19が電気的に接続されている。
【0051】
さらに、通電ラインK4から分岐する通電ラインK5によって、塵芥積込装置6の塵芥積込作動中には必ずPLC15に通電されるようになっている。この通電ラインK5は、積込継続信号を入力するラインであり、上述した緊急停止スイッチSW1~SW3が設けられている。これらの緊急停止スイッチSW1~SW3によって通電が遮断されると、PLC15の作動が停止する。これにより、電磁制御弁V1,V2のソレノイドSOLa~SOLdを励磁させるためのPLC15からの制御信号の出力が全て途絶え、電磁制御弁V1,V2が中立位置に復帰し、塵芥積込装置6の作動が停止されるようになっている。
【0052】
上述したように、塵芥積込装置6の積込作動時には、キースイッチSWK及びPTOスイッチSWPがいずれも閉じられており、通電ラインK3~K5によってPLC15に通電されている。その通電ラインK5の途中に画像処理ユニット90が設けられているので、この状態でリレースイッチSW4が開放されると、PLC15への通電が遮断されて塵芥積込装置6の作動が停止されるようになっている。
【0053】
次に、このように構成された塵芥収集車1の作動について説明する。
【0054】
まず、塵芥積込装置6の作動について説明する。塵芥積込装置6は、通常、図6で実線に示す塵芥の積込行程終了状態で停止している。この状態では、昇降板21は上昇限界位置に、圧縮板24は前方揺動限界位置にそれぞれ配置されている。
【0055】
作業者は、塵芥収集車1に乗り込むと、キースイッチSWKをONにする。このキースイッチSWKのONに伴ってバッテリBTからの電力がPLC15の信号用電力供給部に入力され、PLC15が通電状態となる。
【0056】
作業者は、塵芥収集車1を運転し、収集現場に着いて塵芥収集車1を停止させた後、PTOスイッチSWPをONにする。すると、PTOが接続状態となり、油圧ポンプPの駆動が開始される。この際、電磁制御弁V1及びV2は中立位置にあり、油圧ポンプPから吐出された作動油は各シリンダ23,25を駆動させることなくオイルリザーバTに還流される。
【0057】
また、この状態では、昇降シリンダ23及び揺動シリンダ25はいずれも最伸長状態にあるので、無接点スイッチLS1及びLS4が作動し、この無接点スイッチLS1及びLS4のON信号がPLC15に入力されている。この状態で作業者が、塵芥投入箱5の塵芥投入口7より塵芥を投入した後、始動スイッチSW5を押圧操作すると、PLC15により、ソレノイドSOLdが通電状態となり、電磁制御弁V2が上方位置に切り換わる。その結果、揺動シリンダ25が収縮作動し、圧縮板24をその圧縮面が略水平位置になるまで反転させる。
【0058】
圧縮板24が後方揺動限界位置に達すると、すなわち、揺動シリンダ25が最収縮すると、無接点スイッチLS3が作動し、PLC15は、電磁制御弁V2を中立位置に復帰させると同時に、ソレノイドSOLbが通電状態となり、電磁制御弁V1が上方位置に切り換わるため、昇降シリンダ23が収縮作動し、昇降板21を案内溝部材20に沿って下降させる。その結果、昇降板21に連結された圧縮板24が、その圧縮面を略水平となるように保持したまま平行に下降するため、塵芥投入箱5の底面の円弧面との間で塵芥を押し潰すことができる。
【0059】
昇降板21が下降限界位置に達すると、すなわち、昇降シリンダ23が最収縮すると、無接点スイッチLS2が作動し、PLC15はソレノイドSOLbへの通電を解除して電磁制御弁V1を中立位置に復帰させると同時に、ソレノイドSOLcに通電し、電磁制御弁V2を下方位置に切り換える。その結果、塵芥の押し潰し終了状態より揺動シリンダ25が伸長作動し、軸支部を支点として圧縮板24をその圧縮面が略垂直になるまで時計回りに揺動させる。これにより、圧縮板24は、前行程で一次的に押し潰された塵芥を塵芥投入箱5の底面の平坦面との間で二次的に圧縮することができる。
【0060】
圧縮板24が前方揺動限界位置に達すると、すなわち、揺動シリンダ25が最伸長すると、無接点スイッチLS4が作動し、PLC15は、ソレノイドSOLcへの通電を解除して電磁制御弁V2を中立位置に復帰させると同時に、ソレノイドSOLaに通電し、電磁制御弁V1を下方位置に切り換える。その結果、圧縮行程の終了状態より昇降シリンダ23が伸長作動し、圧縮板24をその圧縮面が略垂直となるように保持したまま平行に上昇させ、前行程にて圧縮した塵芥を塵芥収容箱4内に積み込む。そして、昇降板21が上昇限界位置に達すると、すなわち、昇降シリンダ23が最伸長すると、無接点スイッチLS1が作動し、PLC15は、ソレノイドSOLaへの通電を解除して電磁制御弁V1を中立位置に復帰させる。これにより、積込行程が終了する。
