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▶ ザルトリウス ステディム バイオテック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】事前設定された使い捨て濾過装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 29/50 20060101AFI20220914BHJP
   B01D 46/54 20060101ALI20220914BHJP
   B01D 35/30 20060101ALI20220914BHJP
   B01D 29/33 20060101ALI20220914BHJP
   B01D 29/90 20060101ALI20220914BHJP
   B01D 24/42 20060101ALI20220914BHJP
   B01D 29/92 20060101ALI20220914BHJP
   C12M 1/12 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
B01D29/24 B
B01D46/54
B01D35/30
B01D29/32 A
B01D29/42 501C
B01D29/42 510
C12M1/12
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2019564487
(86)(22)【出願日】2018-05-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-16
(86)【国際出願番号】 EP2018062598
(87)【国際公開番号】W WO2018215246
(87)【国際公開日】2018-11-29
【審査請求日】2021-01-19
(31)【優先権主張番号】102017111133.6
(32)【優先日】2017-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508053186
【氏名又は名称】ザルトリウス ステディム バイオテック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Sartorius Stedim Biotech GmbH
【住所又は居所原語表記】August-Spindler-Str.11, D-37079 Goettingen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100183232
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 敏行
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・レーヴェ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ・デル
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン・ハント
(72)【発明者】
【氏名】マイク・ゾマー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・フリーゼ
(72)【発明者】
【氏名】マンダー・ディクシット
(72)【発明者】
【氏名】ベルンハルト・ディール
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/032560(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0252934(US,A1)
【文献】特開2012-213772(JP,A)
【文献】特表2014-509521(JP,A)
【文献】特表2015-528300(JP,A)
【文献】国際公開第2016/045762(WO,A1)
【文献】特表2016-501125(JP,A)
【文献】特開2012-247257(JP,A)
【文献】登録実用新案第3191725(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/16
B01D 27/00-29/96
B01D 35/00-34
B01D 46/54
C12M 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使い捨て濾過装置(10)であって、固定されたラインによって互いに接続された複数の使い捨てフィルタカプセル(12)を備え、少なくともその一部は、一般に特定されているラスターつまり格子配列においてホルダー(14)によってしっかりと装着され、ここでフィルタカプセル(12)は、フィルタの種類、構造及び/あるいはサイズの種類、並びに/又は、フィルタカプセル(12)の接続に関して、濾過プロセス用に事前設定されており
上記ラインは、フィルタカプセル(12)と結びついた少なくとも2つの分離し相互に独立したライン分岐を形成しており、
当該使い捨て濾過装置(10)の上側の外部ポート(34)には、当該使い捨て濾過装
置(10)を通気する除菌可能なエアーフィルタ(62)が配置されており、
外部ポート(34)とエアーフィルタ(62)との間の流路の一部は、覗き窓として構
成されている、
使い捨て濾過装置(10)。
【請求項2】
使い捨て濾過装置(10)であって、固定されたラインによって互いに接続された複数の使い捨てフィルタカプセル(12)を備え、少なくともその一部は、一般に特定されているラスターつまり格子配列においてホルダー(14)によってしっかりと装着され、ここでフィルタカプセル(12)は、フィルタの種類、構造及び/あるいはサイズの種類、並びに/又は、フィルタカプセル(12)の接続に関して、濾過プロセス用に事前設定されており
上記ラインは、フィルタカプセル(12)と結びついた少なくとも2つの分離し相互に独立したライン分岐を形成しており、
当該使い捨て濾過装置(10)の上側の外部ポート(34)には、当該使い捨て濾過装置(10)を通気する除菌可能なエアーフィルタ(62)が配置されており、
外部ポート(34)とエアーフィルタ(62)との間の流路において、少なくとも一つのインジケーターが配置されており、該インジケーターは水と反応する、
使い捨て濾過装置(10)。
【請求項3】
使い捨て濾過装置(10)であって、固定されたラインによって互いに接続された複数の使い捨てフィルタカプセル(12)を備え、少なくともその一部は、一般に特定されているラスターつまり格子配列においてホルダー(14)によってしっかりと装着され、ここでフィルタカプセル(12)は、フィルタの種類、構造及び/あるいはサイズの種類、並びに/又は、フィルタカプセル(12)の接続に関して、濾過プロセス用に事前設定されており
上記ラインは、フィルタカプセル(12)と結びついた少なくとも2つの分離し相互に独立したライン分岐を形成しており、
当該使い捨て濾過装置(10)の上側の外部ポート(34)には、当該使い捨て濾過装置(10)を通気する除菌可能なエアーフィルタ(62)が配置されており、
外部ポート(34)とエアーフィルタ(62)との間の流路の一部は、少なくとも部分的に透明なシリコーンチューブによって形成されており、該シリコーンチューブは透明な支持包装材料によって囲まれている、
使い捨て濾過装置(10)。
【請求項4】
フィルタカプセル(12)の少なくとも幾つかは、フィルタの種類、構造及び/又はサイズの種類に関して異なる、請求項1から3のいずれかに記載の使い捨て濾過装置。
【請求項5】
ラインは、フィルタカプセル(12)と結びついた複数のライン分岐を形成しており、ライン分岐は順々に又は並列に横断している、請求項1から4のいずれかに記載の使い捨て濾過装置。
【請求項6】
ラスターは、最大9つのフィルタカプセル(12)用の3×3ラスターであり、ラインは、ラスターの列に配列された3以下のフィルタカプセル(12)がライン分岐に属するように予め構成されている、請求項に記載の使い捨て濾過装置。
【請求項7】
少なくとも2つの並列ライン分岐は、共通の入口(40)及び/又は共通の出口(42)を有する、請求項5又は6に記載の使い捨て濾過装置。
【請求項8】
全てのフィルタカプセル(12)は、殺菌フィルタカプセル(12b)である、請求項1からのいずれかに記載の使い捨て濾過装置。
【請求項9】
全てのフィルタカプセル(12)は、前置フィルタカプセル(12a)である、請求項1からのいずれかに記載の使い捨て濾過装置。
【請求項10】
