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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】仮想現実モバイルポッド
(51)【国際特許分類】
   A63G 25/00 20060101AFI20220914BHJP
   A63G 31/16 20060101ALI20220914BHJP
   A63F 13/52 20140101ALI20220914BHJP
   A63F 13/213 20140101ALI20220914BHJP
   A63F 13/65 20140101ALI20220914BHJP
   A63F 13/30 20140101ALI20220914BHJP
【FI】
A63G25/00
A63G31/16
A63F13/52
A63F13/213
A63F13/65
A63F13/30
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2019561903
(86)(22)【出願日】2018-05-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-02
(86)【国際出願番号】 US2018031344
(87)【国際公開番号】W WO2018208653
(87)【国際公開日】2018-11-15
【審査請求日】2021-04-19
(31)【優先権主張番号】15/591,975
(32)【優先日】2017-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511077292
【氏名又は名称】ユニバーサル シティ スタジオズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】シュワルツ ジャスティン マイケル
(72)【発明者】
【氏名】オスターマン ロス アラン
【審査官】赤坂 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-095197(JP,A)
【文献】特開2002-126359(JP,A)
【文献】特開平10-309381(JP,A)
【文献】国際公開第2015/195558(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2015/0041230(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63G 25/00
A63G 31/00-33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想現実アトラクションシステムであって、
仮想現実及び/又は拡張現実(VR/AR)ヘッドギアであって、ユーザにVR/AR映像を表示するように構成されたVR/ARヘッドギアと、
前記ユーザを収容するように構成された少なくとも1つのユーザ支援型車両と、
を備え、前記少なくとも1つのユーザ支援型車両は、
前記ユーザが少なくとも部分的に原動力を与えて前記少なくとも1つのユーザ支援型車両を前記アトラクション内で動かすことを可能にするように構成された、前記ユーザの周囲に境界を定めるフレームと、
前記フレームに結合されて、前記ユーザが前記少なくとも1つのユーザ支援型車両内にいるときに前記ユーザを支持するように構成されたハーネスであって、前記フレームは前記ユーザによって与えられた原動力が前記少なくとも1つのユーザ支援型車両を前記アトラクション内で動かすことを可能とするように構成された、ハーネスと、
振動効果、空気効果、流体効果、効果音、又はこれらのいずれかの組み合わせを含む1又は2以上の特殊効果を前記ユーザに提供するように構成された特殊効果供給システムと、
を含み、
前記仮想現実アトラクションシステムは更に、
前記VR/ARヘッドギアに前記VR/AR映像を通信し、前記VR/AR映像を更新し、前記少なくとも1つのユーザ支援型車両と他のユーザ支援型車両またはアトラクションの環境内のオブジェクトとの間の距離を示す近接信号に基づいて前記特殊効果供給システムを作動させるように構成されたコントローラ
を備える、
ことを特徴とする仮想現実アトラクションシステム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記少なくとも1つのユーザ支援型車両上に配置される、
請求項1に記載の仮想現実アトラクションシステム。
【請求項3】
作動信号に応答して、前記フレーム内又は該フレーム上に配置されて、特殊効果材料を放出するように構成されたリザーバを備える、
請求項1に記載の仮想現実アトラクションシステム。
【請求項4】
前記アトラクションの環境は、1又は2以上の特殊効果補給ステーション、1又は2以上の構造、1又は2以上のアイテム、又はこれらのいずれかの組み合わせを含む複数の相互作用的オブジェクトを含む、
請求項1に記載の仮想現実アトラクションシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのユーザ支援型車両上に配置された車両センサから、前記アトラクション内の前記少なくとも1つのユーザ支援型車両の1又は2以上の位置を示す1又は2以上の信号を受け取って、前記少なくとも1つのユーザ支援型車両に前記近接信号を供給するように構成されたアトラクションコントローラを備える、
請求項1に記載の仮想現実アトラクションシステム。
【請求項6】
前記コントローラは、前記近接信号を受け取り、該近接信号に基づいて制動システムにブレーキ信号を供給して選択的に作動させるように構成される、
請求項5に記載の仮想現実アトラクションシステム。
【請求項7】
前記コントローラは、前記近接信号を受け取り、該近接信号に基づいて、前記少なくとも1つのユーザ支援型車両の車輪に駆動信号を供給して該車輪を選択的に操作するように構成される、
請求項5に記載の仮想現実アトラクションシステム。
【請求項8】
前記コントローラは、前記近接信号に基づいて前記少なくとも1つのユーザ支援型車両の制動システム及び車輪を制御するように構成される、
請求項1に記載の仮想現実アトラクションシステム。
【請求項9】
前記原動力は、完全に前記ユーザによって与えられる、
請求項1に記載の仮想現実アトラクションシステム。
【請求項10】
仮想現実アトラクションシステムであって、
アトラクション内の、各それぞれが車両コントローラを含む複数のユーザ支援型車両と、
アトラクションのための仮想現実及び/又は拡張現実(VR/AR)映像を提供して、前記複数のユーザ支援型車両に前記VR/AR映像を通信するように構成されたアトラクションコントローラと、
を備え、前記アトラクションコントローラは、命令を記憶するプロセッサを含み、該命令が実行されると、
前記複数のユーザ支援型車両の各ユーザ支援型車両から一定期間にわたって第1の位置情報の組を受け取り、
前記複数のユーザ支援型車両のうちの第1のユーザ支援型車両が前記複数のユーザ支援型車両のうちの第2のユーザ支援型車両の所定の距離内に存在すると判定し、
前記第1のユーザ支援型車両が前記第2のユーザ支援型車両の所定の距離内に存在するとの判定に基づいて前記第2のユーザ支援型車両に関連付けられたVR/ARヘッドセットに対して前記第1のユーザ支援型車両を表すVR/AR映像の表示をトリガする、
ように機能
前記複数のユーザ支援型車両のユーザ支援型車両はそれぞれ、
当該ユーザ支援型車両のユーザが少なくとも部分的に原動力を与えて当該ユーザ支援型車両を前記アトラクション内で動かすことを可能にするように構成された、前記ユーザの周囲に境界を定めるフレームと、
前記フレームに結合されて、前記ユーザが当該ユーザ支援型車両内にいるときに前記ユーザを支持するように構成されたハーネスであって、前記フレームは前記ユーザによって与えられた原動力が当該ユーザ支援型車両を前記アトラクション内で動かすことを可能とするように構成された、ハーネスと、
を備える、
ことを特徴とする仮想現実アトラクションシステム。
【請求項11】
前記プロセッサは命令を含み、該命令が実行されると、
第3のユーザ支援型車両が人工的アトラクションオブジェクトからの第2の所定の距離内に存在すると判定し、
前記第3のユーザ支援型車両が前記人工的アトラクションオブジェクトからの前記第2の所定の距離内に存在するとの前記判定に基づいて、前記第3のユーザ支援型車両に関連付けられたVR/ARヘッドセットへ前記人工的アトラクションオブジェクトに関連付けられたアクションを表すVR/AR映像の表示をトリガする、
ように機能する、
請求項10に記載の仮想現実アトラクションシステム。
【請求項12】
前記プロセッサは命令を含み、該命令が実行されると、
前記アトラクションの環境全体を通じて配置された複数のモーションキャプチャカメラから第2の位置情報の組を受け取り、
前記アトラクションコントローラのディスプレイを介して前記第2の位置情報の組の一部を表示する、
ように機能する、
請求項11に記載の仮想現実アトラクションシステム。
【請求項13】
前記第1のユーザ支援型車両が前記第2のユーザ支援型車両の前記所定の距離内に存在するとの前記判定に少なくとも基づいて選択的に作動するように構成された、前記複数のユーザ支援型車両の各ユーザ支援型車両に結合される1組のブレーキを含む、
