(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】締結装置のダイカートリッジおよび2枚以上の材料の締結方法
(51)【国際特許分類】
B21J 15/02 20060101AFI20220914BHJP
B21J 15/10 20060101ALI20220914BHJP
B21J 15/00 20060101ALI20220914BHJP
F16B 21/04 20060101ALI20220914BHJP
F16B 7/22 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
B21J15/02 Z
B21J15/10 C
B21J15/00 U
F16B21/04 A
F16B7/22
(21)【出願番号】P 2020519185
(86)(22)【出願日】2018-06-15
(86)【国際出願番号】 GB2018051651
(87)【国際公開番号】W WO2018229501
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2021-05-21
(32)【優先日】2017-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】508080296
【氏名又は名称】アトラス コプコ アイエイエス ユーケー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【氏名又は名称】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】キーロン ハロップ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ウィリアムス
【審査官】山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-540648(JP,A)
【文献】特開平04-251627(JP,A)
【文献】特表2007-535410(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0332216(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21J 15/02
B21J 15/10
B21J 15/00
F16B 21/04
F16B 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
締結装置のダイカートリッジであって:
複数のダイを
同時に受け入れるように構成されたキャビティを画定する本体と;
前記キャビティに受け入れられたダイが、当該キャビティから取り外され得る開口部と;
締結装置のダイチェンジャの相補的係合部と係合するように構成された係合部と、を含む、締結装置のダイカートリッジ。
【請求項2】
前記キャビティに受け入れられた任意のダイを、前記開口部に向けて付勢するように構成された付勢部材を含む、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記キャビティ内に少なくとも部分的に配置されたプラットフォームを含み、前記付勢部材が当該プラットフォームと接触し、当該プラットフォームが前記キャビティに受け入れられたダイと接触するように構成されており、前記付勢部材が、当該プラットフォームを介して、前記キャビティに受け入れられた任意のダイを前記開口部に向けて付勢するように構成されている、請求項2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記キャビティが、同一タイプの複数のダイを受け入れるように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記カートリッジが、第1および第2の別個の部分から形成され、当該第1の部分が前記本体を含み、当該第2の部分が前記係合部を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記カートリッジが、前記開口部に隣接して配置されたクランプ機構をさらに含み、当該クランプ機構は、クランプ部材が前記開口部に隣接する前記キャビティ内に配置されたダイと係合して、当該ダイおよび前記キャビティ内の任意の別のダイが前記開口部を介して前記キャビティから出ることを実質的に防止するクランプ構成と;前記クランプ部材が前記ダイと係合せず、当該ダイが前記開口部を介して前記キャビティから出ることを可能にするオープン構成と、の間を移動可能である、請求項1~
5のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記クランプ機構が前記締結装置の一部と係合するように構成されており、当該締結装置の一部は、前記クランプ機構を前記クランプ構成と前記オープン構成との間で移動させることができる、請求項
6に記載のカートリッジ。
【請求項8】
後退位置と配備位置との間を移動可能であるガイド部材を含み、当該ガイド部材は、前記開口部に隣接して前記キャビティの外側に配置されており、前記開口部を介して前記キャビティを出るダイをガイドするように構成されている、請求項1~
7のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項9】
前記ガイド部材を前記後退位置から前記配備位置に付勢するために、当該ガイド部材に接触するガイド付勢部材をさらに含む、請求項
8に記載のカートリッジ。
【請求項10】
保持構成と解放構成との間を移動するように構成された保持部をさらに含み、前記保持構成では、前記付勢部材を付勢状態に保持し、当該付勢部材が前記キャビティ内に配置された任意のダイに力を加えることを実質的に防ぐように、前記保持部が、前記本体の一部と前記付勢部材との間に機械的に連結され、前記解放構成では、前記付勢部材を付勢状態に保持せず、当該付勢部材が前記キャビティ内に配置された任意のダイに力を加えられるように、前記保持部が、前記本体の一部と前記付勢部材とを機械的に連結しない、請求項2~
9のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項11】
前記キャビティ内を前記開口部に向かうダイの移動を可能にし、かつ前記開口部から離れる当該ダイの移動を実施的に防止するように構成されたラチェット機構をさらに含む、請求項1~
10のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項12】