少なくとも一つの殺菌フィルタカプセル(12b)と少なくとも一つの前置フィルタカプセル(12a)との組み合わせが設けられている、請求項1からのいずれかに記載の使い捨て濾過装置。
【請求項11】
後続のライン分岐において、殺菌フィルタカプセル(12b)の形態における、制御フィルタ手段が配置されている、請求項1から10のいずれかに記載の使い捨て濾過装置。
【請求項12】
後続の複数の並列ライン分岐において、殺菌フィルタカプセル(12b)の形態における、制御フィルタ手段がそれぞれ配置されている、請求項1から10のいずれかに記載の使い捨て濾過装置。
【請求項13】
制御フィルタ手段は、該制御フィルタ手段の独立した完全性試験用に設けられたアセンブリで除菌可能なエアーフィルタ(50)を備えたアセンブリの一部である、請求項11又は12に記載の使い捨て濾過装置。
【請求項14】
制御フィルタ手段の流入部及び流出部に、流入側の第1分岐部材(44)及び流出側の第2分岐部材(46)がそれぞれ接続されており、ここで、第1分岐部材(44)の2つの自由端の一方に、さし込まれた第1遮断弁(48)を介して除菌可能なエアーフィルタ(50)の出口が接続されており、第2分岐部材(46)の2つの自由端の一方に、さし込まれた第2遮断弁(52)を介して廃棄物容器(54)が任意に接続され、第1分岐部材(44)の他方の自由端によって、制御フィルタ手段、エアーフィルタ(50)、任意の廃棄物容器(54)、第1と第2の遮断弁(48、52)、及び2つの分岐部材(44、46)を備えたアセンブリが、さし込まれた第3遮断弁(56)を介して当該使い捨て濾過装置(10)の外部ポート(34)と接続されている、請求項13に記載の使い捨て濾過装置。
【請求項15】
第2分岐部材(46)の自由端の他方は、当該使い捨て濾過装置(10)の濾液出口を形成しており、該濾液出口は、第4遮断弁(60)によって閉鎖可能である、請求項14に記載の使い捨て濾過装置。
【請求項16】
制御フィルタ手段は、外部ライン分岐に配置されている、請求項11から15のいずれかに記載の使い捨て濾過装置。
【請求項17】
制御フィルタ手段は、フィルタカプセル(12)用の特定ラスターの外側に配置されている、請求項11から15のいずれかに記載の使い捨て濾過装置。
【請求項18】
外部ポート(34)とエアーフィルタ(62)の入口との間に、エアーフィルタ(62)の保護用の、疎水性の保護フィルタ(64)がさし込まれている、請求項1から17のいずれかに記載の使い捨て濾過装置。
【請求項19】
保護フィルタ(64)は、支持フリースのないフラットフィルタとして構成され、ここで、保護フィルタ膜は、好ましくは、ふっ化ポリビニリデン(PVDF)、ポリエチレン(PE)、疎水性ポリエーテルスルホン(PESU)、又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で形成されている、請求項18に記載の使い捨て濾過装置。
【請求項20】
当該使い捨て濾過装置用の、少なくとも一つの使い捨てパイプマニホールド要素(68)をさらに備えた、請求項1から19のいずれかに記載の使い捨て濾過装置。
【請求項21】
使い捨てパイプマニホールド要素(68)は、除菌可能なプラスチック材料で作製され、ピースとして一体的に形成され、少なくとも一つの分岐(70)及び/又は少なくとも一つのベンド(72)、90度ベンド、を含む、請求項20に記載の使い捨て濾過装置
【請求項22】
使い捨てパイプマニホールド要素(68)は、5バールを超える、好ましくは10バールを超える圧力に耐える耐圧性のように設計されている、請求項21に記載の使い捨て濾過装置
【請求項23】
破裂板が使い捨てパイプマニホールド要素(68)に組み込まれている、請求項21又は22に記載の使い捨て濾過装置
【請求項24】
使い捨てパイプマニホールド要素(68)は、TRI-clamp接続、ねじ接続、又は溶接によって、耐圧性かつ回転不能な方法において別のパイプマニホールド要素(68)に接合可能であり、又は、使い捨てパイプマニホールド要素(68)の一端において殺菌したコネクタが直接に装着される、請求項21から23のいずれかに記載の使い捨て濾過装置
【請求項25】
少なくとも一つのベンド(72)が使い捨てパイプマニホールド要素(68)の開口端に形成されている、請求項21から24のいずれかに記載の使い捨て濾過装置
【請求項26】
使い捨てパイプマニホールド要素(68)を形成しているプラスチック材料は、透明である、請求項21から25のいずれかに記載の使い捨て濾過装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め構成された使い捨て濾過装置に関し、特に、大容量濾過プロセス用の使い捨て濾過装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高品質活性材料の薬剤生産では、そのような材料の洗浄、検証、試験等の、時間、投下資本、動作費を減じると共に、それと共に達成可能な高い適応性のために、単一使用(使い捨て)プロセスは、拡大範囲に一般的に使用される。そのために使用される単一使用システム(使い捨ての)は、再使用可能システム、つまり一度使用された後さらなる使用のために再度洗浄され、消毒され、及び検査されねばならない、簡単には処分できない再使用可能システム、から区別される。使い捨てシステムは、小容量プロセスだけでなく大規模用にも切望され、そのようなシステムに関するコストは、非現実的なほどに高額になるべきではない。
【0003】
バイオリアクター、これはまたその一方で、500、1000、及び2000リットルのサイズでの使い捨てリアクターとして入手できる、を有するプロセスでは、媒体濾過、及び細胞採取後(採取後濾過)に実施される濾過のために要求がある。数千リットルの合計濾過容量から進展して、それ相応に大きな合計フィルタ面積を有するフィルタの要求がある。50mまでの合計フィルタ面積を有する、そのような大規模な濾過プロセスは、現在、ステンレス鋼ハウジングにおける細菌濾過器を使用した(例えば、マルチラウンドシステム)装置によって実行されている。したがってその装置は、未だ、再使用のために設計されている。このことは、低適応性、高洗浄費、洗浄による生産停止等のような不利益につながる。これまでのところこの規模では、対応する使い捨て解決策は、得られていない。
【0004】
これは、大容量濾過プロセス用に設計された、WO 2017/032560 A1に記載の、完全に予め殺菌可能で、接続可能で完全性試験可能な使い捨て濾過装置によって改善された。この使い捨て濾過装置は、標準サイズの複数の使い捨てフィルタカプセルを備え、これらは互いにラインによって接続され、硬いホルダーによって支持されている。また、同じ装置内で異なる種類のフィルタカプセルを使用することができる。フィルタカプセル間のラインは、硬い導管として構成可能であり、又は複数の一様な流入及び/又は流出装置によって形成可能である。
【0005】
EP 2915571 A1は、複数の濾過モジュールを収容するフレーム構造を有した再使用可能な濾過装置を開示している。分散器パイプによって、個々の濾過モジュールは、並列配列、直列配列、又はこれらの組み合わせを形成するように接続可能である。
【0006】
DE 3321038 C2からは、再使用可能なカートリッジフィルタの複数グループで、その各々が複数のフィルタカートリッジを含むグループを、バルブによって並列又は直列に接続することが知られている。
【0007】
US 4909937 Aは、個々のフィルタ領域が完全性のため選択的に検査可能である再使用可能な濾過装置を開示している。この目的のため、フィルタカセット間に中間領域を設け、これは、すすぎ、殺菌等を行う流体で満たすことができる。この中間領域は、接続パイプを介して接続される。全ての接続部及び供給ラインは、遮断弁を設けることができる。
【0008】
EP 0051373 A2からは、同じハウジングにおけるフィルタで意図する濾過プロセスもまた行われるフィルタを検査するための再使用可能な装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】EP 2915571 A1
【文献】DE 3321038 C2
【文献】US 4909937 A
【文献】EP 0051373 A2
【発明の概要】
【0010】
発明の上位目的は、大容量濾過プロセス用に設計された使い捨て濾過装置で、所望の濾過プロセス及びその必要なもののために個々に設計可能な濾過装置を提供することにある。
【0011】
この目的は、請求項1の特徴を有する使い捨て濾過装置によって達成される。発明による使い捨て濾過装置の有利かつ得策な実施形態は。従属請求項に示されている。
【0012】