請求項11に記載の仮想現実アトラクションシステム。
【請求項14】
前記複数のユーザ支援型車両の各ユーザ支援型車両に結合された車輪を備え、各ユーザ支援型車両は、前記車輪の選択的作動を通じて選択的に進むように構成され、前記選択的作動は、前記第1のユーザ支援型車両が前記第2のユーザ支援型車両の前記所定の距離内に存在するとの前記判定に少なくとも基づく、
請求項11に記載の仮想現実アトラクションシステム。
【請求項15】
一組のブレーキが前記複数のユーザ支援型車両の各ユーザ支援型車両に結合され、前記第3のユーザ支援型車両が前記人工的アトラクションオブジェクトからの前記第2の所定の距離内に存在するとの前記判定に少なくとも基づいて選択的に作動するに構成される、
請求項11に記載の仮想現実アトラクションシステム。
【請求項16】
前記複数のユーザ支援型車両の各ユーザ支援型車両に結合された車輪を備え、各ユーザ支援型車両は前記車輪の選択的作動を通じて選択的に進むように構成され、前記選択的作動は前記第3のユーザ支援型車両が前記人工的アトラクションオブジェクトからの前記第2の所定の距離内に存在するとの前記判定に少なくとも基づく、
請求項11に記載の仮想現実アトラクションシステム。
【請求項17】
前記プロセッサは命令を含み、該命令が実行されると、前記複数のユーザ支援型車両の各ユーザ支援型車両のモータ及びステアリングシステムを制御するように機能する、
請求項10に記載の仮想現実アトラクションシステム。
【請求項18】
前記プロセッサは命令を含み、該命令が実行されると、前記第1の位置情報の組に少なくとも基づいて1又は2以上の特殊効果を展開するように構成された特殊効果システムを制御するように機能する、
請求項10に記載の仮想現実アトラクションシステム。
【請求項19】
前記複数のユーザ支援型車両の各ユーザ支援型車両の移動方向は、各それぞれの車両コントローラの第1の入力装置を介して制御されるように構成され、前記複数のユーザ支援型車両の各ユーザ支援型車両は、各それぞれの車両コントローラの第2の入力装置に応答して、前記アトラクションの環境内の1又は2以上の相互作用的オブジェクトと相互作用するように構成される、
請求項10に記載の仮想現実アトラクションシステム。
【請求項20】
仮想現実アトラクションシステムであって、
複数のアトラクション構造を含むアトラクション環境と、
ユーザを収容するように構成された少なくとも1つのユーザ支援型車両と、
命令を実行するように構成されたプロセッサを含むアトラクションコントローラと、
を備え、前記少なくとも1つのユーザ支援型車両は、
前記ユーザが少なくとも部分的に原動力を与えて前記少なくとも1つのユーザ支援型車両を前記アトラクション内で動かすことを可能にするように構成された、前記ユーザの周囲に境界を定めるフレームと、
前記フレームに結合されて、前記ユーザが前記少なくとも1つのユーザ支援型車両内にいる時に前記ユーザを支持するように構成されたハーネスであって、前記フレームは前記ユーザによって与えられた原動力が前記少なくとも1つのユーザ支援型車両を前記アトラクション内で動かすことを可能とするように構成された、ハーネスと、
前記ユーザが着用した仮想現実及び/又は拡張現実(VR/AR)ヘッドギアにVR/AR映像を通信するように構成された車両コントローラと、
を含み、前記命令が実行されると前記アトラクションコントローラは、
前記車両コントローラと通信して該車両コントローラに前記VR/AR映像を提供し、
前記環境内の前記少なくとも1つのユーザ支援型車両の位置を表す位置情報を受け取り、
前記位置情報に基づいて前記AR及び/又はVR映像を更新し、
前記車両コントローラと通信して、前記位置情報に基づいて前記ユーザ支援型車両を介して特殊効果を作動させる、
ことを特徴とする仮想現実アトラクションシステム。
【請求項21】
前記車両コントローラは、前記少なくとも1つのユーザ支援型車両上及び/又は前記環境内に配置された1又は2以上のセンサから一定期間にわたって前記位置情報を受け取る、
請求項20に記載の仮想現実アトラクションシステム。
【請求項22】
前記少なくとも1つのユーザ支援型車両は、前記ユーザからの入力又は力に応答して前記少なくとも1つのユーザ支援型車両を操縦するように構成されたハンドルを含む、
請求項20に記載の仮想現実アトラクションシステム。
【請求項23】
前記プロセッサが命令を実行すると、前記アトラクションコントローラは、
前記位置情報に基づいて前記少なくとも1つのユーザ支援型車両の位置を決定し、追跡し、
前記車両コントローラと通信し、前記少なくとも1つのユーザ支援型車両の位置に基づいて、特殊効果材料を前記少なくとも1つのユーザ支援型車両から放出する、
ように構成された、
請求項20に記載の仮想現実アトラクションシステム。
【請求項24】
前記プロセッサが命令を実行すると、前記アトラクションコントローラは、
前記複数のアトラクション構造のうちの1つのアトラクション構造の位置に対する前記少なくとも1つのユーザ支援型車両の位置に基づいて、前記特殊効果材料を前記少なくとも1つのユーザ支援型車両から放出する、
ように構成された、
請求項23に記載の仮想現実アトラクションシステム。
【請求項25】
前記プロセッサが命令を実行すると、前記アトラクションコントローラは、
前記複数のアトラクション構造のうちの前記アトラクション構造に対する前記少なくとも1つのユーザ支援型車両の位置に基づいて、前記複数のアトラクション構造のうちの前記アトラクション構造及び前記少なくとも1つのユーザ支援型車両の前記フレームの両方から前記特殊効果材料を放出する、
ように構成された、
請求項24に記載の仮想現実アトラクションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に遊園地の分野に関する。具体的には、本開示の実施形態は、遊園地のゲーム又は乗り物と併せて使用される方法及び設備に関する。
【背景技術】
【0002】
遊園地(又はテーマパーク)の人気は、20世紀初頭から大きく高まってきた。1つのタイプの遊園地アトラクションは、乗り物の物語を強化する事前設定効果を含む乗り物環境内の所定の経路内を移動する際に複数の来園客が個々の車内に固定されるダークライドから成ることができる。例えば、乗り物内での没入感をもたらすために、映像、煙効果及び/又は運動効果を使用することができる。同時に、例えば消費者向けエンターテイメントのための仮想現実(VR)及び拡張現実(AR)エンターテイメントシステムの使用も増えてきている。アトラクションによっては、来園客が着用するVR/ARヘッドセットを組み込んで、乗り物の物語を強化するように平行宇宙(alternate universe)への没入感を促すことができるものもある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
以下、当初の特許請求の範囲の主題と同一範囲のいくつかの実施形態を要約する。これらの実施形態は、本開示の範囲を限定するものではなく、むしろ開示するいくつかの実施形態の概要を示すものにすぎない。実際に、本開示は、以下に示す実施形態と同様の又は異なる様々な形態を含むことができる。
【0004】
1つの実施形態によれば、システムが、仮想現実アトラクションシステムを含む。仮想現実アトラクションシステムは、ユーザに拡張現実(AR)及び/又は仮想現実(VR)映像を表示するように構成されたVR及び/又はARヘッドギアと、ユーザを収容するように構成された少なくとも1つのユーザ支援型車両とを含む。少なくとも1つのユーザ支援型車両は、ユーザが少なくとも部分的な原動力を与えて少なくとも1つのユーザ支援型車両をアトラクション内で動かすことを可能にするように構成されたフレームを含む。フレームは、ユーザの周囲に境界を定める。少なくとも1つのユーザ支援型車両は、フレームに結合されて、ユーザが少なくとも1つのユーザ支援型車両内にいる時にユーザを支持するように構成されたハーネスと、少なくとも1つのユーザ支援型車両上に配置されて、仮想現実(VR)及び/又は拡張現実(AR)ヘッドギアにAR及び/又はVR映像を通信するように構成された車両コントローラとをさらに含む。
【0005】
別の実施形態では、仮想現実アトラクションシステムが、アトラクション内の複数のユーザ支援型車両を含む。各それぞれのユーザ支援型車両は、車両コントローラと、アトラクションのためのAR及び/又はVR映像を提供して、複数のユーザ支援型車両にAR及び/又はVR映像を通信するように構成されたアトラクションコントローラとを含む。アトラクションコントローラは、命令を記憶するプロセッサを含み、この命令は、実行時に、複数のユーザ支援型車両の各々から一定期間にわたって第1の位置情報の組を受け取り、第1のユーザ支援型車両が第2のユーザ支援型車両の所定の距離内に存在すると判定し、第1のユーザ支援型車両が第2のユーザ支援型車両の所定の距離内に存在するとの判定に基づいて、第1及び第2のユーザ支援型車両の一方又は両方の車両コントローラに更新されたAR及び/又はVR映像を出力するように機能する。
【0006】
