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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/786 20060101AFI20220914BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20220914BHJP
   H01L 27/088 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
H01L29/78 618B
H01L27/088 B
H01L27/088 E
H01L27/088 331E
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020201851
(22)【出願日】2020-12-04
(62)【分割の表示】P 2019136938の分割
【原出願日】2015-01-27
(65)【公開番号】P2021040164
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2020-12-23
(31)【優先権主張番号】P 2014013395
(32)【優先日】2014-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2014120992
(32)【優先日】2014-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2014161300
(32)【優先日】2014-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2014209486
(32)【優先日】2014-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】松林 大介
(72)【発明者】
【氏名】小林 由幸
(72)【発明者】
【氏名】長塚 修平
(72)【発明者】
【氏名】塩野入 豊
【審査官】田付 徳雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0008647(US,A1)
【文献】特開2014-007394(JP,A)
【文献】特開2014-003280(JP,A)
【文献】特開2013-243355(JP,A)
【文献】特開2013-038400(JP,A)
【文献】特開2013-236068(JP,A)
【文献】特開2014-030012(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/786
H01L 21/8234
H01L 27/088
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャネル形成領域にシリコンを有する第1のトランジスタと、チャネル形成領域に酸化物半導体を有する第2のトランジスタと、を有する半導体装置であって、
前記第1のトランジスタの上方の第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層上の第1の導電層と、
前記第1の導電層上の第2の絶縁層と、
前記第の絶縁層上の第1の電極と、
前記第1の電極面に接する領域と、前記第1の電極の側面に接する領域と、前記第2の絶縁層の上面に接する領域と、を有するの絶縁層と、
前記第の絶縁層上の酸化物半導体層と、
前記酸化物半導体層上の第の絶縁層と、
前記第の絶縁層上に設けられ、前記第の絶縁層を介して前記酸化物半導体層と重なる領域を有する第2の電極と、を有し、
前記第1のトランジスタのゲートは、前記第1の導電層を介して、前記第2のトランジスタのソース及びドレインのいずれか一方と電気的に接続され、
前記第3の絶縁層は、第1の膜厚を有する部分と、前記第1の膜厚より大きい第2の膜厚を有する部分と、を有し、
前記酸化物半導体層は、前記第2の膜厚を有する部分に設けられ、且つ前記第1の膜厚を有する部分には設けられておらず、
前記第1の電極及び前記第2の電極の各々は、前記酸化物半導体層を有する前記第2のトランジスタのゲート電極としての機能を有し、
前記第2のトランジスタのチャネル幅方向において、前記第2の電極は、前記第の絶縁層を介して前記酸化物半導体層の側面と面する領域と、前記第の絶縁層を介して前記第2の膜厚を有する部分の側面と面する領域と、前記第の絶縁層を介して前記第1の電極の上面と面する領域と、を有する、半導体装置。
【請求項2】
チャネル形成領域にシリコンを有する第1のトランジスタと、チャネル形成領域に酸化物半導体を有する第2のトランジスタと、を有する半導体装置であって、
前記第1のトランジスタの上方の第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層上の第1の導電層と、
前記第1の導電層上の第2の絶縁層と、
前記第2の絶縁層上の第1の電極と、
前記第1の電極の上面に接する領域と、前記第1の電極の側面に接する領域と、前記第2の絶縁層の上面に接する領域と、を有する第3の絶縁層と、
前記第3の絶縁層上の酸化物半導体層と、
前記酸化物半導体層の上面と接する領域を有する第2の導電層と、
前記酸化物半導体層上の第4の絶縁層と、
前記第4の絶縁層上に設けられ、前記第4の絶縁層を介して前記酸化物半導体層と重なる領域を有する第2の電極と、を有し、
断面視において、前記第1のトランジスタのゲート電極は、前記第1の導電層を介して前記第1の電極と重なる領域を有し、且つ、前記第1の導電層を介して前記第2の導電層と電気的に接続され、
前記第3の絶縁層は、第1の膜厚を有する部分と、前記第1の膜厚より大きい第2の膜厚を有する部分と、を有し、
前記酸化物半導体層は、前記第2の膜厚を有する部分に設けられ、且つ前記第1の膜厚を有する部分には設けられておらず、
前記第1の電極及び前記第2の電極の各々は、前記酸化物半導体層を有する前記第2のトランジスタのゲート電極としての機能を有し、
前記第2のトランジスタのチャネル幅方向において、前記第2の電極は、前記第4の絶縁層を介して前記酸化物半導体層の側面と面する領域と、前記第4の絶縁層を介して前記第2の膜厚を有する部分の側面と面する領域と、前記第4の絶縁層を介して前記第1の電極の上面と面する領域と、を有する、半導体装置。
【請求項3】
チャネル形成領域にシリコンを有する第1のトランジスタと、チャネル形成領域に酸化物半導体を有する第2のトランジスタと、を有する半導体装置であって、
前記第1のトランジスタの上方の第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層上の第1の導電層と、
前記第1の導電層上の第2の絶縁層と、
前記第2の絶縁層上の第1の電極と、
前記第1の電極の上面に接する領域と、前記第1の電極の側面に接する領域と、前記第2の絶縁層の上面に接する領域と、を有する第3の絶縁層と、
前記第3の絶縁層上の酸化物半導体層と、
前記酸化物半導体層の上面と接する領域を有する第2の導電層と、
前記酸化物半導体層上の第4の絶縁層と、
前記第4の絶縁層上に設けられ、前記第4の絶縁層を介して前記酸化物半導体層と重なる領域を有する第2の電極と、
前記第2の電極上の第5の絶縁層と、
前記第5の絶縁層上に設けられ、前記第5の絶縁層を介して前記第2の導電層と重なる領域を有する第3の導電層と、を有し、
断面視において、前記第1のトランジスタのゲート電極は、前記第1の導電層を介して前記第1の電極と重なる領域を有し、且つ、前記第1の導電層を介して前記第2の導電層と電気的に接続され、
前記第3の絶縁層は、第1の膜厚を有する部分と、前記第1の膜厚より大きい第2の膜厚を有する部分と、を有し、
前記酸化物半導体層は、前記第2の膜厚を有する部分に設けられ、且つ前記第1の膜厚を有する部分には設けられておらず、
前記第1の電極及び前記第2の電極の各々は、前記酸化物半導体層を有する前記第2のトランジスタのゲート電極としての機能を有し、
前記第2のトランジスタのチャネル幅方向において、前記第2の電極は、前記第4の絶縁層を介して前記酸化物半導体層の側面と面する領域と、前記第4の絶縁層を介して前記第2の膜厚を有する部分の側面と面する領域と、前記第4の絶縁層を介して前記第1の電極の上面と面する領域と、を有する、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物、方法、または、製造方法に関する。または、本発明は、プロセス、マシン
、マニュファクチャ、または組成物(コンポジション・オブ・マター)に関する。特に、
本発明は、例えば、半導体、半導体装置、表示装置、発光装置、照明装置、蓄電装置、記
憶装置またはプロセッサに関する。または、半導体、半導体装置、表示装置、発光装置、
照明装置、蓄電装置、記憶装置またはプロセッサの製造方法に関する。または、半導体装
置、表示装置、発光装置、照明装置、蓄電装置、記憶装置またはプロセッサの駆動方法に
関する。
【0002】
なお、本明細書などにおいて半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装
置全般を指す。表示装置、発光装置、照明装置、電気光学装置、半導体回路および電子機
器は、半導体装置を有する場合がある。
【背景技術】
【0003】
絶縁表面を有する基板上に形成された半導体薄膜を用いてトランジスタを構成する技術が
注目されている。当該トランジスタは集積回路(IC)や画像表示装置(単に表示装置と
も表記する)のような電子デバイスに広く応用されている。トランジスタに適用可能な半
導体薄膜として、シリコン系半導体材料が広く知られているが、その他の材料として酸化
物半導体が注目されている。
【0004】
例えば、酸化亜鉛、またはIn-Ga-Zn酸化物半導体を用いてトランジスタを作製す
る技術が開示されている(特許文献1および特許文献2参照)。
【0005】
また、c軸に配向した結晶構造を持つ酸化物半導体をトランジスタの活性層として用いた
高精細・低消費電力の表示装置が開示されている(非特許文献1参照)。
【0006】
また、近年では電子機器の高性能化、小型化、または軽量化に伴い、微細化されたトラン
ジスタなどの半導体素子を高密度に集積した集積回路の要求が高まっている。
【0007】
例えば、c軸が表面に垂直な方向に配向した結晶構造を持つ酸化物半導体を活性層として
用いたトランジスタは極めて低いオフ電流を持ち(非特許文献2参照)、その特性を利用
した不揮発性メモリ、CPU、イメージセンサなどのLSIへの応用が提案されている(
非特許文献3乃至非特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2007-123861号公報
【文献】特開2007-96055号公報
【非特許文献】
【0009】
【文献】S. Yamazaki et al., The Society for Information Display 2012 International Symposium Digest, pp. 183-186
【文献】K. Kato et al., Japanese Journal of Applied Physics 2012, volume 51, 021201
【文献】H. Inoue et al., The Institute of Electrical and Electronics Engineers Journal of Solid-State Circuits 2012, volume 47, pp. 2258-2065
【文献】T. Ohmaru et al., Extented Abstract, Solid State Devices and Materials 2012, pp. 1144-1145
【文献】T. Aoki et al., Symposia on VLSI Technology Digest of Technical Papers, 2011, pp. 174-175
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
良好な電気特性を有するトランジスタを提供することを課題の一つとする。または、微細
化に適したトランジスタを提供することを課題の一つとする。または、スイッチングスピ
ードの速いトランジスタを提供することを課題の一つとする。または、導通時の電流の大
きいトランジスタを提供することを課題の一とする。または、当該トランジスタを有する
半導体装置を提供することを課題の一とする。または、当該トランジスタを有する動作速
度の速い半導体装置を提供することを課題の一とする。
【0011】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一
態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題
は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図
面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様は、酸化物半導体と、ゲート電極と、ゲート絶縁体と、を有するトランジ
スタを有し、前記酸化物半導体は、前記ゲート絶縁体を介して前記酸化物半導体と、前記
ゲート電極と、が互いに重なる第1の領域を有し、前記トランジスタは、しきい値電圧が
0Vより大きく、かつスイッチ速度が100ナノ秒未満である半導体装置である。
【0013】
または、本発明の一態様は、ゲート電極にしきい値電圧以上の電圧を印加したとき、前記
酸化物半導体の全体を電流が流れる半導体装置である。
【0014】
または、本発明の一態様は、第1の領域のキャリア密度が、1×1015cm-3未満で
ある半導体装置である。
【0015】
または、本発明の一態様は、酸化物半導体は、ゲート絶縁体を介して当該酸化物半導体の
側面と、前記ゲート電極と、が面する第2の領域を有する半導体装置である。
【0016】
または、本発明の一態様は、酸化物半導体と接する導電体を有し、酸化物半導体は、導電
体と接する第3の領域を有し、第3の領域は、酸素欠損のサイトを有し、酸素欠損のサイ
トは、水素を有する半導体装置である。
【0017】
または、本発明の一態様は、第3の領域はn型導電領域である半導体装置である。
【発明の効果】
【0018】
良好な電気特性を有するトランジスタを提供することができる。または、微細化に適した
トランジスタを提供することができる。または、スイッチングスピードの速いトランジス
タを提供することができる。または、導通時の電流の大きいトランジスタを提供すること
ができる。または、当該トランジスタを有する半導体装置を提供することができる。また
は、当該トランジスタを有する動作速度の速い半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一態様に係るトランジスタを示す上面図および断面図。
図2】本発明の一態様に係るトランジスタを示す断面図。
図3】本発明の一態様に係るトランジスタを示す断面図。
図4】本発明の一態様に係るトランジスタを示す上面図および断面図。
図5】本発明の一態様に係るトランジスタを示す上面図および断面図。
図6】本発明の一態様に係るトランジスタを示す上面図および断面図。
図7】本発明の一態様に係るトランジスタの作製方法の一例を示す断面図。
図8】本発明の一態様に係るトランジスタの作製方法の一例を示す断面図。
図9】本発明の一態様に係るトランジスタの作製方法の一例を示す断面図。
図10】本発明の一態様に係る半導体装置の断面図および回路図。
図11】本発明の一態様に係る半導体装置の断面図および回路図。
図12】本発明の一態様に係る半導体装置の構成。
図13】本発明の一態様に係るCPUの構成。
図14】本発明の一態様に係るチップとモジュールの構成。
図15】本発明の一態様に係る電子機器。
図16】本発明の一態様に係るトランジスタを示す模式図、断面図、および断面STEM像。
図17】CAAC-IGZOのX線回折スペクトラム、単位セル構造、断面における高分解能TEM像、および表面における高分解能TEM像。
図18】単結晶IGZOの高分解能TEM像。
図19】本発明の一態様に係るトランジスタの電気特性。
図20】本発明の一態様に係るトランジスタのturn-on電圧およびSSのドレイン電圧依存性。
図21】本発明の一態様に係るトランジスタの電気特性のチャネル幅依存性。
図22】本発明の一態様に係るトランジスタのturn-on電圧およびSSのチャネル幅依存性。
図23】本発明の一態様に係るトランジスタの電気特性のチャネル長依存性。
図24】本発明の一態様に係るトランジスタのturn-on電圧およびSSのチャネル長依存性。
図25】本発明の一態様に係るメモリ回路。
図26】本発明の一態様に係るメモリ回路の書き込み動作のタイミングチャート。
図27】本発明の一態様に係るメモリ回路の書き込み時間特性。
図28】本発明の一態様に係るメモリ回路の保持容量と書き込み時間の関係。
図29】本発明の一態様に係るメモリ回路の特性。
図30】デバイス計算によって得られた活性層の電子電流密度分布。
図31】デバイス計算によって得られた活性層の電子電流密度分布。
図32】本発明の一態様に係るトランジスタのドレイン電流のチャネル長依存性。
図33】本発明の一態様に係るトランジスタのオフ電流とオン電流との関係。
図34】本発明の一態様に係るトランジスタの断面STEM像。
図35】本発明の一態様に係るトランジスタの電気特性。
図36】本発明の一態様に係るトランジスタの電気特性。
図37】デバイス計算によって得られた活性層の電子電流密度分布。
図38】酸化物半導体の断面における高分解能TEM像および局所的なフーリエ変換像。
図39】酸化物半導体のナノビーム電子回折パターン、および透過電子回折測定装置の一例。
図40】透過電子回折測定による構造解析の一例、および平面における高分解能TEM像。
図41】本発明の一態様に係るトランジスタのしきい値の累積度数分布。
図42】本発明の一態様に係るトランジスタのしきい値の累積度数分布。
図43】本発明の一態様に係るトランジスタのしきい値の累積度数分布。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説
明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に
理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるもの
ではない。なお、図面を用いて発明の構成を説明するにあたり、同じものを指す符号は異
なる図面間でも共通して用いる。なお、同様のものを指す際にはハッチパターンを同じく
し、特に符号を付さない場合がある。
【0021】
なお、図において、大きさ、膜(層)の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されて
いる場合がある。
【0022】
また、電圧は、ある電位と、基準の電位(例えば接地電位(GND)またはソース電位)
との電位差のことを示す場合が多い。よって、電圧を電位と言い換えることが可能である
【0023】
なお、第1、第2として付される序数詞は便宜的に用いるものであり、工程順または積層
順を示すものではない。そのため、例えば、「第1の」を「第2の」または「第3の」な
どと適宜置き換えて説明することができる。また、本明細書等に記載されている序数詞と
、本発明の一態様を特定するために用いられる序数詞は一致しない場合がある。
【0024】
なお、「半導体」と表記した場合でも、例えば、導電性が十分低い場合は「絶縁体」とし
ての特性を有する場合がある。また、「半導体」と「絶縁体」は境界が曖昧であり、厳密
に区別できない場合がある。したがって、本明細書に記載の「半導体」は、「絶縁体」と
言い換えることができる場合がある。同様に、本明細書に記載の「絶縁体」は、「半導体
」と言い換えることができる場合がある。
【0025】
また、「半導体」と表記した場合でも、例えば、導電性が十分高い場合は「導電体」とし
ての特性を有する場合がある。また、「半導体」と「導電体」は境界が曖昧であり、厳密
に区別できない場合がある。したがって、本明細書に記載の「半導体」は、「導電体」と
言い換えることができる場合がある。同様に、本明細書に記載の「導電体」は、「半導体
」と言い換えることができる場合がある。
【0026】
なお、半導体の不純物とは、例えば、半導体を構成する主成分以外をいう。例えば、濃度
が0.1原子%未満の元素は不純物である。不純物が含まれることにより、例えば、半導
体にDOS(Density of State)が形成されることや、キャリア移動度
が低下することや、結晶性が低下することなどが起こる場合がある。半導体が酸化物半導
体である場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、第1族元素、第2族
元素、第14族元素、第15族元素、主成分以外の遷移金属などがあり、特に、例えば、
水素(水にも含まれる)、リチウム、ナトリウム、シリコン、ホウ素、リン、炭素、窒素
などがある。酸化物半導体の場合、例えば水素などの不純物の混入によって酸素欠損を形
成する場合がある。また、半導体がシリコンである場合、半導体の特性を変化させる不純
物としては、例えば、酸素、水素を除く第1族元素、第2族元素、第13族元素、第15
族元素などがある。
【0027】
なお、以下に示す実施の形態では、特に断りがない場合、絶縁体として、例えば、ホウ素
、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、ア
ルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、
ハフニウムまたはタンタルを一種以上含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい
。または、絶縁体として、樹脂を用いてもよい。例えば、ポリイミド、ポリアミド、アク
リル、シリコーンなどを含む樹脂を用いればよい。樹脂を用いることで、絶縁体の上面を
平坦化処理しなくてもよい場合がある。また、樹脂は短い時間で厚い膜を成膜することが
できるため、生産性を高めることができる。絶縁体としては、好ましくは酸化アルミニウ
ム、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニ
ウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムまたは酸化タンタルを含む絶縁体を
、単層で、または積層で用いればよい。
【0028】
また、以下に示す実施の形態では、特に断りがない場合、導電体として、例えば、ホウ素
、窒素、酸素、フッ素、シリコン、リン、アルミニウム、チタン、クロム、マンガン、コ
バルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ル