発明による使い捨て濾過装置は、固定されたラインによって互いに接続された複数の使い捨てフィルタカプセルを備え、その少なくとも一部は、一般に特定されているラスター、つまり格子状の配列においてホルダーによってしっかりと装着されている。フィルタカプセル、特に、フィルタの種類、構造かつ/もしくはサイズ、及び/又は、フィルタカプセルの接続に関しては、所望の濾過プロセス用に予め構成される。
【0013】
発明は、適切なホルダーで特に種々の使い捨てフィルタカプセルを収容可能なホルダー、及び、フィルタカプセルの可変接続のために異なる流路を提供する適切なライン部品、を有する大型の使い捨て濾過装置において、特有の、個々に設計された濾過プロセスを実行するために効率的なセットアップ(配置、組立)が実現可能であるという研究結果に基づいている。発明による使い捨て濾過装置は、特に、スペースの必要性及び取り扱いに関して最適化されている。フィルタカプセル用の特定のラスターのため、好ましくは固定の接続ラインは、材料及びアセンブリ費用が最小化されるように、非常に短くすることができる。フィルタカプセル及びそれらの接続を備え付けた後、モジュール構造の使い捨て濾過装置は、全体として梱包され、特に、密閉して梱包され、そして、それ以上部品を加える又は固定することなく、配送後直ちに作動可能なように、予め殺菌(特にガンマ線又は熱蒸気滅菌)される。
【0014】
発明の有利な態様によれば、フィルタカプセルの少なくとも幾つかは、フィルタの種類、構造及び/又はサイズの種類に関して異なることができる。異なる種類の構造はまた、異なる種類の接続、及び/又は異なる種類のフィルタ構造を含むであろう。フィルタカプセルの選択可能性によって、個々の濾過ステップは、それぞれの要求(流量、浸透性、フィルタ面積等)に最適に順応することが可能である。
【0015】
発明による使い捨て濾過装置により可能である、実現される濾過プロセスの多様性に貢献するものはまた、可変な経路において組み立てられるラインである。該ラインは、順々にあるいは並行して横断する(流れる)、結合されたフィルタカプセルを有する複数のライン分岐を形成可能である。
【0016】
発明による使い捨て濾過装置により、複数のプロセス又は副プロセスがまた同時に実行可能である。そのような場合のため、ラインは、少なくとも2つの分離し相互に独立した、結合されたフィルタカプセルを有するライン分岐を形成する。
【0017】
発明の特に好ましい実施形態によれば、特定のラスターは、最大9つのフィルタカプセル用の3×3ラスターであり、ラインは、ラスターが列をなして配列された3つ以下のフィルタカプセルがライン分岐に属するように、予め構成される。これに基づき、多数の実際的なセットアップ(配置、組立)がコンパクトな形態で実現可能である。例えば、発明による複数の使い捨て濾過ユニットが互いに組み合わせ可能であり、並列に又は直列に接続可能である。ラスターのようなセットアップによって、複数の濾過装置のモジュール式組合せが特にコンパクトな形態において実現可能である。一般的に、他のラスター、例えば1×2、1×3、1×4、1×5、1×6、2×2、2×3、2×4、2×5、2×6、3×4、3×5、3×6、4×4、4×5、4×6、5×5、5×6、又は6×6ラスター、もまた考えられる。
【0018】
発明による、予め構成する使い捨て濾過装置では、少なくとも2つの並行ライン分岐が共通の入口及び/又は共通の出口を有することを既に提供可能である。よって、ライン分岐を作動させる前にライン分岐を結合することは、もはや必要ない。
【0019】
あるセットアップでは、殺菌したフィルタカプセルのみが、又は前置フィルタカプセルのみが使用されるということが提供可能である。しかしながら、特に有利なものは、一般的に少なくとも一つの殺菌したフィルタカプセル及び少なくとも一つの前置フィルタカプセルの組み合わせによるセットアップである。
【0020】
発明の特に有利な態様によれば、制御フィルタ手段、好ましくは殺菌したフィルタカプセルの形態におけるもの、が後続のライン分岐に配置される。制御フィルタ手段の目的は、「最後のステップ」として、殺菌した濾液が実際に生産されるということを保証することである。濾液の無菌状態は、制御フィルタ手段の完全性試験によって確認することができる。このことは、制御フィルタ手段の完全性試験をパスしたときには、制御フィルタ手段がその機能を適切に実行し、濾液が殺菌されたと問題なく仮定できることを意味する。
【0021】
あるセットアップでは、特に、一つのみの制御フィルタのフィルタ面積が不十分であると分かったとき、後続の複数の並行のライン分岐のそれぞれにおいて、一つの制御フィルタ手段、好ましくは殺菌したフィルタカプセルの形態におけるもの、を設けることが有利である。
【0022】
装置における時間のかかる全ての改造あるいは他の構造的変更を行うこと無く、使い捨て濾過装置における残りのフィルタカプセルから独立した、後続の制御フィルタ手段の使用だけでなく、制御フィルタ手段の完全性をも提供するために、発明は、制御フィルタ手段が、制御フィルタ手段の独立した完全性試験を提供し及び除菌可能なエアーフィルタを備えたアセンブリの一部である、ということを提供する。残りの使い捨て濾過装置から流体的に分離されるべきそのようなアセンブリを使用するとき、完全性試験は、意図する濾過プロセス前に既に要求されたように(使用前完全性試験)既に実行可能であり、除菌可能なエアーフィルタが、さらに必要とされる制御フィルタ手段の汚染を防止することから、及び/又は意図する濾過プロセス後のみに(使用後完全性試験)実行可能である。
【0023】
特に、いずれの改造もなしに実行される、制御フィルタ手段のそのような独立した完全性試験のため、流入側の第1分岐部材と流出側の第2分岐部材とが制御フィルタ手段の流入部及び流出部にそれぞれ接続されるセットアップは有利である。ここで、第1分岐部材の2つの自由端の一方には、除菌可能なエアーフィルタの出口が割り込ませた第1遮断弁を介して接続され、第2分岐部材の2つの自由端の一方には、廃棄物容器が割り込ませた第2遮断弁を介して随意に接続され、制御フィルタ手段、エアーフィルタ、随意の廃棄物容器、第1及び第2の遮断弁、及び2つの分岐部材を備えたアセンブリは、第1分岐部材の2つの自由端の他方により、割り込ませた第3遮断弁を介して使い捨て濾過装置の外部ポートに接続される。ここで、分岐部材は、部品の具体的形状又は構造種類と無関係な分岐を現実化するために使用される全ての接続ライン要素であるように一般的に理解される。例えば、このことは、T状態、Y形状の接続ライン要素又は多経路バルブを含むことを意味する。
【0024】
上で明示したセットアップにおいて、第2分岐部材の残りの他方の自由端は、好ましくは、使い捨て濾過装置の濾液出口を形成し、該濾液出口は第4遮断弁によって閉じることができる。
【0025】
制御フィルタ手段の容易なアクセス可能性は、制御フィルタ手段が外部ライン分岐に配置されることにおいて保証することができる。
【0026】
しかしながら、制御フィルタ手段はまた、フィルタカプセル用の特定ラスターの外側に空間的に区切って配置することができる。
【0027】
発明の特に有利な別の態様によれば、使い捨て濾過装置全体の中央に通気部が設けられる。これは、使い捨て濾過装置における上側外部ポートに配置された、使い捨て濾過装置を通気する除菌可能なエアーフィルタによって達成される。さらに、使い捨て濾過装置全体の完全性は、除菌可能なエアーフィルタを介して試験されることができる。
【0028】
そのような通気フィルタは、詰まらないように十分に保護されねばならない。これに関して、詰まることは、水あるいは別の媒体がエアーフィルタ膜を支持するフリースにある種のフィルムを形成することを意味するだろう。これは、空気の流れに関する制限に、あるいは空気の流れがもはや可能でないことに帰着する。この問題は、特に、エアーフィルタ膜が、及びエアーフィルタ膜を支持するフリースがガンマ線除菌可能な材料で構成されるときに存在する。発明は、エアーフィルタを保護する、及び良好なときに対策を取ることができるように予め起こり得る詰まりを可視化する、多くの可能性を提供し、これらの可能性は多分互いに組み合わせることができる。
【0029】
例えば、使い捨て濾過装置の外部ポートとエアーフィルタの入口との間に、疎水性の保護フィルタをエアーフィルタの保護用に割り込ますことができ、これは水の通行を防止する。
【0030】