別の実施形態では、仮想現実アトラクションシステムが、複数のアトラクション構造を有するアトラクション環境と、ユーザを収容するように構成された少なくとも1つのユーザ支援型車両とを含む。少なくとも1つのユーザ支援型車両は、ユーザが少なくとも部分的に原動力を与えてアトラクション内で少なくとも1つのユーザ支援型車両を動かすことを可能にするように構成されたフレームを含む。フレームは、ユーザの周囲に境界を定め、フレームには、ユーザが少なくとも1つのユーザ支援型車両内にいる時にユーザを支持するように構成されたハーネスが結合される。フレームは、少なくとも1つのユーザ支援型車両上に配置されて、ユーザが着用した仮想現実(VR)及び/又は拡張現実(AR)ヘッドギアにAR及び/又はVR映像を通信するように構成された車両コントローラも含む。フレームは、命令を実行するように構成されたプロセッサを含むアトラクションコントローラをさらに含み、この命令は、アトラクションコントローラに、車両コントローラと通信して少なくとも1つのユーザ支援型車両コントローラにAR及び/又はVR映像を提供させ、環境内の少なくとも1つのユーザ支援型車両の位置を表す位置情報を受け取らせ、位置情報に基づいてAR及び/又はVR映像を更新させる。
【0007】
全体を通じて同じ部分を同じ符号によって示す添付図面を参照しながら以下の詳細な説明を読めば、本開示のこれらの及びその他の特徴、態様及び利点がより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本技術による、拡張現実(AR)又は仮想現実(VR)モバイルポッドを利用できるゲーム環境の実施形態を示す図である。
図2】本技術による、図1のゲーム環境と併せて使用できるVRシナリオの実施形態を示す図である。
図3】本技術による、図1のゲーム環境と併せて使用できる仮想現実アトラクションシステムのブロック図である。
図4】本技術による、図1のゲーム環境と併せて使用できるVRモバイルポッドの実施形態を示す図である。
図5】本技術による、図1のゲーム環境内の効果ステーションのブロック図である。
図6】本技術による、図1のゲーム環境内の1又は2以上のVRモバイルポッドの位置をモニタする方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
仮想現実(VR)及び/又は拡張現実(AR)システムは、没入的娯楽の提供を目的としているが、ユーザが自身の体験に完全に没入するのを妨げる課題がいくつか存在する。典型的なVRユーザは、実際の環境の映像を仮想環境に置き替えるヘッドセットを着用する。ユーザは、実際の環境を見ることができないので、境界、障害物又は他のユーザが環境内のどこに存在するかを判断して不慮の接触を避けることができない。このような不慮の接触を防ぐために、アトラクションは、ユーザが拘束されている車両のための制御された乗り物経路を提供することによって、ユーザの動きを制限することがある。しかしながら、ユーザが仮想環境内で自由に移動できなくすることにより、ユーザは真に没入的な体験を味わえなくなってしまう。別のタイプのエンターテイメントシステムは、トレッドミル又は滑走型の歩行面を使用して、ユーザを1箇所に保持しながら自由な動きの錯覚をもたらすことができる。しかしながら、ユーザによっては、このようなシステムによって自然な歩行運動を行っている気になれない。他のタイプのエンターテイメントシステムは、それ以上進むとVR体験がサポートされなくなる境界に到達した時にユーザに警告を与える。しかしながら、これらの警告は、ユーザを体験から離脱させてしまう働きをする。
【0010】
本明細書では、VR又はARゲーム又はアトラクション内で使用されるモバイルポッドを提供する。VRの文脈でいくつかの実施形態を開示するが、これとは別に、又はこれに加えて、開示する実施形態は、VR及び/又はARゲーム又はアトラクションと併せて使用することもできると理解されたい。さらに、遊園地又はテーマパークの文脈でいくつかの実施形態を開示することができるが、モバイルポッドは、例えば娯楽場、ホームエンターテイメントでの使用などの他の文脈で使用することもできる。
【0011】
本開示の実施形態は、1又は2以上のユーザがVRアトラクションの環境内を移動するAR及び/又はVRアトラクションシステムを提供する。モバイルポッドは、ユーザの周囲に自然な境界を提供してアトラクション内での不慮の接触を制限することができる。例えば、各ユーザは、それぞれのモバイルポッド内に位置しながら環境を体験することができる。このようにして、モバイルポッドの構造自体は障害物に接触することもあるが、モバイルポッド内に位置するユーザが障害物と直接接触することは制限される。従って、ユーザは、わずかな衝突又は減速を体験することはあるが、例えば境界壁又は他のユーザとの接触を直接感じることはない。さらに、ユーザがアトラクションの物語における自然な出来事として衝突又は減速を体験するように、VR映像を用いて衝突又は減速を増強することもできる。
【0012】
1つの実施形態では、モバイルポッドがVRヘッドギアを備え、又はモバイルポッドをVRヘッドギアと併用して、ユーザが環境の表面上を歩いて少なくとも部分的にモバイルポッドの動きを駆動できるようにすることができる。モバイルポッドは、モバイルポッド内のユーザのための支持体(例えば、ハーネス)を提供することもできる。例えば、ユーザは、環境の不規則な表面上を歩くこともあるが、支持体がユーザのつまずき及び/又は転倒を防ぐことができる。さらに、モバイルポッドは、ユーザが意図するゲーム又はその他の仮想環境を十分に体験するのに役立つように特殊効果システムを備えることもできる。特殊効果システムは、流体システム、音響システム、振動システム、空気システムなどを含む効果をもたらすことができる。
【0013】
仮想環境は、様々な異なる相互作用的オブジェクトを提供することができる。例えば、仮想環境は、ユーザがVRヘッドギアを通じてゲームキャラクタとして知覚できる1又は2以上の構造を有することができる。仮想環境は、ユーザが操作できる1又は2以上のゲーム要素を利用することもできる。いくつかの実施形態では、ユーザが別のオブジェクト(例えば、第2のユーザ、仮想建造物)の距離閾値内に移動した場合に特定の効果をトリガすることができる。例えば、ある構造の距離閾値内にモバイルポッドが移動した(例えば、操縦された)場合、この構造は、プロセッサが複数の形で解釈できるアクションを実行することができる。この解釈を、VRヘッドギアを通じてユーザに表示することができる。さらに、仮想環境は、様々なテーマに適用できるように再構成可能とすることもできる。
【0014】
仮想アトラクションの特徴は、1又は2以上のコントローラによって処理することができる。例えば、アトラクションコントローラが、各VRモバイルポッドのポッドコントローラと通信することができる。1又は2以上のコントローラは、VRヘッドギアを介してユーザに表示された映像、環境/モバイルポッドの特殊効果、及び環境/モバイルポッドの全体的制御に関する情報を処理することができる。
【0015】
開示するVRアトラクションシステムは、ショー、乗り物、ゲーム及びプロモーションなどを含む遊園地アトラクションと共に実装することができる。従来のテレビゲームなどの特定のテーマに関連してVRアトラクションシステムを採用することにより、来園客が遊園地を訪れようという気になり、遊園地が提供するテーマ体験をさらに楽しむことができる。さらに、このVRアトラクションシステムは柔軟なものであるため、1つのゲーム舞台を、様々な異なるテーマを有するゲームをホストするように構成することもできる。
【0016】
これらを踏まえて、図1に、本開示によるアトラクション10(例えば、仮想現実/代替現実(VR/AR)スリルゲーム)の実施形態を示す。アトラクション10は、アトラクション10の環境14の周囲に配置された様々な相互作用的オブジェクト12を含むことができる。例えば、環境14の周囲には、1又は2以上の構造16、アイテム18及び補給ステーション20を配置することができる。アトラクション10は、アトラクション10のテーマに従う様々な背景映像21を含むこともできる。この実施形態では、相互作用的オブジェクト12が、平坦で均一な表面を有する単純な構造物である。いくつかの実施形態では、相互作用的オブジェクトが環境のテーマに従うことができる。例えば、環境のテーマが恐竜テーマである場合には、構造16を恐竜モデルとすることができ、アイテム18を恐竜の卵とすることができ、補給ステーション20を水域とすることができる。実際に、相互作用的オブジェクトは、場所、サイズ、形状などを制限なくカスタマイズすることができる。いくつかの実施形態では、相互作用的オブジェクト12を、テーマに従って動くように機械的に駆動することができる。例えば、恐竜テーマの実施形態では、構造16(例えば、恐竜モデル)を、頭又は尻尾を振るように機械的に駆動することができる。いくつかの実施形態では、相互作用的オブジェクト12を環境14の表面に結合(例えば、ボルト留め)することができる。これに加えて、又はこれとは別に、アトラクション10のユーザが相互作用的オブジェクト12を操作(例えば、獲得、利用など)することもできる。
【0017】