【0061】
以上の通り、塵芥積込装置6は、始動スイッチSW5の押圧操作により、反転行程、押潰行程、圧縮行程、積込行程(以下、積込サイクルともいう。)の順に作動し、塵芥投入箱5に投入された塵芥を塵芥収容箱4に積み込むことができる。
【0062】
-投入口カバーの開閉動作-
次に、本実施形態に係る投入口カバー8の開閉動作について説明する。図7に示すように、例えば、投入口カバー8が下端位置Bにあって完全に閉じている全閉状態と、上端位置Aまで完全に開く全開状態との間の制御について説明する。
【0063】
図9Aに示すように、例えば、キースイッチSWKのONになるとステップS01で制御がスタートする。
【0064】
次いで、ステップS02において、PLC15及びCPU94は、手動の開スイッチSW7が押されるか、又は、DSP95により開閉検知エリアで人物のカバー開のための動作が認識されたかどうかを判定する。YESの場合には、ステップS03に進み、NOの場合には、ステップS06に進む。
【0065】
ステップS03において、PLC15により、上側センサ18はONかどうかが判定される。上側センサ18がOFFである場合には、ステップS04に進んで処理1が行われる。
【0066】
ステップS04では、処理1が行われる。例えば、投入口カバー8が下端位置Bにある場合には、パイプ部材42がピストンロッド23aの車幅方向外側にある。このとき、下側センサ19が投入口カバー8を検知している。図9Bに示すように、PLC15は、カバー開の信号と上側センサ18からのOFF信号を受けてコントロールボード16にカバー開のON信号を送る。すると、コントロールボード16は、ソフトスタートのために、電圧制御又は周波数制御によって駆動モータ11を徐々に加速するように制御し、これによって駆動モータ11が徐々に一定速度v2まで加速される。これにより、伝動ベルト12が駆動され、内側アーム部14が上昇し、結果として投入口カバー8が速度v1で徐々に開き始める。具体的には、車幅方向端部8cに連結されたリンク部材40が板部材43を引っ張るのに合わせてアーム取付ブラケット44の先端部44bとの連結部を中心に外側アーム部41が回動し、板部材43とリンク部材40とは、他の部材をとの接触を避けながら上昇していく。
【0067】
駆動モータ11が加速して伝動ベルト12が一定速度v2になると、一定速度v2のまま投入口カバー8が上昇する。このとき、投入口カバー8の下側アーム支持部14eと、伝動ベルト12側の上側アーム支持部14dとの間の位置関係(距離)、言い換えれば伝動ベルト12と投入口カバー8の上端との距離は変化するが、内側アーム部14がこれらに対して回動可能に接続されているので、投入口カバー8は滑らかにスライド移動する。
【0068】
そして、投入口カバー8が上端位置Aに近づくと、上側センサ18が検知してPLC15に信号が送られる。
【0069】
すると、PLC15は、下側センサ19からのON信号を受けてコントロールボード16にカバー閉のOFF信号を送る。すると、コントロールボード16は、電圧制御又は周波数制御により駆動モータ11を減速させる。すなわち、コントロールボード16に減速信号を送って駆動モータ11を減速させる。コントロールボード16は、駆動モータ11を一定速度v2から停止するまで徐々に速度v3を減速させる。
【0070】
一方、上側センサ18がONである場合には、すでに投入口カバー8がある程度開いた状態で、全開状態手前にあるので、投入口カバー8を勢いよく全開位置に開いてしまわないようにする必要がある。このため、ステップS05に進んで処理2の低速一定速度処理が行われる。図9Cに示すように、処理2では、投入口カバー8の開スイッチSW7が押されている間だけ投入口カバー8が一定の低速v4で開く。低速v4であるため、全開位置まで開いても衝撃は少ない。
【0071】
ステップS06において、カバーを閉じる場合も同様の制御が行われる。詳しい説明は省略するが、ステップS06において、PLC15及びCPU94は、手動の閉スイッチSW8が押されるか、又は、DSP95により開閉検知エリアで人物のカバー閉のための動作が認識されたかどうかを判定する。YESの場合には、ステップS07に進み、NOの場合には、ステップS02に戻る。
【0072】
ステップS07において、PLC15により、下側センサ19はONかどうかが判定される。下側センサ19がOFFである場合には、ステップS08に進んで処理3が行われる。