特に、フラットフィルタのような、保護フィルタの構成は有利であり、これはいずれの支持フリース無しで形成される。ここで保護フィルタ膜は、好ましくは、ふっ化ポリビニリデン(PVDF)、ポリエチレン(PE)、疎水性ポリエーテルスルホン(PESU)、又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で形成される。これらの材料は、膜それ自体における水の沈着によって詰まりは、大きく防止される。支持フリースも意図的に設けられていないことから、他の考えられるフィルム構成は排除される。したがって、後続のエアーフィルタは、水に触れることがなく、そこに支持フリースが存在するにもかかわらず詰まることができないことが保証される。
【0031】
以下に記述される可能性は、使い捨て濾過装置の外部ポートとエアーフィルタとの間の流路の光学制御を意図している。光学制御に関する可能性は、耐圧チューブ材料が透明ではない、又は限定された範囲のみが透明であることから、一般的に使用される濾過装置では存在しない。一方、本書に存在する光学制御の可能性は、エアーフィルタが多分濡れてその機能を損なう前に、エアーフィルタへの流路に水が進入することを操作要員に認識可能にし、適切な時間に対策を取ることを可能にする。
【0032】
例えば、外部ポートとエアーフィルタとの間の流路の一部が覗き窓として構成されることを提供可能である。一般的に確立された覗き窓という用語は、透明な管状部分を指し、材料の選択に対して限定した意味に理解されるべきではない。真のガラスに加えて、透明なプラスチック材料もまた、管状部分を形成するために使用可能である。
【0033】
別の解決策は、外部ポートとエアーフィルタとの間の流路に少なくとも一つのインジケーターを配置することであり、このインジケーターは、例えばはっきりと目に見える色の変化によって、水に反応する。
【0034】
エアーフィルタを接続するために通常使用される布で補強された、よって不透明なシリコーンチューブの代わりに、外部ポートとエアーフィルタとの間の流路の一部が、少なくとも部分的に透明で、透明な支持包装材料によって囲まれたシリコーンチューブによって形成されることも提供可能である。この包装材料は、シリコーンチューブが高い試験圧力にも耐えることを保証する。チューブ及び包装材料の透明性により、水の通過を認識することができる。
【0035】
別の特に有利な態様によれば、発明はまた、特に使い捨て濾過装置用の、除菌可能なプラスチック材料で作製された使い捨てパイプマニホールド要素(部品)も創作する。発明による使い捨てパイプマニホールド要素は、1ピースにおいて形成され、少なくとも一つの分岐及び/又は少なくとも一つのベンドを含む。ここでの分岐は、主経路から延在する分岐であると理解され、ベンドは、非常に強く湾曲した又は捻れた、主経路における経路であると理解され、これは、流路方向における著しい変化、例えば90°、を引き起こす。
【0036】
追加のブラケット、及びそれぞれがシールを必要とする多くの接続によってのみ複合装置を形成するために組み合わされることができる、既知のパイプ接続部品とは対照的に、発明による使い捨てパイプマニホールド要素は、より少ない接続によってそのような装置の、はるかにコンパクトなセットアップを提供する。実際には、設置スペースを最大80%まで節約し、接続を最大55%まで節約する。さらに、プロセスの安全性が向上し、同時にアセンブリの複雑さが軽減される。
【0037】
発明による使い捨てパイプマニホールド要素は、好ましくは、5バールを超える、好ましくは10バールを超える圧力に耐えるように耐圧設計されている。
【0038】
好ましくは、破裂板が発明による使い捨てパイプマニホールド要素に組み込まれる。このような破裂板は、既定の破壊点として作用し、原則として、使い捨てパイプマニホールド要素における任意の点に配置可能であり、例えば、入口/出口の一方に、あるいは側壁に組み込むことができる。それは、損傷する過大圧力/過小圧力から設備を保護するのに役立つ。特に、破裂板は、T要素等によって、濾過装置とエアーフィルタとの間に配置することができ、ここで分岐は破裂板につながる。
【0039】
発明による使い捨てパイプマニホールド要素は、TRI-clamp接続、ねじ接続、又は溶接によって、耐圧性かつ回転不能な方法において接合可能であり、任意の複合物を形成する。あるいはまた、殺菌したコネクタを、使い捨てパイプマニホールド要素の開口端に直接に装着することができる。
【0040】
好ましい実施形態によれば、少なくとも一つのベンドが使い捨てパイプマニホールド要素の開口端に形成される。
【0041】
発明による使い捨てパイプマニホールド要素はまた、装置の頂部に配置されるときには、使い捨て濾過装置全体を通気するためにも使用することができる。この場合、使い捨てパイプマニホールド要素は、設置位置において上向きの分離した通気出口を設ける。
【0042】
有利な発展によれば、例えば、通気プロセスをより良く観察できるために、使い捨てパイプマニホールド要素は、透明なプラスチック材料で形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1図1は、使い捨て濾過装置の斜視図を示す。
図2a図2aは、側面図においてホルダーのない、発明による使い捨て濾過装置の第1実施形態における異なる変形の概略図を示す。
図2b図2bは、上面図においてホルダーのない、発明による使い捨て濾過装置の第1実施形態における異なる変形の概略図を示す。
図2c図2cは、上面図においてホルダーのない、発明による使い捨て濾過装置の第1実施形態における異なる変形の概略図を示す。
図2d図2dは、上面図においてホルダーのない、発明による使い捨て濾過装置の第1実施形態における異なる変形の概略図を示す。
図3a図3aは、側面図においてホルダーのない、発明による使い捨て濾過装置の第2実施形態における異なる変形の概略図を示す。
図3b図3bは、上面図においてホルダーのない、発明による使い捨て濾過装置の第2実施形態における異なる変形の概略図を示す。
図3c図3cは、上面図においてホルダーのない、発明による使い捨て濾過装置の第2実施形態における異なる変形の概略図を示す。
図4a図4aは、上面図においてホルダーのない、発明による使い捨て濾過装置の第3実施形態における異なる変形の概略図を示す。
図4b図4bは、上面図においてホルダーのない、発明による使い捨て濾過装置の第3実施形態における異なる変形の概略図を示す。
図5a図5aは、側面図においてホルダーのない、発明による使い捨て濾過装置の第4実施形態における異なる変形の概略図を示す。
図5b図5bは、上面図においてホルダーのない、発明による使い捨て濾過装置の第4実施形態における異なる変形の概略図を示す。
図5c図5cは、上面図においてホルダーのない、発明による使い捨て濾過装置の第4実施形態における異なる変形の概略図を示す。
図6図6は、上面図においてホルダーのない、発明による使い捨て濾過装置の第5実施形態の概略図を示す。
図7a図7aは、側面図においてホルダーのない、発明による使い捨て濾過装置の第6実施形態における異なる変形の概略図を示す。
図7b図7bは、上面図においてホルダーのない、発明による使い捨て濾過装置の第6実施形態における異なる変形の概略図を示す。
図7c図7cは、上面図においてホルダーのない、発明による使い捨て濾過装置の第6実施形態における異なる変形の概略図を示す。
図7d図7dは、上面図においてホルダーのない、発明による使い捨て濾過装置の第6実施形態における異なる変形の概略図を示す。
図7e図7eは、上面図においてホルダーのない、発明による使い捨て濾過装置の第6実施形態における異なる変形の概略図を示す。
図7f図7fは、上面図においてホルダーのない、発明による使い捨て濾過装置の第6実施形態における異なる変形の概略図を示す。
図8a図8aは、側面図においてホルダーのない、発明による使い捨て濾過装置の第7実施形態における異なる変形の概略図を示す。
図8b図8bは、上面図においてホルダーのない、発明による使い捨て濾過装置の第7実施形態における異なる変形の概略図を示す。
図8c図8cは、上面図においてホルダーのない、発明による使い捨て濾過装置の第7実施形態における異なる変形の概略図を示す。
図8d図8dは、上面図においてホルダーのない、発明による使い捨て濾過装置の第7実施形態における異なる変形の概略図を示す。
図8e図8eは、上面図においてホルダーのない、発明による使い捨て濾過装置の第7実施形態における異なる変形の概略図を示す。
図8f図8fは、上面図においてホルダーのない、発明による使い捨て濾過装置の第7実施形態における異なる変形の概略図を示す。
図8g図8gは、上面図においてホルダーのない、発明による使い捨て濾過装置の第7実施形態における異なる変形の概略図を示す。
図8h図8hは、上面図においてホルダーのない、発明による使い捨て濾過装置の第7実施形態における異なる変形の概略図を示す。
図9a図9aは、上面図においてホルダーのない、発明による使い捨て濾過装置の第8実施形態における異なる変形の概略図を示す。