前記ラチェット機構は、少なくとも一部が前記キャビティ内に配置されたプラットフォーム部材をさらに含み、当該プラットフォーム部材は、前記キャビティに受け入れられたダイと接触するように構成されており、当該プラットフォーム部材が第1のラチェット部を含み、前記カートリッジの前記本体が対応する第2のラチェット部を含み、前記プラットフォーム部材が第1の方向に移動して前記キャビティ内に配置されたダイを前記開口部に向かって移動させる場合、前記第1および第2のラチェット部は、互いに対して通過し、前記プラットフォーム部材の前記本体に対する移動を可能にし、前記プラットフォーム部材が前記第1の方向とは反対向きに移動する場合、前記第1および第2のラチェット部は、互いに係合し、前記プラットフォーム部材の前記本体に対する移動を制限する、請求項
11に記載のカートリッジ。
【請求項13】
前記プラットフォームおよびプラットフォーム部材が同一である、請求項3に間接的に従属する場合の請求項
12に記載のカートリッジ。
【請求項14】
少なくとも2枚の材料を一緒に固定する方法であって:
締結装置が、請求項1~
13のいずれか一項に記載のダイカートリッジからダイを取得するステップと;
前記少なくとも2枚の材料を介して締結具を挿入するステップと;
ダイが前記締結具に力を加えて当該締結具を変形させ、それによって少なくとも2枚の材料を一緒に固定するステップと、を含む方法。
【請求項15】
物品の製造方法であって、請求項
14に記載の、少なくとも2枚の材料を一緒に固定することを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートリッジまたはカートリッジアセンブリに関し、特には、締結装置の一部を形成し得るカートリッジまたはカートリッジアセンブリに関する。この締結装置は、自己穿孔リベット(self-piercing rivets)を利用するリベットセッタであり得る。本発明はまた、関連する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
ワークピースの2つ以上の部分(例えば、2枚以上のシート)を固定するために使用される、多くの既知のタイプの締結具がある。このような既知の締結具の1つのグループは、次のように機能する。締結具サポートをワークピースの下に配置し、締結具および締結具挿入デバイスを、締結具サポートおよびワークピースの両方の上に配置する。締結具挿入デバイスが締結具に力を加え、それにより、締結具がワークピースを通って締結具サポートに向かって駆動される。いくつかの例では、締結具サポートは、締結具挿入デバイスによって締結具に加えられた力の結果として、該締結具に反力を及ぼすことができる。締結具に作用する力により締結具が変形し、それにより、ワークピースの2つ以上の部分が固定される。
【0003】
そのような締結具の例には、リベット、機械式スタッドおよび他のタイプの締結デバイスが含まれる。既知のリベットのあるタイプは、自己穿孔リベットである。そのようなリベットを適切な接着剤などと組み合わせて使用することは、溶接が実用的ではない産業において広く普及している。そのような産業には、アルミニウム部品を使用する産業が含まれる。そのような産業の一例は、少なくとも1枚のアルミニウムシートを含む金属シートのスタックを互いに固定する必要がある、自動車産業である。
【0004】
上述したように、既知の締結装置は、締結具サポートと、締結具挿入デバイスと、を含む。締結具挿入デバイスは、リベットがリベット保管場所からその中に渡され、該リベットがそこからパンチによってワークピースに挿入される、ノーズアセンブリを含み得る。締結具サポートは、ワークピースの下に配置され、リベットがワークピースに挿入されたときにリベットを据え込むように構成された、アプセットダイ(据え込み用の型)を含む。アプセットダイの体積および形状は、リベットがパンチによってワークピースに挿入されたときに該リベットが所望の形状をとるように、望ましい程度の据え込みを提供するように選択される。
【0005】
異なるタイプのリベット(すなわち、異なる形状、寸法および/または材料などを有するリベット)をノーズアセンブリに供給することを可能にする供給装置は、既に知られている。様々なワークピースを締結すること、あるいは様々な締結要件を有するワークピース上の様々な場所(例えば、ワークピース/ワークピースの部分を形成するシートの数が異なる場所、ワークピース/ワークピースの部分の材料タイプの組み合わせおよび/またはシートの厚さが異なる場所、および/または(上述したように)異なるタイプのリベットを使用する必要がある場所)を固定することが望ましい場合、アプセットダイを取り外して、それを、異なるリベットおよび/または関係するワークピース/ワークピースの部分の特性により適した異なる体積および/または形状を有する、異なるアプセットダイと交換することがしばしば必要である。
【0006】
締結装置のダイを取り外して交換するためのダイチェンジャは、既に知られている。そのようなダイチェンジャの使用は、比較的非効率である。ダイチェンジャの効率を改善し、それによって締結装置の動作中における整備ダウンタイムおよび/または潜在期間を短縮するためになし得ることはすべて有利である。
【0007】
本明細書で説明されているか否かに関わらず、既知のダイチェンジャに関連する問題の少なくとも1つを軽減する装置および方法を提供することが好ましい。
【発明の概要】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、締結装置のダイカートリッジが提供される。当該ダイカートリッジは、複数のダイを受け入れるように構成されたキャビティを画定する本体と;キャビティに受け入れられたダイが、当該キャビティから取り外され得る開口部と;締結装置のダイチェンジャの相補的係合部と係合するように構成された係合部と、を含む。
【0009】
当該カートリッジは、複数のダイを締結装置に提供する効率的な方法を提供する。
【0010】
キャビティに受け入れられたダイが当該キャビティから取り外され得る開口部を含むカートリッジ、と言われる場合、必要なのは、キャビティ内に配置されたダイが開口部から取り外されることであることは明らかである。ダイをキャビティに挿入するためには、ダイを取り外す前に、当該ダイを、開口部を介して、または別のルート(例えば、カートリッジの取り外し可能な基部)を介して挿入することができる。
【0011】
カートリッジは、キャビティに受け入れられた任意のダイを、開口部に向けて付勢するように構成された付勢部材を含み得る。これにより、キャビティ内に含まれるダイをカートリッジから容易に取り外すことができる。