【0073】
ステップS08では、処理1とは開閉が逆(上下逆)の動きである処理3が行われ、PLC15は、カバー閉の信号と下側センサ19からのOFF信号を受けてコントロールボード16にカバー閉のON信号を送る。すると、コントロールボード16は、ソフトスタートのために、電圧制御又は周波数制御によって駆動モータ11を徐々に加速するように制御し、これによって駆動モータ11が速度v1から徐々に一定速度v2まで加速される。これにより、伝動ベルト12が駆動され、内側アーム部14が下降し、結果として投入口カバー8が速度v1で徐々に下降し始める。駆動モータ11が加速して伝動ベルト12が一定速度v2になると、一定速度v2のまま投入口カバー8が下降する。そして、投入口カバー8が下端位置Bに近づくと、下側センサ19が検知してPLC15に信号が送られる。すると、PLC15は、下側センサ19からのON信号を受けてコントロールボード16にカバー閉のOFF信号を送る。すると、コントロールボード16は、電圧制御又は周波数制御により駆動モータ11を減速させる。すなわち、コントロールボード16は、駆動モータ11を一定速度v2から停止するまで徐々に速度v3を減速させる。
【0074】
一方、下側センサ19がONである場合には、すでに投入口カバー8がある程度閉じた状態で、全閉状態手前にあるので、投入口カバー8を勢いよく全閉位置に閉じてしまわないようにする必要がある。このため、ステップS09に進んで処理4の低速一定速度処理が行われる。処理4では、投入口カバー8の閉スイッチSW8が押されている間だけ投入口カバー8が低速の一定速度で下降する。低速であるため、全閉位置まで閉じても衝撃は少ない。
【0075】
このように、本実施形態によると、比較的重量の大きい駆動モータ11を、従来設けられている左右側壁9をつなぐ剛性の高いクロスバー10に設けるので、駆動モータ11を設けるためだけに新たに補強部材を設ける必要がない。また、投入口カバー8と、伝動ベルト12とをつなぐ内側アーム部14を回動可能に設けることで、投入口カバー8が上下するときの伝動ベルト12と投入口カバー8との距離の変化を簡単な構成で吸収させることができる。また、駆動モータ11が伝動ベルト12を直接駆動するので、従来のように左右一対のピニオンラックを設ける場合のように、わざわざ専用の重いシャフトを設ける必要がない。
【0076】
本発明の実施形態1の構成によると、左右側壁9の中央は、塵芥積込装置6のための配管などが密集しているが、それを避けた位置に従動プーリ13aを設けることができるので、塵芥積込装置6の上方の空いたスペースを有効に活用できる。
【0077】
上側センサ18及び下側センサ19を設けることで、塵芥投入口7の上端位置A又は下端位置Bで急に投入口カバー8が停止することがなく、滑らかな開閉動作が行われる。
【0078】
したがって、本実施形態に係る塵芥収集車1によると、左右側壁9をつなぐクロスバー10に設けた駆動モータ11で伝動ベルト12を駆動し、回動可能な内側アーム部14を介して連結した投入口カバー8を上下にスライド移動させて塵芥投入口7を開閉するようにしたことにより、軽くて省スペースな構造で投入口カバー8を自動で確実に開閉できる。
【0079】
(実施形態2)
図12図14は本発明の実施形態2に係る塵芥収集車を示し、以下に説明する複数の点で上記実施形態1と異なる。なお、本実施形態では、図1図11と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。見やすくするために、図12では、カバー部材151が省略され、図14では、内側アーム部114の一部を含む投入口カバー108が省略されている。
【0080】
詳しい説明は省略するが、図15にも示すように、本実施形態の塵芥積込装置106は、上記実施形態1と異なり、中間部が塵芥投入箱105の側壁に支持されて一端側を前後方向に揺動させる押込板126と、この押込板126の他端にロッドの先端が回転自在に支持されて押込板126を作動させる押込シリンダ125と、基端を支点に回転可能な回転板と、この回転板に減速機を介して連結され、回転板を回転させる油圧モータとを備えている。なお、本実施形態の塵芥積込装置106は、上記実施形態1と同様に圧縮板24を有する構成であってもよい。
【0081】
伝動ベルト12の上端側は、上記実施形態1と同様に塵芥投入箱105の上側に回転可能に支持された従動プーリ13aに掛けられ、伝動ベルト12の下端側は、駆動モータ111の出力軸に設けた駆動プーリ11bに掛けられている。