図9b図9bは、上面図においてホルダーのない、発明による使い捨て濾過装置の第8実施形態における異なる変形の概略図を示す。
図9c図9cは、上面図においてホルダーのない、発明による使い捨て濾過装置の第8実施形態における異なる変形の概略図を示す。
図10図10は、側面図においてホルダーのない、発明による使い捨て濾過装置の第9実施形態の概略図を示す。
図11図11は、発明によるパイプマニホールド要素の第1実施形態の斜視図を示す。
図12a図12aは、上面図において、発明によるパイプマニホールド要素の組み合わせと、従来のパイプマニホールド要素の組み合わせとの比較を示す。
図12b図12bは、上面図において、発明によるパイプマニホールド要素の組み合わせと、従来のパイプマニホールド要素の組み合わせとの比較を示す。
図13図13は、使い捨て容器を有する、発明によるパイプマニホールド要素の配置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
発明のさらなる特徴及び利点は、以下の記述から及び参照される添付の図面から理解することができる。
【0045】
図1は、WO 2017/032560 A1から知られている装置に類似する使い捨て濾過装置10を示している。複数のフィルタカプセル12は、剛性のホルダー14によって特定配列(ラスター)において適所に保持されている。本明細書では、用語「フィルタカプセル」は、一般的な意味において理解されるべきであり、少なくとも一つのフィルタを備えた独立して装着可能な任意のユニットを示すように意味される。
【0046】
ホルダー14は、少なくとも2つの対向する側壁16を備え、これら側壁は横断する支材18によって互いに接続される。ここで側壁16は、足部26を含むことができる。またホルダー14には、取り扱いを容易にするために取っ手(不図示)を設けることもできる。横断する支材18には、保持手段20が個々のフィルタカプセル12に設けられている。
【0047】
フィルタカプセル12は、完全に又は少なくとも大部分が剛性の耐圧導管22によって互いに接続されている。導管22の経路は、濾過装置の意図する動作によって決定される(フィルタカプセル12の並列又は直列接続)。ここで導管22は、個々のフィルタカプセル12への必要な分岐24を含む。必要な限り、導管22は、ホルダー14に取り付けられる。
【0048】
剛性のホルダー14、フィルタカプセル12の剛性ハウジング、及び剛性の導管22における必須の部品はすべて、好ましくは同じ材料で形成される。この材料、及び装置10にて使用される可能性のあるさらなる材料(例えば、可能性のある柔軟なチューブ用)は、除菌可能、特にガンマ線照射及びオートクレーブ処理可能、である。よって濾過装置10は、除菌可能であり、予め装着された、つまり接続準備された状態において梱包可能である。
【0049】
図2aは、濾過装置10の別の実施形態を、ホルダー14無しで概略的に示す。剛性の導管22及び分岐24の代わりに、ここでは、除菌可能な、特にガンマ線除菌可能なプラスチック材料で作製された、同じような流入及び流出装置32が設けられる。より詳しくは、各フィルタカプセル12に関して、ここではそこに収容されたフィルタキャンドル28と共に示され、分離した流入装置30及び分離した流出装置32が設けられ、これらは、それぞれのフィルタカプセル12の流入及び流出ポートの端面に適合される。流入装置30及び流出装置32は、完全に同一であるか、もしくは少なくともほぼ同一構造である。流入装置30及び流出装置32の両方は、向かい合った2つの外部ポート34をそれぞれ含む。TRI-clamp接続等の適切な接続部品36によって、複数の流入及び流出装置30、32は、制御された条件下で互いに接続可能である。流入及び流出装置30、32間に、シール(不図示)がそれぞれ設けられる。あるいはまた、流入及び流出装置30、32はまた、例えば、クランプ、ねじ、あるいは溶接によって接続可能である。これにより、任意の数のフィルタカプセル12が共に接合可能である。必要でない外部ポート34は、適切な閉鎖物38によってシールされる。それらの閉鎖物38あるいはブラインドキャップもまた同様に、適切な接続部品36によって装着される。流入及び流出装置30、32は、キットとして又は既製ユニットとして、一体的に形成可能である。特に、複数の流入装置30及び/又は流出装置32は、それらがフィルタカプセル12に装着される前に、1ピースとして一体的に形成可能であり、又は予め装着されることができる。
【0050】
特に、直列接続蓋とも呼ばれ得る、相互接続された複数の流入装置30及び/又は流出装置32を有する構成では、他のライン接続と比較して非常に多くの利点が得られる。特に、大きな導管22及び接続部品36は必要ない、又は少なくともより少ない。直列接続蓋は、複数のフィルタカプセル12へ並列の流れを提供し、フィルタカプセル12の構造のサイズ及び種類に関して求められるように組み合わすことができる。一般的に、直列接続蓋は、ホルダー14がより小さいサイズになり得ることから、使い捨て濾過装置10の、よりコンパクトでより小さいサイズを提供する。直列接続蓋を使用する場合、必要な部品はより少ないことから、使い捨て濾過装置10は、一般的に、より環境に優しく、組立が容易である。
【0051】
図2bから図10は、使い捨て濾過装置10の種々のセットアップのさらなる例を概念的に示しており、ここで、対応する部品には同じ参照符号が使用されている。
【0052】
全ての実施形態において、本質的な濾過プロセスを提供する少なくともフィルタカプセル12は、ホルダー14又は別の保持装置によって特定されるラスターにおいて配列される。フィルタカプセル12自体(フィルタの種類、構造の種類、サイズ等)、及び、導管22又は流入及び流出装置30,32によるフィルタカプセル12の相互間の接続は、自由に予め構成することができる。導管22、又は流入及び流出装置30,32は、個々のフィルタカプセル12を通る流れの経路を規定し、種々のライン分岐を形成することができ、これらは順々に又は並列に横切られる(通って流れる)。さらに、全ての実施形態では共通して、殺菌された状態かつ使用する状態において、供給者によって使用者へ配送可能である。この目的のため、使い捨て濾過装置は、例えば、梱包され、その次にガンマ線照射によって除菌される。
【0053】
発明の種々の態様、及び適用の可能性を説明する前に、最初に、異なるセットアップのようなものについて簡単に説明する。
【0054】
例示の目的で図2bから図2dは、上面図において3つの異なるセットアップ変形を示しており、これらは、図2aに示すような、縦型のフィルタカプセルで、それぞれの流入ポートが上端に配列され、それぞれの流出ポートが下端に配列されたフィルタカプセル12を備えた使い捨て濾過装置10の実施形態に基づいている。図2b-図2d(さらに以下に説明する、図3b、図3c、図4a、図4b、図5b、図5c、図6図7b-図7f、図8b-図8h、及び、図9a-図9cにおけるような)では、フィルタカプセル12は、(異なる)フィルタカプセル12の配列を説明するために、ハウジング無しで概略的にのみ示されている。
【0055】
図2bの変形では、全部で9つのフィルタカプセル12が挿入され、ライン分岐において3つのフィルタカプセル12のそれぞれは、一方を他方の後ろに配列されている。3つのライン分岐は、並列に横切られ、共通の入口40及び共通の出口42を有する。図2cの変形は、2つのみの並列のライン分岐を有し、図2dの変形は一つのみを有する。全ての変形において、同じフィルタを有する同種のフィルタカプセル12が挿入される。図2bから図2dに示されるセットアップにおけるフィルタカプセルは、殺菌したフィルタを有するフィルタカプセル12(以後、殺菌フィルタカプセル12aと呼ぶ)であるが、前置フィルタを有するフィルタカプセル12(以後、前置フィルタカプセル12bと呼ぶ)もまた設けることができる。
【0056】
図3aから図3cに示されるセットアップも同様に、並列に横切る複数のライン分岐を含む。しかしながら、前置フィルタカプセル12bがここでは挿入されている。さらに、図3b及び図3cのセットアップでは、ライン分岐あたり、より少ないフィルタカプセル12が、即ち2つだけ(図3b)あるいは一つだけ(図3c)が設けられている。加えて、さらなるフィルタカプセル、ここでは殺菌フィルタカプセル12aも設けられている。この殺菌フィルタカプセル12aは、流れ方向においてライン分岐の結合出口42の後ろに配列され、つまりそれは全てのライン分岐の濾液が横切る。
【0057】
