特許 7141364 鞍乗型車両のライセンスプレートの取付構造

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2022-09-13

(45)【発行日】2022-09-22

(54)【発明の名称】鞍乗型車両のライセンスプレートの取付構造

(51)【国際特許分類】

   B62J 50/26 20200101AFI20220914BHJP

   B62J 15/00 20060101ALI20220914BHJP

【ＦＩ】

B62J50/26

B62J15/00 B

【請求項の数】 7

(21)【出願番号】P 2019087515

(22)【出願日】2019-05-07

(65)【公開番号】P2020183150

(43)【公開日】2020-11-12

【審査請求日】2021-11-18

(73)【特許権者】

【識別番号】521431099

【氏名又は名称】カワサキモータース株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100087941

【弁理士】

【氏名又は名称】杉本 修司

(74)【代理人】

【識別番号】100112829

【弁理士】

【氏名又は名称】堤 健郎

(74)【代理人】

【識別番号】100155963

【弁理士】

【氏名又は名称】金子 大輔

(74)【代理人】

【識別番号】100154771

【弁理士】

【氏名又は名称】中田 健一

(74)【代理人】

【識別番号】100150566

【弁理士】

【氏名又は名称】谷口 洋樹

(74)【代理人】

【識別番号】100220489

【弁理士】

【氏名又は名称】笹沼 崇

(72)【発明者】

【氏名】中川 尚人

【審査官】中島 昭浩

(56)【参考文献】

【文献】特開２０１３－２１６２３４（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２００７－１４９５８３（ＪＰ，Ａ）

【文献】国際公開第２００８／０６５６７６（ＷＯ，Ａ２）

【文献】実開昭５９－１９３７８８（ＪＰ，Ｕ）

【文献】特開２０１３－２２４０６３（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｂ６２Ｊ ５０／２６

Ｂ６２Ｊ １５／００

Ｂ６２Ｋ ２１／００ － ２１／２６

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

フロントフェンダがフロントフォークのアンダーブラケットに固定された鞍乗型車両のライセンスプレートの取付構造であって、
前記ライセンスプレートが、ヘッドランプの前方の下方で、前記フロントフェンダの上方に配置され、
前記ライセンスプレートが、プレートステーを介して、前記フロントフォークにおける前記アンダーブラケットから上方のフォーク上部に支持され、
前記プレートステーの基端部が、前記フォーク上部に連結され、
前記プレートステーの先端部と前記フロントフェンダとの間に、弾性体からなるダンパが介在されている鞍乗型車両のライセンスプレートの取付構造。

【請求項2】

請求項１に記載のライセンスプレートの取付構造において、前記プレートステーは、前記基端部を構成する支持ブラケットと、前記ライセンスプレートが取り付けられる前記先端部を構成する取付台と、前記支持ブラケットと前記取付台とを連結する連結部材とを有している鞍乗型車両のライセンスプレートの取付構造。

【請求項3】

請求項２に記載のライセンスプレートの取付構造において、前記取付台は、車幅方向に延びる下片部と、前記下片部の車幅方向の両端部から上方に延びる左右の延出部と、左右の前記延出部の上端から車幅方向の延びる左右の上片部とを有し、
左右の前記上片部に左右の前記連結部材が固定され、前記下片部の下面に前記ダンパが取り付けられ、左右の前記上片部の上面に前記ライセンスプレートが取り付けられている鞍乗型車両のライセンスプレートの取付構造。

【請求項4】

請求項２または３に記載のライセンスプレートの取付構造において、前記連結部材は、細長い棒材である鞍乗型車両のライセンスプレートの取付構造。

【請求項5】

請求項２から４のいずれか一項に記載のライセンスプレートの取付構造において、前記支持ブラケットが、支持板を介して前記フォーク上部に締結部材により連結され、
前記支持ブラケットに、前記支持板に係合して前記締結部材の緩みを防ぐ回り止め機構が設けられている鞍乗型車両のライセンスプレートの取付構造。

【請求項6】

請求項５に記載のライセンスプレートの取付構造において、前記アンダーブラケットとトップブラケットとに支持されて上下方向に延びる支柱を有し、
この支柱に前記支持板が取り付けられている鞍乗型車両のライセンスプレートの取付構造。