テニウム、銀、インジウム、スズ、タンタルまたはタングステンを一種以上含む導電体を
、単層で、または積層で用いればよい。例えば、合金や化合物であってもよく、アルミニ
ウムを含む導電体、銅およびチタンを含む導電体、銅およびマンガンを含む導電体、イン
ジウム、スズおよび酸素を含む導電体、チタンおよび窒素を含む導電体などを用いてもよ
い。
【0029】
なお、本明細書において、Aが濃度Bの領域を有する、と記載する場合、例えば、Aのあ
る領域における深さ方向全体が濃度Bである場合、Aのある領域における深さ方向の平均
値が濃度Bである場合、Aのある領域における深さ方向の中央値が濃度Bである場合、A
のある領域における深さ方向の最大値が濃度Bである場合、Aのある領域における深さ方
向の最小値が濃度Bである場合、Aのある領域における深さ方向の収束値が濃度Bである
場合、測定上Aそのものの確からしい値の得られる領域が濃度Bである場合などを含む。
【0030】
また、本明細書において、Aが大きさB、長さB、厚さB、幅Bまたは距離Bの領域を有
する、と記載する場合、例えば、Aのある領域における全体が大きさB、長さB、厚さB
、幅Bまたは距離Bである場合、Aのある領域における平均値が大きさB、長さB、厚さ
B、幅Bまたは距離Bである場合、Aのある領域における中央値が大きさB、長さB、厚
さB、幅Bまたは距離Bである場合、Aのある領域における最大値が大きさB、長さB、
厚さB、幅Bまたは距離Bである場合、Aのある領域における最小値が大きさB、長さB
、厚さB、幅Bまたは距離Bである場合、Aのある領域における収束値が大きさB、長さ
B、厚さB、幅Bまたは距離Bである場合、測定上Aそのものの確からしい値の得られる
領域が大きさB、長さB、厚さB、幅Bまたは距離Bである場合などを含む。
【0031】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置について図面を用いて説明する。
【0032】
以下では、特に断りのない限り、一例として、チャネル形成領域に酸化物半導体を含む半
導体装置について説明する。
【0033】
図1(A)は上面図であり、図1(A)に示す一点鎖線A1-A2方向の断面が図1(B
)に相当する。また、図1(A)に示す一点鎖線A3-A4方向の断面が図1(C)に相
当する。なお、図1(A)、(B)、(C)では、図の明瞭化のために一部の要素を拡大
、縮小、または省略して図示している。また、一点鎖線A1-A2方向をチャネル長方向
、一点鎖線A3-A4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
【0034】
なお、チャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトラン
ジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが重なる領域
、またはチャネルが形成される領域における、ソース(ソース領域またはソース電極)と
ドレイン(ドレイン領域またはドレイン電極)との間の距離をいう。なお、一つのトラン
ジスタにおいて、チャネル長が全ての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのト
ランジスタのチャネル長は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では
、チャネル長は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値
または平均値とする。
【0035】
チャネル幅とは、例えば、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で
電流の流れる部分)とゲート電極とが重なる領域、またはチャネルが形成される領域にお
ける、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さをいう。なお、一つのトランジ
スタにおいて、チャネル幅がすべての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのト
ランジスタのチャネル幅は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では
、チャネル幅は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値
または平均値とする。
【0036】
なお、トランジスタの構造によっては、実際にチャネルの形成される領域におけるチャネ
ル幅(以下、実効的なチャネル幅と呼ぶ。)と、トランジスタの上面図において示される
チャネル幅(以下、見かけ上のチャネル幅と呼ぶ。)と、が異なる場合がある。例えば、
立体的な構造を有するトランジスタでは、実効的なチャネル幅が、トランジスタの上面図
において示される見かけ上のチャネル幅よりも大きくなり、その影響が無視できなくなる
場合がある。例えば、微細かつ立体的な構造を有するトランジスタでは、半導体の上面に
形成されるチャネル領域の割合に対して、半導体の側面に形成されるチャネル領域の割合
が大きくなる場合がある。その場合は、上面図において示される見かけ上のチャネル幅よ
りも、実際にチャネルの形成される実効的なチャネル幅の方が大きくなる。
【0037】
ところで、立体的な構造を有するトランジスタにおいては、実効的なチャネル幅の、実測
による見積もりが困難となる場合がある。例えば、設計値から実効的なチャネル幅を見積
もるためには、半導体の形状が既知という仮定が必要である。したがって、半導体の形状
が正確にわからない場合には、実効的なチャネル幅を正確に測定することは困難である。
【0038】
そこで、本明細書では、トランジスタの上面図において、半導体とゲート電極とが重なる
領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さである見かけ上のチャ
ネル幅を、「囲い込みチャネル幅(SCW:Surrounded Channel W
idth)」と呼ぶ場合がある。また、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合に
は、囲い込みチャネル幅または見かけ上のチャネル幅を指す場合がある。または、本明細
書では、単にチャネル幅と記載した場合には、実効的なチャネル幅を指す場合がある。な
お、チャネル長、チャネル幅、実効的なチャネル幅、見かけ上のチャネル幅、囲い込みチ
ャネル幅などは、断面TEM像などを取得して、その画像を解析することなどによって、
値を決定することができる。
【0039】
なお、トランジスタの電界効果移動度や、チャネル幅当たりの電流値などを計算して求め
る場合、囲い込みチャネル幅を用いて計算する場合がある。その場合には、実効的なチャ
ネル幅を用いて計算する場合とは異なる値をとる場合がある。
【0040】
トランジスタ101は、基板110上の絶縁体120と、当該絶縁体120上の酸化物半
導体130と、当該酸化物半導体130と電気的に接続するソース電極140およびドレ
イン電極150と、酸化物半導体130、ソース電極140およびドレイン電極150上
のゲート絶縁体160と、酸化物半導体130、ソース電極140の一部およびドレイン
電極150の一部とゲート絶縁体160を介して重なるゲート電極170と、を有する。
また、ゲート絶縁体160およびゲート電極170上には絶縁体180を有していてもよ
い。また、絶縁体180上に酸化物で形成された絶縁体185が形成されていてもよい。
ただし、絶縁体185は有さなくてもよい。さらにその上部に他の絶縁体を形成してもよ
い。
【0041】
本発明の一態様のトランジスタは、チャネル長が10nm以上300nm以下のトップゲ
ート型構造である。また、ゲート電極170とソース電極140とが互いに重なる領域1
91(LovS)およびゲート電極170とドレイン電極150とが互いに重なる領域1
92(LovD)を有する。領域191および領域192のチャネル長方向の幅は、寄生
容量を小さくするために3nm以上300nm未満とすることが好ましい。
【0042】
また、チャネルを形成する領域において、酸化物半導体130の膜厚は30nm以上30
0nm以下とすることが好ましい。例えば、100nm以上200nm以下とすることも
できる。なお、当該数値に絶縁体120のオーバーエッチングにて形成された凸部の高さ
が含まれていてもよい。即ち、当該凸部の高さと、酸化物半導体130の膜厚と、を併せ
て30nm以上300nm以下(例えば、100nm以上200nm以下)としても構わ
ない。
【0043】
また、酸化物半導体130の膜厚をチャネル幅で除した値は、0.5以上とすることが好
ましい。例えば、0.5以上5以下または1以上3以下であることが好ましい。
【0044】
また、ゲート絶縁体160の厚さは、酸化膜換算膜厚で2nm以上30nm以下とするこ
とが好ましい。また、絶縁体120の厚さは、酸化膜換算膜厚で10nm以上1000n
m以下とすることが好ましい。
【0045】
図1に示すトランジスタ101では、ゲート電極170は、酸化物半導体130のチャネ
ル幅方向を電気的に取り囲んだ構造となっている。特に、図2のように、ゲート電極17
0が酸化物半導体130を上面だけでなく側面も取り囲んでおり、かつ酸化物半導体13
0の下方まで伸びている構造となっていてもよい。このように、ゲート電極によって酸化
物半導体のチャネル幅方向を電気的に取り囲んだトランジスタの構造を、surroun
ded channel(s-channel)構造とよぶ。
【0046】
トランジスタ101をsurrounded channel構造とし、チャネル幅を狭
くすることで、酸化物半導体130の側面に対してゲート電界によるキャリアの制御がし
やすくなる。そのため、良好なサブスレッショルド特性と極めて小さいオフ電流を有する
トランジスタ101が得られる。また、このような構造とすることで、酸化物半導体13
0の全体(バルク)にチャネルが形成される場合がある。s-channel構造では、
トランジスタのソース-ドレイン間に大電流を流すことができ、導通時の電流(オン電流
)を高くすることができる。
【0047】
また、ソース電極140(および/または、ドレイン電極150)の、少なくとも一部(
または全部)は、酸化物半導体130などの半導体の、表面、側面、上面、および/また
は、下面の少なくとも一部(または全部)と、接触している。当該接触している酸化物半
導体130では、酸素欠損のサイトに水素が入り込むことでドナー準位を形成することが
あり、N型導電領域を有する。なお、酸素欠損のサイトに水素が入り込んだ状態をV
と表記する場合がある。その結果、N型導電領域を電流が流れることで、良好なオン電流
を得ることができる。
【0048】
また、酸化物半導体130のチャネル形成領域中の不純物濃度を低減し、酸化物半導体を
真性または実質的に真性にすることが有効である。ここで、実質的に真性とは、酸化物半
導体のキャリア密度が、1×1017個/cm以下、好ましくは1×1015個/cm
以下、さらに好ましくは1×1013個/cm以下、より好ましくは1×1011
/cm以下、特に好ましくは1×1010個/cm以下であり、1×10-9個/c
以上であることを指す。酸化物半導体において、水素、窒素、炭素、シリコン、およ
び主成分以外の金属元素は不純物となる。例えば、水素および窒素はドナー準位の形成に
寄与し、キャリア密度を増大させてしまう。
【0049】
当該酸化物半導体を用いたトランジスタは、チャネル形成領域におけるキャリア密度が低
いため、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性になることが少ない。また、当該酸化物
半導体を用いたトランジスタは、酸化物半導体のキャリアトラップが少ないため、電気特
性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。また、当該酸化物半導体を用いた
トランジスタは、オフ電流を非常に低くすることが可能となる。
【0050】
また、トランジスタ101が電子を多数キャリアとする蓄積型である場合、酸化物半導体
130のソース電極140およびドレイン電極150と接する領域からチャネル形成領域
へ延びる電界が遮蔽されやすく、短チャネルでもゲート電界によるキャリアの制御を行い
やすい。
【0051】
また、絶縁表面上にトランジスタを形成することで、半導体基板をそのままチャネル形成
領域として用いる場合と異なり、ゲート電極と酸化物半導体もしくは半導体基板との間で
寄生容量が形成されないため、ゲート電界によるキャリアの制御が容易になる。また、良
好なスイッチング特性が得られる。
【0052】
このような構造とすることで、良好な電気特性が得られる。具体的には、優れたサブスレ
ッショルド特性、極めて小さいオフ電流、良好なオン電流が得られる。
【0053】
このような構造とすることで、微細なトランジスタにおいても良好な電気特性が得られる
。トランジスタの微細化により、トランジスタに寄生する各種容量が減少するため、良好
なスイッチング特性が得られる。
【0054】
一例として、チャネル長およびチャネル幅を50nmとすることができる。チャネルを形
成する領域において、酸化物半導体130の厚さを40nmとし、ゲート絶縁体160の
厚さを酸化膜換算膜厚で11nmとし、絶縁体120の厚さを酸化膜換算膜厚で390n
mとすることができる。
【0055】
その結果、ゲート電圧3V、ドレイン電圧1V、ソース電圧0Vにおけるチャネル幅で規
格化したオン電流は58μA/μmで、かつ、オフ電流は0.1pA以下とすることがで
きる。また、しきい値電圧をプラスとすることができ(ノーマリオフの電気特性ともいう
)、さらには、ドレイン電流が1pAとなるゲート電圧が0V以上とすることも可能であ
る。また、DIBL(Drain Induced Barrier Lowering
)は、45mV/V以上100mV/V以下、代表的には67mV/V、SS(Subt
hreshold swing value)は60mV/dec以上120mV/de
c以下、代表的には92mV/decという優れた電気特性を得ることができる。
【0056】
このような構造のトランジスタを用いることにより、ノーマリオフであって、かつ、トラ
ンジスタのスイッチ速度が100ns未満、好ましくは10ns未満、10ps以上とす
ることができる。
【0057】
一例として、チャネル長64nm、チャネル幅68nmのトランジスタを書き込みトラン
ジスタとして用い、容量を充電させる場合、容量値14fFを持つ容量を約60nsで9
0%充電することができる。
【0058】
また、トランジスタのスイッチ速度が10ns未満、10ps以上、好ましくは3ns未
満、100ps以上とすることができる。
【0059】
なお、トランジスタのスイッチ速度(スイッチングスピードとも呼ぶ)が速いとは、トラ
ンジスタのスイッチングに要する時間が短いことをいう。例えば、トランジスタのスイッ
チ速度とは、一つのトランジスタのゲート容量が90%充電されるのに要する時間を表し
、一つのトランジスタが負荷のない状態で非導通状態から導通状態となる時間を表す。こ
れは、ゲート電圧が変化した際に、トランジスタのドレイン電流の増分が、ゲート容量に
蓄積される電荷の増分を充電する時間と解釈することができる。または、トランジスタの
スイッチングに要する時間とは、トランジスタを増幅器として用いる場合に、電流利得が
1以上となる最大の周波数f(遮断周波数ともいう)を用いて、1/(2×f)で表
わす場合がある。または、電力利得が1以上となる最大の周波数fmax(最大発振周波
数ともいう)を用いて1/(2×fmax)で表わす場合がある。電力利得としては、単
方向電力利得や最大有能電力利得を用いることができる。
【0060】
なお、スイッチ速度は、実際に測定してもよいし、計算によって検証してもよい。計算に
よって検証する場合には、SPICEを用いることができる。トランジスタモデルパラメ
ータは実際に測定したトランジスタの電気特性から抽出することが好ましい。電気特性の
測定は室温で行ってもよいし、低温(例えばー40℃)、高温(例えば125℃)におけ
る電気特性を合わせて測定してもよい。トランジスタモデルの一例として、RPI(Re
nsselaer Polytechnic Institute)モデルを用いること
ができる。また、レイアウトに基づいて、寄生容量や寄生抵抗といった寄生素子を抽出す
ることが好ましい。
【0061】
一例として、チャネル長64nm、チャネル幅68nmのトランジスタから抽出したトラ
ンジスタモデルパラメータを用いたSPICE計算において、1fF以下の容量を充電さ
せる場合、5ns以下で90%充電することができる。
【0062】
また、このような構造のトランジスタを用いることにより、酸化膜換算膜厚で11nmと
いう比較的厚いゲート絶縁体でチャネル長が50nm程度まで短くなっても極小オフ電流
と、非常に良好なサブスレッショルド特性が得られる。
【0063】
また、このような構造のトランジスタを用いることにより、酸化膜換算膜厚で11nmと
いう比較的厚いゲート絶縁体で、かつゲートオーバーラップ構造にもかかわらず、チャネ
ル長が50nm程度まで短くなっても極小オフ電流と、非常に良好なサブスレッショルド
特性が得られる。
【0064】
比較的厚いゲート絶縁体を用いることで、ゲート絶縁体を介したリーク電流が低減される
。また、薄いゲート絶縁体を形成する場合と比較して、容易に製造でき、膜厚ばらつきの
小さいゲート絶縁体を形成することが可能となる。
【0065】
なお、トランジスタの「ソース」や「ドレイン」の機能は、異なる極性のトランジスタを
採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることが
ある。このため、本明細書においては、「ソース」や「ドレイン」という用語は、入れ替
えて用いることができるものとする。
【0066】
なお、ソース電極140(および/または、ドレイン電極150)の、少なくとも一部(
または全部)は、酸化物半導体130などの半導体の、表面、側面、上面、および/また
は、下面の少なくとも一部(または全部)に設けられている。
【0067】
または、ソース電極140(および/または、ドレイン電極150)の、少なくとも一部
(または全部)は、酸化物半導体130などの半導体の、表面、側面、上面、および/ま
たは、下面の少なくとも一部(または全部)と、接触している。または、ソース電極14
0(および/または、ドレイン電極150)の、少なくとも一部(または全部)は、酸化
物半導体130などの半導体の少なくとも一部(または全部)と、接触している。
【0068】
または、ソース電極140(および/または、ドレイン電極150)の、少なくとも一部
(または全部)は、酸化物半導体130などの半導体の、表面、側面、上面、および/ま
たは、下面の少なくとも一部(または全部)と、電気的に接続されている。または、ソー
ス電極140(および/または、ドレイン電極150)の、少なくとも一部(または全部
)は、酸化物半導体130などの半導体の少なくとも一部(または全部)と、電気的に接
続されている。
【0069】
または、ソース電極140(および/または、ドレイン電極150)の、少なくとも一部
(または全部)は、酸化物半導体130などの半導体の、表面、側面、上面、および/ま
たは、下面の少なくとも一部(または全部)に、近接して配置されている。または、ソー
ス電極140(および/または、ドレイン電極150)の、少なくとも一部(または全部
)は、酸化物半導体130などの半導体の少なくとも一部(または全部)に、近接して配
置されている。
【0070】
または、ソース電極140(および/または、ドレイン電極150)の、少なくとも一部
(または全部)は、酸化物半導体130などの半導体の、表面、側面、上面、および/ま
たは、下面の少なくとも一部(または全部)の横側に配置されている。または、ソース電
極140(および/または、ドレイン電極150)の、少なくとも一部(または全部)は
、酸化物半導体130などの半導体の少なくとも一部(または全部)の横側に配置されて
いる。
【0071】
または、ソース電極140(および/または、ドレイン電極150)の、少なくとも一部
(または全部)は、酸化物半導体130などの半導体の、表面、側面、上面、および/ま
たは、下面の少なくとも一部(または全部)の斜め上側に配置されている。または、ソー
ス電極140(および/または、ドレイン電極150)の、少なくとも一部(または全部
)は、酸化物半導体130などの半導体の少なくとも一部(または全部)の斜め上側に配
置されている。
【0072】
または、ソース電極140(および/または、ドレイン電極150)の、少なくとも一部
(または全部)は、酸化物半導体130などの半導体の、表面、側面、上面、および/ま
たは、下面の少なくとも一部(または全部)の上側に配置されている。または、ソース電
極140(および/または、ドレイン電極150)の、少なくとも一部(または全部)は
、酸化物半導体130などの半導体の少なくとも一部(または全部)の上側に配置されて
いる。
【0073】
また、トランジスタ101は、図3に示すように、酸化物半導体130と基板110との
間に導電体172を備えていてもよい。当該導電体を第2のゲート電極(バックゲート)
として用いることで、更なるオン電流の増加や、しきい値電圧の制御を行うことができる
。オン電流を増加させるには、例えば、ゲート電極170と導電体172を同電位として
トランジスタ101を駆動させればよい。また、しきい値電圧の制御を行うには、ゲート
電極170とは異なる定電位を導電体172に供給すればよい。
【0074】
また、本発明の一態様のトランジスタは、図4(A)、図4(B)および図4(C)に示
す構成であってもよい。図4(A)は上面図であり、図4(A)に示す一点鎖線B1-B
2方向の断面が図4(B)に相当する。また、図4(A)に示す一点鎖線B3-B4方向
の断面が図4(C)に相当する。なお、図4(A)、図4(B)および図4(C)では、
図の明瞭化のために一部の要素を拡大、縮小、または省略して図示している。また、一点
鎖線B1-B2方向をチャネル長方向、一点鎖線B3-B4方向をチャネル幅方向と呼称
する場合がある。
【0075】
図4(A)、図4(B)および図4(C)に示すトランジスタ102は、酸化物半導体1
30が絶縁体120側から第1の酸化物半導体131、第2の酸化物半導体132、およ
び第3の酸化物半導体133の順で形成された点がトランジスタ101とは異なる。
【0076】
例えば、第1の酸化物半導体131、第2の酸化物半導体132、および第3の酸化物半
導体133には、それぞれ組成の異なる酸化物半導体などを用いることができる。ただし
、例えば、第1の酸化物半導体131と、第3の酸化物半導体133と、が同じまたはそ
の近傍の組成であってもよい。
【0077】
なお、トランジスタ101における酸化物半導体130の形状に関する説明は、トランジ