【0012】
カートリッジは、キャビティ内に少なくとも部分的に配置されたプラットフォームを含み得る。付勢部材は、プラットフォームと接触していてもよく、プラットフォームは、キャビティに受け入れられたダイと接触するように構成されていてもよく、付勢部材は、ラットフォームを介して、キャビティに受け入れられた任意のダイを開口部に向けて付勢するように構成されている。プラットフォームは、付勢部材によって及ぼされる力を、より均一に加える方法を提供する。
【0013】
キャビティは、同一タイプの複数のダイを受け入れるように構成され得る。
【0014】
カートリッジは、第1および第2の別個の部分から形成され、第1の部分が本体を含み、第2の部分が係合部を含む。カートリッジが補充されるとき、第2の部分は締結装置に固定されたままで、第1の部分だけが交換されるように、該第2の部分は、締結装置の一部に固定されていてもよい。
【0015】
第1の部分は第1のインターロック部を含むことができ、第2の部分は第2のインターロック部を含むことができ、当該第1および第2のインターロック部が協働して第1および第2の部分を一緒に固定し、第1のインターロック部は、それぞれ異なる構成が特定のタイプのダイに対応する、複数の異なる構成から選択された構成を有することができ、該複数の異なる構成から選択された構成が、第1の部分のキャビティに受け入れられるダイの特定のタイプに対応している。
【0016】
同様に、第2のインターロック部は、それぞれ異なる構成が特定のタイプのダイに対応する、複数の異なる構成から選択された構成を有することができ、該複数の異なる構成から選択された構成が、第2の部分が固定されることが望まれる第1の部分のキャビティに受け入れられた特定のタイプのダイに対応している。換言すれば、特定のタイプのダイが特定のカートリッジの一部を形成することが望ましい場合がある。この状況では、第2のインターロック部は、所望の特定のタイプのダイのための第1のインターロック部の構成を補完する構成を有することになる。
【0017】
カートリッジは、クランプ機構をさらに含み得る。クランプ機構は、開口部に隣接して配置され得る。クランプ機構は、クランプ部材が開口部に隣接するキャビティ内に配置されたダイと係合して、当該ダイおよびキャビティ内の任意の別のダイが開口部を介してキャビティから出ることを実質的に防止するクランプ構成と;クランプ部材がダイと係合せず、当該ダイが開口部を介してキャビティから出ることを可能にするオープン構成と、の間を移動可能であり得る。
【0018】
クランプ機構は、締結装置の一部と係合するように構成され得る。締結装置の当該一部は、クランプ機構をクランプ構成とオープン構成との間で移動させることができる。
【0019】
カートリッジは、後退位置と配備位置との間を移動可能であるガイド部材を含み得る。ガイド部材は、開口部に隣接してキャビティの外側に配置されている。ガイド部材は、開口部を介してキャビティを出るダイをガイドするように構成され得る。
【0020】
カートリッジは、ガイド部材を後退位置から配備位置に付勢するために、該ガイド部材に接触するガイド付勢部材をさらに含み得る。
【0021】
カートリッジは、保持部をさらに含み得る。保持部は、保持構成と解放構成との間を移動するように構成され得る。保持構成では、付勢部材を付勢状態に保持し、当該付勢部材がキャビティ内に配置された任意のダイに力を加えるのを実質的に防止するように、保持部が、本体の一部と付勢部材との間に機械的に連結され得る。解放構成では、付勢部材を付勢状態に保持せず、当該付勢部材がキャビティ内に配置された任意のダイに力を加えられるように、保持部が、本体の一部と付勢部材とを機械的に連結し得ない。
【0022】
カートリッジは、キャビティ内を開口部に向かうダイの移動を可能にし、かつ開口部から離れる当該ダイの移動を実施的に防止するように構成されたラチェット機構をさらに含み得る。
【0023】
ラチェット機構は、少なくとも一部がキャビティ内に配置されたプラットフォーム部材をさらに含み、当該プラットフォーム部材は、キャビティに受け入れられたダイと接触するように構成され得る。プラットフォーム部材が第1のラチェット部を含み、カートリッジの本体が対応する第2のラチェット部を含み、プラットフォーム部材が第1の方向に移動してキャビティ内に配置されたダイを開口部に向かって移動させる場合、第1および第2のラチェット部は、互いに対して通過し、プラットフォーム部材の本体に対する移動を可能にし、プラットフォーム部材が第1の方向とは反対向きに移動する場合、第1および第2のラチェット部は、互いに係合し、プラットフォーム部材の本体に対する移動を制限する。
【0024】
プラットフォームおよびプラットフォーム部材は同一であってもよい。
【0025】
係合部を本体に接合する、カートリッジの脆弱部分が提供されてもよい。
【0026】
本発明の第2の態様によれば、少なくとも2枚の材料を一緒に固定する方法が提供される。当該方法は:締結装置が、本発明の第1の態様によるダイカートリッジからダイを取得するステップと;少なくとも2枚の材料を介して締結具を挿入するステップと;ダイが締結具に力を加えて当該締結具を変形させ、それによって少なくとも2枚の材料を一緒に固定するステップと、を含む。
【0027】
本発明の第3の態様によれば、物品の製造方法が提供される。当該方法は:本発明の第2の態様による、少なくとも2枚の材料を一緒に固定することを含む。
【0028】
適切である場合、本発明の態様の1つに関して上述した任意の特徴のいずれもが、本発明の別の態様のいずれにも等しく適用され得ることが理解されるであろう。
【0029】
ここで、本発明の特定の実施形態を、添付の図面を参照して、ほんの一例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の一実施形態による、カートリッジアセンブリの斜視図である。
【
図2】
図1に示すカートリッジアセンブリの断面図である。
【
図3】カートリッジアセンブリの第1および第2の部分が分離している、
図1に示すカートリッジアセンブリの別の斜視図である。
【
図3a】
図1のカートリッジの一部を形成し得る、
図3bとは異なるタイプの第2のカートリッジ部の斜視図である。
【
図3b】
図1のカートリッジの一部を形成し得る、
図3aとは異なるタイプの第2のカートリッジ部の斜視図である。
【
図4】カートリッジアセンブリが締結装置の一部を形成している、
図1のカートリッジアセンブリの斜視図である。
【
図5】クランプ配置が顕著に見える、
図1に示すカートリッジの一部の断面図である。