【請求項7】

請求項２から６のいずれか一項に記載のライセンスプレートの取付構造において、前記取付台に、前記ライセンスプレートが後方に移動するのを防ぐストッパ片が形成されている鞍乗型車両のライセンスプレートの取付構造。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、フロントフェンダがフロントフォークのアンダーブラケットに固定された鞍乗型車両のライセンスプレートの取付構造に関するものである。

【背景技術】

【0002】

自動二輪車のような鞍乗型車両において、車体の前側にもライセンスプレートを取り付ける場合がある（例えば、特許文献１）。この場合、外観向上の観点から、ヘッドランプの下方にライセンスプレートを配置することがユーザから好まれる。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【文献】特開２０１１－２０７３０４号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

しかしながら、フロントフォークにライセンスプレートを取り付けてヘッドランプの下方に配置する場合、フロントフェンダとのクリアランスを確保するために、ヘッドランプとフロントフェンダとの間には十分な空間が必要となる。特に、フロントフェンダがフロントフォークのアンダーブラケットに固定された、いわゆるアップフェンダモデルでは、このような空間が狭く、ヘッドランプの下方にライセンスプレートを配置するのが難しい。

【0005】

本発明は、フロントフェンダとライセンスプレートとの干渉を回避できる鞍乗型車両のライセンスプレートの取付構造を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0006】

上記目的を達成するために、本発明に係るライセンスプレートの取付構造は、フロントフェンダがフロントフォークのアンダーブラケットに固定された鞍乗型車両のライセンスプレートの取付構造であって、前記ライセンスプレートが、ヘッドランプの前方の下方で、前記フロントフェンダの上方に配置され、前記ライセンスプレートが、プレートステーを介して、前記フロントフォークにおける前記アンダーブラケットから上方のフォーク上部に支持され、前記プレートステーの基端部が前記フォーク上部に連結され、前記プレートステーの先端部と前記フロントフェンダとの間に、弾性体からなるダンパが介在されている。ここで、走行停止状態で、ダンパはフロントフェンダの上面に接触していてもよく、非接触であってもよい。

【0007】

この構成によれば、ダンパにより、走行中のフロントフェンダおよびプレートステーの撓みが抑制され、フロントフェンダとライセンスプレートとの干渉を回避できる。これにより、ヘッドランプとフロントフェンダとの間の空間が狭い場合でも、ヘッドランプの下方にライセンスプレートを容易に配置することができる。

【0008】

本発明において、前記プレートステーは、前記基端部を構成する支持ブラケットと、前記ライセンスプレートが取り付けられる前記先端部を構成する取付台と、前記支持ブラケットと前記取付台とを連結する連結部材とを有していてもよい。この構成によれば、ライセンスプレートを車体から前方に離して配置できるので、ライセンスプレートの配置の自由度が高くなる。

【0009】

前記プレートステーが前記支持ブラケットと前記取付台と前記連結部材とを有している場合、前記取付台は、車幅方向に延びる下片部と、前記下片部の車幅方向の両端部から上方に延びる左右の延出部と、左右の前記延出部の上端から車幅方向に延びる左右の上片部とを有し、左右の前記上片部に左右の前記連結部材が固定され、前記下片部の下面に前記ダンパが取り付けられ、左右の前記上片部の上面に前記ライセンスプレートが取り付けられていてもよい。この構成によれば、簡単な構成で、ライセンスプレートの取付構造を構築できる。また、ライセンスプレートをフロントフェンダから上方に離して支持できるので、フロントフェンダとライセンスプレートとの干渉を回避し易い。

【0010】

前記プレートステーが前記支持ブラケットと、前記取付台と、前記連結部材とを有している場合、前記連結部材は、細長い棒材であってもよい。この構成によれば、連結部材の製造が容易である。また、板金で構成する場合に比べて、安価に形成できるうえに、強度的にも有利である。

【0011】

前記プレートステーが前記支持ブラケットと、前記取付台と、前記連結部材とを有している場合、前記支持ブラケットが支持板を介して前記フォーク上部に締結部材により連結され、前記支持ブラケットに、前記支持板に係合して前記締結部材の緩みを防ぐ回り止め機構が設けられていてもよい。この構成によれば、走行中の振動で締結部材が緩むのを防ぐことができるので、ライセンスプレートの支持が安定する。