スタ102にも適用でき、同様の効果を得ることができる。また、図3に示す構成をトラ
ンジスタ102に適用することもできる。
【0078】
また、本発明の一態様のトランジスタは、図5(A)、図5(B)および図5(C)に示
す構成であってもよい。図5(A)は上面図であり、図5(A)に示す一点鎖線C1-C
2方向の断面が図5(B)に相当する。また、図5(A)に示す一点鎖線C3-C4方向
の断面が図5(C)に相当する。なお、図5(A)、図5(B)および図5(C)では、
図の明瞭化のために一部の要素を拡大、縮小、または省略して図示している。また、一点
鎖線C1-C2方向をチャネル長方向、一点鎖線C3-C4方向をチャネル幅方向と呼称
する場合がある。
【0079】
図5(A)、図5(B)および図5(C)に示すトランジスタ103は、酸化物半導体1
30が絶縁体120側から第1の酸化物半導体131、第2の酸化物半導体132の順で
形成された積層と、当該積層の一部を覆う第3の酸化物半導体133を有する点が、トラ
ンジスタ101およびトランジスタ102とは異なる。
【0080】
例えば、第1の酸化物半導体131、第2の酸化物半導体132、および第3の酸化物半
導体133には、それぞれ組成の異なる酸化物半導体などを用いることができる。ただし
、例えば、第1の酸化物半導体131と、第3の酸化物半導体133と、が同じまたはそ
の近傍の組成であってもよい。
【0081】
具体的にトランジスタ103は、基板110上の絶縁体120と、当該絶縁体120上の
第1の酸化物半導体131、第2の酸化物半導体132の順で形成された積層と、当該積
層の一部と電気的に接続するソース電極140およびドレイン電極150と、当該積層の
一部、ソース電極140の一部、およびドレイン電極150の一部を覆う第3の酸化物半
導体133と、当該積層の一部、ソース電極140の一部、ドレイン電極150の一部、
第3の酸化物半導体133と重なるゲート絶縁体160およびゲート電極170と、を有
する。また、ソース電極140およびドレイン電極150、ならびにゲート電極170上
には絶縁体180が設けられていてもよい。また、絶縁体180上に酸化物で形成された
絶縁体185が形成されていてもよい。絶縁体185を有さなくてもよい。また、さらに
その上部に他の絶縁体を形成してもよい。
【0082】
図1に示すトランジスタ101ではチャネルが形成される領域において酸化物半導体13
0は一層である。一方、図4に示すトランジスタ102では酸化物半導体130は基板1
10側から第1の酸化物半導体131、第2の酸化物半導体132、第3の酸化物半導体
133が積層された三層構造を有している。また、図5に示すトランジスタ103では、
トランジスタ102と同様に三層構造の酸化物半導体130を有している。一方、チャネ
ル形成領域において第2の酸化物半導体132は第1の酸化物半導体131および第3の
酸化物半導体133で取り囲まれている構造となっている。
【0083】
なお、トランジスタ102およびトランジスタ103の構造において、酸化物半導体13
0を構成する三層の材料を適切に選択することで電流を第2の酸化物半導体132の全体
に流すことができる。酸化物半導体130内部の第2の酸化物半導体132に電流が流れ
ることで、界面散乱の影響を受けにくく、高いオン電流を得ることができる。なお、第2
の酸化物半導体132を厚くすると、オン電流を向上させることができる。
【0084】
次に本発明の一態様のトランジスタの構成要素について詳細を説明する。
【0085】
基板110は、単なる支持材料に限らず、他のトランジスタなどのデバイスが形成された
基板であってもよい。この場合、トランジスタのゲート電極170、ソース電極140、
およびドレイン電極150の一つは、上記の他のデバイスと電気的に接続されていてもよ
い。
【0086】
絶縁体120は、基板110からの不純物の拡散を防止する役割を有するほか、酸化物半
導体130に酸素を供給する役割を担うことができる。したがって、絶縁体120は酸素
を含む絶縁体であることが好ましく、化学量論組成よりも多い酸素を含む絶縁体であるこ
とがより好ましい。例えば、昇温脱離ガス分光法(TDS:Thermal Desor
ption Spectrometry)にて、酸素原子に換算しての酸素の放出量が1
.0×1019atoms/cm以上である膜とする。なお、上記TDS分析時におけ
る膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、または100℃以上500℃以下の
範囲が好ましい。また、上述のように基板110が他のデバイスが形成された基板である
場合、絶縁体120は、層間絶縁体としての機能も有する。その場合は、表面が平坦にな
るようにCMP(Chemical Mechanical Polishing)法等
で平坦化処理を行うことが好ましい。
【0087】
なお、本実施の形態では、酸化物半導体130が三層構造である場合を主として詳細を説
明するが、積層数は問わない。トランジスタ101のように酸化物半導体130が一層の
場合は、本実施の形態で説明する第2の酸化物半導体132に相当する層を用いればよい
。また、酸化物半導体130が二層の場合は、例えば、トランジスタ102またはトラン
ジスタ103に示す酸化物半導体130の構成において、第3の酸化物半導体133を設
けない構成とすればよい。この構成の場合、第2の酸化物半導体132と第1の酸化物半
導体131を入れ替えることもできる。また、酸化物半導体130が四層以上である場合
は、例えば、本実施の形態で説明する三層構造の積層に対して他の酸化物半導体を積む構
成や当該三層構造におけるいずれかの界面に他の酸化物半導体を挿入する構成とすること
ができる。
【0088】
一例としては、第2の酸化物半導体132には、第1の酸化物半導体131および第3の
酸化物半導体133よりも電子親和力(真空準位から伝導帯下端までのエネルギー)が大
きい酸化物半導体を用いる。電子親和力は、真空準位と価電子帯上端とのエネルギー差(
イオン化ポテンシャル)から、伝導帯下端と価電子帯上端とのエネルギー差(エネルギー
ギャップ)を差し引いた値として求めることができる。
【0089】
第1の酸化物半導体131および第3の酸化物半導体133は、第2の酸化物半導体13
2を構成する金属元素を一種以上含み、例えば、伝導帯下端のエネルギーが第2の酸化物
半導体132よりも、0.05eV、0.07eV、0.1eV、0.15eVのいずれ
か以上であって、2eV、1eV、0.5eV、0.4eVのいずれか以下の範囲で真空
準位に近い酸化物半導体で形成することが好ましい。
【0090】
このような構造において、ゲート電極170に電界を印加すると、酸化物半導体130の
うち、伝導帯下端のエネルギーが最も小さい第2の酸化物半導体132にチャネルが形成
される。
【0091】
また、第1の酸化物半導体131は、第2の酸化物半導体132を構成する金属元素を一
種以上含んで構成されるため、第2の酸化物半導体132と絶縁体120とが接した場合
の界面と比較して、第2の酸化物半導体132と第1の酸化物半導体131との界面には
界面準位を形成されにくくなる。該界面準位はチャネルを形成することがあるため、トラ
ンジスタのしきい値電圧が変動することがある。したがって、第1の酸化物半導体131
を設けることにより、トランジスタのしきい値電圧などの電気特性のばらつきを低減する
ことができる。また、当該トランジスタの信頼性を向上させることができる。
【0092】
また、第3の酸化物半導体133は、第2の酸化物半導体132を構成する金属元素を一
種以上含んで構成されるため、第2の酸化物半導体132とゲート絶縁体160が接した
場合の界面と比較して、第2の酸化物半導体132と第3の酸化物半導体133との界面
ではキャリアの散乱が起こりにくくなる。したがって、第3の酸化物半導体133を設け
ることにより、トランジスタの電界効果移動度を高くすることができる。
【0093】
第1の酸化物半導体131および第3の酸化物半導体133には、例えば、Al、Ti、
Ga、Ge、Y、Zr、Sn、La、CeまたはHfを第2の酸化物半導体132よりも
高い原子数比で含む材料を用いることができる。具体的には、当該原子数比を1.5倍以
上、好ましくは2倍以上、さらに好ましくは3倍以上とする。前述の元素は酸素と強く結
合するため、酸素欠損が酸化物半導体に生じることを抑制する機能を有する。すなわち、
第1の酸化物半導体131および第3の酸化物半導体133は、第2の酸化物半導体13
2よりも酸素欠損が生じにくいと言うことができる。
【0094】
なお、第1の酸化物半導体131、第2の酸化物半導体132、第3の酸化物半導体13
3が、少なくともインジウム、亜鉛およびM(Al、Ti、Ga、Ge、Y、Zr、Sn
、La、CeまたはHf等の金属)を含むIn-M-Zn酸化物であるとき、第1の酸化
物半導体131をIn:M:Zn=x:y:z[原子数比]、第2の酸化物半導体
132をIn:M:Zn=x:y:z[原子数比]、第3の酸化物半導体133を
In:M:Zn=x:y:z[原子数比]とすると、y/xおよびy/x
がy/xよりも大きくなることが好ましい。y/xおよびy/xはy/x
よりも1.5倍以上、好ましくは2倍以上、さらに好ましくは3倍以上とする。このと
き、第2の酸化物半導体132において、yがx以上であるとトランジスタの電気特
性を安定させることができる。ただし、yがxの3倍以上になると、トランジスタの
電界効果移動度が低下してしまうため、yはxの3倍未満であることが好ましい。
【0095】
第1の酸化物半導体131および第3の酸化物半導体133のZnおよびOを除いてのI
nおよびMの原子数比率は、好ましくはInが50atomic%未満、Mが50ato
mic%より高く、さらに好ましくはInが25atomic%未満、Mが75atom
ic%より高くする。また、第2の酸化物半導体132のZnおよびOを除いてのInお
よびMの原子数比率は、好ましくはInが25atomic%より高く、Mが75ato
mic%未満、さらに好ましくはInが34atomic%より高く、Mが66atom
ic%未満とする。
【0096】
第1の酸化物半導体131および第3の酸化物半導体133の厚さは、3nm以上100
nm以下、好ましくは3nm以上50nm以下とする。また、第2の酸化物半導体132
の厚さは、3nm以上200nm以下、好ましくは10nm以上100nm以下、さらに
好ましくは10nm以上80nm以下とする。また、第2の酸化物半導体132は、第1
の酸化物半導体131および第3の酸化物半導体133より厚い方が好ましい。
【0097】
なお、酸化物半導体をチャネルとするトランジスタに安定した電気特性を付与するために
は、酸化物半導体中の不純物濃度を低減し、酸化物半導体を真性または実質的に真性にす
ることが有効である。ここで、実質的に真性とは、酸化物半導体のキャリア密度が、1×
1017個/cm以下、好ましくは1×1015個/cm以下、さらに好ましくは1
×1013個/cm以下、より好ましくは1×1011個/cm以下、特に好ましく
は1×1010個/cm以下であり、1×10-9個/cm以上であることを指す。
【0098】
また、酸化物半導体において、水素、窒素、炭素、シリコン、および主成分以外の金属元
素は不純物となる。例えば、水素および窒素はドナー準位の形成に寄与し、キャリア密度
を増大させてしまう。また、シリコンは酸化物半導体中で不純物準位の形成に寄与する。
当該不純物準位はトラップとなり、トランジスタの電気特性を劣化させることがある。し
たがって、第1の酸化物半導体131、第2の酸化物半導体132および第3の酸化物半
導体133の層中や、それぞれの界面において不純物濃度を低減させることが好ましい。
【0099】
酸化物半導体を真性または実質的に真性とするためには、SIMS(Secondary
Ion Mass Spectrometry)分析において、例えば、酸化物半導体
のある深さにおいて、または、酸化物半導体のある領域において、シリコン濃度を1×1
19atoms/cm未満、好ましくは5×1018atoms/cm未満、さら
に好ましくは1×1018atoms/cm未満とする。また、水素濃度は、例えば、
酸化物半導体のある深さにおいて、または、酸化物半導体のある領域において、2×10
20atoms/cm以下、好ましくは5×1019atoms/cm以下、より好
ましくは1×1019atoms/cm以下、さらに好ましくは5×1018atom
s/cm以下とする。また、窒素濃度は、例えば、酸化物半導体のある深さにおいて、
または、酸化物半導体のある領域において、5×1019atoms/cm未満、好ま
しくは5×1018atoms/cm以下、より好ましくは1×1018atoms/
cm以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm以下とする。
【0100】
また、酸化物半導体が結晶を含む場合、シリコンや炭素が高濃度で含まれると、酸化物半
導体の結晶性を低下させることがある。酸化物半導体の結晶性を低下させないためには、
例えば、酸化物半導体のある深さにおいて、または、酸化物半導体のある領域において、
シリコン濃度を1×1019atoms/cm未満、好ましくは5×1018atom
s/cm未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm未満とすればよい。
また、例えば、酸化物半導体のある深さにおいて、または、酸化物半導体のある領域にお
いて、炭素濃度を1×1019atoms/cm未満、好ましくは5×1018ato
ms/cm未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm未満とすればよい
【0101】
また、上述のように高純度化された酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジス
タのオフ電流は極めて小さい。例えば、ソースとドレインとの間の電圧を0.1V、5V
、または、10V程度とした場合に、トランジスタのチャネル幅で規格化したオフ電流を
数yA/μmから数zA/μmにまで低減することが可能となる。
【0102】
また、上述のように高純度化された酸化物半導体は、キャリア発生源が少ないため、キャ
リア密度を低くすることができる。したがって、当該酸化物半導体を用いたトランジスタ
は、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性になることが少ない。また、当該酸化物半導
体は、キャリアトラップが少ない。そのため、当該酸化物半導体を用いたトランジスタは
、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。
【0103】
なお、トランジスタのゲート絶縁体としては、シリコンを含む絶縁体が多く用いられるた
め、上記理由により酸化物半導体のチャネルとなる領域は、本発明の一態様のトランジス
タのようにゲート絶縁体と接しない構造が好ましいということができる。また、ゲート絶
縁体と酸化物半導体との界面にチャネルが形成される場合、該界面でキャリアの散乱が起
こり、トランジスタの電界効果移動度が低くなることがある。このような観点からも、酸
化物半導体のチャネルとなる領域はゲート絶縁体から離すことが好ましいといえる。
【0104】
したがって、酸化物半導体130を第1の酸化物半導体131、第2の酸化物半導体13
2、第3の酸化物半導体133の積層構造とすることで、第2の酸化物半導体132にチ
ャネルを形成することができ、高い電界効果移動度および安定した電気特性を有したトラ
ンジスタを形成することができる。また、良好なスイッチング特性が得られる。
【0105】
第1の酸化物半導体131、第2の酸化物半導体132、第3の酸化物半導体133のバ
ンド構造においては、伝導帯下端のエネルギーが連続的に変化する。これは、第1の酸化
物半導体131、第2の酸化物半導体132、第3の酸化物半導体133の組成が近似す
ることにより、酸素が相互に拡散しやすい点からも理解される。したがって、第1の酸化
物半導体131、第2の酸化物半導体132、第3の酸化物半導体133は組成が異なる
層の積層体ではあるが、物性的に連続であるということもでき、本明細書の図面において
、当該積層体のそれぞれの界面は点線で表している。
【0106】
主成分を共通として積層された酸化物半導体130は、各層を単に積層するのではなく連
続接合(ここでは特に伝導帯下端のエネルギーが各層の間で連続的に変化するU字型の井
戸構造(U Shape Well))が形成されるように作製する。すなわち、各層の
界面にトラップ中心や再結合中心のような欠陥準位を形成するような不純物濃度が低くな
るように積層構造を形成する。仮に、積層された酸化物半導体の層間に不純物が高濃度で
存在していると、エネルギーバンドの連続性が失われ、界面でキャリアがトラップあるい
は再結合により消滅してしまう場合がある。
【0107】
例えば、第1の酸化物半導体131および第3の酸化物半導体133にはIn:Ga:Z
n=1:3:2、1:3:3、1:3:4、1:3:6、1:6:4または1:9:6(
原子数比)、第2の酸化物半導体132にはIn:Ga:Zn=1:1:1、5:5:6
、または3:1:2(原子数比)などのIn-Ga-Zn酸化物などを用いることができ
る。また、第1の酸化物半導体131にIn:Ga:Zn=1:6:4または1:9:6
(原子数比)、第3の酸化物半導体133にIn:Ga:Zn=1:3:2、1:3:3
、1:3:4(原子数比)のIn-Ga-Zn酸化物などを用いてもよい。このような、
第1の酸化物半導体131、第2の酸化物半導体132および第3の酸化物半導体133
の成膜に、上述した原子数比の酸化物ターゲットを用いたスパッタリング法を用いると好
ましい。スパッタリング法を用いた場合、基板加熱温度にもよるが、成膜された酸化物半
導体の組成に対する亜鉛の比率が、ターゲットの組成と比べて20%から60%程度低減
する場合がある。また、成膜された酸化物半導体の組成に対するガリウムの比率が、ター
ゲットの組成と比べて1%から20%程度低減する場合がある。
【0108】
酸化物半導体130における第2の酸化物半導体132はウェル(井戸)となり、酸化物
半導体130を用いたトランジスタにおいて、チャネルは第2の酸化物半導体132に形
成される。なお、酸化物半導体130は伝導帯下端のエネルギーが連続的に変化している
ため、U字型井戸とも呼ぶことができる。また、このような構成で形成されたチャネルを
埋め込みチャネルということもできる。
【0109】
また、第1の酸化物半導体131および第3の酸化物半導体133と、酸化シリコン膜な
どの絶縁体との界面近傍には、不純物や欠陥に起因したトラップ準位が形成され得る。第
1の酸化物半導体131および第3の酸化物半導体133があることにより、第2の酸化
物半導体132と当該トラップ準位とを遠ざけることができる。
【0110】
ただし、第1の酸化物半導体131および第3の酸化物半導体133の伝導帯下端のエネ
ルギーと、第2の酸化物半導体132の伝導帯下端のエネルギーとの差が小さい場合、第
2の酸化物半導体132の電子が該エネルギー差を越えてトラップ準位に達することがあ
る。マイナスの電荷となる電子がトラップ準位に捕獲されることで、トランジスタのしき
い値電圧はプラス方向にシフトしてしまう。
【0111】
したがって、トランジスタのしきい値電圧の変動を低減するには、第1の酸化物半導体1
31および第3の酸化物半導体133の伝導帯下端のエネルギーと、第2の酸化物半導体
132の伝導帯下端のエネルギーとの間に一定以上の差を設けることが好ましい。それぞ
れの当該エネルギー差は、0.1eV以上が好ましく、0.15eV以上がより好ましい
【0112】
第1の酸化物半導体131、第2の酸化物半導体132および第3の酸化物半導体133
には、結晶部が含まれることが好ましい。特にc軸に配向した結晶を用いることでトラン
ジスタに安定した電気特性を付与することができる。
【0113】
ソース電極140およびドレイン電極150には、酸化物半導体から酸素を引き抜く性質
を有する導電体を用いると好ましい。例えば、Al、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo、W
などを用いることができる。上記材料において、特に酸素と結合しやすいTiや、後のプ
ロセス温度を比較的高く設定できる、融点の高いWを用いることがより好ましい。
【0114】
酸化物半導体から酸素を引き抜く性質を有する導電体の作用により、酸化物半導体中の酸
素が脱離し、酸化物半導体中に酸素欠損が形成される。当該酸化物半導体中に僅かに含ま
れる水素と当該酸素欠損が結合することにより当該領域は顕著にn型化する。したがって
、n型化した当該領域はトランジスタのソースまたはドレインとして作用させることがで
きる。
【0115】
ゲート絶縁体160には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒
化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化
イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび
酸化タンタルを一種以上含む絶縁体を用いることができる。また、ゲート絶縁体160は
上記材料の積層であってもよい。なお、ゲート絶縁体160に、ランタン(La)、窒素
、ジルコニウム(Zr)などを、不純物として含んでいてもよい。
【0116】
また、ゲート絶縁体160の積層構造の一例について説明する。ゲート絶縁体160は、
例えば、酸素、窒素、シリコン、ハフニウムなどを有する。具体的には、酸化ハフニウム
、および酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンを含むと好ましい。
【0117】
酸化ハフニウムは、酸化シリコンや酸化窒化シリコンと比べて比誘電率が高い。したがっ
て、酸化膜換算膜厚に対して物理的な膜厚を大きくできるため、酸化膜換算膜厚を10n
m以下または5nm以下とした場合でも、トンネル電流によるリーク電流を小さくするこ
とができる。即ち、オフ電流の小さいトランジスタを実現することができる。さらに、結
晶構造を有する酸化ハフニウムは、非晶質構造を有する酸化ハフニウムと比べて高い比誘
電率を備える。したがって、オフ電流の小さいトランジスタとするためには、結晶構造を
有する酸化ハフニウムを用いることが好ましい。結晶構造の例としては、単斜晶系や立方
晶系などが挙げられる。ただし、本発明の一態様は、これらに限定されない。
【0118】
ところで、結晶構造を有する酸化ハフニウムの被形成面は、欠陥に起因した界面準位を有
する場合がある。該界面準位はトラップセンターとして機能する場合がある。そのため、
酸化ハフニウムがトランジスタのチャネル形成領域に近接して配置されるとき、該界面準
