(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B26D 7/26 20060101AFI20220914BHJP
B26D 5/00 20060101ALI20220914BHJP
B26D 7/20 20060101ALI20220914BHJP
B41J 11/66 20060101ALI20220914BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20220914BHJP
B26D 1/18 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
B26D7/26
B26D5/00 F
B26D7/20
B41J11/66
B41J2/01 301
B41J2/01 303
B26D1/18
(21)【出願番号】P 2019042874
(22)【出願日】2019-03-08
【審査請求日】2021-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】山本 真也
【審査官】山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-115920(JP,A)
【文献】特開平04-030998(JP,A)
【文献】特開2008-279621(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 7/26
B26D 5/00
B26D 7/20
B41J 11/66
B41J 2/01
B26D 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像形成を行う形成部と、
前記記録媒体を切断する回転刃を回転可能に有する切断部材を、取外し可能に保持する保持部と、
前記保持部を支持するとともに第1の方向に往復駆動し、前記回転刃を前記記録媒体に対して当接及び離間させる駆動部と、
前記第1の方向に直交する第2の方向に延びる角柱状に形成され、前記回転刃を表面で転動させる第1のパッド部材を1つの側面部において支持する案内部と、
前記案内部を前記第2の方向に延びる回転軸を中心に回転可能に支持する支持部と、を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記第2の方向に沿って、前記駆動部を移動可能に保持する移動部材をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記保持部は、他端部に小刀が形成されたカッターの一端部を保持可能であり、
前記案内部は、前記小刀を前記第2の方向に摺動させる第2のパッド部材を支持する、前記1つの側面部とは異なる側面部をさらに有することを特徴とする、
請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記記録媒体は布地であることを特徴とする
請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記切断部材は、前記回転刃を回転可能に支持する軸部を有し、
前記回転刃の回転軸は、前記軸部の軸心に対してオフセットした位置に設けられることを特徴とする、
請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、印刷用紙に印刷する機能を備えた印刷ヘッドを有し、この印刷ヘッドにカッティングヘッドを取り付けることによって、印刷用紙の切断機能を備えた印刷機が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の印刷機では、先端部に刃を備えたカッターをカッティングヘッドに取り付け、印刷用紙に対してカッターを摺動させることによって切断機能を実現している。しかし、このような機構では切断できる材料に限度があり、布地などの記録媒体を切断することは困難であった。
【0005】