【0012】

この場合、前記アンダーブラケットとトップブラケットとに支持されて上下方向に延びる支柱を有し、この支柱に前記支持板が取り付けられていてもよい。この構成によれば、ライセンスプレートを支持するプレートステーが、支持板および支柱を介してアンダーブラケットとトップブラケットの両方で支持されるので、ライセンスプレートの支持が安定する。

【0013】

前記プレートステーが前記支持ブラケットと、前記取付台と、前記連結部材とを有している場合、前記取付台に、前記ライセンスプレートが後方に移動するのを防ぐストッパ片が形成されていてもよい。この構成によれば、ライセンスプレートの位置決めができるので、ライセンスプレートの取付けが容易になる。

【発明の効果】

【0014】

本発明の鞍乗型車両のライセンスプレートの取付構造によれば、ダンパにより、走行中のフロントフェンダおよびプレートステーの撓みが抑制され、フロントフェンダとライセンスプレートとの干渉を回避できる。これにより、ヘッドランプとフロントフェンダとの間の空間が狭い場合でも、ヘッドランプの下方にライセンスプレートを容易に配置することができる。

【図面の簡単な説明】

【0015】

【図1】本発明の第１実施形態に係るライセンスプレートの取付構造を備えた鞍乗型車両の一種である自動二輪車の前部を示す側面図である。

【図2】同ライセンスプレートの取付構造の要部を示す側面図である。

【図3】同ライセンスプレートの取付構造の要部を示す正面図である。

【図4】同ライセンスプレートの取付構造の変形例を示す側面図である。

【図5】同ライセンスプレートの取付構造の要部を示す側面図である。

【発明を実施するための形態】

【0016】

以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。本明細書において、「右」、「左」は、車両に乗車した運転者から見た「右」、「左」をいう。

【0017】

図１は、本発明の第１実施形態に係るライセンスプレートの取付構造を備えた鞍乗型車両の一種である自動二輪車の側面図である。本実施形態の鞍乗型車両の車体フレームＦＲは、前半部を構成するメインフレーム１と、後半部を構成するリヤフレーム２とを有している。リヤフレーム２は、メインフレーム１の後部に連結されている。

【0018】

メインフレーム１の前端のヘッドパイプ４に、ステアリングシャフト５（図２）を介してフロントフォーク６が回動自在に支持されている。詳細には、ヘッドパイプ４にステアリングシャフト５が回転自在に挿入され、このステアリングシャフト５にフロントフォーク６が固定されている。フロントフォーク６は、左右一対のフォークチューブ７がトップブラケット８とアンダーブラケット１０により連結されてなる。このフロントフォーク６の下端に前輪１２が取り付けられ、フロントフォーク６の上端部にハンドル１４が取り付けられている。

【0019】

メインフレーム１の後端部に、スイングアームブラケット１６が設けられている。スイングアームブラケット１６に、スイングアーム１８の前端が上下揺動自在に支持されている。スイングアーム１８の後端に、後輪１９が取り付けられている。

【0020】

メインフレーム１の下方でスイングアームブラケット１６の前方に、駆動源であるエンジンＥが取り付けられている。エンジンＥにより、チェーンのような動力伝達部材（図示せず）を介して後輪１９が駆動される。

【0021】

メインフレーム１の上部に燃料タンク２０が配置され、リヤフレーム２に操縦者が着座するシート２２が装着されている。ヘッドパイプ４の前方にヘッドランプ２４が配置されている。ヘッドランプ２４は、ランプステー２５を介してトップブラケット８およびアンダーブラケット１０に支持されている。ヘッドランプ２４の支持構造は後述する。

【0022】

前輪１２の上方に、樹脂製のフロントフェンダ２６が設けられている。フロントフェンダ２６は、アンダーブラケット１０にボルト（図示せず）により固定されている。フロントフェンダ２６は、例えば、ポリプロピレン樹脂（ＰＰ）である。

【0023】

ヘッドランプ２４の前方の下方でフロントフェンダ２６の上方に、ライセンスプレート２８が配置されている。ライセンスプレート２８は、プレートステー３０を介して、フロントフォーク６におけるアンダーブラケット１０から上方のフォーク上部３２に支持されている。ここで、「フォーク上部３２」は、アンダーブラケット１０、トップブラケット８およびこれらに固定されたステーを含む。