位によってトランジスタの電気特性が劣化する場合がある。そこで、該界面準位の影響を
低減するために、トランジスタのチャネル形成領域と酸化ハフニウムとの間に、別の膜を
配置することによって互いに離間させることが好ましい場合がある。この膜は、緩衝機能
を有する。緩衝機能を有する膜は、ゲート絶縁体160に含まれる膜であってもよいし、
酸化物半導体に含まれる膜であってもよい。即ち、緩衝機能を有する膜としては、酸化シ
リコン、酸化窒化シリコン、酸化物半導体などを用いることができる。なお、緩衝機能を
有する膜には、たとえば、チャネル形成領域となる半導体よりもエネルギーギャップの大
きい半導体または絶縁体を用いる。または、緩衝機能を有する膜には、たとえば、チャネ
ル形成領域となる半導体よりも電子親和力の小さい半導体または絶縁体を用いる。または
、緩衝機能を有する膜には、たとえば、チャネル形成領域となる半導体よりもイオン化エ
ネルギーの大きい半導体または絶縁体を用いる。
【0119】
一方、上述した結晶構造を有する酸化ハフニウムの被形成面における界面準位(トラップ
センター)に電荷をトラップさせることで、トランジスタのしきい値電圧を制御できる場
合がある。該電荷を安定して存在させるためには、たとえば、チャネル形成領域と酸化ハ
フニウムとの間に、酸化ハフニウムよりもエネルギーギャップの大きい絶縁体を配置すれ
ばよい。または、酸化ハフニウムよりも電子親和力の小さい半導体または絶縁体を配置す
ればよい。または、緩衝機能を有する膜には、酸化ハフニウムよりもイオン化エネルギー
の大きい半導体または絶縁体を配置すればよい。このような絶縁体を用いることで、界面
準位にトラップされた電荷の放出が起こりにくくなり、長期間に渡って電荷を保持するこ
とができる。
【0120】
そのような絶縁体として、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコンが挙げられる。ゲー
ト絶縁体160内の界面準位に電荷を捕獲させるためには、酸化物半導体130からゲー
ト電極170に向かって電子を移動させればよい。具体的な例としては、高い温度(例え
ば、125℃以上450℃以下、代表的には150℃以上300℃以下)の下で、ゲート
電極170の電位をソース電極140やドレイン電極150の電位より高い状態にて1秒
以上、代表的には1分以上維持すればよい。
【0121】
このようにゲート絶縁体160などの界面準位に所望の量の電子を捕獲させたトランジス
タは、しきい値電圧がプラス側にシフトする。ゲート電極170の電圧や、電圧を印加す
る時間を調整することによって、電子を捕獲させる量(しきい値電圧の変動量)を制御す
ることができる。なお、電荷を捕獲させることができれば、ゲート絶縁体160内でなく
ても構わない。同様の構造を有する積層膜を、他の絶縁体に用いても構わない。
【0122】
ゲート電極170には、Al、Ti、Cr、Co、Ni、Cu、Y、Zr、Mo、Ru、
Ag、TaおよびWなどの導電体を用いることができる。また、当該ゲート電極は、上記
材料の積層であってもよい。また、当該ゲート電極には、窒素を含んだ導電体を用いても
よい。
【0123】
ゲート絶縁体160、およびゲート電極170上に形成する絶縁体180には、酸化アル
ミニウム膜を含むことが好ましい。酸化アルミニウム膜は、水素、水分などの不純物、お
よび酸素の両方に対して膜を透過させない遮断効果が高い。したがって、酸化アルミニウ
ム膜は、トランジスタの作製工程中および作製後において、トランジスタの電気特性の変
動要因となる水素、水分などの不純物の酸化物半導体130への混入防止、酸化物半導体
130を構成する主成分材料である酸素の酸化物半導体からの放出防止、絶縁体120か
らの酸素の不必要な放出防止の効果を有する保護膜として用いることに適している。また
、酸化アルミニウム膜に含まれる酸素を酸化物半導体中に拡散させることもできる。
【0124】
また、絶縁体180上には絶縁体185が形成されていることが好ましい。絶縁体185
には、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シ
リコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化
ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁体を用
いることができる。また、絶縁体185は上記材料の積層であってもよい。
【0125】
ここで、絶縁体185は絶縁体120と同様に化学量論組成よりも多くの酸素を有するこ
とが好ましい。絶縁体185から放出される酸素はゲート絶縁体160を経由して酸化物
半導体130のチャネル形成領域に拡散させることができることから、チャネル形成領域
に形成された酸素欠損に酸素を補填することができる。したがって、安定したトランジス
タの電気特性を得ることができる。
【0126】
また、半導体装置を高集積化するにはトランジスタの微細化が必須である。一方、トラン
ジスタの微細化によりトランジスタの電気特性が悪化することが知られている。
【0127】
そこで、図5に示す本発明の一態様のトランジスタでは、前述したように、チャネルが形
成される第2の酸化物半導体132を覆うように第3の酸化物半導体133が形成されて
おり、チャネル形成層とゲート絶縁体が接しない構成となっている。そのため、チャネル
形成層とゲート絶縁体との界面で生じるキャリアの散乱を抑えることができ、トランジス
タのオン電流を大きくすることができる。その結果、良好なスイッチング特性が得られる
【0128】
本発明の一態様のトランジスタでは、前述したように酸化物半導体130のチャネル幅方
向を電気的に取り囲むようにゲート電極170が形成されているため、酸化物半導体13
0に対しては垂直方向からのゲート電界に加えて、側面方向からのゲート電界が印加され
る。すなわち、酸化物半導体130の全体的にゲート電界が印加させることとなり、電流
はチャネルとなる第2の酸化物半導体132全体に流れるようになり、さらにオン電流を
高められる。その結果、良好なスイッチング特性が得られる。
【0129】
また、本発明の一態様のトランジスタは、第2の酸化物半導体132を第1の酸化物半導
体131上に形成することで界面準位を形成しにくくする効果や、第2の酸化物半導体1
32を三層構造の中間に位置する層とすることで上下からの不純物混入の影響を排除でき
る効果などを併せて有する。そのため、上述したトランジスタのオン電流の向上に加えて
、しきい値電圧の安定化や、SSを向上させることができる。したがって、ゲート電圧V
gが0V時の電流を下げることができ、消費電力を低減させることができる。また、容量
に保持した電荷(あるいは情報)を当該トランジスタによって制御する場合に長期間にわ
たって保持(あるいは記憶)することができる。また、トランジスタのしきい値電圧が安
定化することから、半導体装置の長期信頼性を向上させることができる。
【0130】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態および実施例と適宜組み合わせる
ことができる。
【0131】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様である図6に示すトランジスタ490の作製方法につ
いて説明する。図6(A)は、トランジスタ490の構成の一例を示す平面図である。図
6(B)には、図6(A)の一点鎖線E1-E2方向の断面図、および一点鎖線E3-E
4方向の断面図を示す。
【0132】
まず、絶縁体442を成膜する。絶縁体442は、スパッタリング法、化学気相成長(C
VD:Chemical Vapor Deposition)法、分子線エピタキシー
(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法またはパルスレーザ堆積
(PLD:Pulsed Laser Deposition)法、原子層堆積(ALD
:Atomic Layer Deposition)法などを用いて成膜すればよい。
【0133】
絶縁体442は、金属または合金のターゲットを用い、DCスパッタリング法による成膜
すると好ましい。特に、反応性ガスとして酸素を用いたDCスパッタリング法では、ター
ゲット表面における反応が十分でないため、亜酸化物を含む絶縁体が成膜できる場合があ
る。亜酸化物は、水素や酸素などを捕獲して安定化する場合がある。したがって、絶縁体
442が亜酸化物を含む絶縁体である場合、水素や酸素などに対するブロック性の高い絶
縁体であることがわかる。
【0134】
なお、CVD法は、プラズマを利用するプラズマCVD(PECVD:Plasma E
nhanced CVD)法、熱を利用する熱CVD(TCVD:Thermal CV
D)法などに分類できる。さらに用いる原料ガスによって金属CVD(MCVD:Met
al CVD)法、有機金属CVD(MOCVD:Metal Organic CVD
)法に分けることができる。
【0135】
プラズマCVD法は、比較的低温で高品質の膜が得られる。熱CVD法は、プラズマを用
いないため、プラズマダメージが生じず、欠陥の少ない膜が得られる。
【0136】
CVD法は、原料ガスの流量比によって、得られる膜の組成を制御することができる。例
えば、MCVD法およびMOCVD法では、原料ガスの流量比によって、任意の組成の膜
を成膜することができる。また、例えば、MCVD法およびMOCVD法では、成膜しな
がら原料ガスの流量比を変化させることによって、組成が連続的に変化した膜を成膜する
ことができる。原料ガスの流量比を変化させながら成膜する場合、複数の成膜室を用いて
成膜する場合と比べて、搬送や圧力調整に掛かる時間の分、成膜に掛かる時間を短くする
ことができる。したがって、トランジスタ490の生産性を高めることができる。
【0137】
次に、導電体413となる導電体を成膜する。導電体413となる導電体は、スパッタリ
ング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて成膜すればよい。
【0138】
次に、導電体413となる導電体の一部をエッチングし、導電体413を形成する。
【0139】
次に、絶縁体402を成膜する(図7(A)参照。)。絶縁体402は、スパッタリング
法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて成膜すればよい。なお、
ここでは、絶縁体402は、CMP法などによって、上面から平坦化する場合について説
明する。絶縁体402の上面を平坦化することで、後の工程が容易となり、トランジスタ
490の歩留まりを高くすることができる。例えば、CMP法によって、絶縁体402の
RMS(Root Mean Square:二乗平均平方根)粗さを1nm以下、好ま
しくは0.5nm以下、さらに好ましくは0.3nm以下とする。または、1μm×1μ
mの範囲におけるRa(平均面粗さ)を1nm未満、好ましくは0.6nm未満、さらに
好ましくは0.5nm未満、より好ましくは0.4nm未満とする。または、1μm×1
μmの範囲におけるPeak-Valleyを10nm未満、好ましくは9nm未満、さ
らに好ましくは8nm未満、より好ましくは7nm未満とする。ただし、本発明の一態様
に係るトランジスタ490は、絶縁体402の上面を平坦化した場合に限定されない。
【0140】
絶縁体402は、過剰酸素を含ませるように成膜すればよい。または、絶縁体402の成
膜後に酸素を添加しても構わない。酸素の添加は、例えば、イオン注入法により、加速電
圧を2kV以上100kV以下とし、ドーズ量を5×1014ions/cm以上5×
1016ions/cm以下として行えばよい。
【0141】
なお、絶縁体402を積層膜で構成する場合には、それぞれの膜を、上記のような成膜方
法を用いて、異なる成膜方法で成膜してもよい。例えば、1層目をCVD法で成膜し、2
層目をALD法で成膜してもよい。または、1層目をスパッタリング法で成膜し、2層目
をALD法で成膜してもよい。このように、それぞれ異なる成膜方法を用いることによっ
て、各層の膜に異なる機能や性質を持たせることができる。そして、それらの膜を積層す
ることによって、積層膜全体として、より適切な膜を構成することができる。
【0142】
つまり、n層目(nは自然数)の膜を、スパッタリング法、CVD法、MBE法またはP
LD法、ALD法などのうちの少なくとも1つの方法で成膜し、n+1層目の膜を、スパ
ッタリング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などのうちの少なくとも1
つの方法で成膜する。なお、n層目の膜と、n+1層目の膜とで、成膜方法が同じでも異
なっていてもよい。なお、n層目の膜とn+2層目の膜とで、成膜方法が同じでもよい。
または、すべての膜において、成膜方法が同じでもよい。
【0143】
次に、半導体406aとなる半導体436a、および半導体406bとなる半導体436
bをこの順に成膜する。半導体406aとなる半導体436a、および半導体406bと
なる半導体436bは、スパッタリング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD
法などを用いて成膜すればよい。
【0144】
なお、半導体436aおよび半導体436bとして、In-Ga-Zn酸化物層をMOC
VD法によって成膜する場合、原料ガスとしてトリメチルインジウム、トリメチルガリウ
ムおよびジメチル亜鉛などを用いればよい。なお、上記原料ガスの組み合わせに限定され
ず、トリメチルインジウムに代えてトリエチルインジウムなどを用いてもよい。また、ト
リメチルガリウムに代えてトリエチルガリウムなどを用いてもよい。また、ジメチル亜鉛
に代えてジエチル亜鉛などを用いてもよい。
【0145】
次に、第1の加熱処理を行うと好ましい。第1の加熱処理は、250℃以上650℃以下
、好ましくは300℃以上500℃以下で行えばよい。第1の加熱処理は、不活性ガス雰
囲気、または酸化性ガスを10ppm以上、1%以上もしくは10%以上含む雰囲気で行
う。第1の加熱処理は減圧状態で行ってもよい。または、第1の加熱処理は、不活性ガス
雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを10ppm以上、1
%以上または10%以上含む雰囲気で加熱処理を行ってもよい。第1の加熱処理によって
、半導体436a、および半導体436bの結晶性を高めることや、水素や水などの不純
物を除去すること等ができる。
【0146】
次に、導電体416を成膜する(図7(B)参照。)。導電体416は、スパッタリング
法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて成膜すればよい。
【0147】
導電体416aおよび導電体416bは、導電体416を成膜した後で、導電体416の
一部をエッチングすることで形成される。したがって、導電体416の成膜時に、半導体
406bへダメージを与えない成膜方法を用いると好ましい。即ち、導電体416の成膜
には、MCVD法などを用いると好ましい。
【0148】
なお、導電体416を積層膜で構成する場合には、それぞれの膜を、スパッタリング法、
CVD法(プラズマCVD法、熱CVD法、MCVD法、MOCVD法など)、MBE法
、PLD法、ALD法などのような成膜方法を用いて、異なる成膜方法で成膜してもよい
。例えば、1層目をMOCVD法で成膜し、2層目をスパッタリング法で成膜してもよい
。または、1層目をALD法で成膜し、2層目をMOCVD法で成膜してもよい。または
、1層目をALD法で成膜し、2層目をスパッタリング法で成膜してもよい。または、1
層目をALD法で成膜し、2層目をスパッタリング法で成膜し、3層目をALD法で成膜
してもよい。このように、それぞれ、異なる成膜方法を用いることによって、各層の膜に
異なる機能や性質を持たせることができる。そして、それらの膜を積層することによって
、積層膜全体として、より適切な膜を構成することができる。
【0149】
つまり、導電体416を積層膜で構成する場合には、例えば、n層目の膜を、スパッタリ
ング法、CVD法(プラズマCVD法、熱CVD法、MCVD法、MOCVD法など)、
MBE法、PLD法、ALD法などのうちの少なくとも1つの方法で成膜し、n+1層目
の膜を、スパッタリング法、CVD法(プラズマCVD法、熱CVD法、MCVD法、M
OCVD法など)、MBE法、PLD法、ALD法などのうちの少なくとも1つの方法で
成膜し、n層目の膜と、n+1層目の膜とで、成膜方法が異なっていてもよい(nは自然
数)。なお、n層目の膜とn+2層目の膜とで、成膜方法が同じでもよい。または、すべ
ての膜において、成膜方法が同じでもよい。
【0150】
なお、導電体416、または導電体416の積層膜の内の少なくとも一つの膜と、半導体
406aとなる半導体436a、または半導体406bとなる半導体436bとは、同じ
成膜方法を用いてもよい。例えば、どちらも、ALD法を用いてもよい。これにより、大
気に触れさせずに成膜することができる。その結果、不純物の混入を防ぐことができる。
【0151】
なお、導電体416、または導電体416の積層膜の内の少なくとも一つの膜と、半導体
406aとなる半導体436a、または半導体406bとなる半導体436bと、絶縁体
402、または絶縁体402の積層膜の内の少なくとも一つの膜とは、同じ成膜方法を用
いてもよい。例えば、どれも、スパッタリング法を用いてもよい。これにより、大気に触
れさせずに成膜することができる。その結果、不純物の混入を防ぐことができる。ただし
、本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法は、これらに限定されない。
【0152】
次に、マスク426を形成する(図8(A)参照。)。マスク426は、感光性を有する
レジストを用いればよい。なお、マスク426として、フォトレジストの下地に、反射防
止膜(BARC:Bottom Anti Reflective Coating)を
設けてもよい。反射防止膜を設けることで、ハレーションによる不良を抑制することがで
き、微細な形状を得ることができる。
【0153】
次に、マスク426をマスクに用いて、導電体416をエッチングし、導電体417を形
成する。なお、微細な形状を有する導電体417を形成するためには、微細な形状を有す
るマスク426を形成することになる。微細な形状を有するマスク426は、厚すぎると
倒れる場合があるため、自立できる程度の厚さの領域を有すると好ましい。また、マスク
426をマスクとしてエッチングする導電体416は、マスク426が耐えうる条件でエ
ッチングされる程度に薄いことが好ましい。ただし、導電体416は、後にトランジスタ
490のソース電極およびドレイン電極としての機能を有する導電体416aおよび導電
体416bとなるため、トランジスタ490のオン電流を大きくするためにはある程度の
厚さがあるほうが好ましい。したがって、例えば、5nm以上30nm以下、好ましくは
5nm以上20nm以下、さらに好ましくは5nm以上15nm以下の厚さの領域を有す
る導電体416とすればよい。
【0154】
次に、導電体417をマスクに用いて、半導体436bおよび半導体436aをエッチン
グし、半導体406aおよび半導体406bを形成する。このとき、絶縁体402までエ
ッチングすると、s-channel構造が形成されやすくなる(図8(B)参照。)。
【0155】
次に、導電体417の一部をエッチングし、導電体416aおよび導電体416bを形成
する(図9(A)参照。)。このように、半導体436aおよび半導体436bをエッチ
ングするためのマスクとして形成された導電体416は、トランジスタ490のソース電
極およびドレイン電極としての機能を有する導電体416aおよび導電体416bとなる
。導電体416aおよび導電体416bとなる導電体416をマスクとしても用いること
から、トランジスタ490を作製するための工程数を低減できる。また、トランジスタ4
90は、導電体416aおよび導電体416bの占有面積を小さくすることができるため
、微細な半導体装置に適した構造である。
【0156】
次に、半導体406cとなる半導体を成膜する。半導体406cとなる半導体は、スパッ
タリング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて成膜すればよい
【0157】
なお、半導体406cとなる半導体として、In-Ga-Zn酸化物層をMOCVD法に
よって成膜する場合、原料ガスとしてトリメチルインジウム、トリメチルガリウムおよび
ジメチル亜鉛などを用いればよい。なお、上記原料ガスの組み合わせに限定されず、トリ
メチルインジウムに代えてトリエチルインジウムなどを用いてもよい。また、トリメチル
ガリウムに代えてトリエチルガリウムなどを用いてもよい。また、ジメチル亜鉛に代えて
ジエチル亜鉛などを用いてもよい。
【0158】
次に、第2の加熱処理を行っても構わない。例えば、半導体406aとして、半導体40
6cとなる半導体よりも酸素透過性の高い半導体を選択する。即ち、半導体406cとな
る半導体として、半導体406aよりも酸素透過性の低い半導体を選択する。換言すると
、半導体406aとして、酸素を透過する機能を有する半導体を選択する。また、半導体
406cとなる半導体として、酸素をブロックする機能を有する半導体を選択する。この
とき、第2の加熱処理を行うことで、半導体406aを介して、絶縁体402に含まれる
過剰酸素が半導体406bまで移動する。半導体406bは半導体406cとなる半導体
で覆われているため、過剰酸素の外方拡散が起こりにくい。そのため、このタイミングで
第2の加熱処理を行うことで、効率的に半導体406bの欠陥(酸素欠損)を低減するこ
とができる。なお、第2の加熱処理は、絶縁体402中の過剰酸素(酸素)が半導体40
6bまで拡散する温度で行えばよい。例えば、第1の加熱処理についての記載を参照して
も構わない。または、第2の加熱処理は、第1の加熱処理よりも低い温度が好ましい。低
下させる温度範囲は、20℃以上150℃以下、好ましくは40℃以上100℃以下とす
る。これにより、絶縁体402から余分に過剰酸素(酸素)が放出することを抑えること
ができる。。
【0159】
次に、絶縁体412となる絶縁体を成膜する。絶縁体412となる絶縁体は、スパッタリ
ング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて成膜すればよい。
【0160】
なお、絶縁体412となる絶縁体を積層膜で構成する場合には、それぞれの膜を、スパッ
タリング法、CVD法(プラズマCVD法、熱CVD法、MCVD法、MOCVD法など
)、MBE法、PLD法、ALD法などのような成膜方法を用いて、異なる成膜方法で成
膜してもよい。例えば、1層目をMOCVD法で成膜し、2層目をスパッタリング法で成
膜してもよい。または、1層目をALD法で成膜し、2層目をMOCVD法で成膜しても