上記課題に鑑み、本発明の目的は、布地のような柔らかい素材を記録媒体とし、さらに切断することのできる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、記録媒体に画像形成を行う形成部と、前記記録媒体を切断する円盤状の回転刃を回転可能に有する切断部材を、取外し可能に保持する保持部と、前記保持部を支持するとともに第1の方向に往復駆動し、前記回転刃を前記記録媒体に対して当接及び離間させる駆動部と、を備える画像形成装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、布地のような柔らかい素材を記録媒体とし、さらに切断することのできる画像形成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る印刷装置を示す外観斜視図である。
【
図2】実施形態に係る印刷装置のブロック図である。
【
図3】実施形態に係るキャリッジの斜視図である。なお、理解を容易にするため、カバーを外した状態で図示する。
【
図4】実施形態に係るキャリッジを示す斜視図であり、ロータリーカッターを取り付けた状態を示す。
【
図5】実施形態に係るキャリッジを示す斜視図である。
【
図6】実施形態に係るロータリーカッターの(a)側面図と、(b)切断刃拡大図とを示す。
【
図7】実施形態に係る(a)ロータリーカッター装着時のホルダ側面図と、(b)カッター装着時の、一部断面を描いたホルダ側面図とを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態>
図1~
図8を参照し、本発明の画像形成装置の一実施形態である、印刷装置100について説明を行う。印刷装置100はインクジェットプリンタであり、記録媒体9にインクを吐出して印刷を行う機能、及び記録媒体9を切断する機能を備えた装置である。
図1及び
図2に示すように、印刷装置100は、筐体部1と、搬送機構部2と、制御部3と、キャリッジ4と、案内部5(
図4参照)とを備えている。
図1に示すように、印刷装置100において、互いに直交する3方向を、上下方向、前後方向、及び、左右方向と定義する。なお、以下では、前後方向を搬送方向といい、左右方向を主走査方向という場合もある。着脱可能な装置、部材に関しては、装着された状態において各部材の方向を定義し、説明を行うものとする。なお、記録媒体9の材料の例として、紙等の素材に加え、布地等の柔らかい素材が想定される。左右方向及び上下方向は、それぞれ、本発明における第2方向及び第1方向の一例である。
【0010】
なお、実施形態及び変形例における「インクジェット方式」とは、インクや、光硬化性樹脂等の液体を微細な液滴として吐出することで、目的の位置に該液体を供給する液体供給手法を意味する。液滴化の手法は、サーマル方式あるいは圧電素子方式など、各種の方式が採用可能である。
【0011】
また、印刷装置100は、カッター7(
図7(b)参照)、及びロータリーカッター8(
図6参照)を、それぞれ取外し可能に装着可能である。そのため印刷装置100は、カッター7またはロータリーカッター8を用いて記録媒体9を切断する機能を備える。
【0012】
図6には、ロータリーカッター8を示す。ロータリーカッター8は、軸部81と、切断刃82とを備える。軸部81は軸状の部材であり、カッター7と略同径に形成される。軸部81は軸心81aを持ち、軸心81aは、装着時において上下方向に延びるように設置される(
図4、
図6など)。ロータリーカッター8は切断部材の一例である。また、切断刃82は回転刃の一例である。
【0013】
切断刃82は、略円盤状の部材であり、周縁部に刃が形成されている。切断刃82は、
図6(b)に示すように、軸部81の下端部において、回転軸82aを中心に回転可能に支持される。切断刃82の側面は、軸心81aと略平行である。切断刃82は、記録媒体9と当接しながら転動することによって、記録媒体9を切断することができる。
【0014】
回転軸82aは、軸心81aに対して所定長さXだけオフセットして配置される(
図6(b))。そのため、切断刃82は、記録媒体9から受取る摩擦力などを利用して、軸心81aを中心に回転することができる。その結果、切断刃82は、切断刃82の切断方向と、軸部81が記録媒体9に対して移動する方向とを略一致させることができる。
【0015】
カッター7は、
図7(b)に示すように、軸状に形成され、端部には小刀7aが形成される。小刀7aは、記録媒体9に当接しつつ移動することによって、記録媒体9を切断することができる。カッター7は、通常、紙などの素材を切断することに使用される。
【0016】
筐体部1は、本体部10と、ガイドレール11と、モータ12と、案内部5を支持する支持部15(
図8参照)とを備える。本体部10の前面及び後面には開口が形成され、それら開口がそれぞれカバーによって開閉される。