アトラクション10のユーザ22は、ポッド24(例えば、ユーザ支援型車両、モバイルポッド)内に位置しながら環境14内を進むことができる。以下で十分に説明するように、ユーザ22は、ポッド24の制約(例えば、境界)内で環境14を歩き回ることができる。ユーザ22は、目標又はゲーム目標を達成する目的で環境14を移動することができる。目標又はゲーム目標は、VR/ARヘッドギア26を介して、及び/又は実施形態によっては各ポッド24に付随するディスプレイ画面を介して表示される映像を通じてユーザに伝えることができる。ユーザ22は、VR/ARヘッドギア26を通じて、環境のテーマに従うVR/AR映像を見ることができる。図2に、ユーザ22がVR/ARヘッドギア26を通じて見るようなVR/ARシナリオの実施形態を示す。
【0018】
図2は、図1の環境14のVR/ARシナリオ30の実施形態を示す図である。以下で十分に説明するように、VR/ARシナリオ30の映像は、VR/ARヘッドギア26を通じてユーザに伝えることができる。VR/ARシナリオ30は、多くのVR及び/又はARビジュアルと、現実世界の映像(例えば、環境14の映像)とを含むことができる。例えば、VR/ARシナリオ30は、VR/AR生物32、VR/AR背景特徴34、VR/ARオブジェクト36、VR/AR自然効果38、VR/ARポッド40、離れたVR/ARオブジェクト39などのVR/ARコンポーネント80を含むことができる。VR/ARコンポーネント80は、環境14の相互作用的オブジェクト12などの物理的オブジェクトの代わりに出現することができる。例えば、ユーザ22は、現実世界の物理的構造16の代わりにVR/AR生物32を見ることができる。同様に、ユーザ22は、補給ステーション20又はアイテム18の代わりにVR/AR自然効果38及びVR/ARオブジェクト36をそれぞれ見ることができる。いくつかの実施形態では、ポッド24が、VR環境内でVR/ARポッド40として出現することができる。VR/ARポッド40は、ユーザ22に対して上述した環境のテーマに適合するように表現することができる。いくつかの実施形態では、ユーザ22が、他のユーザ22にとって環境のテーマに従う生物のように見えることができる。例えば、ユーザ22が互いの閾値距離内に存在する場合、VR/ARポッド40の映像をトリガすることができる。他の例では、現実世界の物理的ポッド24をロボット構造、車両などと見なすことができる。
【0019】
VR/ARシナリオ30のビジュアルを上述したような現実世界のアイテムに対応させることにはいくつかの利点がある。VR/AR生物32が現実世界の物体に対応するこのような1つの利点は、ユーザが一定程度までVR/AR生物32と相互作用できる点である。例えば、ユーザ22は、VR/ARポッド40と共に配置されている間にVR/AR生物32に衝突/接近した場合、実際にポッド24が物理的オブジェクト(例えば、構造16)に接触しているので、衝突からの反動力を受けることができる。このような衝突は、アトラクションの物語の脈絡に応じて没入効果を高めることができる。例えば、バンパー・カーの物語では、現実世界の衝突がゲーム目標を反映することができる。さらに、ユーザが見るVR/AR映像だけでなく、本明細書に示すような各ポッド24を通じて仲介される効果によっても現実世界の物理的接触を増補することができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、ユーザ22が物理的オブジェクトに接触しなくても、アトラクションの物語に従う反応を体験することができる。例えば、以下で詳述するように、ポッド24は、ポッド24の車輪41の制動システム及び/又はロック/操作を利用することができる。このように、ユーザ22が別のオブジェクト(例えば、構造16、異なるユーザ22など)の閾値距離内に存在する場合には、(例えば、車輪41のロックを介して)制動システムのブレーキが作動し、及び/又は車輪41が物理的オブジェクトとの衝突を避けるようにユーザ22の方向を変えることができる。ブレーキの作動及び/又は車輪41の操作は、アトラクションの物語に応じて没入効果を高めることができる。
【0021】
VR/AR生物32(例えば、構造16)と相互作用した時には、VR/AR生物32が吠えたり、地面を踏みつけたり、或いは振り返ってユーザ22を見たりなどのイベント(例えば、特殊効果)を発生させることができる。同様に、ユーザがVR自然効果38の川42又は水たまり44を横切った場合には、ユーザ22が本当に補給ステーション20を歩いて渡って濡れるようにすることができる。VR/ARシナリオ30のビジュアルが現実世界のアイテムに対応するさらなる利点は、ユーザがVR/ARオブジェクト36を操作できる点である。例えば、ユーザは、ポッド24のコントロールを介してVR/ARオブジェクト36(例えば、アイテム18)を獲得することができる。上述した恐竜のテーマによれば、ユーザ22は、自分たちが卵、恐竜の赤ちゃんなどを獲得している様子を見ることができる。いくつかの実施形態では、ユーザ22がVR/ARオブジェクト36に衝突した場合、自分たちが卵、恐竜の赤ちゃんなどを跳ね飛ばしている様子を見ることができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、VR/ARシナリオ30の全てのビジュアルが環境14の相互作用的オブジェクト12に対応できるわけではない。例えば、ユーザ22は、背景特徴34又は他の離れたVR/ARオブジェクト39のVR/AR映像を見ることができる。いくつかの実施形態では、離れたVR/ARオブジェクト39が空中に出現して手が届かないため、離れたVR/ARオブジェクト39を環境14の現実世界のオブジェクトに対応させることに利点がない場合もある。いくつかの実施形態では、背景特徴34が、環境14の境界(例えば、壁)に対応することができる。以下で詳細に説明するように、いくつかの実施形態ではユーザ22が(例えば、衝突を通じて)環境と相互作用できるので、ポッド24は支持体及びフレームを提供することができる。なお、後述するように、ポッド24は、ユーザ22と環境14及び/又はVR/ARシナリオ30との間のさらなる相互作用方法を、環境14の要素との衝突及び要素上を歩くこと以外の形で提供することもできる。
【0023】
このことを踏まえながら、図3は、図1のアトラクション10の仮想現実アトラクションシステム50のブロック図である。各ユーザ22には、VR/ARヘッドギア26から独立した、又はVR/ARヘッドギア26に結合できるポッド24(例えば、ユーザ支援型車両)を提供することができる。いくつかの実施形態では、VR/ARヘッドギア26を、ユーザ22が着用できるヘルメット、バイザー、鉢巻き、1対の遮眼帯、1又は2以上の眼帯、及び/又はその他のヘッドウェア又はアイウェアの一部として含めることができる。図示のように、VR/ARヘッドギア26は、無線ネットワーク(例えば、無線ローカルエリアネットワーク[WLAN]、無線ワイドエリアネットワーク[WWAN]、近距離通信[NFC])を介してマスターコントローラ58のアトラクションコントローラ56及び環境14に通信可能に結合されたポッド24の車両コントローラ52に通信可能に結合することができる。ユーザ22がアトラクション10を楽しむ時には、車両コントローラ52、ヘッドギア26及びアトラクションコントローラ56を使用して、AR体験、VR体験、複合現実感(例えば、ARとVRの組み合わせ)体験、コンピュータ仲介型現実体験、これらの組み合わせ、又はユーザ22のための他の同様の超現実的環境を含むことができるVR/ARシナリオ30を作成することができる。具体的に言えば、ユーザ22は、完全にVR/ARシナリオ30に包まれてVR/ARシナリオ30を現実世界の物理的環境であると知覚できるように、ゲーム期間全体を通じてVR/ARヘッドギア26を着用することができる。さらに理解されるように、具体的に言えば、VR/ARシナリオ30は、たとえ1又は2以上のAR又はVR映像(例えば、仮想拡張)と電子的に融合したVR/ARヘッドギア26を着用していない時であってもユーザ22が見ると思われる環境14の現実世界の映像を含むリアルタイムビデオとすることができる。「リアルタイム」という用語は、実際の観察時間に実質的に近い時間枠内で映像が取得及び/又は提供されることを示す。
【0024】