図3aから図3cに示す例示の実施形態では、異なる種類のフィルタカプセル12が示されている。前置フィルタカプセル12bは、楕円形のベース本体の対向端に流入ポート及び流出ポートを有する。殺菌フィルタカプセル12aの構成タイプは、その流入ポート及び流入ポートがカプセルの同じ端に配列されている点で前置フィルタカプセルとは異なる。ここでのカプセルのベース本体は、一般的に互いに対向するポートへ横切って延在する。この構造タイプは、「Tスタイル」と呼ばれる。
【0058】
フィルタカプセル12はまた、一つのみの入口及び一つのみの出口を有することもでき、また好ましくは水平方向ラインにまとめることもできる。この構造タイプは、「一列並び」と呼ばれる。
【0059】
一列並び及びTスタイルのフィルタカプセルは、共通して、複数のフィルタカプセルの直列接続をなすことができるということを有する。直列接続蓋を有する構造タイプでは、複数のフィルタカプセルは、並列接続に近づく。
【0060】
図3aから図3cのセットアップでは、殺菌フィルタカプセル12aは、以下でより詳しく説明する、制御フィルタの機能を有する。
【0061】
図4a及び図4bに示すセットアップでは、使い捨て濾過装置10は、限定範囲において互いに独立した複数のライン分岐を有する。よって個々のライン分岐は、分離した入口及び分離した出口を有する。それにもかかわらず、全てのライン分岐は、事前構成された使い捨て濾過装置10における不可欠の部品である。ライン分岐は、異なる種類のフィルタカプセル12a、12b、12c、12d、12eを含み、これらのフィルタカプセルは、フィルタの種類(前置、殺菌フィルタ等)、構造(直列接続蓋、一列並び、Tスタイル等)及びサイズに関して異なることができる。
【0062】
このようなモジュール構造により、サプライヤーは、そのようなプロセス、又は1、2もしくはそれ以上のプロセスステップの種々のプロセスを提供することができる。種々のプロセス又はサブプロセスを実施するため、顧客は、一つの使い捨て濾過装置10内の種々のセットアップを利用することができる。濾過装置10は、特にスペースの節約になり、及びその取り付けは、特に時間の節約になる。
【0063】
図5aから図5c及び図6のセットアップは、複数の殺菌フィルタカプセル12aと、一もしくは複数の上流の前置フィルタカプセル12bとの組み合わせを含む。前置フィルタカプセル12bは、殺菌フィルタカプセル12aを有し並列に横切る2つのライン分岐が分岐する流入ライン分岐に配置される。ここで前置フィルタカプセル12bは、Tスタイルカプセルとして構成され、前置フィルタカプセル12bの反対端がぶら下がるように、(ここでは上側の)流入ライン分岐に統合された流入ポート及び流出ポートと共に構成される。しかしながら、一列並びのカプセルを有する横配置も可能である。
【0064】
図7aから図7fに示すセットアップは、入口40及び出口42の配置、並びに前置フィルタ12b及び殺菌フィルタ12aの数によって、図5aから図6bのセットアップから異なる。殺菌フィルタカプセル12aは、並列の流入ライン分岐に配置される前置フィルタカプセル12bの下流に設けられる。殺菌フィルタカプセル12aは、「立っている」姿勢に配置され、つまり流入ポート及び流出ポートは、下側の流入ライン分岐に統合され、よって殺菌フィルタカプセル12aの反対端は上へ向いている。しかしながら、一列並びのフィルタカプセル12を有する横配置も可能である。
【0065】
図7aから図7eのセットアップでは、殺菌フィルタカプセル12aは、中央のライン分岐に配置されているが、図7fのセットアップにおける殺菌フィルタカプセル12aは、外側に配置され、ライン分岐に容易にアクセス可能である。
【0066】
図8aから図8hは、少なくとも一つの殺菌フィルタカプセル12aが、Tスタイル又は一列並びカプセルの形態にて設けられ、さらに以下で説明されるような、制御フィルタ手段(以後、簡単に制御フィルタと呼ぶ)として作用する、種々のセットアップを示している。この制御フィルタの流入及び流出には、流入側第1分岐部材44及び流出側分岐部材46がそれぞれ接続される。第1分岐部材44の2つの自由端の一方には、除菌可能な、特にガンマ線除菌可能なエアーフィルタ50の出口が、さし込まれた第1遮断弁48を介して接続される。第2分岐部材46の2つの自由端の一方には、廃棄物容器(廃棄物バッグ)54が、さし込まれた第2遮断弁52を介して接続される。第1分岐部材44の他方の自由端と共に、以後、使い捨て制御ユニット58として呼ばれる全体のアセンブリは、制御フィルタ、エアーフィルタ50、廃棄物容器54、2つの分岐部材44,46、並びに第1及び第2の遮断弁48、52を備え、残りの使い捨て濾過装置10の出口ポート(外部ポート34)と、さし込まれた第3遮断弁56を介して接続される。最後の分析では、第2分岐部材46の他方端は、使い捨て濾過装置10の濾液出口を表している。この濾液出口は、同様に使い捨て制御ユニット58の一部である第4遮断弁60によって閉じることができる。
【0067】
図8bに示すセットアップでは、使い捨て制御ユニット58は、前置フィルタ12bを含み並列に横切る2つのライン分岐の間に配置される。一方、図8cに示すセットアップでは、使い捨て制御ユニット58は、外側に配置され、使い捨て濾過装置10のライン分岐に容易にアクセス可能である。両方のセットアップは、比較的スペースの節約になる。
【0068】
図8dから図8hは、並列に配置された一もしくは複数の使い捨て制御ユニット58が、使い捨て濾過装置10の上流のライン分岐の一もしくは複数(共通の)出口42に取り付けられる種々のセットアップを示している。これは、使い捨て制御ユニット58が、使い捨て濾過装置10の一部であるにもかかわらず、使い捨て濾過装置10のホルダー14によって特定されるフィルタカプセル12用のラスターの外側に配置されるということを意味する。
【0069】
図9aから図9cは、その全てが予め構成された使い捨て濾過装置10の不可欠な部品である、複数の互いに独立した、ライン分岐(図4a及び図4bに類似)を有するさらなるセットアップを示している。このライン分岐は、異なるタイプのフィルタカプセル12a、12b、12c、12d、12eを含み、これらのフィルタカプセルは、フィルタの種類(前置、殺菌フィルタ等)、構造の種類(一列並び、Tスタイル等)及びサイズに関して異なることができる。各ライン分岐には、分離した使い捨て制御ユニット58が取り付けられる。このことは、使用者が各分離ラインの制御フィルタを対応して検査、確認することを可能にする。
【0070】
図10は、ホルダー14の無い使い捨て濾過装置10を示し、上側の外部ポート34には、除菌可能な、特にガンマ線除菌可能なエアーフィルタ62が接続されている。エアーフィルタ62用の外部ポート34は、流入又は流出装置30、32によって必ずしも形成される必要が無い。エアーフィルタ62は、それだけで使い捨て濾過装置10全体の通気を達成でき、又は、複数のエアーフィルタ62が種々の外部ポート34に設けられる。外部ポート34とエアーフィルタ62の入口との間に、分離した保護フィルタ64がエアーフィルタ62の保護用にさし込まれる。
【0071】
上述した各セットアップは、多くの可能なセットアップからの単に選択したものを示したものである。より多くの組み合わせを実現することが使い捨て濾過装置10内で可能である。
【0072】
以下では、発明の特別な態様及び特別な適用可能性について、詳しく説明される。
【0073】
殺菌及び顧客への配送の前に、使い捨て濾過装置10は、要望通りに予め構成することができる。種々のタイプのフィルタカプセル12(フィルタの種類、構造の種類、サイズ等)がホルダー14によって特定された場所に挿入可能である。ホルダー14自体もまた要求されるように構成可能であることを考慮すべきである。例えば、2×3のラスター又はフィルタカプセル12用のその他のラスターと同様に、3×3のラスターを規定することができる。フィルタカプセル12の多くの組み合わせ、特に前置フィルタカプセル12bと殺菌フィルタカプセル12aとの組み合わせ、が可能であり、又は、重複した殺菌濾過などのような、同一の使い捨て濾過装置10内における、同じ間隙、例えば0.2μmの間隙、あるいは異なる間隙、例えば0.2μmと0.1μmとの間隙、を有する幾つかの殺菌フィルタカプセル12aの組み合わせによるものが可能である。
【0074】
フィルタカプセル12は、適切な保持手段20に締結され、溶接され、接着され、又は安定して取り付けられる。
【0075】
導管22、及び/又は、流入装置及び流出装置30,32によって、一もしくは複数のライン分岐を有する種々の流路を形成することができ、これらは順々に又は並列に通過されることができる。必要に応じて、互いに接続されたあるいは分離したライン分岐、互いに独立の流路(プロセスチェーン)は、使い捨て濾過装置10内でフィルタカプセル12によって実現可能である。