よい。または、1層目をALD法で成膜し、2層目をスパッタリング法で成膜してもよい
。または、1層目をALD法で成膜し、2層目をスパッタリング法で成膜し、3層目をA
LD法で成膜してもよい。このように、それぞれ、異なる成膜方法を用いることによって
、各層の膜に異なる機能や性質を持たせることができる。そして、それらの膜を積層する
ことによって、積層膜全体として、より適切な膜を構成することができる。
【0161】
つまり、絶縁体412となる絶縁体を積層膜で構成する場合には、例えば、n層目の膜を
、スパッタリング法、CVD法(プラズマCVD法、熱CVD法、MCVD法、MOCV
D法など)、MBE法、PLD法、ALD法などのうちの少なくとも1つの方法で成膜し
、n+1層目の膜を、スパッタリング法、CVD法(プラズマCVD法、熱CVD法、M
CVD法、MOCVD法など)、MBE法、PLD法、ALD法などのうちの少なくとも
1つの方法で成膜し、n層目の膜と、n+1層目の膜とで、成膜方法が異なっていてもよ
い(nは自然数)。なお、n層目の膜とn+2層目の膜とで、成膜方法が同じでもよい。
または、すべての膜において、成膜方法が同じでもよい。
【0162】
次に、第3の加熱処理を行っても構わない。例えば、半導体406aとして、半導体40
6cとなる半導体よりも酸素透過性の高い半導体を選択する。即ち、半導体406cとな
る半導体として、半導体406aよりも酸素透過性の低い半導体を選択する。また、半導
体406cとなる半導体として、酸素をブロックする機能を有する半導体を選択する。ま
たは、例えば、半導体406aとして、絶縁体412となる絶縁体よりも酸素透過性の高
い半導体を選択する。即ち、絶縁体412となる絶縁体として、半導体406aよりも酸
素透過性の低い絶縁体を選択する。換言すると、半導体406aとして、酸素を透過する
機能を有する半導体を選択する。また、絶縁体412となる絶縁体として、酸素をブロッ
クする機能を有する絶縁体を選択する。このとき、第3の加熱処理を行うことで、半導体
406aを介して、絶縁体402に含まれる過剰酸素が半導体406bまで移動する。半
導体406bは半導体406cとなる半導体および絶縁体412となる絶縁体で覆われて
いるため、過剰酸素の外方拡散が起こりにくい。そのため、このタイミングで第3の加熱
処理を行うことで、効率的に半導体406bの欠陥(酸素欠損)を低減することができる
。なお、第3の加熱処理は、絶縁体402中の過剰酸素(酸素)が半導体406bまで拡
散する温度で行えばよい。例えば、第1の加熱処理についての記載を参照しても構わない
。または、第3の加熱処理は、第1の加熱処理よりも低い温度が好ましい。低下させる温
度範囲は、20℃以上150℃以下、好ましくは40℃以上100℃以下とする。なお、
絶縁体412となる絶縁体が酸素をブロックする機能を有する場合、半導体406cとな
る半導体が酸素をブロックする機能を有さなくても構わない。
【0163】
次に、導電体404となる導電体を成膜する。導電体404となる導電体は、スパッタリ
ング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて成膜すればよい。
【0164】
絶縁体412となる絶縁体は、トランジスタ490のゲート絶縁体として機能する。した
がって導電体404となる導電体の成膜時に、絶縁体412となる絶縁体へダメージを与
えない成膜方法を用いると好ましい。即ち、該導電体の成膜には、MCVD法などを用い
ると好ましい。
【0165】
なお、導電体404となる導電体を積層膜で構成する場合には、それぞれの膜を、スパッ
タリング法、CVD法(プラズマCVD法、熱CVD法、MCVD法、MOCVD法など
)、MBE法、PLD法、ALD法などのような成膜方法を用いて、異なる成膜方法で成
膜してもよい。例えば、1層目をMOCVD法で成膜し、2層目をスパッタリング法で成
膜してもよい。または、1層目をALD法で成膜し、2層目をMOCVD法で成膜しても
よい。または、1層目をALD法で成膜し、2層目をスパッタリング法で成膜してもよい
。または、1層目をALD法で成膜し、2層目をスパッタリング法で成膜し、3層目をA
LD法で成膜してもよい。このように、それぞれ、異なる成膜方法を用いることによって
、各層の膜に異なる機能や性質を持たせることができる。そして、それらの膜を積層する
ことによって、積層膜全体として、より適切な膜を構成することができる。
【0166】
つまり、導電体404となる導電体を積層膜で構成する場合には、例えば、n層目の膜を
、スパッタリング法、CVD法(プラズマCVD法、熱CVD法、MCVD法、MOCV
D法など)、MBE法、PLD法、ALD法などのうちの少なくとも1つの方法で成膜し
、n+1層目の膜を、スパッタリング法、CVD法(プラズマCVD法、熱CVD法、M
CVD法、MOCVD法など)、MBE法、PLD法、ALD法などのうちの少なくとも
1つの方法で成膜し、n層目の膜と、n+1層目の膜とで、成膜方法が異なっていてもよ
い(nは自然数)。なお、n層目の膜とn+2層目の膜とで、成膜方法が同じでもよい。
または、すべての膜において、成膜方法が同じでもよい。
【0167】
なお、導電体404となる導電体、または導電体404となる導電体の積層膜の内の少な
くとも一つの膜と、絶縁体412となる絶縁体、または絶縁体412となる絶縁体の積層
膜の内の少なくとも一つの膜とは、同じ成膜方法を用いてもよい。例えば、どちらも、A
LD法を用いてもよい。これにより、大気に触れさせずに成膜することができる。その結
果、不純物の混入を防ぐことができる。または、例えば、絶縁体412となる絶縁体と接
する導電体404となる導電体と、導電体404となる導電体と接する絶縁体412とな
る絶縁体とは、同じ成膜方法を用いてもよい。これにより、同じチャンバーで成膜するこ
とができる。その結果、不純物の混入を防ぐことができる。
【0168】
なお、導電体404となる導電体、または導電体404となる導電体の積層膜の内の少な
くとも一つの膜と、絶縁体412となる絶縁体、または絶縁体412となる絶縁体の積層
膜の内の少なくとも一つの膜とは同じ成膜方法を用いてもよい。例えば、どれも、スパッ
タリング法を用いてもよい。これにより、大気に触れさせずに成膜することができる。そ
の結果、不純物の混入を防ぐことができる。
【0169】
次に、導電体404となる導電体の一部をエッチングして導電体404を形成する。なお
、導電体404は、半導体406bの少なくとも一部と重なるように形成する。
【0170】
次に、導電体404となる導電体と同様に、絶縁体412となる絶縁体の一部をエッチン
グして絶縁体412を形成する。
【0171】
次に、導電体404となる導電体および絶縁体412となる絶縁体と同様に、半導体40
6cとなる半導体の一部をエッチングして半導体406cを形成する。
【0172】
なお、導電体404となる導電体、絶縁体412となる絶縁体および半導体406cとな
る半導体の一部をエッチングする際には、同一のフォトリソグラフィ工程など用いてもよ
い。または、導電体404をマスクとして用いて絶縁体412となる絶縁体および半導体
406cとなる半導体をエッチングしてもよい。そのため、導電体404、絶縁体412
および半導体406cは、上面図において同様の形状となる。なお、図9(C1)に示す
拡大断面のように、導電体404よりも絶縁体412または/および半導体406cが突
出した(迫り出した)形状となる場合や、図9(C2)に示す拡大断面のように、導電体
404が絶縁体412または/および半導体406cよりも突出した(迫り出した)形状
となる場合がある。これらに示すような形状とすることによって、形状不良が低減され、
ゲートリーク電流を低減できる場合がある。
【0173】
次に、絶縁体408を成膜する(図9(B)参照。)。絶縁体408は、スパッタリング
法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて成膜すればよい。
【0174】
次に、第4の加熱処理を行っても構わない。例えば、半導体406aとして、半導体40
6cよりも酸素透過性の高い半導体を選択する。即ち、半導体406cとして、半導体4
06aよりも酸素透過性の低い半導体を選択する。また、半導体406cとして、酸素を
ブロックする機能を有する半導体を選択する。または、例えば、半導体406aとして、
絶縁体412よりも酸素透過性の高い半導体を選択する。即ち、絶縁体412として、半
導体406aよりも酸素透過性の低い半導体を選択する。または、例えば、半導体406
aとして、絶縁体408よりも酸素透過性の高い半導体を選択する。即ち、絶縁体408
として、半導体406aよりも酸素透過性の低い半導体を選択する。換言すると、半導体
406aとして、酸素を透過する機能を有する半導体を選択する。また、絶縁体408と
して、酸素をブロックする機能を有する絶縁体を選択する。このとき、第4の加熱処理を
行うことで、半導体406aを介して、絶縁体402に含まれる過剰酸素が半導体406
bまで移動する。半導体406bは半導体406c、絶縁体412、絶縁体408のいず
れかで覆われているため、過剰酸素の外方拡散が起こりにくい。そのため、このタイミン
グで第4の加熱処理を行うことで、効率的に半導体406bの欠陥(酸素欠損)を低減す
ることができる。なお、第4の加熱処理は、絶縁体402中の過剰酸素(酸素)が半導体
406bまで拡散する温度で行えばよい。例えば、第1の加熱処理についての記載を参照
しても構わない。または、第4の加熱処理は、第1の加熱処理よりも低い温度が好ましい
。低下させる温度範囲は、20℃以上150℃以下、好ましくは40℃以上100℃以下
とする。なお、絶縁体408が酸素をブロックする機能を有する場合、半導体406cま
たは/および絶縁体412が酸素をブロックする機能を有さなくても構わない。
【0175】
なお、第1の加熱処理、第2の加熱処理、第3の加熱処理および第4の加熱処理の全てま
たは一部を行わなくても構わない。
【0176】
次に、絶縁体418を成膜する。絶縁体418は、スパッタリング法、CVD法、MBE
法またはPLD法、ALD法などを用いて成膜すればよい。
【0177】
以上のようにして、図6に示したトランジスタ490を作製することができる。
【0178】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態および実施例と適宜組み合わせる
ことができる。
【0179】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様であるトランジスタに使用することができる酸化物半
導体について説明する。
【0180】
酸化物半導体は、非単結晶酸化物半導体と単結晶酸化物半導体とに大別される。非単結晶
酸化物半導体とは、CAAC-OS(C Axis Aligned Crystall
ine Oxide Semiconductor)、多結晶酸化物半導体、微結晶酸化
物半導体、非晶質酸化物半導体などをいう。なお、CAAC-OSをCANC-OS(C
Axis Aligned Nano Crystalline Oxide Sem
iconductor)と呼ぶこともできる。
【0181】
まずは、CAAC-OSについて説明する。
【0182】
CAAC-OSは、c軸配向した複数の結晶部を有する酸化物半導体の一つである。
【0183】
透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Micro
scope)によって、CAAC-OSの明視野像および回折パターンの複合解析像(高
分解能TEM像ともいう。)を観察することで複数の結晶部を確認することができる。一
方、高分解能TEM像によっても明確な結晶部同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウ
ンダリーともいう。)を確認することができない。そのため、CAAC-OSは、結晶粒
界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
【0184】
試料面と略平行な方向から、CAAC-OSの断面の高分解能TEM像を観察すると、結
晶部において、金属原子が層状に配列していることを確認できる。金属原子の各層は、C
AAC-OSを形成する面(被形成面ともいう。)または上面の凹凸を反映した形状であ
り、CAAC-OSの被形成面または上面と平行に配列する。
【0185】
本明細書において、「平行」とは、二つの直線が-10°以上10°以下の角度で配置さ
れている状態をいう。したがって、-5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「略平
行」とは、二つの直線が-30°以上30°以下の角度で配置されている状態をいう。ま
た、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態を
いう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」とは、二
つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
【0186】
一方、試料面と略垂直な方向から、CAAC-OSの平面の高分解能TEM像を観察する
と、結晶部において、金属原子が三角形状または六角形状に配列していることを確認でき
る。しかしながら、異なる結晶部間で、金属原子の配列に規則性は見られない。
【0187】
図38(A)は、CAAC-OSの断面の高分解能TEM像である。また、図38(B)
は、図38(A)をさらに拡大した断面の高分解能TEM像であり、理解を容易にするた
めに原子配列を強調表示している。
【0188】
図38(C)は、図38(A)のA-O-A’間において、丸で囲んだ領域(直径約4n
m)の局所的なフーリエ変換像である。図38(C)より、各領域においてc軸配向性が
確認できる。また、A-O間とO-A’間とでは、c軸の向きが異なるため、異なるグレ
インであることが示唆される。また、A-O間では、c軸の角度が14.3°、16.6
°、26.4°のように少しずつ連続的に変化していることがわかる。同様に、O-A’
間では、c軸の角度が-18.3°、-17.6°、-15.9°と少しずつ連続的に変
化していることがわかる。
【0189】
なお、CAAC-OSに対し、電子回折を行うと、配向性を示すスポット(輝点)が観測
される。例えば、CAAC-OSの上面に対し、例えば1nm以上30nm以下の電子線
を用いる電子回折(ナノビーム電子回折ともいう。)を行うと、スポットが観測される(
図39(A)参照。)。
【0190】
断面の高分解能TEM像および平面の高分解能TEM像より、CAAC-OSの結晶部は
配向性を有していることがわかる。
【0191】
なお、CAAC-OSに含まれるほとんどの結晶部は、一辺が100nm未満の立方体内
に収まる大きさである。したがって、CAAC-OSに含まれる結晶部は、一辺が10n
m未満、5nm未満または3nm未満の立方体内に収まる大きさの場合も含まれる。ただ
し、CAAC-OSに含まれる複数の結晶部が連結することで、一つの大きな結晶領域を
形成する場合がある。例えば、平面の高分解能TEM像において、2500nm以上、
5μm以上または1000μm以上となる結晶領域が観察される場合がある。
【0192】
CAAC-OSに対し、X線回折(XRD:X-Ray Diffraction)装置
を用いて構造解析を行うと、例えばInGaZnOの結晶を有するCAAC-OSのo
ut-of-plane法による解析では、回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れ
る場合がある。このピークは、InGaZnOの結晶の(009)面に帰属されること
から、CAAC-OSの結晶がc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に略垂直な
方向を向いていることが確認できる。
【0193】
一方、CAAC-OSに対し、c軸に略垂直な方向からX線を入射させるin-plan
e法による解析では、2θが56°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、I
nGaZnOの結晶の(110)面に帰属される。InGaZnOの単結晶酸化物半
導体であれば、2θを56°近傍に固定し、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)として試
料を回転させながら分析(φスキャン)を行うと、(110)面と等価な結晶面に帰属さ
れるピークが6本観察される。これに対し、CAAC-OSの場合は、2θを56°近傍
に固定してφスキャンした場合でも、明瞭なピークが現れない。
【0194】
以上のことから、CAAC-OSでは、異なる結晶部間ではa軸およびb軸の配向は不規
則であるが、c軸配向性を有し、かつc軸が被形成面または上面の法線ベクトルに平行な
方向を向いていることがわかる。したがって、前述の断面の高分解能TEM観察で確認さ
れた層状に配列した金属原子の各層は、結晶のab面に平行な面である。
【0195】
なお、結晶部は、CAAC-OSを成膜した際、または加熱処理などの結晶化処理を行っ
た際に形成される。上述したように、結晶のc軸は、CAAC-OSの被形成面または上
面の法線ベクトルに平行な方向に配向する。したがって、例えば、CAAC-OSの形状
をエッチングなどによって変化させた場合、結晶のc軸がCAAC-OSの被形成面また
は上面の法線ベクトルと平行にならないこともある。
【0196】
また、CAAC-OS中において、c軸配向した結晶部の分布が均一でなくてもよい。例
えば、CAAC-OSの結晶部が、CAAC-OSの上面近傍からの結晶成長によって形
成される場合、上面近傍の領域は、被形成面近傍の領域よりもc軸配向した結晶部の割合
が高くなることがある。また、不純物の添加されたCAAC-OSは、不純物が添加され
た領域が変質し、部分的にc軸配向した結晶部の割合の異なる領域が形成されることもあ
る。
【0197】
なお、InGaZnOの結晶を有するCAAC-OSのout-of-plane法に
よる解析では、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる
場合がある。2θが36°近傍のピークは、CAAC-OS中の一部に、c軸配向性を有
さない結晶が含まれることを示している。CAAC-OSは、2θが31°近傍にピーク
を示し、2θが36°近傍にピークを示さないことが好ましい。
【0198】
CAAC-OSは、不純物濃度の低い酸化物半導体である。不純物は、水素、炭素、シリ
コン、遷移金属元素などの酸化物半導体の主成分以外の元素である。特に、シリコンなど
の、酸化物半導体を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化物半導体
から酸素を奪うことで酸化物半導体の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。
また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径(または分子
半径)が大きいため、酸化物半導体内部に含まれると、酸化物半導体の原子配列を乱し、
結晶性を低下させる要因となる。なお、酸化物半導体に含まれる不純物は、キャリアトラ
ップやキャリア発生源となる場合がある。
【0199】
また、CAAC-OSは、欠陥準位密度の低い酸化物半導体である。例えば、酸化物半導
体中の酸素欠損は、キャリアトラップとなることや、水素を捕獲することによってキャリ
ア発生源となることがある。
【0200】
不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い(酸素欠損の少ない)ことを、高純度真性または
実質的に高純度真性と呼ぶ。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体は
、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。したがって、当
該酸化物半導体を用いたトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノー
マリーオンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性または実質的に高純度真
性である酸化物半導体は、キャリアトラップが少ない。そのため、当該酸化物半導体を用
いたトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。なお
、酸化物半導体のキャリアトラップに捕獲された電荷は、放出するまでに要する時間が長
く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、不純物濃度が高く、欠陥
準位密度が高い酸化物半導体を用いたトランジスタは、電気特性が不安定となる場合があ
る。
【0201】
また、CAAC-OSを用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の
変動が小さい。
【0202】
次に、微結晶酸化物半導体について説明する。
【0203】
微結晶酸化物半導体は、高分解能TEM像において、結晶部を確認することのできる領域
と、明確な結晶部を確認することのできない領域と、を有する。微結晶酸化物半導体に含
まれる結晶部は、1nm以上100nm以下、または1nm以上10nm以下の大きさで
あることが多い。特に、1nm以上10nm以下、または1nm以上3nm以下の微結晶
であるナノ結晶(nc:nanocrystal)を有する酸化物半導体を、nc-OS
(nanocrystalline Oxide Semiconductor)と呼ぶ
。また、nc-OSは、例えば、高分解能TEM像では、結晶粒界を明確に確認できない
場合がある。
【0204】
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3
nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc-OSは、異なる結晶
部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、層全体で配向性が見られない。したが
って、nc-OSは、分析方法によっては、非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合が
ある。例えば、nc-OSに対し、結晶部よりも大きい径のX線を用いるXRD装置を用
いて構造解析を行うと、out-of-plane法による解析では、結晶面を示すピー
クが検出されない。また、nc-OSに対し、結晶部よりも大きいプローブ径(例えば5
0nm以上)の電子線を用いる電子回折(制限視野電子回折ともいう。)を行うと、ハロ
ーパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc-OSに対し、結晶部の大き
さと近いか結晶部より小さいプローブ径の電子線を用いるナノビーム電子回折を行うと、
スポットが観測される。また、nc-OSに対しナノビーム電子回折を行うと、円を描く
ように(リング状に)輝度の高い領域が観測される場合がある。また、nc-OSに対し
ナノビーム電子回折を行うと、リング状の領域内に複数のスポットが観測される場合があ
る(図39(B)参照。)。
【0205】
nc-OSは、非晶質酸化物半導体よりも規則性の高い酸化物半導体である。そのため、
nc-OSは、非晶質酸化物半導体よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、nc-OS
は、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc-OSは、CAA
C-OSと比べて欠陥準位密度が高くなる。
【0206】
なお、酸化物半導体は、例えば、非晶質酸化物半導体、微結晶酸化物半導体、CAAC-
OSのうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
【0207】
酸化物半導体が複数の構造を有する場合、ナノビーム電子回折を用いることで構造解析が
可能となる場合がある。
【0208】
図39(C)に、電子銃室10と、電子銃室10の下の光学系12と、光学系12の下の
試料室14と、試料室14の下の光学系16と、光学系16の下の観察室20と、観察室
20に設置されたカメラ18と、観察室20の下のフィルム室22と、を有する透過電子
回折測定装置を示す。カメラ18は、観察室20内部に向けて設置される。なお、フィル
ム室22を有さなくても構わない。
【0209】
また、図39(D)に、図39(C)で示した透過電子回折測定装置内部の構造を示す。
透過電子回折測定装置内部では、電子銃室10に設置された電子銃から放出された電子が
、光学系12を介して試料室14に配置された物質28に照射される。物質28を通過し
た電子は、光学系16を介して観察室20内部に設置された蛍光板32に入射する。蛍光
板32では、入射した電子の強度に応じたパターンが現れることで透過電子回折パターン
を測定することができる。
【0210】
カメラ18は、蛍光板32を向いて設置されており、蛍光板32に現れたパターンを撮影
することが可能である。カメラ18のレンズの中央、および蛍光板32の中央を通る直線
と、蛍光板32の上面と、の為す角度は、例えば、15°以上80°以下、30°以上7
5°以下、または45°以上70°以下とする。該角度が小さいほど、カメラ18で撮影
される透過電子回折パターンは歪みが大きくなる。ただし、あらかじめ該角度がわかって
いれば、得られた透過電子回折パターンの歪みを補正することも可能である。なお、カメ
ラ18をフィルム室22に設置しても構わない場合がある。例えば、カメラ18をフィル
ム室22に、電子24の入射方向と対向するように設置してもよい。この場合、蛍光板3
2の裏面から歪みの少ない透過電子回折パターンを撮影することができる。
【0211】
試料室14には、試料である物質28を固定するためのホルダが設置されている。ホルダ
は、物質28を通過する電子を透過するような構造をしている。ホルダは、例えば、物質
28をX軸、Y軸、Z軸などに移動させる機能を有していてもよい。ホルダの移動機能は
、例えば、1nm以上10nm以下、5nm以上50nm以下、10nm以上100nm
以下、50nm以上500nm以下、100nm以上1μm以下などの範囲で移動させる
精度を有すればよい。これらの範囲は、物質28の構造によって最適な範囲を設定すれば
よい。
【0212】
次に、上述した透過電子回折測定装置を用いて、物質の透過電子回折パターンを測定する
方法について説明する。
【0213】
例えば、図39(D)に示すように物質におけるナノビームである電子24の照射位置を
変化させる(スキャンする)ことで、物質の構造が変化していく様子を確認することがで
きる。このとき、物質28がCAAC-OSであれば、図39(A)に示したような回折
パターンが観測される。または、物質28がnc-OSであれば、図39(B)に示した
ような回折パターンが観測される。
【0214】
ところで、物質28がCAAC-OSであったとしても、部分的にnc-OSなどと同様
の回折パターンが観測される場合がある。したがって、CAAC-OSの良否は、一定の
範囲におけるCAAC-OSの回折パターンが観測される領域の割合(CAAC化率とも
いう。)で表すことができる場合がある。例えば、良質なCAAC-OSであれば、CA
AC化率は、50%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、より好
ましくは95%以上となる。なお、CAAC-OSと異なる回折パターンが観測される領
域の割合を非CAAC化率と表記する。
【0215】
一例として、成膜直後(as-sputteredと表記。)、または酸素を含む雰囲気
における450℃加熱処理後のCAAC-OSを有する各試料の上面に対し、スキャンし
ながら透過電子回折パターンを取得した。ここでは、5nm/秒の速度で60秒間スキャ
ンしながら回折パターンを観測し、観測された回折パターンを0.5秒ごとに静止画に変
換することで、CAAC化率を導出した。なお、電子線としては、プローブ径が1nmの
ナノビーム電子線を用いた。なお、同様の測定は6試料に対して行った。そしてCAAC
化率の算出には、6試料における平均値を用いた。
【0216】
各試料におけるCAAC化率を図40(A)に示す。成膜直後のCAAC-OSのCAA
C化率は75.7%(非CAAC化率は24.3%)であった。また、450℃加熱処理
後のCAAC-OSのCAAC化率は85.3%(非CAAC化率は14.7%)であっ
た。成膜直後と比べて、450℃加熱処理後のCAAC化率が高いことがわかる。即ち、
高い温度(例えば400℃以上)における加熱処理によって、非CAAC化率が低くなる
(CAAC化率が高くなる)ことがわかる。また、500℃未満の加熱処理においても高
いCAAC化率を有するCAAC-OSが得られることがわかる。
【0217】
ここで、CAAC-OSと異なる回折パターンのほとんどはnc-OSと同様の回折パタ
ーンであった。また、測定領域において非晶質酸化物半導体は、確認することができなか
った。したがって、加熱処理によって、nc-OSと同様の構造を有する領域が、隣接す
る領域の構造の影響を受けて再配列し、CAAC化していることが示唆される。
【0218】
図40(B)および図40(C)は、成膜直後および450℃加熱処理後のCAAC-O
Sの平面の高分解能TEM像である。図40(B)と図40(C)とを比較することによ
り、450℃加熱処理後のCAAC-OSは、膜質がより均質であることがわかる。即ち
、高い温度における加熱処理によって、CAAC-OSの膜質が向上することがわかる。
【0219】
このような測定方法を用いれば、複数の構造を有する酸化物半導体の構造解析が可能とな
る場合がある。
【0220】
以上が、半導体406a、半導体406b、半導体406cなどに適用可能な酸化物半導
体の構造である。
【0221】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態および実施例と適宜組み合わせる
ことができる。
【0222】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様のトランジスタを利用した回路の一例について図面を
参照して説明する。
【0223】
[断面構造]
図10(A)に本発明の一態様の半導体装置の断面図を示す。図10(A)に示す半導体
装置は、下部に第1の半導体材料を用いたトランジスタ2200を有し、上部に第2の半
導体材料を用いたトランジスタ2100を有している。図10(A)では、第2の半導体
材料を用いたトランジスタ2100として、先の実施の形態で例示したトランジスタを適
用した例を示している。なお、一点鎖線より左側がトランジスタのチャネル長方向の断面
、右側がチャネル幅方向の断面である。
【0224】
第1の半導体材料と第2の半導体材料は異なる禁制帯幅を持つ材料とすることが好ましい
。例えば、第1の半導体材料を酸化物半導体以外の半導体材料(シリコン(歪シリコン含
む)、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、ヒ化ガリウム、ヒ化アルミ
ニウムガリウム、リン化インジウム、窒化ガリウム、有機半導体など)とし、第2の半導
体材料を酸化物半導体とすることができる。酸化物半導体以外の材料として単結晶シリコ
ンなどを用いたトランジスタは、高速動作が容易である。一方で、酸化物半導体を用いた
トランジスタは、先の実施の形態で例示したトランジスタを適用することで、優れたサブ
スレッショルド特性が得られ、微細なトランジスタとすることが可能である。また、スイ
ッチ速度が速いため高速動作が可能であり、オフ電流が低いためリーク電流が小さい。
【0225】
トランジスタ2200は、nチャネル型のトランジスタまたはpチャネル型のトランジス
タのいずれであってもよく、回路によって適切なトランジスタを用いればよい。また、酸
化物半導体を用いた本発明の一態様のトランジスタを用いるほかは、用いる材料や構造な
ど、半導体装置の具体的な構成をここで示すものに限定する必要はない。
【0226】
図10(A)に示す構成では、トランジスタ2200の上部に、絶縁体2201、絶縁体
2207を介してトランジスタ2100が設けられている。また、トランジスタ2200
とトランジスタ2100の間には、複数の配線2202が設けられている。また、各種絶
縁体に埋め込まれた複数のプラグ2203により、上層と下層にそれぞれ設けられた配線
や電極が電気的に接続されている。また、トランジスタ2100を覆う絶縁体2204と
、絶縁体2204上に配線2205と、トランジスタ2100の一対の電極と同一の導電
体を加工して得られた配線2206と、が設けられている。
【0227】
このように、2種類のトランジスタを積層することにより、回路の占有面積が低減され、
より高密度に複数の回路を配置することができる。
【0228】
ここで、下層に設けられるトランジスタ2200にシリコン系半導体材料を用いた場合、
トランジスタ2200の半導体の近傍に設けられる絶縁体中の水素はシリコンのダングリ
ングボンドを終端し、トランジスタ2200の信頼性を向上させる効果がある。一方、上
層に設けられるトランジスタ2100に酸化物半導体を用いた場合、トランジスタ210
0の半導体の近傍に設けられる絶縁体中の水素は、酸化物半導体中にキャリアを生成する
要因の一つとなるため、トランジスタ2100の信頼性を低下させる要因となる場合があ
る。したがって、シリコン系半導体材料を用いたトランジスタ2200の上層に酸化物半
導体を用いたトランジスタ2100を積層して設ける場合、これらの間に水素の拡散を防
止する機能を有する絶縁体2207を設けることは特に効果的である。絶縁体2207に
より、下層に水素を閉じ込めることでトランジスタ2200の信頼性が向上することに加
え、下層から上層に水素が拡散することが抑制されることでトランジスタ2100の信頼
性も同時に向上させることができる。
【0229】
絶縁体2207としては、例えば酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウ
ム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸
化窒化ハフニウム、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)等を用いることができる。
【0230】
また、酸化物半導体を含んで構成されるトランジスタ2100を覆うように、トランジス
タ2100上に水素の拡散を防止する機能を有するブロック膜2208(トランジスタ1
01乃至トランジスタ103では絶縁体180に相当)を形成することが好ましい。ブロ
ック膜2208としては、絶縁体2207と同様の材料を用いることができ、特に酸化ア
ルミニウムを適用することが好ましい。酸化アルミニウム膜は、水素、水分などの不純物
および酸素の双方に対して膜を透過させない遮断(ブロッキング)効果が高い。したがっ
て、トランジスタ2100を覆うブロック膜2208として酸化アルミニウム膜を用いる
ことで、トランジスタ2100に含まれる酸化物半導体からの酸素の脱離を防止するとと
もに、酸化物半導体への水および水素の混入を防止することができる。
【0231】
なお、トランジスタ2200は、プレーナ型のトランジスタだけでなく、様々なタイプの
トランジスタとすることができる。例えば、FIN(フィン)型、TRI-GATE(ト
ライゲート)型などのトランジスタなどとすることができる。その場合の断面図の例を、
図10(D)に示す。半導体基板2211の上に、絶縁体2212が設けられている。半
導体基板2211は、先端の細い凸部(フィンともいう)を有する。なお、凸部の上には
、絶縁体が設けられていてもよい。その絶縁体は、凸部を形成するときに、半導体基板2
211がエッチングされないようにするためのマスクとして機能するものである。なお、
凸部は、先端が細くなくてもよく、例えば、略直方体の凸部であってもよいし、先端が太
い凸部であってもよい。半導体基板2211の凸部の上には、ゲート絶縁体2214が設
けられ、その上には、ゲート電極2213が設けられている。半導体基板2211には、
ソース領域およびドレイン領域2215が形成されている。なお、ここでは、半導体基板
2211が、凸部を有する例を示したが、本発明の一態様に係る半導体装置は、これに限
定されない。例えば、SOI基板を加工して、凸部を有する半導体領域を形成しても構わ
ない。
【0232】
[回路構成例]
上記構成において、トランジスタ2100やトランジスタ2200の電極を適宜接続する
ことにより、様々な回路を構成することができる。以下では、本発明の一態様の半導体装
置を用いることにより実現できる回路構成の例を説明する。
【0233】
〔CMOSインバータ回路〕
図10(B)に示す回路図は、pチャネル型のトランジスタ2200とnチャネル型のト
ランジスタ2100を直列に接続し、且つそれぞれのゲートを接続した、いわゆるCMO
Sインバータの構成を示している。
【0234】
〔CMOSアナログスイッチ〕
また、図10(C)に示す回路図は、トランジスタ2100とトランジスタ2200のそ
れぞれのソースとドレインを接続した構成を示している。このような構成とすることで、
いわゆるCMOSアナログスイッチとして機能させることができる。
【0235】
〔記憶装置の例〕
本発明の一態様であるトランジスタを使用し、電力が供給されない状況でも記憶内容の保
持が可能で、かつ、書き込み回数にも制限が無い半導体装置(記憶装置)の一例を図11
に示す。
【0236】
図11(A)に示す半導体装置は、第1の半導体材料を用いたトランジスタ3200と第
2の半導体材料を用いたトランジスタ3300、および容量素子3400を有している。
なお、トランジスタ3300としては、上記実施の形態で説明したトランジスタを用いる
ことができる。
【0237】
図11(B)に図11(A)に示す半導体装置の断面図を示す。当該断面図の半導体装置
では、トランジスタ3300にバックゲートを設けた構成を示しているが、バックゲート
を設けない構成であってもよい。
【0238】
図11(A)において、第1の配線3001はトランジスタ3200のソース電極と電気
的に接続され、第2の配線3002はトランジスタ3200のドレイン電極と電気的に接
続されている。また、第3の配線3003はトランジスタ3300のソース電極またはド
レイン電極の一方と電気的に接続され、第4の配線3004はトランジスタ3300のゲ
ート電極と電気的に接続されている。そして、トランジスタ3200のゲート電極は、ト
ランジスタ3300のソース電極またはドレイン電極の他方、および容量素子3400の
電極の一方と電気的に接続され、第5の配線3005は容量素子3400の電極の他方と
電気的に接続されている。
【0239】
図11(A)に示す半導体装置では、トランジスタ3200のゲート電極の電位が保持可
能という特徴を活かすことで、次のように、情報の書き込み、保持、読み出しが可能であ
る。
【0240】
情報の書き込みおよび保持について説明する。まず、第4の配線3004の電位を、トラ
ンジスタ3300がオン状態となる電位にして、トランジスタ3300をオン状態とする
。これにより、第3の配線3003の電位が、トランジスタ3200のゲート電極、およ
び容量素子3400の電極の一方に与えられる。すなわち、容量素子3400には所定の
電荷が与えられる。ここでは、LowレベルとHighレベルの二つの電位レベルを与え
ることとする。容量素子3400には二つの電位レベルに対応する電荷のいずれかが与え
られる。その後、第4の配線3004の電位を、トランジスタ3300がオフ状態となる
電位にして、トランジスタ3300をオフ状態とすることにより、容量素子3400に与
えられた電荷が保持される。このようにして、図11(A)に示す半導体装置に書き込み
を行う。
【0241】
トランジスタ3300のオフ電流は極めて小さいため、容量素子3400に与えられた電
荷は長時間にわたって保持される。したがって、電源が供給されない状況でも記憶内容の
保持が可能となる。
【0242】
次に情報の読み出しについて説明する。第1の配線3001に所定の電位(定電位)を与
えた状態で、第5の配線3005に適切な電位(読み出し電位)を与えると、容量素子3
400に保持された電荷量に応じて、第2の配線3002は異なる電位をとる。一般に、
トランジスタ3200をnチャネル型とすると、トランジスタ3200のゲート電極にH
ighレベル電位が与えられている場合の見かけのしきい値Vth_Hは、トランジスタ
3200のゲート電極にLowレベル電位が与えられている場合の見かけのしきい値V
h_Lより低くなるためである。ここで、見かけのしきい値電圧とは、トランジスタ32
00を「オン状態」とするために必要な第5の配線3005の電位をいうものとする。し
たがって、第5の配線3005の電位をVth_HとVth_Lの間の電位Vとするこ
とにより、トランジスタ3200のゲート電極に与えられた電位を判別できる。例えば、
書き込みにおいて、Highレベル電位が与えられていた場合には、第5の配線3005
の電位がV(>Vth_H)となれば、トランジスタ3200は「オン状態」となる。
Lowレベル電位が与えられていた場合には、第5の配線3005の電位がV(<V
h_L)となっても、トランジスタ3200は「オフ状態」のままである。このため、第
2の配線3002の電位を判別することで、保持されている情報を読み出すことができる
【0243】
なお、メモリセルをアレイ状に配置して用いる場合、所望のメモリセルの情報のみを読み
出せることが必要になる。このように情報を読み出さない場合には、容量素子3400に
保持された電荷量にかかわらずトランジスタ3200が「オフ状態」となるような電位、
つまり、Vth_Hより小さい電位を第5の配線3005に与えればよい。または、容量
素子3400に保持された電荷量にかかわらずトランジスタ3200が「オン状態」とな
るような電位、つまり、Vth_Lより大きい電位を第5の配線3005に与えればよい
【0244】
本実施の形態に示す半導体装置では、トランジスタ3300は、酸化物半導体を有する半
導体にチャネルが形成されるトランジスタである。トランジスタ3300は、オフ電流が
小さいため、これを用いることにより長期にわたり記憶内容を保持することが可能である
。つまり、リフレッシュ動作を必要としない、または、リフレッシュ動作の頻度が極めて
少ない半導体記憶装置とすることが可能となるため、消費電力を十分に低減することがで
きる。
【0245】
本実施の形態に示す半導体装置では、トランジスタ3300は、酸化物半導体を有する半
導体にチャネルが形成されるトランジスタである。トランジスタ3300は、先の実施の
形態で例示したトランジスタを適用することで、優れたサブスレッショルド特性が得られ
、微細なトランジスタとすることが可能である。また、スイッチ速度が速いため高速動作
が可能である。一方、トランジスタ3200は、酸化物半導体以外の半導体材料として単
結晶シリコンなどを用いたトランジスタであり、微細なトランジスタや高速動作が可能で
ある。これらを組み合わせることで、小型の半導体装置を実現できる。また、高速な書き
込み動作、読み出し動作が可能となる。
【0246】
図11(C)に示す半導体装置は、トランジスタ3200を設けていない点で図11(A
)と相違している。この場合も上記と同様の動作により情報の書き込みおよび保持動作が
可能である。
【0247】
次に、情報の読み出しについて説明する。トランジスタ3300がオン状態となると、浮
遊状態である第3の配線3003と容量素子3400とが導通し、第3の配線3003に
付随する配線容量と容量素子3400の間で電荷が再分配される。その結果、第3の配線
3003の電位が変化する。第3の配線3003の電位の変化量は、容量素子3400に
蓄積された電荷(または容量素子3400の電極の一方の電位)によって、異なる値をと
る。
【0248】
例えば、容量素子3400の一方の電極の電位をV、容量素子3400の容量をC、第3
の配線3003に付随する配線容量をCB、電荷が再分配される前の第3の配線3003
の電位をVB0とし、第5の配線3005の電位を0V、第3の配線3003に付随する
配線容量の他方の電極の電位を0Vとすると、電荷が再分配された後の第3の配線300
3の電位は、(CB×VB0+C×V)/(CB+C)となる。したがって、メモリセル
の状態として、容量素子3400の電極の一方の電位がV1とV0(V1>V0)の2状
態をとるとすると、電位V1を保持している場合の第3の配線3003の電位(=(CB
×VB0+C×V1)/(CB+C))は、電位V0を保持している場合の第3の配線3
003の電位(=(CB×VB0+C×V0)/(CB+C))よりも高くなることがわ
かる。
【0249】
そして、第3の配線3003の電位を所定の電位と比較することで、情報を読み出すこと
ができる。
【0250】
この場合、メモリセルを駆動させるための駆動回路に上記第1の半導体材料が適用された
トランジスタを用い、トランジスタ3300として第2の半導体材料が適用されたトラン
ジスタを駆動回路上に積層して設ける構成とすればよい。
【0251】
本実施の形態に示す半導体装置では、チャネル形成領域に酸化物半導体を用いたオフ電流
の極めて小さいトランジスタを適用することで、極めて長期にわたり記憶内容を保持する
ことが可能である。つまり、リフレッシュ動作が不要となるか、または、リフレッシュ動
作の頻度を極めて低くすることが可能となるため、消費電力を十分に低減することができ