【0024】

つぎに、ヘッドランプ２４およびライセンスプレート２８の支持構造を説明する。図２に示すように、フロントフォーク６の車幅方向内側に、上下方向に延びる支柱３４が設けられている。この支柱３４に、ランプステー２５とその下方のプレートステー３０が取り付けられている。つまり、本実施形態では、支柱３４が、ライセンスプレート２８が取り付けられるフォーク上部３２の一部分を構成している。図２では、フロントフォーク６のフォークチューブ部分を二点鎖線で示している。

【0025】

支柱３４の上端部はトップブラケット８に支持され、下端部はアンダーブラケット１０に支持されている。詳細には、図３に示すように、棒状の鋼材が、正面視で上方に開いたＵ字形状に折り曲げられ、上方向に延びる左右一対の支柱３４と、水平方向に延びて左右の支柱３４の下端部を連結する連結材３６が形成されている。

【0026】

各支柱３４の上端部が、トップブラケット８の底面に設けられた係合孔８ａ（図２）に差し込まれている。これにより、支柱３４の上端部がトップブラケット８に支持されている。一方、連結材３６に、板金製の取付金具３８が溶接で固着されている。この取付金具３８が、ボルトのような締結部材３９により、アンダーブラケット１０の前面に取り付けられている。これにより、支柱３４の下端部がアンダーブラケット１０に支持されている。

【0027】

左右の支柱３４のそれぞれに、図２に示すランプステー２５が溶接で取り付けられている。ランプステー２５は、支柱３４から前方に突出し、その先端部（前端部）に、ねじ体のような締結部材４２によりヘッドランプ２４が取り付けられている。

【0028】

プレートステー３０は、板金からなる支持板４０を介してフォーク上部３２の支柱３４に取り付けられている。具体的には、支持板４０が支柱３４に溶接により固着され、プレートステー３０が、ボルトのような締結部材４４により支持板４０に取り付けられている。プレートステー３０の支持板４０の取付構造の詳細は後述する。

【0029】

プレートステー３０は、支柱３４から前方に突出し、その基端部で支柱３４に支持され、その先端部（前端部）にライセンスプレート２８が取り付けられている。プレートステー３０は、前記基端部を構成する支持ブラケット４６と、前記先端部を構成する取付台４８と、支持ブラケット４６と取付台４８とを連結する連結部材５０とを有している。支持ブラケット４６および連結部材５０は左右一対設けられ、取付台４８がこれらの先端部を連結している。本実施形態では、支持ブラケット４６、連結部材５０および取付台４８は、溶接により連結されている。

【0030】

支持ブラケット４６は、板金を折り曲げ加工することで形成されている。支持ブラケット４６の基端部の被取付部４６ａに、車幅方向を向いたボルト挿通孔４６ｂが形成されている。支持ブラケット４６は、被取付部４６ａから先端側（前側）に延びる連結部材取付部４６ｃを有している。

【0031】

この連結部材取付部４６ｃに、連結部材５０が溶接により接合されている。本実施形態の連結部材５０は、細長い棒材である。連結部材５０は、支持ブラケット４６から前方に延びている。これにより、ライセンスプレート２８を車体から前方に離して配置できる。本実施形態では、連結部材５０は、前方に向かって下方に傾斜して延びている。本実施形態の連結部材取付部４６ｃは、連結部材５０の底面から外側面にかけて当接するように半円筒状に形成されている。ただし、支持ブラケット４６および連結部材５０の構造は、これに限定されない。

【0032】

取付台４８は、板金を折り曲げ加工にすることにより形成されており、図３に示すように、車幅方向に延びる下片部５２と、下片部５２の車幅方向の両端部から上方に延びる左右の延出部５４と、左右の延出部５４の上端から車幅方向の外側方に延びる左右の上片部５６とを有している。つまり、取付台４８は、正面視で、ほぼガル翼（カモメの翼）形状である。

【0033】

下片部５２は、上下方向を向いた主面を有し、車幅方向中央部に、後述するダンパ差込み用の上下方向を向いた嵌合孔５２ａが形成されている。延出部５４は、下片部５２の車幅方向の端部を上方に折り曲げることで形成されている。この延出部５４の上端を車幅方向外側に折り曲げることで、上片部５６が形成されている。上片部５６に、上下方向を向いた長孔５６ａが形成されている。