【
図6】ラチェット機能が顕著に見える、
図1に示すカートリッジの一部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
簡潔性のために、本発明は、自己穿孔リベットセッタのダイ用のカートリッジまたはカートリッジ機構に関連して説明されているが、本発明は、締結具サポートが、定期的に交換されなければならない部分を含んでいるあらゆる締結装置に等しく適用可能であることが理解されるであろう。その定期的に交換される複数の部分は、本発明によるカートリッジまたはカートリッジ機構によって保持され得る。
【0032】
図1は、本発明の一実施形態による、カートリッジアセンブリ(またはカートリッジ)10の斜視図を示す。カートリッジ10は、本明細書でより詳細に後述するように、締結装置の一部を形成することができる。カートリッジ10は、複数のダイ12を含む完全な構成で
図1に示されている。カートリッジ10は、中央の長手方向軸Aに沿って延び、一端が基部28によって閉じられている、ほぼ円筒形の壁から形成された本体14を含む。本体14は、複数のダイ12を受け入れるように構成された、ほぼ円筒形のキャビティ16を画定している。
【0033】
カートリッジ10は、キャビティ16内に配置されたダイ12が、該キャビティ16から、したがって該カートリッジ10から取り外され得る開口部18も含む。カートリッジ10は、締結装置のダイチェンジャの相補的な係合部と係合するように構成された係合部20をさらに含む。そのような一例は、カートリッジを第1のダイサポート62に固定するように、係合部20がダイチェンジャの第1のダイサポート62と係合し得るものである。そのような構成は、本出願と出願日を同じくして本出願人によって出願された、ダイチェンジャに関する同時出願の英国特許出願で議論されている。可能な管轄区域では、ダイチェンジャおよび付属のカートリッジに関する同時出願の英国特許出願の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0034】
本実施形態は、カートリッジ10の本体14にいくつかの窓22を含む。窓22は、(開口部18を介するもの以外で)キャビティ16への視線を提供し、該キャビティ内のダイ12の有無(または、実際に存在するダイの数)をユーザが容易に判断することを可能にする。これにより、ユーザは、カートリッジが満杯であるか、それとも空であるか、および/またはキャビティ内にいくつのダイが存在するのかを容易に判断することができる。本実施形態では、複数の窓22が示されているが、本発明の別の実施形態では、任意の適切な数(例えば、1つまたは複数)の窓が設けられ得ることが理解されよう。これらの窓は、カートリッジの本体上で、任意の適切な形状または位置を有することができる。複数の窓がある状況では、それらの窓がすべて同一の形状および(角度または軸方向)位置を有していてもよく、あるいは各窓の形状および/または位置が異なっていてもよい。
【0035】
一実施形態では、窓は、ダイが開口部18を介してキャビティを出る直前に当該ダイが占めるキャビティ16内の位置に、本体14の壁を通して視線が届くことを可能にする、本体上の位置に設けられ得る。このようにして、1つまたは複数の窓22のいずれからもダイ12が見えない場合、これはカートリッジ10(特には、キャビティ16)が空であることを示す。あるいは、またはさらに、カートリッジには、該カートリッジ(特には、キャビティ)が完全に満たされている場合(すなわち、カートリッジからダイが1つも取り外されていない場合)に、開口部18から最も遠いダイが占める位置に視線が届くように配置された、1つまたは複数の窓が設けられていてもよい。このようにして、ユーザは、カートリッジがダイで完全に満たされているか否かを判断することができる。
【0036】
ここで、
図1のカートリッジの断面図を示す
図2を参照すると、カートリッジ10は、プラットフォーム26を含み、該プラットフォーム26は、軸Aに垂直なほぼ円形の断面を有し、ほぼ円筒形のキャビティ16内に相補的に嵌合するようにサイズ決めされている。プラットフォーム26は、キャビティ16内を軸方向に移動できるように該キャビティ16内に取り付けられている。プラットフォーム26は、任意の適切な方法で、キャビティ内を軸方向に移動するように取り付けられ得る。例えば、一実施形態では、プラットフォームは、1つまたは複数の半径方向に突出するタブ27を含んでいてもよく、該タブ27は、各々が、本体14の円筒形壁の半径方向最内側の、軸方向に延びる対応するチャネル29に受け入れられている。図示の実施形態において、タブ27は、プラットフォーム26の本体26bから下垂する、軸方向に延びる一対の脚部26aに設けられている。付勢部材24(例えば、圧縮ばね)は、キャビティ16内に配置されたダイ12を開口部18に向けて付勢するように構成されている。これを行うために、付勢部材は、プラットフォーム26と本体14の基部28との間に配置されている。本体の基部28は、付勢部材の中心を軸A上に合わせるのに役立つボス28aを含む。付勢部材24は、プラットフォーム26(したがって、プラットフォーム26によって支持されたダイ12)を開口部18に向けて付勢する。本実施形態において、付勢部材は、ダイ12を軸方向に(プラットフォーム26を介して)開口部18に向けて付勢する。
【0037】
上述したように、プラットフォーム26はキャビティ16内に配置されており、付勢部材24はプラットフォーム26に接触している。プラットフォーム26は、キャビティ16に受け入れられたダイ12と接触するように構成されているため、付勢部材24は、プラットフォーム26を介して、キャビティ16内に配置されたダイを開口部18に向けて付勢するように構成されている。本実施形態において、プラットフォーム26の本体26bの上面は、環状溝31を含む。環状溝は、キャビティ16に受け入れられたダイ(プラットフォームに最も近接するダイ)のステム12aを受け入れるようなサイズおよび形状である。これは、キャビティに受け入れられたダイをプラットフォーム上で中心合わせするのに役立ち、したがって、ばね24によってダイに加えられる力が比較的均一になることを確実にし、それによってダイがキャビティ内で詰まる可能性を低減するのに役立つ。プラットフォーム26の本体26bの下側は、2本の脚部と組み合わせて、ばね24を収容するのに役立ち、ばね24を中心合わせして、該ばねが本体の下側を動き回ることができないようにしていることも見てとれる。繰り返すが、これは、ばね24によってダイに加えられる力を比較的均一にすることを確実にし、それによってダイがキャビティ内で詰まる可能性を低減するのに役立つ。別の実施形態では、プラットフォームの任意の適切な構成を使用してもよい。