る。また、電力の供給がない場合(ただし、電位は固定されていることが望ましい)であ
っても、長期にわたって記憶内容を保持することが可能である。
【0252】
本実施の形態に示す半導体装置では、トランジスタ3300は、酸化物半導体を有する半
導体にチャネルが形成されるトランジスタである。トランジスタ3300は、先の実施の
形態で例示したトランジスタを適用することで、優れたサブスレッショルド特性が得られ
、微細なトランジスタとすることが可能である。また、スイッチ速度が速いため高速動作
が可能である。その結果、小型の半導体装置を実現できる。また、高速な書き込み動作、
読み出し動作が可能となる。
【0253】
また、該半導体装置は、情報の書き込みに高い電圧が不要であるため、素子の劣化が起こ
りにくい。例えば、従来の不揮発性メモリのように、フローティングゲートへの電子の注
入や、フローティングゲートからの電子の引き抜きを行わないため、絶縁体の劣化といっ
た問題が生じない。すなわち、本発明の一態様に係る半導体装置は、従来の不揮発性メモ
リで問題となっている書き換え可能回数に制限はなく、信頼性が飛躍的に向上した半導体
装置である。さらに、トランジスタの導通状態、非導通状態によって、情報の書き込みが
行われるため、高速な動作が可能となる。
【0254】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態および実施例と適宜組み合わせる
ことができる。
【0255】
(実施の形態5)
本発明の一態様に係る半導体装置の構成例を、図12に示す。
【0256】
図12に示す半導体装置200は、第1の記憶回路201と、第2の記憶回路202と、
第3の記憶回路203と、読み出し回路204と、を有する。半導体装置200には、電
位V1と電位V2の電位差が、電源電圧として供給される。電位V1と電位V2は一方が
ハイレベルであり、他方がローレベルである。以下、電位V1がローレベル、電位V2が
ハイレベルの場合を例に挙げて、本発明の一態様に係る半導体装置の構成例について説明
するものとする。
【0257】
第1の記憶回路201は、半導体装置200に電源電圧が供給されている期間において、
データを含む信号Dが入力されると、当該データを保持する機能を有する。そして、半導
体装置200に電源電圧が供給されている期間において、第1の記憶回路201からは、
保持されているデータを含む信号Qが出力される。一方、第1の記憶回路201は、半導
体装置200に電源電圧が供給されていない期間においては、データを保持することがで
きない。すなわち、第1の記憶回路201は、揮発性の記憶回路と呼ぶことができる。
【0258】
第2の記憶回路202は、半導体装置200に電源電圧が供給されている期間において、
第1の記憶回路201に保持されているデータを読み込むことで、当該データを退避させ
る機能を有する。第3の記憶回路203は、半導体装置200に電源電圧が供給されてな
い期間において、第2の記憶回路202に保持されているデータを読み込むことで、当該
データを退避させる機能を有する。読み出し回路204は、電源電圧が半導体装置200
に供給されている期間において、第2の記憶回路202または第3の記憶回路203に保
持されたデータを読み出す機能を有する。
【0259】
図12に示すように、第2の記憶回路202が、トランジスタ212と、容量素子219
と、を有する。第3の記憶回路203が、トランジスタ213と、トランジスタ215と
、容量素子220と、を有する。読み出し回路204が、トランジスタ210と、トラン
ジスタ218と、トランジスタ209と、トランジスタ217と、を有する。
【0260】
トランジスタ212は、第1の記憶回路201に保持されているデータに応じた電荷を、
容量素子219に充放電する機能を有する。トランジスタ212は、第1の記憶回路20
1に保持されているデータに応じた電荷を容量素子219に対して高速に充放電できるこ
とが望ましい。具体的には、トランジスタ212が、結晶性を有するシリコン(好ましく
は多結晶シリコン、更に好ましくは単結晶シリコン)をチャネル形成領域に含むことが望
ましい。
【0261】
トランジスタ213は、容量素子219に保持されている電荷にしたがって導通状態また
は非導通状態が選択される。トランジスタ215は、トランジスタ213が導通状態であ
るときに、配線244の電位に応じた電荷を容量素子220に充放電する機能を有する。
トランジスタ215は、オフ電流が著しく小さいことが望ましい。具体的には、トランジ
スタ215が、酸化物半導体(好ましくはIn、Ga、およびZnを含む酸化物)をチャ
ネル形成領域に含むことが望ましい。
【0262】
各素子の接続関係を具体的に説明すると、トランジスタ212のソースおよびドレインの
一方は、第1の記憶回路201に接続されている。トランジスタ212のソースおよびド
レインの他方は、容量素子219の一方の電極、トランジスタ213のゲート、およびト
ランジスタ218のゲートに接続されている。容量素子219の他方の電極は、配線24
2に接続されている。トランジスタ213のソースおよびドレインの一方は、配線244
に接続されている。トランジスタ213のソースおよびドレインの他方は、トランジスタ
215のソースおよびドレインの一方に接続されている。トランジスタ215のソースお
よびドレインの他方は、容量素子220の一方の電極、およびトランジスタ210のゲー
トに接続されている。容量素子220の他方の電極は、配線243に接続されている。ト
ランジスタ210のソースおよびドレインの一方は、配線241に接続されている。トラ
ンジスタ210のソースおよびドレインの他方は、トランジスタ218のソースおよびド
レインの一方に接続されている。トランジスタ218のソースおよびドレインの他方は、
トランジスタ209のソースおよびドレインの一方に接続されている。トランジスタ20
9のソースおよびドレインの他方は、トランジスタ217のソースおよびドレインの一方
、および第1の記憶回路201に接続されている。トランジスタ217のソースおよびド
レインの他方は、配線240に接続されている。また、図12においては、トランジスタ
209のゲートは、トランジスタ217のゲートと接続されているが、トランジスタ20
9のゲートは、必ずしもトランジスタ217のゲートと接続されていなくてもよい。
【0263】
なお、図12では、第3の記憶回路203と読み出し回路204とが接続されているとと
もに、第2の記憶回路202と読み出し回路204とが接続されている場合を例示してい
るが、本発明の一態様はこの構成に必ずしも限定されない。すなわち、読み出し回路20
4は、少なくとも第3の記憶回路203と接続されていれば、第2の記憶回路202とは
必ずしも接続されていなくてもよい。ただし、読み出し回路204が第2の記憶回路20
2と接続されている構成の方が、第2の記憶回路202に保持されているデータを読み出
して第1の記憶回路201に当該データを供給することが可能となるので、時間的に粒度
の細かいパワーゲーティングを行うためには好ましい。
【0264】
トランジスタ215に先の実施の形態で例示したトランジスタを適用することで、オフ電
流が小さいだけでなく、優れたサブスレッショルド特性が得られ、微細なトランジスタと
することが可能である。また、スイッチ速度が速いため高速動作が可能である。その結果
、小型の半導体装置を実現できる。また、第1の記憶回路201に保持されているデータ
を高速に退避することが可能となるので、時間的に粒度の細かいパワーゲーティングを行
うことができる。
【0265】
(実施の形態6)
本発明の一態様に係る半導体装置を用いた装置の構成の一例について、図13を用いなが
ら説明する。
【0266】
図13に示す半導体装置300は、CPUコア301、パワーマネージメントユニット3
21および周辺回路322を有する。パワーマネージメントユニット321は、パワーコ
ントローラ302、およびパワースイッチ303を有する。周辺回路322は、キャッシ
ュメモリを有するキャッシュ304、バスインターフェース(BUS I/F)305、
およびデバッグインターフェース(Debug I/F)306を有する。CPUコア3
01は、データバス323、制御装置307、PC(プログラムカウンタ)308、パイ
プラインレジスタ309、パイプラインレジスタ310、ALU(Arithmetic
logic unit)311、およびレジスタファイル312を有する。CPUコア
301と、キャッシュ304等の周辺回路322とのデータのやり取りは、データバス3
23を介して行われる。本発明の一態様に係る半導体装置は、PC(プログラムカウンタ
)308、パイプラインレジスタ309、パイプラインレジスタ310、または/および
レジスタファイル312等に適用することができる。なお、これらは本発明の一態様に係
る半導体装置を適用できる回路の一例であって、レジスタを有する回路であれば、他の回
路にも適用することができる。本発明の一態様に係る半導体装置を、これらの回路に適用
することにより、消費電力を積極的に抑制することが可能な半導体装置を提供できる。
【0267】
制御装置307は、PC308、パイプラインレジスタ309、パイプラインレジスタ3
10、ALU311、レジスタファイル312、キャッシュ304、バスインターフェー
ス305、デバッグインターフェース306、およびパワーコントローラ302の動作を
統括的に制御することで、入力されたアプリケーションなどのプログラムに含まれる命令
をデコードし、実行する機能を有する。
【0268】
ALU311は、四則演算、論理演算などの各種演算処理を行う機能を有する。
【0269】
キャッシュ304は、使用頻度の高いデータを一時的に記憶しておく機能を有する。PC
308は、次に実行する命令のアドレスを記憶する機能を有するレジスタである。なお、
図13では図示していないが、キャッシュ304には、キャッシュメモリの動作を制御す
るキャッシュコントローラが設けられている。
【0270】
パイプラインレジスタ309は、命令データを一時的に記憶する機能を有するレジスタで
ある。
【0271】
レジスタファイル312は、汎用レジスタを含む複数のレジスタを有しており、制御装置
307のメインメモリから読み出されたデータ、またはALU311の演算処理により得
られたデータ、などを記憶することができる。
【0272】
パイプラインレジスタ310は、ALU311の演算処理に利用するデータ、またはAL
U311の演算処理の結果得られたデータなどを一時的に記憶する機能を有するレジスタ
である。
【0273】
バスインターフェース305は、半導体装置300と半導体装置300の外部にある各種
装置との間におけるデータの経路としての機能を有する。デバッグインターフェース30
6は、デバッグの制御を行うための命令を半導体装置300に入力するための信号の経路
としての機能を有する。バスインターフェース305とデバッグインターフェース306
には、それぞれにレジスタが付設されている。
【0274】
パワースイッチ303は、半導体装置300が有する、パワーコントローラ302以外の
各種回路への、電源電圧の供給を制御する機能を有する。上記各種回路は、幾つかのパワ
ードメインにそれぞれ属しており、同一のパワードメインに属する各種回路は、パワース
イッチ303によって電源電圧の供給の有無が制御される。また、パワーコントローラ3
02はパワースイッチ303の動作を制御する機能を有する。
【0275】
上記構成を有する半導体装置300における、パワーゲーティングの動作の流れについて
、一例を挙げて説明する。
【0276】
まず、CPUコア301が、電源電圧の供給を停止するタイミングを、パワーコントロー
ラ302のレジスタに設定する。次いで、CPUコア301からパワーコントローラ30
2へ、パワーゲーティングを開始する旨の命令を送る。次いで、半導体装置300内に含
まれる各種レジスタとキャッシュ304が、データの退避を開始する。次いで、半導体装
置300が有するパワーコントローラ302以外の各種回路への電源電圧の供給が、パワ
ースイッチ303により停止される。次いで、割込み信号がパワーコントローラ302に
入力されることで、半導体装置300が有する各種回路への電源電圧の供給が開始される
。なお、パワーコントローラ302にカウンタを設けておき、電源電圧の供給が開始され
るタイミングを、割込み信号の入力に依らずに、当該カウンタを用いて決めるようにして
もよい。次いで、各種レジスタとキャッシュ304が、データの復帰を開始する。次いで
、制御装置307における命令の実行が再開される。
【0277】
本発明の一態様に係るトランジスタを、プロセッサが有するレジスタやキャッシュメモリ
などの記憶装置に用いることで、電源電圧の供給停止による記憶装置内のデータの消失を
防ぐことができる。また、電源電圧の供給を再開した後、短時間で電源供給停止前の状態
に復帰することができる。よって、プロセッサ全体、もしくはプロセッサを構成する一つ
、または複数の論理回路において、短い時間でも電源停止を行うことができるため、消費
電力を抑えることができる。
【0278】
本発明の一態様に係るトランジスタは、オフ電流が小さいだけでなく、優れたサブスレッ
ショルド特性が得られ、微細なトランジスタとすることが可能である。また、スイッチ速
度が速いため高速動作が可能である。その結果、先の実施形態で例示した当該トランジス
タを用いたレジスタを適用することで、小型の半導体装置を実現できる。また、データを
高速に退避することが可能となるので、時間的に粒度の細かいパワーゲーティングを行う
ことができる。その結果、消費電力を抑えることができる。
【0279】
なお、本発明の一態様に係るトランジスタを用いた記憶回路は、CPUだけでなく、DS
P(Digital Signal Processor)、カスタムLSI、PLD(
Programmable Logic Device)などのLSI、RF(Radi
o Frequency)タグ、GPU(Graphics Processing U
nit)にも応用可能である。
【0280】
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る半導体装置の使用例について説明する。
【0281】
図14(A)に、リードフレーム型のインターポーザを用いたパッケージの断面構造を表
す斜視図を示す。図14(A)に示すパッケージは、本発明の一態様に係る半導体装置に
相当するチップ751が、ワイヤボンディング法により、インターポーザ750上の端子
752と接続されている。端子752は、インターポーザ750のチップ751がマウン
トされている面上に配置されている。そしてチップ751はモールド樹脂753によって
封止されていてもよいが、各端子752の一部が露出した状態で封止されるようにする。
【0282】
パッケージが回路基板に実装されている電子機器(携帯電話)のモジュールの構成を、図
14(B)に示す。図14(B)に示す携帯電話のモジュールは、プリント配線基板80
1に、パッケージ802と、バッテリー804とが実装されている。また、表示素子が設
けられたパネル800に、プリント配線基板801がFPC803によって実装されてい
る。
【0283】
(実施の形態8)
本発明の一態様に係る半導体装置は、表示機器、パーソナルコンピュータ、記録媒体を備
えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital Versatile Disc
などの記録媒体を再生し、その画像を表示しうる表示装置を有する装置)に用いることが
できる。その他に、本発明の一態様に係る半導体装置を用いることができる電子機器とし
て、携帯電話、携帯型を含むゲーム機、携帯データ端末、電子書籍端末、ビデオカメラ、
デジタルスチルカメラなどのカメラ、ゴーグル型表示装置(ヘッドマウントディスプレイ
)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレ
イヤーなど)、複写機、ファクシミリ、プリンタ、プリンタ複合機、現金自動預け入れ払
い機(ATM)、自動販売機などが挙げられる。これら電子機器の具体例を図15に示す
【0284】
図15(A)は携帯型ゲーム機であり、筐体901、筐体902、表示部903、表示部
904、マイクロフォン905、スピーカー906、操作キー907、スタイラス908
などを有する。なお、図15(A)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部903と表
示部904とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定されな
い。
【0285】
図15(B)は携帯データ端末であり、第1筐体911、第2筐体912、第1表示部9
13、第2表示部914、接続部915、操作キー916などを有する。第1表示部91
3は第1筐体911に設けられており、第2表示部914は第2筐体912に設けられて
いる。そして、第1筐体911と第2筐体912とは、接続部915により接続されてお
り、第1筐体911と第2筐体912の間の角度は、接続部915により変更が可能であ
る。第1表示部913における映像を、接続部915における第1筐体911と第2筐体
912との間の角度にしたがって、切り替える構成としてもよい。また、第1表示部91
3および第2表示部914の少なくとも一方に、位置入力装置としての機能が付加された
表示装置を用いるようにしてもよい。なお、位置入力装置としての機能は、表示装置にタ
ッチパネルを設けることで付加することができる。または、位置入力装置としての機能は
、フォトセンサーとも呼ばれる光電変換素子を表示装置の画素部に設けることでも、付加
することができる。
【0286】
図15(C)はノート型パーソナルコンピュータであり、筐体921、表示部922、キ
ーボード923、ポインティングデバイス924などを有する。
【0287】
図15(D)は電気冷凍冷蔵庫であり、筐体931、冷蔵室用扉932、冷凍室用扉93
3などを有する。
【0288】
図15(E)はビデオカメラであり、第1筐体941、第2筐体942、表示部943、
操作キー944、レンズ945、接続部946などを有する。操作キー944およびレン
ズ945は第1筐体941に設けられており、表示部943は第2筐体942に設けられ
ている。そして、第1筐体941と第2筐体942とは、接続部946により接続されて
おり、第1筐体941と第2筐体942の間の角度は、接続部946により変更が可能で
ある。表示部943における映像を、接続部946における第1筐体941と第2筐体9
42との間の角度にしたがって切り替える構成としてもよい。
【0289】
図15(F)は普通自動車であり、車体951、車輪952、ダッシュボード953、ラ
イト954などを有する。
【0290】
これらの電子機器に、本発明の一態様に係る半導体装置を用いることで、電子機器内のL
SIの省電力を行うことが可能となる。つまり、LSIに本発明の一態様であるトランジ
スタを使用し、電力が供給されない状況でも記憶内容の保持が可能な記憶回路を用いるこ
とで、当該LSIが一時的に使用されていない場合に、当該LSIへ供給する電源を遮断
することが可能となる。電源を遮断する前に、論理回路の状態を当該記憶回路に退避する
ことで可能となる。その結果、消費電力を低減することが可能となるとともに、電源を投
入後に、電源遮断前の状態に素早く戻ることで、高速に復帰することができる。
【0291】
先の実施の形態で例示したトランジスタを適用することで、優れたサブスレッショルド特
性が得られ、微細なトランジスタとすることが可能である。また、スイッチ速度が速いた
め高速動作が可能である。その結果、小型の半導体装置を実現できる。また、高速な書き
込み動作、読み出し動作が可能となる。その結果、素早く電源を遮断することができ、ま
た、電源投入後に素早く復帰することができる。
【0292】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態または実施例と適宜組み合わせる
ことができる。
【実施例1】
【0293】
本実施例では、本発明の一態様の半導体装置について図面を用いて説明する。
【0294】
チャネル形成領域であるC-axis aligned crystalline In
dium-Gallium-Zinc Oxide(CAAC-IGZO)アイランドの
上面だけでなく側面もゲート電極で取り囲んだ構造のトランジスタ、すなわちSurro
unded channel (s-channel) CAAC-IGZOトランジス
タを作製することにより、チャネル長を50nm程度まで微細化しても良好なサブスレッ
ショルド特性を維持することができる。
【0295】
図16(A)と図16(B)に、s-channel CAAC-IGZOトランジスタ
の模式図と平面図をそれぞれ示す。トランジスタは絶縁体BIと、絶縁体BI上のCAA
C-IGZOを有する酸化物半導体OSと、酸化物半導体OSと電気的に接続する電極M
E(ソース電極およびドレイン電極)と、酸化物半導体OS、電極ME上のゲート絶縁体
GIと、酸化物半導体OS、電極MEの一部とゲート絶縁体GIを介して重なるゲート電
極GEと、を有する。図16のトランジスタはトップゲート・トップコンタクト構造でゲ
ート電極GEがソース電極およびドレイン電極を構成する電極MEと重なった構造をして
いる。図16(B)に示すように、チャネル長Lchは電極ME間の距離、チャネル幅W
islandは酸化物半導体OSの幅を表す。
【0296】
図16(C)と図16(D)に、実際に作製したトランジスタの断面STEM(Scan
ning Transmission Electron Microscope)像を
示す。図に示す通り、トランジスタは絶縁体BIと、酸化物半導体OSと、電極ME(ソ
ース電極およびドレイン電極)と、ゲート絶縁体GIと、ゲート電極GEと、を有し、所
望のデバイス構造が出来ていることが確認できる。
【0297】
酸化物半導体OSは、絶縁体BI上に、気体のArおよびOを含む雰囲気のもとIn:
Ga:Zn=1:1:1(原子数比)の組成を有する多結晶ターゲットを用い、DCスパ
ッタリング法で、基板温度300℃として成膜した。図17(A)の酸化物半導体OSの
Out-of-plane X線回折スペクトラムは、図17(B)のような単位セルを
持つInGaZnO結晶に起因する(009)回折ピークを示す。実際、図17(C)
に示す酸化物半導体OSの断面における高分解能TEM像を見ると、基板垂直方向に層状
に原子が配列した構造が観察される。また、図17(D)に示すように、酸化物半導体O
Sの表面における高分解能TEM像を見ると、三角形状および六角形状の原子配列が観察
される。これらの特徴より、酸化物半導体OSがCAAC-IGZOであることがわかる
。参考までに、図18にsingle crystalline Indium-Gal
lium-Zinc Oxide(単結晶IGZO)の高分解能TEM像を示す。なお、