【0034】

各延出部５４は、上方に向かって外側方に傾斜するように延びている。これにより、下片部５２の車幅方向寸法を小さく抑えながら、２つの上片部５６，５６の間隔を大きくして、ライセンスプレート２８を安定して支持できる。上片部５６の上面は前方に向かって下方に傾斜し、ライセンスプレート２８を傾斜して配置できる（図２参照）。

【0035】

左右の上片部５６の下面に、左右の連結部材５０を当接させて、溶接により固定している。また、左右の上片部５６の上面に、図２に示すボルト５８によりライセンスプレート２８が取り付けられている。詳細には、ボルト５８が、ライセンスプレート２８の取付孔２８ａおよび上片部５６の長孔５６ａに上方から挿通され、ナット（図示せず）で締め付けられている。上述のように、上片部５６の上面は前方に向かって下方に傾斜しているので、これに取り付けられるライセンスプレート２８も前方に向かって下方に傾斜している。本実施形態では、ライセンスプレート２８の水平面に対する傾斜角度θは約１５°である。

【0036】

取付台４８に、ライセンスプレート２８が後方に移動するのを防ぐストッパ片６０が形成されている。本実施形態のストッパ片６０は、上片部５６の後縁を上方に折り返した爪である。ただし、ストッパ片６０の構造は、これに限定されない。また、ストッパ片６０は省略されてもよい。

【0037】

プレートステー３０の先端部の取付台４８とフロントフェンダ２６との間に、弾性体からなるダンパ６２が介在されている。詳細には、取付台４８の下片部５２の下面に、ダンパ６２が取り付けられている。本実施形態のダンパ６２は、例えば、硬質のラバー部材からなり、下片部５２の嵌合孔５２ａに下方から差し込まれている。ここで、走行停止状態で、ダンパ６２は、フロントフェンダ２６の上面に接触していてもよく、非接触であってもよい。この場合、ダンパ６２とフロントフェンダ２６のクリアランスは、例えば、２～９ｍｍである。

【0038】

ダンパ６２は、硬質のラバー部材に限定されず、例えば、ゴムスポンジ、エチレン・プロピレン・ジエンゴム（ＥＰＤＭ）等であってもよい。この場合、図４の変形例に示すように、ダンパ６２を取付台４８の下片部５２の下面に両面テープで貼り付けてもよい。したがって、下片部５２の嵌合孔５２ａは省略できる。両面テープで貼り付ける場合、ダンパ６２の前後方向の移動を阻止する位置決め片６４を設けてもよい。これにより、ダンパ６２が位置決めされ、取付作業が容易になる。図４の例では、下片部５２の前縁および後縁を下方に折り返すことで、位置決め片６４が形成されている。位置決め片６４の構造は、これに限定されない。

【0039】

上述のように、図２に示す支持ブラケット４６が支持板４０を介してフォーク上部３２の支柱３４に締結部材４４により連結されている。支持ブラケット４６に、締結部材４４の緩みを防ぐ回り止め機構６６が設けられている。回り止め機構６６は、支持板４０に係合して締結部材４４の緩みを防ぐ。

【0040】

図２に示す左側の支持ブラケット４６では、被取付部４６ａの後方に、上方に延びてから車幅方向内側に折り返された係合爪６８が形成されている。一方、支持板４０の上縁に、後側が凹んだ段差部７０が形成されている。左側の支持ブラケット４６では、支持ブラケット４６のボルト挿通孔４６ｂに締結部材４４が車幅方向外側から挿通され、支持板４０のねじ孔（図示せず）に矢印Ａ１の方向（右ねじ方向）に締結されている。このとき、支持ブラケット４６の係合爪６８が、支持板４０の段差部７０に係合する。

【0041】

車両が走行中の振動により、プレートステー３０が矢印Ａ２の方向に回動しても、係合爪６８が段差部７０に当接することで、締結部材４４が矢印Ａ１と反対の方向に回転するのを防ぐことができる。

【0042】

図５に示す右側の支持ブラケット４６では、被取付部４６ａの後方に、上方に延びてから車幅方向内側に折り返された係合爪６８が形成されている。一方、支持板４０の上縁に、後側が凹んだ段差部７０が形成されている。右側の支持ブラケット４６では、支持ブラケット４６のボルト挿通孔４６ｂに締結部材４４が車幅方向外側から挿通され、支持板４０のねじ孔（図示せず）に矢印Ａ１の方向に締結されている。このとき、支持ブラケット４６の係合爪６８が、支持板４０の段差部７０に係合する。