図1では、本体部10の前面の開口を開閉するカバーが外された状態が図示されている。ガイドレール11は軸状部材であり、左右方向に延びるように本体部10に取り付けられている。モータ12は、案内部5を回転する機能を備える。また、モータ12は、制御部3と電気的に接続し、制御される。支持部15は、本体部10内部の左右両端部に1つずつ固定されており、それぞれが案内部5の端部を回転可能に支持する(
図8)。
【0017】
搬送機構部2は、記録媒体9を前後方向に搬送するためのものであり、駆動ローラである搬送ローラ(図示せず)と、従動ローラであるピンチローラ22とを備えている(
図1、
図3)。搬送ローラは、不図示のモータより動力の供給を受け、回転可能である。搬送ローラとピンチローラ22との間に記録媒体9を挟んだ状態で搬送ローラが回転することによって、記録媒体9は前後方向に搬送される。
【0018】
制御部3は、印刷装置100の制御を司るためのものである。制御部3は、
図2に示すように、搬送機構部2及びキャリッジ4に通信可能に接続されており、これらの各部動作を制御する機能を備える。制御部3の構成は特に限定されないが、本実施形態においては、外部機器からの印刷データ(ラスタデータ)等を受信するインターフェイス(I/F)と、プログラムを記憶するROMと、プログラムを実行するCPUと、CPUによる処理において作業領域を提供するRAMと、不揮発性メモリであって各種データを記憶するNVRAMとを主に備える。制御部3は、受信した印刷データに基づいて、印刷装置100の搬送機構部2及びキャリッジ4を制御する。
【0019】
キャリッジ4は、インクジェットプリンタ方式の印刷を行うプリンティングキャリッジ4Aと、記録媒体9の切断を行うカッティングキャリッジ4Bとを備える。キャリッジ4は、ガイドレール11に対して主走査方向に移動可能に係合する。なお本実施形態において、プリンティングキャリッジ4Aとカッティングキャリッジ4Bとは、分離して設置され、各々がガイドレール11に対して独立して主走査方向に移動する。なお、プリンティングキャリッジ4Aとカッティングキャリッジ4Bとが左右に並び、互いに連結された構成としても良い。プリンティングキャリッジ4Aは、本発明の形成部の一例である。ガイドレール11は、本発明における移動部材の一例である。
【0020】
プリンティングキャリッジ4Aは、インクジェットプリンタ方式の印刷を行うための各種構成を備える。プリンティングキャリッジ4Aは、ガイドレール11に対して主走査方向に移動可能に係合し、記録媒体9にインクを吐出することによって印刷を実行する機能を備える。
【0021】
カッティングキャリッジ4B(
図5参照)は、記録媒体9の切断を行うための各種構成を備える。カッティングキャリッジ4Bは、本体部40と、ホルダ41と、ソレノイド42と、アーム43と、クランプ44と、バネ45と、これらの全体を覆うカバー46とを備えている。
【0022】
カバー46を取り外した状態のカッティングキャリッジ4Bを、
図3から
図5に示す。本体部40は、カッティングキャリッジ4Bの外殻を構成する金属製の筐体であり、ソレノイド42、アーム43、クランプ44、及びバネ45の各部材を支持する。また、本体部40の後面は、ガイドレール11と左右方向に移動可能に係合する。なお、
図4はロータリーカッター8を装着した状態を示すが、カッター7も同様に装着することができる。
【0023】
図7に示すように、ホルダ41は、中空の略円筒形状の部材である。ホルダ41は、クランプ44に対して、上下方向に軸が延びるように取り外し可能に装着される。また、ホルダ41は、カッター7及びロータリーカッター8を上下方向に軸が延びるように、取外し可能に装着することができる。ホルダ41は、内部にベアリング411、412及び磁石414を備えている。カッター7をホルダ41の内部に挿通し、装着すると、ベアリング411、412は、それぞれカッター7の下部及び上部の外周面に当接し、回転可能に支持する。ロータリーカッター8をホルダ41の内部に挿通して装着すると、ベアリング411、412は、それぞれ軸部81の下部及び上部の外周面に当接し、回転可能に支持する。また、磁石414は、自己の磁力によって、カッター7または軸部81の上端部を脱落しないように保持する。これにより、ホルダ41は、カッター7及びロータリーカッター8のそれぞれを、着脱可能に、かつ、回転可能に装着することができる。
【0024】