いくつかの実施形態では、VR/ARヘッドギア26を、アトラクション10のスリル要素、ひいてはアトラクション10内にいる間のユーザ22の体験を強化するAR体験、VR体験、及び/又は他のコンピュータ仲介体験を作成する上で有用となり得る様々なウェアラブル電子装置のうちのいずれかとすることができる。なお、本明細書で説明するVR/ARヘッドギア26は、従来のヘッドマウントディスプレイ(HMD)及び/又はヘッドアップディスプレイ(HUD)などの従来の装置とは異なることができ、これらの従来の装置を凌ぐ多くの利点をもたらすことができると理解されたい。例えば、さらに認識されるように、VR/ARヘッドギア26は、アトラクション10のサイクル中にユーザ22の位置、向き及び動作を追跡するために使用できる、例えば加速度計、磁力計、ジャイロスコープ、全地球測位システム(GPS)受信機などの複数の配向及び位置センサ57を含むことができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、モニタリングシステム(例えば、1又は2以上のカメラ55)がVR/ARヘッドギア26(例えば、その上に配置されたインジケータ)をモニタして、VR/ARヘッドギア26及びユーザ22の位置、場所及び向きなどを特定することができる。モニタリングシステムは、仮想現実アトラクションシステム50に通信可能に結合することができ、ユーザ22の位置、場所及び向きなどを識別するために使用することができる。これとは別に、又はこれに加えて、ポッド24は、仮想現実アトラクションシステム50のそれぞれのユーザ22をモニタしてそれぞれのユーザ22の視点及び/又は場所を特定する上で有用となり得る1又は2以上のセンサ59(例えば、重量センサ、質量センサ、動きセンサ、超音波センサ、位置センサ)を含むこともできる。同様に、環境14も、仮想現実アトラクションシステム50のそれぞれのユーザ22をモニタしてそれぞれのユーザ22の視点及び/又は場所を特定する上で有用となり得る1又は2以上のセンサ61(例えば、重量センサ、質量センサ、動きセンサ、超音波センサ、カメラ)を含むことができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、VR/ARシナリオ30の作成を支援するために、ポッド24の車両コントローラ52が、プロセッサ62などの処理回路及びメモリ64を含むことができる。同様に、マスターコントローラ58のアトラクションコントローラ56も、プロセッサ66などの処理回路及びメモリ68を含むことができる。プロセッサ62、66は、それぞれメモリ64、68に動作可能に結合して、アトラクション10のスリル要素、ひいてはアトラクション10内にいる間のユーザ22の体験を強化するVR/ARシナリオ30を生成するための本開示の方法を実行する命令を実行することができる。これらの命令は、メモリ64、67及び/又はその他のストレージなどの有形の非一時的コンピュータ可読媒体に記憶されたプログラム又はコードに符号化することができる。プロセッサ62、66は、汎用プロセッサ、システムオンチップ(SoC)デバイス、特定用途向け集積回路(ASIC)、又は他の何らかの同様のプロセッサ構成とすることができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、さらに示すように、VR/ARヘッドギア26が、それぞれがユーザ22の片方の眼に対応する1対のディスプレイ70を含むこともできる。他の実施形態では、一体型ディスプレイ70を使用することもできる。ディスプレイ70は、不透明な液晶ディスプレイ(LCD)、不透明な有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、又は環境14及びVR/ARシナリオ30のリアルタイム映像をユーザ22に表示する上で有用な他の同様のディスプレイを含むことができる。別の実施形態では、ディスプレイ70が、例えばユーザ22がディスプレイ70を介して実際の物理的現実世界環境(例えば、環境14)を見る能力を保ちながらディスプレイ70上に出現する環境14及びVR/ARシナリオ30のリアルタイム映像も見られるようにする上で有用なシースルーLCD又はシースルーOLEDディスプレイを含む。
【0028】
(単複の)カメラ72は、それぞれユーザ22のそれぞれの視点に対応することができ、環境14のリアルタイムビデオデータ(例えば、ライブビデオ)を取り込むために使用することができる。具体的に言えば、図示の実施形態では、VR/ARヘッドギア26の(単複の)カメラ70を使用して、それぞれのユーザ22が知覚した物理的現実世界環境14のリアルタイム映像をそれぞれユーザ22の視点から取り込むことができる。さらに理解されるように、その後にVR/ARヘッドギア26は、(単複の)カメラ70を通じて取り込んだリアルタイムビデオデータを(例えば、コントローラ52及び56のグラフィックスプロセッシングユニット(GPU)を介した)処理のために車両コントローラ52及び/又はアトラクションコントローラ56に(例えば、VR/ARヘッドギア26に含まれる1又は2以上の通信インターフェイスを介して無線で)送信することができる。また、VR/ARヘッドギア26は、VR/ARヘッドギア26、ポッド24及び環境14に含めることができる配向及び位置センサ57、59、61、55(例えば、加速度計、磁力計、ジャイロスコープ、全地球測位システム[GPS]受信機及びモーションキャプチャカメラなど)及び動き追跡センサ(例えば、電磁的及び固体動き追跡センサ)などを介して取得されたデータに基づいて取得及び/又は導出された配向データ、位置データ、視点データ(例えば、焦点距離、配向及び姿勢など)、及び動き追跡データなどを送信することもできる。
【0029】
上述したように、いくつかの実施形態では、車両及び/又はアトラクションコントローラ52、56が、ポッド24から受け取られたリアルタイムビデオデータ(例えば、ライブビデオ)、配向及び位置データ、及び/又は視点データを処理することができる。具体的に言えば、車両及び/又はアトラクションコントローラ52、56は、このデータを使用して、生成されたVR/ARシナリオ30にリアルタイムビデオデータを登録するための基準枠を生成することができる。具体的に言えば、その後、車両及び/又はアトラクションコントローラ52、56は、この配向データ、位置データ、視点データ及び動き追跡データなどに基づいて生成された基準枠を使用して、それぞれのユーザ22がVR/ARヘッドギア26を着用していない場合に知覚すると思われるものと時間的及び空間的に相間するVR/ARシナリオ30のビューをレンダリングすることができる。車両及び/又はアトラクションコントローラ52、56は、それぞれのユーザ22のそれぞれの向き、位置及び/又は動きの変化を反映するように現実世界の映像のレンダリングを絶えず(例えば、リアルタイムで)更新することができる。
【0030】
例えば、いくつかの実施形態では、車両及び/又はアトラクションコントローラ52、56が、毎秒約20フレーム(FPS)以上、約30FPS以上、約40FPS以上、約50FPS以上、約60FPS以上、約90FPS以上、又は約120FPS以上のリアルタイムレートで映像(例えば、VR/ARシナリオ30)をレンダリングすることができる。さらに、車両及び/又はアトラクションコントローラ52、56は、それぞれのユーザ22が着用した各それぞれのVR/ARヘッドギア26の(例えば、それぞれのユーザ22のそれぞれの向き、位置及び視点に合わせて調整された)環境14の現実世界の映像を生成することもできる。
【0031】
いくつかの実施形態では、上述したように、車両及び/又はアトラクションコントローラ52、56が、環境14の現実世界の映像に重なり合ったVR/ARシナリオ30の1又は2以上のVR/ARグラフィック映像を生成及びレンダリングして、ユーザ22に完全なAR体験、VR体験、複合現実感、及び/又はその他のコンピュータ仲介体験をもたらすこともできる。例えば、いくつかの実施形態では、車両及び/又はアトラクションコントローラ52、56が、説明したビデオ融合法及び/又は光学的融合法のうちの1つ又は2つ以上を利用して、ポッド24がアトラクション10を往来する際にユーザ22が(例えば、ディスプレイ70を介してレンダリングされたビデオデータとして提供される)アトラクション10の現実世界の物理的環境14をVR/ARシナリオ30(例えば、仮想拡張)のVR/ARグラフィック映像と共に知覚するように、環境14の現実世界の映像上にVR/ARシナリオ30のVR/ARグラフィック映像を重ね合わせることができる。具体的に言えば、現実世界の映像のレンダリングに関して上述したように、車両及び/又はアトラクションコントローラ52、56は、環境14の現実世界の映像がVR/ARシナリオ30のVR/ARグラフィック映像と重なり合った背景として出現できるように、環境14の現実世界の映像と時間的及び空間的に相間するVR/ARシナリオ30のVR/ARグラフィック映像のビューをレンダリングすることができる。実際には、あるモデルが、いずれかの利用可能な視点のコンピュータ生成映像を提供し、検出されたVR/ARヘッドギア26の配向に基づいて表示できるようにVR/ARヘッドギア26に特定の映像を提供することができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、車両及び/又はアトラクションコントローラ52、56が、環境14の現実世界の映像及びVR/ARシナリオ30のVR/ARグラフィック映像をレンダリングする際に、現実世界の物理的環境14のコントラスト及び明るさ(例えば、晴れ渡った日、部分的に曇りの日、曇りの日、夕方、夜)を正確に反映するように調整された環境14の現実世界の映像及びVR/ARシナリオ30のVR/ARグラフィック映像を生成するように、1又は2以上の明度モデル、照明モデル、又は陰影モデル、及び/又は他のフォトリアリスティックなレンダリングモデルを生成することもできる。例えば、いくつかの実施形態では、車両及び/又はアトラクションコントローラ52、56が、環境の現実世界の映像及びVR/ARシナリオ30のVR/ARグラフィック映像のフォトリアリズムを高めるために、1又は2以上の気象予報システム及び/又は気象予測システム(例えば、グローバル気象予報システム及びドップラレーダーなど)から気象関連データを受け取ることができる。その後、車両及び/又はアトラクションコントローラ52、56は、気象関連データ又はその他の同様のデータを使用して、環境の現実世界の映像及び/又はVR/ARシナリオ30のVR/ARグラフィック映像のコントラスト、明度、及び/又はその他の照明効果を調整することができる。