【0038】
本実施形態では、キャビティ18に受け入れられたダイ12は、すべて同一のタイプである。このように、カートリッジ10は、単一の特定のタイプのダイを含むカートリッジである。別の実施形態では、そうである必要はない。
【0039】
図3は、先の図に示されたカートリッジ10の概略的な斜視分解図である。カートリッジは、第1の部分30と、別個の第2の部分32と、から形成される。第1の部分30は本体14を含み、第2の部分32は係合部20を含む。第1および第2の部分30,32は、インターロック34によって一緒に保持されている。インターロック34は、第1の部分30の一部を形成する第1のインターロック部35と、第2の部分32の一部を形成する第2のインターロック部36と、を含む。特に、本実施形態では、第1のインターロック部35はバヨネットラグを含み、第2のインターロック部36は対応するバヨネット開口部36を含み、これらは既知のバヨネット固定方法で協働し、第1および第2の部分30,32を一緒に固定する。
【0040】
本実施形態では、第1のインターロック部35は、異なる構成のセットから選択された特定の構成を有し、セット内のそれぞれ異なる構成は、特定のタイプのダイに対応している。この場合、第1のインターロック部35に選択された構成は、キャビティ16に受け入れられるダイ12の特定のタイプに対応する。すなわち、キャビティに受け入れられるダイのタイプが、本事例で受け入れられたダイ12のタイプと異なる別の実施形態では、第1のインターロック部35の構成は、本事例におけるセットとは異なる構成になるであろう。
図3aおよび3bは、異なるタイプのダイに対応する第2のインターロック部36の、2つの特定の異なる構成を示している。
【0041】
より詳細には、
図3aおよび3bは、第2のインターロック部の2つの異なるバージョンを示している。特に、
図3aは、第1のタイプの第2のインターロック部36aを含む、カートリッジの第2の部分32を示し、
図3bは、第2のタイプの第2のインターロック部36bを含む、カートリッジの第2の部分32を示している。第1のタイプの第2のインターロック部36aは、第1のタイプのダイ12bに対応し、第2のカートリッジ部分32の側面に単一のバヨネット開口部を含み;第2のタイプの第2のインターロック部36bは、第2のタイプのダイ12cに対応し、第2のカートリッジ部分32の側面に2つのバヨネット開口部を含む。関連するダイ12b,12cを含むカートリッジ本体は、関連する第2のインターロック部に対応するインターロック部を有する。特に、タイプ12bのダイを含む本体の第1のインターロック部は、側面に単一のバヨネットラグを含み、タイプ12cのダイを含む本体の第1のインターロック部は、側面に2つのバヨネットラグを含む。
【0042】
上述の方法では、カートリッジが使用される締結装置のダイチェンジャ62に固定され得る、該カートリッジの第2の部分32の第2のインターロック部36は、特定の所望のタイプのダイを含む、カートリッジの第1の部分30の第1のインターロック部35に正しく係合するためだけに設計された構成を有することができる。換言すると、不所望のタイプのダイを含むカートリッジの第1の部分30は、カートリッジの第2の部分32の第2のインターロック部36と相補的でない構成の第1のインターロック部35を有し、したがって、そのようなカートリッジの第1の部分は、カートリッジの第2の部分32と正しく係合することができない。それにより、誤った第1の部分30(したがって、誤ったダイ)が、第2の部分32(したがって、第2の部分32が取り付けられるダイチェンジャ)に取り付けられるのを防ぐ。
【0043】
インターロックの2つの特定の例のセットについて上記で説明したが、別の実施形態では、インターロックまたはインターロック部の任意の適切な特定の構成を使用して、あるタイプのダイを含むカートリッジの第1の部分を、別のタイプのダイを含むカートリッジの第1の部分と区別することができることが理解されよう。さらに、第1および第2のインターロック部の構成のセットは、単一の部材または複数の部材など、任意の適切な数の部材を有することができる。
【0044】
本実施形態では、第1の部分30の第1のインターロック部がバヨネットラグを含み、第2の部分32の第2のインターロック部がバヨネット開口部36を含むが、別の実施形態では、第1および第2の部分におけるバヨネットラグおよびバヨネット開口部の位置は、交換/反転されていてもよい。あるいは、第1および第2の部分の第1のインターロック部および第2のインターロック部は、それぞれ第1および第2のインターロック部(したがって、第1および第2の部分30,32)を、取り外し可能または取り外し不能に互いに固定/連結できるようにする、任意の適切な構造を含んでいてもよい。
【0045】
また、カートリッジに含まれる特定のタイプのダイに応じて異なる構成を有する、カートリッジの第1の部分の第1のインターロック部35に関して先に説明したが、別の実施形態では、インターロック(したがって、インターロックの第1および第2の部分)は、カートリッジ内のダイのタイプに関係なく実質的に同じであり、代わりに、カートリッジの係合部20が、カートリッジのキャビティ内に位置するダイのタイプに応じて異なる構成を有していてもよい。このようにして、カートリッジが使用される締結装置のダイチェンジャの係合部は、特定の所望のタイプのダイの係合部に対応する特定の構成を有するので、所望のタイプのダイを含み、所望のタイプのダイに対応する構成を有するカートリッジの係合部20のみが、係合部20に固定/連結できるようになる。このように、カートリッジと締結装置のダイチェンジャとの係合部の構成は、不所望のタイプのダイを含むカートリッジが、締結装置のダイチェンジャに連結されるのを防ぐようにすることができる。
【0046】
図5に最もよく見られるように、カートリッジ10は、クランプ機構38をさらに含む。クランプ機構38は、開口部18に隣接して配置されている。特に、クランプ機構は、カートリッジの第2の部分32の一部を形成し、作動部および複数のボールベアリング39を含む。
【0047】
クランプ機構は、クランプ構成とオープン構成との間で移動することができる。クランプ構成では、クランプ部材は、開口部18に隣接するキャビティ16内に配置されたダイ12と係合して、キャビティ内の当該ダイおよび別のダイが、開口部18を介してキャビティから出ていくのを実質的に防止する。特に、上述したように、ダイ12は、付勢部材24によって開口部18に向けて付勢されている。その結果、クランプ部材なしには、ダイは、カートリッジ10を出ていくように付勢部材によって付勢される。ダイは必要なときにだけカートリッジから解放されなければならないため、これは勿論望ましくない。