【0076】
この方法では、スペース節約状態において、コンパクトな使い捨て濾過装置10内の種々のプロセスに関して安定した、十分に予め除菌可能なセットアップを確立することができる。
【0077】
顧客の同意したセットアップがホルダー14において達成された後、使い捨て濾過装置10の全体は、動作準備が整っているユニットとして、梱包され、殺菌されて配送される。顧客は、使い捨て濾過装置10に更なる部品を結合しなければならないことはなく所望の濾過プロセスに関して、開梱後、使い捨て濾過装置10を直ちに利用することができる。
【0078】
例示による図8aに示すように、使い捨て濾過装置10の全体は、局所での可動性及び取り扱いの改善のため、台車66又は別の可搬装置に配置することができる。既に述べたように、使い捨て濾過装置10は、別法で又は追加して、ホルダー14にハンドルを含むこともできる。
【0079】
図3aから図3c、及び図8aから図8hの実施形態において制御フィルタとして使用される殺菌フィルタカプセル12は、実際に殺菌濾液が生成された「最後のステップ」として保証する目的を有する。濾液の殺菌は、制御フィルタの完全性試験に合格することによって確認される。
【0080】
制御フィルタは、以下の理由のため、実際の濾過プロセスを提供する使い捨て濾過装置10のフィルタカプセル12の下流に配置される。即ち、使い捨て濾過装置10が完全性に関して試験されるとき、全てのフィルタカプセル12が又はフィルタキャンドル28がそれらのそれぞれの限界値を超えないということは、全てのフィルタカプセル12の又はその中に配置された個々のフィルタキャンドル28の各設定値から生じる、予想される合計拡散(ml/min)から結論づけることは、必ずしも可能ではない。例えば、完全性を有しない(欠陥のある)フィルタキャンドル28は、その限界値を超えることができ、一もしくは複数の他のフィルタキャンドルは、それらの限界値を下回ることができ、その結果、各値は互いに相殺し、合計に関する限り、使い捨て濾過装置10全体に関する予想値は、超えることがない。それにもかかわらず、欠陥のあるフィルタキャンドル28は、例えばバクテリアを通過させるかもしれず、このことは、濾液が全体として殺菌されていないということにつながる。したがって通常の濾過の後に、分離したフィルタカプセル12、特に殺菌フィルタカプセル12aによる分離した制御濾過が設けられ、全部の濾液が端部にてそこを通過する。この個々の制御フィルタは、あまり努力をすることなく分離ユニットとして完全性に関して確実に試験可能である。制御フィルタの完全性試験が合格であったとき、実際に得られる全濾液は殺菌されているとみなすことができる。
【0081】
拡散測定の代わりに、又は拡散測定に加えて、いわゆるバブルポイントもまた、制御フィルタの完全性試験の間に測定可能である。フィルタの細孔(殺菌濾過では例えば0.2μm)は、湿潤媒体で満たされ、これは、圧力下でフィルタカプセル12aをすすぐことによって最も容易に達成される。試験のため、好ましくは進入流れ側から、フィルタはゆっくり加圧される。細孔から湿潤媒体を退去させるため、力(2つのフィルタ側面における圧力差)が必要である。この圧力差は、細孔の直径に依存する。フィルタにおける圧力が上昇し、連続した空気泡の抜き出が認識できると直ぐに、その圧力が試験装置、例えばマノメータから読み取られる。表面張力、濡れ角度、及び圧力差は既知であるので、膜の最大細孔は、理論的に計算可能であり、よってその品質は、決定可能である。しかしながら通常、読み取られた圧力は、単純に、フィルタ製造者によって示された限界値と比較される。
【0082】
セットアップに依存して、2つ以上の制御フィルタがまた、並列に使用可能である。
【0083】
制御フィルタは、使い捨て濾過装置10に組み込まれる。つまりそれは、配送前に既に殺菌された、使い捨て濾過装置10における組込部である。したがって制御フィルタは、しっかりとした及び安定した接続を確立するために追加の材料及び時間を費やすことを意味するであろうチューブシステムを介して、後に接続される必要がない。制御フィルタは、固定された部品として配送されることから、制御フィルタを固定するための追加のホルダー等は必要ない。
【0084】
図8aから図9cに示されるセットアップでは、使い捨て濾過装置10に組み込まれた制御フィルタ(殺菌フィルタカプセル12a)は、使い捨て濾過装置10における部品の改造又は分解を必要とすること無く、完全性に関して試験されることができるという特別な利点を有する。制御フィルタの完全性試験は、使い捨て濾過装置10の目的の使用前に(使用前完全性試験)及び/又は使用後に(使用後完全性試験)、直接、実行することができる。
【0085】
使用前完全性試験では、除菌エアーフィルタ50への第1遮断弁48及び使い捨て制御ユニット58の濾液出口における第4遮断弁60は、閉じられる。廃棄物容器54への第2遮断弁52は、開かれる。第3遮断弁56を開いた後、制御フィルタを含む各フィルタカプセル12のフィルタは、適切な液状媒体にて濡れる。超過の湿潤媒体は、廃棄物容器54へ入る。フィルタを濡らした後、使い捨て制御ユニット58が使い捨て濾過装置10の残りの部分から流体的に分離されるように、第3遮断弁56は再び閉じられる。エアーフィルタ50への第1遮断弁48が開かれる。エアーフィルタ50の入口に試験装置が接続され、該試験装置によって、完全性試験、特に制御フィルタの拡散測定及び/又はバブルポイントの決定を提供する検査が実行される。除菌エアーフィルタ50によって殺菌された空気が使い捨て制御ユニット58へポンプで送り込まれる。完全性試験の間、制御フィルタを通して圧力をかけられた液体は、廃棄物容器54へ到達し、第2遮断弁52が閉じられた後、処理可能である。使用前完全性試験完了後、エアーフィルタ52への第1遮断弁48は閉じられ、第3遮断弁56及び第4遮断弁60は開けられる。制御フィルタを含む使い捨て濾過装置10は、意図した使用のための準備が整う。
【0086】
使用前完全性試験の代わりに、又は使用前完全性試験に加えて、制御フィルタに欠陥があるか否かを検査するために、濾過プロセスの実行後、以下の方法において使用後完全性試験が実施可能である。濾過プロセス完了後、第3遮断弁56、及び濾液出口の第4遮断弁60は、閉じられる。エアーフィルタ50への第1遮断弁48及び廃棄物容器54への第2遮断弁52は、開けられる。既に記載したように、完全性試験は、エアーフィルタ50の入口に接続された試験装置によって実行可能である。あるいはまた、濾過は、試験前に停止可能であり、廃棄物容器54(仮にも必要ならば)もまた第4遮断弁60に接続可能である。この場合、使用後完全性試験を実行するために、第2遮断弁52は、閉じなければならない、かつ第4遮断弁60は開かねばならない。完全性試験完了後、使い捨て濾過装置10全体の処分において制御されずに液体が抜け出ないように、全てのバルブは閉じられる。
【0087】
目的の使用後のみに追加のチューブシステムを介する、従来技術による使い捨て濾過装置の下流に設けられた制御フィルタでは、殺菌システムは、非接続にならざるを得ず、それによって使い捨て濾過装置10一式は非殺菌状態になるであろうことから、原理上、使用前完全性試験を実行することは、得策ではない。使用後完全性試験は、制御フィルタが、使い捨て濾過装置10の下流に設けられるチューブシステムから分離された後でのみ、実行可能である。このことは、追加の時間及び労力を費やすことを伴う。
【0088】
前置フィルタカプセル12b及び/又は殺菌フィルタカプセル12aの後の制御フィルタのフィルタ領域が十分ではない場合、図8g及び図8hにおける例によって示されるように、使い捨て濾過装置10の下流で並列に横断する2つ以上の制御フィルタを設けることができる。並列に接続されたそれぞれの制御フィルタは、個々に、使用前完全性試験及び/又は使用後完全性試験を受けることができる。同じものは、複数の制御フィルタが設けられ、その各々が使い捨て濾過装置10の個々のプロセスチェーンに取り付けられている、図9aから図9cに示される同等のセットアップに適用される。
【0089】
使い捨て濾過装置10では、図10に概略的に示すように、その具体的なセットアップから独立して、除菌可能な特にガンマ線除菌可能なエアーフィルタ62が、通常、通気目的用の、上側の外部ポート34の一つに設けられる。原理上、そのようなエアーフィルタ62は、複数設けることができるが、以下では簡素化の理由のため、目的の濾過プロセスに関与する全てのフィルタカプセル12に関して中央の一つのエアーフィルタ62のみが設けられる(よって分離したエアーフィルタ50と共に使い捨て制御ユニット58に配置される、考えられる制御フィルタは除かれる。)。エアーフィルタ62は、典型的に、2つの支持フリース層間に配置された、ひだのあるエアーフィルタ膜を有するフィルタキャンドルとして構成される。