【0033】
他の実施形態では、車両及び/又はアトラクションコントローラ52、56が、VR/ARヘッドギア26及び/又はポッド24に含まれる1又は2以上の光センサから検出された照明、又はカメラ72によって取り込まれたリアルタイムビデオデータに基づいて、環境14の現実世界の映像及び/又はVR/ARシナリオ30のVR/ARグラフィック映像のコントラスト、明度、及び/又はその他の照明効果を調整することができる。さらに、上述したように、車両及び/又はアトラクションコントローラ52、56は、それぞれのユーザ22のそれぞれの向き、位置、視点及び/又は動きの変化を反映するように、VR/ARシナリオ30のVR/ARグラフィック映像のレンダリングを絶えず(例えば、リアルタイムで)更新することができる。例えば、車両及び/又はアトラクションコントローラ52、56は、それぞれのユーザ22の変化可能なそれぞれの位置、視点及び動きに合わせて調整されたVR/ARシナリオのVR/ARグラフィック映像を、それぞれのユーザ22が着用するそれぞれの各ヘッドギア26の(単複の)ディスプレイ70上にレンダリングすることができる。
【0034】
さらに理解されるように、車両及び/又はアトラクションコントローラ52、56は、ユーザ22が環境14内の所定の地点を横切った時点でVR/ARシナリオ30のVR/ARグラフィック映像を生成することもできる。従って、いくつかの実施形態では、車両及び/又はアトラクションコントローラ52、56が、受け取られた位置データ、視点データ、動きデータと、GPSデータ又は地理的情報システム(GIS)データとを使用して、例えばアトラクション10の照明マップを取得することができる。その後、車両及び/又はアトラクションコントローラ52、56は、ユーザ22が環境14を往来する際に、このマップを使用して、いくつかの所定の地点(例えば、場所、距離又は時間に基づく地点)においてVR/ARシナリオ30のいくつかのVR/ARグラフィック映像を導入することができる。さらに、いくつかの実施形態では、車両及び/又はアトラクションコントローラ52、56が、(単複の)カメラ72を通じて取り込まれた映像又は映像データを使用して、ユーザ22の地点、及びVR/ARシナリオ30のいくつかのVR/ARグラフィック映像をいつ導入すべきであるかを判断することができる。例えば、コントローラ52及び56のGPUは、1又は2以上の幾何学的認識アルゴリズム(例えば、形状又は物体認識)又は光度認識アルゴリズム(例えば、顔認識又は特定の物体認識)を実行して、ユーザ22の位置又は場所、及びユーザ22の観察位置を特定することができる。いくつかの実施形態では、車両コントローラ52が、ユーザ22が着用できる携行装置(例えば、バックパック)内に位置することができる。いくつかの実施形態では、車両コントローラ52及び/又はアトラクションコントローラ56が、VR/ARヘッドギア26と無線で通信することができる。さらに、いくつかの実施形態では、車両コントローラ52をVR/ARヘッドギア26と一体的に結合することができる。また、上述した実施形態は、別個の車両コントローラ52及び/又はアトラクションコントローラ56を利用することができるが、いくつかの実施形態は、本明細書で説明したような車両コントローラ52及びアトラクションコントローラ56の動作を実行するように構成された単一のコントローラを利用することもできる。いくつかの実施形態では、単一のコントローラをポッド24上又はアトラクション10内のどこか他の場所に配置することができる。
【0035】
ポッド24は、上述した要素に加えて、ディスプレイモジュール74、特殊効果システム76(例えば、特殊効果供給システム)、ハーネス77(例えば、ユーザ支持体)及び制動システム90を含むことができる。ディスプレイモジュール74は、ポッド24のフレーム81上のユーザの直前に位置することができる。ディスプレイモジュール74は、ユーザに様々な情報を伝えることができる。例えば、いくつかの実施形態では、ディスプレイモジュール74が、VR/ARシナリオ30の概要(例えば、衛星ビュー)を示すマップを伝えることができる。このマップは、図2に示すように、VR/ARシナリオ30の様々なコンポーネント80(例えば、他のユーザ22、VR/AR自然効果38、VR/AR生物32、VR/ARオブジェクト36など)の位置を表す1又は2以上のアイコンを表示することができる。ディスプレイモジュール74は、ユーザ22に様々なメッセージを伝えることもできる。例えば、ディスプレイモジュールは、アトラクション10の目的、ユーザが特定の場所(例えば、ゲーム境界、コンポーネント80など)に近づいていることを示すメッセージ、アトラクション10の目的状態(例えば、ポイント、残り時間、所有するゲームオブジェクトなど)を示すメッセージを表示することができる。いくつかの実施形態では、ディスプレイモジュール74が、ユーザのための入力/出力装置として機能することができる。従って、ディスプレイモジュール74は、ユーザがアトラクション10内の様々な機能(例えば、相互作用、移動など)を実行するために利用できる1又は2以上の入力装置(例えば、1又は2以上のタッチ画面、ノブ、ダイヤル、ボタン、スイッチなど)を含むことができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、ユーザ22がVR/ARヘッドギア26を着用していない場合にのみディスプレイモジュール74を利用することができる。このような実施形態では、ディスプレイモジュール74が、ユーザ22にVR/ARヘッドギア26を着用及び/又は保管するための命令を伝えることができる。
【0036】
特殊効果システム76は、流体効果システム78、振動効果システム79、音響効果システム82、空気効果システム84、又はこれらのいずれかの組み合わせを含むことができる。環境14の様々な特徴(例えば、コンポーネント80)にも同様の特殊効果システム76を含めることができる。流体効果システム78は、流体(例えば、特殊効果材料、水、香り付き流体(scent fluids)など)を収容できる袋(bladder)86(例えば、リザーバ)を含むことができる。いくつかの実施形態では、環境14の1又は2以上のコンポーネント80を通じて特殊効果システム76を利用することができる。袋86は、密封してポッド24のフレーム81内に配置することができる。従って、ユーザ22が袋86にアクセスできないようにすることができる。実際に、いくつかの実施形態では、袋86にアクセスするために別個のツールが必要となり得る。いくつかの実施形態では、袋86をフレーム81の外側に配置することもできる。流体効果システム78は、ユーザに特殊効果を与える際に利用すべき流体(例えば、水)を袋86から引き出すことができる。例えば、いくつかの実施形態では、流体効果システム78がミストを放出することができる。ユーザ22がコンポーネント80(例えば、VR/AR自然効果38、VR/AR生物32)の近くを通り掛かった時にミストをトリガすることができる。流体効果システム78の利用は、ユーザにとって固有の体験を可能にすることができる。例えば、ユーザ22は、他の好適な流体効果の中でも特に、まるで実際に恐竜の口(例えば、VR生物32の口)から息吹又は唾が飛んで来ているのを感じているかのように、またVR/AR自然効果38からのしぶき(例えば、川42及び/又は水たまり44からのしぶき/水はね)を感じているかのように感じることができる。以下で詳細に説明するように、いくつかの実施形態では、ユーザが、1又は2以上の補給ステーション20から水を汲み出すことによって袋86を補充することができる。上述したように、補給ステーション20は、VR/ARシナリオ30におけるVR/AR水映像(例えば、水たまり44及び川42)に対応することができる。従って、ユーザ22は、水たまり44及び/又は川42のうちの1つ又は2つ以上に移動して袋86を補充することができる。袋86を補充するには、袋86を、供給源から水を汲み出すのに必要なポンプ、チューブ及び他のいずれかのコンポーネントに結合することができる。いくつかの実施形態では、ディスプレイモジュール74が、ユーザ22にこれら(例えば、水)の供給量が少ないことを伝えて、1又は2以上の補給ステーション20(例えば、VR/ARシナリオ30内の水たまり44及び/又は川42)から補充するように指示することができる。いくつかの実施形態では、ユーザ22が補給ステーション20に移動して、アトラクション10のテーマに従う1又は2以上のVR/AR特徴(例えば、弾薬、空気、燃料など)を補充することもできる。
【0037】