【0048】
クランプ機構はまた、クランプ部材がダイと係合しないオープン構成を有する。この構成では、ダイは、開口部を通ってキャビティを出ることができる。クランプ機構がオープン構成になると、付勢部材24は、ダイを開口部18から押し出す。
【0049】
この特徴は、カートリッジ内のダイをその場に留めておく場合のクランプ構成と、ダイチェンジャによってカートリッジからダイを取り出したい場合のオープン構成と、の間でクランプ機構を移動させるように、カートリッジが利用される締結装置のダイチェンジャがクランプ機構を選択的に作動または作動解除することを可能にし得る。この目的のために、締結装置の一部がクランプ機構をクランプ構成とオープン構成との間で移動させるように、クランプ機構は締結装置の一部と係合するように構成されている。特に、クランプ機構は、締結装置の当該一部と係合して当該一部によって作動される、作動部を含む。締結装置の当該一部は、作動部を非作動位置と作動位置との間で移動させることにより、クランプ機構をクランプ構成とオープン構成との間で移動させる。
【0050】
引き続き
図5を参照すると、本実施形態では、作動部は、軸方向に延びるいくつかの支持体48がそこから下垂しているガイドプレート44を含む。支持体48は、カートリッジの係合部20のカラー部分52に設けられた、対応する、軸方向に延びる、角度的に間隔をあけたボア50に受け入れられている。支持体48の各々は、直径が減少するテーパ部分48aを有する。各支持体48に関連しているのは、関連する軸方向のボア50と交差する、半径方向のボア49である。ボールベアリング39は、各半径方向ボア49内に受け入れられて、関連する支持体48と、開口部18に隣接して位置する半径方向ボア49の縮径部49aと、の間に保持されている。動作中、クランプ機構38は、クランプ構成とオープン構成との間を移動可能である。クランプ構成(
図5に示す)では、クランプ部材は、開口部18に隣接してキャビティ16内に配置されたダイ12と係合し、当該ダイおよびキャビティ内の任意の別のダイが開口部18を介してキャビティから出ていくのを実質的に防止する。本実施形態では、クランプ部材は、ボールベアリング39の各々の形態をとっている。作動部は、弾性付勢部材54によって、クランプ構成になるように付勢される。作動部がこの位置にあるとき、各支持体48の完全な直径部分は、各半径方向ボア49内に位置している。これにより、ボールベアリング39がそれぞれのボア49に沿って半径方向内側に付勢されて、ボールベアリング39はダイ12に係合する。
【0051】
本実施形態において、クランプ機構38をオープン構成に移動させるには、作動部を、ばね54の作用に抗して、ガイドプレート44がカラー52に接触するまで、(図の向きに関して)軸方向下側に移動させる。この位置では、図面には示されていないが、各支持体48のテーパ部分48aが半径方向ボア49内に受け入れられ、したがって各ボールベアリングは、テーパ部分48aによって各ボア49内に作られた追加の空間内を、半径方向外側に自由に移動する。ボールベアリング39が半径方向外側に移動できるということは、ボールベアリング39がダイ12に係合していないことを意味する。この文脈において、係合していないことには、ボールベアリングがダイに接触しているが、付勢部材24の作用のもとでダイが開口部に向かって軸方向に移動するのを防ぐのに十分な力が加えられていないシナリオを含み得る。
【0052】
カートリッジ10は、ガイド部材40をさらに含む。ガイド部材40は、後退位置と、開口部18に隣接するキャビティ16の外側に位置する配備位置と、の間で移動可能である。ガイド部材40は、開口部18を介してキャビティ16を出るダイ12を誘導するように構成されている。特に、配備位置において、ガイド部材のガイド部分は、ダイが開口部を介してキャビティを出るときに、該ダイがガイド部分と接触できるように配置されている。これは、キャビティを出るときにダイが正しい方向に移動し、それによって開口部を介してキャビティを出るダイが誤った方向に出ていくことや、誤った向きで出てい行くことを防止するのを確実にするためである。このことは、カートリッジのキャビティを出るダイを、正しい向きで、かつ例えばダイチェンジャなどの締結装置の一部に対して正しい位置で受けなければならない場合に特に重要であり得る。
【0053】
本実施形態において、ガイド部材40のガイド部分は、ガイドプレート44の開口部46の壁および/または概して軸方向に延びる一対の脚部42である。脚部42は、軸Aに対して直径方向に間隔をあけて配置されている。図では、脚部42の1つが見えている。別の実施形態では、ダイが正しい方向に/向きで移動することを確実にするように、開口部を介してキャビティを出るダイに(例えば、接触することによって)力を加えることができる限り、ガイド部分の任意の適切な構成を使用することができる。
【0054】
図示の実施形態において、ガイド部材40は、軸Aにほぼ垂直な平面にある、ほぼ環状のガイドプレート44を含む。ガイドプレート44は、ダイ12がキャビティを出ると通過することができる、開口部46を含む。ガイド部材40は、開口部46に隣接するようにガイドプレートからほぼ軸方向に下垂する一対のガイド脚部42(説明済み)を含み、それによって、当該開口部46を画定する円周面の少なくとも一部を画定している。さらに、ガイド部材は、ほぼ軸方向に延びる3つの支持体48も含む。軸方向に延びる支持体48は、軸Aの周りに等角度間隔で配置された位置で、ガイドプレート44から下垂している。支持体48は、カートリッジの係合部20のカラー部分52に設けられた、対応する、軸方向に延びる、角度的に間隔をあけたボア50に受け入れられ、
【0055】
本実施形態において、ばねの形態である弾性付勢部材54は、カラー52と、ガイド部材40のガイドプレート44と、の間に受け入れられている。支持体48は、カラー52のボア50を貫通して延びて、該カラーの反対側からガイドプレートが位置する側へ突出している。支持体48とボア50との協働により、ガイド部材40は、カラー50に対して、したがってカートリッジの係合部/本体部に対して軸方向に移動することができる。停止部56は、支持体48の1つの遠位(または自由)端部に配置されている。停止部56は、関連する支持体が通過するボア50のサイズよりも大きい。その結果、停止部56は、ガイド部材40およびカートリッジの残りの部分が分離するのを防ぐために、カラー52から離れるガイド部材44の動きを制限する。