図18(A)は断面における高分解能TEM像であり、図18(B)は表面における高分
解能TEM像である。単結晶IGZOとCAAC-IGZOとは構造が異なることがわか
る。
【0298】
酸化物半導体OSの膜厚は40nm、ゲート絶縁体GIの厚さは酸化膜換算膜厚で11n
m、絶縁体BIの厚さは酸化膜換算膜厚で390nmとしたときのトランジスタの電気特
性を調べた。図19(A)および(B)にWisland=47nm、Lch=56nm
のトランジスタにおけるI-V特性とI-V特性をそれぞれ示す。なお、I
トランジスタのドレイン電流、Vはドレイン電圧、Vはゲート電圧を、それぞれ示す
。また、図19(A)および(B)には、9サンプル測定したうちの中央値を示している
。アウトプット特性は良好であり、V=3V、V=1Vにおけるオン電流は58μA
/μmである。また、トランジスタ特性はノーマリオフである。オフ電流は通常の半導体
パラメータアナライザの測定下限(0.1pA未満)未満になる。turn-on電圧V
turn-on(I=1pAにおけるV)およびSSの9サンプルに対するV依存
性を図20に示す。図20によると、短チャネルにも関わらず優れたサブスレッショルド
特性であることが分かる。すなわち、DIBL(Drain Induced Barr
ier Lowering)とSS(Subthreshold swing valu
e)は中央値で67mV/V、92mV/dec(V=1V)であった。
【0299】
これはチャネル幅が十分に狭いため、酸化物半導体OS側面からのゲート電界のチャネル
への影響が強くなるためである。実際、図21図22に示すように、チャネル幅が大き
くなるほどサブスレッショルド特性が悪化している。図21には、チャネル長Lchを5
6nmに固定してチャネル幅を変化させたV=1VにおけるI-V特性を示す。図
22にturn-on電圧とSSのチャネル幅依存性を示す。チャネル幅が大きくなると
、SSが増大しturn-on電圧が負方向にシフトしている。逆にチャネル幅Wisl
andが100nm未満では特性値が飽和し始めている。
【0300】
チャネル幅の縮小に伴いSSが改善した理由を、デバイス計算を用いて考察する。Syn
opsys社のSentaurusを用いて、3Dデバイス計算を行った。デバイス構造
は、作製したs-channel CAAC-IGZOトランジスタを模した構造とした
図30(A)および(B)に、それぞれ、Wisland=50nmおよび90nm、
ch=56nmのトランジスタのチャネル幅方向の断面における活性層の電子電流密度
分布を示す。活性層は酸化物半導体に相当する。Vは-1V、Vは1Vを設定した。
図30(B)に示すように、Wislandが90nmのトランジスタは、ゲート電極か
ら遠い、活性層のバックチャネル側の電子電流密度が大きくなっていることが分かる。一
方、図30(A)に示すように、Wislandが50nmのトランジスタは、バックチ
ャネル側の電子電流密度が大きく低減している。このように、Wislandを狭くする
ことで、バックチャネル側の電子電流密度の制御性が高くなっている。その結果、SSが
改善したと言うことができる。
【0301】
活性層の上端部に丸みを持たせた場合の3Dデバイス計算の結果を、図31(A)および
図31(B)に示す。結果として、狭いチャネル幅をもつデバイス構造では、図23と図
24で示されるように短チャネル効果に強くなる。図23にチャネル幅を47nmに固定
して、チャネル長Lchを変化させたV=1VにおけるI-V特性を示す。図24
にturn-on電圧とSSのチャネル長Lch依存性を示す。チャネル幅を47nmに
固定したとき、チャネル長Lch56nmまでの結果では短チャネル効果による特性劣化
がほとんど見られない。
【0302】
図32に、2種類のトランジスタ(図中、トランジスタAおよびトランジスタBと記載)
のドレイン電流Iのチャネル長Lch依存性を示す。ドレイン電流Iは、V=1V
、V=2.7Vにおける電流である。チャネル幅は約50nmである。トランジスタA
は、図23に示すI-V特性を得たトランジスタである。トランジスタBは、トラン
ジスタAと比較して、ソース電極およびドレイン電極の膜厚を厚くしたトランジスタであ
る。トランジスタBのドレイン電流Iは、6サンプルの平均値を用いた。図32より、
いずれのトランジスタにおいても、ドレイン電流Iはチャネル長Lchの縮小に伴い増
加することが確認される。トランジスタBのドレイン電流Iは、トランジスタAのドレ
イン電流Iと比較して、高く、また、チャネル長Lchの縮小に伴う増加が大きい。こ
れは、ソース電極およびドレイン電極の膜厚を厚くした結果、ソース電極およびドレイン
電極の抵抗値が低減されたためである。
【0303】
図33に、V=1V、V=2.7Vにおけるドレイン電流(図中、オン電流Ion
記載)と、V=1V、V=0Vにおけるドレイン電流(図中、オフ電流Ioffと記
載)の関係を示す。データは、図23に示すI-V特性を得たトランジスタから取得
した。図33より、V=1V、V=0Vにおけるドレイン電流は、V=1V、V
=2.7Vにおけるドレイン電流に依らず、測定下限である10-13A以下であり、低
い値であることが確認された。
【0304】
s-channel CAAC-IGZOトランジスタを用いた一応用例として図25
示すメモリ回路が挙げられる。図25に示すメモリ回路は、Siトランジスタとs-ch
annel CAAC-IGZOトランジスタ、および容量素子Csを有している。容量
素子Csの容量値は14fFである。
【0305】
図25において、Siトランジスタのソース電極はソース線SLと電気的に接続され、ド
レイン電極はビット線RBLと電気的に接続される。また、s-channel CAA
C-IGZOトランジスタのゲート電極はワード線WWLと電気的に接続され、ソース電
極またはドレイン電極の一方はビット線WBLと電気的に接続される。そして、Siトラ
ンジスタのゲート電極および、s-channel CAAC-IGZOトランジスタの
ソース電極またはドレイン電極の他方は、容量素子Csの電極の一方と電気的に接続され
、容量素子Csの電極の他方はワード線RWL電気的に接続されている。
【0306】
island=64nm、Lch=68nmのs-channel CAAC-IGZ
Oトランジスタを用いたメモリセルを作製し、実測とSPICEで書き込み時間(Twr
ite)の比較を行った。ここで書き込み時間(Twrite)は図26に示すタイミン
グチャートより、ワード線WWLをローレベルの電位(L電位)からハイレベルの電位(
H電位)に上げた後、フローティングノード(FN)の電位(VFN)がビット線WBL
の電位の90%になるまでの時間とした。
【0307】
図26は、メモリ回路への書き込みのタイミングチャートの一例を示している。ビット線
WBLをH電位(ここでは1.1V)として、ワード線WWLをH電位(ここでは3V)
とすると、s-channel CAAC-IGZOトランジスタがオンして、ビット線
WBLと容量素子Csの電極の一方が導通し、容量素子の電極の一方の電位(FNの電位
FN)がビット線WBLの電位に近づいて、書き込まれる。ワード線WWLがL電位(
ここでは0V)となると、s-channel CAAC-IGZOトランジスタがオフ
して書き込みが終了する。その後、ビット線WBLはL電位(ここでは0V)となる。書
き込み動作においては、ワード線RWLはL電位(ここでは0V)、ソース線SLはL電
位(ここでは0V)、ビット線RBLはH電位(ここでは1.1V)とする。
【0308】
図27に、書き込み時間と容量素子の電極の一方の電位(FNの電位VFN)の関係を示
す。図27に示すように実測では書き込み時間が60ns、SPICEでは50nsとな
り、概ね一致することが確認できた。
【0309】
また、図28において、s-channel CAAC-IGZOトランジスタとW=9
0nm、L=45nmのSiトランジスタで保持容量の値を条件振りした場合の書き込み
時間の変動をSPICEにて確認を行った。s-channel CAAC-IGZOト
ランジスタとSiトランジスタとでは約30倍の書き込み時間Twriteの差が確認さ
れた。しかし、s-channel CAAC-IGZOトランジスタのオフ電流は、V
が0Vのときに10-19A未満と見積もられ、保持容量を1fF、FNノードのリー
クによる電圧降下を0.1Vまで許容すると1,000sより長いリテンションとなる。
また、この場合、書き込み時間は5ns未満となる。
【0310】
また、図29(A)に、室温における時間と容量素子の電極の一方の電位(FNの電位V
FN)の関係を示す。電位VFNが10%低下するまでの期間をデータの保持期間とする
と、図29(A)に示すように実測では、およそ3×10s(3.5日)までデータを
保持できることがわかった。
【0311】
また、図29(B)には、室温における電位VFNと、ビット線RBLとソース線SLと
の間を流れる電流と、の関係を示す。なお、FNの電位VFNは、s-channel
CAAC-IGZO トランジスタを導通状態とし、ビット線WBLに印加する電位を変
化させることによって変化させた。電位VFNの変化と前述の電流との間には、電位V
が0V(厳密には0.02V程度)から1.1Vまでの範囲において、正の相関が見ら
れることがわかった。したがって、前述の電流をモニターすることにより、メモリ回路に
保持されたデータ(電位VFN)を読み出しすることが可能であることがわかる。
【0312】
このような特性は、高速低消費電力LSIへ応用可能である。特に、メモリなどへの応用
が可能である。
【実施例2】
【0313】
本実施例では、本発明の一態様の半導体装置について図面を用いて説明する。
【0314】
微細化したs-channel CAAC-IGZOトランジスタの特徴を詳しく調べる
ことは、LSI等への応用において非常に重要である。そこで、様々なチャネル幅をもつ
チャネル長50nmレベルのs-channel CAAC-IGZOトランジスタを作
製し、それらの電流特性を比較することで、s-channel構造の効果を調べた。
【0315】
作製したs-channel CAAC-IGZOトランジスタの構造は、図16(A)
図16(B)に示したトランジスタの模式図と平面図と同様であり、図16(A)と図
16(B)の説明を適宜参照することができる。s-channel CAAC-IGZ
Oトランジスタはトップゲート、トップコンタクト構造で、ゲート電極GEは、ソース電
極およびドレイン電極を構成する電極MEにオーバーラップしている。また、チャネル側
面に設けられたゲート電極GEは、酸化物半導体OS下の絶縁体BIの側壁の一部を覆う
構造になっている。図16(B)に示すように、チャネル長Lchは電極ME間の距離、
チャネル幅Wislandは酸化物半導体OSの幅を表す。
【0316】
作製プロセスを以下に示す。Si基板上に形成した絶縁体BI上に、酸化物半導体OSを
、DCスパッタ装置を用いて15nm成膜した。ターゲットは、In:Ga:Zn=1:
1:1(原子数比)の組成を有する多結晶ターゲットを用いた。また、成膜条件は、Ar
およびOを含む雰囲気とし、成膜時の基板温度は300℃とした。ここで、このような
条件で成膜された酸化物半導体は、XRD装置を用いた構造解析や高分解能TEMによる
観察から、CAAC-IGZOであることが確認された。CAAC-IGZO成膜後にC
AAC-IGZOのアイランドを形成し、その次にソース電極およびドレイン電極をCA
AC-IGZOアイランドの上部に形成した。その後、酸化膜換算膜厚で11nmのゲー
ト絶縁体と、メタルのゲート電極を形成した。
【0317】
図34(A)と(B)に、s-channel CAAC-IGZOトランジスタのチャ
ネル長方向とチャネル幅方向の断面STEM像を、それぞれ示す。図34(A)と(B)
より、所望の構造が得られていることが分かる。
【0318】
図35(A)に、Wisland=110nm、Lch=51nmのs-channel
CAAC-IGZOトランジスタの、V=0.1Vおよび1VにおけるI-V
性を示す。図35(B)に、Wisland=50nmで、Lch=51nmのs-ch
annel CAAC-IGZOトランジスタの、V=0.1Vおよび1VにおけるI
-V特性を示す。図35(A)より、Wislandが110nmと広いときは、V
が大きくなるとI-V特性がゲート電圧のマイナス方向にシフトし、DIBL効果
が確認できる。このときのDIBLは0.59V/Vである。一方、図35(B)のよう
にWislandが50nmと狭いときは、Vが大きくなってもI-V特性のゲー
ト電圧のマイナス方向へのシフトは小さく、DIBL効果が抑えられていることが分かる
。このときのDIBLは0.14V/Vと小さくなっている。
【0319】
この理由を説明する。ドレイン電界により、チャネル中のポテンシャルが影響を受ける距
離を自然長といい、式(1)で表される。
【0320】
【数1】
【0321】
ここで、λは自然長、εactは活性層の比誘電率、εoxはゲート絶縁体の比誘電率
、tactは活性層の膜厚、toxはゲート絶縁体の膜厚を示す。nはチャネルに対する
実効的なゲートの数(effective number of gate)を表す。活
性層は、s-channel CAAC-IGZOトランジスタにおいて、酸化物半導体
に相当する。例えば、単一のゲートが設けられているトランジスタ(シングルゲート構造
とも呼ぶ)では、nは1である。半導体を挟むように2つのゲートが設けられているトラ
ンジスタ(デュアルゲート構造とも呼ぶ)では、nは2である。半導体の上面と側面の3
方向を覆うようにゲートが設けられているトランジスタ(トライゲート構造とも呼ぶ)で
は、nは3である。半導体を一周して覆うようにゲートが設けられているトランジスタ(
クアドラプルゲート構造とも呼ぶ)では、nは4である。λが短いほど、ドレイン電界
によるチャネル中のポテンシャルへの影響が小さいことを意味する。s-channel
CAAC-IGZO トランジスタでは、Wislandが広い場合、チャネル上面の
ゲート電極の寄与が支配的で、式(1)のnは1に近い。一方、Wislandが狭くな
ると、チャネル側面のゲート電極の寄与も大きくなるので、式(1)のnが3に近づき、
λが短くなる。そのため、Wislandが狭くなることでDIBLが改善したと言う
ことができる。
【0322】
図36に、Lchが51nmで、Wislandが様々な値を有する複数のs-chan
nel CAAC-IGZOトランジスタのI-V特性を示す。Vは1Vである。
また、式(2)より求められる線形領域の電界効果移動度μFE_linも示す。
【0323】
【数2】
【0324】
ここで、gはI-V特性より求めたトランスコンダクタンス、Coxはゲート絶縁
体容量である。比較したWislandは、50nm、90nm、210nm、510n
mである。
【0325】
まず、オフ状態となる領域に着目する。図36より、Wislandが狭くなっていくと
SSが改善し、Wisland=50nmではSS=103mV/decとなっているこ
とが分かる。一方、Wislandを広くするとSSは悪化するものの、ゲート電圧を負
に大きくすれば、測定下限である10-13A以下のオフ電流が得られている。特に、W
islandが50nmと90nmの場合は、ノーマリオフ特性も同時に満たしている。
【0326】
例えば、Wisland=510nmの場合は、Vが-1.5V以下であれば、10
13A以下のオフ電流が得られている。例えば、Wislandが50nmと90nmの
場合は、Vが0V以下であれば、10-13A以下のオフ電流が得られている。
【0327】
チャネル幅の縮小に伴いSSが改善した理由を、デバイス計算を用いて考察する。Syn
opsys社のSentaurusを用いて、3Dデバイス計算を行った。デバイス構造
は、作製したs-channel CAAC-IGZOトランジスタを模した構造とした
図37(A)および(B)に、それぞれ、Wisland=50nmおよび90nm、
ch=51nmのトランジスタのチャネル幅方向の断面における活性層の電子電流密度
分布を示す。活性層は酸化物半導体に相当する。Vは-1V、Vは1Vとした。図3
7(B)に示すように、Wislandが90nmのトランジスタは、ゲート電極から遠
い、活性層のバックチャネル側の電子電流密度が大きくなっていることが分かる。一方、
図37(A)に示すように、Wislandが50nmのトランジスタは、バックチャネ
ル側の電子電流密度が大きく低減している。このように、Wislandを狭くすること
で、バックチャネル側の電子電流密度の制御性が高くなっている。その結果、SSが改善
したと言うことができる。
【0328】
次に、オン状態となる領域に着目する。μFE_linは本来チャネル幅に依存しないは
ずであるが、Wislandの縮小に伴い上昇していることが分かる。この理由は、W
slandの縮小に伴い、チャネル側面を流れる電流の寄与がチャネル上面を流れる電流
に対して大きくなったためである。つまり、Wislandの縮小により、トランジスタ
一つ当たりに流せる電流を高めることができる。すなわち、s-channel構造のW
islandを狭くすることでオン電流特性の向上が可能である。
【0329】
以上のように、チャネル幅を狭くすることでDIBL、SS、オン電流特性が改善するこ
とがわかった。この理由としては、Wislandの縮小に伴い、チャネル上面に対して
チャネル側面のゲート電極の寄与が大きくなるためである。また、s-channel
CAAC-IGZOトランジスタでは、Wislandを狭くすることで、チャネル長5
0nmレベルの微細領域でも、ノーマリオフであり、オフ状態となる領域では、小さいS
Sと小さいオフ電流が得られ、オン状態となる領域では、優れたオン電流特性が得られる
ことが分かった。このような特徴を利用することで、Si-LSIでは実現できないよう
な低消費電力向けのLSI等を実現できる可能性がある。
【実施例3】
【0330】
本実施例では、本発明の一態様の半導体装置について図面を用いて説明する。
【0331】
微細化したs-channel CAAC-IGZOトランジスタの特徴を詳しく調べる
ことは、LSI等への応用において非常に重要である。そこで、様々なチャネル幅、チャ
ネル長を有するs-channel CAAC-IGZOトランジスタを作製し、s-c
hannel構造の特性安定性を調べた。なお、作製プロセスは実施例2と同様であり、
酸化物半導体OSを15nm成膜し、ゲート絶縁体GIを酸化膜換算膜厚で9.5nm成
膜したものを用いた。
【0332】
図41図42図43に1枚の基板内に作製された234個のs-channel C
AAC-IGZOトランジスタの、I-V特性で得られたしきい値Vthの累積度数
分布を示す。図41のトランジスタのサイズは、Wisland=54nm、Lch=1
18nmであり、測定時の条件は、V=1Vとした。図42のトランジスタのサイズは
、Wisland=54nm、Lch=518nmであり、測定時の条件は、V=1V
とした。図43のトランジスタのサイズは、Wisland=94nm、Lch=118
nmであり、測定時の条件は、V=1Vとした。図41乃至43より、種々のサイズお
けるCAAC-IGZOトランジスタのVth特性バラツキ(σVth)は43乃至70
mVであった。CAAC-IGZOをトランジスタに用いることで、高いオン電流、低い
SS、さらに極めて低いオフ電流などの、優れたトランジスタ特性向上を有するだけでな
く、トランジスタ特性のばらつきが少なく、安定していることが確認された。したがって
、このような特徴、および他の実施例において得られた特徴を組み合わせることにより、
Si-LSIでは実現できないような低消費電力向けのLSI等を安定して作製できる可
能性がある。
【符号の説明】
【0333】
10 電子銃室
12 光学系
14 試料室
16 光学系
18 カメラ
20 観察室
22 フィルム室
24 電子
28 物質
32 蛍光板
101 トランジスタ
102 トランジスタ
103 トランジスタ
110 基板
120 絶縁体
130 酸化物半導体
131 酸化物半導体
132 酸化物半導体
133 酸化物半導体
140 ソース電極
150 ドレイン電極
160 ゲート絶縁体
170 ゲート電極
172 導電体
180 絶縁体
185 絶縁体
191 領域
192 領域
200 半導体装置
201 記憶回路
202 記憶回路
203 記憶回路
204 回路
209 トランジスタ
210 トランジスタ
212 トランジスタ
213 トランジスタ
215 トランジスタ
217 トランジスタ
218 トランジスタ
219 容量素子
220 容量素子
240 配線
241 配線
242 配線
243 配線
244 配線
300 半導体装置
301 CPUコア
302 パワーコントローラ
303 パワースイッチ
304 キャッシュ
305 バスインターフェース
306 デバッグインターフェース
307 制御装置
308 PC
309 パイプラインレジスタ
310 パイプラインレジスタ
311 ALU
312 レジスタファイル
321 パワーマネージメントユニット
322 周辺回路
323 データバス
402 絶縁体
404 導電体
406a 半導体
406b 半導体
406c 半導体
408 絶縁体
412 絶縁体
413 導電体
416 導電体
416a 導電体
416b 導電体
417 導電体
418 絶縁体
426 マスク
436a 半導体
436b 半導体
442 絶縁体
490 トランジスタ
750 インターポーザ
751 チップ
752 端子
753 モールド樹脂
800 パネル
801 プリント配線基板
802 パッケージ
803 FPC
804 バッテリー
901 筐体
902 筐体
903 表示部
904 表示部
905 マイクロフォン
906 スピーカー
907 操作キー
908 スタイラス
911 筐体
912 筐体
913 表示部
914 表示部
915 接続部
916 操作キー
921 筐体
922 表示部
923 キーボード
924 ポインティングデバイス
931 筐体
932 冷蔵室用扉
933 冷凍室用扉
941 筐体
942 筐体
943 表示部
944 操作キー
945 レンズ
946 接続部
951 車体
952 車輪
953 ダッシュボード
954 ライト
2100 トランジスタ
2200 トランジスタ
2201 絶縁体
2202 配線
2203 プラグ
2204 絶縁体
2205 配線
2206 配線
2207 絶縁体
2208 ブロック膜
2211 半導体基板
2212 絶縁体
2213 ゲート電極
2214 ゲート絶縁体
2215 ソース領域およびドレイン領域
3001 配線
3002 配線
3003 配線
3004 配線
3005 配線
3200 トランジスタ
3300 トランジスタ
3400 容量素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43