ソレノイド42は、コイルが巻かれたボビン421と、ボビン421内に挿通されたプランジャ422とを有している。ソレノイド42は制御部3と電気的に接続しており、制御部3によって制御される。ボビン421は、上下方向に延びる中空の円筒形状に形成される。ボビン421は、中空の円筒形状に形成され、円周方向に配置された複数のコイルを備える。また、ボビン421の中空部には、上下方向に移動可能にプランジャ422が挿通される。プランジャ422は、上下方向に延出する円柱形状に形成される。ボビン421のコイルは、プランジャ422の外周部を囲むように配置される。ボビン421のコイルに通電がなされることによって、プランジャ422は、ボビン421に対して上死点と下死点との間を上下方向に駆動される。ソレノイド42は、本発明における駆動部の一例である。
【0025】
アーム43は、L字型に形成された部材であり、本体部40によって上下方向に移動可能に支持される。アーム43は、ソレノイド42の上方に延出する上部431と、上部431の左端部に固定され、下方に延出する左部432とを有する。上部431は、プランジャ422の上端部に固定されている。そのため、上部431及び左部432は、プランジャ422と一体的に移動可能である。アーム43は、本発明における保持部の一例である。
【0026】
クランプ44は、左部432の下端部に固定される。クランプ44は、ホルダ41の周囲を支持、固定する支持部441と、支持部441及びホルダ41を固定する留め具442とを備える。支持部441は、左部432に対して略左右方向に回動可能に支持されており、ホルダ41を左部432との間に挟持することができる。
【0027】
留め具442は、雌ネジ442aと雄ネジ442bとを有している。雄ネジ442bは、左部432に対して回動可能に設置される。雌ネジ442aは雄ネジ442bと螺合し、左部432に対して近接または離間するように螺進することができる。ホルダ41の装着時において、雌ネジ442aは、左部432に近接する方向に螺進し、支持部441の前端部を左部432に向けて押圧する。このようにして、留め具442は、支持部441を介してホルダ41を固定することができる。
【0028】
バネ45は、その上端部が本体部40に係合する。バネ45の下端部は、左部432の下端部と係合しており、アーム43を本体部40に対して上方に付勢する。そのため、ボビン421が通電されていないとき、バネ45は、アーム43およびプランジャ422を上方に引き上げた状態で保持する。
【0029】
案内部5は、
図8に示すように、左右方向に延出する略四角柱形状の部材である。案内部5は、キャリッジ4の下方に配置される。案内部5の左右両端部は支持部15によって回転可能に支持される。また、案内部5は、モータ12によって、左右方向に延びる回転軸を中心に回転駆動される。案内部5は、互いに構成の異なる第1面5aと、第2面5bとを有している。第1面5a及び第2面5bの表面は、いずれも平面状に形成される。第1面5aの略中央部には、ゴム製のパッド部材52が貼付されている。パッド部材52は、ロータリーカッター8と当接し、転動させる機能を備える。第2面5bの略中央部には、略平板状に形成されたゴム製のパッド部材53が貼付されている。パッド部材53は、カッター7と当接し、摺動させることができる。パッド部材52、53それぞれの材料、形状および剛性は、対応するロータリーカッター8及びカッター7の形状や剛性に合わせて設定されている。パッド部材52、53は、それぞれ、第1パッド部材及び第2パッド部材の一例である。
【0030】
なお、案内部5において、さらに別の2側面部を、異なる切断作業、使用工具に対応した構成とすることができる。具体的には、パッド部材52、53とは異なるパッドや溝を設けることにより、切り抜き作業やミシン目カットなどの作業内容に対応させたり、記録媒体9に特定の素材が用いられた場合に対応させたりすることができる。
【0031】
〔作業〕
印刷装置100による画像形成作業、及びロータリーカッター8を用いた切断作業について以下に説明する。この画像形成作業において、記録媒体9として布地が使用されるものとする。ユーザから印刷指示を受けると、制御部3は、まずモータ12を駆動して案内部5を回転させ、第1面5aが上方に向いた状態とする。
【0032】
次にユーザは、印刷装置100を操作して画像形成作業を開始する。制御部3は、搬送機構部2を用いて記録媒体9を前後方向に移動させ、さらにプリンティングキャリッジ4Aを左右方向に走査させて、記録媒体9の上面に印刷を行う。