【0082】
図17に示すように、投入口カバー108の下端における左右いずれかの端部には、塵芥投入口7の周縁に突設させた突起状の被係合部130に係合して投入口カバー108の移動を規制可能な係合ピン131が設けられている。この係合ピン131は、例えば圧縮コイルバネよりなる付勢部材132によって被係合部130の方へ常に付勢されている。係合ピン131には、被押圧部133が突出して形成されている。投入口カバー108には、締め付けることにより係合ピン131の被押圧部133を被係合部130と反対側へ移動させ、この被係合部130に係合しない状態に保持する係合解除用ノブボルト134が設けられている。係合解除用ノブボルト134は、手で締め付け可能なものであれば形状等は特に限定されない。そして、自動で投入口カバー108を開閉させるために、図17に実線で示すように、この係合解除用ノブボルト134は締め付けられている。
【0083】
また、図15及び図18に示すように、塵芥投入箱105の上端部には、左右に延びる上側クロスバー105aが設けられており、この上側クロスバー105aの前面側に上端部カバー153が設けられている。この上端部カバー153を設けることにより、塵芥収容箱と塵芥投入箱105との間を塞ぐ柔軟性のあるゴムシート5a(図2A及び図2Bに示す)が雨水の重さ等で垂れ下がって従動プーリ13a側の伝動ベルト12等に接触しないようになっている。
【0084】
そして、図12及び図15に示すように、従動プーリ13aと駆動プーリ11bとに掛けられてエンドレス状となった伝動ベルト12の内側領域の間には、上下に延びるガイド部材150が設けられている。図18に示すように、ガイド部材150の上端は、例えば、後方から見て上側クロスバー105aの左側に設けたブラケット105bに設けられた上側取付ブラケット154に溶接等により固定されて支持されている。図19に示すように、ガイド部材150の下端は、例えば、モータ取付ブラケット11cに設けた下側取付ブラケット156に溶接等により固定されて支持されている。図12及び図15に示すように、このガイド部材150の内部を内側アーム部114に設けた一対のローラ114fが上下に移動するように構成されている。ローラ114fは、固定部114cに設けた左右に延びる支持軸114gを中心に回転可能となっている。上下方向に並ぶ一対のローラ114fをガイド部材150の内部で上下にスライドさせることで、内側アーム部114を伝動ベルト12に対してねじらないようにしながら上下に移動させることができる。
【0085】
また、伝動ベルト12及びガイド部材150は、図13図14及び図16に示すように薄板等で構成した箱型のカバー部材151に覆われている。カバー部材151上端は図18に示すように、上側取付ブラケット154に設けた上側カバー部材取付ブラケット155等に図示しないボルト等で固定されている。カバー部材151下端は図19に示すように、下側取付ブラケット156に設けた下側カバー部材取付ブラケット157,158等に図示しないボルト等によって固定されている。
【0086】
このカバー部材151の内側アーム部114側は、上下に延びる切れ目152aを有するゴム製の防水シート152で覆われている。そして、伝動ベルト12に対する内側アーム部114の固定部114cの一部が、切れ目152aに沿って移動するように構成されている。切れ目152aは、内側アーム部114が他の位置にあるときに閉じることでガイド部材150及び伝動ベルト12が汚水やごみの付着から保護される。一方、この切れ目152aが設けられていることで、防水シート152が内側アーム部114の移動を妨げないようになっている。
【0087】
また、図16に示すように、カバー部材151において押込板126が最も近付く部分には、接触を回避するように押込板回避用凹部151aが形成されている。
【0088】
図12及び図13に示すように、内側アーム部114の他端114bは、工具が不要なアーム結合用ノブボルト122,123によって脱着可能なアーム取付ブラケット108dを介して投入口カバー108に連結されている。アーム結合用ノブボルト122,123は、手で締め付け可能なものであれば特に限定されない。
【0089】
また、図14に示すように、本実施形態の駆動モータ111は、左右に延びるクロスバー110に設けられている。このクロスバー110には、塵芥積込装置106等にグリースを給脂するグリースニップル124aを集合させた集中給脂部124も固定されている。
【0090】