【0043】

車両が走行中の振動により、プレートステー３０が矢印Ａ２の方向に回動しても、支持板４０の上縁における段差部７０よりも後方の部分４０ｂに係合爪６８が当接することで、締結部材４４が矢印Ａ１と反対の方向に回転するのを防ぐことができる。

【0044】

上記構成によれば、図２に示すプレートステー３０の先端の取付台４８とフロントフェンダ２６との間に、弾性体からなるダンパ６２が介在されている。これにより、走行中のフロントフェンダ２６およびプレートステー３０の撓みが抑制され、フロントフェンダ２６とライセンスプレート２８との干渉を回避できる。これにより、ヘッドランプ２４とフロントフェンダ２６との間の空間が狭い場合でも、ヘッドランプ２４の下方にライセンスプレート２８を容易に配置することができる。

【0045】

フロントフェンダ２６の上面にダンパ６２を設けることでも、走行中のフロントフェンダ２６およびプレートステー３０の撓みが抑制されるが、樹脂製のフロントフェンダ２６に固定するより、鋼製のプレートステー３０に固定する方が、支持が安定する。また、フロントフェンダ２６の上方で、フロントフェンダ２６の近傍にライセンスプレート２８が配置されているから、ライセンスプレート２８に泥が付きにくい。

【0046】

プレートステー３０の連結部材５０により、ライセンスプレート２８を車体から前方に離して配置できるので、ライセンスプレート２８の配置の自由度が高くなる。また、連結部材５０が細長い棒材であるので、連結部材５０の製造が容易である。さらに、板金で構成する場合に比べて、連結部材５０を安価に形成できるうえに、強度的にも有利である。

【0047】

また、図３の取付台４８の左右の上片部５４，５４に左右の連結部材５０，５０がそれぞれ固定され、下片部５２の下面にダンパ６２が取り付けられ、左右の上片部５４，５４の上面にライセンスプレート２８が取り付けられている。これにより、簡単な構成で、ライセンスプレート２８の取付構造を構築できる。また、ライセンスプレート２８をフロントフェンダ２６から上方に離して支持できるので、フロントフェンダ２６とライセンスプレート２８との干渉を回避し易い。しかも、取付台４８に、ライセンスプレート２８が後方に移動するのを防ぐ図２のストッパ片６０が形成されているので、ライセンスプレート２８の位置決めができるから、ライセンスプレート２８の取付けが容易になる。

【0048】

支持ブラケット４６に、支持板４０に係合して締結部材４４の緩みを防ぐ回り止め機構６６が設けられている。これにより、走行中の振動で締結部材４４が緩むのを防ぐことができるので、ライセンスプレート２８の支持が安定する。支持板４０は、アンダーブラケット１０とトップブラケット８とに支持されて上下方向に延びる支柱３４に取り付けられている。このように、支持板４０がアンダーブラケット１０とトップブラケット８の両方で支持されるので、ライセンスプレート２８の支持がさらに安定する。

【0049】

本発明は、以上の実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。例えば、上記実施形態では、トップブラケット８とアンダーブラケット１０に支持された支柱３４にライセンスプレート２８が取り付けられていたが、ライセンスプレート２８はアンダーブラケット１０、トップブラケット８、ランプステー２５等に取り付けられてもよい。また、上記実施形態では、本発明のライセンスプレートの取付構造を自動二輪車に適用した例を説明したが、本発明のライセンスプレートの取付構造は、自動二輪車以外の鞍乗型車両にも適用できる。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。

【符号の説明】

【0050】

４ ヘッドランプ
６ フロントフォーク
８ トップブラケット
１０ アンダーブラケット
２６ フロントフェンダ
２８ ライセンスプレート
３０ プレートステー
３２ フォーク上部
３４ 支柱
４０ 支持板
４４ 締結部材
４６ 支持ブラケット（プレートステーの基端部）
４８ 取付台（プレートステーの先端部）
５０ 連結部材（細長い棒材）
５２ 下片部（取付台）
５４ 延出部（取付台）
５６ 上片部（取付台）
６０ ストッパ片
６２ ダンパ
６６ 回り止め機構

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】