【0056】
本実施形態では、ガイド部材40は、ガイドプレート44がカラー52にほぼ隣接して配置された後退位置、およびガイドプレートが所定の距離だけカラーから離間している(図示の)配備位置から、ほぼ軸方向に移動することができる。さらに、本実施形態では、ばね54は、ガイド部材40を後退位置から配備位置へと付勢する。
【0057】
本実施形態では、ガイド部材のガイドプレート44は、クランプ機構をクランプ構成とオープン構成との間で移動させるクランプ機構の作動部の一部である。別の実施形態では、ガイド部材と作動部とは別個の実体であってもよい。一体化されたガイド部材およびクランプ機構の利点は、ダイがキャビティを、したがってカートリッジを出るときに、該ダイの移動をより効果的に制御するためにそれらが協働できることである。
【0058】
より具体的には、上述したように、妨害されていない状態では、カートリッジは、付勢部材がダイをキャビティの開口部に向けて付勢するようになっているが、しかしながら、クランプ機構がクランプ構成に付勢されているため、ダイは、キャビティから出られないように所定の位置にクランプされる。ダイをカートリッジから取り出すことが望まれる場合、締結装置の一部が移動してガイド部材のガイドプレートと接触する。締結装置の一部は、ガイド部材を配備位置から後退位置に移動させる。この文脈において、ガイド部材の配備位置は、クランプ機構のクランプ構成に対応し、ガイド部材の後退位置は、クランプ機構のオープン構成に対応する。このように、ガイド部材が配備位置から後退位置に移動すると、クランプ機構がクランプ構成からオープン構成に移動する。いったんオープン構成になると、キャビティ内のダイは、付勢部材の作用のもと開口部に向かって自由に移動する。移動してガイド部材と接触する締結装置の一部は、カートリッジからダイを取り外すためのダイ取り外し部分を含み得る。次に、開口部に最も近接するダイは、ダイ取り外し部分によってカートリッジから取り外され得る。ダイがカートリッジから取り外されると、締結装置の一部はカートリッジから離れるように移動する。これが起こると、ガイド部材は、ばね54の作用のもと締結装置の一部をたどり、開口部から離れるように軸方向に移動する。このようにして、締結装置の一部によってダイがカートリッジから取り外され、開口部から遠ざかるにつれて、ガイド部材もまた開口部から遠ざかるように移動する。したがって、締結装置の一部によってダイがカートリッジから取り出されるときに、ガイド部材は、ダイの正しい向きおよび位置を維持することができる。締結装置の一部がカートリッジから十分に離れると、締結装置の一部は、もはやガイド部材のガイドプレートに接触しない。したがって、ガイド部材は配備位置にある。上述したように、これは、クランプ機構がクランプ構成にあること、したがってクランプ機構がキャビティ内のカートリッジに残っているダイをクランプしていることを意味している。カートリッジからさらなるダイを取り外すことが望まれる場合、上述の工程が繰り替えされる。すべてのダイがカートリッジから取り外されると、カートリッジは空になる。カートリッジは、必要に応じて、同様のカートリッジと交換することができる。
【0059】
本発明によるカートリッジは、保持部をさらに含んでいてもよい。保持部は、付勢部材がキャビティ内に配置された任意のダイに力を加えることを防ぐために、したがって付勢部材がキャビティ内に配置されたダイをカートリッジの外に移動させることを防ぐために使用される。これは、ダイがカートリッジのキャビティにダイを装填するときに特に有益である。そのような保持部が存在せず、挿入されたダイに十分なグリップが維持されない場合、カートリッジを装填しているヒトまたは近くにいる他の人を負傷させるのに十分な力で、付勢部材の作用のもとでダイがキャビティから排出される可能性がある。
【0060】
保持部は、保持構成と解放構成との間を移動するように構成されている。保持構成では、付勢部材を付勢状態に保持し、当該付勢部材がキャビティ内に配置された任意のダイに力を加えることを実質的に防ぐように、保持部が、本体の一部と付勢部材との間に機械的に連結されている。付勢状態とは、保持部の存在なしには、付勢部材がその形状を変化させて弛緩状態に戻ろうとする構成に該付勢部材が保持されていることを意味する。付勢部材の形状を変化させることは、キャビティ内に配置されたダイに力を加える付勢部材の潜在力を生じさせる。さらに、保持部が、本体の一部と付勢部材との間に機械的に連結されていると言われる場合、そのような機械的連結は、直接的であっても、あるいは間接的であってもよい。機械的連結が直接的である場合、保持部は、本体部の該一部および付勢部材と接触する。機械的連結が間接的である場合、本体の該一部および付勢部材は、保持部およびカートリッジの1つまたは複数の追加の部分を介して連結される。そのような間接的な機械的連結の一例は、保持部が、本体の該一部とカートリッジのプラットフォーム部材との間に延びている場合である。この状況では、保持部は、プラットフォーム部材を介して、本体の一部と付勢部材との間で機械的に連結されている。
【0061】
解放構成では、保持部が付勢部材を付勢状態に保持しないように、保持部が、本体の該一部と付勢部材とを機械的に連結しない。このようにして、付勢部材は、キャビティ内に配置されたダイに力(すなわち、上述したように、ダイをカートリッジの開口部に向けて付勢し、したがってダイをカートリッジから出す力)を加えることができる。
【0062】
本実施形態では、保持部は、カートリッジの本体14の保持孔59を貫通するピン58(
図4に破線で示される)の形態をとり得る。より詳細には、保持構成では、付勢部材を保持することが望まれる場合、プラットフォーム26がキャビティ16の基部に配置され、ピン58が保持孔59を通して挿入される。付勢部材の作用のもと、プラットフォーム26は、ピン58と接触するように促される。このように、ピン58の形態の保持部は、付勢部材を付勢状態に保持し、また、付勢部材がキャビティ内に配置された任意のダイに力を加えるのを実質的に防ぐように、本体の一部(保持孔59)と付勢部材との間に機械的に連結される。本体の一部(保持孔58)と付勢部材とが、保持部58およびプラットフォーム部材26の形態のカートリッジの追加の一部を介して連結されている場合、機械的連結は間接的である。
【0063】
保持部を解放構成に配置するためには、ピン58がもはや本体の保持孔および付勢部材を機械的に連結しないように、したがって保持部が付勢部材を付勢状態に保持しないように、ピン58を保持孔59から取り外す。
【0064】