【0033】
印刷作業の終了後、印刷装置100は切断作業を開始する。制御部3は、搬送機構部2を用いて記録媒体9を前後方向に移動させ、さらにカッティングキャリッジ4Bを左右方向に走査させて、記録媒体9の切断箇所にロータリーカッター8を移動させる。次に制御部3は、ソレノイド42を制御し、ロータリーカッター8を下方に移動させ、切断刃82が記録媒体9と当接した状態とする。
【0034】
制御部3は、搬送機構部2を用いて記録媒体9を前後方向に移動させ、さらにカッティングキャリッジ4Bを左右方向に走査させて、切断刃82を記録媒体9に対して転動させる。
図6(b)に示すように切断刃82は、回転方向Rに回転しながら、その下端部を記録媒体9に対して当接させつつ相対移動する。
【0035】
切断刃82は前後左右のいずれの方向に向けても転動でき、記録媒体9を切断できる。そのため印刷装置100は、布地等の柔らかい素材で形成された記録媒体9を、ロータリーカッター8を用いて所定の形状に切断する。
【0036】
詳細に述べると、切断刃82の回転軸82aは、軸心81aに対してオフセットするように配置されている。また、軸部81はホルダ41に対して回転可能に保持される。そのため切断刃82は、パッド部材52または記録媒体9との間に働く摩擦力を利用し、軸心81aを中心に回転することができる。これにより、回転軸82aは、切断方向または進行方向において、軸部81よりも後方側に移動する。具体的には
図6(b)に示すように、回転軸82aは、記録媒体9に対する切断方向または進行方向D(白抜き矢印)において、軸部81より後方または下流側に移動する。
【0037】
その結果、軸部81が記録媒体9に対して移動する方向と切断刃82の側面とが平行となる。すなわち軸部81が記録媒体9に対して移動する方向と、切断刃82の切断方向とが略一致し、所定の切断形状に沿って正確に切断を行うことができる。
【0038】
切断作業中、切断刃82の下端部は、パッド部材52とも当接するとともに、パッド部材52上を左右方向に移動する。切断刃82の形状や剛性等に合わせた専用のパッド部材52を用いることによって、切断刃82の摩耗が軽減されるとともに、円滑な切断作業が可能となる。
【0039】
切断を終えると、制御部3は、ソレノイド42を制御してプランジャ422を上方に移動させ、記録媒体9からロータリーカッター8を離間させる。なお、プランジャ422の上方への移動は、ソレノイド42に通電することによって実行しても良いし、通電を停止し、バネ45の付勢力を用いてアーム43及びプランジャ422を上方に引き上げて実行しても良い。
【0040】
このように切断刃82が記録媒体9に対して転動するため、ロータリーカッター8は、記録媒体9に対して大きな力を与えることなく切断することができる。そのため、ロータリーカッター8は、記録媒体9が布地などの柔らかい素材で形成されている場合においても、記録媒体9を痛めたりしわを作ったりせずに、円滑に切断することが可能である。
【0041】
〔カッターを用いた切断作業〕
なお、切断作業は、カッター7を用いて実施することも可能である。カッター7を用いる際、ユーザは、ホルダ41にカッター7を装着し、さらに、クランプ44を用いてホルダ41を左部432に固定する。
【0042】
制御部3は、モータ12を駆動して案内部5を回転させ、第2面5bが上方に向いた状態とする。
【0043】
切断作業において、制御部3は、搬送機構部2を用いて記録媒体9を前後方向に移動させ、さらにカッティングキャリッジ4Bを左右方向に走査させる。制御部3は、ソレノイド42を駆動してプランジャ422を下方に移動させる。プランジャ422の移動に伴ってカッター7は下方に移動し、下端部の小刀7aが記録媒体9と当接する。カッティングキャリッジ4B及び搬送機構部2によってカッター7は、記録媒体9に対して相対移動し、記録媒体9の切断を行う。その際、小刀7aの先端部は、パッド部材53の上面を左右方向に摺動する。小刀7aの形状や剛性等に合わせた専用のパッド部材53を用いるため、小刀7aの摩耗が軽減されるとともに、カッター7による円滑な切断作業が可能となる。
【0044】
切断を終えると、制御部3は、ソレノイド42を制御してプランジャ422を上方に移動させ、記録媒体9からカッター7を離間させる。
【0045】
<効果>