振動効果システム79、音効果システム82及び空気効果システム84は、流体効果システム78と同様にユーザに独自の体験を提供することができる。ユーザが1又は2以上のコンポーネント80の所定の距離内を移動すると、振動効果システム79、効果音システム82、空気効果システム84又はこれらのいずれかの組み合わせが作動することができる。ユーザ22は、VR生物32に接近した場合には恐竜の唸り声を存分に体験することができる。例えば、ユーザ22は、効果音システム82のスピーカを通じて恐竜の唸り声を聞き、振動効果システム79、及び/又は効果音システム82のサブウーファを通じて恐竜の唸り声による振動を感じ、空気効果システム84のファンを通じて恐竜の呼吸による突風を感じ、空気効果システム84の匂い添加物を通じて恐竜の息の匂いを嗅ぎ、或いはこれらのいずれかの組み合わせを体験することができる。実際には、特殊効果システム76は多くの形で応用可能であり、ユーザをあらゆる娯楽テーマ(例えば、魔法、ミイラ、水中冒険、スーパーヒーロー、海賊など)に完全に没頭させるように適用することができると理解されたい。
【0038】
車両の制動システム90を様々な形で利用して、アトラクション10内のユーザ22の体験を強化することもできる。上述したように、コントローラ52、56は、ユーザ22の位置に関する情報を一定期間にわたって処理することができる。実際に、コントローラ52、56の一方又は両方は、ユーザ22の速度(例えば、速度及び方向)に基づいてユーザ22の現在位置及びユーザ22の将来的な位置を計算することができる。コントローラ52、56は、環境14内及び/又はポッド24上に配置されたセンサ59、61、57によって提供された情報を利用して位置/速度を計算することもできる。いくつかの実施形態では、コントローラ52、56が、環境14内及び/又はポッド24上に配置されたモーションキャプチャカメラによって提供された情報を利用して位置/速度を計算することができる。従って、コントローラ52、56は、少なくともユーザの位置に基づいて(例えば、駆動信号を介して)制動システム90のブレーキ91を選択的に作動させることができる。これに加えて、又はこれとは別に、コントローラ52、56は、少なくともユーザの位置に基づいて(例えば、駆動信号を介して)車輪41を操作することもできる。例えば、いくつかの実施形態では、ユーザ22がゲーム境界又はオブジェクトの方に向かって進んでいる場合、ある程度までブレーキ91を作動させてユーザ22の動きを減速させることができる。作動の度合いは、ユーザ22の速度に依存することができる。例えば、ユーザ22がオブジェクトに向かって素早く移動している場合には、動きを妨げるようにブレーキ91を作動させることができる。いくつかの実施形態では、ユーザ22が所定の速度を超えないように、ブレーキ91を作動させてユーザ22の動きを減速させることができる。従って、全てのユーザ22が所定の速度を超えないようにすることができる。いくつかの実施形態では、ユーザ22が(例えば、境界の近く、目標から離れた場所、VR/ARのぬかるみなどの)望ましくない場所に向かって移動している場合、ブレーキ91を作動させてユーザ22の動きを遅らせることができる。とりわけ、いくつかの実施形態では、ユーザ22の挙動に基づいてブレーキ91を作動させることができる。例えば、ユーザ22が、不適切に、素早く、不規則に移動している場合などにブレーキ91を作動させることができる。(単複の)ユーザ22の互いに対する及び環境オブジェクトに対する計算された位置が、互いに近接閾値未満であると判定されることもある。このような場合、コントローラ52、56は、衝突又は近接信号を生成することができる。アトラクションコントローラ56によって近接信号が生成された場合、この近接信号を車両コントローラ52に供給して制動システム90の作動を引き起こすことができる。これに加えて、又はこれとは別に、車両コントローラ52に近接信号を供給して車輪41を操作(例えば、操縦)することもできる。
【0039】
上述したように、ポッド24(例えば、ユーザ支援型ポッド、モバイルポッド)の動きは、少なくとも部分的に(又は、完全に)ユーザ(例えば、ユーザ22)が駆動することができる。いくつかの実施形態では、ポッド24の動きを少なくとも部分的にモータ92が駆動することができる。いくつかの実施形態では、モータ92が、ポッド24からの抵抗力に打ち勝つのに十分な力を与えことができる。例えば、ポッド24は、何らかの抵抗力(例えば、慣性モーメント、摩擦など)を伴うことができる。従って、モータ92は、ユーザ22がポッド24の抵抗力の影響を感じることがないように、抵抗力に打ち勝つのに十分な力を与えることができる。いくつかの実施形態では、モータ92から供給される動力の量を、ユーザ22の体重に基づいて調整することができる。いくつかの実施形態では、モータ92が供給する動力の量を、ユーザ22の身体能力に基づいて調整することができる。例えば、ユーザ22の身体能力が劣っている場合、モータ92は、ポッド24を動かすために多くの動力を供給することができる。一般に、モータ92は、ユーザの能力に基づいて個別化された動力の量を各ポッド24に供給することができる。従って、各ユーザ22は、身体能力に優るユーザ22が身体能力に劣るユーザ22よりも有利に(例えば、速度的に有利に)ならないように同じ速度で移動することができる。上述したように、ユーザ22の速度は、制動システム90を使用して部分的に調整することもできる。さらに、ポッド24は、以下に限定するわけではないが、バッテリ、太陽光パネル、発電機、ガスエンジン、又はこれらのいずれかの組み合わせを含むあらゆる好適な電源100による給電を受けることができる。いくつかの実施形態では、電源100が車両コントローラ52内に位置することができる。
【0040】
さらに、マスターコントローラ58がアトラクション10のいくつかの特徴を制御することもできる。マスターコントローラ58は、上述したアトラクションコントローラ56に加えて、分散制御システム(DCS)、或いは入力/出力インターフェイス102とディスプレイ104とを含む、いくつかの実施形態では完全に又は部分的に自動化されたいずれかのコンピューターベースのワークステーションを含むことができる。マスターコントローラ58のディスプレイ104を通じて特定のゲーム情報を伝えることもできる。例えば、ディスプレイ104を介してユーザ22の状態(例えば、位置)を表示することができる。いくつかの実施形態では、ディスプレイ104上に環境14のビデオストリームを表示することができる。いくつかの実施形態では、マスターコントローラ58のオペレータが、入力/出力インターフェイス102からアトラクション10の特徴(例えば、特殊効果システム76、コンポーネント80など)を調整することができる。いくつかの実施形態では、マスターコントローラ58のオペレータが個々のポッド24を制御することができる。例えば、オペレータは、ゲームサイクルが終了すると、全てのポッドをスタート位置に移動させて新たな来園客と再びゲームサイクルを開始するように全てのポッドの動きを制御することができる。いくつかの実施形態では、新たなゲームサイクルを開始するための全てのポッド24のスタート位置への移動を自動化することもできる。
【0041】
ポッド24は、アトラクション10内のユーザ22の体験を強化する特徴を含むことができる。図4は、図1のモバイルポッド24のうちの1つのモバイルポッドの実施形態を示す図である。1つの例では、ポッド24が、ユーザが比較的自然な歩行運動を使用してアトラクション内を移動できる完全に又は部分的にユーザ駆動型の車両として構成される。従って、ポッド24は、少なくとも部分的にユーザ自らの駆動力によって環境内を移動し、いくつかの実施形態では、アトラクションの最中に完全にユーザによって駆動される。しかしながら、例えばユーザを支援し、ユーザを障害物から離して誘導し、及び/又は空のポッド24を基地に戻すための自動的な動きを可能にする特徴をポッド24が含むことも検討される。ポッド24を自己駆動させるには、ユーザが特定の方向に歩き、ポッド24の1又は2以上の車輪41などを介してポッド24をユーザと共に環境の床部に沿って滑らせる。さらに、ポッド24は、1人のユーザに対応するようなサイズ及び形状を有することができる。いくつかの実施形態では、ポッド24が、ポッド24に結合された、個別のユーザに対応できる乗客用ポッドを含むことができる。乗客用ポッドは、操縦用のコントロールを含まないことを除き、本明細書で説明したポッド24の全ての特徴を含むことができる。
【0042】
上述したように、ポッド24は、車両コントローラ52、ディスプレイモジュール74、ハーネス77、及びユーザ22の体験を強化するために使用できるその他の特徴を含むことができる。車両コントローラ52及びディスプレイモジュール74は、フレーム81の正面側に配置することができる。従って、ユーザ22は、ディスプレイモジュール74のコントロールに(例えば、タッチ画面、ボタン、ノブ、スイッチ、独立した入力/出力装置などを介して)容易にアクセスすることができる。いくつかの実施形態では、ユーザ22が、1又は2以上の入力装置108を介して上述したアトラクション10の特徴を制御することができる。入力装置108は、ジョイスティック、ボタン、ハンドル、トーテム(totems)などとすることができる。いくつかの実施形態では、入力装置108をフレーム81に結合することができる。いくつかの実施形態では、入力装置108を一定程度までフレーム81から取り外し可能とすることができる。入力装置108は、ワイヤ(例えば、格納式ワイヤ)を介してフレーム81に連結することができる。入力装置108は、VR/ARシナリオ30とのシミュレートされた相互作用をもたらすように手に取って振り回すことができる。例えば、ユーザ22は、入力装置108を利用してオブジェクト(例えば、VR/ARオブジェクト36)を獲得することができる。従って、いくつかの実施形態では、入力装置108が、VR/ARシナリオ30内でユーザ22への握持装置(例えば、手、クランプ)として出現することができる。いくつかの実施形態では、入力装置108が、VR/ARシナリオ30内で複数の異なるタイプのアイテム(例えば、武器、工具など)のうちの1つ又は2つ以上として出現することができる。