本実施形態では、カートリッジは、さらなる保持部を含む。さらなる保持部は、さらなる保持孔59を含む。使用中、さらなる保持部の一部として、タイ(不図示)をさらなる保持孔59を通して挿入することができる。この配置では、タイは、最上部のダイに当接し、付勢部材24の作用のもと、ダイがカートリッジの第1の部分の本体から出るのを防止する。したがって、この構成では、カートリッジの第1の部分は、ダイが排出されるリスクなしに、カートリッジの第2の部分とは別々に取り扱われ得る。カートリッジの第1の部分が該カートリッジの第2の部分に上述した方法でいったん固定されると、タイをさらなる保持孔から取り外して、クランプ機構によってダイをカートリッジ内に保持することができる。別の実施形態では、それが付勢部材24の作用に反して、カートリッジの第1の部分にダイを選択的に保持することができる限り、保持部は任意の適切な形態をとり得る。
【0065】
カートリッジ10は、ラチェット機構60をさらに含む。ラチェット機構60は、キャビティ16内を開口部18に向かうダイの移動を可能にし、かつ開口部18から離れる当該ダイの移動を実質的に防止するように構成されている。ラチェット機構は、
図2の一部の概略図を示す
図6に、符号63で最もよく示されている。ラチェット機構を含むカートリッジの1つの利点は、ラチェット機構により、ダイをカートリッジのキャビティから排出できるが、カートリッジを最初に組み立てた後に該カートリッジのキャビティ内にダイを挿入できないことである。これの利点は、カートリッジを製造してから特定のタイプのダイを充填した場合、1つまたは複数の関連するダイがいったんカートリッジから取り外されると、該カートリッジに最初に装填したダイとは異なるタイプのダイであろう潜在的な可能性がある、別のダイを挿入することはできない。これにより、カートリッジ内のダイのタイプの潜在的な混入が防止され、このことは、所望のタイプのダイが締結装置に供給される唯一のタイプのダイであるように、カートリッジが特定の所望のタイプのダイだけを含むことが重要である状況で有益であり得る。
【0066】
本実施形態の場合、ラチェット機構60は、上述したように、少なくとも部分的にキャビティ16内に位置するプラットフォーム26を含む。繰り返しになるが、上述したように、プラットフォーム26は、キャビティに受け入れられたダイと接触するように構成されている。プラットフォーム26は、第1のラチェット部62を含み、カートリッジ10の本体14は、対応する第2のラチェット部64を含む。この場合、第1のラチェット部62は、プラットフォームの半径方向外側表面に位置する歯止めの形態をとる。特に、歯止めは、プラットフォーム26の脚部26aから突出するタブ27によって形成されている。歯止めは、一般に鋸歯状の特徴を有する。第2のラチェット部64は、カートリッジ10の一般に円筒形の本体14の半径方向内側表面上に配置されている。第2のラチェット部64は、一般に鋸歯状波の断面を有する機構の形態をとる。第2のラチェット部64の鋸歯状波断面および第1のラチェット部62の鋸歯は、互いに対して、かつカートリッジに対して方向付けられている。これは、プラットフォーム26がキャビティの開口部に向かって方向Bに移動するとき、第1のラチェット部の鋸歯の傾斜面62aが、第2のラチェット部の鋸歯波の傾斜面64aを乗り越えるようにするためである。逆に、プラットフォームをキャビティの開口部から離れる方向Cに移動させようとすると、第1のラチェット部の鋸歯のほぼ半径方向に延びる部分62bが、第2のラチェット部の鋸歯波の歯の1つのほぼ半径方向に延びる表面64bと当接する。それにより、キャビティの開口部から離れる方向Cへの、カートリッジの本体に対するプラットフォームの移動を防止する。
【0067】
このようにして、プラットフォーム部材が第1の方向とは反対の方向C(例えば、キャビティの開口部から離れる軸方向)に移動する場合、第1および第2のラチェット部62,64は互いに係合して、本体に対するプラットフォームの移動を制限する(また、特には、カートリッジの本体の開口部から離れる軸方向Cにおける、本体に対するプラットフォーム部材の移動を制限する)。
【0068】
現在説明している実施形態では、キャビティ内のダイを該キャビティから押し出すように付勢部材24によって作用されるプラットフォーム26は、ラチェット機構62の第1のラチェット部を含むプラットフォームと同じである。しかしながら、別の実施形態では、第1のラチェット部を含むプラットフォームと、付勢部材によって付勢されるプラットフォームと、が別個の実体であってもよいことが理解されよう。さらに、いくつかの実施形態では、ラチェット部がプラットフォームを必要としない場合がある。ラチェット機構に必要なのは、キャビティ内のダイの開口部への移動を可能にし、開口部から離れるダイの移動を実質的に防止できることだけである。例えば、ラチェット機構は、本体の一部を形成するヒンジ部材を含んでいてもよい。ダイがヒンジ部材の隣で開口部に向かう方向に移動する場合、ヒンジ部材はダイの邪魔にならないように移動し、ダイが通過できるようにする。逆に、ダイがヒンジ部材の隣で開口部から離れる方向に移動する場合、ヒンジ部材はダイに当接し、ダイの通過を防止する。
【0069】
最後に、本発明によるカートリッジは、第1のカートリッジ部分30を第2のカートリッジ部分32から分離するためにユーザがカートリッジに力を加えると優先的に分離する、脆弱部を含んでいてもよい。いったんこれが起こると、本体と係合部(第1の部分30と第2の部分32)を再接合することは不可能である。これは、カートリッジのキャビティに元々装填されたダイを他のタイプのダイと交換するために、カートリッジを破壊して開けないことを保証する、という別のセキュリティ機能を提供する。上述したように、このことは、所望のタイプのダイだけを締結装置に供給することが不可欠であるカートリッジの用途において重要であり得る。
【0070】
特許請求の範囲に記載される本発明によるカートリッジを依然として残しながら、該カートリッジに対する多くの修正が可能であることが理解されよう。
【0071】
一例では、カートリッジ内に含まれるダイが円形断面を有し、本体(およびキャビティ)の壁の内面も対応する円形断面を有するが、別の実施形態では、ダイの断面および本体(したがってキャビティ)の断面は、任意の適切な形状を有し得る。
【0072】
さらに、カートリッジが識別部分を含み得ることが想定される。識別部分は、例えば、カートリッジの識別し、および/またはカートリッジに含まれるダイに関する情報などの、任意の適切な情報を含み得る。識別部分は、視覚情報または機械可読情報を含み得る。