上記実施形態の印刷装置100は、記録媒体9に画像形成を行うプリンティングキャリッジ4Aと、アーム43と、ソレノイド42とを備える。ロータリーカッター8は、切断刃82を回転可能に備え、記録媒体9を切断可能である。アーム43は、ロータリーカッター8を取外し可能に保持する。ソレノイド42は、上下方向に沿ってアーム43を往復駆動し、切断刃82を記録媒体9に対して当接及び離間させることができる。
【0046】
上記印刷装置100は、プリンティングキャリッジ4Aによって記録媒体9に画像形成を行うことができる。さらに、印刷装置100はロータリーカッター8を備えているため、布地などの柔らかい素材を記録媒体9として用いた場合であっても、切断作業を実施することができる。
【0047】
また、印刷装置100は、ソレノイド42を左右方向に移動可能に保持するガイドレール11を備える。
【0048】
上記構成では、ソレノイド42と、これに支持されるアーム43及びロータリーカッター8とを左右方向に円滑に移動することが可能である。そのため、記録媒体9の切断作業が容易となる。
【0049】
印刷装置100は、案内部5を左右方向に延びる回転軸を中心に回転可能に支持する支持部15をさらに備える。案内部5は左右方向に延びる角柱状に形成され、1つの側面部である第1面5aが形成される。第1面5aでは、パッド部材52が支持される。
【0050】
アーム43は、他端部に小刀7aが形成されたカッター7の一端部を保持可能である。案内部5は、パッド部材53が支持される第2面5bを有する。パッド部材53は、小刀7aを左右方向に摺動させることが可能である。
【0051】
上記構成では、案内部5がパッド部材52、53を支持する。そのため、印刷装置100では、カッター7及びロータリーカッター8のどちらを用いても切断作業を実行可能である。切断目的または記録媒体9の素材に応じたパッド部材を使用するため、切断を容易かつ正確に行うことができる。また、記録媒体9を傷めずに切断作業を実施することができる。
【0052】
印刷装置100は、記録媒体9の素材として布地を選択可能である。そのため、記録媒体9として紙だけでなく布地を選択し、画像形成及び切断作業を実施可能な印刷装置100とすることができる。
【0053】
ロータリーカッター8は、切断刃82を回転可能に支持する軸部81を有し、切断刃82の回転軸82aは、軸部81の軸心81aに対してオフセットした位置に設けられる
【0054】
上記構成では、回転軸82aが軸心81aに対してオフセットするように配置されているため、パッド部材52または記録媒体9との間に働く摩擦力を利用し、軸心81aを中心に回転することができる。その結果、軸部81が記録媒体9に対して移動する方向と、切断刃82の切断方向とが略一致し、所定の切断形状に沿って切断を行うことができる。
【0055】
<変形例>
上記実施形態において、ロータリーカッター8及びカッター7は、ホルダ41を介してアーム43に装着される構成としていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、ロータリーカッター8及びカッター7をそれぞれ、アーム43に対して直接取り付ける構成としても良い。
【0056】
上記実施形態において、駆動部としてソレノイド42を用いた。しかし、本発明は、このような構成に限定されない。例えば、モータを用いてアーム43を駆動する構成としても良い。
【0057】
上記実施形態において、画像形成装置としてインクジェット方式の印刷装置100を用いて説明を行った。本発明はこれに限定されず、画像形成装置として、UVインクジェットプリンタ、または溶剤インクジェットプリンタを採用することも可能である。
【0058】
上記実施形態において、切断刃82は円盤状に形成されているが、必ずしも周縁部が真円状に形成される必要はない。例えば、
図9(a)の刃部182として示す様に、周縁部を多角形状にしても良いし、周縁部に凹凸を設けても良い。また、
図9(b)の刃部282として示す様に、周縁部に切れ込みやスリットを設けても良い。このような構成とすることで、記録媒体9を点線状に、または断続的に切断するなど、複雑な切断作業が可能となる。
【0059】
上記実施形態は、発明の例として提示したものであり、発明の範囲を限定するものではない。上記の構成は、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
100 印刷装置
1 筐体部
2 搬送機構部
3 制御部
4A プリンティングキャリッジ
4B カッティングキャリッジ
5 案内部
7 カッター
8 ロータリーカッター
9 記録媒体