【0043】
さらに、ポッド24は、ユーザ22の周囲に境界110を形成するように構成することもできる。境界は、フレーム81の外周から0~3フィート又は1~2フィートだけ半径方向外側に円周方向に配置することができる。いくつかの実施形態では、境界110をフレーム81によって定めることができる。境界110は、ユーザ22の周囲に、ユーザ22を隔絶できる空間領域を定めることができる。いくつかの実施形態では、硬質の半透明バリア(例えば、プラスチック)及び/又は1又は2以上の緩衝器を用いて境界110を定めることができる。従って、このバリアは、様々なオブジェクト(例えば、他のユーザ22、構造16など)が緩衝器を通過して境界内に入り込むのを阻止することができる。特に、緩衝器は、ポッド24が環境14の様々なオブジェクトに接触した時に衝撃力を吸収することにより、様々なオブジェクトに接触した結果としてユーザ22が体験し得る力を最小限に抑えることができる。いくつかの実施形態では、緩衝器を、容易に交換できる消耗品とすることができる。
【0044】
上述したように、アトラクション10は、様々な特殊効果システム76を利用することができる。特殊効果76のうちの1つ又は2つ以上は、ポッド24から提供することができる。例えば、ポッド24には、空気効果84のための1又は2以上のファン、流体効果78のための袋86、音響効果システム82のための1又は2以上のスピーカ、振動効果79の(単複の)振動装置などを取り付けることができる。
【0045】
また、上述したように、ユーザ22(図1を参照)は、ハーネス77内に固定することができる。ハーネス77は、フレーム81に結合することができる。フレーム81は、ハーネス77と連動してユーザ22を支持することができる。また、とりわけポッド24の設計は、ハーネス77及びフレーム81と連動してポッド24及びポッド24内のユーザ22がひっくり返るのを防ぐことができる。換言すれば、ポッド24は、急激な速度/方向の変化、並びに相互作用的オブジェクト12及び/又は別のユーザ22との接触などにかかわらず(例えば、受動的及び/又は能動的に)安定性を維持できるように設計することができる。さらに、従ってフレーム81及び/又はハーネス77は、ユーザ22の身長及び/又は体重に基づいて調整することができる。フレーム81の高さは、長さ調整技術(例えば、入れ子式伸縮セグメント、油圧式調整、圧縮/延長ばね、リニアアクチュエータなど)を通じて調整することができる。フレーム81の高さは、アトラクション10のサイクルの開始後に適所にロックすることができる。さらに、ハーネス77は、ユーザ22のサイズ及び体型に従って1又は2以上の調整点を通じて調整することもできる。いくつかの実施形態では、1又は2以上のエネルギー吸収システム(例えば、スプリングダンパーシステム、油圧システムなど)を介してハーネス77をフレームに結合することができる。一般に、ハーネス77は、ユーザ22を支持して転倒を防ぎながらユーザ22が環境14を自由に動き回れる(例えば、歩き回れる)ようにすることができる。フレーム81及びハーネス77の高さは、ハーネス77が実質的にユーザ22の重心付近でユーザを支持するように調整することができる。いくつかの実施形態では、ハーネス77が、それぞれのユーザ22の肩及び/又は腰からユーザ22を支持することができる。
【0046】
図5は、図1の環境14内の補給ステーション20のブロック図である。上述したように、特殊効果システム76では、流体効果78を介して水を使用することができる。この結果、流体効果78の流体を保持する袋86(例えば、リザーバ)を補充することができる。上述したように、袋86を補充するには、補給ステーションから水を汲み出すために必要なポンプ、チューブ及び他のいずれかのコンポーネントに袋86を結合することができる。実際には、ユーザ22が、補給ステーション20のうちの1つの上にポッド24を配置することができる。いくつかの実施形態では、ユーザ22が、フレーム81の脚部を補給ステーション20内に配置して、フレーム81上及び/又はフレーム内に配置された管体を通じて補給ステーション20から流体を汲み出すことができる。従って、脚部上/脚部内に配置された管体は、システムがフレーム81の入口を介して流体を汲み出すのを可能にすることができる。従って、ポッド24(例えば、袋86)は補給ステーション20から流体を汲み出し、補給ステーション20は流体リザーバ150から流体を汲み出す/供給される。リザーバ150は、環境14の表面の下方に配置することができる。いくつかの実施形態では、各補給ステーション20がそれぞれの流体リザーバ150から流体を汲み出す。いくつかの実施形態では、複数の補給ステーション20が単一の流体リザーバ150から水を汲み出す。
【0047】
図6は、1又は2以上のポッド24の位置を処理するフローチャート160である。上述したように、ポッド24の位置は、少なくとも部分的に、環境14を通じて配置された及び/又はポッド24上の1又は2以上のセンサ59、57、61を介して特定することができる。ブロック162において、車両コントローラ52及び/又はアトラクションコントローラ56(例えば、コントローラ52、56)が、センサ59、57、61から1又は2以上のポッド24の位置に関する情報を受け取ることができる。この位置情報は、例えば無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、無線ワイドエリアネットワーク(WWAN)、近距離通信(NFC)などの無線ネットワークを介してコントローラ52、56に送信することができる。ブロック164において、コントローラ52、56が、位置データを分析して1又は2以上のポッド24及び/又はユーザ22の位置を特定することができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、ブロック166において、コントローラ52、56が、特定されたポッド24の位置に基づいてVR/AR映像を更新することができる。上述したように、コントローラ52、56は、環境のいくつかの位置に関連するいくつかのVR/AR映像を(例えば、ヘッドギア26を介して)ユーザ22に提供することができる。例えば、ユーザ22がコンポーネント80の近くの場所に存在する場合、コントローラ52、56は、何らかの形で反応するコンポーネント80の映像を提供することができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、ブロック168において、コントローラ52、56が、特定されたポッド24の位置に基づいて、ブレーキ91を選択的に作動させ、及び/又は1又は2以上のポッド24の車輪41を操作することができる。例えば、ブレーキ91及び/又は車輪41を作動させてユーザ22の速度を制御し、衝突を防ぎ、ユーザ22を境界から離して及び/又は目標に向けて誘導するのを支援し、又はこれらのいずれかの組み合わせを行うことができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、ブロック170において、コントローラ52、56が、特定されたポッド24の位置に基づいて1又は2以上の特殊効果システム(例えば、特殊効果78、79、82、84、86)を作動させることができる。具体的には、上述したように、コントローラ52、56が、1又は2以上のユーザ22の位置に基づいてポッド24及び/又は環境14の1又は2以上の特殊効果システムを作動させることができる。例えば、ユーザがコンポーネント80の近くに存在する場合には、コンポーネント80に関連する1又は2以上の特殊効果を作動させることができる。
【0051】
本明細書では、いくつかの実施形態のみを図示し説明したが、当業者には多くの修正及び変更が思い浮かぶであろう。従って、添付の特許請求の範囲は、本発明の実際の趣旨に該当するような全ての修正及び変更を含むものであると理解されたい。
【0052】
本明細書に示して特許請求する技術は、本技術分野を確実に改善する、従って抽象的なもの、無形のもの又は純粋に理論的なものではない実際的性質の有形物及び具体例を参照し、これらに適用される。さらに、本明細書の最後に添付するいずれかの請求項が、「...[機能]を[実行]する手段」又は「...[機能]を[実行]するステップ」として指定されている1又は2以上の要素を含む場合、このような要素は米国特許法112条(f)に従って解釈すべきである。一方で、他のいずれかの形で指定された要素を含むあらゆる請求項については、このような要素を米国特許法112条(f)に従って解釈すべきではない。
【符号の説明】
【0053】
10 アトラクション
12 相互作用的オブジェクト
14 環境
16 構造
18 アイテム
20 補給ステーション
21 背景映像
22 ユーザ
24 ポッド
26 VR/ARヘッドギア
41 車輪
図1
図2
図3
図4
図5
図6