このように本実施形態では、ローラ114fがガイド部材150に沿って上下に移動するので、伝動ベルト12の屈曲が最小限に抑えられる。すなわち、投入口カバー108の移動時の負荷変動によって伝動ベルト12が屈曲しようとするが、ガイド部材150によってその屈曲が抑えられるので、投入口カバー108の移動速度を安定させることができ、伝動ベルト12の耐久性が向上する。また、ガイド部材150は、エンドレス状の伝動ベルト12の内側領域に配置されるので、省スペース構造となる。
【0091】
また、図17で示したように、投入口カバー108を駆動モータ111によって駆動してスライド移動させるときに、係合解除用ノブボルト134を締め付けて機械的なロックを常に解除している。そして、何らかの理由で自動で開閉できなくなった場合に、従来のように工具を用いることなく係合解除用ノブボルト134を弛めるだけで機械的なロックの解除を外して、手動で投入口カバー108をスライドさせると、所定位置で付勢部材132による係合ピン131の付勢効果が発揮され、図17に二点鎖線で示すように、係合ピン131を被係合部130に係合することができるようになる。
【0092】
また、駆動モータ111等が故障したときなどに、工具を使わずに、アーム結合用ノブボルト122,123を弛めて投入口カバー108と伝動ベルト12との接続を解除することで、手動で投入口カバー108をスライドさせることができる。
【0093】
さらに本実施形態では、集中給脂部124を固定するクロスバー110に駆動モータ111を固定しているので、部品点数が減り、組立も容易となっている。
【0094】
したがって、本実施形態に係る塵芥収集車においても、省スペースな構造で投入口カバー108を自動で確実に開閉できる。そして、駆動モータ111等が故障した場合にも容易に投入口カバー108の手動開閉に切り替えることができる。
【0095】
(その他の実施形態)
上記各実施形態では、駆動モータ11,111の制御は、制御部としてのPLC15及びコントロールボード16が行うように構成したが、本発明はこれに限らず、駆動モータの制御部を、PLCとは別の投入口カバー開閉制御専用の部品で構成してもよい。
【0096】
上記実施形態2では、伝動ベルト12に対する内側アーム部114の固定部114cの一部が、防水シート152の切れ目152aに沿って移動するように構成されていたが、本発明はこれに限らず、切れ目からカバー部材の内部へ一部挿入された内側アーム部が、切れ目に沿って移動するように構成されていてもよい。
【0097】
また、上記実施形態では、塵芥投入箱5に、投入口カバー8が上端位置A又は下端位置Bの手前に移動してきたのを検知する上側センサ18及び下側センサ19を設け、PLC15は、上側センサ18又は下側センサ19の信号を受けて駆動モータ11の回転数を低下させるように構成されていた。本発明はこれに限らず、投入口カバーを開閉させるための駆動モータを流れる電流値が所定位置以上に増大したときに、投入口カバーが上端位置(又は下端位置)に達したと判断して駆動モータの駆動を停止するように構成してもよい。
【0098】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0099】
1 塵芥収集車
2 車台
4 塵芥収容箱
4a 後方開口部
5 塵芥投入箱
6 塵芥積込装置
7 塵芥投入口
8 投入口カバー
9 左右側壁
10 クロスバー
11 駆動モータ
11b 駆動プーリ
12 伝動ベルト(伝動部材)
13a 従動プーリ
14 内側アーム部(アーム部)
15 PLC(制御部)
18 上側センサ
19 下側センサ
105 塵芥投入箱
105a 上側クロスバー
105b ブラケット
106 塵芥積込装置
108 投入口カバー
108d アーム取付ブラケット
110 クロスバー
111 駆動モータ
114 内側アーム部(アーム部)
114b 他端
114c 固定部
114f ローラ
114g 支持軸
122,123 アーム結合用ノブボルト
124 集中給脂部
124a グリースニップル
125 押込シリンダ
126 押込板
130 被係合部
131 係合ピン
132 付勢部材
133 被押圧部
134 係合解除用ノブボルト
150 ガイド部材
151 カバー部材
151a 押込板回避用凹部
152 防水シート
152a 切れ目
153 上端部カバー
154 上側取付ブラケット
155 上側カバー部材取付ブラケット
156 下側取付ブラケット
157,158 下側カバー部材取付ブラケット
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19