【0090】
使い捨て濾過装置10を水又は別の液体で満たすとき、原理上、液体がエアーフィルタ62に到達できるという配慮を取らねばならない。この液体は、支持フリースにおいて一種のフィルムを形成することができ、それによりエアーフィルタ62を詰まらせる。エアーフィルタ62の詰まりのため、皆無又はほんの僅かの空気の処理が可能であり、このことは、エアーフィルタ62の基本機能を制限する。濾過プロセスの開始前又は完了後における完全性に関して、関与するフィルタカプセル12又は使い捨て濾過装置10全体を試験するためにエアーフィルタ62が設けられるということも考慮すべきである。エアーフィルタの詰まりのため、そのような試験において問題が発生する可能性がある。
【0091】
既知の濾過装置は、エアーフィルタが典型的に布補強されたホースによって使い捨て濾過装置10に接続されることによって複雑になっている。液体フィルタの部分的に非常に高い試験圧力、又は非常に高いプロセス圧力のため、布補強ホースの使用が必要である。しかしながら、布補強ホースのため、操作者は、水又は他の濾液がエアーフィルタの方へ移動しているか否かを視覚的に確認することができない。よって、バルブ等によって濾過プロセスをタイムリーに遮断すること、又はエアーフィルタを密閉することは、容易にできない。
【0092】
以下のように、水又はフィルタ媒体によって詰まったエアーフィルタ62の問題を避けるため、幾つかの可能性が存在する。個々の解決態様は、要求されるように、互いに組み合わせることもできる。
【0093】
第1解決態様によれば、図10に示すように、保護フィルタ64が外部ポート34とエアーフィルタ62の入口との間にさし込まれる。保護フィルタ64は、支持フリース等のない平らなフィルタとして構成される。ここでエアーフィルタ膜は、ふっ化ポリビニリデン(PVDF)、ポリエチレン(PE)、疎水性ポリエーテルスルホン(PESU)、又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で形成可能である。保護フィルタ64は、支持フリースを有しないことから、詰まりの危険性は、最小化される。したがって操作者は、詰まりの可能性に配慮する必要がない。
【0094】
第2解決態様によれば、外部ポート34とエアーフィルタ62との間の流路の一部は、安定した覗き窓として構成される。上で既に述べたように、覗き窓は、特にガラス又は透明プラスチック材料で形成可能である透明管状部分であるように理解される。覗き窓は、水又は別の媒体がエアーフィルタ62へ上がったことを認識すると直ぐに対策を取ることができる操作者による目視検査を提供する。調整された体積流量、エアーフィルタ62までのラインの長さ、及びこのラインにおける覗き窓の位置は、水又は媒体がエアーフィルタ62に到達する前に操作者が対策を取るための残された時間を決定する。
【0095】
第3解決態様によれば、水に反応する少なくとも一つのインジケーターが外部ポート34とエアーフィルタ62との間の流路に配置される。このような水接触インジケーターは、水との接触で赤色に変わる粘着テープとして使用でき、又は淡いピンクに変わる青色ゲル(シリカゲル)に基づく。このようなインジケーターは、適切な対策を取ることができると思われる操作者による目視検査を提供する。
【0096】
第4解決態様によれば、少なくとも部分的に透明な普通のシリコーンチューブが設けられ、これは、同様に透明な支持包装材によって取り囲まれる。包装材として、例えば耐引裂性フィルム、強固なシース、又はぴったりフィットするチューブが考慮可能である。包装材は、実際には低圧力でのみ許可される通常のシリコーンチューブが高圧力で破裂するのを防止する。それにもかかわらず、チューブ及び包装材の透明材料により、操作者による目視検査が可能である。
【0097】
例示目的の図11は、硬質プラスチックパイプマニホールド要素68を示しており、これは、使い捨て濾過装置10において使用可能であるが、また他の使い捨て装置、特にバイオ医薬品分野における装置においても使用可能である。
【0098】
パイプマニホールド要素68の主な目的は、2つの使い捨て部品間の流れ接続を、又は幾つかの使い捨て部品にわたる流れ拡散を、生じさせることである。基本的に管状パイプマニホールド要素68は、特に、従来のチューブ接続を置き換え、及び、除菌可能な特にガンマ線除菌可能なプラスチック材料で作製され、加圧滅菌可能である。プラスチック材料は、不透明又は透明のいずれも可能である。パイプマニホールド要素68は、要求される試験圧力(例えば10バールのオーダーでの)に安全に耐えるように設計される。
【0099】
従来のチューブ接続及び既知の単純な接続要素と比較すると、図11に示される例示の実施形態によるパイプマニホールド要素68は、3つの分岐70を有し、強く曲げられた流路により構成されている。より正確には、ここでのパイプマニホールド要素68は、その2つの長手方向端で、90度キンクの形態におけるベンド72を有する。よってベンド72は、個々の部品をアセンブルすることによって得られるものではなく、既にパイプマニホールド要素68の一部になっている。
【0100】
図12a及び図12bは、各分岐70への6つのフィルタカプセル12の接続が必要なときの、2つのパイプマニホールド要素68の組み合わせ(図12a)と、従来のパイプマニホールド要素の組み合わせ(図12b)との比較を示している。この比較は、従来のパイプマニホールド要素の組み合わせと対照的に、たった2つのパイプマニホールド要素68を互いに接続すればよく、取り付けスペースの大幅な節約が達成されることを示している。
【0101】
例えば2つのパイプマニホールド要素68の接続は、TRI-clamp接続によって達成可能である。パイプマニホールド要素68の端部又は分岐70において、殺菌したコネクタもまた直接に装着可能である。さらに、他のタイプの接続、例えばねじ止め又は溶接等、もまた可能である。全ての場合における接続は、要求される試験圧力に耐えるような耐圧性である。従来技術による組み合わせに比べてより少ない接続点を有することから、パイプマニホールド要素68が互いに対して捻れるというリスクはない。したがって、フィルタカプセル12における機械負荷が最小化される。
【0102】
勿論、一つのみ又は幾つかの、あるいはまた異なって延在する、統合されたベンド72及び/又は分岐70を有するパイプマニホールド要素68の他の実施形態は、あり得る。これらは、全ての文脈における利点と同じ、及び場合によりさらに優れた利点を有する。
【0103】
原理上、使い捨て濾過装置10の主要部がチューブなしで組み立て可能であり、よって明確にさらに耐圧性になるように、バルブ又は他の部品は、パイプマニホールド要素68の開口端又は分岐70に直接に接続可能である。
【0104】
例示による図13は、例えばバッグの形態における使い捨て容器74とつながるパイプマニホールド要素68の別の可能性がある応用を示している。
【0105】
既に述べたように、発明の異なる態様は、目的にかなう限り、任意の方法において互いに組み合わせることができる。
【0106】
発明による、使い捨て濾過装置10及びその部品、特にパイプマニホールド要素68の異なる実施形態の使用は、(バイオ)医薬品分野に限定されない。
【符号の説明】
【0107】
10…使い捨て濾過装置、12…フィルタカプセル、12a…殺菌フィルタカプセル、
12b…前置フィルタカプセル、12c-12e…他のフィルタカプセル、
14…ホルダー、16…側壁、18…横断支材、20…保持手段、22…導管、
24…分岐、26…足部、28…フィルタキャンドル、30…流入装置、
32…流出装置、34…外部ポート、36…接続部品、38…閉鎖物、40…入口、
42…出口、44…第1分岐部材、46…第2分岐部材、48…第1遮断弁、
50…完全性試験用エアーフィルタ、52…第2遮断弁、54…廃棄物容器、
56…第3遮断弁、58…使い捨て制御ユニット、60…第4遮断弁、
62…通気用エアーフィルタ、64…保護フィルタ、66…台車、
68…パイプマニホールド要素、70…分岐、72…ベンド、74…使い捨て容器。
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図5a
図5b
図5c
図6
図7a
図7b
図7c
図7d
図7e
図7f
図8a
図8b
図8c
図8d
図8e
図8f
図8g
図8h
図9a
図9b
図9c
図10
図11
図12a
図12b
図13